73068 世界開発報告 2013 仕事 World Development Report 2013  ――Jobs 世界銀行 編著 田村勝省 訳 一灯舎 表紙について  世界の大部分の言語には,仕事に関連 した様々な言葉が存在し,それぞれが仕 事の異なる側面を強調している.中に は,仕事の中身の性質を示唆し,どのよ うなスキルや知識が必要かを連想させる ものもある.また,生産に費やされる人 的努力を指すものもあり,働く人の姿 と,作業に打ち込む感覚が伝わってく る.経済活動に携わる大勢の人々と関連 した言葉もあり,集合的な統計と容易に 関連付けることができることもある.一 方,相互義務と安定の程度に関係した契 約関係が重要であるかのようにみえる場 合もある.一部の言語では,仕事場,少 なくとも生産工程の一つを指定する言葉 すらある.これらの言葉の多種性を踏ま えると,仕事には様々な側面があり,単 一の言葉でその特性を表現したり,単一 の指標でそれを測定できないことを明白 に示している.  仕事に関連した言葉は,必ずしもある言語から他の言語に簡単に翻訳できるとは限らない.選択可 能な言葉の範囲が言語ごとに異なるかもしれないからだ.言語が思考と密接に関連しているために, 仕事という言葉への言及の仕方が人によって食い違っているようにみえる時がある.この差は恐ら く,異なる社会で異なる仕事の特性を強調しているせいだろう.それはまた,仕事についてのアジェ ンダがそれぞれの国で異なる可能性も示唆している.  多くの言語では,雇用に関連した言葉が,一般的な「名詞」であるだけでなく「固有名詞」であ ることもある.歴史を通じて,例えば,ヒンズー語の「Vankar」,日本語の「服部」,スペイン語の ,ズールー語の「Mfundisi」のように,名字が特定の技能や職業と関係してきた.仕事に 「Herrero」 関連した言葉が苗字に使われるのは,人々が自分の存在を職業と関連付けていたことを示している. 今では,人々は,自己を啓発し,人生をより有意義なものとするかどうかで職業を選ぼうとする.さ らに,ほとんどすべての言語には,仕事の欠如を表現する言葉がいくつかある.これらの言葉は必ず といってよいほど,精神的な窮状に近い否定的な意味をもち,時には不名誉な要素すらある.いかよ うに見ても,仕事とは単なる生計の手段ではなく,仕事の種類を超えた意味を言語は伝えている.そ れは人々の人格の一部なのである. This work was originally published by the World Bank in English as World Development Report 2013: Jobs in 2013. This Japanese translation was arranged by Ittosha Incorporated. Ittosha Incorporated is responsible for the quality of the translation. In case of any discrepancies, the original language will govern. This volume is a product of the staff of The International Bank for Reconstruction and Development/The World Bank. The findings, interpretations, and conclusions expressed herein are those of the author(s) and do not necessarily reflect the views of the Executive Directors of The World Bank or the governments they represent. The World Bank does not guarantee the accuracy of the data included in this work. The boundaries, colors, denominations, and other information shown on any map in this work do not imply any judgement on the part of The World Bank concerning the legal status of any territory or the endorsement or acceptance of such boundaries. 本報告書は 2013 年に世界銀行から World Development Report 2013: Jobs として出版された.本書の翻訳は株式会社 一 灯舎によりまとめられたものであり,翻訳の正確性については,株式会社 一灯舎が責任を負う.翻訳と原文の間になん らかの矛盾がある場合は原文に従う. 本書は,世界銀行スタッフの制作による.本書の調査結果や解説,結論は,必ずしも世界銀行の理事会あるいは彼らが代 表する国の見解を反映するものではない. 世界銀行は,本書中にあるデータの正確性を保証しない.地図にある境界線,色,名称,その他の情報は,いかなる領土 の法的立場,あるいはそのような境界線の容認に関する世界銀行の判断を意味するものではない. World Development Report 2013: Jobs Copyright © 2012 by The International Bank for Reconstruction and Development/The World Bank 1818 H Street, N.W., Washington, D.C. 20433, U.S.A. 世界開発報告 2013 仕事 Copyright © 株式会社 一灯舎 by The International Bank for Reconstruction and Development/The World Bank 1818 H Street, N.W., Washington, D.C. 20433, U.S.A. iv 序文  世界危機からの回復が遅れる中で,世界の失業者数は,25 才未満の若者 7,500 万人を 含め,約 2 億人に達する.さらに女性を中心とする多数の人々は,労働市場から締め出 されている.主にアジアとサブサハラ ・ アフリカで進みつつある就労年齢の人口増加に対 応しようとすると,今後 15 年間におよそ 6 億人分の新規の仕事が必要となる.  一方,途上国で働く労働者全体の半数近くは小規模な自作農か自営業者であり,そのよ うな仕事には通常,定期的な賃金や給与,福利厚生などはない.途上国の最貧層の人々が 抱える問題は,仕事がないことでも,また労働時間が短かすぎることでもない.その多く は,複数の仕事をかけもち,長時間働いている.それでいて,彼らは,自分や子供たちの 将来を明るくできるだけの十分な収入を稼ぐことができず,時には,危険な労働条件の下 で,基本的な権利すら与えられずに働くことが頻繁にある.  仕事は,経済と社会の発展のための手段となる.それは,個人の安定した暮らしに不可 欠だが,それ以外にも,貧困削減,経済全体の生産性向上,社会的結束といった,社会の 幅広い目的の数々で中心的な役割を果たす.仕事が開発に及ぼす効果には,技能の習得, 女性のエンパワメント,紛争後の社会の安定化などが挙げられる.こうした広域な目標の 達成に役立つ良い仕事は,それに従事する者だけでなく,開発に資する仕事として社会全 体にとっても貴重となる.  「世界開発報告 2013」は,仕事という命題を,開発プロセスの出発点として,そして 対応すべき課題の中心として据え,それに対する我々の考え方を再検討している.本書 は,様々な分野を横断的かつ多面的に捉えることで,開発に資する仕事とそうでない仕事 がある理由を探求している.その結果,開発に最大限の効果をもたらす仕事とは,都市の 機能を向上し,経済を世界市場に連結し,環境を保護し,信頼感と市民との関わりを促 し,貧困を削減するものだと報告されている.ことに重要な点は,こうした仕事がフォー マル・セクターだけに存在するのではなく,各国の状況によっては,インフォーマルな仕 事も変革的な影響力をもつことである.  この骨組みの下で,本書は,現在の喫緊の課題に関する政策担当者の問いに取り組んで いる.例えば,各国の開発戦略は成長と仕事のどちらを重視すべきか,状況によっては労 働者と仕事のどちらを保護すべきか,開発のプロセスにおいて仕事の創出とスキルの構築 のどちらを優先させるべきか,などが挙げられる.  民間セクターは,途上国の仕事全体の 90%を占めており,仕事を生み出すための重要 なエンジンとなっている.一方,政府は,民間セクター主導型の強固な成長を促すための 環境整備や,開発に資する民間セクターでの良い雇用の,民間セクターによる創出を妨げ ている障害の低減を通じて重大な役割を果たすことができる.  本書は,こうした政府の目的を支援する際に,3 段階のアプローチを提言している.ま ず第 1 に,マクロ経済の安定性,事業環境の整備,人的資本への投資,法による統治と いった政策上のファンダメンタルズは,成長と仕事の創出の両方を確保する上で不可欠と なる.第 2 に,適切に立案された労働政策は,経済成長を雇用の機会の創出へとつなげ 序文 v ることに役立つが,仕事を生み出すためには,労働市場を越えた幅広い方策で補完する必 要がある.第 3 に,各国政府は,自国の独自な環境を踏まえた上で,どのような仕事が 最も開発のためになるのかを長期的な視野に立って見極め,民間セクターがそのような仕 事を創出するのを阻止している障害を除去するか減少すべきである.  現下の世界経済では,仕事の環境も急速に変わりつつある.人口動態のシフト,技術の 進歩,そして尾を引く世界金融危機からの影響により,雇用をとりまく世界各国の情勢に も変化が出ている.こうした変化に上手に適応し,仕事の創出という課題に適切に対応し ている国では,生活水準,生産性,社会的結束のあらゆる面で大きな成果を達成すること ができる.反対に,それを怠る国では,経済 ・ 社会開発がもたらす変革的な効果を実現で きないことになろう.  「世界開発報告 2013」は,開発における仕事の役割を総体的に理解する上で重要な貢 献をする.その知見は,世銀グループが今後,様々なパートナーや,仕事という課題に取 り組む途上国と協働していく際の貴重な指針となる.我々は,一丸となって協力すること により,多数の仕事を生み出し,仕事が開発に及ぼす成果を最大限に高めることができ る. ジム・ヨン・キム 総裁 世界銀行グループ vi 謝辞  本書は,Martín Rama を長とし,Kathleen Beegle および Jesko Hentschel のチーム により作成された.その他のコア・チームのメンバーは,Gordon Betcherman,Samuel Freije-Rodriquez,Yue Li,Claudio E. Montenegro,Keijiro Otsuka,Dena Ringold で ある.また,リサーチ・アナリストとして,Thomas Bowen,Virgilio Galdo,Jimena Luna,Cathrine Machingauta,Daniel Palazov,Anca Bogdana Rusu,Junko Sekine, Alexander Skinner が チ ー ム に 加 わ っ た. リ サ ー チ 支 援 は,Mehtabul Azam,Nadia Selim,Faiyaz Talukdar が 担 当 し た. ま た, 本 チ ー ム は,Mary Hallward-Driemeier, Roland Michelitsch,Patti Petesch から終始,有益な協力を受けた.  本書は,開発経済担当副総裁室(DEC)と人的開発ネットワーク(HDN)との共同で 作成された.本書の作成に際し,全般的指導は,Justin Lin 前開発経済担当上級副総裁兼 チーフ・エコノミスト,Martin Ravallion 開発経済担当副総裁兼チーフ・エコノミスト 代理,Tamar Manuelyan-Atinc 副総裁兼人的開発ネットワーク担当主任が行った.Asli Demirgüç-Kunt 開発政策局長と Arup Banerji 社会保護・労働局長は,本書の作成過程の 監督に当たった.  Robert B. Zoellick 前世界銀行総裁,Jim Yong Kim 総裁,Caroline Anstey ならびに Mahmoud Mohieldin の各専務理事におかれては,本書作成中に貴重な知見をご提供いた だいた.さらに,理事会とその事務局にも,様々な会合やワークショップで建設的に関与し ていただいた.  また,George Akerlof,Ernest Aryeetey,Ragui Assaad,Ela Bhatt,Cai Fang,John Haltiwanger,Ravi Kanbur,Gordana Matković,Ricardo Paes de Barros からなる諮問 パネルからは,本書作成中,鋭い分析やフィードバックをご提供いただいた.  本書の作成に当たり 7 カ国のケーススタディから情報を得た.バングラデシュでのケー ススタディは Binayak Sen,Mahabub Hossain の両氏をリーダーとし Yasuyuki Sawada が担当した.メキシコのケーススタディには,Nelly Aguilera,Angel Calderón Madrid, Mercedes González de la Rocha,Gabriel Martínez,Eduardo Rodriguez-Oreggia, Héctor Villarreal が参加した.モザンビークのケーススタディは,Finn Tarp をリーダー と し,Channing Arndt,Antonio Cruz,Sam Jones,Fausto Mafambisse が 担 当 し た.パプアニューギニアの場合は,Colin Filer と Marjorie Andrew がリサーチのコー ディネートを行った.南スーダンのケーススタディは Lual Deng をリーダーとし Nada Eissa が担当した.チュニジアでの作業は,Ines Bouassida,Mohamed Ali Marouani, Ben Ayed Mouelhi Rim,Abdelwahab Ben Hafaiedh,Fathi Elachhab の参加をえて, AbdelRahmen El Lahga がコーディネートした.さらに,ウクライナのケーススタディは, Olga Kupets,Svitlana Babenko,Volodymyr Vakhitov により実施された.  本チームは,本報告書の作成につき,ノルウェー政府(同国外務省,マルチドナー「変革 ,北欧信託基金) のための学術研究推進プログラム(KCP II) ,デンマーク政府(同国外務 ) 省,経済事務局(SECO) ,スウェーデン政府(同国外務省) ,カナダ国際開発庁(CIDA) , 日本政府(開発政策・人材育成基金)からの寛大なご支援を受けた.それに対し感謝の意を 表する.また,ドイツ経済協力・開発協力省(BMZ)は,同国の国際協力公社(GIZ)を 謝辞 vii 通じて,開発フォーラムの組成にご尽力いただいた.ベルリンで開催された同フォーラムに は世界各地の著名な研究者が一堂に会した.  さらに,各国ケーススタディの実施に当たっては, , オーストラリア国際開発庁(AusAID) ,デンマーク政府(同国外務省) カナダ国際開発研究センター(IDRC) ,日本の国際協力機 構(JICA)研究所,国連大学経済開発研究所(UNU-WIDER)からも寛大なご支援を賜っ た.英国の海外開発研究所(ODI)は,様々なセミナーやワークショップの組成を通して 本チームを支援していただいた.  本チームの活動に終始関与していただいた国際労働機関(ILO)に対し,特に謝意を表す る.このプロセスには,José Manuel Salazar-Xiriñachs と Duncan Campbell が議論の調 ,経済協 整に当たり,ILO の多数の方々にご参加いただいた.また,国際通貨基金(IMF) ,国連経済社会理事会(ECOSOC)と協議が行われた.さらに,国 力開発機構(OECD) 際労働組合総連合(ITUC)にも,本チームとの継続的対話を通じて貢献をいただいた.  各国との協議は,バングラデシュ,カナダ,中国,デンマーク,フィンランド,フラン ス,ドイツ,インド,日本,韓国,メキシコ,モザンビーク,ノルウェー,パプアニューギ ニア,シンガポール,スウェーデン,スイス,チュニジア,トルコ,ウクライナ,英国との 間で実施された.どの協議も政府高官を交えたものだった.その他には,学識者,実業界代 表,労働組合指導者,シビルソサイエティのメンバーがほとんどを占めた.加えて,オース トラリア,オランダ,南アフリカ,スペインの政府高官との間で二国間会合も開かれた. ,  研究者や学識者との協議は,ケニアにあるアフリカ経済研究コンソーシアム(AERC) ,チリにあるラテンアメリカ・カリブ海経済研 エジプトの経済研究フォーラム(ERF) 究学会(LACEA)のご協力により実現した.労働調査研究所(IZA)には,ドイツと トルコの研究ネットワークを利用して特別ワークショップを組成していただいた.ま た,このコーディネートには Klaus Zimmerman が当たった.ノルウェーの研究機関 ForskningsstiftelsenFafo は,本報告書で引用された世帯調査を 4 カ国で実施した.  本報告書の制作と支援は,Brónagh Murphy,Mihaela Stangu,Jason Victor および Cécile Wodon の監視の下で進められ,Quyên Thúy Ðinh. も貢献した.Ivar Cederholm は資源動員のコーディネートに当たった.Irina Sergeeva と Sonia Joseph は資源管理を担 当した.Martha Gottron,Bruce Ross-Larsen,Gerry Quinn,Robert Zimmermann は, 本書の監修を手がけた.さらに,開発データ・グループは,Johan Mistiaen のコーディネー トの下で,付表の統計作成に貢献した.  本書のプリント版,ソフト版双方のデザイン,植字,印刷,頒布は出版局がコーディネー トした.とりわけ同局の Mary Fisk,Stephen McGroarty,Santiago Pombo-Bejarano, Nancy Lammers,Stephen Pazdan,Denise Bergeron,,Andres Meneses,Theresa Cooke,Shana Wagger,Jose De Buerba,Mario Trubiano,ならびに翻訳 ・ 通訳部の Cecile Jannotin,Bouchra Belfqih の各氏に感謝を申し上げる.  本チームは,コーディネートの役割を担っていただいた Vivian Hon および Claudia Sepúlveda,コミュニケーションの指導を担当した Merrell Tuck-Primdahl,ウェブサイ トの支援を手がけた Vamsee Krishna Kanchi および Swati P. Mishra,本報告書の映画制 作を支援した Gerry Herman,IT サポートを提供した Gytis Kanchas,Nacer Mohamed Megherbi および Jean-Pierre S. Djomalieu の各氏にも感謝の意を表する. その他,世銀の内外の方々からコメントやご意見をいただいた.