103210 # 民間セクターは 開発にとって 重要 機会 資本 成長 インパクト 必要不可欠な【形容詞】 IFC年次報告2015 絶対に欠かせない、極めて重要な 例文:「繁栄を永続させるには雇用は必要不可欠だ」 2-3 リーダーの視点 4-19 必要不可欠な要素 民間セクターが開発にとって重要な理由 4 IFC は、2030 年までに極度の 20-27 貧困を撲滅し、繁栄の共有を促進 IFCの世界的な成果 運営チーム 20 するためには、民間セクターに 財務結果の要約 23 業務結果の要約 IFCが世界に与えた影響 23 24 よる投資が不可欠であると確信 しています。 28-55 民間セクターによる インパクト 成長の加速化 30 強靭性の構築 40 生活の向上 48 56-104 IFCについて 世界銀行グループ 2015年度の 成果概要 世界銀行グループ 総裁兼理事会議長 からのメッセージ 必要不可欠 読み:ひつようふかけつ ジム・ヨン・キム世界銀行グループ総裁からのメッセージ 2015年度は世界の開発にとって極めて 重要な年でした。国際社会がこの一年に 下した決定の数々は、2030年までに 極度の貧困を撲滅するという目標を 達成できるか否かを長期的に左右する 事になるでしょう。 今 日、1日1.25ドル未満で生活している人は今なお10 億人近くに上り ます。これは驚くべき数です。しかしその一方で、この 25 年間に、 極 度 の 貧 困 状 態 に あ る人々の 世 界 の 総 人 口 に占 め る 割 合 が 3 分の 2 も低下した事は特筆すべき事実です。この間、多くの国々が、不可能 と思われた課題に挑戦し成果を上げてきました。 また、低・中所得国のニーズの変化に対応するため、世界 る IFC とMIGA の 2 機関も、こうした取組みを強化してい 力を 合わせる事 により、包摂的で 銀 行グル ープ自身も変わる必 要があります。以前と比べ ます。2015 年度、IFC が民間セクター開発のために提供し 資金の調達は容易になっていますが、そうした中でこそ、 た投融資総額は、他の投資家から動員した約71億ドルを含め 持 続可能な成長、そして貧 困 層や 世界銀 行グループの最大の強みを強調していかなければ 約177億ドルに達しました。MIGAもまた、総額28億ドルに上 なりません。それは、我々の膨 大な知 識を革 新的資 金調 る政治的リスク保証 業務及び 信用補完業務を提 供し、必 脆弱層にとっての機 会を促 進する 達と融合させる事により、最貧困層に最 大限の効果をも 要性の高いインフラ分 野 のプロジェクトを含め 、各 種の たらすプログラムを提供できるという強みです。途上国自 事ができます。我々が極度の貧困に 身がそれぞれの抱える困難な課題を解決するため、世界 投資を支援しました。 極 度 の 貧 困 状 態 にある約 10 億 人の人々は 、より良い 生 終止符を打つ世代になる事は、実現 各地の事例から実 践的なノウハウを導き出せるよう支 援 活を手にするための 平 等な機 会を必 要としており、彼ら する事、それが我々の目指すところです。 に機 会をもたらしてくれる政 策 やプログラムに期 待して 可能なのです。 2015 年度、 世界銀行グループは加盟国の政府や民間企業 います。各 国 政 府はこの 機 を捉 え、民 間セクターのパー に対して、総 計 6 0 0 億ドル 近 い 融 資、贈与 、直 接 投 資、 トナーは新たな投 資を模 索しなければなりません。この 2 保証をコミットしました。 この内、 IBRDのコミットメントは、 好 機 を 逸する事 のないよう、世界 銀 行グル ープ、他の国 0 3 0 年までに極 度の貧困を撲 滅する事は、困 難 総 額 23 5 億ドルに上りました 。 これ は、最 高 水 準だった 際開発 金融機関、新たな開発パートナーが力を結集し、 で はありますが 実 現 は十 分可能です。世界銀 行 世界金融 危 機当時を除けば、これまでの最高額となりま 信 念を持ちながら協 調していく事が求められます。力を グル ープの主 要 機 関 であ る 国 際 復 興 開 発 銀 行 す。一方、世界 銀 行グル ープの 最 貧 困 層向け基 金である 合わ せる事により、包 摂 的で持 続 可能 な成 長、そして貧 (IBRD)、国際開発協会(IDA )、国際金融公社(IFC)、 IDA は、増資対象期間の初年度としては過去最高の総額 困層や脆弱層にとっての機 会を促 進する事ができます。 多数国間投 資保証機関( MIGA )は、過去 数十年間にわ 190 億ドルをコミットしました。また、献 身的な職員が信 我々が極 度の貧困に終止符を打つ世代になる事は、実現 たり、世界各地での貧困との闘いの 経 験を抽出し分析し 念を持って業務に携わったおかげ で世界銀 行グループの 可能なのです。 てきました。開発のために何が効果的で何がそうでなかっ パフォーマンスは高まり、グル ープの開 発 に関する知 識 たかを経 験 から学ぶ中で、いくつかの明らかな傾 向が浮 や専門性を世界と共 有する事が、より容 易に行われてい かび上がってきました。 ます。 「成長、投 資、保証 」という戦 略は、大きな効果を生む事 今 や世界の開 発資 金は、高所得国からだけでなく、中所 が実証されています。強力で持続可能かつ包摂的な経済 得国や低所得国からの資金も加わり、数十億ドル規模か 成長を促 進し、保健や教育の分野を中心に人に投資する ら数兆ドル規模に拡大しようとしています。そうした中、 と共に、極 度の貧困に陥る人 がないように社 会 的セーフ 新興市場や脆弱国に対する民間セクター投資を促すため ティネットを構 築し、自然 災害や感 染 症の大 流 行に対す に、世界銀 行グル ープが 一丸となって取り組む事が 極 め ジム・ヨン・キム博士 る対応策を策定していかなければなりません。 て重 要です。世界銀 行グル ープ で民 間セクターを支 援す 世界銀行グループ総裁兼理事会議長 世界各地での活動 ラテンアメリカ・カリブ海地域 2015年度、世界銀行グループは引き続き、 途上国に対して積極的な支援を提供す る事ができました。これは、より迅速な 100 成果の達成、援助受入国やパートナー 億ドル そし との関係強化、 てグローバルなソリュー ションを用いた各地域の問題解決に力を 注いだ結果です。 ヨーロッパ・中央アジア地域 100 東アジア・大洋州地域 億ドル 90 億ドル 50 億ドル 中東・北アフリカ地域 110 億ドル 600 億ドル 南アジア地域 150 加盟国の政府・民間企業に 億ドル 対する融資、贈与、 直接投資、 保証などの支援 総 額。 サブサハラ・アフリカ地域 複数の地域にまたがるプロジェクトやグロー バルなプロジェクトを含む。地域別内訳には 世界銀行の分類による。 効果 経済成長の促進 包摂性の推進 持続可能性の確保 世界銀行グループは、その強みや専門 IBRD/IDA IBRD/IDA IBRD/IDA 性、資金を駆使し、経済成長の促進、 包摂性の推進、持続可能性の確保を 4,900万 1億 2,300万 4,100万 人及び中小・零細企業に 人が保健、栄養、 特別気候変動対策により 進め、援助受入国やパートナーが大 金融サービスを提供 人口サービスを享受 CO2排出量換算で 4,100万トンの削減 きな開発効果を達成できるよう支援 しています。 27,700km 1,450万 34 の道路の建設または補修 人が社会的セーフティネット・ カ国で公共財政管理制度を強化 プログラムの恩恵を享受 IFC IFC IFC 2億3,700万 350万 195億ドル 人を電話に接続 人の学生への教育助成 IFCが支援した案件で 195億ドルの歳入が増加 250万 340万 970万 件の雇用の提供 戸の農家を支援 2015年度の IFC投資により 970万トンの温室効果ガス削減見込 MIGA MIGA MIGA 147億ドル 2,180万 400万 MIGAクライアントによる147億ドルの新規融資 人に電力アクセスを提供 人に清潔な水へのアクセスを確保 100,325 1億 4,200万 30億ドル 件の雇用創出 人が交通アクセスを確保 MIGA が支援した案件で 30 億ドルの歳入が増加 世界銀行グループの各機関 世界銀行グループによる支援 世界銀行グループは、途上国に資金や知識を提 供する世界有数の機関 年度別単位:100万ドル 世界銀行グループ 2015 2014 2013 2012 2011 であり、貧困の撲滅、繁栄の共有の促進、持続可能な開発の推進という 承認額 a 59,776 58,190 50,232 51,221 56,424 共通の目的を持つ 5つの機関で構成されています。 実行 額 b 44,582 44,398 40,570 42,390 42,028 IBRD 国際復興開発銀行(IBRD) 承認額 23,528 18,604 15,249 20,582 26,737 実行 額 19,012 18,761 16,030 19,777 21,879 中所得国及び信用力のある低所得国の政 府を対象に貸出を提 供 IDA 国際開発協会(IDA) 承認額 18,966 22,239 16,298 14,753 16,269 実行 額 12,905 13,432 11,228 11,061 10,282 最貧国の政 府を対象にクレジットと呼ばれる無利子の融資や贈与を提 供 IFC 承認額 c 10,539 9,967 11,008 9,241 7,491 国際金融公社( IFC) 実行 額 9,264 8,904 9,971 7,981 6,715 途上国の民間セクター向け投資を促進するための融資、直接投資、 MIGA アドバイザリー・サービスを提 供 総引受額 2,828 3,155 2,781 2,657 2,099 援助受入国実施信託基金 多数国間投資保証機関( MIGA) 承認額 3,914 4,225 4,897 3,988 3,828 新興国への対外直接投資( FDI)を促 進するために投資家や貸手に政治的リスク保険や信用補 実行 額 3,401 3,301 3,341 3,571 3,152 完を提 供 a. IBRD、IDA、IFC、全ての援助受入国実施信託基金(RETF)、MIGAの引受総額を含むため、信託基金による活動の一部しか反映さ れない世界銀行グループのコーポレート・スコアカードの金額と異なる。 投資紛争解決国際センター( ICSID) b. IBRD、IDA、IFC、RETFの支援実行額を含む。 c. IFC自己勘定の長期コミットメント。短期融資や他の投資家を通じて動員した資金を除く。 国際投資紛争の調停と仲裁を行う場を提 供 必要不可欠 読み:ひつようふかけつ IFC年次報告 2015 1 IFC について IFCは、その歴史を通じて、常に困難な 課題に取り組んできました。そこから 学んだ教訓は、民間セクターが成長と 貧困削減にいっそう貢献するための針路を 定めるのに役立つと確信しているから です。 世 界銀行グループの一員であるIFC は、途上国の民間セクターに特化し た世界最大規模の国際開発機関です。 1956 年に設立された IFC は加盟国184カ国によって保有され、その方針は、 これら加盟国によって集合的に決定されます。 世界100 カ国に事務所を設け、多数の金融機関と2,000 社以上の民間企業 顧客ネットワークを有するIFC は、機会をぜひとも必要としている場所でそ れを創出できる独自な位置づけにあります。 さらに極度の貧困撲滅と繁栄の共有促進を支援するために、資金、専門知識、 そして影響力を行使しています。 2 IFC年次報告 2015 リーダーの視点 ジン ・ヨン・ツァイ(蔡 金勇) IFC長官兼最高経営責任者 (CEO) からのメ ッセージ 途 上国が抱えるニーズは膨大です。 しかし、過去 20 年間の経 験によると、官民両セクターが しっかりと手を結べば、目覚ましい成果を達成できることが分かっ ています。1990 年以来、極度の貧困にあえぐ人々の数は半数以下 官民両セクターは各々に課された に削減され、途 上国における中流 労働 者階級は 3 倍 近くに増大 しました。 役割を全うすることが重要です。 そして今、国際社会は、途上国の進展と繁栄を阻んでいる一連の 「持続可能な開発目標 課題に取り組むため、 (SDGs)」という野心 的なイニシアティブを立ち上げました。今後15 年間にこの目標を達 成するには、年間数兆ドルの資金を要する上、市場 経済の威力も 世界各地で解き放つ必要があります。市場経済は、公正かつ透明 であり包摂的であれば、最も大きな効果を発揮します。この取組 IFC年次報告 2015 3 み にお いて、官民 両セクターは 各 々に課され 以上に水を、そして 3,50 0 万人にガスを供給し 私は、途上国の多数の人々の生活向上に取り組 た役割を全うすることが重要です。 ました。 む職員の献身的努力を誇りに思います。困難な 開発課題に取り組むにあたり、持続可能な開発 I F C は 、民 間 セクター が 持 続 可 能 な 開 発 に しかも、この全てを、混乱する市場情勢、一次産 目標の達成に要する資金の調達など、なすべき とって 不 可 欠 な存 在 で あ ると確 信 すると同 品価格の低迷、一部地域における政情不安が ことは山積されています。それでも、過去の績 時に、喫 緊 の 開 発 課 題 に 取り組 む上で ぜ ひ 続く中で達成したのです。本年度中、IFC は、 を踏まえると、IFC は今後、こうした難しい課題 必 要 な 官 民 パートナ ー シップの 組 成 方 法 も 大きな可能 性を秘 めた開 発プロジェクトを数 に挑戦する上で良好な位置づけにあると確信 熟 知しています。2015 年度の途 上国向け IFC 件立ち上げました。例えば、コロンビアでは、 しています。 長期投融資は、前年度を17%上回る177億ドル 24 0 億ドルの意 欲的な道 路近代化プロジェク トを支 援しました 。インド で は 、ルピー 建 て に達しました。うち3 分の1以上( 70 億ドル強) オフショア債券プログラムを導入して、同国の は、IFCプロジェクトに参加している他の投資家 資本市場の深化に触媒的な役割を果たしまし から動員したものです。これは、過去 60 年間に た。この成 功 により、インドの 中 央 銀 行 は 、 健全な投資収益と強固な開発成果を達成してき ジン・ヨン・ツァイ 国内企業に対しても、同様の債券のオフショア たIFCの実績があるからにほかなりません。 市場での発行を許可することを考慮中です。 IFC長官兼最高経営責任者( CEO) IFC業務は、最も困難な市場をはじめ、100カ国 さらに、中米では、域 内最 大の風 力発電 所 の 以 上の 途 上 国 で 機 会 創 出に 拍 車をか けてき 建設を助けるため3億ドルの融資パッケージを提供 ました 。世界 銀 行 の 国 際 開 発 協 会( I DA )の しました。 融 資 適 格 国である最 貧 困 国 向けの 長 期 投 IFC は、アドバイザリー業務でも、顧客のため 融 資は、プロジェクト全 体の 3 分 の 1 以 上にあ に堅 実な成 果を上げ 続けています。IFC 業 務 たる合 計 47 億ドル 近くに達しました 。また、 に満足していると答えたアドバイザリー顧客の プロジェクトの約10%(総額 6 億ドル以上)は、 割 合 は 9 0 %を 超 えています。この業 務 の 3 分 世界の脆弱・紛争地域に向けられました。 の 2 近くは最貧困国を対 象としたもので、うち その 過 程で、IF C は、人々の 生 活 向 上と持 続 脆弱・紛争地域は 20 %に上りました。 可能な成長促進に力を注ぐ顧客を支援してきま 発 展 の 軌 道 に 乗 る I F C アセット・マネジメン した。IFC顧客は、250万人の雇用、350万人の生 ト社は、運用資産総額を85 億ドルに、また投資 徒・学生の教育、170万人以上の患者の治療に携 ファンド数を 9 件に拡大したほか、IFCプロジェ わったほか、5,600万人近くに電力を、2,300万人 クト向けとして7億6,100万ドルを動員しました。 4 IFC年次報告2015 必 要不可欠な要素:民間セクターが開発にとって重要な理由 過去 20年間に、世界では、7億人以上が極度の 貧困から脱出し、 何百万もの雇用が生み出され るなど、 経済が驚異的に発展しました。しかし、 2008 年 の世界金 融 危 機 以 来、その ペースが 落ち、世界経済はいまだに以前のモメンタムを取 り戻すのに苦闘しています。 IFC年次報告 2015 5 1 日1.25ドル 未満で暮らす人々は今もなお 10 億 人を超えていま す。2030 年までに極 度の貧困を撲滅し、 を築くには、 持続的な繁栄の基盤 経 済成長をさらに加速化することが必 要です。こうし た成長は、気候変動、紛争、不安定な情勢、高感染率の感染症流行 など、数々の困難な課題に直面する中で、逆境を跳ね返す強靭なも のでなければなりません。 また、これらの課 題は、力強い民間セクターの関わりなしに取り組 むことは不 可能です。途 上国は、電 力、輸 送、保 健 医 療セクターへ の投資だけで、年間最高 2 兆ドルを必要としています。 民間セクターへの支援に特化した世界最大の開発機関であるIFCは、 最も困難な場所で機会を創出するために多額の民間資本を動員する 民間セクターの発展から得られた 方法を心得ています。過去 60 年にわたり、IFC は、加盟国からの出 恩恵を、最も必要としている人々に 資金約 26 億ドルを巧みに活用して、合計約 2,240 億ドルもの多額の 資金を民間セクター開発に注いできました。 浸透させるには、特別な注力が必要と しかし、民間セクターの発展から得られた恩恵を、最も必 要として なります。 いる人々に浸透させるには、特別な注力が必要となります。ここでも、 IFC は、貧困層への機会拡大を目指す投融資の提 供、環境・社会・ ガバナンスの基準改善に向けた企業支援、そして万人のための繁栄を 促進する投資環境システムの構築など、重要な役割を演じています。 これは非常に困難な作業です。そのためには、難しい判断と歩み寄 りが求められます。それでも、IFC は、その歴史を通じて、常に困難 な課 題 に 取り組 んで きました 。そこから学んだ 教 訓 は、民 間 セク ターが成長と貧困削減にいっそう貢献するための針路を定めるの に役立つと確信しているからです。 6 IFC年次報告 2015 途上国は、 電力、 輸送、 保健医療 セクター へ の 投 資 だけで、年間 最高2兆ドルを必要としています。 これほど大きな課 題に取り組む には官民両セクターが手を結び 協力しなければなりません。 IFC年次報告 2015 7 ここを開くと、 その規模が 分かります。 過 去 60 年にわたり、IFC は、加盟国からの出 資金約 26 億ドルを巧みに活用して、合計約 2,240 億ドルもの多 額の資 金を民 間セクター開 発に注いできました。しかし、それだけでは不十 分です。 2兆 ド ドル 26億ドル 1 956年以降、IFC加盟国 から受けた出資金 2,240 億ドル* 1 956年以来、IFCが 民間セクター開発の ために調達した金額 *インフレ未調整 2,500 億ドル 機 教育のために必要な年間追加資金 読み: IFC年次報告 2015 13 必 要不可欠な要素:機会 IFCの優先課題は、機会を最も 必要とする場所で機会を創出する ことです。それには、最貧困国や 会 脆弱国に住む最も弱い立場に ある人々が対象となります。 途 上国に住む 15 億 人の人々にとって、不安定で低賃金の仕事 は当たり前となっています。ですから、雇用創出を加速化し、 女性のための機会を拡大し、保健医療や教育サービスの近代化を きかい 図ることは非常に重要です。 【名詞】機会 何かを実現にするための時機、しおどき、チャンス。 例文:「良いビジネス機会を見出す。」 14 IFC年次報告 2015 必 要不可欠な要素:資本 IFCは、万人のための繁栄を促進する 形で民間資本を開発に活用しようとして います。そして、これを実現するために、 資 企業によるリスク緩 和、 環境・社会・ ガバナンスの基準向上を助けています 。 民 間資本の動員に際しては、投資リターンを追及する民間セクターの ニーズと、手ごろな価格のサービスを求める社会的要求との間で、 適度なバランスをとることが求められます。 【名詞】 資産 資本 個人または組織が所有する資産、 (元手)。例文: あるいは、起業や 投資など特定の目的のために用意または投入する 「投下資本の利益率が高い。」 読み: 最高 6,900 億ドル 本 電力供給のために必要な年間追加資金 : しほん 最高 4,700 億ドル 輸送セクターに必要な年間追加資金 成 読み:せ IFC年次報告 2015 17 必 要不可欠な要素:成長 IFCは、企業に対し、持続可能な成長を妨 げる障害を乗り越えるための支援を行っ ています。その際、インフラの整備や、 長 中小企業の強化に加え、 人々が成功に 必要な資金を入手し易くすることに力を 注いでいます。 1 日1.25ドル未満の生活を送る人は10 億人近くいます。ですから、2030 年までに極度の貧困を いちょう 撲滅し、繁栄の共有促進を図るには、経済成長と雇用創出の加速化が肝要となります。 【名詞】成長 経済、生物、 物事が発達し大きくなること。例文: 「政府は経済成長の回復を目指している。 」 18 IFC年次報告 2015 必 要不可欠な要素:インパクト IFCは、機 会を創出し、包 摂的な成長 を促進し、インパクトを高めるために、 民 間セクター の能 力を 最 大化できる イン 独創的な方法を追及しています。 民 間セクターは、経済繁栄に不可欠なイノベーションを促します。 雇用の 90 %を生み、人々の生活向上に要する財・サービスの 大半を提供しているのも民間セクターにほかなりません。 【名詞】 人、物、 インパクト または行 動が 他に与える効 果ある いは影響。 例文:「地域のイニシアティブが 雇用に大きなインパクトを与えた。 」 読み: 最高 2,400 億ドル 通信の普及に必要な年間追加資金 パクト いんぱくと 20 IFC年次報告 2015 運営チーム IFCの経験豊かな運営チームは、開発 成果の最大化と顧客ニーズへの対応に 重点を置くことにより、IFC資源の効果 的な展開に万全を期しています。 さ らに、開発分野における長年の経験、幅広い知識、固有な James Scriven、コーポレートリスク・持続可能性担当副総裁 文化的視点など、IFCの独自性を高める特徴の恩恵も受けて います。運営チームはまた、IFCの戦略や方針も形成します。それら は、途上国の人々の生活向上を助けるための礎となっています。 Jean Philippe Prosper、グローバル・クライアント・サービス 担当副総裁 IFC年次報告 2015 21 Gavin Wilson、IFCアセット・マネジメント社最高経営責任者(CEO) Ethiopis Tafara、コーポレートリスク・持続可能性担当副総裁兼法務顧問 Nena Stoiljkovic、グローバル・パートナーシップ担当副総裁兼 世界銀行グループ・グローバル・ プラクティス部門副総裁 Anshul Krishan、チーフ・オブ・スタッフ Dimitris Tsitsiragos 、グローバル・クライアント・サービス担当副総裁 Jingdong Hua、副総裁兼トレジャラー Karin Finkelston、グローバル・パートナーシップ担当副総裁 ジン・ヨン・ツァイ、IFC長官兼最高経営責任者(CEO) 22 IFC年次報告2015 1年を振り返って IFCの2015年度の投融資額は、他の投資家 から動員した 70 億ドル余りを含め、総計 180億ドル近くに達しました。IFCの包括的 なアプローチは、企業が創造性を発揮し、 国際的競争力のある産業セクターを構築し、 良い仕事を生み出すことに貢献しました。 IFC年次報告 2015 23 財務結果の要約 2015 2014 2013 2012 2011 各年 6 月30 日に終了した年度 *(百万ドル) IFC に帰すべき純利益(損 失) $ 445 $ 1,483 $ 1,018 $ 1,328 $ 1,579 IDA 拠出金 $ 340 $ 251 $ 340 $ 330 $ 600 IDA 拠出金控除前利益 $ 749 $ 1,739 $ 1,350 $ 1,658 $ 2,179 資産合計 $87,548 $84,130 $ 77,525 $ 75,761 $ 68,490 貸出金、持 分投資、および負債証券投資(純額 ) $ 37,578 $ 38,176 $34,677 $ 31,438 $ 29,934 持 分投資(推定公正価 値) $14,834 $14,890 $13,309 $ 11,977 $ 13,126 主要比率 平均資産利益率(GA AP ベース) 0.5% 1.8% 1.3% 1.8% 2.4% 平均資本 利益率(GA AP ベース) 1.8% 6.4% 4.8% 6.5% 8.2% 翌 3 年間の予測正味現金需要に対する現金および短期投資の比率 81% 78% 77% 77% 83% 負債 比率 2.6:1 2.7:1 2.6:1 2.7:1 2.6:1 必要資源合計(十億ドル) $ 19.2 $ 18.0 $ 16.8 $ 15.5 $ 14.4 利用可能資源合計(十億ドル) $ 22.6 $ 21.6 $ 20.5 $ 19.2 $ 17.9 実行済み貸出金ポートフォリオ合計に対する貸倒引当金の比率 7.5% 6.9% 7.2% 6.6% 6.6% * 上記数値の詳しい算出方法については、運営陣による所見および分析(4 ページ)と連結財務諸表をご覧ください。ht tp://w w w.ifc.org/FinancialRepor ting 業務結果の要約 2015 2014 2013 2012 2011 各年 6 月30 日に終了した年度(百万ドル) 長期投融資承認額 プロジェクト数 406 364 388 365 324 対象国数 83 73 77 78 82 IFC 自己勘定分 $10,539 $ 9,967 $11,008 $ 9,241 $ 7,491 中心的な資金動員* 協調融資 1 $ 4,194 $ 3,093 $ 3,098 $ 2,691 $ 4,680 ストラクチャード・ファイナンス – – – – – IFCイニシアティブ、その他 $ 1,631 $ 1,106 $ 1,696 $ 1,727 $ 1,340 アセット・マネジメント社 ( AMC )ファンド $ 761 $ 831 $ 768 $ 437 $ 454 官民パートナーシップ ( PPP)2 $ 548 $ 113 $ 942 $ 41 – 中心的な資金動員合計 $ 7,133 $ 5,142 $ 6,504 $ 4,896 $ 6,474 投融資実行 IFC 自己勘定分 $ 9,264 $ 8,904 $ 9,971 $ 7,981 $ 6,715 協調融資 3 $ 2,811 $ 2,190 $ 2,142 $ 2,587 $ 2,029 承認済みポートフォリオ 企業数 2,033 2,011 1,948 1,825 1,737 IFC 自己勘定分 $50,402 $51,735 $ 49,617 $45,279 $ 42,828 協調融資 4 $15,330 $15,258 $ 13,633 $ 11,166 $ 12,387 短期投融資 平均残高 $ 2,837 $ 3,019 $ 2,739 $ 2,529 $ 1,881 アドバイザリー・サービス アドバイザリー・サービス・プログラム支出 $ 202.1 $ 234.0 $ 231.9 $ 197.0 $ 181.7 IDA 融資適格国向けプログラムの割合 5 65% 66% 65% 65% 64% 注:IFC は、 当期年度から、 投融資額に関する報告慣行を変更した。 