写真(左):津波により 被害を受けた仙台市の荒浜 小学校の校舎 写真(下): フィリピンの 避難所での少女(2009年) 最も災害のリスクにさらさ れるのは途上国の貧困層 日本 - 世界銀行 防災共同プログラム 途上国の開発に 背景 おける防災の 長年、自然災害の脅威と向き合ってきた日本は、災害リスク管理(防災)を 主流化のための 開発政策やその実践の主流に据えるという点で、世界のリーダー的存在にあ ります。2005年に採択された兵庫行動枠組は、災害がもたらす被害を減少 するための初の計画として今日、防災への取組みの世界的な基盤となってい パートナーシップ ます。日本と世界銀行は数年前から、日本が持つ防災分野の知識と経験を世 界と共有するための協力を進めています。 こうした協力関係は、2011年の東日本大震災の後、知識、政策提言、プロ ジェクトなどを通じてさらに強化されてきました。具体的には、2012年~ 2013年にかけて32本の教訓ノート が作成された他、途上国のキャパシティ ビルディングを目的としたプログラムやセミナーが開催されました。また、 世界銀行と日本政府は、自然災害のリスク削減に向けた各国の防災の主流化 を支援するための枠組である「仙台レポート」を共同で作成しました。仙台 レポートは、2012年10月、国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会の際 に発表され、世界のリーダーから幅広い支持を得ました。 さらに日本国財務大臣と世界銀行グループ総裁は、「仙台レポート」の概念 に沿った「仙台ステートメント」を共同で発表しました。その中で、脆弱な 途上国が災害に強い社会を構築できるようにするため、例えば日本に蓄積さ れたノウハウや専門性を活用して、技術や財政面での支援を強化し、さらに 防災の政策やプログラムのための知識とパートナーシップの重要性を強調し ました。 この目標に向けた歩みを加速するため日本と世界銀行は、2013年4月、 途上国における防災の主流化のためのプログラム(規模:1億ドル、 写真: 釜石市根浜海岸に設置された「津波記憶石」には、 東日本大震災での津波の恐ろしさを後世に伝えたいとの 期間:5年間)を発表しました。 願いが込められています。 世界銀行グループ 東京防災ハブ プログラムについて 「日本 - 世界銀行防災共同プログラム」の目標は、日本の 経験と知識を世界各国の専門知識と結びつけ、途上国が防災 を国家開発計画や投資プログラムにおいて主流化できるよう 支援することです。本プログラムは、防災グローバル・ファ シリティ(GFDRR)の運営の下、技術協力、パイロット・プロ ジェクト、知識・キャパシティビルディングの他、以下の テーマ別取組みを支援していきます。 • リスクの特定:リスク情報の構築、伝達、活用 写真:世界銀行東京防災ハブを訪れたジム・ヨン・キム世銀グループ総裁、 鈴木英明日本理事、シリル・ミュラー対外関係総局副総裁、 • リスク軽減:土地利用計画、建築基準や制度の強化 塚越保祐駐日特別代表 • 事前準備:予測、サービス実施、早期警報システム、 新たな知識の拠点となる世界銀行東京防災ハブが、世界 危機対応計画 銀行東京事務所内に設立されました。世銀東京事務所の • 財政保護:災害リスクに対する国家の財政能力強化、 広報・知識分野の活動、また防災グローバル・ファシリ リスク保有、リスク移転戦略 ティのプログラムの一環として東京防災ハブは、日本の 経験と専門知識を途上国で役立てるため、日本の官民セ • 知識の動員と交換:知見構築と発信、 クターと協力していきます。 キャパシティビルディング、広報 a. 設計・実施支援 – 世界銀行と協力し、(i)ニーズに 対応したプロポーザルの作成支援、(ii)プロジェクト ガバナンス 実施の促進、(iii)プロジェクトの進捗状況及び成果の モニタリングを実施。 日本政府(財務省)と世界銀行により構成される運営委員会 が、本プログラムの業務を検証すると共に、その後のイニシ b. 知識・広報活動 – (i)世界各地域及び日本国内の アティブを決定します。 防災研究拠点を結ぶネットワークを構築・維持、 (ii)ネットワークの持つ知識と専門性を世銀と共有す 日本 - 世界銀行防災共同プログラムの詳細(英語):  ることで、プロジェクトの設計及び実施を拡充、 https://www.gfdrr.org/node/27950 (iii)知識の構築と発信、キャパシティビルディング 支援の他、本プログラムに沿った対外関係・広報活動を 実施。 c. パートナーシップ – プログラム実施と知識の動員の ため、日本国内外の官民セクターとの連携を強化。 GFDRRについて 防災グローバル・ファシリティ(GFDRR)は、災害リスクが高い低所得国の自然災害への脆弱性理解と低減、そして気候変動 への適応の支援を行っている。各国の政府機関、市民社会団体、専門機関を中心に300以上のパートナーと協力し、災害緩和 政策を国レベルの戦略や様々な研修・知識共有活動に主流化するため、グラント基金や現地での技術協力を提供している。 GFDRRは世界銀行が運営し、日本の他40のドナー・パートナーが資金を提供している。 連絡先 世界銀行東京事務所 岩崎弥佳 Eメール: drmhubtokyo@worldbank.org 3 www.gfdrr.org