これらの方々の氏名は「参 考文献」の項に掲載されている. viii 略語およびデータ注 略語 ADB アジア開発銀行 IT 情報技術 ALMP 積極的労働市場政策 IZA 労働研究所(ドイツ) ARB ボゴタ・リサイクル業者協会 KILM 主要労働市場指標 BPO 業務プロセス外部委託 KUT 韓国技術教育大学 CAFTA 中米自由貿易協定 MDG ミレニアム開発目標 CASEN 全国社会経済実態調査(チリ) MERCOSUR 南米南部共同市場 CIRAD 農業開発国際研究協力センター MFA 多国間繊維協定 (フランス) MGNREGA マハトマ・ガンジー国家農村雇用 CFA 結社の自由委員会 保証法 COSATU 南アフリカ労働組合会議 MIS 経営情報システム CSR 企業の社会的責任 NASSCOM 全国ソフトウェア・サービス企業 ECLAC ラテンアメリカ・カリブ経済委員会 協会(インド) ECOSOC 経済社会理事会(国連) NEET ニート(就学・就職・職業訓練の EMBRAPA ブラジル農牧研究公社 いずれにも従事していない人々) EPL 雇用保護法制 NGO 非政府組織 EPZ 輸出加工区 ODI 海外開発研究所 EU ヨーロッパ連合 OECD 経済協力開発機構 FAO 国際連合食糧農業機関 PISA OECD 生徒の学習到達度調査 FAFO ノルウェー応用社会問題研究所 PPP 購買力平価 FDI 外国直接投資 R&D 研究開発 FACB 結社の自由と団体交渉 SEWA 女性自営者協会(インド) GATT 関税および貿易に関する一般協定 SEZ 経済特別区 GATS サービスの貿易に関する一般協定 SME 中小企業 GDP 国内総生産 SNA 国民経済計算 GNP 国民総生産 SOE 国有企業 HOI 人間機会指標 TEWA 労働者解雇法 I2D2 国際所得配分データベース TFP 全要素生産性 IC 産業評議会 UN 国際連合(国連) ICLS 国際労働統計家会議 UNDP 国連開発計画 ICTWSS 労働組合・賃金設定・国家介入・ UNECE 国連ヨーロッパ経済委員会 社会契約の制度的特徴 UNEP 国連環境計画 IDA 労働争議法(インド) UNESCO 国連教育科学文化機関 IDRC 国際開発研究センター(カナダ) WDR 世界開発報告 IEA 国際エネルギー機関 WHO 世界保健機関 IFC 国際金融公社 WIEGO 非公式雇用の女性:グローバル化 IFPRI 国際食糧政策研究所 と組織化 ILO 国際労働機関 IMF 国際通貨基金 IPCC 気候変動に関する政府間パネル ISSP 国際社会調査プログラム 略語およびデータ注 ix データ注  経済圏について国という用語を使用しているが,世界銀行がその領域の法的ないしその 他の地位について,何らかの判断をしているということを意味するものではない.途上国 という用語は低所得国と中所得国を含み,したがって,便宜上,中央計画経済からの体制 移行国を含むこともある.ドルの数字は特記がない限り,名目の米ドル表示である.ビリ オン(10 億)はミリオン(100 万)の 1,000 倍,トリリオン(兆)はビリオンの 1,000 倍を意味する. xi 目次 表紙について ii 序文 iv 謝辞 vi 略語およびデータ注 viii 略語 viii データ注 ix 概観 仕事を中心に据える 2 仕事の必要性 3 仕事を通じて実現する開発 8 仕事の評価 14 多岐に及ぶが互いに関連する仕事のアジェンダ 17 仕事というレンズを通した政策 21 仕事を中心に据えたが,データはどこにあるのか 34 質問 伝統的な見解が正しいときはいつか? 36 注 40 参考文献 42 1. 仕事をめぐる挑戦 50 仕事,しかし必ずしも給与を伴わない 51 若年層の増加,高齢化社会,移民国家 53 都市,賃金,女性 54 仕事は驚くような形で変化している 55 繁栄しているが,所得の分配は変化している 59 民間セクターの役割 60 世界的な規模の脆弱性 62 質問 仕事とは何か? 65 注 70 参考文献 72 Part Ⅰ 仕事は全てを転換するものである 76 2. 仕事と生活水準 78 仕事は物質的な福祉を改善する 78 仕事は単なる所得以上のもの 84 仕事と生活満足度 86 質問 成長戦略か仕事戦略か? 89 注 94 参考文献 95 3. 仕事と生産性 100 雇用なき成長ではなく雇用の乱高下 100 ほとんどの仕事は非常に小さい農場や企業にある 106 xii 世界開発報告 2013 農場では技術進歩はまちまち 108 109 企業の間では「大山鳴動してネズミ一匹」 企業家精神は育成できるか? 116 注 121 参考文献 123 4. 仕事と社会的一体感 128 仕事は社会的緊張を管理するのに役立つ 129 仕事(あるいはその欠如)は社会的相互作用を形作ることができる 136 質問 公共政策は社会的一体感に貢献できるか? 143 注 149 参考文献 150 Part Ⅱ 開発にとって良い仕事とは何なのか? 156 5. 仕事を評価する 158 基盤としての権利 159 個人と社会に対する仕事の価値 161 仕事からの波及効果 161 仕事からの開発利益は定量化できるか? 167 スキルと仕事――どちらが先か? 179 注 184 参考文献 187 6. 仕事のさまざまな課題 196 農業国 197 紛争の影響を受けた国 199 都市化する国 203 資源の豊富な国 206 小さな島嶼国 210 若年失業率の高い国 213 フォーマル化が進む国 217 高齢化社会 221 質問 対象を絞った投資環境? 225 注 231 参考文献 233 7. 結び付いている仕事の課題 240 労働者の移住 240 仕事の移動 245 質問 仕事を巡って競争する? 251 注 257 参考文献 258 Part Ⅲ 仕事のレンズを通してみた政策 264 8. 労働政策再論 266 「高台現象」効果 労働規則: 268 集団的代表制:新しい形の発言権 271 目次 xiii 積極的労働市場プログラム:ある程度有効 275 社会保険:適用範囲拡大のという課題 281 質問 労働者を保護するのか,それとも仕事を保護するのか? 287 注 291 参考文献 294 9. 労働政策を超えて 302 ファンダメンタルズを確立する 303 仕事に対する政策の優先課題を設定する 308 仕事の課題も政策の優先課題もともに千差万別 311 仕事の課題の結び付き:仕事のための世界的なパートナーシップ 315 仕事は舞台の中央にきているが,数字はどこにあるのか? 321 質問 労働の再配分をどうやって加速化するか? 324 注 330 参考文献 333 付録 342 用語解説 343 参考文献についての注 347 背景論文・メモ 350 主要指標 353 索引 414 xiv 世界開発報告 2013 ボックス 1 女性の労働参加率をいかに高めるか? 29 とって狭すぎる 176 1.1 都市の発展に伴い労働と余暇の性格は変わる 56 5.7 スキルはどのように形成され,どのように 1.2 仕事は女性に所得機会だけでなく新たな したら測定できるか 180 困難ももたらす 57 5.8 人員計画はダイナミックなスキル開発に 1.3 途上国における人材派遣業の拡大 59 道を譲った 182 1.4 危機への対応策は失業者向けの所得扶助を 6.1 農業国エチオピアは製造業で競争できるか? 200 超越 64 6.2 紛争は女性の労働力参加を高める 201 1.5 インフォーマル性に関して統計を 6.3 南スーダンでは仕事における課題を 作成している国はほとんどない 66 解決することが緊急を要する 201 1.6 児童の労働すべてが児童労働ではない 68 6.4 バングラデシュに関する開発悲観論は 2.1 生活水準には多くの側面があり,その測定にも 理解できるものであったが,間違っていた 多くの方法がある 79 ことが判明している 204 2.2 ほとんどの貧困者は働いている 82 6.5 バングラデシュの企業家は現地人 205 2.3 仕事属性の価値はヘドニック価格法を通じて 6.6 土地所有会社は富を広めながら能力を 定量化可能 85 構築することができる 209 2.4 労働は健康や安全性にリスクもたらす 86 6.7 メキシコでは,インフォーマル性を 2.5 成長と雇用の関係は機械的ではない 90 どうやって削減するかに関する議論が 白熱化している 220 2.6 韓国は成長戦略から仕事戦略へ, シンガポールはその逆へ 92 6.8 ウクライナでは,高齢化の影響は 移住と出生率低下で複雑になっている 224 3.1 何が経済成長を牽引するか? 101 6.9 産業政策を巡って再び激論が戦わされた 226 3.2 雇用の創出と破壊のほとんどは零細企業で 起こっている 108 6.10 企業調査の結果を解釈するには慎重さが必要 227 3.3 ほとんどの零細企業は農村部に所在し 6.11 経済特別区の実績はさまざま 229 商業に従事している 112 7.1 多国籍企業はなぜ今の場所に 3.4 バングラデシュにおける衣服産業のブームは 立地しているのか? 248 何が原因なのか? 119 7.2 E リンクが途上国では雇用機会を 4.1 社会的一体感とは何か? 130 生み出しているが,規模はまだ小さい 249 4.2 仕事は信頼をもたらすか? ユーロバロメーター 7.3 グローバル化は仕事の海外への脱出 とラティノバロメトロの調査による分析 134 をもたらすと通常は考えられている 252 4.3 立ち退きや失業は信頼や絆の侵食につながる 135 8.1 雇用保護法制は解雇ルール以上のものを カバーしている 268 4.4 コロンビアのリサダルダ県における仕事・ 動機付け・アイデンティティ 137 8.2 南アフリカの失業は交渉評議会が原因か? 273 4.5 発言権は自営業者にも拡張できる: 8.3 中国では新しい形の団体交渉が台頭しつつある 274 SEWA の事例 138 8.4 ゴミ拾いがボゴタの強固なゴミ管理政策の 4.6 一部の仕事は民族の境界をまたいで人々を 変更を強制した 275 つなげる 139 8.5 仕事への E リンク:新しい技術が新しい 4.7 仕事へのアクセスにおける機会の不平等を フロンティアを切り開く 277 測定する 140 8.6 マハトマ・ガンジー国家農村雇用保証法, 4.8 家事労働者:ILO 条約に至る旅路 144 世界最大の公共事業プログラムを打ち出す 279 4.9 カンボジア衣服セクターでの「紙の上の法」 8.7 近代的な技術は社会的保護コスト・漏損・ から「行動における法」へ 145 腐敗を削減することができる 285 4.10 紛争後の環境下でも,プログラムの設計が 8.8 「時短」が労働市場政策のなかで新しい よければ社会的緊張を削減することができる 146 合言葉になっている 290 5.1 マリの零細金鉱山では子供が危険な 9.1 女性の労働力参加はどうしたら増加するか? 310 作業をしている 160 9.2 仕事の挑戦への取り組みについては世界中に 5.2 中核的労働基準の順守は不完全なものに 成功事例が多い 312 とどまっている 162 9.3 企業慣行の改善は労働基準の順守を促進する 317 5.3 適切な仕事と適切な仕事に関するアジェンダ 163 9.4 仕事と開発に関する知識ギャップが研究課題を 5.4 経済学や社会科学はさまざまな名前の下で, 指し示す 322 仕事からの波及効果を研究している 165 9.5 中国の戸口制度は部分的に自由化されてきている 5.5 いくつかのデータ源を使えば,仕事が開発に 327 もたらす効果を定量化することができる 168 5.6 「緑の仕事」の国際的な定義は途上国に 序文 xv 図 1 仕事は賃金を伴うとは限らない 5 2.4 特に途上国では,仕事があれば家計は 2 若年層では,失業が常に問題という 貧困から脱出できる 83 わけではない 6 2.5 仕事は極貧者の減少をもたらす主要因となる 84 3 雇用拡大が民間セクター主導で 2.6 労働者は所得よりもしばしば雇用保証 進められてきた中国 7 について懸念している 87 4 仕事は変革的影響を持つ 8 2.7 生活満足度は農民と失業者の間で低い 88 5 経済発展につれ,仕事は収入と福利厚生を 3.1 中期的にみると雇用を犠牲にした 増大させる 9 経済成長はあり得ない 101 6 仕事は極貧者の減少をもたらす主要因となる 10 3.2 仕事の創出と破壊はどの国でも 7 仕事の創出と破壊はどの国でも同時に 同時に起きている 102 起きている 11 3.3 東アジアではセクターをまたぐ労働の再配分が生産性上 8 大企業ほど賃金が高い 12 昇の牽引力 103 9 零細企業での雇用比率が高い途上国 13 3.4 企業レベルの効率性増大が生産性上昇の 主要な牽引力 104 10 失業中あるいはやる気になる仕事を 持たない人は,社会参加が少ない 14 3.5 効率性の向上と雇用の伸びは両立できる 105 11 自己が望む仕事と最も重要とみなされる 3.6 小自作農がラテンアメリカ以外では支配的 106 仕事は同じではない 15 3.7 零細企業での雇用比率が高い途上国 107 12 一部の仕事は開発にとってより有益である 16 3.8 作物収量は地域によって大きな格差がある 109 13 個人的価値と社会的価値が一致しない 3.9 製造業における生産性の分散は 仕事がある 17 途上国の方が大きい 110 14 開発に資する良い仕事はどこでも 3.10 大企業は小企業よりも業績と給与が 同じではない 19 良い傾向にある 111 15 高所得国から移動した製造業雇用の推移 22 3.11 若い企業は古い企業よりも革新的な 16 明確な 3 層の政策が必要 23 活動に従事している割合が高い 111 17 金融と電力はフォーマル・セクターの 3.12 ガーナで生き残っている企業はポルトガルと 民間企業が直面する主要な制約要因 24 比べて生まれながら大きく,あまり 成長していない 113 18 仕事と訓練を組み合わせることで プログラムの成功率が上昇 27 3.13 インドとメキシコの大半の企業は ほとんど成長していない 114 19 優先順位の設定を支援するフローチャート 28 3.14 自営業者のなかには企業家として 20 仕事上の問題に関する各国の 成功する潜在力をもった者もいる 117 取り組みの成功例 31 3.15 サハラ以南アフリカの小企業では 1.1 仕事は賃金を伴うとは限らない 52 経営得点に大きなバラツキがある 118 1.2 若年層では,失業が常に問題という 4.1 平和的な集団的意思決定には信頼や わけではない 53 市民的社会参画が伴う 131 1.3 人口増加に対処するには雇用の増加が必要 54 4.2 失業者はあまり信頼も参加もしない 132 1.4 農村から都市への移動は必ずしも 4.3 やる気の出る仕事に就いている人はより 経済成長をもたらすとは限らない 55 積極的に信頼し参加する 133 1.5 労働生産性は途上国では低いままである 58 4.4 インドネシアでは就業はコミュニティ参加の 1.6 経済開発に伴ってスキル構成は変化する 58 増大を意味する 134 1.7 経済発展につれ,仕事は収入と 4.5 雇用機会の不平等は国ごとにバラツキがある 142 福利厚生を増大させる 60 5.1 自己が望む仕事と最も重要とみなされる 1.8 途上国の賃金は追い付きつつある 61 仕事は同じではない 164 1.9 教育の収益率は貧困国ほど高い 62 5.2 一部の仕事は開発にとってより有益である 166 1.10 雇用拡大が民間セクター主導で 5.3 個人的価値と社会的価値が一致しない 進められてきた中国 62 仕事がある 167 1.11 途上国では危機は雇用よりも所得に 5.4 所得格差は発展段階に応じて縮小するもの 影響を与えた 63 とそうでないものがある 170 1.12 大半の諸国は中核的労働基準を批准している 67 5.5 コンゴ共和国では家計所得に占める女性の 2.1 労働時間は年齢により異なる 80 シェアが上昇すると食料支出が増加する 171 2.2 女性は直接的に所得を生まない 5.6 ブルガリアとラトビアの貧困削減にとっては, 活動により多くの時間を費やしている 81 だれが仕事を獲得するかが重要である 172 2.3 仕事は家計所得にとって最も重要な源泉 83 5.7 台湾では集積効果は産業セクターごとに異なる 173 xvi 世界開発報告 2013 5.8 外国直接投資からの知識波及効果は国内の 変わっていない 247 生産性を押し上げる 174 7.3 仕事のための政策は他の諸国にとって 5.9 労働者 1 人当たりの高排出は産出 1 単位 有害なこともそうでないこともある 254 当たりの低排出と共存し得る 175 8.1 労働に関する政策や制度の構成は国ごとに 5.10 バングラデシュでは衣服工場の近接性が 異なる 267 若い女子の間で学校教育を刺激した 176 8.2 団体交渉の実行率は途上国では低い 272 5.11 すべての仕事が社会的アイデンティティ・ 8.3 仕事と訓練を組み合わせることでプログラムの ネットワーク・公平感を提供するわけではない 177 成功率が上昇 278 5.12 仕事へのアクセス機会に関する不平等の 8.4 ルーマニアでは公共事業の就職率は最低で 原因については,ジェンダーと父親の教育が 就職コストは最高 281 大きなシェアを占めている 178 8.5 労働税と社会的負担はさまざまな仕事の挑戦に 5.13 スキルは他の障害と比べて,事業にとって 直面している国ごとに異なる 284 より深刻な制約になっている 180 8.6 労働者は健康保険と年金にアクセスできるなら 6.1 農業国では「緑の革命」がなかったため, 所得の減少を喜んで受け入れる 284 貧困は高水準にとどまっている 198 8.7 不況期のアメリカでは雇用創出と雇用破壊の 6.2 紛争の影響下にある国では不安定性と 分離が大規模であった 288 インフラの不備が企業にとって深刻な 9.1 明確な 3 層の政策が必要 303 制約である 202 9.2 金融と電力はフォーマル・セクターの 6.3 小さな島嶼国は経済の中心地から遠く 民間企業が直面する主要な制約要因 305 離れている 211 9.3 法の支配は発展と関係がある 307 6.4 移住は小さな島嶼国にとって重要である ――太平洋ではなおさら 212 9.4 優先順位の設定を支援するフローチャート 309 6.5 若年失業率が極端に高い国がいくつかある 214 9.5 チリは鉱物輸出の依存度を減らした 314 6.6 チュニジアでは教育程度が高くても雇用の 9.6 スロベニアでは若年失業率が低下している 315 チャンスは改善しない 215 9.7 サービス自由化の提案は総じて控え目 319 6.7 労働規制はフォーマル化にとって最大の 9.8 インドの製造業企業の分布には 障害ではない可能性がある 218 「行方不明の中堅」が存在するか? 325 6.8 年齢別の参加率が不変にとどまれば 9.9 スリランカでは輸出加工区が 労働力は縮小するだろう 222 外国直接投資の牽引力であった 327 6.9 生活水準の低下を回避するためには 9.10 戸口変更にかかわる制限は都市の規模と 労働生産性が上昇しなければならない 222 所得に応じて厳格化 328 6.10 事業に対する制約の評価は企業ごとに異なる 228 7.1 高所得国から移動した製造業雇用の推移 246 7.2 世界全体で製造業雇用数は大きく 地図 表 1 少数の国では移住者が人口の大部分を 3.1 メキシコの小企業で成長を遂げたところは 占めている 20 数が少ない 115 3.1 韓国では製造業の活動は主要な 6.1 採取産業プロジェクトは資本集約的で 都市中心街から拡張しつつある 104 ほとんど雇用を創出しない 206 7.1 少数の国では移住者が人口の大部分を 6.2 資源が豊富な途上国の都市は世界で 占めている 241 最も高価な部類に属する 207 7.2 多くの移民は高スキル 243 8.1 EPL のインパクトに関しては新たな 8.1 社会保険のカバレッジは多くの諸国で 実証的な証拠の波がある 269 低いものにとどまっている 283 8.2 最低賃金のインパクトは労働経済学のなかで 人気のある研究テーマ 270 2 世界開発報告 2013 概観 仕事を中心に据える  仕事は,経済・社会の発展の基礎である.