商業銀行のアプローチとの整合性を図るため、 当期年度より、短期投融資と長期投融資を別途に計上し、短期投融資につ いては各年の平均残高を使 用した。本表には、 この新規の報告方針の下で算出された 5 年間のデータが掲載されている。 * IFC が資金調達に直接関与した結果、 IFC 以外の主体から、顧客が利用できる資金として供与された投融資を指す。 1. B ローン、パラレルローン、 MCPP ローン、A ローンの参加権売却 ( ALPS)を含む。 2. 中央政府や地方政府などの政府主体に対し、 IFCが、マンデート下で主幹アドバイザーを務めたことにより、 第三者から官民パートナーシッ プロジェクトに供与された投融資を指す。 プ・ 3. B ローン、代 理型パラレルローン、 MCPP ローンを含む。 4. B ローン、A ローン参加権売却 ( ALPS)、代 理型パラレルローン、 無財源のリスク参加 (URPs )および MCPP ローンを含む。 5. 本書中で参照される、 IDA 融資適格国および脆弱・紛争地 域向けアドバイザリー・プログラム支出の割合(%) には、いずれもグローバル・プロジェクトは含まれない。 24 IFC年次報告 2015 IFC が世界に与えた影 響 IFC業務は、最も困難な市場を ラテンアメリカ・カリブ海地域 中心に、 途上国100カ国で 51 億ドル 機会創出に拍車をかけること に貢献してきました。 長 期投融 資の 3 分の1以 上(合計 47億ドル)は、世界の最貧困 国を対象としたものです。また、プロジェクトの約 10 %(合計 6 億ドル余り)は、世界の脆弱・紛争地域に向けられました。 IFC年次報告 2015 25 ヨーロッパ・中央アジア地域 22 東アジア・太平洋地域 億ドル 33 億ドル 13 億ドル 19 177* 中東・北アフリカ地域 億ドル 南アジア地域 37 億ドル 億ドル サブサハラ・アフリカ地域 長 期 投 融 資の承 認額 。これ には他の投資家から動員した 70 億ドル以上が含まれる。 *グローバル・プロジェクトを含む 26 IFC年次報告 2015 IFC が世界に与えた影 響 環境・社会カテゴリ別にみた 2015 年度の長期投融資承認額 2015 年度の承認済みポートフォリオ 2015 年度の長期投融資承認額 2015 年 6 月30 日現在の IFC 自己勘定分(百万ドル) 2015 年 6 月30 日現在の IFC 自己勘定分(百万ドル) カテゴリ 承認額 プロジェ 合計 $10,539 (100.0%) 合計 $50,402 (10 0%) (百万ドル ) クト数 A $ 1,508 25 産業別 産業別 金融市場 $4,697 (44.6%) 金融市場 $16,046 (32%) B $ 3,244 157 インフラ $2,056 (19.5%) インフラ $9,919 (20%) C $ 215 57 アグリビジネス・林業 $1,375 (13.1%) 製造 $5,429 (11%) IF* $ 256 15 消費者・社会サービス $748 (7.1%) 消費者・社会サービス $4,289 (8%) IF-1 $ 1,311 17 石油・ガス・鉱 業 $515 (4.9%) ファンド $4,163 (8%) IF-2 $ 2,937 100 ファンド $507 (4.8%) アグリビジネス・林業 $3,401 (7%) IF-3 $ 1,067 35 製造 $365 (3.5%) 石油・ガス・鉱 業 $2,640 (5%) 合計 $10,539 406 $275 (2.6%) $2,665 (5%) 通信・情報技術 貿易金融 * FI カテゴリは、 旧プロジェクトに関連した 新規 承認額に適用される。 カテゴリの 地域別 通信・情報技術 $1,849 (4%) 定義についてはウェブサイト (www.ifc.org/ ラテンアメリカ・カリブ海 $2,379 (22.57%) 地域別 escategories)をご覧ください。 東アジア・大洋州 $2,288 (21.71%) ラテンアメリカ・カリブ海 $11,198 (22%) サブサハラ・アフリカ $1,831 (17.38%) ヨーロッパ・中央アジア $8,947 (18%) ポートフォリオ残高上位国 1 ヨーロッパ・中央アジア $1,534 (14.55%) サブサハラ・アフリカ $8,681 (17%) 南アジア $1,402 (13.30%) 東アジア・大洋州 $8,398 (17%) 20 015 年 6 月30 日現在 中東・北アフリカ $893 (8.47%) 南アジア $6,053 (12%) (IFC 自己勘定分) グローバル $212 (2.01%) 中東・北アフリカ $5,923 (12%) 国名 承認済み 世界合計 (世界 残高 に占める グローバル・プロジェクトとして正式に分 類された投融資の地 域シェアを含む場合がある。 グローバル $1,203 (2%) 順位) (百万ドル) 割合( %) グローバル・プロジェクトとして正式に分 類された投融資の地 域シェアを含む。 商品別 インド ( 1) $ 4,809 9.54% 融資 1 $7,019 (66.60%) 中国 ( 2 ) $ 3,608 7.16% 持 分投資 2 $3,187 (30.24%) トルコ ( 3 ) $ 3,174 6.30% 保証 $273 (2.59%) ブラジル ( 4) $ 2,519 5.00% リスク管理商品 $60 (0.57%) ナイジェリア ( 5) $ 1,621 3.22% 1. 融資タイプの準借入商品を含む。 インドネシア ( 6) $ 1,437 2.85% 2. 持分タイプの準株式商品を含む。 メキシコ ( 7 ) $ 1,383 2.74% ロシア連邦 ( 8 ) $ 1,188 2.36% パキスタン ( 9 ) $ 1,176 2.33% コロンビア ( 10) $ 1,026 2.03% 1. 地 域プロジェクトやグローバル・プロジェクト に含まれる国別シェアは除外。 IFC年次報告 2015 27 2015 年度の投融資サービスの産業別 DOTS スコア 2015 年度のアドバイザリー・サービス・プログラムの支出 百万ドル IFC 全体 820 ($30,973) 63% ファンド 100 ($1,591) 74% 合計 $202.1 (100%) 金融市場 243 ($11,481) 74% 地域別 アグリビジネス・林業 94 ($2,354) 62% インフラ 135 ($6,432) 61% サブサハラ・アフリカ $53.6 (26.5%) 石油・ガス・鉱 業 33 ($2,067) 55% 東アジア・大洋州 $38.5 (19.0%) 製造 89 ($3,921) 53% ヨーロッパ・中央アジア $33.7 (16.7%) 消費者・社会サービス 89 ($2,032) 52% 南アジア $22.9 (11.3%) 通信・情報技術 37 ($1,094) 41% ラテンアメリカ・カリブ海 $21.8 (10.8%) 中東・北アフリカ $20.5 (10.1%) バーグラフ左側の数値は、 評価を受けた企業数の合計を、 また括弧内の数値は、これら企業向けプロジェ グローバル $11.1 (5.5%) クトの 2015 年度末の IFC 投融資の合計(百万ドル)を示す。 業務分野別 金融セクター $64.0 (31.7%) 2015 年度の投融資サービスの地域別 DOTS スコア $50.5 (25.0%) 投資環境の整 備 820 ($30,973) 63% 官民パートナーシップ $30.9 (15.3%) IFC 全体 110 ($4,341) 65% 産業横断的分野 $27.8 (13.8%) 東アジア・大洋州 179 ($6,479) 65% 省エネ・資源の効率的利用 $16.9 (8.4%) ラテンアメリカ・カリブ海 91 ($3,924) 64% アグリビジネス $11.9 (5.9%) 中東・北アフリカ サブサハラ・アフリカ 149 ($3,962) 63% 南アジア 116 ($4,374) 61% 加重後および加重前の投融資サービスの DOTS スコア ヨーロッパ・中央アジア 160 ($7,400) 61% バーグラフ左側の数値は、 評価を受けた企業数の合計を、 また括弧内の数値は、これら企業向けプロジェ 2015 年度 820 63% クトの 2015 年度末の IFC 投融資の合計(百万ドル)を示す。 $30,973 72% 2014 年度 833 64% $30,042 73% 2013 年度 716 66% $29,674 73% Unweighted 加重前 加重後Weighted バーグラフの左側の加重前の数値は評価を受けた企業数の合計を、 同じくバーグラフの左側の加重後の数値はこれら企業向けプロジェク トへの IFC 投融資の合計(百万ドル)を示す。 28 IFC年次報告2015 民間セクターの威力の活用 民間セクターは、持続可能な開発に欠かせ ない戦力です。それは、イノベーションを 促進し、生産性と経済効率を改善する上、 極度の貧困撲滅と繁栄の共有促進に 不可欠な雇用と成長を生み出します。IFCは、 現代の喫緊の重要課題との取組みにおいて、 民間セクターの威力を活用できる理想的な 位置づけにあります。 IFC年次報告 2015 29 30 成長の加速化 I FC は、インフラ整 備、 と雇用創出を図るために、 民間資本の動員、 中小企業の機会拡大に重点を置いて、 技 術への投 資促 進、 持続可能な成長の促 進 民間セクターの顧客やパートナーと協力 しています。 40 強靭性の構築 持 続可能な開発は、経済成長だけに依存しているわけではあ りません。途 上国は、食 糧安 全 保 障、気候 変 動、都市への 移住など、様々な難しい問題に対して脆弱な立場にあります。IFCは、 持続的な繁栄を蝕む最大の脅威を食い止めるべく、企業や政府と 協力しています。 48 生活向上 I FC は、企業による雇用創出、教育や医療の拡大、 的エンパワメント促 進を支援することで、 ら脱出させることに力を注いでいます。その業務は、 女性の経済 貧しい人々を貧困か 貧困が最も根を 張っており、IFC支援が最も効果を上げるところに集中しています。 30 IFC年次報告 2015 成長の加速化:インフラ IFC は、インフラ開発に包括的なアプローチで臨んでいます。例えば、コロン ビアでは、240 億ドルの意欲的な道路近代化プロジェクトに関し、IFCのPPP 強固な開発基盤の 担当チームが政府に助言を行っています。加えて、同国の公的開発機関であ るFinanciera de Desarrollo Nacionalによるインフラ・プロジェクト向け資 構築 金動員を後押しするため、7,000万ドルの投融資を行うことに合意しました。 また、多 数の国 民 がいまだに電 力にアクセスで きないパキスタンで は、 一 連 の民 間 水 力・太 陽 光・風 力 発 電 所を支 援するため 、中国のChina Three Gorges South Asia に1億 2,50 0 万ドルの投融資を行いました。 途 上国は、インフラ整備のために年間約 1兆ドルを費やしていますが、 これらの発電所が稼働し始めると、1,100万人以上の人々に電力を供給し、 これは必要額の半分以下に過ぎません。 同国の発電容量を15%増大できる見込みです。 その結果、電気のない生活を送る人は10 億人を超えます。非衛生な水に依 全家庭の3分の1しか電力にアクセスできないミャンマーでは、世界銀行の国 存する人は7億 5,000万人以上もいます。近代的な輸送手段の恩恵を享受し 際開発協会(IDA)とIFCが、約750メガワットのガス火力発電所の建設という ていない人は 10 億 人を超えています。こうした問題は、生産性低下や経済 民間セクター開発を共同で支援しています。さらに同国のヤンゴンとマンダ 成長の減速を招くだけでなく、貧困脱出のための重要な手がかりも制約し レーでは、送配電損失率の改善のため電力会社と協力しています。 ます。 一方、8万 3,000メガワットもの水力発電能力の1%未満しか利用していない ネパールでは、電力の普及に努めています。そのため、インドの GMRグルー 政府だけでは、インフラ資金の不足を賄いきれません。IFC が、インフラ・ プと協力して、ネパールのカルナリ川上部水力発電所( 90 0メガワット)の プロジェクト向け投融資と官民パートナーシップ(PPP)に関する政府への 建設と 2 件の送電プロジェクトに取り組んでいます。これにより、発電量の 助言で主導的な役割を担っている理由もそこにあります。2015 年度のイン 12 %がネパールに無料で供給される予定です。 フラ・プロジェクト向け IFC 長 期 投 融 資は、他の投 資家から動員した資金 を含め、総計39 億ドルに達しました。一方、IFC の助言業務は、公共インフ 人口の 25 %が電気のない生活を送るケニアでは、送配電 網の拡 大を図る ラ向け民間投資として57億ドルを誘引したほか、それにより、輸送、電力、 ため、公的配電機関であるKenya Power & Lighting Company に対し 水などの 基 本 的サービスにアクセスできる人は 1, 6 0 0 万人に達 する見 通 5,0 0 0 万ドルの 投 融 資を行いました。また 運営 効 率の改善方法に関する しです。 助言も同社に行いました。 IFC年次報告 2015 31 政府だけでは、インフラ資金の不 足を賄いきれません。IFCがイン フラ・プロジェクト向け投融資と 官民パートナーシップ( PPP)に 関する政府への助言で主導的な 役 割を担っている理由もそこに あります。 さらなる支援が必要な理由 10 億人 電気のない生活を送る人の数 32 IFC年次報告 2015 成長の加速化:金融へのアクセス 繁栄のための 新路を切り開く イ ンドのコルタカ市に住むビシャカ・バイラギは、手 製 の民 族 衣装サ リーを売る商 売を夢見ていましたが、月収は 7ドルにも満たない状 態でした。 「とにかく扱いがひど 金融機関にも不信を抱いていた彼女は、 くて」と苦情を漏らします。 ですが、IFC 顧客であるBandhan Financial Servicesから、商売の元手と して66ドルを借り入れることができました。今日、彼女は 25人の従 業員を 雇い、月収400ドルを稼いでいます。この収入なら、快適な家に住み、息子を 大学に通わせることができます。 世界には、基本的な金融サービスすら受けられない成人が25 億人もいます。 新興国では、限定的にしか金融サービスや信用にアクセスできない零細・ 中小企業( MSMEs)が 2 億社近くも存在します。 デビットカード、電子マネー口座、簡易銀 行口座などの基 本的な金融サー ビスは、人々を貧困から脱出させ、経済成長の加速化を図るための、ごく一 般的なツールです。こうした口座の開設は、銀 行サービスを受けるための 早道であり、収入増加、家計費立案、将来に備えた貯蓄、経済リスク管理の 向上などに役立ちます。 アフリカでの IFC 助言業務の おかげで、セネガルで小企業を 営むニムナ・ディアイトは設備リースを 受けることができました。 IFC年次報告 2015 33 さらなる支援が必要な理由 IFC は、2020 年までに全ての成人に金融アクセスを提供するという世界銀 行グループの主要目標の達成に重要な役割を担っています。途上国100カ国 25 以上の約 80 0 に及ぶ金融機関網と協力して、IFC をはじめとする世界銀行 グループの各機 関は現在、銀 行口座を持たない人々を対 象に、2020 年ま でに銀行口座 6 億件の開設を支援しようとしています。 最 近、IFC は、クレジットカード会社のマスターカードと共に、新興国の数 億人 百万人の人々の、電子決済へのアクセス拡充を図るため、 のファシリティを立ち上げました。 2 億 5,0 0 0 万ドル このマスターカード社との協力により、 途 上国の銀 行は、現 金取引よりも安 全で 効率的なデビットカードや、クレ ジットカード、プリペイドカード、E カードを、より多くの人々と小企業に提供 基本的な金融サービスを できるようになります。 受けられない成人の数 IFC はまた、信用情報へのアクセス改善、リスク管理に関するベストプラク ティスの促 進、環境・社会基準向上に向けた金融機関支援を行うことで、 効果的かつ持続可能な信用フローを妨げている障害の除去に取り組んで います。 IFC 顧客から 66ドルを借りて、 ラテンアメリカでは、借入人が、ローンの保証として、土地などの従来型担保 ビシャカ・バイラギは、 手製のサリーを 物件に代わり、動産を担保とすることができるよう、域内の担保登記制度の 売る商売を立ち上げました。 近代化を助けています。その結果、より多くの企業が借入を受け、事業拡大を 行えるようになります。IFC は、ベリーズ、セントルシア、ドミニカ共和国、 銀 行口座などの基 本的な金融 トリニダード・トバゴでこうした登記制度の確立に取り組んでいます。 サ ービス は 、人々を 貧 困 から 脱出させ、経済成長の加速化を 図るために不可欠です。 34 IFC年次報告 2015 成長の加速化:中小企業( SMEs) 現地の起業活動の促進 7 年前にコロンビアのメデジン市で小さな紡織業を始めたソーニャ・ リアスは、高利の 借 金の返済に追われ、 どほとんどありませんでした。 ア 事業に再投 資できる余裕な 「棍 棒でたたか ローンを返 済するときは、 れる思いでした」と、彼女は振り返ります。 それが今、あまり知られていない金融ツールのおかげで、従 来 型借入に適 した担保物件をもたないアリアスのような小起 業家に大きなインパクトを 与えています。ラテンアメリカでは、小企業がビジネスの大半を占めていま す。コロンビアでは、新しい担保登記制度が導入され、借入の担保として、 ミシンのような小型の動産も利用できるようになったのです。 その成果は目覚ましいものでした。2014 年にこの制度が導入されて以来、 数千人の事業所有者が、数百万件を超える担保物件(資産価値にして930億ドル 以 上)を登録しました。こうした貸付機関には、同国有数の大手銀 行も含 まれています。 現地の起 業活動は、新興国経済の原動力となっています。零細・中小企業 ( MSME s )は、世界 中の 企 業 の 約 9 0 %を、また世界全 体 の雇 用の 5 0 % 以上を占めています。それでいて、女性が所有する企業など、これら企業が アクセスできる資金はしばしば高利の借入に限られています。 IFC 顧客からの借入で、サイエダ・ バユミは、 エジプトのピラミッド遺跡で 土産屋を拡張することができました。 IFC年次報告 2015 35 IFC は、こうした企業を強化することこそ、極 度の貧困を撲滅し、 繁栄の共有を促進するカギになると確信しています。 る小規模企業向けの投融資と助言は、 IFC が提供す 80 カ国以上を対象に、投資 IFCは、こうした企業を強化す 環境整 備改革、経営管理スキルの強化 、金融や市場へのアクセス ることこそ、極度の貧困を撲滅 拡 充など、事業開拓のあらゆる段階で重点的に対応しています。 IFC は、中小企業向け金融を世界規 模で動員する上でも重要な役 し、繁栄の共有を促進するカギ 割を果たしており、現在、この分野における主要20カ国・地域グルー プ(G20 )の技術顧問となっています。 になると確信しています。 2014 年には、世界各地でMSME向け貸付に力を注ぐ金融機関と協働 しました。これらの金融機関による零細・中小企業向け貸付の残高 は2,700 億ドル近くに達します。IFCの「グローバルSMEバンキング」 プログラムでは、世界 40カ国以上で、70 件を超えるプロジェクトにつ いての助言を提供しています。これらのプロジェクトの約3分の2 は最 貧困国を対象とし、うち紛争地域が15%を占めました。 さらなる支援が必要な理由 ヨルダンでは、特に女性の小企業所有者を助ける新たな銀行モデルを 90 % 立ち上げた Bank Al Etihad を支援しました。このプログラムは、 17億ドル余りの小企業向け貸付を可能にする大型イニシアティブの一 部となっており、12 万人近い雇用を助けました。 ペルーでは、小企業はなかなか融資を受けることができません。この問 題に取り組むため、IFCは、HMC Capital High Yield Peru Fundに 対し、1,500万ドルの投資を行うことに同意しました。このファンドは、 世界全体の企業に占める 中小企業が発行する債券だけに投資する同国初の信託基金です。 零細・中小企業の割合 36 IFC年次報告 2015 成長の加速化:クロスボーダー型投資 その一つは、IFC アセット・マネジメント社( AMC )です。同社は、開発資 金 の 拡 大で 斬 新な手 法をこらしており、投 資 家 は、途 上 国 における IF C 開発のための資金動員 の豊 かな投 資経 験の恩 恵を受けることができます。AMC は、 設 立されて以来、合計 9 件の投 資ファンドを立ち上げ、 20 0 9 年に 運 用資 産総 額は約 85 億ドルに上ります。 二つ目は、国 際開 発 銀 行の中では最古かつ最 大の 規 模を誇る、IFC の協 途 上国が抱えるニーズは膨大です。途上国は、2030 年までに、電力関 調 融 資プログラムです。このプログラムの下で、175 以 上の 金融機 関が、 連の投 資として年間最高 9,50 0 億ドル、輸送関連の投 資として年間 IFC と共同で途上国のプロジェクトに投資しています。2015 年度末現在、 最高 7,700 億ドル、そして病院などの保健医療に関連したインフラの構築・ IFC の協調融資ポートフォリオは 153 億ドルを超えました。 近代化に年間約 2,10 0 億ドルを必要としています。 共同投 資家の幅を広げるため、IFC は、20 09 年に、IFC プロジェクトに参 公的資金が不足する時代にあって、これらの金額は政府が賄える範囲をは 加する開発機関への指針として「基本協力協定」を策定しました。2015 年度 るかに超えています。これを克服するには、民間セクターをはじめ、開発に利 末の時点で、この協定に署名した機関は 28 に上ります。これらの機関は、 用可能なあらゆる資金を結集できるパートナーシップの形成が不可欠です。 20 09 年以来、IFC 顧客に合計34 億ドルを提 供しました。 IFC はこのパートナーシップの形成で重要な役割を果たしています。 途上国から他の途上国への資金フロー(南・南投資)を奨励することは、 銀行、国際金融機関、政府系ファンド、年金基金など、他の投資家から資金を IFC 業 務 の重 要な一 環となっています。2 015 年 度、IFC が 促 進した南・ 動員することは、IFC 戦略の重要素となっています。そのおかげで、結集でき 南投 資は 20 億ドル 近くに達します。例えば、ヨルダンの物 流会社 Nafith る資金プールの拡大が可能になります。また、共同投資家にとっては、IFCが Internationalに行った500万ドルの投融資は、イラクの 4つの港湾での貨物 関与しているため、リスク・リターンのバランスを適切にとることができます。 トラックの動きを合理化するのに役立っています。 一方、途上国の事業者に対しては、円滑な知識の移転が確約されます。 中国政 府から 30 億ドルの拠出誓 約を受けた IFC の「協調融資運 用ポート 2015 年度、IFC が途 上国向け投 融 資として動員した資金は、長期投融資 フォリオ・プログラム( MCPP)」は目下、新規プロジェクトの特定にあたっ 全体の 40 %にあたる、総額 71億ドルに達しました。動員にあたり、IFC は、 ています。同プログラム下での融 資組 成 、ストラクチャリング、ポートフォ この方面における多彩なイノベーションの歴史を示す、2 つの重要な経路を リオ運 用の権 限は IFC が 保留しています。2015 年度末現在、MCPP 資金 活用しました。 のほぼ全額が開発プロジェクトに配分されました。 IFC年次報告 2015 37 2015年度、IFCが途上国向け投融 資として第三者から動員した資金 は、長期投融資全体の40%にあた る、総額71億ドルに達しました。 さらなる支援が必要な理由 7,700 億ドル 輸送関連の投資に必要な年間資金額 38 IFC年次報告 2015 成長の加速化:テクノロジー 貧困層のエンパワメントに 資するデジタル技術の活用 ア ブラハム・ピエールは、 に住んでいます。 西半球の最貧困国ハイチにある大貧民街の一つ 首都ポルトープランスのジャルジ地区には、水道も、 頼りになる電気も通じていませんが、携帯電話がますます普及し、今や生活必 需品となっています。 「昨今、電話は貴重品ですよ」とピエールは言います。学校で英語を教える 傍ら、家庭教師を務める彼は、携帯電話を使って、家庭教師の予定を入れ たり、支払いを受けたりしています。 とはいえ、昔からこうだったわけではありません。2010 年にハイチ大地震が 起きる前は、携帯電話の所有率は 3人につき1人、インターネットの利用率は 100人につき1人未満という有様でした。ハイチ政府は、毎月150万ドル近い 赤字を出していた国有電話会社Teleco の民営化計画を立て、市民サービス の向上と拡大を図るために、この計画の遂行をIFCに依頼したのです。 IFC はベトナムの企業 Viet tel 社をハイチ政 府に照会した結果、同社は、 Teleco の 経営支配 権を取得し、サービス改善に 1 億ドル 近い資金を投 入 すると約束しました。こうして設 立された新企業 Natcom Haiti は、顧客 数をそれまでの7 万 5,0 0 0人から180 万人に増やし、順調に利益を上げて います。 コンゴ民主共和国では、 IFC 顧客である FINCA 社の携帯 電話事業の拡大を助けました。 IFC年次報告 2015 39 携帯電話を使う人は現在、ハイチの至る所で見られます。その多くは、ウェ ブサイトにアクセスしたり、ソーシャルネットワークを通じて友 人や家族、 職場 仲間との交流に利用したりしています。 世界で最も不利な立場にある人々にデジタル技術を浸透させることはIFC の 目標の一つです。デジタル技術の利用を促進すれば、2020 年までに1兆ドル 以上が世界経済に追加される可能性があり、最大の影響を享受するのは新 興国だと、最 近の調査は述べています。中国などの国では、技術の普及に よって事業慣 行の改善や効率化が進めば、最高 4,18 0 億ドルもの GDP 飛 躍が可能になります。 