02 World Bank Tokyo Development Learning Center (TDLC) 世界銀行 東京開発ラーニングセンター What is the World Bank Tokyo Development Learning Center (TDLC)? (TDLC)とは? TDLCについて WHO WE ARE 2004年より日本政府と世界銀行のパートナーシップにより運営されている信託基金プログラムです。 「都市 世界銀行の ・防災・強靭性・土地グローバルプラクティス GPURL 」 の下で運営されています。 都市開発分野の知見収集 TDLCは、 ・ (ナレッジハブ) 発信拠点 世界銀行が途上国で取り組む都市開発 として、 事業の成果の向上に貢献しています。 日本と世界の専門的知識を融合し、新たな知識と技術的な知見の創出に取り組んでいます。 過去5年間(2016〜2020年度)に、80カ国以上において総額618億米ドル(日本円で約6.6兆円)に及ぶ世界 銀行の融資事業案件に貢献しました。 主な事業テーマ OUR FOCUS 「主要テーマ」 世界銀行が途上国で展開している都市開発事業に関連した 国内外の専門的知識に基 を中心に、 知見創出事業を展開しています。 づく対話型研修や技術協力、 「先端分野テーマ」 毎年少なくともひとつの 都市開発に関する世界銀行の新しい事業分野の開拓 に取り組み、 と事業推進に努めています。 TDLCの活動のすべての領域において、 「分野横断テーマ」 世界銀行の を念頭に置いた事業を展開しています。 主要テーマ (*抜粋) 先端分野テーマ ●   廃棄物管理 ●   高齢化と都市づくり (2019年度 ) ●   公共交通指向型開発 ●   創造都市の形成 (2020年度) ●   手ごろな住宅 (アフォーダブルハウジング) ●   健康的な都市づくり (2021年度予定)   ●   コンパクトな都市開発 ●   強靱なまちづくり 分野横断テーマ ●   質の高いインフラ投資 ●   スマートシティ、都市の競争力 ●   破壊的技術 (Disruptive Technology) 03 What is the World Bank Tokyo Development Learning Center (TDLC)? TDLCの取り組みについて WHAT WE DO TDLCは、世界銀行の途上国における都市開発事業の多様なニーズに対応する数々の事業を、柔軟かつ迅 速に展開しています。TDLCの4つのコア事業は相互に結び付き、都市開発における新たな知見や実用的な ソリューションを創出しています。 都市開発実務者向け 融資事業向け技術協力 対話型研修(TDDs) Operational Support Technical Deep Dives (TDDs) TDLCの代表的な事業である 「都市開発実務者向け TDLCでは、TDDsのフォローアップとして、参加者 対話型研修(テクニカル・ディープ・ダイブ:TDDs)」 のニーズに合わせたコンサルテーションや能力向 は、1週間にわたる実践的知識共有プログラムです。 上支援などの技術協力を行っています。この技術 途上国で世界銀行の都市開発事業に取り組む政府 協力は、TDLCの都市連携プログラム(CPP)や世界 世界と日本の成功 関係者や実務者が一同に集まり、 銀行のグローバルな知識を活用し、途上国が直面 事例や課題解決策を共有し、 実行可能なアクション する複雑な開発課題に対応するための知識や技術 プラン(行動計画)につなげることを目的としてい 協力、専門的助言を提供しています。 ます。 都市の知見創出と発信 都市連携プログラム(CPP) Insights and Publications City Partnership Program (CPP) TDLCは独自の調査を手掛ける他、世界銀行の重 都市連携プログラム(CPP)は、日本の選定都市と 点調査・研究にも取り組んでいます。具体的には、 連携し、各都市の開発の知見を途上国での融資事 日本と世界のベストプラクティスの成功要因を分 業に活用することを目的としたパートナーシップ 析・抽出し、レポートやブログ、動画などで発信し 事業です。TDLCは、都市開発分野に関連した先駆 ています。 