実際,開発は仕事を通じて実現する. 人々は,暮らしの向上を介して貧困や困窮からの脱出を図るべく働く.また,経済成 長は,技能のさらなる向上や,農業から企業への移動,生産性の高い仕事の創出,生 産性の低い仕事の減少につれて起こる.さらに,社会の繁栄は,仕事が様々な民族 的・社会的背景を持つ人々を互いに結び付け,好機への期待感が醸成される中で達成 される.従って,仕事は,人々の収入,行動,さらに人格すら一変する力をもつ.  ならば,仕事は当然,政策担当者から一般国民,業界リーダーから労働組合代表, 活動家から学識者に至るあらゆる人々と地域を対象とする開発アジェンダのトップに 掲げられるべきものだ.人口動態の大幅な変化,技術革新,人々と仕事の国際間の移 動,そして仕事の性質の根本的変化が進む中で,仕事創出の機会を把握しようとする と,政策当局者にとって次のような難しい問いが浮上する. • 各国の開発戦略は成長中心とすべきか,それとも仕事の方を重視すべきか? • 企業家精神は,特に途上国の多数の零細企業の経営者中から育成可能か,それと も企業家精神とは持って生まれた資質なのか? • 仕事は社会的結束に貢献できるが,政府は仕事創出の支援に取り組む以外に,社 会的結束に対して何ができるのか? • 教育や訓練への投資は,就職するための必須条件か,それとも技能は職場で身に つけられるものか? • 投資環境整備への取り組みは,仕事創出の可能性の高い地域,活動,企業をター ゲットとすべきか? • ある国の仕事の創出政策が他国の仕事を犠牲にするリスクはどれほどあるのか? • 大型のショックや大規模なリストラに直面したとき,人々だけでなく仕事も保護 することが望ましいか? • 生産性の低い地域や活動から,一段と大きな潜在性を秘めた地域や活動へと労働 者を加速的に再分配する方法とは何か?  個人にとり,仕事は,収入と福利厚生をもたらすとともに,自己啓発と幸福に資す る貴重な存在である.中には社会に幅広い影響力をもつ仕事もある.女性のための仕 事は,一家の収入の使途を変え,子供の教育や健康に使う可能性を高める.都市で は,仕事の特化やアイデアの交換が促進されるため,他の仕事の生産性を高める.グ 概観 3 ローバル市場に連結された仕事であれば,技術や経 能となる.そうなるように,政策環境は成長の 営管理についての新しい知識を自国にもたらす.ま 導火線となるようなものでなければならない. た,不安定な情勢では,暴力に走る若者に働く機会 そのためには,マクロ経済安定性,事業環境整 を与え,平和の回復に役立つ. 備,人的資本の蓄積,法による統治に注視する  こうした仕事は,生活水準,生産性,社会の結束 必要がある. に一段と幅広い影響を及ぼすため,個人よりも社会 • 労働政策:仕事創出の促進とそれを通じた開発 にとって,いっそう大きな価値がある.だが,負の 成果の拡充には,成長だけでは十分に対応でき 波及効果をもつ仕事もある.移転支出や特権で支え ないため,労働政策も必要となる.労働政策は られた仕事は,他者の負担となったり,人々が求め 効率を損なうことなく,労働市場の歪みに対処 る有益な仕事の機会をむしばむことになる.環境を することが可能であるが,その場合も,都市や 破壊する仕事はあらゆる人々に犠牲を強いる.その 世界的バリューチェーンでの雇用を制限するよ ため,開発に資する仕事もあれば,個人の興味をそ うな歪んだ介入を避け,弱者のボイス(発言 そるだけでほとんど役に立たない仕事もある. 権)と保護を提供する必要がある.  どの仕事が開発に最大の効果をもたらすかは環境 • 優先項目の設定:他の仕事に比べ,開発に一段 によりけりだ.どの国も開発レベル,人口動態,資 と貢献する仕事があることを踏まえると,当該 源,制度・機構でそれぞれ異なった状況にある.農 国の状況を配慮した上で,開発成果を最大化で 業主体の社会では,農業生産性を高め,農外で仕事 きる仕事のタイプを特定し,さらに民間セク の機会を創出する必要性に迫られている.資源の豊 ターによるそうした雇用の創出を阻んでいる市 富な国では,政府の移転支出で仕事を支えるのでは 場の不完全性や機構の欠陥を除去するか,少な なく,グローバル市場に連結されるよう,輸出の多 くとも相殺する必要がある. 角化が肝要となる.雇用のフォーマル化を進めてい る国では,雇用を犠牲にせずにフォーマル化が可能  開発の中心に仕事を据えることとは,労働政策・ となる社会扶助システムを設計する必要がある. 制度を開発政策の中心にすることだと解釈すべきで  仕事の大多数は民間セクターが創出している.だ はない.途上国での就労人口のほぼ半数は農民か自 が政府は,民間セクターによる仕事創出を支援する 営業者であり,労働市場の外で活動している人々で こともできるが,妨げとなる場合もある.「開発は ある.また賃金雇用であっても,労働政策・制度が 仕事を通じて実現する」という考えに立つと,政府 雇用創出の主たる障害になる場合と,ならない場合 の戦略,政策,プログラムの立案に新たな視点を見 がある.重大な障害が労働市場以外に存在すること 出すことができる.戦略は,ある国の環境の枠内 は頻繁にある.仕事創出の触媒となる政策とは,都 で,どの仕事が開発成果を最大限に高めることがで 市機能を向上し,適切な農業技術に農家がアクセス きるかを特定すべきものだ.また政策は,民間セク できるようにし,企業の新規輸出開拓を可能にする ターでの仕事の創出を阻止している障害を除去すべ ものである.仕事は開発の基礎であり,開発政策は きものである.さらに雇用創出プログラムは,たと 仕事にとって重要となる. えば紛争の影響を受けた国では正当化できるであろ う.しかし,これらの政策やプログラムの費用対効 果の分析を行って,仕事がもたらしうる正と負の波 仕事の必要性 及効果を配慮しなければならない.  多くの人にとり,「仕事」とは,雇主から定期的  もっと実務的なレベルで,開発のための仕事にレ に給与を受け取る働き手を連想させる.しかし最貧 ンズをあてると,次の 3 つの層に基づいた政策ア 国の労働者の大部分は,こうした雇主・従業員とい プローチに到達する. う関係の範疇にない.世界の就労人口は 30 億人を 上回っているが,その職種には大きなばらつきがあ • ファンダメンタルズ:各国の所得が高まると, る.定期的に賃金・給与を受けている被雇用者は約 仕事を通じて収益増大と社会的恩恵の浸透が可 16 億 5000 人いる.農業や家内経営の小事業に携 4 世界開発報告 2013 概観 5 わる者,季節的・臨時の日雇い労働者は 15 億人に 則及び権利に関する国際労働機関宣言」(1998 年) 及ぶ.一方,失業中だが就職先を活発に探している を中心とする国際基準では,基本的人権を,容認す 人(その大多数は若者)は 2 億人に達する.また, べきでない仕事についての境界線とみなしている 失業中だが就職を諦めた就労年齢の成人は 20 億人 が,後者の ILO 宣言ではさらに,中核的な仕事の 近くおり(その大半は女性),就労意欲のある者は 基準を特定している.以上の異なる視点を合わせる 計り知れない数に上る.そこで仕事とは何かを明確 と,仕事とは,人権を侵害せずに,現金または現物 にすることは有益な出発点といえよう. により所得を創出する活動といえる.  人々の生計手段を示すこの言葉は,国や文化を超 えて多種多様な意味をもつ.事務所や工場で働く人 場所によって様々な仕事 を指す場合もある.一方,農民や,都市の自営業  仕事の世界は,特に途上国においては多岐に及 者,さらに子供や高齢者を介護する者を包括した広 ぶ.この多種多様性は,労働時間とか求人数といっ い意味をもつ場合もある.その区別は単に語義によ た先進工業国で用いられる通常の尺度だけでなく, るだけではない.こうした様々な意味をもつのは, 仕事の特性も指す.その特性の中でも,主に 2 つ 人々が「仕事」の異なる側面を重視しているためと の面が際立つ.一つは自営業と農業が主流を占めて もいえる.仕事とは何か.これに関する見解は,仕 いることである 2.もう一つは,生存水準の農業や 事についての政策の在り方についての見解に必然的 低スキルの仕事から,技術を駆使した製造・サービ に影響を与える. ス業,さらには豊富な知識と高度なスキルを要する  統計学者にとっては,仕事とは,「雇主のため, 職業に至るまで,伝統的生産と近代的生産という 2 または自営業者として,一人の人間が遂行した,あ つの形態が併存していることだ. 1 るいは遂行するはずの一連の仕事と責務」である .  途上世界における仕事のほぼ半分は労働市場の枠 作業は被雇用者によって遂行される.これらは,市 外にあるが,賃金労働者,農業,自営業の割合は国 場向けに,または自己の消費のために財やサービス によって大きく異なる 3 .サハラ以南アフリカでは, を創出する人を指す.だが,この統計学的定義は, 無給の仕事は,女性の仕事の全体の 80%強を占め 仕事とみなすべきでないことには言及していない. るが,東欧・中央アジアでは 20%以下である(図 「国連世界人権宣言」(1948 年)や「労働の基本原 . 1 参照) 図 1 仕事は賃金を伴うとは限らない 男性 女性 100 賃金雇用 80 雇用全体に占める割合(%) 60 自営業 非賃金雇用 40 20 農業 0 ヨーロッパ・ ラテンアメリ 南アジア 中東・ 東アジア・ サハラ以南 中央アジア カ・カリブ 北アフリカ 太平洋 アフリカ 出所:WDR 2013 チーム. 注:データは入手可能な最新年のもの. 6 世界開発報告 2013 増えているが,国によっては若者の失業 図 2 若年層では,失業が常に問題というわけではない 率は依然憂慮すべき水準にある(南アフ 非就学または非就業 リカでは 2008 年初期以来 40%を超え, 非求職者 求職者 スペインでも 2012 年初期に 50%を上 パキスタン (2008 年) 男性 回った)5 .若者の失業率が低い国です 女性 トルコ ら,それは国家平均の 2 倍以上に達し (2005 年) ている.加えて,学業も訓練も受けてお イン ド (2009 年) らず,失業中だが職探しも行っていない インドネシア (2010 年) 「無活動」な若者が 6 億 2100 万人いる. チリ 「無活動組」の割合は国によって差があ (2009 年) るが,15 ~ 24 才では 10 ~ 50%に及 ブラジル (2009 年) ぶ(図 2 参照)6 .また,多数の若者は ウクライ ナ (2005 年) 無償で働いており,有償であっても社会 ガーナ 保険を受けている可能性は少ない 7. (2005 年) タンザニア (2009 年) 変わりつつある仕事の世界 0 10 20 30 40 50 60  こうした複雑な状況に輪をかけている 対 15-24 歳人口比(%) のが人口動態の大幅な変化だ.就労年 出所:WDR 2013 チーム. 齢人口の就業率を一定に保つためには, 2005 ~ 2020 年の間に,主にアジアと  途上国全体を通じて,インフォーマルな雇用(そ サブサハラ・アフリカでおよそ 6 億人分の新規の の定義には企業の登記の欠如によるとか,社会保障 仕事が創出される必要がある.労働力が大幅に増 の対象外とか,雇用契約の不在といった基準があ 加している国もあれば(中国では 1990 年代半ば以 る)が幅広く根付いているのが特徴だ.インフォー 来,毎年 800 万人が,またインドでは 700 万人が マルな雇用はまた,規模が限られているという理由 労働市場に新たに加わっている),人口の減少に直 で労働規制の管轄外にあるが,そうした規制が意図 面している国もある.例えば,ウクライナの労働人 的に回避されているともいえる.具体的な定義がい 口は年間推定約 16 万人の割合で減少している 8 . ずれであれ,インフォーマルであることには概して  急速な都市化により,仕事の構造にも変化が出 低生産性がつきものである.しかしこれは,フォー ている.途上国では,2020 年までに人口の過半数 マル化を行えば効率が高まることを意味するのでは が都市や町で暮らすことになる見通しだ 9.その結 ない.インフォーマルであることは,低生産性の兆 果,非農業労働者の増加率が農業従事者の増加率を 候であると同時に,低生産性の原因になっていると 大幅に上回ることになろう.工業化を成し遂げた国 4. いえる では数十年もかかったこの構造の変化は,今や途上  ジェンダーと年齢の格差も著しい.世界的には, 国では一世代のうちに起こっており,そこで暮らす 女性は半数以下しか仕事を持っていないが,男性 人々の生活を一変させている.またこの変化を通じ はほぼ 5 分の 4 に達する.パキスタンでは,労働 て効率を著しく改善することができる.途上国の中 力に加わる女性は 28%だが,男性は 82%を超え には,工業が進んだ国との生産性の差を急速に縮小 る.一方,タンザニアとベトナムでは,この参加率 した国もある.しかし,追い上げができなかった国 は男女共に 75%を超える.こうした参加率の著し もあり 10,全般的に見ると,途上国と先進国の間 い格差に加え,女性の収入は依然として男性より大 の格差は依然として大きい. 幅に低く,その違いを教育や,経験,就業先のセ  グローバリゼーションにより,仕事の性質も変わ クターでは十分に説明することができない.学業 りつつある.先進国では,一次産業や伝統的製造業 や訓練に大半の時間を注ぐ 15 ~ 24 才の若者数は から,サービス業や知識集約的な活動へと中味がシ 概観 7 図 3 雇用拡大が民間セクター主導で進められてきた中国 110 100 90 80 労働者数、100万人 70 60 50 40 30 20 10 0 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 20 20 20 20 国営企業 個人企業(従業員 8 名未満) 民間企業(従業員 8 名以上) 外資系企業 出処:Kanamori and Zhao 2004. 注:外資系企業の 2002 年のデータおよび非国営企業の 2003 年のデータは利用不能. フトしつつある 11.同時に,技術の進歩と途上国 して上位を占めている 18 .インドでは,米国にほ へのアウトソーシングにより,中程度のスキルを要 ぼ匹敵する,2000 万人近くが高等教育を受けてい 12 する仕事が減少している .また製造工程を分割 る.さらに中国では,中等教育以上の生徒数は両国 して,異なる拠点での生産が可能になった 13 .多 を上回る 3000 万人に達する 19.米国は依然,国 国籍企業では,世界各国の熟練度の異なる労働者層 際的な学習到達度に関する調査(PISA)でトップ を利用できるよう統括的バリューチェーンを構築し スコアを出す生徒の割合が高い.だが,韓国はドイ てきた 14.アウトソーシングは製造業だけでなく ツと並び,そのすぐ後にロシア連邦が続いている. サービス業でも起きている.1990 ~ 2008 年の間 優秀な生徒数は,上海だけでも,ドイツの 5 分の に,世界のサービス輸出で,途上国が占める割合は 1,アルゼンチンの約 2 倍にも上る 20. 21%へと倍増した 15 .  労働者と企業の関係も,技術によって変わりつつ 民間セクターの役割 ある.グローバル市場を含め,これまでより遥かに  こうした急速な変化の時代においては,民間セ 広域な労働市場にアクセスできるからだ.新市場の クターが仕事創出の原動力であり,世界中で 10 人 中にはインターネットを通じて営業する場合や,携 につき,ほぼ 9 人の仕事を生み出している.ブラ 16 帯電話の技術を活用する場合もある .パートタ ジルでは,1995 ~ 2005 年にかけ,民間セクター イム職と臨時雇用は今や,工業国と途上国の両方で が仕事の 90%を創出し,フィリピンとトルコでは 大きな特徴となっている.南アフリカでは,臨時雇 95%に達する 21.中国は,民間セクターの成長を 用斡旋機関を通じて仕事を見つけて働く者は労働人 通じて雇用拡大を実現した最も顕著な例だ.1981 口の約 7%を占め,臨時雇用斡旋業を通じて 1 日平 年には,同国の国営企業(SOEs)における雇用者 均 41 万人が就職している.インドでは,斡旋機関 数は 8000 万人だったのに対し,民間セクターでの を通じて就職した臨時雇用数は 2009 年には 10% 雇用者数は 230 万人だった 22.その 20 年後,民 17 以上,2010 年には 18%増加した . 間セクターでの雇用者数は 7470 万人へと増大し,  このグローバルな生産への地域的変化により,技 初めて国営企業の雇用者数 7460 万人を上回った 能保有者と,有能な人材の世界的分布がシフトして . (図 3 参照) いる.中国とインドは,技能の高い人材が極めて多  世界的な傾向とは対照的に,中東・北アフリカの いと評されており,魅力的なアウトソーシング先と 一部の国では,政府が主たる雇主となってきた.こ 8 世界開発報告 2013 の伸びは,2008 年以前は年間 1.8%前後だったが, 図 4 仕事は変革的影響を持つ 2009 年には 0.5%以下に落ち込み,2011 年になっ ても危機前の水準には回復していない 28 .経済危 機の影響の防止・緩和に向けた政策対応は,雇用に 発展 重要となりうる様々な施策を組み合わせたものと なっている 29. 生活 生産性 社会的  人口動態の変化,都市化,グローバリゼーショ 水準 結束 ン,技術の変化,そしてマクロ経済危機が重なっ て,仕事不足の問題への取り組みは極めて困難に なっている.これに対する取り組みを怠っている国 では,労働所得が伸び悩み,仕事に関連した不満が 多数の労働者の間で鬱積する悪循環に陥る可能性が 仕事 ある 30.また,若年層の間で失業者や「無活動組」 が急増し,女性の雇用機会がさらに減少するかもし 出処:世界開発報告 2013 担当チーム. れず,経済的・社会的に改善可能なことが手つかず に終わる可能性がある 31.生活水準は小刻みな改 のパターンは,独立後の政治経済と関係があるが, 善を繰り返すだけで,生産性の伸びも衰え,社会的 23 多額の原油収入にも起因する .公共セクターは 結束が崩れる状況が定着しかねない.逆に,こうし 長期にわたり若い大卒者を雇用してきた.しかし, た仕事の問題に積極的に取り組む国では好循環を作 公共セクターで雇用拡大を続けられるほどの財政的 り出せる.その結果,社会の繁栄,中流層(ミドル 余裕がなくなると,公共セクターの職で「待ち行 クラス)の拡大,生産性向上,女性や若年層の雇用 列」が一般化し,袖の下の就職,学歴軽視,一種の 機会が拡大され,改善が改善を呼ぶ「好循環」が可 24 社会排斥につながった .そのため,かなり高度 能となる. な教育を受けた若者が完全失業者もしくは不完全雇 用者として残り,労働生産性は停滞した 25 . 全般的に,各国は仕事の創出に成功してきた.現 仕事を通じて実現する開発 在,仕事の量はかつてない高水準にあり,被雇用者  仕事は,収入や福利厚生を超えた恩恵をもたら の所得も一般に向上している.事実,急速な社会 す.それはまた,アウトプットを作り出し,人格 的・経済的変化の中で,途上国における貧困は低下 や,社会での対人関係をも育成する.