2 014 年 、IFC は、スマートフォン(スマホ)やタブレットなどの 使 用済み 電 子 機 器 のリサイクルと再 販 に 携 わ る 中 国 最 大 の オン ライン ショップ に 5 0 0 万ドル の 投 融 資を行 いました 。この 投 融 資 により、A i h u i s h o u International 社は、環境にやさしい方法で事業拡大を行えるようになり ハイチで英語の教師を ます。中国市民は 2013 年に合計 3 億個のスマートフォンを購入しました。 務めるアブラハム・ピエールは、 携帯電話で給与などの 同社は、買い替えにより使 用済みとなったスマートフォンの一 部をリサイ 支払いを受けています。 クルする方法も提 供しています。 インドの最貧困州の一つビハール州では、医療従事者やその受益者に対し、 医療関連の支払いを州政府から自動的に行うウェブベースの支払いシステ ムを開発するため、州政府と緊密に協働しました。ビル&メリンダ・ゲイツ さらなる支援が必要な理由 財 団の支 援を受けたこのプログラムのおかげ で、紙を使った従 来 型 請求 方法を排除することができます。また、支払いの自動化により、医師の時間を 100人につき1人 最高 33%解放するため、その時間を必要な医療サービスの提供に振り向け ることができます。 ハイチにおける 2010 年 以前のインターネット利用率 40 IFC年次報告 2015 ブータンの首都ティンプーでは、 交通渋滞を緩和するための官民 パートナーシップの設立を支援しました。 強靭性の構築:都市化 ど、長 蛇のニーズに取り組むため、パートナーに積極的に働きかけていま す。また、小規模企業向け投資促 進、医療施設 建設、教育のための機会創 都市や人口過密 出にも力を注いできました。 中国では、より経済的でクリーンなエネルギー源である天然ガスを、急速に発 地帯の強化 展する全国の都市に住む多 数の 住 民に供給するため、送ガス網の拡 大を 支援しています。IFCと「IFCインフラストラクチャー・ファンド」による、China Gas Holdings向けの3億ドルの融資パッケージと、China Tian Lun Gas Holdings に対する1億5,000万ドルの持分投資は、これまで家庭、産業、輸送のニーズを 賄ってきた石炭などの燃料と置換するのに役立つでしょう。 都 市は長年、未来の姿を映すと考えられてきましたが、現在の予測では、ま さにこの見方が正しいようです。2014年には、世界人口の約半数が都市部 人口の 80 %が都市部に集中しているラテンアメリカ地域では、持続可能な に集中し、2050年までには、その割合が66%に飛躍する見通しです。アジアとア 都市発展を促進するため、新たに立ち上げた「都市イニシアティブ」の下、 フリカだけをとっても、2000〜2030年に都市人口が倍増すると見られています。 IFC の裁量によりあらゆる資源を活用しています。このイニシアティブの初 期活動はコロンビアで進められています。同国の主要都市カリとメデジン 未来の都市はやがて、世界の人口増加の 90%、炭素排出量の 80%、そしてエ では、公共の公益 事業体の運営を改善して、より多くの人々にサービスを ネルギー消費量の75%を占めるようになるでしょう。それでも、都市に住み 普及しようとしています。 たいという人はますます増えています。都市といえば、とりわけ途上国の女 性にとっては、ビジネス、仕事、コミュニティ、そして機会を意味します。 現在準備中のプロジェクトには、首都ボゴタで1日600万人の利用者に恩恵を しかし、都市人口の急激な増加には代償が伴います。例えば、中国では、 もたらすバス・システムの改善と拡大を目指す、Intelligent Mass Transitへ 今後20 年間に3億人が都市に移住すると見られおり、それを賄うには、現在、 の1億 7,60 0 万ドルの融資が含まれます。 米国全土に敷 設されている規模と同じだけのインフラを整 備する必 要が 人口の7分の1が首都ティンプーに住むブータンでは、民間セクターから800万 あります。インドとアフリカにも同様の負担がかかっており、それぞれ 2 億 ドルを動員して、交通渋滞に取り組むための官民パートナーシップを設立し 5,0 0 0 万人と3 億 8,0 0 0 万人が都市部に移住する見通しです。 ました。今後予定されているプロジェクトの中には、同市初のマルチレベル IFC は、この困 難な問題に取り組む国や 企 業への支 援において重 要な役 駐車施設を建設することで、道路沿いの駐車を排除して車道を広げる一方、 割を担っています。道路、橋梁、電力、衛生施設、清潔な水へのアクセスな 多額の駐車料収入を市にもたらす計画が含まれます。 IFC年次報告 2015 41 都市といえば、とりわけ途上国 の女性にとっては、ビジネス、 仕事、コミュニティ、そして 機会を意味します。 さらなる支援が必要な理由 3分の2 2050 年までに都市に移住する 人々の世界人口に占める割合 42 IFC年次報告 2015 強靭性の構築:現地の資本市場 効率的な資本市場の 構築 末 永い繁栄が可能かどうかは、資本市場の効率にかかっています。効率 的な市場は、成長に拍車をかけ、企業による事業拡大と雇用創出を 助けます。人々に対しては、マイホームの購入や将来に備えた投資に貢献し、 政府に対しては、病院や発電所などの建設費用の調達に役立ちます。さら に効率的な市場は、海外発の金融危機から国内経済を守ります。 途上国の多数の企業は、自国通貨建ての資金調達が困難であるため、外貨 建て借入を余儀なくされています。このことは、昨今、新興国の多くの企業 が米ドルの価値上昇に直面しているように、これらの企業を大きな危険に さらしています。 IFC は、現地の資本市場の強化においても重要な役割を果たしています。 例えば、現地通貨建て債券を発行して、予測のつかない外国為替レートの 変動から企業を守っているのです。債券 発行にあたり、IFC は様々な国際 投 資家の 参 画を奨 励しています。また、資本市 場 の強 化に向けた政 策や 規制の草案作成においても途上国を支援しています。 IFC は、長年、多数の途上国で現地通貨建て債券を発行した初の外国機関 となってきました。そうすることで、多くの国が自国の資本市場の深化対策を 強化する糸口を提供してきたのです。 途上国の多数の企業は、 自国通貨建ての IFC年次報告 2015 43 資金調達が困難であるため、 外貨建て借入を 余儀なくされています。 インドでは、過去 2 年間、急務となっていた道路、電力、空港の建設・整 備 資金の拡 大を目指 すルピー建て債券プログラムの立ち上げに取り組み、 最終的に55 億ドル相当のプログラムに発展させました。同プログラムの下、 マサラ債と呼ばれるIFC初のオフショア債券を発行し、国内投資向けとして国際 投資家から16 億ドル相当の資金を調達しました。これとは別に、オンショア・ マハラジャ債も発行し、約 1億ドル相当を起債しました。 さらなる支援が必要な理由 3.1 このプログラムの成 功は、資本市 場 の育成における IFC の触 媒 的 役 割を 浮き彫りにするものです。IF C は、ルピー 建 て債 券 価 格 の 健 全なベンチ マークを確立できるよう様々な償還期間をもつ債券を発行しました。その 結果、同国の中央 銀 行は、ルピー建て債券に対する投 資家の需 要の高ま りを受け、ルピー建て債 券 のオフショア市 場での 発行を現 地 企 業に許可 する考えを明らかにしました。 また中国では、国際外国為替市場における同国の役割拡大に貢献しました。 兆ドル 2015 年度、IFC は、ロンドン証券取引所で総額 4 億ドル以上の人民元建て 債券を発行し、同取引所ではこの種の 債券の大手発行体の一つに数えら 新興国が保有する れるようになりました。調 達 資 金(純 額 )は、中国の民間セクター開 発 の ドル建て債務の総額 支援に利用されます。 全体では、IFCは、17の新興国通貨で債券発行を行ったほか、融資、スワップ、 保証、リスク共有ファシリティ、他の仕組み商品や証券化商品などを通じ、 60 カ国以上の通貨で、現地通貨建ての資金供与を行いました。 44 IFC年次報告 2015 強靭性の構築:気候 変動 ガワットの発電所の建設計画により、エネルギー価格の削減とパナマの化 石燃料への依存度軽減が可能になります。同プロジェクトは二酸化炭素排 世界的脅威の封じ込め 出量の削減にも重要な貢献をするでしょう。 ヨルダンでは、太陽光発電プロジェクトに対し2億750万ドルの融資取決めを のための支援 交わしました。これは、中東・北アフリカ地域で最大の民間セクター主導型太 陽光発電イニシアティブです。うち1億1,600万ドルは他の金融機関から動員 したものです。このプロジェクトは、合計102メガワットの太陽光発電所を7カ 所に建設し、二酸化炭素排出量の削減に貢献するでしょう。 気 候 変 動は、途 上国に最も大きな打撃を与え、水、エネルギー、食糧 IFC は、再生可能エネルギーや省エネのプロジェクトなど、気候 変 動 対応 供給のニーズに取り組む途上国に深刻な影を落としています。 型の投資を支援するグリーンボンドの大手発行体の一つです。2014 年 9月 途上国は、気候変動との取組みで年間最高1兆ドルもの多額の資金を必要と に は 、途 上 国 でこのようなプ ロジェクトを 支 援 するため 、トリプル A の しています。そのために民間セクターが果たす役割は重大です。IFC は、気候 IFC債券を初めて米国の個人投資家に販売するプログラムを立ち上げまし 変動への取組みに民間資金を動員する活動の最前線で活躍しています。 た。全体では、IFCが発行したグリーンボンドは合計37.5 億ドルになります。 IFCは、グリーンな建物や太陽光発電など、エネルギー効率のよい再生可能エ また、IFC アセット・マネジメント社 が運 用する「 IFC 触 媒ファンド」は、 ネルギー対策に資金や助言を提供しています。2005 年以来、気候に関連し 4 億 1,80 0 万ドルを調達しました。このファンドは、斬新な気候変動対策を たプロジェクトへの長期投融資は実に130 億ドル以上に達します。これには、 開 拓している企 業 向 けのファンドに 投 資します。2 015 年 度 は 、チリ、コ 2015年度の長期投融資23億ドル(31カ国で合計103件のプロジェクトを対象) ロンビ ア、ペ ル ー の クリーン・エ ネルギ ー・プロジェクトを対 象 に 、合計 が含まれます。また、他の投資家から動員した資金は22億ドルでした。 1億 2,50 0 万ドルの資金調達を目指すプライベート・エクイティ・ファンドに IFCは、今後、二酸化炭素排出量の抑制方法が変わる可能性に備えて、政府、 2,50 0 万ドルを投資しました。 企業、投資家と協働しています。今年は、温室効果ガスの排出量削減で国際 IFC はまた、主にアジアとアフリカで、オフグリッド型太陽光システムの販売 的合意を得るための会合(参加国 190 カ国)が開かれます。IFC は、炭素価 会社を支援するファンドに、3,000万ドルを当初資本金として提供するため、 格 の設 定 方法 や、炭 素取引の進め方、炭 素基金の活用方法についての助 シェル財団と協力しました。このファンドは、今後3 年間に約2,000万人の人々 言も顧客に行っています。 の生計向上を目指しています。こうした活動は、IFCの「世界に光を(Lighting パナマでは、中米最大の風力発電所の建設(ペノノメ風力発電プロジェクト) Global)」プログラムを通して、オフグリッド型太陽光照明・サービスの新市場 に3 億ドルの融資パッケージを提供にすることに合意しました。この337.5メ 開拓を目指す、IFCと世界銀行の共同取組みを補完するものです。 IFC年次報告 2015 45 パナマでは、中米 最大の風 力 発 電 所 の 建 設(ペノノメ風 力 発電プロジェクト)に 3 億ドル の融 資パッケージを提 供する ことに合意しました。 さらなる支援が必要な理由 1 兆ドル 途上国による気候変動 取組みに要する年間資金 46 IFC年次報告 2015 強靭性の構築:アグリビジネス 持続可能な食糧の供給 食 糧 や農 産品に対する世界的需 要は、205 0 年までに倍増する見 通 しです。このことは、どうすれば稀少資源を枯渇せずに急増する世界 人口に十 分な食 糧を供給できるかという難しい課題を国際社 会に投げか けています。 IFC は、この課題に取り組むために民間セクターと協力しています。その目 的は、アグリビジネス向け投融資を通じて、栄養価の高い手ごろな価格の 食糧の供給量を増やし、食糧を最も必要としている人々に確実に届けるこ とにあります。 食糧サプライチェーン全体における2015年度のアグリビジネス関連投融資は、 他の投資家から動員した資金を含め、総計32 億ドルに達しました。こうした 食糧の生産、加工、流通、販売向け投融資は、世界中の農家 340 万戸に恩 恵をもたらしました。 IFC の支 援により、農家は金融にアクセスし易くなり、農家のために新市 場が開かれています。ネパールからニカラグ アに至るまで、IFC 顧 客は、 農家の生 産性向上、無駄削減、環 境面での持続可能な慣 行導入を目指す 研 修を行っています。 IFC はまた、女性や小規模 農家のための機会拡充に重点を置き、彼らのリ スク管理を助けることで 包摂的な開発も促 進しています。ネパールでは、 養鶏場の生産性を高め、小自作農の収入向上を図るため、家畜用飼料のメー カーであるProbiotech Industriesに対し、約 400万ドルの投融資をパート ナーと共同で行いました。 IFC の支援により、農家は金融に IFC年次報告 2015 47 アクセスし易くなり、農家のため に新たな市場が開かれています。 同社の仕入れ先のほぼ全体が中小企業であり、中小企業はその 資材を小規模農家から購入しています。このように、IFC 投融資 さらなる支援が必要な理由 は、サプライチェーン全域を通じて、農家などのために機会を生み 8億 出し、収入向上を実現している好 例だと言えるでしょう。 途上国では、中産階級の拡大に伴い、鶏肉や豚肉に対する需要 が急増しています。ルーマニアでは、今年、同国最大の豚肉生産者 であるSmith eld Romania に6,000万ドルの投融資を行って、 500 同社の生産拡大、雇用創出を支援したほか、食糧安全性、家畜飼 育法、環境管理に関するベストプラクティスの促進も助けました。 イラクでは、エルビル市で乳製品の製造工場を建設するため、 サウジアラビア企業 Al Safi Danone のイラク事業部に1,800万 ドルの投融資を行って、乳製品の需要拡大に対応しました。この 工場の乳製品生産高は年間約 5 万 9,000トンになる見通しです。 万人 エボラ出血熱がリベリア経済に打撃を与えた際、IFC は、パート ナーと共に、カカオ農園に肥 料を供給するWienco Liberia 社 慢性的栄養不良に に 500万ドルの資金供与を行いました。この資金により、2019 年 陥っている人の数 までに最高 7,50 0 戸の農家による肥 料購入が容易になり、効果 的な利用が可能になるため、カカオの収量が倍増する可能性を 秘めています。 48 IFC年次報告 2015 バングラデシュの衣料産業 では、建 築、火災安全性、 労働、環境に関する基準の 改善を支援しています。 生活向上:雇用 2014 年、IFC の投融資先顧客は 250 万人の雇用創出を助けました。アフリ カでは、個々の開発業者を別々に支援するよりも、大規模な地域プロジェ 雇用創出に向けた クトを実施できる単一のパートナーと協力した方が効果的であることを認 識し、中国のCITIC Construction Companyと革新的なパートナーシップを 総括的アプローチ 結 びました。この協力体制の下で、アフリカ全土に最高 3 0 件 の 住宅開発 プロジェクトを設 定し、今後 5 年間に推 計 15 万人の雇 用を直接的・間接的 に創出しようとしています。 ケニアでは、National Cement社によるナイロビ地域の事業拡大と6,000人 エ の雇用創出を助けるため、同社と7,0 0 0 万ドルの支援取決めを交わしまし チオピアのジウェイの村落で、花の収穫で生計を立てていたケルベサ・ た。それにあたり、IFCは、同プロジェクトに5,500万ドルの融資を提供するほ デベロは、かねてから花収穫で一生を終えたくないと考えていまし か、IFC アセット・マネジメント社と共に、1,50 0 万ドルの持 分投 資を同社 た。英語を学び、新しい技術を身に着けて、キャリアを築きたかったのです。 に行いました。また、同社の原材料の搬 送と一般サービスを担う小企業も そう思ったのは 6 年前のことでした。今日、彼は、かつて花の収穫 人として 経済的恩恵を享受することになります。 働いたエチオピア最 大のバラ輸出業者 Afrifloraで、英語の堪能なマネー ジャーとして活躍しています。「私の子 供たちも大きくなったら、ここで働 安 全で生 産的な職 場づくりは、IFC 業務の中核をなしています。衣料産 業 けるかもしれませんね」と彼は言います。 が 40 0 万人もの雇用を提 供しているバングラデシュでは、投資の奨 励はも とより、建 築 、火 災安 全 性、労働 、環 境に関する基 準の改善など、このセ 雇用は開発にとって不可欠な存在です。それは、人々を貧困から救い、持続的な クターの発展を助ける包括的なアプローチを用いています。 繁栄の下地を築きます。にもかかわらず、途上国では、就労人口の半数にあたる 15億人が、低賃金の不安定な仕事に甘んじています。途上国は、人口増加に追 IFC はまた、低所得のコミュニティに財・サービス、雇用機会を提供するイン いついていくだけで、2019年までに2億人の雇用を生み出さなければなりません。 クル ーシブ・ビジネスへ の 投 融 資にお いても主 導 的 な存 在となっていま 雇用創出は、IFCの優先課題であり、あらゆる面の活動を司る目的でもあります。 す。2 0 0 5 年 以 来 、I F C の インクル ーシブ・ビジネス 向 け 投 融 資 は 合 計 IFCは、様々な企業と協力して、その発展を助け、質の高い仕事を生み出せるよう 125 億ドルを超えており、農家、学生、患者、公益サービス利用者、小口借 支援しています。その実現にあたり、金融へのアクセス拡充、インフラ投資の後押し、 入者など 2 億 人を超える人々を、インクルーシブ・ビジネスの中心業務にと 投資環境の整備、教育・研修の促進を途上国で推進しているのです。 組み入れるため、90 カ国で 450 社以上の企業と協力しました。 IFC年次報告 2015 49 雇用創出は、IFCの優先課題 であり、あらゆる面の活動を 司る目的でもあります。 さらなる支援が必要な理由 15 億人 安定した仕事をもたない 途上国の人口 50 IFC年次報告 2015 生活向上:ジェンダー 女性のための 経済的機会の拡大 チ ェン・ユアンユアン は 、受 注した 紡 織 製 品 をオンラインビジネス Alibaba.comに納入する事業の資金繰りに苦戦していました。銀行か らは、無担保では無理という理由でローンの申請を棄却されたのです。 しかし、IFC顧客であるAnt Creditの存在を知り、彼女にも幸運が巡ってき ました。同社は、インターネット上で面接しただけで、6万7,000ドルのローンを 承 認しました。そのおかげ で、彼 女のビジネスは、年 収 8 0 0 万ドル以 上に 「オンラインで簡単に借入ができました」 発展したのです。 と、彼女は当時を 振り返ります。 IFC は長年 、経 済活 動 への女性参加を促 進することが重 要だと認 識して いました。成長を促し、繁栄を築くには、女性がリーダーとして、従 業員と して、消費者として、そして起業家としての役割を果たすことが不可欠です。 女性は賃金の最高 90 %を家族のために「再 投 資 」するという調査 結果も 出ています。 IFC は、中国のAnt Financial 社の関連会社であるAnt Creditと提携し、 女性起業家向け融資として約 8,0 0 0 万ドルを供与するプログラムを立ち上 げました。IFCと、ゴールドマン・サックス社の「1万人の女性」イニシアティ ブとの協力で実現したこのプログラムは、特定のジェンダーを対 象とする 初のインターネット・ベースの融資を中国で提 供したことになります。 IFC 顧客の支援を受け、ジャクリン・ マヴィンガは、コンゴ民主共和国の 首都キンシャサで衣料店を開業しました。 IFC年次報告 2015 51 また 別 の 初 例として、ラオス 人 民 民 主 共 和 国 の 銀 行 Ba n q u e さらなる支援が必要な理由 Franco-Laoとの協働により、女性が所有する中小企業向けの 2倍 融資ファシリティも立ち上げました。IFCの支援を受け、同銀行は 2017年までに、このような企業を対象とする融資ポートフォリオを 3倍近くに増やす予定です。 IFC の「女 性向け金融 」( BOW )プログラムでは、女 性のため のビジネス機会の促 進を助ける投融資や助言を行っています。 全体では、IFC が立ち上げた投融資プロジェクトは約 20 カ国で 男性が就職できる 29 件に上り、誓 約した金融機関向け投融資の総額は 8 億ドルを 可能性は女性の2 倍 超えました。また支援した助言サービス・プロジェクトは 17カ国 で19 件に達しました。 2014 年 9月には、2016 年までに世界中の女性 3 0 万人以 上の雇 用機 会を促 進するパートナーシップ「 SheWorks」を立ち上げ ました。このイニシアティブの下で、コカコーラやインテルをは じめとする12 社が、多数の IFC 顧客と共に、リーダーシップ研 修 やフレックスタイム制導入を通じて、女性の雇 用機 会を促 進す ることに合意しました。 ナイジェリアで は、農 村の 低 所得 層の 女 性に小 口 融 資を行う 女性は賃金のほとんどを Grooming People for Better Livelihood Centre に対し、 家族のために「再投資」 410 万ドル相当のナイラ建て融資を行いました。同組織は、保健 医療・教育サービスの実施も後押ししており、恩恵を受ける女性 するという調査結果が出 の数は、2012 年 12 月の約 27 万 7,50 0人から、2018 年末までに は 78 万人 近くに増える見 通しです。この IFC 融 資は 20 0 万人に ています。 恩恵をもたらすと期待されています。 トルコでは、小売コングロマリットであるBoyner Groupと提携 して、同社の女性所有サプライヤーを対象に、借入能力の強化や 事業パフォーマンスの改善に向けた研 修を行いました。 52 IFC年次報告 2015 生活向上:IDA と紛争の影 響を受けた地 域 荒廃した環境での 機会創出 最 貧困国の人口は世界で25 億人を超えています。 地域に住む人々は、 紛争や暴動で荒廃した 世界人口の4分の1近くに達します。世界のどこを探し ても、これらの地域ほど貧困が根付いている場所はほかにありません。 IFCは、そうした地域での活動を拡大しています。その目的は、場所を問わず、 貧困が最も蔓延している地域に住む人々の生活向上を図ることにあります。 世界銀行の国際開発協会(IDA)からの借入資格を有する最貧困国78カ国を 対象とした2015 年度のIFC投融資は、合計47億ドル近くに達しました。これら の国に対する IFC長 期投融資は、ここ10 年間で 3 倍余りに増大しました。 また、こうした国々を対 象とするアドバイザリー・プログラムは、助言業 務 全体の3分の2 近くに上りました。IFC は、2007年以来、IDA 増資として総計 32 億ドルを直接拠出して、IDA の活動を支援してきました。 脆弱・紛争地 域における 2015 年度の IFC 投融資は、他の投 資家から動員 した資金を含め、合計 6 億ドルに達しました。この地域を対象としたアドバ イザリー・プログラムは全体の20 %を占めました。 貧困や紛争に直面している多くの国は、災害に対しても非常に脆弱です。 2014 年に西アフリカで流行したエボラ出血熱は、この地 域に深刻な経済 的打撃を与えました。ギニア、リベリア、シエラレオネが被った経済的コスト 「失われた経済成長 」) (すなわち、 は、2015 年だけでも総 額 16 億ドルに 達する見込みです。 IFC年次報告 2015 53 これに対するIFC の対応は迅速でした。エボラ流行国への経済復興支援と して、IFC は今後3 年間に4 億 5,000 万ドルを提供する予定です。これには、 その目的は、場所を問わず、 エボラ流行国が早急に必要としていた物資の輸入資金を提供するために、 2014 年に設立された 7,50 0 万ドルの「エボラ緊急流動性ファシリティ」も 貧困が最も蔓延している地域 含まれます。また、エボラ危機の間でも事業続行のスキルを身につけても らうため多数の企業に研 修を行いました。IFC とIDA のこうした努力は、 に住む人々の生活向上を図る エボラ出血熱の封じ込めと感染抑止に重要な役割を果たしたと、世界各国 の政府は述べています。 ことにあります。 リベリアでは、エボラ関連コストを相殺するための支援として、Aureus Mining 社に約 530 万英ポンドの投融資を行いました。この支援により、同社は、 リベリア初の民間金鉱山であるニューリバティ・プロジェクトの継続が可能 になり、300人の雇用創出が見込まれています。 長年の紛争から回復しつつあるコンゴ民主共和国では、Terra 社と African Milling Company Congoの2つの関連会社に1,800万ドルの融資を提供して、 さらなる支援が必要な理由 カタンガ州における両社のトウモロコシ農場と製粉所の拡張を支援しました。 12 このイニシアティブにより、300人の雇用が生み出される見通しです。 IFCはまた、フランス企業であるLafarge 社とフランス経済協力振興投資公社 (Proparco)の協力を得て、イラク北部にある同社のセメント工場で、家庭の ゴミを変換して工場の燃料とするために600万ユーロの投融資を行いました。 このプロジェクトにより、 削減されるため、 同社の化石燃料の使用量が減り、大気・水質汚染が 地元コミュニティにも恩恵がもたらされます。 億人 スリランカでは、IFC 顧客であるNDB Capital Holdingsが、急速に発展 する中小企業に資金を提 供できるよう、5,0 0 0 万ドルのプライベート・エク 暴力や紛争が生じ易い イティ・ファンド「エメラルド・スリランカ・ファンド」を立ち上げました。 地域に住む人の数 54 IFC年次報告 2015 インドの村で夜の読書会に集まった子供たち。 IFC の「アジアに光を」プログラムにより、 太陽光による照明が村にもたらされました。 生活向上:保健医療および教育 投資家から動員した資金を含め、総 計10 億ドル近くに達しました。IFC 顧 客は、350 万人の生徒・学生の教育、170 万人以 上の患者の治療を支 援し 人的資本の強化 ました。 