的な取り組み事例や実践的な知識を有する北九州 市、京都市、神戸市、富山市、福岡市、横浜市の6都 市とパートナーシップを結んでいます(2020年8月 現在)。 04 World Bank Tokyo Development Learning Center (TDLC) 都市開発実務者向け Technical Deep Dives (TDDs) 対話型研修(TDDs) 途上国で都市開発事業に取り組む政府・自治体関係者や実務者、世界銀行のプロジェクト チームを対象とした1週間の実践的知識共有プログラム です。 廃棄物管理や公共交通指向型開発、都市再生など都市開発における国内外の最先端の知 第一人者を交えた講義やパネルディスカッション、 見や成功事例について、 グループワー クを通じて総合的に学びます。また、東京やCPP選定都市での視察を通じて、日本の都市 開発の取り組みを学びます。 TDDsを通じて習得した知見や参加者の出身国の開発ニーズをもとに実践可能なアク ションプラン(行動計画)を策定します。 過去5年間(2016‑2020年度)の延べ1460名以上の本研修参加者の出身国は80カ国以上 にもおよび、世界銀行の602億米ドル(約6.5兆円)規模の融資プロジェクトに関連する 知見や専門知識を提供しています。 05 Technical Deep Dives (TDDs) 都市開発実務者向け 対話型研修 TDDs の5 つの特長 専門的知見: 各分野の第一線で活躍する日本と世界 1 の専門家との交流を通じて、当該国でのプロジェクト 実践者・専門家のコミュニティへと足を踏み入れるこ とができます。 で直面する開発課題に関する最先端の政策的思考や カスタマイズされた学習: TDDsは、 専門的知識に触れることができます。 4 各人がニーズ に合った知識を身につけられるよう構成されており、 2 プロジェクトの推進: 主な参加者は、途上国で世界 現地視察、グループディスカッション、専門家との個 銀行の初期段階の既存事業または新規事業に取り組 人セッション、またはEラーニングなど、様々な手法を む実務者・自治体関係者です。参加者と世界銀行プロ 通じて参加者の学びの成果を最大化します。 ジェクトチームの職員が日本で1週間、技術的な専門 5 行動計画とフォローアップ: TDDsは、課題解決を 知識や情報を共有し、同じチームとして行動計画を策 目指すアクション主体のプログラムです。参加者はプ 定することで、現地での事業を円滑に進めることにつ ロジェクト担当の世界銀行職員と協力し、TDDsで得 ながります。 た重要な専門知識を行動計画に落とし込みます。この 参加者と専門家のコミュニティ: TDDsを通じ 3 て、世界中の選りすぐりの知見に触れ、世界各地で都 行動計画は、 る TDDsのフォローアップとして提供され 「融資事業向け技術協力」への道筋となり、取り組み 市開発に取り組む参加者と会合するだけでなく、各分 段階で綿密なサポートを受けることができます。 野の専門家と議論し、グローバルに連なる都市開発の TDDsの事例 廃棄物管理に関するTDD研修 (2019年11月11日〜15日)  “日本の廃棄物エネルギー転換の技術に感銘を受け ました。効果的なプロジェクト計画方法や技術の ” 適切な活用方法をもっと知りたいです。 (当研修に参加したインドネシアの政府関係者) 廃棄物管理に関するバリューチェーン全般における 課題、特に海洋プラスチック問題について扱いました。 日本と海外における廃棄物管理 13カ国からの参加者は、 廃棄物リサイクルの先進都市である北九州市を訪問し、 制度、 に関する法律と政策、 市民 規制と経済メカニズム、 現地を視察。また、TDLCと北九州市共催の海洋プラス と企業の連携、廃棄物管理技術について学びました。 チックに関する国際シンポジウムにも参加しました。 TDLCは、TDDsの他にも、世界銀行およびTDLCの都市開発へのアプローチや日本の専門知識、都市開発に関する 知見を世界の人々と共有するために、国内外で様々なイベントを主催・共催しています。 ▶ その他の連携については (11ページ) 「他機関との連携」 をご覧ください。   