そうした結果 してきた.途上国世界で 1 日 1.25 ドル未満(購買 を通して,生活水準の向上,生産性改善,社会的結 力平価を基準)で暮らす人々の割合は,1981 年に 束の促進が可能になるのである(図 4 参照). 52%(19.4 億人)だったのが,2008 年には 22% (12.9 億人)に低下した 26 .この減少は様々な要 生活の糧となる仕事 因に由来するが,主にアジアを中心とする途上国  仕事は,生活水準を決定する最も重要な要因であ で,より生産的な新規の仕事が多数創出されたこと る.大半の人々にとって,特に最貧国では,仕事が 27 が主たる原動力となってきた . 主な収入源となる.多くの家庭では,家族の一員が  しかしながら,仕事は景気後退の影響を受けやす 失業するか就職するかにより,貧困に転落するか, く,公共セクターに比べ民間セクターはことに脆弱 脱出するかが決まる.農業と自営業を含め,収入の である.短期的危機により,長年にわたる進歩が帳 ある仕事の機会こそが,家族にとっての消費増大と 消しになることもある.一国で発生した危機も今で 生活安定化の手段となる.農業における収量向上, は,グローバリゼーションを通じて,地域全体,さ 若干の農外活動へのアクセス,家族の一員の都市移 らに全世界に波及する.昨今の金融危機では,1 年 住,賃金雇用への転職は,どれも繁栄の道につなが 間で新たに 2200 万人の失業者を出した.雇用全体 る 32.収入が増すと,個人にとっての選択肢も増 概観 9 図 5 経済発展につれ,仕事は収入と福利厚生を増大させる a.平均賃金 b.社会保障の対象範囲 100,000 100 プログラムへの負担者の割合(%) 2005年のPPPを基準とした 雇用全体に占める、社会保障 製造業の平均賃金(米ドル) 80 10,000 60 40 1,000 20 100 0 300 3,000 30,000 300 3,000 30,000 2005 年の PPP を基準とした 2005 年の PPP を基準とした 1 人当たり GDP(米ドル) 1 人当たり GDP(米ドル) 出処:世界開発報告 2013 担当チーム. 注:GDP= 国内総生産,PPP= 購買力平価.各点は国を示す. 大する.家族の一員が就労を辞めたり短縮すること .ラテンアメリカの 18 カ国中 10 カ国 (図 6 参照) で,教育により多くの時間を投じたり,定年後の生 では,貧困削減率の 2 分の 1 以上,他の 5 カ国で 活を楽しんだり,家族のためにより多くの時間を費 は 3 分の 1 以上が,労働所得の変化に由来する. やすことができるようになる. バングラデシュ,ペルー,タイでは,教育や,職務  経済の発展につれ,労働者の収入が増し,仕事に の経験,居住地域を変えることも重要だが,そこか 付随する福利厚生も改善される.この関係は自動的 ら得られる見返り(労働収入も含む)が最も重要 ではないが,経済成長が仕事に良い影響を与えるこ だった.途上国の国民の大部分が働いていることを とは明らかである(図 5 参照).確かに,経済がさ 踏まえると,単に職があるだけでは不十分である. らに発展すると,労働者の平均的技能も向上する. 貧困脱出に役立つのは,あくまで仕事から得られる ということは,各国の統計データは,同じ質の労働 収入の増大なのだ 36 . 者の状況を反映していないため,厳密には対比でき  仕事は,所得にとって根本的に重要でありかつそ ないことになる.しかし,経済成長により,たとえ れは即座に所得に影響するが,それ以外にも,精神 技能が変わらなかったとしても労働者の生活水準は 的・身体的な健康といった他の側面でも影響を及ぼ 高まるのである. す.無職であることは,生活の満足感を奪う.これ  カナダ,エクアドル,ドイツ,南アフリカといっ は特に,賃金雇用が一般化し,雇用機会に恵まれな た異質の国々で 20 年以上続けられた,貧困の動態 いことが,不完全雇用ではなく完全失業を意味する 的変化に関する研究では,労働関連の出来事が貧困 国ではなおさら深刻だ.雇用されていても,仕事の 33 からの脱出のきっかけにとなることが分かった . 物質的あるいは非物質的特性,あるいは主観的特 こうした出来事には,世帯主の転職から,家族の一 性などのすべてが本人の満足感に影響を及ぼす 37. 員の就職,就労メンバーの所得増大などが含まれ また,職場の安全性,仕事の安定度,学習・昇進の る.反対に,仕事の機会に恵まれなければ,家計の 機会,健康保険や社会保障手当といった他の特性も 生活水準を維持向上することは困難になる 34.低 労働者にとって大切だ.しかし途上国では,このよ 所得国で実施された大規模な調査では,人々が貧困 うな特典を伴う仕事は比較的少ない. から脱出できた主な理由として就職とビジネス開業 の 2 つが挙げられている 35 . 仕事の特質  定量的分析でも,貧困削減に寄与する最大の要因  経済成長は,おのおのの仕事の生産性向上のみな は労働所得の変化だということが確認されている らず,生産性の高い仕事の拡大と,生産性の低い仕 10 世界開発報告 2013 図 6 仕事は極貧者の減少をもたらす主要因となる 200 150 極貧者数の総変化率(%) 100 50 0 ‒50 ‒100 イ イ リ ア ア カ ュ コ ン ス マ ー ナ ル ル ル ル バ ア タ チ リ シ シ ニ ビ チ ラ ナ ド アド ド ー ル ー ジ タ グ ン キ デ ュ バ ル マ ン ガ パ ラ パ ペ ス ク ラ メ ロ ジ ラ ー モ ル ゼ ブ ネ コ エ コ パ ン グ ル サ ル ホ ン ア ル バ エ 家族構成の変化 労働所得 非労働所得 消費対所得比率 . 出処:Azevedo and others 2012, Inchauste and others 2012(共に,世界開発報告 2013 を目的としたもの) 注:「家族構成の変化」とは,ある世帯における成人(18 才以上)の割合の変化を指す. 「労働所得」とは,各成人の雇用および労働による収入の変 化を指す. 「非労働所得」とは,移転,年金,帰属家賃など,労働以外の手段から得られた所得の変化を指す.棒グラフの横軸がゼロ以下にある場合 は,それにより貧困が減少せず,むしろ増加したことを示す.変化算出の対象国:アルゼンチン(2000-10 年) ,ブラ ,バングラデシュ(2000-10 年) ジル(2001-09 年) ,コロンビア(2002-10 年) ,チリ(2000-09 年) ,エクアドル(2003-10 年) ,コスタリカ(2000-08 年) ,エルサルバドル(2000-09 年) ,ホンジュラス(1999-2009 年) ,ガーナ(1998-2005 年) ,モルドバ(2001-10 年) ,メキシコ(2000-10 年) ,パラグアイ ,パナマ(2001-09 年) ,ペルー(2002-10 年) (1999-2010 年) ,ルーマニア(2001-09 年) ,ネパール(1996-2003 年) .バングラデシュ,ガーナ,モルド ,タイ(2000-09 年) バ,ネパール,ペルー,ルーマニア,タイでの変化率は,消費ベースの貧困測定法を,他の国では所得ベースの測定法を用いて算出. 事の消滅に伴って起きる.こうした成長は,終局的 は時にはその数はうまくいった「企業規模縮小」を には,新商品や,新たな生産方法や輸送の方法,新 上回るものがあった 42.さらに,経済移行国と中 しい市場の開拓によって達成されるが,その過程で 国では,1990 年代後半と 2000 年代初期に,民間 絶え間ないリストラや,労働を含めた資源の再配分 セクターの活発な活動と公的セクターのリストラが 38 が起こる .仕事の純増数だけに着目するだけで 相まって,生産高と雇用の急増につながった 43 . は,仕事の総創出と総破壊という遥かに重要なプ  雇用規模拡大に成功した企業は,設立後の年数 ロセスを見逃してしまう.途上国では,年間平均 7 が浅く,無駄が無く,創造性が豊かである傾向が ~ 20%の仕事が製造業で創出されるが,同様の割 ある 44 .しかし,全般には,大企業のほうが,創 合で消滅も起こっている(図 7 参照)39. 造性と生産性の両方に優れている.これらの企業  経済成長は,生産性の高い仕事の創出と生産性の は,より多くの資金を設備投資に注ぐ.大企業は 低い仕事の消滅に伴って起きるため,生産性向上と また,小企業に比べ,新商品の開発や,新技術の 仕事の創出の関係は直線的ではない.中期的には, 導入,工場の開設や閉鎖,アウトソーシング,外 仕事の量の動向は,労働力人口の動向と密着して推 国企業との合弁会社設立を行う可能性が遥かに高 移する.従って真に仕事なき成長というのは極めて い 45 .さらに,同じ労働を使っても生産量が多く, 稀である.しかし短期的には,イノベーションによ 輸出の量も多い.また,零細・小企業に比べ,遥 り仕事が増大する場合と減少する場合がありえる 40. かに高額の賃金を支払う(図 8 参照).だが,途上 生産性向上は企業のダウンサイジングによって実現 国では,多くの人が,零細で,必ずしもダイナミッ するという一般的見方があるが,生産性と雇用の クな経済単位とはいえない職場で働いている. 41 両方を拡大できる企業もある .チリ,エチオピ  農業で圧倒的に多いのは「家族農業」と呼ばれる ア,ルーマニアでは,うまくいった「企業規模拡 農家である.サハラ以南アフリカ,それにとりわけ 大」は,生産高と雇用の増加に大きく貢献し,それ アジアでは,農家の平均耕作面積はそれぞれ 1.8 ヘ 概観 11 クタールと 1.2 ヘクタールに過ぎ 図 7 仕事の創出と破壊はどの国でも同時に起きている ない 46 . 「緑の革命」は作物の収 量向上だけでなく,技術的に労働 純雇用創出 粗雇用創出 粗雇用破壊 集約的であることから,労働投入 経済全体 の増大をもたらした.だが,その ラトビア 進展状況は地域によってむらがあ メキシコ り,サハラ以南アフリカでは大規 模な進展は起こっていない.より アルゼンチン 機械化された農家では,生産性は 向上しているが,土地市場の制約 エストニア により,一般に機械化のペースが ハンガリー 遅れている.さらに,機械化のな い場合には,1 ヘクタール当たり スロベニア 収量は小規模農家の方が高い傾向 にある. ルーマニア  農業以外では,零細企業と自営 先進国(平均) 業がおびただしい数に上る(図 9 参照).上位中所得国においてす 製造業部門のみ ら,こうした小規模企業は雇用創 エチオピア 出に大きな役割を果たしており, エチオピアの製造業セクターでは インドネシア 雇用の 97%だが,チリでも 39% ブラジル を占めている.サービス・セク ターではその役割がもっと重要な チリ ケースも多い.民間セクターが誕 生してわずか 20 年の東欧諸国で 台湾 すら,零細企業は,製造業の雇用 コロンビア の 10 ~ 20%,サービス業の雇 用の 30 ~ 50%を生み出してい ベネズエラ る.大多数の企業の全要素生産性 先進国(平均) は極端に広く分散している.イン ドでは,狭義に定義されたセク ‒5 0 5 10 15 20 ター内ですら,この分布の下位 雇用全体に占める割合 (%) 10 パーセントに属する製造業の 出処:世界開発報告 2013 担当チーム推計(Bartelsman, Haltiwanger, and Scarpetta 2009b,および 工場は,上位 10 パーセントに属 . Shiferaw and Bedi 2010 に基づく) する工場の 22 分の 1 以下の量の 注:数字は,年間の雇用フローを示す.データは以下の国を対象:アルゼンチン(1996-2001 年) , ブラジル(1997-2000 年),カナダ(1984-97 年),チリ(1980-98 年) ,コロンビア(1983-97 年), 生産物しか生産していない.この エストニア(1996-2000 年) ,エチオピア(1997–2007 年) ,フィンランド(1989-97 年) ,フラン パターンはラテンアメリカの多数 ス(1989-97 年) ,ドイツ(1977-99 年),ハンガリー(1993-2000 年) ,インドネシア(1991-94 年) ,イタリア(1987-94 年),ラトビア(1983-98 年),メキシコ(1986-2000 年),オランダ(1993- の国にも共通している.これに対 95 年),ポルトガル(1983-98 年) ,ルーマニア(1993-2000 年) ,スロベニア(1991-2000 年),台 湾(1986-1991 年) ,米国(1989-91,1994-96 年)およびベネズエラ(1996-98 ,英国(1982-98 年) し,米国ではこの比率は 9 分の 1 年) . である 47.  零細企業は,グループの平均的 パフォーマンスは低いが,企業 12 世界開発報告 2013 拠点は世界 15 カ国,100 社に近い企業を傘下 図 8 大企業ほど賃金が高い に置いている.また,インドのタタ・グループ 6 は,19 世紀後半にムンバイを拠点とする同族 貿易会社からスタートし,現在,114 の企業 と子会社からなる多国籍複合企業へと変身し た.その業務は複数の大陸で 8 つのビジネス・ 4 セクターを網羅している.さらに,温州市の履 推定(%) 物製造業のような,中国で成功を収めた産業集 積の多くも,小さな家族企業が互いに協力しな 2 がら発展したものだ 51.  不幸にして,途上国の多くでは,古い大企業 が停滞気味で,新しい小企業が不安定である傾 向が強い.活発でダイナミックなプロセスは通 0 常見られない.ガーナでは,多くの企業は初め 0 20 50 80 120 零細企業に対する賃金格差(%) から大型で,15 年にわたりほとんど成長して いない.対照的に,ポルトガルでは,多数の企 小企業 大企業 業が零細企業から出発し,その後大きく成長 . 出処:Montenegro and Patrinos 2012(世界開発報告 2013 向けのレポート) した 52.インドでは,大部分の企業が小企業 注:上記の数値は,1991 ~ 2010 年にかけて 33 カ国で実施された労働調査(138 世帯対象)を利用.横軸は,労働者特性の差をコントロールして,小企業(従業 として発足し,そのまま小型である場合が多 員 10 ~ 50 名)と大企業(従業員 50 名以上)が零細企業に比べ,どれほど多く の賃金を支払っているかを推定したもの(すなわち推定賃金プレミアム) . く,企業の存続期間中,従業員の変化もほとん ど見られない.ここで興味深いのは,創立 35 年を迎えた企業の設立当初と現在の規模の比較 の内容は多岐にわたっている.零細企業や自営業 だ.インドでは,現在の規模が設立当初の規模より は,貧困層の生存のための手段であり,農外活動へ 4 分の 1 縮小した.メキシコでは規模が倍増した. 多様化する一つの手段となっている.そこでの経営 米国では,10 倍の規模に飛躍した 53 .企業家精神 者の収入は平均して多くない 48 .しかし,中所得 に満ちた活発な活動や,低生産性の経済部門から高 国における零細・小企業の経営者の多くは,先進国 生産性の部門への労働力の大幅な再配分から生じる の同様の経営者と同じように,企業家精神が旺盛で 潜在的利得は計り知れない 54.だが,そうした利 ある.にもかかわらず中所得国の零細・小企業のパ 得を実現するための支援は途方もなく困難な作業 フォーマンスが低いのは,例えば,信用へのアクセ だ. スが限られているといった劣悪な投資環境に起因し ているようだ 49.それでも「ガゼル企業」と呼ば 人格を表す仕事 れる小数の零細企業は,積極的に投資を行って高い  仕事があるか否かを問わず,人々は,仕事を基準 50 リターンを実現している . に,自分に対する見方や,他人との関係を形成する  大企業は生産性が高いが,初めから大企業だった ことがある.一部の仕事はエンパワメントを助ける わけではない.先進国でも,ホンダ自動車やマイク ことになるが,極端な場合には仕事の機会がないた ロソフト社のような一部の著名な企業は,個人の家 めに暴力や社会不安を助長することもある.若者 の車庫から創業が始まった.途上国でも,成功を収 が,仕事を通じて得られるはずの帰属意識やアイデ めた多数の企業は,家族経営の企業から発展した. ンティティを暴力団に求めることもある.例えば, タイのチャロエン・ポクファンド・グループは, エクアドルでは,暴力団に加わった理由として「自 1921 年に 2 人の兄弟がバンコックで小さな種子販 分の家族が与えてくれなかった支援や,信頼,結束 売店を設立して始まったが,いまやアグリビジネス (すなわち社会的資本)を求めていたことと,地元 における有数の多国籍複合企業へと発展した.営業 には他に機会が何もない」という点を挙げた 55 . 概観 13 図 9 零細企業での雇用比率が高い途上国 エチオピア エジプト インド ボリビア コロンビア ガーナ メキシコ ベネズエラ アルゼンチン ポーランド トルコ ハンガリー 南アフリカ ウルグアイ チェコ スロベニア チリ ルーマニア ベトナム 先進国(平均) 0 20 40 60 80 100 雇用に占めるシェア(%) 製造業セクター サービス・セクター 出処:世界開発報告 2013 担当チーム推計および EUROSTAT. 注:零細企業とは,正規,非正規を問わず,従業員 10 名未満の企業を指す.途上国のデータは以下の国を対象:アルゼンチン(2006-10),ボリビア (2005,2007),チリ (2006,2009),コロンビア (2009),チェコ (2005-07),エジプト (2006),エチオピア (1999),ガーナ (1991),ハンガリー (2007-08), インド (2004,2009),メキシコ (2004-10),ポーランド (2005-07),ルーマニア (2005-07),スロベニア (2005-07),南アフリカ (2005-07),トルコ (2006- 10),ウルグアイ (2009),ベネズエラ (2004-06),ベトナム (2009).先進国のデータは以下の国を対象:オーストリア,ベルギー,デンマーク,フィン ランド,フランス,ドイツ,ギリシャ,イタリア, ルクセンブルグ,オランダ,ノルウェー,ポルトガル,スペイン,スウェーデン,英国(いずれも . 2005-07)  職場は,新たなアイデアを見つけたり,異性や異 題なのではなかった.それは,仕事の機会の少なさ なる民族的背景を持つ人と交流する場となりうる. に対する失望と,実力ではなく人脈に基づいた仕事 1990 年代後半に実施されたインタビューでボスニ の配分への苛立ちが,特に域内の若年層の間で広 ア人たちは,「職場は,異民族間の協力を最も支援 がったためであった. 56 してくれる場だ」とコメントした .また,トリ  仕事は,自己に対する見方,他者とのやりとり, ニダード・トバゴの実業家は,様々な民族的背景を さらに社会における自分の権利の受け止め方に影響 持つ人と接する機会は,社交的な場より職場の方が を及ぼす 59.仕事はまた,社会的な帰結を左右す 57 多いと述べた .しかし,人脈により他者が排除 ることもある.それは,社会決定や様々なグループ されることもある.モロッコでは,父親がフォーマ 間の緊張に対する社会の対応とか,紛争の回避や解 ル・セクターでの職に就いていなかった人は,自分 決の仕方に影響を与える.しかしこの関係は,直接 自身がそうした仕事に就く可能性が非常に低い 58 . 的ではなく,また即座に生じるわけでもない.仕事 ある社会における仕事の分布と,誰がいかなる理由 は,平和的に集団の意志決定ができる社会の能力に で雇用機会にアクセスできるのかについての観念 貢献する一要素に過ぎない.一方,社会的結束は, は,将来に対する期待と公正感に影響を与える.