ペル ーでは、大学と一 連 の 技 術・職 業 訓 練学 校 の設 立を助けるため 、ス タートアップの民間教育法人 Proyectos Educativos Integrales del Peru に 2,500万ドルの投融資を行いました。このイニシアティブは、低所得層の 世 界には、質の高い 保 健 医 療 サービスにアクセスできない人 が 10 億 学生を対 象に、雇 用機 会を改善し、技 術職に対する需 要 の高まりに対応 人以 上います。また、癌などの慢性疾 患による死者数 3,8 0 0 万人の するものです。 うち、4 分の 3 近くは途上国の国民が占めています。通学していない児童数 ケニアでは、IFC 顧客である AAR Healthcare 社と協力して、世界クラスの は世界に 5,70 0 万人以 上おり、そのうちアフリカだけでも 3,0 0 0 万人に上 医療基準を導入しています。ケニア、ウガンダ、タンザニアで 28 の診療所を ります。 運営する同 社は、産 婦人科から薬 局まで、幅 広い医 療 サービスを同 一施 こうしたデータは、極度の貧困撲滅と繁栄の共有促進に立ちはだかる大き 設内で提 供しています。 な障害の存在を浮彫りにしています。質の高い教育や医療サービスは依然 また、ブラジルでは、民間セクターが国民 4人につき1人に医療を提供していま として広く浸透しておらず、その価格も必要な水準に下がっておりません。 す。ブラジル最大の民間病院網を有するRede D ʼ Or社への2億 5,500万ドル これほど困難な課題は、公益に資するために官民両セクターが一丸となっ の投融資は、患者数を年間 52 万 5,0 0 0 人増やすのに役 立ち、公的医療シ て取り組むことが最善です。 ステムにかかっていた負担の緩和が可能になります。 政 府は、保 健医療・教育の質と経 済 性を確保する上で重 要な役割を果た トルコのアダナでは、病床数 1,550 のヘルスキャンパスの開発を目指して、 します。一方、民 間セクターも、質の高いサービスを最も必 要としている 4 億 3,30 0 万ユーロの融資取決めを行いました(うち 3,50 0 万ユーロは IFC 場所で提 供できる斬新な方策を見出すなどして、重大な貢献をすることが 自己勘定 分)。このプロジェクトは、トルコ政 府 が立ち上げた官民 パート 可能です。 ナーシップ・プログラムの一環となっています。 保 健 医 療・教 育へ のアクセス拡 充 は、IFC 戦 略 の中心 的 要 素となってい また、専門病院に対するIFC 投融資は、心臓手術や眼科手術の費用削減のた ます。民間医療と教育の分野で最 大 規模の投融資を行う国際機関である めの革新的な手法を支援しています。例えば、インドの眼科病院チェーンであ IFC は、この分野で活躍する新興国企業に対し、合計 40 億ドル以上の投融 るEye-Q Visionに対する550万ドルの持分投資は、同国の数都市で、経済的 資を行ってきました。2015 年度の保健医療・教育向け IFC 投融資は、他の で質の高いアイケア・サービスへのアクセス拡大を助けます。 IFC年次報告 2015 55 さらなる支援が必要な理由 5,700 万人 通学していない児童数 保健医療・教育へのアクセス 拡充は、IFC戦略の中心 的要素となっています。 56 IFC年次報告 2015 57 結果の測定 貧困撲滅と繁栄の共有促 進の支援方法 58 重点分野におけるパフォーマンス 59 機会を最も必要とする場での機会創出 60 62 IFCの知識 業務拠点 63 IFC の業務 64 産業に関する専門知識 68 71 IFCの職員と業務の進め方 主眼を新たに:IFC の組織改革 72 開発成果の把握 73 職員 80 ガバナンス 82 説明責任 84 パートナーシップ 86 リスク管理 88 持続可能性の促 進 89 持続可能な開発に関する一部情報の 独立した保証報告書 92 財務概要 97 IFC 年次報告 2015 57 結果の測定 IFCは、ほかでは達成できない結果を出す ことに尽力しています。 新興市場では、 持続 可能な民間セクター開発を促進するため、 顧客に対し、 投融資と助言を独自な形で 組み合わせて提供しています。 IFCではこの 特典を「付加性」 と呼んでいます。これを 利用して開発成果の最大化を図ること、 それが IFC戦略の礎となっています。 58 IFC年次報告 2015 フロンティア市場の強化 IDA 融資適格国、脆弱・紛争状況、 他の途上国のフロンティア地域における開発 促 進 インフラ、保健医療、教育、食糧サプライチェーン において民間セクター発展を妨げている障害への取組み 貧困撲滅と繁栄の 共有促進の支援方法 基本的サービスへのアクセス拡充、 アグリビジネスのバリューチェーン強化 I 現地の金融市場の育成 FC の活動は、支援を最も必要とし、その 支 援が最も効果を上げる場所で展開す 機構の構築、資金動員、革新的な金融商品の導入 るという決意に導かれています。 気候変動への対応と環境・社会の持続可能性確保 新しいビジネスモデルと金融手段の開発、基準の設定と向上 新興市場の顧客との長期的関係の構築 顧客の開発活動の指針となり、クロスボーダー型 成長を支援するための IFC 商品・サービスの幅広い活用 IFC年次報告 2015 59 重点分野におけるIFC のパフォーマンス パフォーマンス 開発の成果 2015 年度 2014 年度 高く評 価された投融資先企業の割合( DOTS スコア)1 63% 64% 高く評 価された助言プロジェクトの割合 2 73% 76% 重点分野 フロンティア市場 IDA:投融資プロジェクト数 145 153 IDA:長期投融資承認額合計(百万ドル) $4,666 $4,852 IDA:融資適格国向けアドバイザリー・サービス・プログラムの割合(%)3 65% 66% 脆弱・紛争状況:投融資プロジェクト数 4 43 19 脆弱・紛争状況:長期投融資承認額合計(百万ドル)4 $ 614 $ 638 脆弱・紛争状況:アドバイザリー・サービス・プログラムの割合(%) 20% 20% フロンティア地 域:投融資プロジェクト数 26 40 インフラ、保健医療、教育、食糧サプライチェーン 長期投融資承認額合計(百万ドル)5 $ 9,623 $ 9,142 現地金融市場 金融市場向け長期投融資承認額合計(百万ドル)6 $6,392 $ 5,981 零細・中小企業に重点を置く長期投融資承認額合計(百万ドル)7 $3,592 $3,536 気候変動、環境・社会持続可能性 気候関連の投融資承認額(百万ドル)8 $2,349 $2,479 長期的な顧客関係の確立 「南・南」投融資プロジェクト数 39 38 「南・南」プロジェクト向け長期投融資承認額合計(百万ドル) $ 1,964 $2,565 注: 1. DOTSスコア:プロジェクトの移動承認期間 6 年間( 2015 年度の場合は 2006 〜2011年に承認されたもの)をもとに、各年の 6月30 日現在で、開発成果において高い評価 受けた顧客企業の割合(%)を指す。 2. アドバイザリー・サービスの開発 効果に関する評価は、2014 年と 2013 年(共に暦年) が対象。 3. IDA 融資適格国向けアドバイザリー・サービス支出の算出には、2014 年度と 2014 年度ともに、 地 域プロジェクトを取り入れた改善後の手法を反映。 4. 2015 年度以降、FCS(脆弱・紛争状況)向け投融資に関する IFCデータには、 過去 3 年間の会計年度のいずれかの時点で、 世界銀行の FCS 調和化リストに掲載された国の プロジェクトを含む。これは、投融資プロジェクトが実を結ぶまでに長期間かかるためと、これらの国々に対し長期的な視野で臨むよう奨励する意図を反映したもの。 5. インフラ (石油・ガス ・鉱業を除く) 、通信・情報技術、 地方政 府ファイナンス、 保健医療・教育、アグリビジネス・食糧サプライチェーンの各局の承認額。 6. 投資ファンドおよびプライベード・エクイティを除くIFC 金融市場局の承認額。 7. 直接借入を行った零細・中小企業 ( MSME )、得意先の 50 %以上が零細・中小企業である金融機関、 さらに零細・中小企業を主たる受益者とする他の投融資を含む。 「気候関連」 8. とは、 気候変動の緩和・適応、 気候変動にかかる特殊活動に関与しているプロジェクトの属性を指す。 詳細についてはウェブサイト( ht tp://w w w.ifc.org/ climatemetrics )を参照。IFC が自己勘定で行った長期投融資承認額を含む。 60 IFC年次報告 2015 東アジア・太平洋地域 5,900 万件 東アジア・ 太平洋地域 支援した現金以外の小売取引数 (合計1,60 0 億ドル) 129 億ドル 機会を最も必要とする場 国内サプライヤーからの 財・サービスの購入額 での機会創出 3,180 万人 I FC とその顧客は途上国に幅広く貢献して います。顧 客 の成 功 は、経 済 全 体 に波 及 効果を及ぼすことができ、貧困層をはじめと ガス利用者数 する多 数の人々に生活向上のチャンスを与え ます。 中東・北アフリカ地域 3,600 万ドル コーポレートガバナンス慣行を 中東・北アフリカ地域 改善した企業への新規投融資額 470 万人 介護・治療を受けた患者数 370 万件 零細・中小企業向け融資の件 数 IFC年次報告 2015 61 ヨーロッパ・中央アジア地域 ラテンアメリカ・カリブ海地域 920 万人 160 万人 ヨーロッパ・・・ ラテンアメリカ・ 中央アジア地域 電力利用者数(発電および配電) カリブ海地域・・ 教育を受けた生徒・学生数 810 億ドル 700 万人 零細・中小企業向け融資額 官民パートナーシップを通じて、 インフラサービスへのアクセスが 2億 3,200 向上すると期待される人の数 万ドル クリーンエネルギーや効率的資源 7億 4,300 万ドル 利 用 につな がる 技 術 に 投 資した 企業への新規投融資額 産 業改革や投 資促 進 業 務を政 府と 進めた結果、 供与した新規投融資額 南アジア地域 サブサハラ・アフリカ地域 880 万人 120 万戸 オフグリッド型 照明 器 具により 支援を受けた農家の数 南アジア地域 サブサハラ・ ・ 電力アクセスが向上した人の数 アフリカ地域 1億 9,680 610 万人 万台 給水を受けた人の数 電話接続数 350 72 件 億ドル 成長と投資促 進を目指した 零細・中小企業向け融資額 政策改革の件 数 62 IFC 年次報告 2015 IFC の知識 IFCは、投融資と助言、そして資金 動員を適 切にブレンドして、民間 セクターによる開発推進を助けて います。 IFC年次報告 2015 63 業務拠点 民 間セクターに特化した世界最大規模の 国際開発機関であるIFC は、100カ国で 業務を進めています。ある地域で学んだ教訓 は別の地域での問題解決に応用しています。 また、現地企業が各自の知識を他の途上国で 活用できるよう、そうした国での機 会と知 識 のマッチングも支援しています。 64 IFC年次報告 2015 投融資 企業は、IFC の金融商品を利用して、リスク管理や内外の資本市場 へのアクセス拡充を図ることができます。IFC は商業ベースで運営 されています。IFC 投融資は、途上国で営利目的で事業を展開する IFCの業務 プロジェクトのみを対象とし、 が適用されます。 その商品やサービスには実勢レート これらの商品・サービスは、インフラ、製造、アグリビジネス、サー I FC の業務には、投融 資、助言 提 供、資産 2015 年度の ビス、金融市場の分野を中心に、様々な業種の顧客が抱える独自 IFC 長期投融資は総額 のニーズに見合うよう設計されています。 運用の 3 つがあります。各業務は互いに補 完し合いながら、金融・財務、そしてグローバル な知識を途上国の顧客に提供しています。 180 億ドル 2015 年度のIFC長期投融資は、406 件のプロジェクトを対象に、 105 億ドルに達しました。加えて、途上国の民間セクター支援のた めに動員された資金は 70 億ドルを超えました。 総額 近くに達しました これらの業務を総合すると、民間セクターに 商品ライン (他の投資家から動員 よる機 会創出を支 援する際に、IFC に一つの した資金を含む) 融資 大きな優位性を与えています。それは、投融資 IFC は通常、償還期間 7〜12 年の融資を自己勘定で行って、プロジェ と助言を、付加価値をもたらす形で顧客独自 2015 年度の クトや企業に資金を提供します。また、仲介銀行、リース会社、他の のニーズにカスタマイズできることです。さら 新規融資の承認額は 金融機関に対し、オン・レンディング(転貸し)を目的とした融資も行 に、他の投資家を誘致できることも大きな利 います。 点です。それにより、新たな資金源やよりよい 70 億ドル IFC は従 来、主要先進国の通貨建てで融資を行ってきましたが、 現地通貨建て商品の組 成も優 先させるようになりました。現地通 事 業 の 推 進 方法を顧 客に伝 えることが 可能 貨建て投融資は 60 通貨を超えています。 になります。 に達しました 2015 年度の新規融資承認額は 70 億ドルでした。 持分投資 持 分投 資は、民間企 業に必 要な設 立当初の支 援と長 期 的成長の ため の 資 金を提 供します。I F C は 、企 業 の 株 式へ の直 接 投 資 の ほか、プライベート・エクイティ・ファンドを 通じた 投 資も行 いま す。2015 年度の持分投資承認額(自己勘定分)は合計約 32 億ドル でした。 IFC年次報告 2015 65 IFC の持分投資の比率は通常、企業の株式資本の5 〜20 %となって ヘッジする目的で国際デリバティブ市場にアクセスすることができ、 います。投資先企業に対しては、証券取引所への上場により株主の 各自の信用強化と収益向上が可能になります。また、IFC は通常、 幅を広げるよう奨励しています。これは現地の資本市場の深化に役 リスク管理商品の提供に際し、新興国の民間企業と市場の間で取次 立ちます。また利益参加型融資、株式転換型融資、優先株式を通じ ぎ役も務めます。さらに、信用保証やストラクチャリングに関する助言 た投資も行っています。 も顧客に提供しています。 貿易・サプライチェーン金融 ブレンド型金融 IFC の「グローバル・トレード・ファイナンス・プログラム(GTFP)」は、 IFC は、商業 条 件に基づく金融に加え、本来ならとうてい達 成で 認可金融機関の貿易関連の支払い債務を保証するものです。このプログ きそうもない開発成 果をもたらすために、多数の補完的ツールを ラムは、世界80カ余りの銀行250行以上に対し、取引ごとにリスク緩和を 活用しています。こうしたアプローチの一 例として、IFC の自己資 2015 年度末現在の 行って、貿易金融に携わる銀行の能力を高めたり補完したりしています。 金に、ドナー・パートナーなどから調達した譲許的資金をブレンド IFC協調融資ポートフォリオ させることが 挙 げられます。ブレンド型 金融は、初 期 費 用の節減 残高は 2015 年度の貿易金融の平均残高は 28 億ドルでした。 やプロジェクトのリスク緩 和に役 立ちます。このアプローチは 現 協調融資 在、気候 変 動 、アグリビジネス・食 糧 安 全 保 障 、 融という3 分 野に適 用されていますが、今後 は、 中小企 業 向け金 他の戦 略 的 優 先 153 億ドル IFC の「協調融資プログラム」は、国際開発銀行中、 最も古く、 最大 分 野においても、このツールの恩 恵を享受できるようになるはず 規模を誇っています。2015 年度の IFC 協調融資額は、IFC が動員 です。2015 年度、IFC は、ドナーからの資金として1億 4,800 万ドル に達しました した資金全体の 59 %を占めました。 余りを承認し、それを触媒として、IFCや民間セクターが合計12 億 5,0 0 0 万ドル以上を提 供しました。 2015 年度の IFC協調融資総額は、 Bローン、パラレルローン、MCPP ローン、 ストラクチャードA ローン・パーティシペーション、無 財 源 2015 年度の リスク参加 (URP) など、総計約 46 億ドルに達しました。これに参 貿易金融の 加した金融機関は、商業銀行、機関投資家、開発金融機関、新興国の 助言 平均残高は 中央銀行など84 を超えました。新興国の金融機関から動員した協調 融資は過去最高の21億ドルを記録しました。 リオ残高は 153 億ドルでした。 また、協調融資ポートフォ 民間セクターを持続可能な形で発展させるには金融以上の手段が必 要となります。助言業務は、民間セクター投資を促進し、企業による 28 事業拡大と雇用創出を支援する上で重大な役割をはたすことが、IFCの 億ドル 協調融資合計の 49 %はインフラ・セクターの借入先が対象となり 経験から明らかとなっています。それは、貧困撲滅と繁栄の共有促進 ました。また協調融資を通じて IFC が提 供した融資の 4 分の1以上 でした という世界銀行グループの取組みをいちだんと強化します。 (合計13 億ドル)は IDA 融資適格国に向けられました。 IFC が助言業務の強化に邁進している理由もそこにあります。 今年 は、 助言業務を、他の IFC 業務や世界銀 行の業務とより緊密に整 デリバティブおよびストラクチャード・ファイナンス 合させるために施策を講じました。それにより、顧客は、世界銀行 IFC は、顧客に対し、ヘッジ目的のみにデリバティブ商品を提供して グループの幅広い機能や能力から恩恵を享受することが可能にな います。顧客企業がこの商品を利用できるようにすることで、当該企 ります。助言は、IFC が顧客に提 供する各種のソリューションにし 業は、為替リスク、金利リスク、そして一次産品価格の変動リスクを だいに組み込まれるようになりました。 66 IFC年次報告 2015 2015 年度末における実 施中の助言プロジェクト・ポートフォリオ エネルギー・資源の効率的利用: IFC は、顧客がバリューチェーン は、101カ国で 6 0 0 件以 上を対 象に、評 価 価 値にして12 億ドルに 全体において、経済的かつ競合的で、質の高いエネルギー対 策を 達しました。こうしたプログラムの大半は IDA 融資適格国に、また 開拓できるよう支援を行っています。これに伴い、再生可能エネル 約 20 %は脆弱・紛争地域に向けられました。2015 年度中、開発に ギーの生産拡大と、より多くの人々が近代的エネルギー・サービス とって重要な多数の分野が助言の対象となりました。 を受けられるようにするため、民間市場の育成を加速的に進めて います。2015 年度は、51カ国で177の顧客と積極的な取組みを展 金融セクター: IFCは、より多くの個人や零細・中小企業に対し、 支払 開しました。 可能な金融サービスを利用できるようにするための支援を行ってい ます。それに伴い、 金融機関に対しては、 リスク管理の強化に加え、 また、産業横断型ソリューションに関する助言も提供しています。 中小企業、住宅金融、 持続可能なエネルギーなどの分野で、 提供す これには、コーポレートガバナンス改善 のための 企 業 支 援 や、大 2015 年度末に る商品の多様化を手助けしています。 IFC はまた、世界銀行グループ 手企 業 のサプライチェーンで事 業を推 進 する小 規 模 企 業 の能 力 おけるIFC の助言 プロジェクトは の金融・市場グローバル・ プラクティス部門 (FMGP)の統合チーム 構 築などが含まれており、それにより、地元サプライヤーや現地資 600 件を対象に、 の一員として、万人のための金融アクセス促進や、 資本市場の強化を 源の効果的利用に関する支援を顧客に提供できるようになる一方、 評価価値にして はじめ、企業が雇用創出と持続的成長に向けて新たな活路を切り開 現地で機 会を高めることにもつながります。IFC の助言 業務 の中 く際に役に立つ信用調査機関や担保登記所の設立など、 資本市場 核は、女性が消費者として、従 業 員として、そして、ビジネス・リー 12 の育成も支援しています。 的な取組みを展開しました。 2015 年度は、96カ国で425の顧客と積極 ダーや、起 業家、 識してもらい、 サプライヤーとしてもたらしうる価 値を顧客に認 それに投資するよう奨励することで、顧客が強固で 億ドル 包摂的なビジネス・パフォーマンスを達成できるよう支援すること 投資環境の整備: 世界銀行グルー プの貿易・競合性グローバル・ プ にあります。2015 年度は、85カ国で301の顧客と積極的な取組みを に上りました ラクティス部門 (TCGP)の統合チームの一員として、 IFCは、事業環 展開しました。 境の整備や投資の奨励・維持のための改革を進める中央政府や地方 政府を支援して、 競合的市場、 成長、雇用創出を促進しています。 2015 年度の 2015年度は、61カ国で151の顧客と積極的な取組みを展開しました。 IFCアセット・マネジメント社 IFC アセット・ 官民パートナーシップ: IFC は、各国政 府に対し、インフラと基本 マネジメント社の I F C の 全 額 出 資 子 会 社 で あ る I F C アセ ット・マ ネジメント 社 的公共サービスの分野で官民パートナーシップの設計・実施の支援 運用資産総額は約 を行っています。IFC の助言は、 市民に対し電力、 水、 保 健医療、 ( AMC )は、途 上国市場 やフロンティア市場 への投 資を目的とす 85 教 育へのアクセス向上を図る民間セクターを助ける一方、 そうした る資金の動員と運用に携わります。AMC は、投資家が、IFC の新 サービスの質と効率を高めるのにも役立っています。 2015 年度は、 興 国 向け 投 資 案件にアクセスできるようにし 、さらにそうした市 53 カ国で102 の顧客と積極的な取組みを展開しました。 場 向けの 長 期 資 金 の 供 給 量を高めるために 2 0 0 9 年に設 立され 億ドル ました。その結果、IFC の開発目標達成がより確かなものとなるほ アグリビジネス: IFCは、 小規模農業事業体や、 コミュニティ、 IFC 顧 に達しました か、IFC の世界的活動、基準、投資アプローチ、実績を活用して投 客を対象に、 食糧バリューチェー ンの効率化と食糧安全保障に重点を 資家に利益をもたらすことが可能になります。 置き、 それらが 経 済・社 会・環 境にもたらす恩 恵を強 調 すること で、生産性や基準などの向上のための支援を顧客に提 供していま 2015 年 6 月30 日現在、同社の運 用資 産総 額は約 85 億ドルに達し す。2015 年度は、34カ国で111の顧客と積極的な取組みを展開し ました。 AMCは、 政府系ファンド、年金基金、 開発金融機関など、 様々 ました。 な機関投資家に代わって 9 件の投資ファンドを運用しています。 IFC年次報告 2015 67 AMC が運用するファンド ような企業にも直接 投 資を行うことがあります。2015 年 6 月 30 日 現在の承認済み 投 資額は総 額 1 億 7,50 0 万ドル(投 資案件は合計 IFC資本増強ファンド 7件)でした。 「 I F C 資 本 増 強ファンド」( 総 額 3 0 億ドル)は 、13 億ドル の 株 式 ファンドと17億ドルの劣後債ファンドで構成されています。このファン IFCグローバル・インフラストラクチャー・ファンド ドは 、システム 上 重 要とみ なさ れる 新 興 国 の 銀 行を 強 化して、 2013 年に立ち上げられた「IFCグローバル・インフラストラクチャー・ 金融情勢の悪化や景気後退局面での対応力を高めるために2009 年 ファンド」(総額 12 億ドル)は、IFC と共同で新興国のインフラ・セ に設 立されました。2015 年 6 月 3 0 日現在、このファンドは投 資枠 クターに持分投資や持分に関連した投資を行います。2015 年 6 月 の全 額が承認済みとなっています(総額 28 億ドル、投資案件は合 3 0 日現在の承 認 済み 投 資額は総 額 4 億 4,300万ドル ( 投 資 案件は 計 41件)。 合計10 件) でした。 IFC アフリカ・ラテンアメリカ・カリブ海ファンド 中国・メキシコ・ファンド 2010 年に立ち上げられた「 IFC アフリカ・ラテンアメリカ・カリブ 特定国を対 象とする「中国・メキシコ・ファンド( China-Mexico 海ファンド」 (総 額 10 億ドル)は、サブサハラ・アフリカ、ラテンア 「IFC 資本増強ファンド」 Fund )」は、2014 年 12 月のクロージングにおいて12 億ドルを調 メリカ・カリブ海地域の様々なセクターで持分投資と持分に関連し は 2015 年度、投資枠 達しました。このファンドは、IFC と共に、メキシコで持 分投 資、 た投資を行っています。2015 年 6月30 日現在の承認済み投資額は 全額が承認され、総額は 準持分投資、メザニン投資を行います。投資の対象は、主にインフ 総額 7億 9,0 0 0 万ドル(投資案件は合計 29 件)でした。 28 ラと石油・ガス・セクターですが、製造、アグリビジネス、サービス、 銀行といった他のセクターも含まれます。 アフリカ資本増強ファンド 億ドル 「アフリカ資 本 増 強ファンド」( 総 額 1 億 8, 2 0 0 万ドル)は、シス IFC 金融機関成長ファンド になりました テム 上 重 要とみなされるアフリカの商 業 銀 行に投 資するために 「IFC金融機関成長ファンド (IFC Financial Institutions Growth 2010 年に設立されました。2015 年 6 月30 日現在の承認済み投資 Fund)」(FIGファンド)は、「IFC資本増強ファンド」 の後継ファン 額は総額 1億 20 0 万ドル(投資案件は合計 6 件)でした。 ドで、新興国の金融機関に対し、持分投資や持分に関連した投資を 行います。このファンドは、2015 年 3 月のクロージングにおいて約 IFCロシア銀行資本増強ファンド 3 億 5,0 0 0 万ドルを調達しました。 「 IFC ロシア銀行資本 増強ファンド」(総額 5 億 5,0 0 0 万ドル)は、 ロ シアの 商 業 銀 行 に 投 資 するた め に 2 0 12 年 に 設 立 さ れ まし IFC 世界新興市場ファンド・オブ・ファンズ た。2015 年 6 月 3 0 日現在の承 認 済み 投 資額は総 額 8, 20 0 万ドル (投資案件は合計3 件)でした。 「IFC世界新興市場ファンド・オブ・ファンズ(IFC Global Emerging Markets Fund of Funds)」は、2015年 6月のクロージングにおいて 約 4 億ドルを調達しました。このファンドは主に、新興市場とフロン IFC 触媒ファンド ティア市場の様々なセクターの成長企業に重点を置くプライベート・エク 2012 年に立ち上げられた「 IFC 触媒ファンド」(総 額 4 億 1,80 0 万 イティ・ファンドに投 資を行いますが、このような成長企業に直接 ドル)は、新興市場で気候変動への取組みに革新的な方策を開拓 投 資を行ったり、新興市場のプライベート・エクイティ・ファンドに している企業の成長資金を提供するファンドに投資するほか、この 二次的な持分投資を行ったりします。 