06 World Bank Tokyo Development Learning Center (TDLC) 融資事業向け技術協力 Operational Support 途上国における既存または新規の世界銀行融資事業を促進するため、現地のニーズに合 わせた技術協力をコーディネートしています。 世界銀行の融資事業、 「短期支援」 アドバイザリー事業の底上げを目的に、 と「中長期支援」 の主に2つの手法を通じて、現地の実務者への技術的助言や分析、指導を提供してい ます。 過去5年間(2016年度〜2020年度)にわたりプロジェクト設計段階も含め合計 104 件の 技術協力が35カ国で実施され、75億2,000万米ドル(約8,207億円)*規模の融資プロジェ クトに貢献しました。 *75億2,000万米ドルのうち、59億米ドルはTDDsを通じて実施されたものです。 07 Operational Support 中長期支援 TDLC は、途上国における世界銀行の融資事業の底上げを目的とし、現地の ニーズに合わせた中長期支援を提供しています。また、現地の緊急のニーズに 対応することを目的とした短期支援も提供しています。 中長期支援とは、世界銀行の融資事業やアドバイ ザリー事業の特定テーマを前進させるためのより 長期的な技術協力です。業務内容や現地のニーズ に適した日本の専門家が派遣されます。 主な支援内容 技術的助言: 技術・政策に関する助言の提供、既存文 書やベースライン資料の分析評価、持続的・包括的な都 市開発を実現するための戦略やロードマップ、または 行動計画の策定支援。 プロジェクト実施支援: 国内外の知識や手法に基づ くプロジェクトの監修。 プロジェクト準備支援: 開発事業の準備段階におけ る、都市開発分野の専門的支援。 能力開発: 現地組織の能力開発支援。 技術協力の事例 コロンビア国バランキージャ市における都市デザイン 「横浜シティスケッチワークショップ」の実用化 “この手法は、問題点が何かを特定し、解決策を提 案する力を与えてくれる。 私たちが市民としてだけではなく、建築家として、 都市に生きる可能性を示してくれました。” (バランキージャ シティスケッチワークショップ参加者より) 都市再生に関するTDDに参加したコロンビア代表団から バランキージャ市、 の依頼を受け、 日本、 横浜市、 コロンビ 2020年2月に実施されました。 アの学術機関の共同で、 横浜市で開発された、市民の想いを都市デザインに落と し込む手法「横浜シティスケッチワークショップ」を、 参加者は、このワークショップが革新的なアイデアを生 バランキージャ市内の臨海部の再開発に応用しました。 み出すための刺激的な場となり、参加者全員が都市計画 立地条件が異なる4つの地域を訪問 ワークショップでは、 に対し意見を述べることを促したと評価しました。自治 スケッチと構想の演習を行い、 し、 地域で重要視されてい 体関係者たちは他のエリアの都市問題を分析するツール る課題に対する解決策を見出すための議論を行いました。 として、この手法をさらに活用していくと前向きな姿勢 を示していました。 08 World Bank Tokyo Development Learning Center (TDLC) 都市連携プログラム City Partnership Program (CPP) (CPP)  都市連携プログラム(CPP)は、TDLCと日本の選定都市との綿密なパートナーシップに より、2016年に開始されたプログラムです。現在、TDLCは北九州市、京都市、神戸市、富 山市、福岡市、横浜市の6都市とパートナーシップを結んでいます。 CPPを通じて、TDLCは各都市のこれまでの取り組みから得られた知見やベスト・プラク ティスをとりまとめ、都市開発実務者向け対話型研修(TDDs)や技術協力事業などの 活動を通じて国内外の都市関係者に向けて共有しています。 取り組み例: ● 国内外の会議やTDDsにおける選定都市の事例紹介(市職員による発表) ● 各都市の専門知識や事例を紹介した出版物の制作 ● 選定都市代表者の「融資事業向け技術協力」事業への専門家派遣   CPPを通じて、6つの選定都市は、過去5年間(2016年度〜2020年度)に、合計71回の「都 市開発実務者向け対話型研修(TDDs)」を含むイベントで知見共有を行い、TDLCと共同 で29件の出版物を制作しました。