子 企業家のビジネス決定環境を左右することから,仕 供たちの希望は,両親の仕事の有無や種類に影響さ 事に影響を与える. 「アラブの春」は単に雇用が問 れる可能性がある.  自己の民族グループ以外の者に対する信頼感と 14 世界開発報告 2013 図 10 失業中あるいはやる気になる仕事を持たない人は,社会参加が少ない a. 積極的な市民活動と失業 b. 積極的な市民活動とやる気になる仕事 0.1 ‒0.02 ◆ 0 ◆ 0.01 ◆ ‒0.1 ◆ 限界的確率 限界的確率 ◆ ‒0.2 0 ◆ ‒0.3 ◆ ‒0.01 ‒0.4 ◆ ‒0.5 ‒0.02 ‒0.6 高所得国 上位 下位 低所得国 高所得国 上位 下位 低所得国 中所得国 中所得国 中所得国 中所得国 . 出処:Wietzke and McLeod 2012(世界開発報告 2013 向けのレポート) 注:縦軸は,9 種の団体の 1 つ以上のメンバーである回答者の所得,教育,人口動態上の特性をコントロールして,これら回答者が団体活動に活発に 参加する確率を示したもの.a 図は,失業とリンクした場合の確率を,b 図は,知的,創造的,あるいは独立性の高い雇用とリンクした場合の確率を 示す.縦の線の長さは推定確率の 95%信頼区間を示す. 市民活動への積極性は,社会的結束を表す 2 つの 働者を搾取する活動,危険な環境にさらす活動,あ 指標である.失業すると,信頼感と市民活動の両 るいは精神的・身体的健康を脅かす活動は,個人と 方が低下する(図 10 参照).その因果関係を確立 社会の両方にとってためにならない.児童買春や強 するのは難しいが,ここでは単なる相関関係が重 制労働は,人間の尊厳に関する原則に背き,個人と 要なのではない.インドネシアでは,2000 年には 集団の健全性を阻害する.今日,隷属的労働,奴 就労していたが 2007 年に失業したという人々の, 隷,強制的売春といった非自発的労働の犠牲者は世 コミュニティ活動への参加率は仕事を続けている 界で 2100 万人に上ると推定される 61.2008 年に 者に比べて低めだった.反面,2000 年に失業中 は,有害な仕事に携わる 5 ~ 17 才の子供の数は 1 だったが 2007 年に就職した人々は,引き続き失 億 1500 万人に達した 62.人権や労働基準に関す 業している者より市民活動に参加する可能性が遥 る国際規約では,強制労働や,有害な児童労働,差 かに高かった 60 . 別,労働者の発言権抑止は禁じられている. 仕事の性質も重要となる.エンパワメント,支援作  人権を守るという以外に,仕事の明らかな利点 り,権利尊重が重視される仕事は,信頼感を高め, は,仕事をもつ者に収入をもたらすことだ.こうし 市民社会への積極的な参加を促す.経済的・社会的 た収入は,現金や現物であったりするほか,様々な な結びつきを作る仕事は,国境を越えて仕事をし, 福利厚生を伴うこともある.その他に仕事の安定 紛争を解決しようとする意欲を生み出す可能性があ 性,ボイス(発言権),満足度といった特性も仕事 る.さらに,現在あるいは将来のいずれかに仕事の をもつ者の主観的な満足度に影響を及ぼす.仕事の 機会が到来するという確信が高まれば,人々は他者 こうした側面をいくつか盛り込んだ「ディーセン を信頼し,機構や制度にも信認を寄せる可能性が高 」と呼ばれる概念は, ト・ワーク(人間らしい仕事) まる.究極的には,仕事は,社会的アイデンティ 1999 年に国際労働機関(ILO)によって導入され ティやネットワーク,公正感に与える効果を通じ た 63 .「自由で平等,かつ安全で人間の尊厳を重ん て,社会的結束に影響を及ぼす. じる環境において男女共に人間らしい生産的な仕事 を追求するための機会」と定義されるこの概念は, 多数の政府が仕事に関する政策アジェンダを明確化 仕事の評価 する際に利用されてきた.この概念は,国連やいく  全ての形態の仕事が容認されるわけではない.労 つかの国際機関からの信認と多数の国際フォーラム 概観 15 図 11 自己が望む仕事と最も重要とみなされる仕事は同じではない a.中国 b.エジプト 50 50 D 40 40 社会的価値観 社会的価値観 30 T C 30 F T 20 20 F D 10 10 C S S 0 0 0 10 20 30 40 50 0 10 20 30 40 50 個人的価値観 個人的価値観 c.コロンビア d.シエラレオネ 50 50 D 40 40 D D 社会的価値観 社会的価値観 30 30 20 T 20 F F T C 10 10 CS S 0 0 0 10 20 30 40 50 0 10 20 30 40 50 個人的価値観 個人的価値観 C 公務員 D 医者 F 農民 S 店主 T 教員 出処:Bjørkhaug and others 2012; Hatløy and others 2012; Kebede and others 2012 および Zhang and others 2012(全て世界開発報告 2013 向けのレポー . ト) 注:数字は自己の望む職業(個人的価値観)を回答した者と社会にとって好ましいと考える職業(社会的価値観)を回答した者の割合. の支持を受けている. .個人的には総 れ異なる回答をした(図 11 参照)  仕事は,収入やアウトプットを生み出し,アイデ じて,公務員か店主が望ましいと答えたが,社会に ンティティに影響を及ぼす中で,仕事をもつ者の福 とって最も重要な職業は,教員と医師だと答えた 利のみならず,他者の福利にも影響を与える.仕事 ケースが極めて多かった. が開発にどれだけ貢献するかを正しく理解するに  誰が職に就くかは,単なる個人の利害を超えた重 は,これらの影響,すなわち仕事の波及効果を評価 要性をもつ.貧困削減に対する関心の高い社会で する必要がある.プラスの波及効果をもたらす仕事 は,困窮からの脱出に貢献する職業は,そうした仕 では,本人にとっての個人的価値以上に社会にとっ 事に従事する以外の人々の精神的安堵感を改善する ての価値が大きいが,マイナスの波及効果の場合は ため,プラスの波及効果を有する.女性の仕事も個 全く逆のことが言える.こうした幅広い効果に関し 人を超えた重要性をもつ.一家の中で女性の収入が ては,多くの人が直感的に認識している.中国,コ 占める割合が増すと,子供の健康と教育の達成度が ロンビア,エジプト,シエラレオネでは,最も好ま 向上する傾向がある.多数の女性がアパレル産業で しい職業は何かという質問と,社会にとって最も重 働くバングラデシュでは,村落から通勤可能な距離 要な職業は何かという質問に対し,回答者はそれぞ にアパレル工場が開設されると,雇用機会が増えた 16 世界開発報告 2013 図 12 一部の仕事は開発にとってより有益である 世界市場に 連結された 機能的な 環境的に 仕事 都市での仕事 優しい仕事 開 発 貧困層の 公平感を ための仕事 与える仕事 生活 生産性 社会的 女性の 水準 結束 社会ネット エンパワメントに ワークにつな つながる仕事 がる仕事 他者に負担を 社会的 押し付けない アイデンティティを 仕事 形作る仕事 仕事 出処:世界開発報告 2013 担当チーム. と受け取られ,女子の就学率向上につながった 64. を変え,社会にプラスの影響を与えることが示さ インド南部の村落の低カーストの間では,女性の年 れた.職業訓練や社会的技能を教える「Programa 間所得を 90 ドル増やすことで,子供の就学年数を Juventud y Empleo(若者雇用プログラム)」へ 65 1.6 年延長できたと推定されている . の参加者は,暴力団との関わりや暴力行為,その  同様に,外国の企業の直接投資(FDI)によって 他の危険な行動を減らした 68 . 創出または確保された雇用は,他の雇用,つまり他  収入や福利厚生は同レベルでも,仕事がもたらす の人々にとっても重要となる.この投資には知識や プラスの波及効果が高いほど,仕事の社会的変革効 ノウハウが伴う.それにより,外資系子会社だけで 果も増し,社会にとっての価値が高まる.一般に, なく,この会社と取引を行ったり,その周辺で事業 良い仕事とは,仕事に従事する者の満足度に寄与す を展開する現地企業の生産性も向上する.低中所 る.しかし,開発に資する良い仕事とは,社会に 得国では,こうした知識の波及効果がかなり大き とって最大の価値をもたらすものである.仕事から い 66 .反対に,(納税者や消費者からの)移転支出 得られるこれらの幅広い成果を理解することが,近 で支えられている保護された産業での雇用は負の波 年の開発に対する考え方に影響を与えてきた 69. 及効果をもたらす.特に,環境に大きな負担を強い  仕事の波及効果は,3 つの変革のすべてで見出す る,時代遅れの技術を利用している産業を保護する ことができる(図 12 参照).中には,他者の収入 場合はなおさらである. を直接左右するような仕事もある.政府からの移転  仕事はまた,社会的価値観や規範を形成し,異 支出や厳格な規制で守られている仕事が他者の仕事 なるグループ同士の共存や緊張への対応の仕方に 機会を減少させる場合などである.その他の波及効 影響を及ぼすことで,他人に影響を与えることが 果は人々の「やりとり」を通じて生じる.例えば, できる.ボスニア・ヘルツェゴビナと旧ユーゴス ジェンダーの平等の場合は家庭内で,知識やアイデ ラビア共和国領マケドニアでの調査によると,異 アの共有は職場で,またネットワークの場合はより なる民族的背景をもつ人々と職場を共にしたり, 広い社会で波及効果が起こる.さらに,仕事とその 取引を行うことに異存はないと答えた人の方が, 配分は,貧困削減,環境保護,公正さといった共通 学校や地域社会での異民族間の協力を支持すると の社会的目標達成に貢献するが,その際にも波及効 67. 答えた人より多いことが分かった さらにドミニ 果が発生する. カ共和国では,リスクにさらされている若者を対  仕事は,それに従事する者のみならず他者の満足 象にした雇用プログラムから,雇用が若者の行動 感にも影響を与えるため,2 つの仕事が,個人的視 概観 17 図 13 個人的価値と社会的価値が一致しない仕事がある 世界的バリュー チェーンと連結された 都市での女性の仕事 若者に 機会を与える 集積効果 仕事 貧困者に チャンスを与える 社会的 波及 世界的統合 インフォーマルな仕事 アイデンティティ 効果 社会的価値観 時代遅れの技術を 利用する保護された 貧困削減 公平感 男女の平等 セクターでの仕事 シフト された 負担 個人的 価値観 個人的 環境 価値観 コスト 出処:世界開発報告 2013 担当チーム. 点に立つと全く同一に見えても,社会的観点からは 仕事の拡大は万国共通の目標かもしれないが,開発 異なる場合がある(図 13 参照).両者の視点は一 に最も貢献できる仕事の種類は各国の状況によって 致していることも多いため,個人的視点に立つこと 異なる.経済を世界と結びつける仕事が最も重要で が議論の有益な出発点となる.インド・バンガロー ある状況もあれば,貧困削減や紛争解消につながる ルの情報技術セクターで高給を支払う企業は恐ら 仕事が最も有益な場合もある.もちろん,開発のレ く,そこで働く人々のためになるだけでなく,イン ベルも重要となる.農業主体の経済と,急速な都市 ドの長期的成長にも寄与することから,国のために 化が進む経済とでは,仕事のアジェンダは同じでは もなる.一方,両者の視点が一致しない場合もあ ない.さらに,フォーマルな経済部内の拡大にすで る.例えば,ベトナムでは,土地を農民に再分配 に取り組んでいる国々の間でも,雇用のアジェンダ し,農業自由化が行われた 1990 年代に,貧困率が は異なる. 70 前例のないスピードで低下した .個人的視点に  だが,開発に資する良い仕事の特性とは,1 人当 立つと,農業は,困難な状況で働き,収入も非常に たり所得の水準によって単純に決まるものではな 不安定で,正規の社会保護も受けられない仕事だ. い.それは,進行中あるいは依然として尾を引く紛 しかしそれは,多数の人々にとっては貧困脱出の切 争による影響を受けるかもしれない.当該国の立地 札となり,開発に大きく貢献した.反対に,巨大化 や自然資源も決定的要素となりえる.小さな島嶼国 した政府の公益事業は,そこで働く公務員に様々な にも資源の豊富な国にも,それなりの仕事の問題が 特典を与えることが多いが,事業自体は,範囲が限 ある.人口動態も決定的な要因となりえるが,若年 られていたり,サービスが頻繁に中断されるなど, 失業率の高い国と高齢化の進む国とでは,問題は共 経済成長と貧困削減の障害となっている.このよう に甚大であっても,その性質は非常に異なることは な仕事は,個人にとっては魅力的でも,社会にとっ 明らかである. ては魅力が薄い. 仕事の問題の種類  各国の開発レベル,制度の頑健性,資源賦存度, 多岐に及ぶが互いに関連する仕事のアジェンダ 人口動態により,仕事から得られる開発成果が最大  仕事の問題はどこでも同じというわけではない. の領域とはどこかが決まる.従って,各国の仕事ア 18 世界開発報告 2013 ジェンダは当該国の支配的な特徴によってそれぞれ ている特殊な環境によって仕事の問題の性質が決 違ってくる.以下では,開発の歩みの中で各国が直 まってくることもある. 面する問題を,農業国,都市化の進む国,フォーマ ル化の進む国という 3 つの例で説明しよう. • 若年層の失業率の高い国においては,若者はな かなか将来の雇用機会を見通せない.こうした • 農業国:国民の大半は依然として農村地域に住 国の多くでは,若年層の人口が急増して団塊の み農業に従事している.貧困の割合が高いた 世代を形成しており,雇用と生計確保に多大な め,生活水準を向上させる仕事が大きな開発成 困難をきたす可能性がある.また,多数の国で 果をもたらす.集積のメリットと世界経済への は,教育・訓練制度があるものの,民間セク 統合の恩恵を得るには,都市の機能を向上させ ターが求めるような技能を育成していない.よ る必要がある.そのため,いずれはダイナミッ り綿密に検証すると,問題は,供給側より需要 クな経済都市とするための基盤を築くような仕 側にある場合が多い.競争が限られているた 事が開発のためになる.ただし,最も楽観的な め,とりわけ高い技能を要求するセクターで雇 シナリオの下でも,都市化のメリットを十分に 用機会が少ないのである.こうした状況では, 享受するには数十年かかる可能性があり,農業 企業参入や雇用アクセスにおける特権を除去す の生産性向上を優先させる必要がある. ることで,大きな開発成果を上げることができ • 都市化の進む国:多数の人々が都市で働いても そうである. 困ることがないほど農業の生産性が向上してい • 高齢化社会では,世代間の問題に直面している る.一般に軽工業などで女性の雇用機会を創出 が,それは,就労人口の縮小と,高齢者の増加 することにより,家庭内の労働資源の振り分け に伴う世話と介護にかかる高コストに起因す にプラスの影響をあたえることができる.都市 る.就労人口の縮小による影響は,高技能を持 化を進める国では,特に付加価値の高い輸出セ つ高齢者を含め,社会で最も生産的な層の就労 クターの発展を基軸に,世界経済との関係を深 を可能にする「活力ある高齢化政策」を通じて 化できるような仕事も開発のためになる.ただ 緩和することができる.年金,ヘルスケア,長 し各国で都市化が進むにつれ,人口過密化に伴 期介護のコスト増大の抑止も,プログラムの構 う混雑や公害などがしだいに深刻化する.その 造を改革することで達成できるが,そうした改 ため,環境に優しい仕事は特に開発にプラスの 革は社会的緊張を生み出す原因となりえる. 影響を与える. • フォーマル化の進む国:都市人口の増加が進む  立地条件を含めた自然資源,機構や制度も,独自 と,一般に,その国の経済はさらに発達する. な仕事の問題を生む. そうした国では,大部分の企業や労働者が,本 来の法制度や社会福祉プログラムの対象とな • 資源の豊富な国は,多額の外貨収入があるが, る.しかし,典型的な先進工業国の水準にまで この富を活用して自然資源採取以外の産業での 一層のフォーマル化を進めようとすると,生活 仕事の創出につなげることができない可能性が 水準,生産性,社会的結束の間でのトレードオ ある.事実,多額の外貨準備があるがために, フを引き起こすことになる.従って,労働をコ 他の輸出活動の競争力が阻害されかねない.中 スト高になり過ぎずにフォーマル化させること には,こうした富の一部を,移転支出または公 ができる仕事や,正規の制度の恩恵を受けるこ 共セクターの仕事の補助金として配分し,単純 とのできる企業・労働者と,受けられない企 な仕事は移住労働者に依存している国もある. 業・労働者の間の壁を低減できるような仕事は このようなアプローチでは,生活水準を堅持す 価値が高い. ることはできても,生産性を犠牲にし,社会的 結束に悪影響を及ぼす可能性がある.これらの  国によっては,人口動態や,特定層に影響を与え 国では,輸出多角化を支援する仕事が大きな開 概観 19 図 14 開発に資する良い仕事はどこでも同じではない 仕事をめぐる課題 開発に資する良い仕事とは? 農業国 より生産的な小規模農業 世界市場と連結された都市での仕事 紛争の 軍人の復員向けの仕事 影響下にある国 難民の社会復帰向けの仕事 紛争や対立に代わる仕事 都市化の進む国 女性に機会を提供する仕事 輸出振興に役立つ仕事 混雑を悪化させない仕事 農村からの移住者を融合する仕事 自然資源の 輸出多角化を促進する仕事 豊富な国 移転支出を通じた補助金を受けていない仕事 小島嶼国 世界市場と連結された仕事 脆弱な生態系を脅かさない仕事 若年層の 不正な収益(レント)によって支援されていない仕事 失業率が高い国 人脈に基づいて配分されない仕事 フォーマル化の 社会手当の負担が可能な仕事 進む国 社会保護の対象に格差を作らない仕事 高齢化社会 より長期にわたり熟練者を活用する仕事 高齢者へのサービス・コストを低減する仕事 出処:世界開発報告 2013 担当チーム. 発成果を上げることができる.  以上の分類は相互に排他的ではない.チャドやコ • 小島嶼国は,国土が狭く,遠隔地にあるため, ンゴ民主共和国などは,資源が豊富でしかも紛争の 産業集積や世界経済への統合からの恩恵を受 影響下にある.ヨルダンとアルメニアはフォーマル けることはできず,観光業に頼る以外にない. 化を進めているが若年層の失業率も高い.それで 従って,生産性に与える仕事の波及効果が限定 も,仕事のレンズを通して種類の異なる国で鍵を 的である以上,基本的サービスと公務員を除く 握っている特徴に注視することにより,各々のケー と仕事の機会が限られている.海外への移住に スで,開発に最も貢献する仕事の種類とは何かを一 よって生活水準の向上を図ることは一案であ 段と明白に判断することができる.また,標的を絞 り,海外からの帰省者やそのコミュニティが, ることにより,特定の状況において,生活水準,生 新たなビジネスやアイデアを地元の人々に広め 産性,社会的結束の間でいかなるトレードオフが起 ることもできる. こるかについて深化した分析が可能になる.さら • 紛争の影響下にある国では,社会の結束を支援 に,仕事創出を妨げている障害や,究極的には,政 することが緊急の課題である.復員軍人や暴力 策当局者にとっての優先課題についての手がかりも に加担しそうな若い男子の雇用は特に重要とな . 得られるだろう(図 14 参照) る.制度的機構が脆弱で,政治的に不安定なた め,民間投資の誘致とか世界的バリューチェー 移住と仕事の国際間の移動 ンへの連結には当面,手が届かないかもしれな  人々と仕事の国際間の移動を見ると,仕事の問題 い.だが,貧弱な事業環境であっても建設業を は,各国特有のものであると同時に国際性のある問 盛り上げることはできる.