68 IFC年次報告 2015 アグリビジネス・林業 アグリビジネスは貧困削減に重要な役割を果たします。農 業セク ターは、多数の途上国で GDPと雇用の少なくとも半分を占めるこ とがよくあります。このセクターが IFC の優先課題であるのはその ためです。 産業に関する専門知識 IFC は、環 境面で持続可能であり社 会的に包摂的な形で、食 糧の 需要増大に取り組 んでいる民間セクターに支援を行っています。 顧 客が、農 家に対し在 庫、種、肥 料、化学品 、燃料 の購入 資 金を 2015 年度の 融 資できるよう、当該 顧 客に運 転 資金ファシリティを提 供してい 持 続 可 能 な 民 間 セクター 開 発 で I F C が IFC アグリビジネス・ ます。また貿易を振 興しコスト削減を図るため、倉庫や冷蔵 施 設 林業向け長期投融資の などのインフラ向け 投 融 資も行っています。さらに、作 物 栽 培が 主導的役割を果たしてきた背景には、 承認額は合計 持 続 的に可能な土地とするため、技 術 移転 や 最善 の資 源 利用法 一つの 固 有 な優 位 性 が反映されています。 を促 進して生産性の向上も助けています。 それは、IFCには、 のための支援で、 新興国の企業の成功と発展 60 年近く蓄積されてきた深遠 14 2015 年度のアグリビジネス・林 業向け 新 規長 期 投 融 資の承 認額 は合計約 14 億ドルで、IFC の自己勘定による承認額全体の約 13 % 億ドル を占めました。 で幅広い知識があることです。 に達しました (自己勘定分) IFC は、失業、気候変動、食糧および水の安全 金融機関 保障といった、開発をめぐる今後最大の課題 2015 年度の IFC 金融市場向け 健 全かつ包摂的で持 続 可能な金融市場は、資 源の効率的配 分を に取り組むため、産業に関する世界的知識を 長期投融資の承認額は約 可能にするため、開発には不可欠な存 在です。IFC と金融 仲 介機 活用する方向に乗り出しました。 関との協 働 作 業は、金融 機 関と金融 制 度 全 般の 強 化に貢 献して 47 きました 。またこの協力により、IFC が単 独で 達 成できる数を遥 かに超える多数の零細・中小企業への支援が可能になりました。 億ドル 金 融 仲 介機 関を 通すことによって、IFC は、女 性 所有ビジネスや に上りました 気候 変 動など、戦 略 的 優 先課 題であるセクターや、脆 弱・紛 争国 (自己勘定分) のような支援の立ち遅れた地 域、さらに住宅、インフラ、社会サー ビスといった分野で、関与をいっそう深めるよう金融仲介機関に 奨励することが可能になります。 2015 年度のインフラ・セクター向け新 規長 期 投 融 資の承 認額は 合 計 約 47 億ドルに達し 、IFC の自己 勘定による承 認 額 全 体 の 約 45%を占めました。 IFC年次報告 2015 69 消費者・社会サービス 製造 I F C は 、民 間 ヘ ルスケアと教 育に 投 資を行う世界最 大 の 国 際 機 製 造セクターは途 上国での機 会創出と貧困 緩 和に重 要な役割を 関です。質の高い保 健医療と教育へのアクセス拡 大に取り組む一 果たします。製 造 業に携 わる IFC 顧 客は、他のセクターの顧 客よ 方、観光、小売、不動産など、雇用を創出するセクターも支援して り多くの雇用を創出し、確保できるきらいがあります。 います。また、質と効率の基 準向上、ベストプラクティスの情 報 交 IFC は、化学品、建設資材、省エネ型機器、太陽光・風力発電装置 換促 進、経験豊かな技術者のための雇用創出も助けています。 など、製造分野での活動を拡大しています。また、新製品・新市場 IFC の役割には、社会的責任を担う企業への直接投資に加え、産業 を開拓する企 業や、国際競 争力をつけるためにリストラや近代化 に関する知識の共有、小規模企業への資金供与、医療と教育の基準 を進めている企業にも投融資を行います。 向上、顧客による低所得層へのサービス拡充支援なども含まれま 2015 年度の このような産業には、炭素排出量が最も多いセクターが含まれている す。2015 年度の消費者・社 会サービス向け新 規長 期 投 融 資の承 インフラ向け長期 ため、排出量とエネルギー消費量の削減に役立つ投資を立案・実施す 認額は総額 7億 4,80 0 万ドルに上り、IFC の自己勘定による承認額 投融資の承認額は約 るために、顧客に支援を行っています。 全体の約 7%を占めました。 2015 年度の製造セクター向け新規長期投融資の承認額は総計3 億 6,50 0 万ドルに達しました( IFC 自己勘定分)。 20 インフラ 億ドル でした(自己勘定分) 近代的なインフラの整 備は、 ほか、 経済 発展を促し、 急激な都市化や気候 変動など、 生活水準を高める 台頭しつつある開発課題に 石油・ガス・鉱業 取り組むための機会となりえます。 世界 の多 数の 最 貧 困 国にとって自然 資 源 採 掘 産 業はなくてはな インフラはまた、民間セクターが大きく貢献できる領域でもあり、 らない存 在です。この産業は、雇用、エネルギー、政 府歳入、そし 多数の利用者に基本的サービスを効率的かつ経済的に、しかも採 て地元 経済にもたらす他の様々な恩恵の重要な源泉となっていま 算をとりながら提 供することができます。IFC の主眼は、革新的で す。特にアフリカでは、こうした産 業で 大 規 模な投 資を持 続 可能 強い影 響力をもち、幅広い普及が可能なビジネスモデルを携えた な形で行えば、それに等しい規模の経済発展を期待することが可能 民間のインフラ・プロジェクトを支援することです。 です。 IFC はインフラ・プロジェクトへの 投 融 資はもとより、政 府に官民 石油・ガス・鉱 業セクターにおける IFC の使命は、この利点を途上 パートナーシップに関する助言を行うことで、電力、輸送、水へのア 国で実現するための助力となりつつ、エネルギー資源の持続可能 クセス拡充に役立っているほか、リスク緩和や特殊な金融の組成な な促 進を支 援することにあります。IFC は民間セクターの顧 客に ど他の機能も活用しています。2015 年度のインフラ・セクター向け 投融資と助言を提 供しますが、政 府に対しても、効果的な規制の 新規長期投融資の承認額は総計約 20 億ドルに達し、IFC の自己勘 導入や、バリューチェーン全体でこの産業の管理能力を強化する手助 定による承認額全体の約 20 %を占めました。 けも行っています。 70 IFC年次報告 2015 IFC は、この産 業への民 間 投 資を支 援し 、地 元コミュニティが 実 のある恩恵を享受できるよう尽力しています。2015 年度の同セク ター向け新規長期投融資の承認額は総計 5 億 1,50 0 万ドルに達し ました(自己勘定分)。 通信・情報技術 2015 年度の通信・ 情報技術向け 近代 的な情 報・通 信 技 術の 進歩により、貧しい人々もサービスや 長期投融資の承認額は 資源に容易にアクセスできるようになりました。こうした技術は、 総計 機会を拡大し、市場や機構をいちだんと効率化します。IFC は、この ような技術の利用度を高めようとしています。そのため、近代的な 2億 7,500万ドル 通信インフラの整備、情報技術ビジネスの構築、温暖化防止技術の 開発に力を入れる民間企業への投資を促 進しています。 また、国境を越えて他の途上国に進出する顧客への支援をいちだん に達しました と増やしています。2015 年度の同セクター向け新規長期投融資の (自己勘定分) 承認額は総計 2 億 7,50 0 万ドルに達しました(自己勘定分)。 IFC 年次報告 2015 71 IFC の職員と業務の進め方 途上世界で最も脆弱な立場にある 人々の貧困を緩和し、 機会を創出 するというIFCのコミットメントは、 組織の風土にも反映されています。 72 IFC年次報告 2015 IFC は、世界銀 行グループの 他の機関との連 携・協調を強めるこ とは、プロセスの簡素化、ベストプラクティスの 効果的共 有、そし て新たな協調分野の特定が可能になるため、顧客やパートナー、 職 員に恩 恵をもたらせると確 信しています。さらに、この 組 織 改 革により、2030 年までの極 度の貧困撲滅と繁栄の共有促 進を実 現するための世界銀 行グループの戦 略を、いちだんと充実した態 勢下で実施できるものと確信しています。 この新たな運営体制の下で、世界銀 行グループ全体で幅広い経 験 「グローバル・クライアント・サー を有する幹部を活用できるよう、 ビス総局」が新設されました。この新部門は、顧客層を広げつつ、 顧 客との関わりを強めることを目的に、投 融 資、助 言、顧 客 関 係 主眼を新たに: の総括的対応が可能になる単一のプラットフォームとなります。 また、IFC 取引の円滑化に向けたサービス統合を図るため、 「コーポ 以上の組織改善により、IFC IFCの組織改革 レートリスク・サステナビリティ総局」も設立されました。このグルー プは、IFC のリスク判断力の強化、各取引の承認プロセスの簡素化、 は、開発成果と財務持続 リスク管 理アプローチの強化、そして、コンプライアンス、法務、 可能性を最大限に高める 増 大する開発課題に首尾よく取り組むた 利害対立の可能性などの取組みを支援していきます。 め、IFC は、2014 年に、より敏 速に行 以 上の 組 織 改 善 により、IFC は、開 発 成 果と財 務 持 続 可 能 性 を 最大限に高めることが可能になるだけでなく、世界銀行グループの ことが可能になります。 動でき、いちだんと標的を絞り込んだ組織構 ソリューションに民間セクターの威力を活用しながら、喫緊の開発 造を導入しました。この「 A Refocused IFC 課題に取り組む態勢を整えることができるようになります。また、 (主眼を新たに)」と呼ばれるイニシアティブ この改革は、職員にかかる事務処理の負担を軽減し、より幅広い 昇進の機会を提供するものと期待されます。 は、世界銀 行グループの他の機関との協調を IFC は、顧 客重 視と、財務 持 続 可能 性、そして開 発成 果を正しく 強化して、より顧 客重 視 型の、包括的 対 策を 「成功度」 把握できる適切な枠組みを反映した、 の測定とモニタリン 提 供できる、サービス効率の高い業務を推進 グについての新たな基 準を続けて開発しています。最 終的には、 することを目指しています。 成長、開発 効果、顧客からのフィードバック、財務持続可能性を含 めた、IFC の結果とパフォーマンスに関わる基準が包括的に網羅 される予定です。 IFC年次報告 2015 73 IFC は、極 度の貧困撲滅と繁栄の共有促 進という世界銀行グルー プの二つの目標に効果的に寄与しているかどうか、そして IFC 支援 を最も必要としている人々や市場でその業務が功を奏しているか どうかを評 価するため、自身と顧客の達成した成 果の測定を行っ ています。 IFC が組 織 統合を図り、目標 達 成に向けて業務の焦 点をシフトさ せる中で、IFC の結果測定・実証システムは、事業上のニーズを適 切に反映させるため、常に変化しています。IFC はまた、単に個々 の取引が達成した成 果だけでなく、持続可能な民間セクター開発 IFCの結果測定 に及ぼした IFC の幅 広い貢献についての理 解も深めようとしてい ます。 システムは、事業上 開発成果の把握 現 在 推 進中の 結 果 測 定システムの改善は、投 融 資と助 言 業 務を のニーズを適切に 通じて、雇用創出と経済成長 促 進に注いだ IFC の努力を明確にす るのに役 立つでしょう。それにより、国・セクター・プログラム・ 反映させるため、 民 間セクターは、成長促進と、人々の生活 レベルでの結果アセスメントが向上するほか、顧 客や業務チーム を向上するための雇用創出に、欠くこと にとっては、個々の取引結果の監視も容易になるでしょう。 常に変化しています。 こうした改善は、IFC の既存の結果測定システムを礎にして進めら のできない重要な役割を果たしていますが、 れています。すなわち、これまでに功を奏した機能を保存し、他者 民間セクターのどの活動が開発に最も大きな とのパートナーシップを活用し、開発金融機関におけるIFC の主導 影響を与えるかを正確に把握することも極めて 的地位もそのまま堅持しているのです。 重要です。 IFC 結果測定システム IFC の 結果 測定システムは、IFC の開発目標 、開発 結果の取引ご との 測 定とポートフォリオ・レベ ルで の 集 計 が 可能 なモニタリン グ・システム、そして IFC 業務の成 果の体系的評 価という、相互に 補強し合う3 つの要素を特徴としています。 74 IFC年次報告 2015 モニタリングおよび追跡システム IFC の開発目標 IFC は、投融資とアドバイザリー・サービスの開発結果をモニターする IFC の開発目標( IDG)とは、IFC の調印済みまたは承認済みプロ ために 「開発結果追跡調査システム (DOTS)」を利用しています。 ジェクトの実 施 期間中に提 供する支援の広がりやアクセスなど、 具体的な開発 結果を達成するための目標を指します。 投融資業務では、DOTS は、特定の例外を除き、1,900 社を監視し ています。「開発効果の広がり」を示す指標は、投融資の規模を問 五つの目標、すなわち、インフラ整 備、農家の生計改善、金融サー わず、顧客の支援が何人に行き届いたか、あるいは、特定のステー ビスへのアクセス拡 大、保 健医療・教育の 促 進 、温 室 効果ガスの クホルダーにどれほどの経済的利益をもたらしたかを測定するも 排出量削 減はどれも、世界銀 行グル ープのスコアカードと整合し のです。開発 結果の全体的スコアは、20 06 〜2011年までに承認 ており、IFC のコーポレート・スコアカードにも全面的に組み込ま された、より最近で、重要性の高い、円熟期にある投融資 918 件の れています。これらの目標の達 成 状 況の監視は、現在、向こう3 年 うち 820 件を対象に評 価したものです。全体的 DOTS スコアは、 の目標 達 成 期間の 2 年目に入っています。詳 細は 77ページの表を 4つのパフォーマンス領域 (財務、経済、環境・社会、および民間セ ご覧ください。 クターによる幅広い開発成果)を総合したものです。 IFC は、投融資業務における一 連の DOTS 指標を整理し、 これに IFC による評価 関連したモニタリング・ プロセスを、 以下の 2 つの目的を達 成する IFCは、プロジェクトの達成状況を自己評価し、業務のさらなる改善 ために簡素化しました。 (i)業務と顧客に関連した指 標の重要性 に利用できるよう、教訓を引出しています。完了済みプロジェクト、 強化、 ( ii )有効性と効率の改善。 あるいは、業務上円熟期に入ったプロジェクトについては、独立評価 例えば、環 境・社 会パフォーマンスでは、この方面の専門家 が 実 グループ(IEG)の協力を得て、業務チームによるプロジェクトの自己 施した顧客評 価の詳 細を基にして、一 連のコア指 標を導入しまし 評 価 方法をさらに改善しました 。加えて、重 要なプロジェクトや た。これらの 指 標は、顧 客による IFC パフォーマンス基 準の実 施 プログラムについては、より多くの開発成 果の実例を示すため、 状況を測定するものです。こうしたプロセスの改善に加え、データ さらに深く掘り下げた評 価を行います。2015 年度は、この枠組み 収集や結果報告作成の際の容易性、効率、質向上を目指す技術的 の下で、35 件の評 価 作業を完了しました。また、評 価 結果を世界 ソリューションも引き続き取り入れています。 銀行グループ外に伝えることができるよう、情報公開方針を策定して、 IFC の広報ウェブサイトに評価概要を公表しました。 一方、助言業務では、2015 年度の DOTSスコアは、2014 年に完了 報告書が提出された106 件の審査結果に基づき、開発効果の評価 が可能と判断された10 0 件が対象となりました。ただし、セクター 別調査、市場調査、知識共 有向け会議、あるいは IFC 内部の知識 構築ツールの設 定に関与しているものなど、特定の例外規定を満 たしているプロジェクトは評価の対象とはなりませんでした。 IFC年次報告 2015 75 結果測定システムの改善 国およびプログラム・レベルの結果の重視 改善 後の IFC 結果測定システムは、評 価 作業や、世界銀 行グルー IFC は、世界銀行グループの国別パートナーシップ枠組みにおける プの合同フレームワーク下での協調作業を通じて得られた IFC の 国レベルの開発目的へのIFCの貢献度をモニターできるよう、結果枠 介入の成果を、国・セクター・プログラム・レベルでより正確に把握 組みの立案の際に、世界銀行とMIGA との連携をさらに緊密 化し するのに役立ちます。 ています。今年は、パナマとミャンマーの結果枠組みの立案を支援し ました。この枠組みはその後、理事会により検討されました。来年は、 さらに 15カ国を対象に、このような枠組みの共同立案を手掛ける 成果とのつながりの強化 予定です。こうした IFC による結果枠組み向上の取組みは、当該国 評 価作業は IFC の結果測定枠組みの重要素です。それは、経 験か に対する世界銀行グループの幅広い支援という文脈の中で、IFC の ら教 訓を学び、戦 略についての情報を伝え、より包括的に開発成 開発 効果を明示するのに役立つでしょう。 果を査定し報告する際の助けとなります。今年は、成長促進と雇用 IFC はまた、一つの共 通の目的の下で複 数の投融資・助言業務を 創出に加え、金融、観光、養鶏、電力、中小企業(SMEs)などの主要 推 進するというIFC の戦略的関わりについての結果枠組みも立案中 セクターにおけるアクセス拡充で、IFCの貢献度をより詳しく検証する です。これらの枠組みは、いくつかのプログラム・レベルの指標を用 という体系的な評価戦略を導入する方向へと動きました。 いて策定されますが、この指標のモニタリングはプロジェクト・レベル 例えば、電 力セクターでは、IFC 業 務チームの 知 見向上のための で行われます。さらに IFC は、プログラム・レベルの評 価の立案と 情報源となるよう、さらに多くの評価や調査を利用しました。その 実 施も行っています。2015 年度は、電力および農 業セクターで の 一環として、各国の国内総生産(GDP)の推計をはじめ、建設・操 IFC 業務枠組みを策定しました。 業・維持補修活動が雇用に与えた影 響や、増大した電力供給量を 試算するため、国レベルの計量経済学的な出入力方式を用いた、 パートナーシップの活用 エクセル・ベースの使い易いツールを開拓しました。このツールは、 途上国 20 カ国を対象に、雇用とGDP に及ぼした様々な影響、すな IFCは、開発機関全体の民間セクター業務をモニターするため、指標 わち直接的、間接的、誘 発的、副次的な成長効果の推計も行いま の調 和 化でも重 要な役 割を果 たしています。2 013 年には、他の す。同様に、IFC 顧客である金融仲介機関の恩恵を受けた SME を 25 の開発金融機関( DFIs )との連携により、セクター全体を網羅 例示するための方法も開拓しました。 する 27の定 量的指 標の調和化を進めました。今年 、IFC はこれら の指標の実施に着手したほか、DFIグループは、調和化された指標 さらに今後は、極度の貧困撲滅と繁栄の共有促進という世界銀行 の実施管理にあたる運営委員会(6人の委員で構成)の設置など、 グループの二つの目標とIFC 投融資活動との連関性をより深く理解 正式なガバナンス・メカニズムを設定しました。同委員会は今後、 するため、システム・アプローチをとっていく意向です。 これらの 指 標 以 外 の 分 野における合 同業 務 の機 会も探 索してい きます。 「民間セクター業務のための指 標 このイニシアティブは、 調和化」と呼ばれ、それ自身のウェブサイト( hipso.net)も有して います。この経 験を活かして、IFC は、民間セクター開発に携わる 22 カ国のドナーで構成されるフォーラム「経済開発のためのドナー 委員会」と協力して、助言業務の成果の監視と報告に関連した指標 の調和化も進めています。 76 IFC年次報告 2015 開発効果 助言業務では、今年クローズされ開発 効果の測定が可能となった IFC プロジェクトのうち 73 %が高い評 価を受けました。助言業務 の開発 結果スコアは、過去 5 年間にわたり、目標の 65 %を上回っ マクロ経済と金融市場の情 勢は近年 、大幅に悪化しました。それ てきました。加えて、IFC の助言業務に満足していると答えた顧客 で も、IFC 投 融 資 業 務 の 全 体 的 な開 発 結 果 スコアは、基 本 的に の割合は 91%に達しました。 横ばいで推移し、目標の 65 %よりやや 低めの 63 %の顧 客が高い 評価を受けました。大型プロジェクトは一般に、小型プロジェクト 最高のパフォーマンスを達成した中東・北アフリカ地域では、今年 より低リスクです。そこで、このスコアを投融 資額で加重すると、 クローズされたプロジェクトのうち 90 %が開発 効果で高い評 価を 実に 72 %の顧客が高い評価を受けました。 受けました。また、同地域では、3 年間の平均で、パフォーマンス・ 産業別では、金融セクターの投融資先顧客が最高のパフォーマン スコアが過去最高の14 ポイント向上しました。これらのプロジェク スを達 成し、74 %の顧 客が高い評 価を受けました。これは、前年 トは主に、金融セクターと官民パートナーシップ開拓に重点が置か 比で 6 ポイント増にあたり、東アジア・大 洋州地 域と中東・北アフ れました。ヨーロッパ・中央アジア地域では、高い評価を受けた助 リカ地 域 を中心 に、全地 域 で 新旧両 顧 客 のパフォーマンス向 上 言プロジェクトの割合が落ち込みました。この低下は、域内で評価 が見られました。セクター別では、評価対象となったポートフォリオ 対象となったプロジェクト数が比較的少なかったことを反映したも の 60 %にあたるマイクロファイナンス・SME 金融プロジェクトが、 ので、いくつかは、官民パートナーシップの実施中に政 府の優先課 特に民間セクター開発と財務パフォーマンス分野で最高のスコアを 題の変更による影響を受けました。 達成しました。 助言 業 務 の業 務 分 野別開 発 結果は、79 ページの表をご覧くださ 新興 国 の成 長 減 速と一次 産 品 価 格 の 低 迷を 受け、インフラと石 い。なお、IFC の組織改革( 72 ページ参照)に伴い、前年度との比 油・ガス・鉱 業を中心とした実 質セクターのプロジェクト・スコア 較は、IFC 全体と地域レベルにおいてのみ可能です。 が 低下しました。インフラでは、金融 情 勢と景 気の悪 化により、 一部のプロジェクトの実施が妨げられ、高い評価を受けた顧客の 割合が 低下しました。石油・ガス・鉱 業でも、ポートフォリオ中の 開発効果の広がりと結果 新規プロジェクトが主に初期段階の小型投融資だったことが響い て、結果スコアが低下しました。このスコアをプロジェクト規模で IFC の投融資と助言サービスを受けた顧客は、全世界で多数の人 加重すると、高い評価を受けた顧客の割合は 82 %に達しました。 々に支援の手を広げ、その中には目覚ましい成 果を達 成したもの 投融資業務の地 域別パフォーマンスは、南アジア地 域での約 5 ポ もあります( 78 ページ参照)。以下はその一 例です。 イントの 低下、東アジ ア・大 洋 州 地 域 で の 約 5 ポイントの上 昇 を 例外に、広い範囲で安定して推移しました。東アジア地 域では、 金融拡大 金融市場、アグリビジネス・林業 、消費者・社 会サービス、通信・ メディア・技術など大半のセクターで堅実なパフォーマンスを上げ › 零細・中小企業向け貸付に重点を置く331の金融仲介機関と協力 たため、高い評価を受けた顧客の割合は 65%に向上ました。南ア した結果、これらの機関が提供した小口貸付は4,400 万件、中小 ジアでは、インドのインフラ・セクターを中心に新規プロジェクト 企業向け貸付は400万件に上り、その合計は 2,700 億ドルに達し のパフォーマンスが悪化したことを受けて、高い開発 評 価を受け ました。また、IFC 顧客が提供した住宅ローンは96万5,000 件で、 た顧客の割合は 61%に留まりました。 総計 220 億ドルに上りました。 IFC年次報告 2015 77 › デジタル金融サービス方面のパートナーを支援した結果、非現 › 政 府と結んだ官民パートナーシップ 契約は 18 件に達し、それに 金小売 取引は、合計7,0 0 0 万件、総 額 1,6 0 0 億ドル以 上に達し より、1,60 0 万人 近くの人々がより充実したインフラ・保健医療 ました。 サービスにアクセスできるようになるほか、民間 投 融 資として 総額 58 億ドル以上を動員できる見通しです。 › 金融市場強化のため担保登記所や信用調査機関と協力した結果、 合計 12 億ドルの融資につながりました。また、動産を担保に借 › 企業による新慣行や新技術の導入を助けた結果、9億 2,900万ドル 入を受けることができた零 細・中小企 業は 約 2 9 万 4,0 0 0 社に の追加資金の誘引が可能になりました。そのほぼ全額はIFC 以外 上りました。加えて、ジャマイカ、サモア、ウズベキスタン、タジキス の資金筋から調達したものです。また、コーポレートガバナンス改 タンでは、信用調査機関の設立と改善も助けました。 革向け支援が功を奏し、顧客に対し5 億3,500万ドルの資金動員 が可能になったほか、クリーンエネルギー技術や効率的な資源利 用技術の導入により、3億8,400万ドルの投融資つながりました。 ソリューションとサービスの提供 › IFC 顧客は、前年比で 3 0 %増にあたる9,90 0 万人の人々に電力 事業環境の整備 を供給(発電および 送電)しました。うち 3 分の1以 上はサブサ ハラ・アフリカ地域の利用者でした。 › 成長と起業を奨励する投資環境整備改革の導入を支援した政府 は47カ国に上り、その件数は合計 94 件に達しました。うち78 件は › IFC 顧客が提供した電話接続数は、 主に南アジア地域を中心に、 IDA 融資適格国(脆弱・紛争状況 25 件を含む)で実施されたもの 前年比 31%増にあたる 2 億 3,70 0 万台に達しました。 です。 › IFC 支 援のおかげ で、オフグリッド型照明を手ごろな価 格で受 › 中央政 府と地方政 府による改革や投 資促 進を支 援した結果、 けられるようになった人々は 2,640 万人に上りました。 推計7億 4,30 0 万ドルの新規投融資につながりました。 