今日、選定都市の知見やノウハウは、TDD研修や技術協 力を通じて、80以上の国と地域における世界銀行のプロジェクトに影響を与えています。 09 City Partnership Program (CPP) CPP都市と主要な連携テーマ 京都市 ■ 文化遺産 ■ 都市再生 ■ 持続可能な観光 富山市 ■ コンパクトシティ 北九州市 ■ 高齢化とアクセシビリティ ■ 洪水対策を含む災害リスク管理 ■ 廃棄物管理   (自治体および産業廃棄物) ■ 循環型経済 ■ 海洋ごみ 横浜市 ■ ウォーターフロントを 中心とした都市再生 ■ 都市の強靭性と治水対策 ■ 競争力のある都市と スマートシティ 福岡市 神戸市 ■ 公共交通指向型開発 ■ 災害リスク管理 ■ イノベーションと ■ 競争力のある都市と スタートアップ・エコシステム スマートシティ ■ 競争力のある都市と (情報通信技術) ■ ICT 教育 スマートシティ 10 World Bank Tokyo Development Learning Center (TDLC) 都市の知見創出と発信 Insights and Publications 世界銀行の専門知識と、 TDLCは、 国内外の都市開発専門家による実用的なソリューション を活用し、独自の調査活動を推進する他、世界銀行の重点調査・研究にも貢献しています。 国内外の知見や都市開発に関する取り組みを分析し、知見やソリューションを明確化・ レポートやブログ、 言語化し、 その他のマルチメディアコンテンツとして共有しています。 先端分野テーマの知見を研磨し、都市開発の現場にて優先度の高い開発課題に取り組む ための新たなアプローチやアイデアを探ります。 主な出版物 What a Waste 2.0 横浜:  神戸: 2050年に向けた世界の 都市の将来を 創造的復興 廃棄物管理の現状と展望 再編する (言語:英語・日本語)   (言語:英語) (言語:英語・日本語) 文化遺産、持続可能 富山市の な観光と都市再生:  まちづくりの 京都に見る日本の ノウハウ 教訓と経験 (2020年秋出版予定。 言語: 英語・日本語) ウェブサイトで、TDLCの (言語:英語) 出版物やビデオをご覧ください。 11 Insights and Publications 他機関との連携 多くの他機関とのパートナーシップや TDLCは、 協力により、グローバルなナレッジハブとして その役割を果たしてきました。今後も、世界銀行 グループの他のプログラムや、多様な分野の外 部関係者や機関と積極的に協力しながら、国内 外の都市開発分野の知見を収集し、より実践的 な解決策を世界に向けて発信してまいります。 連携の一例 国土交通省 国土交通省は、2019年のTICAD7期間中に開催された TDLCはケニア都市開発ワークショップのスピーカー 「第二回日・アフリカ官民インフラ会議」におけるハ として国土交通省を招請しました。 イレベルパネルのモデレーターとしてTDLCを招聘 しました。 独立行政法人国際協力機構(JICA) TDLCとJICAの社会基盤・平和構築部(現在:ガバナン 「国際シンポジウム TDLCは2019年11月に開催した :海洋 ス・平和構築部と社会基盤部)および地球環境部は、世 ごみと海洋プラスチック問題解決に向けた課題とアプ 界銀行グループのプロジェクトと技術協力における協 のゲストスピーカーとしてJICAを招請しました。 ローチ」 力関係の進展に向け緊密に連携しています。 TDLCの活動にご参画頂いている主な団体・機関の一例 (抜粋。掲載は50音順) ■ 経済産業省 ■ 東急株式会社  ■ 公益財団法人 地球環境戦略研究機関 (IGES) ■ 独立行政法人 国際協力機構(JICA) ■ 国際連合教育科学文化機関(UNESCO) ■ 独立行政法人 都市再生機構(UR) ■ 国土交通省 ■ Global Resilient Cities Network (GRCN) ご協力を頂いている研究者・教授の方々が所属する大学機関 (抜粋。掲載は50音順) ■ 関東学院大学 ■ 福岡大学 ■ 東京大学 ■ 立命館大学 ■ 同志社大学 ■ 早稲田大学