その上,建設業は労 題でもあることがわかる.この移動のプロセスは, 働集約的だ.インフラ投資は,その直接的な雇 移住者の送出国と受入国双方の生活水準と生産性に 用効果を通じて社会的結束を支援するだけでな 影響を及ぼし,良きにつけ悪しきにつけ,家庭やコ く,民間セクターによる今後の仕事創出の下地 ミュニティ全体の結束を一変しかねない.トレード を整える一歩となりえる. オフが起こるのは不可避であり,受入国のみの対策 だけでこれに対応するのでは不十分かもしれない. 20 世界開発報告 2013 地図 1 少数の国では移住者が人口の大部分を占めている * a. 労働力人口に占める外国人移住者の割合(%) % 0‒1.99 2.00‒4.99 5.00‒9.99 10.00‒14.99 15.00‒100 データなし b.移出者(対地元労働力比,%) % 0‒1.99 2.00‒4.99 5.00‒9.99 10.00‒14.99 15.00‒100 データなし * 本地図は世界銀行の Map Design Unit が作成.本地図における国境,色分け,呼称,その他のいかなる情報も,世界銀行グループにおける,いかな る領域の法的地位についての判断,あるいはそうした国境についての認定や承認を意味するものではない. . 出処:世界開発報告 2013 担当チーム(2000 年前後の国勢調査のデータを用いた Özden and others 2011 および Artuc and others 2012 に基づく)  21 世紀初頭における世界の移住者数は 2 億人を の国は驚異的な数値を示している.例えば,海外に 超え,うち 9000 万人近くは労働者だった.その多 居住するサルバドル人は人口全体の約 5 分の1に くはいずれ自国に帰省する臨時労働者か季節労働者 上るほか,クウェート,カタール,アラブ首長国連 である.一部の国は移住者の受入国か送出国である 邦では人口の 60%以上が外国生まれだ 71. が,相当数は移住者の受入れも送出しも行わない国  海外への移住は,移住者自身の所得だけでなく, である(地図 1 参照).また,移住者の絶対数が多 収入の送金を通じてその家族の所得も高める.調査 い受入国もあれば(例:米国),人口に占める相対 研究を見ると,その大部分は,受入国の地元労働者 的割合が高い受入国もある(例:ヨルダンやシンガ の収入には全く影響を及ぼさないか,少々の悪影響 ポール).バングラデシュ,メキシコ,インドでは, しか与えていない.また,移住者が自国より海外 世界全体に占める海外移住者数の割合が高いが, で高い生産性を達成している場合(通常のケース) フィジー,ジャマイカ,トンガでは,自国の人口に は,世界全体の生産にも貢献する.さらに,移住者 占める海外移住者の割合が高い.一部の比較的小型 と帰省者の間のネットワークを通じて,投資,イノ 概観 21 ベーション,知識の伝播が促進されるため,移住者 仕事というレンズを通した政策 の送出国の生産性に貢献することがある.一方,社  仕事を直接創出するのは,政府の役割ではないも 会への影響については一様ではない.プラス面を見 のの,政府の機能は安定した雇用創出に欠かせない ると,移住を通じて,様々な文化的背景をもつ人々 ものである.公的サービスの質は開発にとって極め の交流の輪が広がることがある.マイナス面は,家 て重要であり,技能育成に携わる教師,農業の生産 族や友人と離れているために,精神的苦痛や孤独感 性向上に努める研究者,機能的な都市の設計者など に苛まれかねないことだ.また移住により,受入国 がその例である.復員軍人向けの一時的な雇用プロ で人種差別が生じたり,社会的緊張が高まったりし グラムも特定の状況では適切である.しかし,仕事 かねない.ことに移住者が特定の職業や地域に封じ の創出は一般に,民間セクターが担うのが原則だ. 込まれ,社会的融合がなされていない場合はなおさ 政府の役割は,民間セクター主導による力強い仕事 らである. の拡大を確保するための条件を整え,開発のために  仕事もまた移動している.過去 40 年間に顕在化 なる仕事が十分でない理由を突き止め,さらにそう したのは,先進工業国から途上国(特に東アジア) した仕事の創出を妨げている障害を除去し緩和する に向けた製造業務のアウトソーシングである(図 ことにある. 15 参照).最近では,同様のパターンがサービス業  政府は,次のような 3 層からなる政策アプロー 務でも見られる.事実,サービス貿易は,世界貿易 チを通じてこの役割を果たすことができる(図 16 の中で最も急速に伸びている分野である.途上国は 参照). 今や,輸送や観光といった従来のサービスに加え, 金融仲介,コンピュータ・情報サービス,法的・技 • ファンダメンタルズ: 開発に伴う仕事の改善 術的サポート,他のビジネス・サービスなど,高い で,国が豊かになると,収入や福利厚生も向上 技能を要する現代的なサービスを輸出している.イ する.そうなるように成長に資する政策環境を ンドはその先駆的存在だが,ブラジル,チリ,中 事前に整備することが必須となる.マクロ経済 国,マレーシアなど多数の国もこの機会に乗じてい 安定化,事業環境の整備,人的資本の蓄積,法 る 72. による統治などはファンダメンタルズの例であ  仕事の移動からの恩恵を最も受けているのは明ら る.マクロ経済の安定性確保の面では,ボラ かに,分離されてアウトソーシングされたサービス ティリティの抑止や相対価格の大幅な不整合の 業務や製造業の移動先となった国の労働者と企業家 回避が挙げられる.十分なインフラ整備,金融 である.この移動により,新技術や高度な経営管理 アクセス,健全な規制は,事業環境の重要な要 手法の移転と相まって,生産性と生活水準の向上が 素である.良好な栄養,保健,教育が行き届け 可能になる.しかし仕事の移動による影の「勝組」 ば,人々の生活水準の向上のみならず生産的な は世界中の消費者である.労働の国際的分業が一段 仕事に就く基礎を与えることができる.容認す と進むと,世界中に出回る財やサービスの総量が増 べきでない雇用が経済成長と併存するような状 大し,貿易からの利益が高まる可能性が増す.仕事 況を防ぐため,財産権を保護し,労働者の権利 の移動による明らかな「負組」は,製造業とサービ を積極的に強化していくことも法による統治の ス業の競争力低下が原因で失業した人々である.失 例である. 業者でも熟練労働者の多くは,収入を大きく失わず に同種の仕事を見つけることができるが,そうでな • 労働政策:経済成長によって仕事が自動的に生 い失業者もいる.最も苦しむのは低技能の労働者 まれるわけではないため,補完的対策として, や,特定の産業または職業に特化した技術の需要喪 仕事の創出の妨げになるのではなく,仕事から 失に伴って失業した人々である. 得られる開発成果を強化できるような労働政策 が必要となる.だが,労働市場の不完全性に対 処するのに,制度的破綻を伴ってはならない. むしろ,効率へのマイナスの影響がわずかであ 22 世界開発報告 2013 る「高台」の範囲にとどめるべきである. 図 15 高所得国から移動した製造業雇用の推移 労働政策は 2 つの「崖」を避ける必要が a.高所得国 45 ある.すなわち,都市や世界的バリュー 40 チェーンで雇用創出を阻んでいる歪んだ規 制と,賃金労働者か否かを問わず,最も弱 35 い立場にある労働者のボイス確保と保護の 30 % ためのメカニズムの不在の二つである.前 25 者は,集積のメリットや世界経済への統合 20 から得られる開発成果を阻害し,後者は, 15 生活水準の低下と社会的結束の崩壊を招 1970 1980 1990 2000 2008 く. GDP に占める製造業の割合 雇用全体に占める製造業の割合 • 優先項目の設定:仕事の中には,開発に資 b.日本と韓国 45 する仕事と,それほどではない仕事がある 40 ため,各国の状況に応じて開発のためにな 35 る良い仕事がどこにあるのかを把握する必 要がある.インセンティブシステムの歪み % 30 25 のために仕事が非常に少なくなっている場 合には,より選択的な政策介入が正当化さ 20 れる.そのような場合,民間セクターによ 15 1970 1980 1990 2000 2008 る,開発に資する良い仕事の拡大を阻止し GDP に占める製造業の割合(日本) ている市場の不完全性や制度的欠陥を政策 雇用全体に占める製造業の割合(日本) GDP に占める製造業の割合(韓国) によって除去すべきである.さらに,欠陥 雇用全体に占める製造業の割合(韓国) や不完全な箇所を明確に特定できない場 合,あるいは容易に除去できない場合は, c.その他の東アジア諸国 45 それを相殺するような策を考えるのも一案 40 だが,その際は,費用対効果を慎重に評価 35 する必要がある. 30 % 25 20 ファンダメンタルズ:基礎を固める 15  マクロ経済の安定性:ボラティリティはしば 1991 1995 2000 2005 2008 しば,雇用と労働所得に直ちに影響を与える. GDP に占める製造業の割合 最近の推計によると,国内総生産(GDP)が 雇用全体に占める製造業の割合 1.0%落ち込むと,失業率が,日本では 0.19 出処:世界開発報告 2013 担当チーム推計(国連工業開発機関 (UNIDO) および国連 ポイント,米国では 0.45 ポイント,スペイン 統計局のデータに基づく) . では 0.85 ポイント上昇するといわれる 73 .農 注:日本は a 図に含まれない.GDP= 国内総生産 業と自営業が広く根付き,収入不足を公的に支 えるメカニズムが限られている途上国では,不 安定なマクロ経済が及ぼす短期的影響は,失業 率よりも仕事の収入の方に大きく響く 74.  ボラティリティは,国内で発生する場合と外 的ショックに由来する場合がある.国内の場 概観 23 合は,持続不可能な赤字予算とか放漫な金融 図 16 明確な 3 層の政策が必要 政策によるところが大きい.だが,緊縮予算 や,金融政策面で厳格な規則を施行すれば万 事がうまく収まるわけではない.赤字予算を 仕事の問題を把握する 憂慮すべきか否かは,経済成長のスピードに 優先項目 の設定 障害の除去または相殺 かかっているほか,中央銀行の独立性につい ては,当該国の開発戦略の全般的一貫性との 間でバランスをとる必要がある.マクロ経済 「効率の高台」に留まる 管理の健全性を評価する際は,財政・金融政 誤った介入の回避 策が経済成長に及ぼす影響を配慮しなければ 労働政策 ボイスの確保と保護の拡大 75 ならない .  また不安定な状況が自然災害,海外発の危 マクロ経済の安定 機といった外的ショックに起因する場合もあ 事業に適した環境づくり りえる.予防的政策は,こうしたショックが 人的資本 ファンダメンタルズ 発生した際にはクッションとなりえる.ま 法による統治と権利尊重 た,短期的な刺激策や調整パッケージの実施 出所:WDR 2013 チーム. も急務となるが,乗数効果の低い途上国で は,そのような対策の有効性が先進国より劣 るきらいがある 76 . 治的人脈を持つ者や単に経済力のある者に資源が回  活発な輸出セクターを持続的に発展させ,ひいて るのを防ぎ,貧困層を配慮した金融を拡大する可能 は国際市場や世界的バリューチェーンと結びついた 性を有している.しかし,透明性と競争に基づく資 仕事を創出するには,為替レートが正常な範囲から 金配分を確保するためには,規制面の監督が必要と 逸脱するのを避ける必要がある.ある国の外貨準備 なる 78 .2008 年の金融危機は,金融セクターに適 高が急増すると,当該国通貨が過大評価され,輸入 した規制のあり方や,プルーデンスと安定性,イノ は有利になるが,輸出は不利になる.資源の豊富な ベーションと貧困層への配慮の面でバランスをとる 国では同様の自国通貨の上昇圧力にさらされてお 必要があるといった論議を再燃させた. り,過去数年にわたる商品相場の活況により,この  経済的で質の高いインフラにアクセスできること 圧力は増大の一途をたどっている.また,意欲的な は,企業経営成功の必須条件となる.電力不足は, 開発の始動をめざしたり,自然災害対策や紛争後の 企業の発展と雇用創出を阻む第二の障害だと世界各 回復促進に向けて多額の対外援助を必要としている 地の企業家が指摘しており,低所得国では第一の障 国でも,通貨の過大評価が生じる可能性がある.途 害となっている.また,通信の改善により,サプラ 上国 83 カ国を対象に 1970 ~ 2004 年に実施され イヤーや顧客との情報交流が活発化し,インター た分析では,援助は成長を促進するが(成長率は次 ネットやモバイル技術を通して,新しいアイデアが 第に下落),通貨の過大評価を誘発し,輸出の多角 普及する.さらに道路の改善により,市場,港湾, 化にはマイナスの影響を及ぼすことが確認されてい 空港へのアクセスが拡大する 79.インフラの規制 る 77. 方法も重要である.不適切な価格政策と規制は,イ   事業に適した環境づくり: 金融,インフラ,事 ンフラ・サービスの不足をさらに助長するかもしれ 業規制は,投資環境の質を決定し,民間企業による ない.多くの国では,政治的人脈を利用した寡占が 雇用創出に影響を与える.金融アクセスの不足は, 蔓延し,そのために料金が高いにも拘らずインフ どの開発段階の国においても事業拡張上の主要な障 ラ・サービスの量と質が低くなっている 80. 害であるが,低・上位の中所得国においては障害リ  事業規制は,ビジネスの成長と雇用創出の機会 ストのトップに掲げられている(図 17 参照).金 にも影響を与える.規制は,経済的にも,またそ 融市場は,資源をより生産的な利用へと配分し,政 れを遵守することに費やす時間の面でも,事業の 24 世界開発報告 2013 図 17 金融と電力はフォーマル・セクターの民間企業が直面する主要な制約要因 企業規模 所得水準 制約条件 小規模 中規模 大規模 低所得 低位中所得 上位中所得 高所得 全体 金融へのアクセス 電力不足 技能不足 インフォーマルな競争 税率 最も深刻 2 番目に深刻 3 番目に深刻 出処:IFC 近刊 . 注:分析は世界銀行が 106 カ国の 46,556 企業を対象に行った企業調査による.小企業は従業員 20 人以下,中企業は 21-99 人,大企業は 100 人以上. 運営コストを増加させうる.規制の要求基準を満  人的資本は徐々に積み重ねて蓄積していくもの たすための手続きや手数料支払いに費やされる手 だ.中でも非常に大切なのは,懐妊から 2 才までの 間は,許可やライセンスなどの取得をめぐる恣意 「最初の 1000 日」間に子供の健康と栄養を確保する 的な決定や遅延に伴う手間と同様に,事業の負担 ことにある.この期間の脳の発達により,子供の身 となる.規制遵守や許可取得に要する時間は,同 体の健康,学習能力,社会的行動が人生を通じて影 81 じ場所でも,企業によって大きく異なる .事業 響を受ける 86.この初期の期間に栄養と健康に留意 規制はまた,競争力にも影響を及ぼすため,イノ し,支援的環境で認知機能の活性化を図れば,後に ベーションや生産性向上に影響する.どの国にお なって子供に投じた努力が大きく報われる 87.子供 いても,企業の参入規制と,生産性や企業設立数 の能力の基礎は初期に築かれるが,人的資本と技能 の間には逆相関が成り立ち,企業の設立数の多い の形成は若者に成長するまで続く.さらに,ティー 82 セクターではその効果がさらに増幅される .メ ンエイジ(19 才)が終了するまで学業に励むこと キシコでは,参入規制の緩和により,事業登記数 は,認知能力と社会的技能のさらなる発達の基盤と と雇用が増えた.インフォーマルな企業のフォー なる.社会的技能は,思春期から成人初期に至るま マル化はなかったが,新企業の設立を通して生産 で続けて鍛えられる 88.若者は高等教育を含め特殊 が増え,消費者物価が低下した 83 . な技能形成を継続して進めることができるが,これ   人的資本: 良好な栄養,保健,教育の達成は, に成功するかどうかは,異なる作業や問題解決を迫 人々の生活を直接改善するため,それ自体が開発目 られる環境に適応していくための一般的技能が取得 標となっている.しかし,それらは生産的な仕事 されているかどうかによって決まる.こうした一般 や雇用機会を得るための手段ともなる.人的資本 的技能は,いっそうダイナミックになっている経済 は,この経路を通じて,経済的・社会的な進歩の推 環境では特に重要となる. 進力となっている.就学年数を 1 年追加するだけ  残念ながら,多数の国では,子供や若者の人的資 で収入が大幅に増加したり,教育によって収入に対 本の蓄積に成功していないことが明らかになってい するプレミアムが生まれることは,高い教育を受け る.これを提供するシステムの質が,基本的社会 た労働者の生産性向上を反映したものだということ サービスへの需要の拡大ペースに追いついてこな 84 が,世界各地で多数実証されている .栄養,保 かった場合が多い.2009 年の国際的学習到達度に 健,教育がうまくかみあうと人的技能・能力の形成 関する調査(PISA)に参加した途上国の大多数で につながり,中期的・長期的には生産性の伸びと貧 は,15 歳児の少なくとも 5 分の 1 が機能的に識字 85 困削減に強く結びつく .もちろん健康が改善さ 不能(PISA の読解力評価で最低でもレベル 2 に達 れると労働生産性は直接向上する.かくして,人的 していない状態)だった 89. 資本は望ましい仕事の基本的要素となっているので  法による統治:財産権を保護する制度が存在し, ある. 法規を施行し,汚職や不正を取り締まる国では開 概観 25 発レベルも高いという関係が万国を通じて成り立 足,あるいは,賃金が支払われる仕事の不足につい 90 つ .財産権が民間セクターの成長を促している ての理由を説明する際に,労働市場の需要と供給と のは,財産権があるからこそ企業が自社資産の盗難 その一致の程度にばかり焦点を当ててきた.確かに 91 や没収を恐れずに投資を行えるからだ .契約の 労働市場の不完全性を矯正せず,むしろ逆に不完全 履行を保証する制度があれば,個人的人脈に頼らず 性すら生み出すような労働政策は,仕事の創出の深 に信頼を確立できるため,見込みのあるサプライ 刻な妨げとなりうる.しかし,変革的効果をもたら 92 ヤーや顧客の輪を広げることができる .法によ す仕事の創出を阻んでいるのは,多くの場合,労働 る統治は企業の成長と雇用拡大に直接的な影響を及 法規に関連したものではない.農業中心の経済で小 ぼす.財産権が保証されていると確信する企業家 規模な自作農の生産性が低いのは恐らく,農業の調 は,そうでない企業家より,利益の多くを再投資 査研究や普及システムが充分でないことに,より密 93 している .反対に,犯罪や暴力が横行している 接に関係する.また,若年層の失業率が高い国で と,企業は遠のき,国内・対外投資の意欲もそがれ は,熟練者の需要を高めるはずの高度な技術的活動 てしまう 94.さらに,投資環境に関する調査でも, での競争が欠けているが,これはもとをただせば, 犯罪と汚職が常に事業運営の障害となっていること えこひいきとか政治的駆け引きに起因している場合 95 が,どの国でも判明している . が多い.  有効な司法制度は,財産権の保護と犯罪・汚職の  労働政策の内容の望ましい在り方についてはコン 削減のカギとなる.説明責任をわきまえた公正で独 センサスが得られていない.基本的信念の相違を反 立した司法機関は,取引上の規定を執行し,成長の 映して,見解は両極端に分かれている.一方の論者 コストと利益の公平な分配を資することで,民間セ にとって,労働市場の規制と団体交渉は,生産量と クターの成長と雇用創出に貢献する.