IFC の開発目標 2015 年度の 2014 〜2016 年度の 2015 年度の 目標値に対する 目標値に対する 目標 2015 年度の IDG目標値 2014 〜2016 年度の目標値 * IDG 達成値 達成度 (%) 達成度 (%) 持続可能な農業のための機 会の増加または向上 恩恵を受ける人:148 万人 恩恵を受ける人:464 万人 129 万人 87% 54% 保健医療・教育サービスの向上 恩恵を受ける人:574 万人 恩恵を受ける人:1,480 万人 1,292 万人 225% 143% マイクロファイナンス顧客のための金融サービス・ 恩恵を受ける人:2,775 万人 恩恵を受ける人:8,359 万人 5,225 万人 188% 106% アクセス拡大 中小企業 顧客のための金融サービス・アクセス拡大 恩恵を受ける人:152 万人 恩恵を受ける人:461万人 146万人 96% 55% インフラサービスの増強または向上 恩恵を受ける人:2,576万人 恩恵を受ける人:7,536万人 9,354 万人 363% 154% 温室効果ガスの排出量削減 二酸化炭素換算値で 二酸化炭素換算値で 969 万トン 159% 83% 年間 608 万トン削減 年間 1,842 万トン削減 *3 年間( 2014 〜2016 年度)の累計。 78 IFC年次報告 2015 IFC 投融資を受けた顧客による開発効果の広がり ポートフォリオ ポートフォリオ 2013 暦年 2014 暦年 投融資 雇用数(百万人)1 2.6 2.5 マイクロファイナンス・ローン 件数(百万件)2 29.0 43.6 金額(十億ドル) 2 27.9 35.3 中小企業( SME)向けローン 件数(百万件)2 5.3 4.3 金額(十億ドル) 2 275.7 234.4 貿易金融 件数(百万件)3 2.0 1.8 金額(十億ドル) 3 310.0 266.0 サービスの利用者 発電(利用者数:百万人) 51.3 55.8 送電(利用者数:百万人) 4 25.2 43.6 給水(利用者数:百万人) 5 28.4 23.4 ガス(利用者数:百万人) 6 39.8 35.0 電話(接続数:百万台)7 180.9 237.2 患者数(百万人) 27.1 17.3 生徒・学生数(百万人) 2.5 3.5 農家数(百万戸) 2.9 3.4 サプライヤーおよび政府への支払い 財・サービスの現地購入額 (十億ドル) 34.3 51.9 政 府の収 入(節約)への貢献(十億ドル)8 19.1 19.5 上記の数値は 2013 年末と 2014 年末(共に暦年)においてIFC 顧客が達成した開発 効果の広がりを指す。2013 年と 2014 年(共に暦年)のデータは、IFC 顧客のポートフォリオ の内容が変化するため、厳密な対比は不可能 。 マイクロファイナンス・ローンと中小企業向けローンの結果にはアドバイザリー・サービスによる貢献 度も反映されている。顧客 が提 供したデータは、 様々な形で監督・管理がなされているが、 ときには推定値であったり、指標の定義が顧客によって若干異なったりする場合がある。 1. 雇用に関するデータには、 ファンドがもたらした雇用数を含む。 2. この広がりのデータは、 IFC 顧客(零細・中小企業に重点を置く金融機関/プロジェクト) の2013 年末と2014 年末(共に暦年) における零細・中小企業向けローン残高を示す。 2014 暦年には、報告義務を有する顧客 331社の 93%が実際に報告を行った。欠測データは補外法により推定。 2013 暦年のローン・データは、数社の顧客が数値調整を行った ため、件数と金額ともに修正された。 3. グローバル・トレード・ ファイナンス・プログラムの新興国銀行ネットワークから融資を受けた貿易の取引件 数と取引額の推定値 。 ネットワーク内で活発に業務を進める銀行 の 90% については実際のデータを使用。 残りは補外法により推定。2014 暦年に適用された手法の変更により、 2013 暦年と2014 暦年の厳密な対比は不可能。取引数には、 IFC が直接保証したものと、 プログラムのネットワーク内の銀行によって実施されたものを含む。 4. 2013 暦年の送電利用者数の合計は、 ラテンアメリカ・カリブ地 域のある顧客によるデータ調整に伴い修正された。 5. 2013 暦年の水利用者数の合計は、 ラテンアメリカ・カリブ地 域の顧客 2 社によるデータ調整に伴い修正された。 6. 東アジア・太平洋地 域のある顧客が2014 暦年に普及したガス利用者数は 3,180万人に達した。 7. 南アジア地 域のある顧客が2014 暦年に普及した電話接続数は 1億 3,580万台に上った。 8. 2013 暦年の政 府への支払い合計は、 ラテンアメリカ・カリブ地 域の顧客 2 社によるデータ調整に伴い修正された。 IFC年次報告 2015 79 2015 年度の投融資サービスのパフォーマンス分野別 DOTS スコア 投融資サービスの地域別 DOTS スコア:2014 年度 VS. 2015 年度 高い評価を受けた割合(%) 高い評価を受けた割合(%) 開発成 果 63% IFC 全体 64% 72% 63% 財務パフォーマンス 47% ラテンアメリカ・カリブ海 67% 55% 65% 経済パフォーマンス 55% 東アジア・大洋州 61% 63% 65% 環境・社会パフォーマンス 68% 中東・北アフリカ 62% 70% 64% 民間セクター開発 効果 70% サブサハラ・アフリカ 64% 77% 63% 加重前      加重後   南アジア 66% 61% ヨーロッパ・中央アジア 61% 投融資サービスの産業別 DOTS スコア:2014 年度 VS. 2015 年度 61% 2014 年度      2015 年度   高い評価を受けた割合(%) IFC 全体 64% 2015 年度のアドバイザリー・サービスの業務分野別 DOTS スコア 63% 高い評価を受けた割合(%) 金融市場 68% 74% IFC 全体 73% ファンド 72% 省エネ・資源の効率的利用 88% 74% 投資環境の整 備 87% アグリビジネス・林業 61% 産業横断的分野 82% 62% インフラ 金融セクター 70% 66% 61% アグリビジネス 67% 石油・ガス・鉱 業 69% 官民パートナーシップ 50% 55% 上記の「金融セクター」には、世界銀行グループの金融・市場グローバル・プラクティス(FMGP)部門の統括チーム 製造 55% が実施したプロジェクトを含む。 53% 消費者・社会サービス 57% アドバイザリー・サービスの地域別 DOTS スコア 52% 通信・情報技術 高い評価を受けた割合(%) 42% 41% IFC 全体 73% 2014 年度      2015 年度   75% 中東・北アフリカ 90% 76% 南アジア 82% 81% サブサハラ・アフリカ 74% 72% ラテンアメリカ・カリブ海 72% 76% 東アジア・大洋州 60% 66% ヨーロッパ・中央アジア 50% 76% 2015 年度      2013 年度〜2015 年度   80 IFC年次報告 2015 業務拠点 2010年度 2015年度 勤務地 米国 1,542 (46%) 1,525 (41%) 職員 その他の国 職員合計 1,816 (54%) 3,358 2,162 (59%) 3,687 IFC の現地事務所は 多 出身国(常勤職員) 2010年度 2015年度 100 様な背景をもつ職 員は、IFC の最も重 要な資 産です。職 員の出身国は 14 0 カ 出身国 IDA 支援国 1 1,270 (38%) 1,393 (38%) 国を超え、それにより革新的な解決策と国際 カ国に配備 その他の国 2,088 (62%) 2,294 (62%) されています 合計 3,358 3,687 的なベストプラクティスを現 地 顧 客にもたら すことが可能になります。 出身国(上級職以上) 2010年度 2015年度 職員の出身国は IFC の現地事務所は10 0 カ国に配備されてい 出身国 IDA 支援国 1 947 (46%) 1,100 (44%) 140 ます。職員の半数以 上( 59 %)は現 地事務所 その他の国 1,110 (54%) 1,392 (56%) 合計 2,057 2,492 で活動しており、IFC 内の権限移譲のコミット 1. IDA 加盟時に自主的に「支援国」と宣言した国を指す。 メントを反映してその割合は増え続けていま カ国に上ります す。また職 員の大半( 62 %)は IDA 支 援国以 男女比(常勤職員) 2010年度 2015年度 外の国の出身者です。このような多様な背景 性別 職員の があるからこそ、IFC の 視 野 が広 がり、民 間 女性 1,785 (53%) 1,977 (54%) 男性 1,573 (47%) 1,710 (46%) 60% セクター開 発が最 大の 効 果 を 発 揮 する分 野 合計 3,358 3,687 に力を注ぐことができるのです。 近くは現地事務所で 男女比(上級職以上) 2010年度 2015年度 活動しています 性別 女性 825 (40%) 1,085 (44%) 男性 1,232 (60%) 1,407 (56%) 合計 2,057 2,492 IFC年次報告 2015 81 パフォーマンスに報い、さらに脆 弱・紛 争 国向けプログラムなど 報酬 IFC の戦略的優先課題を支援することを目的としています。 IFC の報酬に関する指 針は、世界銀 行グループの枠組みの一 部と なっています。様々な国から有能な職 員を惹きつけ堅 持していく 福利厚生プログラム には、報酬が国際的に競合可能なものでなければなりません。ワ IFC は、医療保険、生命保険、就労不能所得補償保険、年金プラン シントン本部で採用される職員の給与体系は、元 来、国際的競合 など、他の 組 織にひけをとらない福利厚生プログラムを提 供して 性で実績のある米国市場を基 準にして決められてきました。米国 います。医療 保険料は 75 %を IFC が、残りの 25 %を本人が負担し 以 外の国で採 用される職 員の給与は、現 地の独 立市場調 査の 結 ます。 果に従い、当地の競 合 性に基づ いて決 定されます。さらに、世界 銀 行グループに付与された国際機関という地位により、職 員の給 IFC の年金は世界銀行グループの年金プランの一部となっており、 与は税引き後の金額を基準にして決められます。 2 つの給付部分で構成されています。 一つ目は、勤続年数、給与、 定年退職時の年齢に基づく全額拠出型確定給付年金で、二つ目は、 給与の 5%が自動的に積み立てられ、職員の任意選択により給与の 変動型賞与プログラム 6%を積み立てることでき、IFCが年に10 %を補充するというキャッ IFC の変 動 型 賞与プログラムは、功 績の認 識 や、パフォーマンス シュバランス型年金プランです。さらに世界銀行グループは、ワシン に関する各種アワード(各年の評定と長 期的評定を含む)など複 トン勤務の職員に対し米国の確定拠出年金 401(k)プランを、また現 数の部分で構成され、ハイパフォーマンスを重んずるIFC の風土を 地事務所の職員に対しては積立貯蓄プラン(共に任意)を提供して 支えています。これらのアワードは、チームワークを奨励し、優れた います。 職員の給与体系(ワシントン DC ) 2015 年 6 月30 日現在の世界銀行グループ職員の給与体系(税引き後)と年間平均手取り給与、ならびに年間平均諸手当は以下に示される通りです。 最低額 市場の基準額 最高額 職階別職員の 職階別平均 平均諸手当 a 職階 代表的な職位 (ドル) (ドル) (ドル) 割合(%) 給与(ドル) (ドル) GA 事務アシスタント 23.900 34.100 44.300 0.02% 42.233 24.702 GB チーム・アシスタント、情報技術者 30.100 43.000 55.900 0.5% 44.269 25.893 GC プログラム・アシスタント、情報アシスタント 37.200 53.100 69.000 9.5% 55.934 32.716 GD 上級プログラム・アシスタント、情報スペシャリスト、 43.900 62.700 81.500 7.6% 69.346 40.560 予算担当アシスタント GE アナリスト 58.900 84.200 109.500 10.0% 79.845 46.701 GF 専門職 78.300 111.900 145.500 22.4% 103.520 60.549 GG 上級専門職 105.700 151.000 196.300 31.0% 142.515 83.357 GH 管理職、専門職主幹 144.000 205.700 267.400 16.1% 200.468 117.254 GI 局長、シニア・アドバイザー 220.800 276.000 331.200 2.4% 264.534 154.726 GJ 副総裁 272.500 320.600 368.700 0.4% 327.814 191.738 GK 専務理事、執行副総裁(長官) 303.000 356.500 410.000 0.1% 382.207 220.614 注:米国市民以外の世界銀行グループ( WBG)職員の報酬は通常、 非課税所得であるため、こうした職員に支払われる給与は税引き後の金額を基準に設 定される。この税引き後の金額は一般に、WBG が給与算定の参照とする組織や企業の職員の税引き 後の手取り額に相当する。給与水準の上位 3 分の1を満たす職員はわずかしかいない。 a. 医療 保険、生命保険、就業不能所得補償保険、退職金、その他の給与以外の手当を含む。税額控除は除外。 82 IFC年次報告 2015 ガバナンス 理事会 各加盟国は総務1名と総務代理1名を任命します。IFC の組織とし ての権限は総務会に付与されており、総務会はその大半の権限を 25 名の理事で構成される理事会に託しています。また各理事に与 世界銀行グループにおける えられた議決権数は、各々が代表する国の出資額に比例したもの IFCの位置づけ です。 理 事は、米ワシントン DC にある世界銀 行グル ープの本部で定 期 世界銀行グループは、途上国に資金援助や技術支援を行う重要な 的に会 合を開き、投 融 資の審 査・決 定のほか、IFC の運営陣に対 存在です。その使命は、専門家としての精神と熱意をもって貧困に し全体的戦 略についての指 導を行います。世界銀 行グループの総 取り組み、永続的な成果を上げることにあります。 裁は IFC の総裁も兼 任しています。 IFC は世界銀行グループを構成する 5つの機関の1つですが、独自 の設 立協定、出資金、財務構 造、運営陣 、職 員を有する別途の法 人です。IFC への加盟は、世界銀 行の加盟 国だけに限られていま 総裁と長官の報酬 す。2015 年 6 月 3 0 日現在の IFC の 払 込 資本金 約 25 億 6,0 0 0 万ド ルは、加盟国 184カ国によって保有されています。これらの加盟国 世界銀行グループ総裁の給与は同グループの理事会で決定されま は IFC のプログラムや活動に指針を与えます。 す。IFC長官兼 CEO の給与は、米国で毎年実施される独立報酬市 場調査の結果に基づき、最高レベルの IFC 職員の給与と世界銀行 IFC は、機会を最も必要とする場で機会を創出することを、 民間セ グループ 総 裁の給与の中間点とされています。総裁と長官の報酬 クターとの協働によって進めています。 1956 年の設 立以来、途 上 は一 般に公開されています。ジン・ヨン・ツァイ(蔡 金勇)IFC 長 国の民間セクター向け投融資の承認額は総 額 1,80 0 億ドル (自己 官の 給与は 39 万 9,4 0 0ドル(税引き後 )でした。総 裁と長官には 勘定分) 近くに達したほか、他機関から動員した資金は 400 億ドル 報奨パッケージはありません。 を超えました。 極度の貧困撲滅と繁栄の共有促進にあたり、IFCは世界銀行グルー プの他の機関と緊密に連携をとっています。 IFC年次報告 2015 83 着席 (左から右) :Hervé de Villeroché(フランス)▪ Patrizio Pagano(イタリア) ▪ Subhash Chandra Garg(インド)▪ Merza Hasan(理事長、クウェート)▪ Rionald Silaban(インドネシア) ▪ 管 正広 (日本)▪ Gwen Hines (英国) ▪ Nasir Mahmood Khosa(パキスタン) 起立 (左から右) :Jose A. Rojas R. (ベネズエラ・ ボリバル共和国) ▪ Frank Heemskerk (オランダ) ▪ Ursula Müller(ドイツ) ▪ Jörg Frieden(スイス)▪ Louis Rene Peter Larose(セーシェル) ▪ Franciscus Godts(ベルギー) ▪ Shixin Chen(中国)▪ Alister Smith(カナダ) ▪ Satu Santala(フィンランド)▪ Ana Dias Lourenco (アンゴラ) ▪ Khalid Alkhudairy(サウジアラビア) ▪ Sung-Soo Eun (大韓民国) ▪ Alex Foxley(チリ)▪ Antonio Silveira (ブラジル) ▪ Mohamed Sikieh Kayad (ジブチ) ▪ Andrei Lushin(ロシア連邦) 写真なし:Matthew McGuire(米国) IFC の加盟国――出資国による力強い支援 合計 100% 米国 20.99% 日本 6.01% ドイツ 4.77% フランス 4.48% 英国 4.48% インド 3.82% ロシア連邦 3.82% カナダ 3.02% イタリア 3.02% 中華人民共和国 2.30% その他 174カ国 43.29% 84 IFC年次報告 2015 説明責任 インフラ・セクターで は、困 難 な規 制 環 境やフロンティア地 域 で も、IFCが高い開発効果の達成に貢献できることが、IEGの評価に よって示されました。また製造セクターでは、イノベーションやコスト 効率の向上がプロジェクトの成功に寄与し、その結果、民間セクター 開発に資する成果がもたらされました。IEG報告書はウェブサイト上 独立評価グループ で一般に公開されています(http://ieg.worldbankgroup.org)。 独立評価グループ( IEG)は、評価を通じて教訓を引き出すことに より、IFC の学習という課題に貢献しています。IEG は IFC 運営陣 コンプライアンス・アドバイザー/ とは独 立した存 在で、世界銀 行グループの理事会に直 属していま す。その 使 命は、戦 略や将 来 進めるべき業務を伝えるような優れ オンブズマン た評 価を行って、世界銀 行グループの全機関の開発 効果を高める ことにあります。 コンプライアンス・アドバイザー/オンブズマン ( C AO )室は、 IFCと多数国間投資保証機関 (MIGA )の説明責任を追及する独立 IEG は、IFC の 適 格な投 融 資と助 言プロジェクトを評 価します。 したメカニズムです。 CAOは、環境・社会面の結果を高めることを目 評 価 結果は、世界 銀 行グル ープの 結 果とパ フォーマンスに関 す 的に、 IFC とMIGA のプロジェクトによる影響を受けた人々の苦情 る IEG 年 次 評 価 報告書に掲載されます。直 近の報告書( 2014 年 に対処します。 CAOを統率するオズワルド・グラタコス副総裁は、 版)によると、投 融 資プロジェクトの全 体的な開発 効果は前年に 独立した選定過程を経て2014 年 7月に任命されました。 同氏は世界 比べて低下したと述べています。この低下は概ね、世界金融危機と 銀行グループ総裁の直下に置かれています。 特定のプロジェクト要因からの影響に起因したものでした。IFC ア ドバイザリー・サービスでは、ラテンアメリカ・カリブ海地域、東ア CAO は、コミュニティとIFC 顧客の間で発生した紛争解決、IFC の ジア・大洋州地域、そして官民パートナーシップの業務分野で、開発 環境・社会パフォーマンスの調査、そして世界銀行グループ総裁と 効果が大幅な改善を見ました。 幹部への独立した助言の提 供に携わります。 投 資環 境 整 備改革に関するアドバイザリー・サービスの実 施にお 2015 年度、CAOは、25カ国において、IFCのアグリビジネス、教育、 いては、IEGが最近、IFC のビジネスモデルを評価したところ、標準 資 源採 掘産業、製 造、インフラ、金融仲介機関、そしてアドバイザ 化され、標的を絞り込んだ、短期間の実施モデルに多数の長 所が リー・サービスの各プロジェクトに関連した合計 63 件 のケースに あることが分かりました。様々なサービスが 新設のグローバル・ 対応しました。うち16 件は、IFC プロジェクトに対する新規の苦情 プラクティス部門に組み込まれることを受け、IEG は、世界銀行グ でした。本年度末現在、CAO がクローズしたケースは 20 件、評価 ループが、世界銀行とIFC の両モデルの強みを活用すべきだと勧告 中のケースは 9 件、係争中のケースは 14 件、そしてコンプライアン しました。 ス審査を進めているケースは 20 件でした。 IFC年次報告 2015 85 紛争解決業務では、CAO は、重要なIFCプロジェクトについての懸 念事項に対処するため、コミュニティや企業と協働しています。そう したプロジェクトには、チャド・カメルーン間の石油パイプライン、 モンゴルのOyu Tolgoi鉱山、ウガンダのBujagali水力発電プロジェ クトが含まれます。CAO は、カンボジアのシアヌークビル空港 拡 張に伴う住民の再定住と、ニカラグアの砂糖農園で働く労働者の 慢性的健 康障害をめぐり、現 地のステークホルダーとの和解を監 視した後、これらの長期にわたる調停作業を終結させました。また ウガンダでは、商業樹木農園と土地立ち退きに影響を与えた問題 で、IFC 支援を受けた Agri-Vieファンドの顧客と 2 つのコミュニテ ィの間の和解過程を監視しています。 コンプライアンス業務では、16 件の苦情に関連したIFCパフォーマン スの 査 定で、8 件 のケースを 追 加 措 置なしでクローズしたほか、 3 件のケースについては現在査定作業を進めています。 また、アド バイザリー・サービス、アグリビジネス、金融仲介機関、水力発電、 資源採掘、インフラの 各 セクター 向 けプ ロジェクトに 関 連した IFC パフォーマンスの調査を7件実施しています。 CAO は現在、 イン ドのTata Ultra Mega電力プロジェクト、 ホンジュラスのアグリビ ジネス ( Dinant 社)と金融仲介機関(Ficohsa 銀行) に係る2 件の ケース、 ペルーの鉱山開発会社 Quellaveco への投融資、 コロン ビアの航空会社 Avianca 向け投融資、 そして IFC の世界金融仲介 機関ポートフォリオに関連した 6 件のコンプライアンス調査で、 判 明 結 果に対 する IFC の対応 状 況を監 視しています。 さらに、 コソ ボの電力セクター向けアドバイザリー・サービスに関する1件のケー スが、 IFC を監視した後にクローズされました。 助 言という C AO の 機 能 に お いては 、2 0 15 年 5 月に 行 った 金 融 仲 介 機 関 向 け 投 融 資 か ら 引き出 さ れ た 教 訓 に つ いて、また、 IFCとその顧客を対象に現在、CAOが策定しつつあるプロジェクト・ レベルの苦情処理メカニズムの指針についてのワークショップを実 施して IFC と積極的に関わりました。詳細についてはウェブサイト (www.cao-ombudsman.org)をご覧ください。 86 IFC年次報告 2015 開発パートナーとの協働 IFC は、世界各地の開発パートナーと長期的な関係を築き、それら と協力しながら、極度の貧困撲滅と繁栄の共有促進という共通の 目標を追求しています。開発パートナーは IFC 業務を力強く支援し ており、2015 年度は合計2 億 6,300 万ドル近い資金の拠出をコミッ トしました。 IFC は、パートナーとの対話を深め、効率向上と結果創出のための パートナーシップ 新路を探求することで、 化に努めています。 パートナーシップのさらなる構築と協調強 IFCと世界銀行は、2015 年度に、オランダ、ノル ウェー、スイス、英国など様々なパートナーとの関わりを深めるた め合同協議を進めました。また、今後の持続可能な開発の金融枠 I FC は、繁栄の構築と貧困撲滅に向けた革 新的なパートナーシップを育成するため、 各国の政 府、企業、財団、他の国際機関や開 組みに関するナラティブ作成においては、民間セクターによる開 発 関 与 の重 要性を 強 調 するなど、重 大な役 割を果 たしました 。 世界銀 行グループが 5 月に組 成したオランダ・ロッテルダムでの開 発金融フォーラムは、戦略 担当者、政策担当者、官民両セクターの 発機 関と協力しています。この協調 的なアプ 関係 者が、持続可能な開発に資する重要なイニシアティブについ ての会合に集い、それらを考察する理想的な場となっています。 ローチは、持続的なパートナーシップの威力を 強調し、結果測定と効率向上を重視し、貧しい IFC は、開発パートナーの信託基金を通じて、民間セクター開発に 必要な資金と知識を引き続き提供しています。以下のイニシアティ 人々の生活に最大の効果をもたらすために開発 ブは、パートナーと共に一丸となって進めた革新的な取組みの一 パートナーの資力を活用するものです。 例です。 ロックフェラー財団 ロックフェラー財団は、2015年度、IFCと協力して、新興国全域でイン フラ向け民間セクター投融資を促進しました。同財団は、IFC と共 同業務を展開している各国政府に対し、法的、技術的、金融・財政 面の助言に贈与を提供するプロジェクト開拓ファシリティを立ち上 げるため、1,000万ドルの拠出をコミットしました。これらのプロジェ クトは、災害に強い都市を構築し、貧しく脆弱なコミュニティを支援 するのに役立つでしょう。このファシリティはまた、プロジェクトの 策定を加速的に進め、融資対象となるプロジェクト数を増やすことに も貢献するでしょう。同財団とIFC は共同で4,000万〜 9,000万ドル の追加資金を他のパートナーから調達する意向です。これにより、 世界各地で最高 80 件の大型・中型プロジェクトの開拓を支援でき るはずです。 IFC年次報告 2015 87 英国国際開発省(DFID) 欧州連合(EU) 英国の国際開発 省と世界銀 行グループは、技 術的イノベーション 欧州連合は、インドの 5つの都市で、持続可能な都市開発を促進す の活用に重点を置き、女性や脆弱・紛争地域に住む人々など、世界 るため、2014 年12 月に900万ユーロの拠出を誓約しました。インド で最も取り残された最貧困層に金融サービスを提 供できるよう、 での急速な都市化問題に取り組む「インド・エコ都市プログラム」 新たなパートナーシップを形成しました。この「金融包摂のための は、近代的インフラを備えた新都市を100 カ所に構築することを目 イノベーションの活用」と呼ばれるプログラムは、1,600万英ポンドを 指すインド政府のアジェンダ「スマート・シティーズ」と歩調を合わ 超える資金拠出を英国政 府から受けています。同プログラムは、 せています。 政 府や、小売、送金支払いシステムの近代化を目指す戦略的枠組 みの実施を助けるため、途上国に対し知識も提 供します。 IFC アドバイザリー・サービスへの拠出承認額 (未監査) (米ドル換算値:百万ドル) 要約 2014 年度 2015年度 機関・多国間パートナー 2014 年度 2015年度 政府 272.51 199.85 Financial Sector Deepening Trust 0.60 0.00 機関・多国間パートナー 46.66 24.69 Livelihoods and Food Security Trust Fund 3.62 0.00 企業、財団、非政 府組織( NGOs ) 19.38 38.01 MENA 移行基金 5.24 3.65 合計 338.56 262.55 Trade and Markets East Africa (TradeMark East Africa o TMEA) 0.00 1.25 イスラミック開発銀行 0.31 0.00 政府 2014 年度 2015年度 アイルランド 欧州委員会 19.68 11.43 2.65 0.00 イタリア 気候投資ファンド 16.62 8.36 4.72 0.00 英国 グローバル・グリーン成長研究所( 3GI )* 0.60 0.00 16.60 56.13 オーストラリア 7.01 34.38 合計 46.66 24.69 オーストリア 11.24 7.43 オランダ 55.00 0.63 企業、 財団、 非政府組織 ( NGOs) 2014 年度 2015年度 カナダ 48.12 4.25 BP Exploration (Caspian Sea) Limited 0.40 0.00 韓国 3.00 0.13 Dingyi Venture Capital (HK) Limited 3.00 0.00 スイス 47.72 33.13 eBay Foundation Corporate Advised Fund of Silicon Valley Community Foundation (SVCF) 0.00 0.10 スウェーデン 2.76 3.63 Marie Stopes International 0.00 3.95 デンマーク 4.47 9.22 Nestlé SA* 0.00 1.50 ドイツ 0.99 0.00 PepsiCo Foundation* 0.00 1.50 日本 36.71 5.96 SABMiller PLC* 0.25 0.25 ニュージーランド 0.00 1.41 The Coca-Cola Company* 2.25 0.00 ノルウェー 3.27 18.13 ゴールドマン・サックス財団 11.33 0.00 ハンガリー 20.00 0.00 ビル&メリンダ・ゲイツ財団 2.00 20.51 フランス 0.00 2.49 フォード財団 0.15 0.20 米国 8.26 22.73 ロックフェラー財団 0.00 10.00 合計 272.51 199.85 合計 19.38 38.01 *「 2030 年水資源グループ」への拠出者 88 IFC年次報告 2015 リスク管理 財務運用 IFC は、民間セクターに融資を行うため、さらにIFC のトリプルA の 格付にふさわしい流動性を十分に確保するために国際資本市場で 資金を調達します。 ポートフォリオ運用 発行債券としては、米ドルを始めとする主要通貨建てベンチマーク債、 ポートフォリオ運用は、プロジェクトの力強い財務結果と開発成果を 気候変動のような戦略的優先課題を支援するテーマ別債券、そし 期する上で、IFC の業務推進の本質的な要素となっています。 て現地の資本市場の育成を助ける新興国通貨建て債券が含まれま す。IFC 融資の大半は米ドル建て行われますが、調達筋の多様化、 IFC の運営陣は、四半期ごとに世界中のポートフォリオの審査を行 借入コストの削減、現地の資本市場への支援を目的に様々な通貨 い、そのパフォーマンスに関する年次報告を理事会に提出します。 建てで資金調達を行います。 また、現地事務所で大半の業務を展開するIFC ポートフォリオ担当 チームは、四半期ごとに資産別審査を行い、世界的な審査を補完 IFC の資金調達プログラムは長年、 融資活動と歩調を合わせて発展 しています。 してきました。 2015年度の新規借入は総額156 億ドル(ドル換算値) に達しました。 コーポレート・レベルでは、IFC は、504 億ドルに上るポートフォリオ のパフォーマンス分析結果と、世界のマクロ経済 や市場の動向に 関する予想とを総合した上で、今後の投 資に関する決 定を伝えて 2015 年度の国際市場での債券発行による資金調達 います。さらに、将来起こりそうなマクロ経済情勢下で、ポートフォ 通貨 金額(ドル換算値) % リオのパフォーマンスを定期的にテストすることで、リスクを特定 米ドル 8,621,527,000.00 54.5% し、それに積極的に対応しています。 オーストラリア・ドル 2,381,909,500.00 15.1% プロジェクト・レ ベ ルで は 、投 融 資 契 約 書 の 遵 守 状 況 の 活 発 な ブラジル・レアル 1,247,752,840.45 7.9% 日本円 690,844,961.00 4.4% 監 視、プロジェクトの進 捗 状 況を調 べるための現 地視 察、さらに インド・ルピー 646,237,823.36 4.1% 将 来 起こりうる問 題の 解 決 策の 判 別に向けた 支 援を行っていま 中国人民元 611,959,012.97 3.9% す。IFC はまた、環 境・社 会パフォーマンスを体系的に追 跡して、 ユーロ 340,150,000.00 2.2% 財務結果と開発成果の測定を行っています。 その他 1,278,496,063.62 8.1% 合計 15,818,877,201.40 100.0% 財政難に陥ったプロジェクトについては、特別業務局(SOD)が適 切な是正策を決 定します。その際、同局は、プロジェクトの業務を 継続しながら問題解決が可能となるよう、債権者や株主との間でプ 流動性管理 ロジェクト再建の負担共有を目指す交渉を進め合意を求めます。 IFC 業務に参加する投資家やパートナーにはプロジェクトの進展状 貸借対照表上の流動資産は、前年度末に 337億ドルだったのに対 況が定期的に通知されます。IFC は状況に応じて協議を行ったり、 し、2015 年 6 月30 日付では合計395 億ドルでした。流動資産の大 同意を求めたりします。 半は米ドル建てで保有されています。米ドル以外の通貨建て資産 につきもののエクスポージャーは、米ドル建てでヘッジされるか、 総体的な通貨リスクを解消するために同一通貨建ての負債でマッ チされます。流 動 資 産の水 準は、市 場にストレスが生じたときで も承認額に見合う資金を確保しているという視点に立って決めら れます。 IFC年次報告 2015 89 自己資本と財務能力 持続可能性の促進 健 全なリスク管 理は、IFC が開 発マンデートを全うする上で重 要 な役割を果たします。IFC の本来の業務が変動の激しいダイナミッ クな新興市場 への長 期的投 資であることを踏まえると、IFC は常 に財務リスクやオペレーショナル・リスクにさらされています。 IFCの持続可能性枠組み 慎 重 なリスク管 理 を行 い、強 固 な 資 本金を 備 えていれ ば、堅 固 持続可能性は、企業が事業に成功する上で不可欠となります。それ な財 務 能 力を維 持で きるだけでなく、景 気後 退 や 金 融の 混 乱 期 はまた、企業の得意先、周辺コミュニティ、そして幅広い層のステー においてカウンターシクリカルな役 割を果たすことが 可能です。 クホルダーにとっても非常に重要です。 加えて、IFC の力強い財務能力のおかげで、借入コストが低下し、 気候 変 動、資 源不足、大きな社 会的圧 力にさらされる中で、企業 顧客に低 利率で融資を行えます。 は、環境・社会・ガバナンス課題への対応にもっと力強いアプロー IFC のリスク管理や、財務の健全性と質の高さは、1989 年以来堅持 チをとる必 要性に迫られています。持 続 可能性という課 題に取り してきたトリプルA の格付からも明らかです。 組むには、総 括 的なアプローチが求められます。すなわち、それ IFC の最 低自己資本は、バーゼル協定の枠組みと整合し、業界の は、企業の営業活動の中に持続可能性の観念を植え付けながら、 先陣をきる慣行でもある、経済資本の枠組みに従って評価されま 金融リスクやそれ以外のリスクを統一された方法で管理すること す。この経済資本は、リスクの「基準通貨」として機能します。これ にあります。 により、IFC の様々な投融資商品から生じる損失リスクや他のリス IFC の持続可能性枠 組みには、このアプローチが反映されていま クを盛り込んだモデルを作成することが可能になります。 す。 それは、事業パフォーマンスの向上、透明性強化 、IFC 支援を IFC の利用可能な総資源は、払込資本 、特別目的のために指定さ 受けたプロジェクトの影響を受けた人々との積極的な関わり合い、 れた項目と特定の未実現 利益を控除した後の利益 剰余金、そして そして開発成果の向上において顧客の手助けとなるよう設 計され 貸倒引当金 の 合 計で構 成されています。現 行業 務 の支 援に 必 要 ています。その過程で、IFC は、環境・社会の持続可能性や良好な な資本を超えた利用可能な資 源の余 剰金は、IFC ポートフォリオ コーポレートガバナンスに関する IFC 戦略的コミットメントを遂行 の将来の発展に利用できるほか、予期しない外的ショックに見舞 しつつ、民間セクターの発展と雇 用創出に貢献することができる われたときのバッファーとなります。2015 年 6 月現在、利用可能な のです。 総 資 源は 226 億ドルに達した一方、最 低自己資本は 192 億ドルで した。 持続可能性の実践 IFC は、財務、経済、環 境、社会という 4 つの側面から持続可能性 を確 保しようと努 めています。財 務 の 持 続 可能 性を確 保で きれ ば、IFC と顧 客は開発 への長 期 的貢献 が 可能になります。IFC プ ロジェクトが経済的に持続可能であれば、受入国の経済に寄与す ることができます。 90 IFC年次報告 2015 IFC は、いかなる投 融 資の 決 定でも、信用リスクや 金 融リスクに IFC ポートフォリオに内在する環 境・社 会・ガバナンスのリスク管 対処する場合と同様のウエートを置いて、環 境・社 会・ガバナンス 理と持続可能な慣 行の促 進は、 IFC の業務とリスク管理アプロー のリスクに対応しています。さらに困 難 な市 場で は、見 返りの大 チの重 要な一 部となっています。あるプロジェクトへの融 資 案件 きいビジネスに投 資して持 続 可能 かつ 包摂 的な発展を試 みる顧 が 提 案されると、IFC は、デューデリジェンスの一環として環 境・ 客に対し、各種の複 雑な環 境・社 会・ガバナンス・リスクに取り組 社 会面の審 査を実 施します。この審 査では、プロジェクトの成 果 めるよう支援しています。 に関する顧 客による評 価と、プロジェクト管 理に対する顧 客 のコ ミットメントや能 力が 考慮されます。さらに、当該プロジェクトが こうした困難な課題には、環境・社会・ガバナンスのリスク管理に IFC パフォーマンス基準とコーポレートガバナンス手法に則ってい おけるベストプラクティスと柔軟な対策が求められます。IFC 業務 るかどうかも評価されます。また、この基準が満たされていない場 の中には、顧客が自力で 解決できないリスクや自力で 解決する責 合は、IFC と顧客の間でそれを随時 満たすための計画に合意しま 任のないリスクへの対応、永続的なソリューションを見出すための す。IFC は投融資の全期間を通じてプロジェクトを監督します。 世界銀行グループの機能活用、さらに持続可能性を脅かす重大な リスクに遭 遇したときに他のステークホルダーと協働して投 資促 進を図るといった顧客支援が含まれます。 コーポレートガバナンス 顧客は、IFC の知識こそ、IFC との取引を決定する際の重要な要因 となったと引き続き述べています。また、環境・社会面の課題で支 コーポレートガバナンスを改善することは IFC の優先課題となって 援を受けた顧客の 90 %近くは、ステークホルダーとの関係改善、 います。IFC は、投融資支援に加え、取締役の有効性向上、株主の ブランドの価値強化と認識向上、健全なリスク管理慣行の確立に 権 利強化 、リスク管 理をめぐるガバナンス改善、内部 統制強化 、 おいて IFC 支援が役立ったと述べています。 情報公開促 進についてのグッドプラクティスに関する助言も提 供 しています。 IFCのパフォーマンス基準 新興国では、第一 線で活躍する投資家としての IFC の経 験を取り 入れた規制を策定するため、世界銀 行と緊密に連携しています。 また、規制当局や証券取引所の管理者など、コーポレートガバナン 持 続 可能 性 枠 組み の中核には、持 続 的な事 業 推 進の 一手段とし ス慣行の改善に関心のある主体にも助言を行っています。 て、リスクの回避・軽減・管理を進める顧客の下支えとなる IFC パ フォーマンス基 準が 存 在します。それらは、顧客が、ビジネス、投 IFC は、豊かな経 験のおかげで、途 上国の民間セクターの現 実に 資 家、環 境、コミュニティにとって良 好な 解 決 策を見出す際 の助 沿った形で国際的原則を適用することができます。その結果、新興 けとなります。 市場で業務を展開する開発銀行や他の投資家は今や、コーポレー トガバナンスの分野で先陣をとるようIFC に求めています。 IFC パフォーマンス基 準は、持続可能な慣 行の世界的ベンチマー クとして認識されています。この基準を反映した「エクエーター原則 その方策は様々です。コーポレートガバナンスのリスクと機会を体系 (赤 道 原 則)」は、新興国での 25 機 関をはじめ、世界各国の 8 0 を 的に評価する「IFCコーポレートガバナンス手法」はその一例です。 超える金融機関により導入されています。加えて、欧州の15 の開発 この種のシステムとしては開発金融機関中で最も進んだものといわ 金融機関、34 の輸出信用機関など、他の金融機関の方針の中でも れる、この手法は現在、30 余りの開発金融機関によって実施されて IFC パフォーマンス基準が参照されています。 おり、コーポレートガバナンスにおける連携の土台となっています。 IFC年次報告 2015 91 IFC はまた、コーポレートガバナンス・サービスを長期間提供してい IFC は、全世界の業務を「カーボン・ニュートラル」とする努力を続 る現地パートナーの強化も後押ししています。これには、コーポレー けています。2015 年度にIFC の世界的業務から生じた炭素排出量 トガバナンス協会に関連した研 修資料や組 織構築のツール、業務 の合計は、二酸化炭素に換算して約 4万 7,400トンでした。IFC は、 規範と業績評価、理事・取締役のリーダーシップ研修、係争解決、 この炭素排出量を相殺するため、インドやウガンダの省エネ、料理 ビジネス・レポーターの研 修、企業におけるガバナンスのグッドプ 用コンロ、再生可能エネルギーなどを対象とする 5つのプロジェク ラクティス実践などが含まれます。 トから炭 素クレジットを購入しました 。その 選 択にあたっては、 目に見える具体的な開発成 果をコミュニティで 達 成しているプロ コーポレートガバナンスの堅実性は、リーダーである理事や取締役 ジェクトが対象になりました。 の背景が多様かどうかにかかっています。IFC は、顧客の理事会や 取締役会のノミニー・ディレクター(名目役 員)として、より多くの 女性を起用するよう奨励しています。IFC のノミニー・ディレクター IFC の世界的業務から発生した炭素排出量の 2014 年度の合計 の 28 %は女性です。 二酸化炭素換算値(トン) 出張 32,609.00 69% カーボン・フットプリント 本部での電力消費 7,244.37 15% 現地事務所での電力消費 4,391.77 9% に対するコミットメント その他 3,173.77 7% 排出量合計 47,418.92 100% カーボン・フットプリントに対するIFC のコミットメントは、持続可能 性という課題を内部業務の重要な一部とみなすことにあり、顧客と 同様の環境・社会基準の説明責任を自らにも課しています。 自然 資 源の 効 果 的 利 用は、このコミットメントの重 要部分となっ ています。電力使 用量は、IFC の内部 業務から生み出される炭 素 排出量の世界合計の約25%を占めています。 2007〜2015年にかけ、 IFC は、ワシントン本部でのワークステーション当たりの電力消費量 の15%削減に取組みました。 その結果、同期間中に 25%の削減を 達成しました。 2 016 年には、一 部 の現 地事務所も含め、さらに意 欲 的な目標 を 設 定する予定です。紙の無 駄を減らすことも優 先課 題となってい ます。最近導入された世界銀行グループの印刷システムの一元管理 化は、印刷技 術の近代化を進める一方、紙の無 駄をなくしコスト 削減を図るためのものです。同グループのワシントン本部では一年 以内に推定 200 万ドルのコスト節減が見込まれています。IFC 本部 では、それまで 職 員 2 人 が 1 台 のプリンタを共 有していたのが、 この新システムにより、1台につき12 人に改善されました。現在、 個人 用プリンタを使 用している本部の職員は 0.5 %未満に過ぎま せん。同システムは、不要の印刷ジョブを解除できるためトナーの 無駄 遣いを減らします。 92 IFC年次報告 2015 持続可能な開発に関する 重要分野 表明 指標 一部情報の独立した IFC の方針 「職員」( 80 ページ) 「リスク管理 」( 88 ページ) 保証報告書 投融資とアドバイザリー・ サービスの開発 効果 「結果測定システムの改善」( 75 ページ) 高く評価された投融資の割合:63% コアの詳細は、 産業別 (79ページ) (79ページ) 、地域別 、投融資全般の DOTSス (79ページ)、パフォーマンス 「 IFC 結果測定システム」( 73 〜74 ページ) 分野別( 79 ページ)、加重後および加重前の DOTS スコア ( 27ページ) 「開発 効果の広がりと結果」( 76 〜77ページ) の数値を参照。 我 々は、IFC の要請を受け、2015 年 6 月 3 0 日 高く評 価された助言プロジェクトの割合:73 % ( 79 ページ)、詳細につ いては業務分野別 ( 79 ページ)、地 域別( 79 ページ) の数値を参照。 に 終了する 年 度 の 年 次 報 告 書 にかかり、 IFC 顧客による 「現地の資本市場:効率的な資本市場の構築」 雇用数:250 万人( 78 ページ) 持 続 可能 な開 発 に関する一 部情 報のレビューを 開発 効果の広がり (42 〜 43 ページ) 患者数:1,730 万人( 78 ページ) 実 施した 。これには定 量 的 指 標(以下「指 標 」と 「保健医療および教育:人的資本の強化」 生徒・学生数:350 万人( 78 ページ) ( 54 〜 55 ページ) 称す)と定性的な表明(以下「表明」と称す)が含 支援を受けた農家:340 万戸( 78 ページ) 「雇用:雇用創出に向けた総 括的アプローチ」 まれる。その際、我々は、企業責任をめぐる対応と (48 〜 49 ページ) ガス利用者数:3,50 0 万人( 78 ページ) 「テクノロジー:貧困層のエンパワメントに 電気利用者数:4,360 万人( 78 ページ) パフォーマンスについての表明に加え、特定のス 資するデジタル技術の活用」( 38 〜39 ページ) 給水を受けた人の数:2,340 万人( 78 ページ) テークホルダーの利害に関わるとみられる表明、 貿易金融取引数:180 万件( 78 ページ) そして IFC の名声にリスクを及ぼしそうな表明を 貿易金融取引額:2,660 億ドル( 78 ページ) 選 別した。これらの指 標や表明は、以下の重要な 2014 暦年における小口ローンおよび中小企業向け 分野に関連したものである。 ローンの件数と金額 (78 ページ) ローン数 金額 ローン・タイプ (百万件) (十 億ドル) 小口ローン 43.6 35.3 中小企業向けローン 4.3 234.4 IFC年次報告 2015 93 重要分野 表明 指標 環境・社会評価 「 IFC のパフォーマンス基準」( 90 ページ) 環境・社会カテゴリ別にみた承認額( 26 ページ) 承認額 カテゴリ (百万ドル ) プロジェクト数 A 1,508 25 B 3,244 157 C 215 57 IF 256 15 IF-1 1,311 17 IF-2 2,937 100 IF-3 1,067 35 合計 10,539 406 持続可能なビジネス 「気候変動:世界的脅威の封じ込めのための支援」 2015 年度の気候関連の投融資承認額( 59 ページ):23 億 4,90 0 万ドル (44 〜 45 ページ) 炭素排出量( 91ページ):47,419トン( 2014 年度における二酸化炭素 「ジェンダー:女性のための経済的機会の拡大」 換算値) ( 50 〜 51ページ) 「助言」( 65 〜 66 ページ) 「カーボン・ フットプリントに対するコミットメント」 ( 91ページ) 民間セクター開発に 「アグリビジネス:持続可能な食糧の供給」(46 〜 47ページ) 関する影 響力の行 使 「中小企業( SMEs ):現地の企業活動の促 進」( 34 〜35 ページ) 「インフラ:強固な開発基盤の構築」( 30 〜31ページ) 「都市化:都市や人口過密地帯の強化」(40 〜 41ページ) 「金融へのアクセス:繁栄のための新路を切り開く」( 32 〜33 ページ) 最貧困国・脆弱国 「 IDA と紛争の影 響を受けた地 域:荒廃した環境での機 会創出」( 52 〜 53 ページ) での関与 他者との協働 「クロスボーダー型投資:開発のための資金動員」( 36 〜37ページ) IFC の説明責任 「コンプライアンス・アドバイザー/オンブズマン」( 84 〜 85 ページ) 94 IFC年次報告 2015 このレビューは以下の項目についての限 定的 保証1 を行うことを レビューの種類と範囲 目指した。 1. 指 標 は、特 定の 指 標に関する IFC の 指 示書、手 続き、ガイドラ 我々は、結論の記述が可能となるよう、以下のレビューを実施した。 インから成る、2015 年の報告書 作成 基 準 (以下「報告書 作成 › 報告書作成基準、方針ならびに原則を、各々の重要性、完全性、 基 準」と称す)に基づいて作成された。指 標の要約は、本年次 中立性、信頼性の観点から評価した。 報告書の「環境・社会カテゴリ別承認額 」( 26 ページ)と、投融 資とアドバイザリー・サービスの開発 効果(「結果のモニタリン › 上記の表に記述された持続可能性と開発分野に関する重要な表 グと追 跡」、74 ページ)の 各 項に記 述されている。また、その 明を判別するため、本年次報告書の内容のレビューを行った。 他の指標については IFCウェブサイトに掲載されている。 › 報告書作成基準の適用状況、あるいは表明の適正を評価するため、 2. 表明は、 IFC のウェブサイト2 に掲載された「情 報アクセスに関 コーポレート・レベルで25名余りの報告上の責任者とインタビューを するIFC の方針」 と、国際基準 3 で定義された重要性、完全性、 行った。 中立性、明確性、および信頼性の原則に基づいて作成された。 › コーポレート・レベルで 分析手続きを実 施し、試 査により指 標 これらの指標や表明の作成、報告書作成基準についての情報提供、 の算出と併合過程を確認した。 そして年次報告書の編集責任は IFC に帰属する。 › 指標または表明の裏付けとなる書類、例えば、理事会や他の会合 に提出された報告書、融資契約書、内外でのプレゼンテーションや 一方、我々の責任は、レビューに基づいて、これらの指標と表明につ 報告、研究・調査結果などを収集した。 いての結論を述べることにある。我々のレビューは、国際会計士連盟 ( IFAC )の国際 保証 業務基 準( ISAE )30 0 0 に準拠して実 施され › 本年次報告書に掲載された表明および指標、そしてそれらに関連 た4 。なお我々の独立性は、IFACの職業人倫理規範に定義されている。 した手法の付記などの提示についてレビューを行った。 1. より高水準の保証には、 さらに徹 底した業務が必要。 2. ht tp://w w w.ifc.org/ifcext /disclosure.nsf/content /disclosure_policy 3. 国際会計士連盟 (IFAC) の国際保証業務基準 (ISAE ) 3000 、 グローバル・レポーティング・ イニシアティブ (GRI ) 、または A A1000 説明責任に関する基 本原則を指す。 4. 国際 保証業務基準 ( ISAE )3000: 「過去の財務データのレビュー以外の保証業務」、 国際会計士連盟、 国際監査・保証基準審議会、 2003 年12 月。 IFC年次報告 2015 95 レビューの限界 一方、DOTSの民間セクター開発(PSD)パフォーマンス分野では、 プロジェクト実施サイクル中に、最終的受益者に与えた影響をより 正確に把握できるよう、評 価対象となる指標の範囲を拡大すべき このレビューは、上記の表に記述された表明と指標のみに限られて だと考える。また、民間セクター開発に関するDOTS 評価の裏付け おり、本年次報告書中で公表された他の情報は対象としていない。 となる理由ももっと強化する必要がある。IFC は、開発 結果と「広 我々が行った試査は、IFCのワシントンDC 本部での文書のレビュー がり」に関する手続きの重要性を継続的に高めることに尽力してい とインタビューのみに限られた。本 表明の対 象となった作 業に関 る。実際、国際金融機関(IFIs)の間では、民間セクター開発指標の する限り、外部のステークホルダーや顧客での活動には参加しな 調和化がいちだんと進んでいる。 かったほか、個々のプロジェクトのサンプル内容の妥当性確 認に 「広がり」の指標は IFC 顧客の全般的貢献度を示している さらに、 おいては限定的試査を実施しただけに留まった。 が、IFC の開発結果と貢献度を伝える報告についても、IFC 投融資 実 施 後 の受 益 者の増 数 などのデータを公 開したり、投 融 資 全 体 報告書作成基準と表明の に占めるIFCシェアのような貢献要因を利用したりするなどして、 その内容をいちだんと充実させることができよう。 作成プロセスに関する情報 完全性 報告書作成基準および表明作成に関する方針と原則については、 以下のコメントを記しておきたい。 