また司法制度 仕事の減少を招く非効率性の元凶であり,他者を犠 を通じて,契約の履行,企業の取引コストの軽減, 牲にして内部の人間だけを保護するものと見る.こ 96 安全で予測可能な事業環境づくりが可能になる . の見方によると,失業保険とか積極的な労働市場プ さらに有効な裁判所があれば,企業の投資意欲が高 ログラムは,仕事の意欲をくじき,お金の無駄だと まる 97. いう.他方は,労働政策は,威圧的な雇用主や予測  権利を尊重する制度環境を整備することは,法に のつかない市場の変動から労働者を保護するために よる統治の重要な要素であり,開発に資する良い仕 必要とみる.さらに,労働政策は,情報を改善し, 事の基礎となる.ILO の中核的労働基準は,児童 リスクに対して備え,労働者と企業の両方が長期的 労働,強制労働,差別,結社の自由,団体交渉の分 投資を行える環境づくりを行うことで経済効率化に 98 野での下限を明記している .職場における健康 も貢献できるとも考えられている. と安全性も政府や雇用主に求めている.こうした基  双方ともに,自己の見解を支持する事例を挙げて 準を実務で適用するには,労働者と雇用主の双方が いる.労働政策・制度が問題の一部だと見る者は, 情報にアクセスできるようにしなければならない. 労働市場への介入が限られてきた国,すなわち米国 それはまた,正規の法規の枠外でも,労働者の雇用 の,長期にわたる優れた雇用創出記録を指摘する. に関連した法的保障を拡大しなければならないこと 彼らはまた,北アフリカと欧州南部の多くの国で若 を示唆している.インフォーマル・セクターで働く 年層の就職を阻害している保護的な雇用保障規定も 労働者の団体が,彼らの権利を周知させ,合法的メ 引き合いに出している.一方,労働政策が解決策の カニズムの利用を支援し,集合的ボイスを助けるこ 一環だと見る者は,金融危機への対応で比較的成功 とができる 99. を収めたドイツのワーク・シェアリングが断固たる 望ましい対策だと指摘する. 労働政策:2 つの「崖」の回避  途上国における労働政策の実際の影響を綿密に調  正しく機能していない労働市場では,経済成長を べると,その結果は一様ではない.ほとんどの研究 通じて,良好な仕事が多数創出されないことがあ は,論議の中で示唆されたような強烈な影響ではな る.これまでの分析は,途上国における仕事の不 く,一段と穏やかな影響しかなかったと結論づけて 26 世界開発報告 2013 いる 100.企業規模や各国の開発レベルを問わず, ける場合は,価値がないばかりか,悪影響すら及ぼ 労働政策と規制は総じて,フォーマル・セクター す.一方,プログラムが適切に立案され実施されれ の民間企業が直面する 3 大障害の中には含まれて ば,それはジョブ・マッチングを促したり,景気後 いない.労働市場の規制は,行き過ぎでも不足し 退による悪影響を緩和したり,訓練に資金を投じて ていても生産性を低下させる.しかし,その両極 いない雇用主と訓練不足の労働者の橋渡し役となっ 端の中間に,効率向上と効率低下の効果が挿入し たりすることができる(図 18 参照).ただし,そ あい,利益の再分配だけがおこっている「高台(安 れが実現したとしても,効果は穏やかにとどまりが 定領域)」を見出すことができる.ただし,この政 ちであり,積極的な労働市場政策の効用について大 策の影響は概ね(事業主,女性,若年労働者では きな期待を抱くべきではない. なく)中年層の男性労働者に優位な形の再分配を  社会保険の対象範囲は,最もフォーマル化の進ん もたらしている. だ途上国ですら限定されている.失業保険は,労働  大半の調査対象国では,雇用保障規定や最低賃金 者が失業の危険に備える点で役立つが,反面,就職 が総雇用にさしたる影響を与えていない.これらの 探しの努力に水を差すこともある.失業保険,年 規定は,受益者には恩恵を与えるが,若年層,女性, 金,医療保険などの資金が人件費で賄われている場 未熟練労働者に集中的に負の影響を及ぼすきらいが 合は,高い負担率は雇用の意欲を損なわせる可能性 ある.コロンビアとインドネシアでは,最低賃金の がある.フォーマル・セクターが発達していない途 引上げが全体的に穏やかな影響しか与えなかったが, 上国では,こうしたプログラムの資金を一般課税で 101 若年層の雇用には強い影響を与えた .規制は雇用 賄うことがますます検討されているが 108 ,いかな のフローに確実に影響し,労働市場の「硬直化」を る租税も歪みを生み出す.結局,労働者が重宝する 102 もたらし,労働の移動のペースが鈍化する .こ ような安価な社会保護手当の代案は見つかっていな れは経済効率を阻害するものの,少数ながら生産性 い.ここでの重要な課題は,重複と不足を最小限に に関する実例を検討すると,あまり確定的なことは 抑える形で,社会保護と社会扶助を首尾よく調整す 103 いえないことがわかる . ることにある.  途上国においては,団体交渉は,公共セクターと  要するに,労働政策・制度は,労働市場の情報 か,規制に守られて収益(レント)が山分けされて 改善,リスク管理,ボイス(発言権)の改善に役 いる寡占的活動の枠外では,大きな影響力をもたな 立つ.しかし,こうした利点には欠点が伴う.例 104 い .労働組合は労働者の賃金の一律引上げを行 えば,労働市場の活力低下,雇用創出や職探しの意 う.研究によると,この引上げ率は,メキシコでは 欲減退,さらに給付を受ける者と受けない者の格差 5 ~ 15%,韓国では約 5%,南アフリカでは 10 ~ 拡大が挙げられる.難しいのは,規制と制度の効率 105 20%の範囲となっている .しかし,雇用削減に を下げずに,労働市場の不完全性に少なくとも部分 伴うコストはそれほど明確ではない.すべての国で 的に取り組むことのできる領域,すなわち,前述 はないが,一部では,雇用削減で妥協する場合があ の「高台」で労働政策を策定することにある.労働 るようだが,その程度は比較的小幅である.労働組 市場の規定が弱すぎたり,そうした市場を対象とす 合が生産性に及ぼす影響については,実例の数が限 るプログラムが穏やか過ぎたり,存在しない場合に られているものの,結果はやはり一律ではない 106. は,情報不足,交渉力の不均衡,リスク管理不足の ここでの重要な課題は,農家や零細企業が直面する 放置といった問題を引き起こしかねない.反対に, 障害に取り組めるよう賃金労働者以外の者のボイス 厳格過ぎる規則や非常に曖昧なプログラムは,市場 (発言権)を拡大し,かつ生産性を高める形で団体 の不完全性をいっそう悪化しかねない. 交渉ができるようにすることだ. 「高台」  開発に資する良い仕事に的を絞ることで,  訓練,職業斡旋,賃金補助金,公共土木事業と の端,すなわち「崖」の所在地を突き止める際の知 いった積極的な労働市場プログラムの成果も一様 見を得ることができる.高台の一方の淵には,都市 ではない 107.それらが労働市場のニーズや現実に や世界的バリューチェーンでの雇用創出を減速さ 則していない場合や,行政管理が粗雑で透明性に欠 せ,集積の効果や知識波及効果の促進に役立つ雇用 概観 27 機会を見逃させるような労働政策があ 図 18 仕事と訓練を組み合わせることでプログラムの成功率が上昇 る.都市化や世界経済への統合から得ら 0.15 れる開発成果を見逃すことは,「崖」か ら転落することにほかならない.だから 0.10 といって最低限の規制を擁護しているわ 0.05 けではない.団体交渉に関する中国の最 成功指標 0 近の経験が示すように,連携を強化して 効率を高めるような取極めを結ぶ余地は ‒0.05 ある. ‒0.10  高台の他方の淵には別の懸案があ ‒0.15 る.それは,雇用されていない者やイン 授業内 企業内 授業内訓練 授業内・ 訓練のみ 訓練のみ と企業内 企業内訓練 フォーマル・セクターで働く者のボイス 訓練の にその他の 組み合わせ 支援を と保護を支えるメカニズムの不在だ.最 プラス 貧生活を強いられている労働者にボイス 出処:Fares and Puerto 2009. を提供すれば,生活水準の向上が可能に 注:数字は訓練の種類とプログラムの成功例との間の相関係数を示す.成功とは効率的な 雇用の改善をいう. なるだろう.就職斡旋業者の乱用を制限 することで効率が向上し,さらに貧困層 を配慮した社会保護システムを構築すれば社会的結 . 19 参照) 束も高めることができる.インドの「女性自営業者 」とベトナムの貧困層を対象とした 協会(SEWA) • 手順1:開発に資する良い仕事とは何か.優先 医療保険プログラムは,この点において有望だ 109. 課題の特定における最初のステップは,当該国 この崖は,労働市場の過剰規制ほど目立たないが, の状況に基づいて仕事から得られる開発成果を 確実に実在する. 評価することにある.こうした仕事の性質は, 開発段階,人口動態,資源や立地,制度といっ 優先項目の設定:仕事から得られる開発効果の実現 た各国の特徴によって異なる.仕事の問題は,  ファンダメンタルズが成長を支え,労働政策が十 農業国,資源の豊富な国,紛争の影響下にある 分であることのほかにも,政策決定者は仕事から得 国,若年層の失業率の高い国の間で同じではな られる開発の成果を現実のものとすることできる. い.さらに,最大の開発成果を上げる仕事も国 それは,仕事の中には,生活水準,生産性,社会的 よってまちまちであり,その結果,仕事のア 結束に一段と貢献するものがあるからである.こう ジェンダも多岐にわたる. した仕事が何であるかは,開発レベル,人口動態, 資源や立地,機構など各国の状況によって異なる. • 手順2:こうした仕事は十分にあるか.開発に 場合によっては,開発のための良い仕事が何の支障 資する良い仕事の創出に当たり,障害に直面す もなく生み出され,具体的政策を必要としないこと る国と直面しない国がある.例えば,軽工業に もある.一方,政府は,民間セクターがこのような 属する製造業は女性のための雇用機会を作り出 仕事を多数創出できるよう支援することもできる. し,貧困に大きな影響を与える.好況下におけ 時には,開発効果の高い仕事の創出を阻んでいる障 る新しい製造業での雇用は開発価値をもつかも 害を除去することで,この目的を達成できる.これ しれない.しかし,例えば,都市化政策が不十 が不可能な場合でも,社会的効果が費用を上回る限 分で企業の新規設立が限られている場合には, り,先見的な政策を策定して障害を回避することが そうした価値はないかもしれない.さらに,こ 可能である. の種の欠陥がない状況では,ファンダメンタル  政策の優先順位の設定に際しては,次の 5 つの ズの構築,十分な労働政策の導入以外には政府 手順に従った簡単なアプローチが考えられる(図 介入を正当化するのは難しいかもしれない. 28 世界開発報告 2013 図 19 優先順位の設定を支援するフローチャート 介入は 必要ない 制約条件を 除去する 手順 4 手順 1 制約条件は はい 開発に資する良い 除去可能か 仕事とは何か 制約条件の いいえ 相殺 これらの仕事は はい 制約条件は はい 制約条件は はい 十分あるか 特定可能か 克服可能か いいえ いいえ いいえ 介入戦略の 立案 手順 2 手順 3 手順 5 出処:世界開発報告 2013 担当チーム.  仕事に対する個人の価値と社会的価値に タイプの仕事に対する個人的価値と社会的価値 ギャップがあることが分かれば,インセンティ の間に相違がある場合は,潜在的に実現可能な ブシステムの欠陥を特定するためにデータや分 仕事の波及効果が存在することがわかる.この 析を用いることができる.このギャップに取り 相違は通常,市場の不完全性と制度の失敗に起 組む研究分野はいくつかある.例えば,財政学 因して発生するが,それにより,人々が社会的 のツールを用いて,資本と労働に関わる税の負 に最適ではない職に就く原因となったり,企業 担を測定し,個人間あるいは企業間の相互補助 がさして開発のためにならない雇用を生み出し の関係について評価することができる.労働経 たり,仕事を通じた社会的に望ましい人的交流 済学のツールを駆使すれば,特定の労働者グ が行われなくなる.しかし,こうした障害を特 ループの実際の収入と可能な収入の差や,就学 定化するのは必ずしも容易ではない.例えば, がもたらす社会的恩恵と個人的恩恵の違いを見 文化的,社会的,経済的な幅広い効果が作用し 出すことができる.また貧困に関する分析は, て,女性のための雇用機会が不十分となること 貧困層に機会を与える可能性の高い仕事の種類 もある.同様に,都市での雇用拡大を阻む障害 や,貧困削減に一段と大きな影響を及ぼす仕事 は,土地市場に起因していたり,都市開発の連 の場所の特定に役立つ.生産性に関する研究で 携のための制度的取極めの不備や,インフラの は,外資系企業や都市での雇用の波及効果を定 資金となる収入が不十分であることなどがあ 量化できる.また,環境に関する研究により, る. 各種の仕事から排出されるカーボン・フットプ リントや汚染についての手がかりがつかめる. • 手順4:障害は除去可能か.インセンティブを 価値観に関する調査では,どのような仕事が社 ねじまげている制度の失敗や市場の不完全性を 会的ネットワークや社会的アイデンティティに 特定できるのであれば,それを改革することを 貢献するかを把握できる. 考慮すべきである.問題の根源である欠陥や不 完全性に改革の的を絞ることは,良い経済原則 • 手順3:根底に潜む障害は特定可能か.特定の である.改革が技術的・政治的に実施可能であ 概観 29 ボックス 1 女性の労働参加率をいかに高めるか?  途上国の中には,比較的短期間に女性の労働参加率 働参加率と所得を改善できることも示唆されている. をあげるような重要な改善を行った国がある.ラテ これらの投資は 3 つのグループに大別できる.それ ンアメリカ諸国は他国に先駆けてこの変革を行った. らにより,女性を市場活動ではなく家事に縛り付けて 1980 年代以来,7000 万人以上の女性が労働力に加 いるサービス産業の不足(例:電力やデイケア施設の わり,女性の労働参加率は 36%から 43%に向上し 不在)に対処することができる.また,女性による教育, た.コロンビアでは,1984 年に 47%だった参加率が 資本,土地などの生産的資産の蓄積を容易にして,女 2006 年には 65%に増大した.反面,中東・北アフリ 性が生産性の高い市場活動に参入することを助ける. カでは,過去 30 年間に,女性の労働参加率が年間わ さらに,女性にとっての平等な仕事の機会を阻んでい ずか 0.17 ポイントしか向上していない. る偏見や差別的慣行を示唆する規準・規制といった制  最近の研究によれば,労働参加率の急変は,人口動 度的障害を取り除くことが可能となる. 態,教育,景気循環によるものではなく,既婚女性や  こうした 3 種類の対象に絞った介入による成功例 男性と同居する女性の間で参加率が増大したためだと がある.公共または補助金を受けた育児施設があれ されている.この変容ぶりは社会的属性の変化に一部 ば,市場で働く女性の自宅での費用を軽減できる.そ 起因しているが,これは複雑な分野で,直接的な政策 うしたデイケアの例としては,メキシコの「Estancias そしてその正当性は限られている. 介入ができる範囲, Infantiles」,コロンビアの「Hogares Comunitarios」 例えば,ヨルダン川西岸とガザ地区では,女性,特に をはじめ,アルゼンチンやブラジルでも同様のプログ 既婚女性の労働参加率が非常に低い.だが,それが宗 ラムがある. 給水や電力を中心とするインフラ・サー 教のせいだと単純に決め付けられない.インドネシア ビスの向上を通じて,女性を家事や介護に費やす時間 のような国では女性の参加率が高いからだ.女性に働 から解放することができる.例えば,南アフリカでは, く意欲と能力があっても,他の社会的規準や規制に 農村電化により女性の労働参加率が約 9%向上した. よって参加が妨げられている場合もある. 政府による土地配分・登記制度など,サービスを供給  社会的行動に影響を及ぼす範囲は限られているが, する際の制度上の偏見を是正することで,女性の資産 実例を見ると,公共政策とその他の分野におけるプロ 保有や相続が可能になる.さらに,積極的な労働市場 グラムが重要な役割を担うことが示唆されている.ま 政策の活用,社会ネットワークの促進,差別的規制の た,ターゲットをしぼった投資と社会的・物理的イン 除去も女性にとって報酬の高い仕事をつくり出すとす フラへの介入を組み合わせて実施することで女性の労 るために重要である. 出処:Amador and others 2011, Chioda 2012, および世界銀行 2011d に基づく世界開発報告 2013 担当チーム. る場合,政策担当者は,開発に資する良い仕事 同様に,政治色の強い規制により,生産性の高 を民間セクターがより多く創出できるよう,主 い活動への労働配分ができない場合,都市のイ 要な障害の除去に直接取り組むべきである. ンフラや流通支援を通じて,都市での雇用や世 界市場と連結した雇用の魅力を高めることがで • 手順5:障害は相殺可能か.改革が技術的・政 きる. 治的理由で実施不可能な場合がある.あるい は,仕事を阻んでいる障害を特定できないこと  しかし,障害が除去もできず,相殺もできない場 もある.そのような場合の代替策となるのは, 合がある.その場合には各種選択肢の分析を強化し 問題を相殺する政策を用いて,仕事の創出のた 利害関係者による引き受けなども含めた介入戦略が めのインセンティブの回復を図ることである. 必要となる. 例えば,女性の就労を難しくしている信条や信  障害の除去・相殺のための政策は,選びぬかれた 念が根強い場合,社会的,物理的インフラへの 正しい公共財政の原則に支えられたものでなければ 投資を集中することで,女性の雇用の適正度を ならない.政策の各選択肢につき費用対効果の評価 高める取り組みが可能だ(ボックス1参照). を行う必要があるが,全体的な開発効果を達成する 30 世界開発報告 2013 ことが目的である場合は,費用対効果の算出方法は ばの民族紛争と荒廃から立ち直った.紛争停止と 違ってくる.紛争の影響下にある国での復員軍人向 積極的な改革パッケージの実施により,2000 年ま け雇用プログラムであれば,参加者の収入増加がプ でには,ルワンダ経済は紛争以前の水準にまで回 ログラム・コストを上回るかを基準にして評価する 復した 114 .その後も成長が続き,2011 年には推 ことができるように思われるが,本当は社会復帰や 定 8.8%の伸びを達成したほか,2005 ~ 10 年に 平和構築から得られる潜在的な正の効果を盛り込ん かけ貧困率も 12 ポイント低下した.終戦に伴い, だ総合的評価も考えなければならない.コンゴ民主 政府は,5 万 4000 人以上もの軍人の復員と社会 共和国では,復員軍人の社会復帰プログラムのコ 復帰を支援した.2012 年に社会復帰に満足して 110 ストは受益者 1 人当たり約 800 米ドルだった . いると答えた復員軍人は全体の 73%に達し,復員 従来の基準に立つと,このプログラムはコスト効率 軍人と帰省先の地元住民の間で信頼感があると答 が悪いと判断されるだろう.それでも,このプログ えた住民は 85%にも上った 115 .ルワンダの人口 ラムの実施価値があるかどうかは,社会的結束に及 1000 万人と比べると復員軍人の割合はわずかに過 ぼす恩恵という価値を政策担当者が重視するかどう ぎないが,彼らの社会的復帰は社会的結束に効果 かにかかっている.そうした恩恵は,透明性を期す を上げた.ルワンダはこの快調なスタートを礎に, るために政策決定の中に明示されるべきである. 