指標の報告範囲には、IFCの最も重要な活動の大半が含まれている。 本年次報告書では、各指標の包括範囲は、当該データへの脚注とし て示されている。特に、短期投融資(STF)業務と長期投融資(LTF) 重要性 業務を別途に報告するというIFCの新実務に則って、昨年以降、グロー IFC は、自身が 持 続 可能性に与えた影 響、環 境・社 会に対するリ バル・トレード・ファイナンス・プログラムの成果を反映させるため、 スク、 そして IFC 資金を受けたプロジェクトが直接あるいは金融仲 「広がり」に関する特定の指標が導入された。これに関連したデータ 介機関を通じてもたらした影響と成果についての持続可能性情報 は、開発効果の広がりの表(78 ページ)に提示されている。 を提 供している。IFC の投融資とアドバイザリー・サービスが達成 さらに、2015年度は、DOTSの環境・社会パフォーマンスが新たなE&S 「開発 結果追跡調査システム した開発成果は、 ( DOTS)」や自己 指標の下で評価された初年であることから、このパフォーマンス分野に の評価戦略を用いて評価されている。 おける指標の完了率が前年度に比べて低下したように見受けられる。 DOTS の環境・社会(E&S)パフォーマンス分野では、IFC は、直接 投融 資を対 象に、顧 客による「パフォーマンス基 準」の実 施 状 況 中立性と明確性 を評 価 する一 連 の 新しいコア指 標 を導入した 。これらの 指 標 に は、各顧客の E&S パフォーマンスの改善状況を測定できるよう、 IFC は、指標の設定に際し、採用した方法についての情報を、公開 結 果 重 視 型 評 価 からパフォーマンス 志 向の方 策に至る、新たな データの脚 注として、あるいは関 連セクションで提 供している。 評価アプローチが取り入れられた。 これに関する詳細は IFCウェブサイトで入手できる。 96 IFC年次報告 2015 信頼性 結論 IFC は、コーポレート・レベルの統制に加え、プロジェクト・レベル 我々のレビューに基づくと、以下の内容を確信させるような、注意 の主な貢献要因に対する内部統制も強化してきた。これらの指標 を引く事項は何も見つからなかった。 は、顧客から直接収 集されるため、ときには顧客の監査済み財務 諸 表ではなく推 測に基づ いている可能 性 がある。従って、報告さ › あらゆる重要な側面において、指標が報告書作成基準に基づい て作成されなかった。 れたデータが IFC の定義と算出方法に則っているかどうかを確か めるためにも内部統制は不可欠となる。 › あらゆる重要な側面において、表明が「情報公開に関するIFC の 方針」と、国際基準によって定義された重要性、完全性、中立性、 それだけではなく、こうした内部統制は、産業・地域の全般を通じ 明確性、および信頼性の原則に基づいて提示されなかった。 て一貫して適用されるよう、プロジェクト・レベルの統制強化が必 要となるほか、実 施した検 証の質と、使 用したデータ・ソースの追 Paris-La Défense、2015 年 8 月7日 跡可能性を確かめるため、コーポレート・レベルでもさらに充実さ せるべきだと考える。 独立監査人 加えて、顧客からデータを入手できない場合、IFC は、補外法を用 ERNST & YOUNG et Associés いた「広がり」指標の推定を控えることを考慮すべきである。 エリック・デュヴォー クリーンテクノロジー・持続可能性担当パートナー IFC年次報告 2015 97 構成要素 重要な影響 純利益 有利子資産にかかる運用益 スプレッド幅や競争などの市場の状 況 。未収利息不計上および以前に未収 利息不計上とされた貸出金の利息回収、 個別貸出金にかかるパーティシペー ション・ノートによる収 益なども貸出金による収 益に含まれる。 流動資産収 益 流 動 資 産ポートフォリオにかかる実 現・未 実 現 損 益 。これらには、金 利 環 境などの 外部 要因のほか、流 動 資 産ポートフォリオ中の 特定の資 産クラス の流動性による影 響も含まれる。 持 分投資ポートフォリオ収 益 世界 的な 新興市 場 株 式の動 向 、通 貨 市 場 や商品市 場 の 変 動 、持 分投 資に おける各 社の業績。 持 分ポートフォリオのパフォーマンス (主に実現キャピ タルゲイン、 配当、 減損、 非貨幣性取引にかかる利益、 ならびに持 分投資の 未実現 利益および損 失) 。 財務パフォーマンスの概要 貸倒引当金および 保証損 失引当金 借主についてのリスク評価、 の可能性。 ならびに債務不履行および債務不履行時の損失 その他の収 益および費用 IFC から顧 客へのアドバイザリー・サービスの水 準 、退 職 その 他の 給 付 制 度の費用水準、 および管理費用その他の予算承認額。 全 般 的な市 場 環 境は、IFC の財務パフォーマン 公正価 値で評 価される 主として、借入金(IFC のクレジットスプレッドを含む)および関連デリバティ その他の非トレーディング ブの公正価値の変動と、 投資ポートフォリオ(世界的な新興市場の動向によっ スに重大な影響を及ぼします。以下は、IFC の 金融商品の損 益 て一部、影響を受けるプット、 ワラント、ストックオプションを含む)にかかる 当期純利益と包括利益の主な構成要素と、各年にお 未実現利益との差額。 これらの有価証券は、 観察可能または観察不能なイン プットを利用して、内部的に開発したモデルや手法を用いて評価する。 ける純利益と包括利益の金額および変動に影響を与 IDA 拠出金 理事会が承認する IDA 拠出金の水準。 える要素について述べたものです。 その他の包括利益 売却可能として会計処理された 世界的な新興市 場 株式の動 向、通 貨 市 場 や商品市 場 の変 動および各 社の 上場株式投資および 債務証券の 業績。上場株式 投 資は市場 価 格( 無調整 )を用いて評 価され、 債 務 証券は 未実現損 益 内 部 的に開 発した価 格モデルまたは手 法(市 場で の 観 察 が 可能または 観 察不能なインプットを用いる) を使 用して評 価される。 給付制度にかかる未認識の数理 年金制度資産の運用収益、 および予測給付債務を計算するための主な仮定 計算上の差異および未確認の (金融市場の金 利、人件費、過去の実績、将 来の給付コストの変動や経済 過去勤務費用 状況に対する経営陣の最善の見積りを含む) 。 98 IFC年次報告 2015 2015 年 6月30 日に終了する当期年度( 2015 年度)は、新興国の株 公正価値で評価される非トレーディング金融商品の未実現純損益 式市場が世界各地で激しく変動し、一般に低迷しました。ヨーロッ および IDA 拠出金控除前の収益の変化( 2015 年度 vs2014 年度 ) パ・中央アジア地域とラテンアメリカ・カリブ海地域の一部の国で (百万米ドル) 見られた景気後 退、IFC 投融資に利用される大半の通貨の対ドル 為替レート(米ドルはIFCの機能通貨)の下落、そして原油安により、 増加(減少) 特にIFC の持分投資ポートフォリオを中心に、2015 年度の財務結果 2015年度 vs2014 年度 が負の影響を受けました。 持 分投資および負債証券の一時的でない減損の増大 $(484) 新興国におけるマクロ経済環境と投資特殊的な情勢の悪化が重な 持 分投資および関連デリバティブにかかる収 益の減少 (純額 ) (383) 流動資産トレーディング活動にかかる収 益の減少 (132) り、IF C の 持 分投 資と債 務 証 券 の 一 時 的 でない減 損 、持 分投 資 貸倒引当金、 保証および 他の未収金にかかる損 失引当金の増大 (83) の未実現 損 失、そして貸倒引当金がそれぞれ 増大しました 。こう 貸出金、 保証、および貸出金・関連デリバティブの実現損 益にか した増加に加え、流 動資 産収 益が減少したことも、前年度に比べ かる収 益の増大 58 非トレーディング活動にかかる為替取引利益の増大 72 2015 年度の IFC 財務結果が低下した主因となりました。 それでも、 その他(純額 ) 25 2 015 年度の第 1 四半 期に実 施された 2 件 の 投 資 撤収を中心に、 少数の持分投資において、実現利益の増加を見ました。 全体的な収益の変 化(公正価 値で評価される非トレーディング 金融商品にかかる未実現 純損益および IDA 拠出金の控除前) $(927) IFC の 2 015 年度の収 益(公 正価 値 で 評 価される非トレーディン グ金 融 商品 の 未 実 現 純 損 益 および I DA 拠 出 金 控 除 前)は 、8 億 公正価値で評価される非トレーディング金融商品の2015 年度の未 5,50 0 万ドルでした。 これに対し 2014 年度の収益は 17億 8,20 0 万 実現 純損失は合計1億 60 0 万ドルでした (これに対し 2014年度は ドルでした。 4,300万ドルの純損失を計上) 。その結果、 2015年度のIDA拠出金控除 前の収益は7億4,900万ドルとなりました。 これに対し、 2014年度は17億 分配可能な収益は、2014 年度(16 億 1,40 0 万ドル)を18 %下回る 3,900万ドルでした。 2015年度のIDA拠出金は合計3億4,000万ドルで 13 億 2,70 0 万ドルでした。 した。 これに対し2014年度は2億5,100万ドルでした。 2015年度の非支 配会社持分に帰すべき純損失は合計3,600 万ドルでした (これに対 し2014 年度は 500 万ドルの純利益を計上) 。 従って、2015 年度の IFC に帰すべき純利益は合計 4 億 4,500 万ドル でした。これに対し 2014 年度 14 億 8,30 0 万ドルでした。 各年 6 月 30 日に終了する過去 5 年間の IFC 純 利益は以下に示す通 りです(百万米ドル)。 純利益(損失) 6 月30 日に終了する年度(百万米ドル) 2011 1,579 2012 1,328 2013 1,018 2014 1,483 2015 445 IFC年次報告 2015 99 直近の 5 会計年度における一部の財務データ (百万米ドル): 6月30日現在および 6月30日に終了した年度 2015 2014 2013 2012 2011 連結損益計算書の要約 貸出金、 保証、および貸出金・関連デリバティブの実現 利益(損 失)による収 益 $ 1,123 $ 1,065 $ 996 $ 993 $ 802 貸倒引当金および 保証損 失引当金(繰入)戻入 (171) (88) (243) (117) 40 持 分投資および関連デリバティブによる収 益 427 1,289 732 1,548 1,601 負債証券、 および負債証券・関連デリバティブの実現 利益(損 失)による収 益 132 89 69 71 67 流動資産トレーディング活動による収 益 467 599 500 313 529 借入費用 (258) (196) (220) (181) (140) その他の収 益 505 461 441 448 222 その他の費用 (1,423) (1,418) (1,401) (1,207) (981) 非トレーディング活動による為替差 (損)益 53 (19) 35 145 (33) 公正価 値で評 価される非トレーディング金融商品にかかる未実現 純損 益 および IDA 拠出金控除前の収 益 855 1,782 909 2,013 2,107 公正価 値で評 価される非トレーディング金融商品にかかる未実現 純損 益 (106) (43) 441 (355) 72 IDA 拠出金控除前収 益 749 1,739 1,350 1,658 2,179 IDA 拠出金 (340) (251) (340) (330) (600) 純利益 409 1,488 1,010 1,328 1,579 前項より減算:非支配会社持 分に帰すべき純(利益)損失 36 (5) 8 – – IFC に帰すべき純利益 $ 445 $ 1,483 $ 1,018 $ 1,328 $ 1,579 連結貸借対照表の要約 資産合計 $87,548 $ 84,130 $ 77,525 $ 75,761 $ 68,490 関連デリバティブ控除後流動資産 39,475 33,738 31,237 29,721 24,517 投資 37,578 38,176 34,677 31,438 29,934 借入金残高(公正価額調整を含む) 51,265 49,481 44,869 44,665 38,211 資本合計 $24,426 $23,990 $22,275 $20,580 $20,279 内訳: 未処分繰 越利益 剰余金 $20,457 $20,002 $18,435 $ 17,373 $16,032 特定目的のために指定された利益 剰余金 184 194 278 322 335 資本金 2,566 2,502 2,403 2,372 2,369 その他の累積包括利益 ( AOCI ) 1,197 1,239 1,121 513 1,543 非支配会社持 分 22 53 38 – – 100 IFC年次報告 2015 主な財務比率 2015 2014 2013 2012 2011 財務比率 a 平均資産利益率 (GA AP ベース) b 0.5% 1.8% 1.3% 1.8% 2.4% 平均資産利益率 (非 GA AP ベース) c 1.3% 1.8% 0.9% 2.8% 1.8% 平均資本 利益率 (GA AP ベース) d 1.8% 6.4% 4.8% 6.5% 8.2% 平均資本 利益率 (非 GA AP ベース) e 4.6% 6.5% 3.1% 9.9% 6.0% 総流動性 比率 f 81% 78% 77% 77% 83% 外部調達資金の流動性レベル 494% 359% 309% 327% 266% 負債 比率 g 2.6:1 2.7:1 2.6:1 2.7:1 2.6:1 実行済みポートフォリオ合計に対する貸倒引当金比率 h 7.5% 6.9% 7.2% 6.6% 6.6% 資本測定: 所要資源合計 (十億ドル) i 19.2 18.0 16.8 15.5 14.4 利用可能資源合計 (十億ドル) j 22.6 21.6 20.5 19.2 17.9 戦略的資本金 k 3.4 3.6 3.8 3.7 3.6 展開可能資本金 l 1.1 1.4 1.7 1.8 1.8 利用可能資源合計に対する展開可能 戦略的資本金の比率 5% 7% 8% 9% 10% a. 以下に示すように、特定の財務比率については、投資にかかる未実現損益、その他の非トレーディング金融証券、 AOCI 、および連結後の変動持分事業体( VIEs )による 影響を除外して算出。 b. 当年度末と前年度末の総資産の平均に対する当年度の純利益の割合を指す。 c. ここでの平均資産利益率とは、実行済み貸出金および持分投資(引当金控除後)、レポ取引控除後の流動資産、およびその他の資産の合計額の当年度末と前年度末の平均に対 する、年換算純利益(公正価値で評価される投資の未実現損益、連結後のVIEsにかかる収益、ならびに非トレーディング金融証券投資による純損益を除く)の割合を指す。 d. 当年度末と前年度末の資本合計(資本金の払込未済額を除く)の平均に対する当年度の純利益の割合を指す。 e. ここでの平均資本利益率とは、払込資本金および利益剰余金(特定の未実現損益控除前、ならびに特定目的に指定された利益剰余金の未使用累計額を除く)の合計額の 当年度末と前年度末の平均に対する、年換算純利益(公正価値で評価される投資の未実現損益、連結後の VIEs にかかる収益、ならびに非トレーディング金融証券投資 による純損益を除く)の割合を指す。 f. 総流動性に関する方針は、 IFC が、今後 3 年間の予測正味現金需要の少なくとも 45 %(目標は 65 〜 95 %)をカバーする最低の流動性レベルに IBRD からの未引出借入金を 加算した金額を常に維持するよう規定している。 g. レバレッジ比率(負債比率)とは、借入残高および保証残高の合計額と、払込資本金および未処分利益剰余金の合計額(特定目的に指定された利益剰余金および特定の 未実現損益を控除後)との比率を指す。 h. 実行済み貸出金ポートフォリオ合計に対する貸倒引当金の比率とは、実行総額に対する貸倒引当金の比率 (%) を指す。 i. IFC のトリプルAの格付を維持するために必要な最低資本金。 IFC 全体の各資産クラスについて算定される要リスクベース経済資本の総計。 j. 払込資本金、利益剰余金(特定目的に指定された利益剰余金を除く)、および一般・個別貸倒引当金の合計。これが、 IFC のリスクベース経済資本の枠組み下で得られる 利用可能な財源の水準となる。 k. 利用可能資源合計から所要資源合計を減じた金額。 l. 利用可能資源合計の 90 %から所要資源合計を減じた金額。 IFC年次報告 2015 101 承認額 2015 年度と2014 年度の長期投融資および中心的な資金動員 2015 年度 2014 年度 (百万米ドル) 2015 年度、長期投融資(LTF )合計は、前年度の 99 億 6,700 万ドル 長期投融資および中心的な資金動員の合計 1 $ 17,672 $15,110 から、105 億 3,90 0 万ドルに増大し、中心的な資金動員は、前年度 の 51 億 4,3 0 0 万ドルから17 %増え、71 億 3,3 0 0 万ドルとなりまし 長期投融資 た。加えて、2015 年 6 月 3 0 日現在の短 期投融 資( STF )の平均残 融資 $ 7,019 $ 7,327 高は 28 億 3,700 万ドル( 2014 年 6月30 日現在は 30 億 600 万ドル) 持 分投資 3,187 2,324 でした。 保証 273 286 顧客リスク管理 60 30 中心 的 な 資 金 動 員は、IF C が資 金 調 達 に直 接 関 わったことによ 長期投融資合計 $ 10,539 $ 9,967 り、顧客が利用できる資金を IFC 以外の事業体から調達したもの です。その際、IFC は資金の一部だけを供与しており、その割合は 中心的な資金動員 通常、プロジェクト・コストの25%を超えることはありません。従っ ローンパーティシペーション、パラレルローン、その他の資金動員 て、IFC が支 援するどのプロジェクトに対しても、他の金融パート ローンパーティシペーション $ 1,853 $ 2,043 ナーが必要となります。IFC は、右表が示すように、他の事業体か パラレルローン 1,522 730 ら多岐にわたる方法で民間セクター向け資金を動員しています。 協調融資運用ポートフォリオ・プログラム( MCPP) 818 320 その他の資金動員 881 606 ローンパーティシペーション、パラレルローン、その他の資金動員合計 $ 5,074 $ 3,699 アセット・マネジメント社( AMC) 劣後 債資本 増強ファンド $ 150 $ 516 アフリカ・ラテンアメリカ・カリブ海( AL AC )ファンド 86 84 触媒ファンド 66 75 株式資本 増強ファンド 3 7 ロシア銀行資本 増強ファンド – 2 グローバル・インフラストラクチャー・ファンド(GIF ) 226 146 GIF 共同出資 230 – AMC合計 $ 761 $ 830 その他のイニシアティブ 世界貿易流動性プログラムおよびクリティカル・コモディティ・ファイナンス・ プログラム $ 750 $ 500 官民パートナーシップ 548 114 その他のイニシアティブ合計 $ 1,298 $ 614 中心的な資金動員合計 $ 7,133 $ 5,143 1. 債務証券の承認額は、各々の特性に基づき、融資および持分投資に含まれる。 102 IFC年次報告 2015 AMC が運用するファンドの 2015 年度および 2014 年度の活動: 2015 年 6月30日現在 2015 年 6月30日に終了した年度 運用資産合計 投資家からファンドへの払込額 他の 他の ファンド ファンドによる 合計 IFC から 投資家から IFC から 投資家から による払込額 払込(件数)* 株式資本 増強ファンド $ 1,275 $ 775 $ 500 $ 6 $ 4 $ 8 1 劣後 債資本 増強ファンド 1,725 225 1,500 29 196 254 4 AL AC ファンド 1,000 200 800 29 112 94 7 アフリカ資本 増強ファンド 182 – 182 – 3 – – ロシア銀行資本 増強ファンド 550 250 300 5 5 – – 触媒ファンド 418 75 343 9 41 36 46 グローバル・インフラストラクチャー・ ファンド ** 1,430 200 1,230 27 298 293 7 中国・メキシコ・ ファンド 1,200 – 1,200 – 6 – – 金融機関成長 ( FIG)ファンド 344 150 194 – – – – GEMファンド・オブ・ ファンズ 406 81 325 – – – – 合計 $ 8,530 $1,956 $ 6,574 $105 $ 665 $ 685 65   * 払込件数には、単一の被投資企業またはファンドに行われた複数の払込を含むことがある。 ** 当該ファンドのリミテッド・パートナーシップに代わってAMC が運用している共同投資ファンドも含む。 2014 年 6月30日現在 2014 年 6月30日に終了した年度 運用資産合計 投資家からファンドへの払込額 他の 他の ファンド ファンドによる 合計 IFC から 投資家から IFC から 投資家から による払込額 払込(件数)* 株式資本 増強ファンド $ 1,275 $ 775 $ 500 $ 8 $ 5 $ 21 3 劣後 債資本 増強ファンド 1,725 225 1,500 77 514 544 8 AL AC ファンド 1,000 200 800 21 83 89 9 アフリカ資本 増強ファンド 182 – 182 – 3 – – ロシア銀行資本 増強ファンド 550 250 300 9 10 4 2 触媒ファンド 418 75 343 3 15 12 17 グローバル・インフラストラクチャー・ ファンド 1,200 200 1,000 32 165 172 6 中国・メキシコ・ ファンド – – – – – – – 金融機関成長 ( FIG)ファンド – – – – – – – GEMファンド・オブ・ ファンズ – – – – – – – 合計 $ 6,350 $1,725 $ 4,625 $150 $795 $ 842 45   * 払込件数には、単一の被投資企業またはファンドに行われた複数の払込を含むことがある。 IFC 年次報告 2015 103 総務会への書簡 I FC 理事会は、国際 金融公社の定款に基いて、 本年次報告書の作成に当たらせました。 ジム ・ヨン・ キム IFC 総 裁 兼 理 事 会 議 長 は、監 査 済み 財 務 諸 表と共に本報告書を総 務 会に提出いたしまし た。 2015年6月30日に終了する本年度中、 IFCは、 民間セクターへの投融資と助言を通じて、 持続可 能な開発の成果をいちだんと拡大することができ 誠に喜ばしく思うと共に、 理事会一同、 本報告書 をここに謹んでご報告するしだいです。 104 IFC年次報告 2015 有益な情報源 インターネットおよびソーシャル・メディア IFC のウェブサイト(www.ifc.org)には、IFC 活動の あらゆる面についての包括的情報が掲載されていま す。この中には、世界各地の事務所の連絡先、プレス リリースや 特 集 、結 果 測 定に関するデータ、投 融 資 案についての情報公開書、そして主な方針とガイドラ インなどが含まれます。 このサイトには、2015 年度のIFC 年次報告書の英語版 と関連資料、そして各国語への翻訳(終了ししだい掲 載)のPDFファイルがダウンロード用として用意されて います(www.ifc.org/annualreportで入手可能)。 また、グローバ ル・レポーティング・イニシアティブ (GRI)指標を含む持続可能性に関する詳しい情報も 同ウェブサイトに掲載されています。 IFC オンライン クレジット IFCウェブサイト IFC年次報告書作成チーム: ifc.org Bruce Moats 世界銀行グループ対外コーポレート・ 年次報告書 リレーションズ担当ディレクター ifc.org/Annual Report Lisa Kopp ソーシャル・メディア索引 ブランド管理担当責任者 ifc.org/SocialMediaIndex Joseph Rebello Facebook 編集長 facebook.com/IFCwbg Aaron Rosenberg Twitter 広報担当主任 twitter.com/IFC_org Bhattiprolu Murti LinkedIn 編集コンサルタント on.ifc.org/ifcLinkedIn Katherine Klaben コンサルタント Scribd scribd.com/IFCpublications 翻訳:世界銀行グループ翻訳・ 通訳ユニット(GSDTI) YouTube youtube.com/IFCvideocasts デザイン:Addison www.addison.com Instagram IFC_org 印刷:Worth Higgins & Associates http://worthhiggins.com/ 写真: 表紙折込み:Dakar Toll 2ページ:Iwan Bagus 12ページ:Kunihito Terawa/Getty 15ページ:Stockbyte/Getty 16ページ:Christina Havis/EyeEm/Getty 19ページ:John Burke/Getty 20ページ:Iwan Bagus 21ページ:Iwan Bagus 29ページ:View Stock/Getty 31ページ:Shots Studio/Shutterstock 32ページ:Anna Koblanck/IFC 33ページ:Dilip Banerjee/IFC 34ページ:Mohamed Essa/IFC 37ページ:Guiseppe Franchini/World Bank 38ページ:Anna Koblanck/IFC 39ページ:Thomas Nybo 41ページ:Upasana Dahal 42ページ:Eddie Gerald/Getty 45ページ:Rafael Pérez-Pire Angulo 46ページ:Danilo Pinzon/World Bank 49ページ:Sarah Karim 50ページ:Ric Francis 52ページ:Salahaldeen Nadir/World Bank 55ページ:Sayantoni Palchoudhuri/IFC 56ページ:MHeiderich Photography 83ページ:World Bank Group 読み:ひつようふかけつ 機会を 最も必要としている場での 機会創出 2121 PENNSYLVANIA AVENUE, NW WASHINGTON, DC 20433 USA 202 473 3800 ifc.org