制度の改革や事業規制改革を進めて民間セクター の活性化を図った 116 .これにより,コーヒー産業 多様な仕事アジェンダ,多岐に渡る優先的政策 では何千という新規の仕事が創出された 117.  一部の国では,他の国への模範となるような政策  資源の豊富な国,チリは,資源以外のセクターで を設定して,仕事から得られる開発成果の実現に成 仕事の創出を実現できるように豊富な銅をうまく利 功している. 用してきた.世界の銅埋蔵量の 4 分の 1 以上を有  農業国のベトナムは,1990 年代に農業の生産性 するチリでは,通貨の切上げやインフレといった資 向上に集中的に取り組み,余剰労働者を農外雇用 源に関連するリスクを効果的に管理しながら,輸出 に就かせ,随時,彼らの都市への移住を支援した. と経済の多角化を進めた.それにより,1980 年代 1993 年当時,農業従事者は雇用全体の 70%以上を 初期に約 20%だった失業率は一ケタ台に低下した 118 占め,人口の 58%が貧しい生活を送り,飢餓は依 .資源安定化基金(1987 年以後)と透明な財 111 然として現実の問題だった .それから 20 年後, 政ルール(1999 年以後)の施行により,同国は困 ベトナムは,コメとコーヒー豆の輸出では世界 2 難な時期の到来に備え,競争力の喪失を防ぐことが 位,黒コショウとカシューナッツでは世界最大の輸 できた.公共セクター管理全域でガバナンス改革を 出国となり,紅茶,ゴム,海産物でも有力な輸出国 実施して,説明責任と透明性を促した.さらに,外 となった.貧困は大幅に低下している.農業の試験 国投資を歓迎するなど輸出志向型の積極的な成長政 研究,土地改革,規制撤廃を特に強調したことが相 策を推進して,世界市場と結びついた仕事から得ら まって,零細農家の農業生産性が急速に伸びた.こ れる生産性の拡充を後押しした.鉱物以外の輸出セ うした政策は,ベトナムを中央統制経済から社会主 クターを対象とした競争力強化促進イノベーション 義を残したままの市場経済へと移行させた「ドイモ 基金により,特にアグリビジネスを中心に輸出基盤 イ政策」の幅広い改革パッケージの一環だった 112. が拡大された 119.また,公共予算における教育支 また,農外雇用の機会創出を目指す政策も進められ 出も 1990 ~ 2009 年にかけてほぼ倍増し,前例に た.同国は,まず自然資源採取と軽工業の市場を外 ない中等・高等教育の拡大につながった 120. 国投資家に開放し,その後,2007 年の世界貿易機  スロベニアは,若年層の高失業率の取り組みに成 関(WTO)への加盟に伴い,市場を一段と自由化 功し,1990 年代には,若年層の失業率は成人の失 した.外国投資企業による登録数は 1992 ~ 94 年 業率の 3 倍だったのが,今ではおよそ 2 倍に減少 にかけて 4 倍に増え,過去 5 年間に海外からの直接 した 121.若年層の失業率の削減に成功したのは, 113 投資フローは GDP の 8%を超えた . 積極的な労働市場プログラムへの支出によるもので   紛争の影響下にあるルワンダ は,1990 年代半 も(移行国としてはほぼ平均),労働市場の自由化 概観 31 図 20 仕事上の問題に関する各国の取り組みの成功例 仕事上の課題 国名と政策 ベトナム 農業国 土地改革,農業の調査研究,市場インセンティブ 紛争の ルワンダ 影響下にある国 復員軍人の復帰,企業改革 韓国 都市化の進む国 土地利用政策,総括的都市計画 自然資源の チリ 豊富な国 財政安定規定,輸出志向型政策 トンガ 小島嶼国 帰省労働者の積極的活用の取極め 若年層の スロベニア 失業率が高い国 貿易統合を通じた商品市場での競争力強化 フォーマル化の ブラジル 進む国 拠出義務のないプログラム,規則の簡素化と執行 ポーランド 高齢化社会 障害者手当て ・ 年金改革,退職年齢の引上げ 出処:世界開発報告 2013 担当チーム. によるものでも(途上国の規制の平均より依然とし して,送金拡大,農業技術やコンピュータに関する て厳格),最低賃金が低い(いまだに高め)からで 知識向上,英語の学力育成に努めてきた 125 .また, 122 もない .こうした政策から生じる潜在的歪みは, ブラジルはフォーマル化 が急速に進む国の一例だ. 幅広い範囲の労働組合と雇用者の間で,マクロ経済 フォーマル・セクターでは,ここ 10 年ほどで,イ の動向とセクターの生産性に適切に対応できる賃金 ンフォーマル・セクターの 3 倍の勢いで雇用が創 を設定するというコンセンサス・ベースの意思決定 出された.危機に至るまでのわずか 5 年間で,仕 システムを適用することで,相殺されたように思わ 事全体に対するフォーマル・セクターのシェアは 123 れる .世界経済危機前の持続的成長は,究極的 約 5 ポイント増大した 126 .小企業向け税制簡素化 にはスロベニアの若年層の失業率低下に起因すると プログラム「BolsaFamilia」のような,負担義務 ころが大きい.さらに欧州市場への統合を受け,同 のない社会保護プログラムの施行,従業員の正社員 国は輸出セクターの再編にも成功した.また,首尾 化を行う企業のインセンティブ向上,税制や労働規 よく整備されたインフラと比較的熟練した労働力の 制の適正な執行が,こうした成功に貢献した.高齢 存在も役に立った. 化が進むポーランドでは,雇用されている労働者の  政策の成功例は,8 つのタイプの仕事の問題に直 比率が 2006 年には 60%だったのが 2009 年には 面する国々で実際に見出すことができる(図 20 参 65%に向上した.これは,身体障害者向けの年金 .都市化の進む韓国では,農業から軽工業,そ 照) の適用資格を変更したことと,寿命の延びに伴う受 して付加価値の高い工業へと仕事を移行するのにあ 給レベルの調整という年金改革を進めたことによる わせて政策を慎重に立案し,それを段階的に進めて ものだ.さらに 2012 年には,一連の新年金改革に 124 きた .まず土地開発プログラムが確立され,そ より,それまでの男性 65 才,女性 60 才の退職年 れから,土地利用規制システム,そして総括的な都 齢を 67 才(男女共通)に引き上げた 127. 市計画が進められた.また,住宅・運輸政策によ り,都市化に伴う不経済性を抑止した.小島嶼国で 相互に連結された仕事のアジェンダ:仕事のため あるトンガ では,海外移住を通して雇用機会を作 のグローバル・パートナーシップ り出すため,2007 年にニュージーランドで導入さ  仕事に関するある国の政策が,良きにつけ悪しき れた「認定季節雇用者」プログラムを積極的に活用 につけ,他国に波及することがある.ここでの重要 32 世界開発報告 2013 な課題は,国際的な協調メカニズムが,正の効果を グローバル・サプライチェーンが複雑なため,季節 高め,負の効果を緩和するように各国政府の決定に 労働者や臨時労働者は CRS の枠組みの対象外に置 影響を及ぼすことができるかどうかである.いくつ かれている.また,グローバル ・ サプライチェーン かの分野で,こうした協調の強化が改善に役立つ. の枠外におかれた労働者も対象外である 131.CSR   権利と基準: 基準を設定し,権利の遵守を改善 が効果的であるためには,現地企業の規範遵守能力 する手段として,国際的なメカニズムが存在する. や労働監督当局の執行能力を高めることにもっと努 ILO 条約は,国内の法律に影響を与えると共に, 力が傾注される必要がある. 自営業者と国内労働者のための条約の導入過程にも  貿易および投資: 物資の国際貿易は徐々に自由化 示されるように,人々のボイスを反映し,国際協調 されてきた.一段と自由化された貿易が双方の取引 を図る手段となることができる.1998 年の「労働 当事者に恩恵をもたらすという考えは今や広く普及 における基本的原則及び権利に関する宣言」に掲げ している.しかしながら,多くの途上国では,いま られた「中核的労働基準」が支持されたことは,各 だに世界経済への統合の恩恵を享受するだけの競争 国が国際社会からの圧力に反応していることを示し 力に欠けている.従って,流通関係のコスト削減や 128 ている .だが,圧力にも限界がある.強制労働 企業と農家の競争力向上への直接的援助が優先課題 や,有害な環境で働く児童,差別が依然として消え となっている.貿易向け援助は大幅に増大し,今で ず,ボイスが反映されていない現状を踏まえると, は途上国向け援助全体の約 3 分の 1 を占めている. 批准だけでは不十分なことが示唆される. しかし,被援助国が直面する特定の雇用問題の対応  貿易協定は,権利に関する国際協調のための手段 に最も適した輸出活動に的を絞るなど,援助の有効 となりえる.こうした協定には,貿易へのアクセス 性を改善する余地は残されている.民間セクターの を,労働法や労働基準の導入・施行と結びつけるこ 関与を増すことも,援助の有効性向上につながるだ とで,ボイスや労働条件の改善度を高めるインセン ろう 132. ティブを盛り込むことができる.労働者の権利を貿  財の貿易とは対照的に,サービスの自由化は, 易に結び付ける協定が結ばれても,実際に各締約国 国際レベルと地域レベルの両方で進展が遅れてい の労働環境の向上につながるかどうかは,それほど る.現在交渉中のドーハ・ラウンドでは,市場ア 明白でない.また,労働規約が保護主義の理由とし クセスがこれまで以上に確約されると期待されて て利用され,途上国での貿易と雇用機会が阻害され はいるが,現状の政策に比べ,追加的な自由化策 ことがある.さらに,遵守状況をモニターし徹底さ が実施されるに至っていない 133 .サービスには, せる能力と制度が不在な場合は,貿易協定自体が弱 インフラでのネットワーク外部効果から,情報の い手段にしかならない.カンボジアでの成功例とし 非対称性,金融におけるモラルハザードまで,一 て米国との二国間貿易協定がある.これには,アパ 般によく知られた市場の不完全性がつきものであ レル工場での労働環境を監視するための能力構築 る.またサービスの貿易自由化には適切国内規制 と,集団労働訴訟の解決に当たる裁定審議会の支援 が必要となる.電力市場を確立したり,大手流通 129 という 2 つのプロジェクトが付随している . 業者が地元の小売商に及ぼす社会的影響を緩和す  条約や貿易協定を通じた政府のイニシアティブ以 るのは難しい作業である 134 .そのため,途上国で 外では,民間セクターの説明責任をはじめ,社会・ はサービスの自由化が先進国より遥かに遅れてい 環境上の関心事に自発的に取り組む企業の幅広い社 るのは驚くに当たらない 135 . 会責任(CSR)といったアジェンダも次第に強調さ  サービスの自由化が生産性に与える恩恵は計り知 れるようになってきた 130.欧州連合と北米に本拠 れない.多くのサービスは製造プロセスへのイン を置く企業では,社会的行動規範を取り入れている プットとなる.電力,金融,通信,貿易はどれも, ことが多く,サプライヤーとの取引条件として労働 事業コストに直接的影響を与え,その川下にあるセ 基準にも活発に関っている.しかし,行動規範を設 クターの競争力に影響する.こうした生産性の向上 けることによって基準遵守がどの程度改善されるか を通じて,雇用創出,労働者の収入増大に拍車がか という点については,限られた実例しかない.また, かるため,生活水準の改善にもつながる.一方,社 概観 33 会的影響については良い面ばかりとは言いがたい. 自由化は,先進国か途上国かを問わず,多くの国の 明らかに良い影響を与えているのは , 携帯電話が アジェンダには含まれていない.さらに,2003 年 人々(特に貧しい人々)を商品市場と結びつけ,雇 に実施された移住労働者及びその家族の権利保護に 用機会を見出し,政府サービスも利用できるように 関する国連の国際条約は,わずか 22 カ国が批准し している場合である.反面,小売業者の消滅によっ ただけで,その大半は移住者を送り出す側だった. て都市のもともとの中心部が荒廃したり,別の仕事  移住は国境を越えたものだが,立法活動のほと 先を見つけにくい高齢の店主の家計に影響を及ぼす んどは各国独自の法律に基づいている.この分野 場合には負の影響がある.こうした正と負の影響の でもグローバルな視点を取り入れるべきだが,そ 間で折り合いをつけ,その過程で途上国の問題に取 の対策についての意見は様々だ.その一つは,各 り組むには,サービス自由化を適切な順序で進め, 国間における収入の大きな格差に注目したもので, 136 国内の規制改革を行う必要がある .その際,国 労働力の自由な移動を実現すれば,世界的な生産 際的な協力を通じて,知識を補い,実施を促すこと 性向上と貧困削減を大幅に加速できるだろうと主 ができる 137. 張している 140 .一方,別の視点は,国家の安全保  国際協定は地球的規模の公共財の促進にも役立 障と地域社会・文化の保護に傾注するもので,移 つ.その一例としてジェンダーの平等が挙げられ 住を抑えるには防壁を築く必要があると示唆して る.貿易はジェンダーに中立的ではない.つまり, いる.さらに別の見解は,移住労働者の人権を守 貿易の自由化で,女性の雇用へのアクセスが一変 ることは,合法的か違法かを問わず道徳的に不可 するのである.元来,男性の仕事は力を要する「身 欠だとし,いかなる形の迫害からも保護する必要 体的仕事」が多かった.一方,裁縫からデータ処 があるとみる 141.だが,いずれの見解も十分では 理にいたるまで,器用さ,細かい点への配慮,意 ない.政策立案の際に,どの見解も単一では移住 思伝達といったことが関わる「頭脳的な仕事」は, を巡る複雑なトレードオフに対応できないからだ. 女性にとっての格好の雇用機会となってきた.イ  多くの場合,受入国と送出国の双方が協調すれ ンドのデリーやムンバイにあるコールセンターに ば,両国ともに移住の恩恵を受けることができる. は,100 万人以上が雇用されており,その大半は 密輸者や,企業,労働者によって引き起こされる 女性だ.そのため,先進国が「頭脳的な仕事」の 虐待のほとんどは,不法移住者の流れと関係した 多いセクターからの輸入に優先的なアクセスを認 ものだ.そこで,この流れを「正式に認知」する めれば,ジェンダーの平等にほど遠い国の女性の ことが移住労働者の権利を守る基本的ツールとな ために雇用機会を創出することが可能である 138 . る.この正式な認知は,移住者の受入れ側と送り だが,各国が世界的バリューチェーンでの地位を 出す側の双方の国の機関の協力がなければ実施不 高めるにつれ,ジェンダー別雇用機会は変化しう 可能だ.だからこそ,職種別,産業別,地域別, る.マレーシアでは,製造業で働く女性の割合が 滞在期間別にクォータ(割当)を設けた二国間協 139 1980 年代央に低下した . 定が必要となる 142 .さらにこの協定には,労働者  移住: 財とサービスの国際的移動とは対照的に, の一時的移住と,永住条件などの手続きを別途に 一般的な移住,とりわけ労働者の移住に関する国際 規定することができる.それには,納税,社会保 協定はほとんどない.既存のものは問題の一部しか 障,教育ローン(特に優秀者の移住に伴う特別の カバーしていない.1952 年と 1978 年にそれぞれ 関心事)などついての配慮を含めることができる. 実施された ILO 移住労働者条約の改正第 97 号と さらに受入国と送出国の双方の関係者が,協定の 補足規定第 143 号は,移住労働者に対する差別と 施行に関心をもつようなインセンティブを盛り込 酷使の防止に関するもので,労働者の密入国や不法 むことも可能だ 143 . 入国を促進する者に対する罰則や制裁を求めたもの だが,各々の批准国は 49 カ国と 29 カ国に過ぎな 「サービス貿易一般協定(GATS) かった. 」の第 4 モードに規定された,自然人によるサービス提供の 34 世界開発報告 2013 仕事を中心に据えたが,データはどこにある  世界危機が途上国の仕事に与える影響についての のか 実証的分析が不足し,インフォーマルな仕事への対  データや研究に関するアジェンダは今後大幅に増 策の各国間の比較が困難なのは,データの質的かつ えるだろう.貧困線を上下する家計の動きと仕事の 量的不足が依然として政策決定上の制約であること 関係,インフォーマル・セクターにおける零細・小 を示唆している.また,失業率の頻繁な測定に大き 企業の動的変化,人間の行動・規範と仕事との関連 な努力が注がれているが 144,定期的な俸給を得て については,さらなる分析が必要である.また,仕 いる従業員数がわずかである国では,失業率はあま 事が与える波及効果の大きさに関する研究により, り意味のある指標とはいえない.貧困撲滅に関す 各国の状況に見合った開発のための良い仕事を特定 るミレニアム開発目標では,「女性,若者を含めた できるかもしれない.もう一つの重要な研究分野 すべての人々の,完全かつ生産的な仕事,そして は,認知能力と非認知能力が仕事に及ぼす影響や, ディーセント・ワークの提供を達成する」とうたわ その影響が仕事の性質と仕事をする人の性格によっ れ,仕事に関するターゲットの進捗状況を追跡する てどう違ってくるのかに関するものだ.同様に,特 指標が 4 つ掲げられている.しかし,これらの指 徴の異なる都市ごとに,生産性に及ぼす仕事の波及 標も,途上国における仕事の量と質の進展を部分的 効果を示す実例を増やすことも,開発政策にとって にしか捉えていない 145 . 価値が高いだろう.環境に及ぼす各種の仕事の影響  労働統計に関する現在の課題を大別すると,デー についての推定は現在,稀にしかない.労働政策の タ不足,データの質の問題,そして企画・連携・コ 分野では,各国の状況に基づき,「高台」の淵に関 ミュニケーションの問題という 3 点がある.デー する実証的分析がさらに必要だ.国際貿易や,国境 タ不足は,労働統計が皆無であるか,まばらにしか を越えた投資,国際的移住が,各国の仕事の構成に 集計されない国に関係する.このような統計があっ どう影響するのかといった研究ももっと必要とされ たとしても,データの質についての問題は,適切な ている.さらに,サービス貿易に関連した国際的コ 定義の使用からアンケートの設計,サンプルの抽出 ミットメントと国内政策をいかに順序付けるかにつ 方法から面接プロセス,さらにデータ入力・コー いてのより確実な知識が増えれば,自由化の推進に ディングから認証・推計手続きに至るまで,統計作 消極的な途上国により適切に対応することができ, 成の過程全体に及ぶ.さらに,データの収集機関と 世界経済への統合から利益を得ることができるだろ 配布機関が異なる場合は,企画・連携・コミュニ う. ケーション上の問題が発生する 146 .  仕事に関する政策の優先順位の決定は,信頼のお  25 年ほど前に,貧困削減を改めて開発政策の主 けるデータに基づいて行われなければならない.途 要目的として強調する一環として,長期的データの 上国では,非賃金労働者が就労人口の大半を占め, 収集が始まった.標準的アンケートを用いて世帯の フォーマル・セクターで働く者はさらに少ない.こ 生活水準についての情報が世界各地で収集された. の状況を踏まえると,仕事の量的な測定は困難な作 サンプルの抽出方法や定義は必ず報告された.そう 業だ.貧困削減に最大の成果をもたらす仕事を判別 して収集されたデータや記録が研究者や実務家に可 するには,家計の収入または消費に関する情報と, 能な限り配布された.雇用については,貧困分析に 家族のメンバーの仕事に関する情報とを結びつける 利用するための世帯調査に添付された雇用アンケー 必要がある.どの経済単位が,より多くの仕事を創 トは標準化する必要があり,事業所向け調査には, 出するかとか,労働の再配分を通じて,堂々巡りの インフォーマルな企業や零細企業も含める必要があ 停滞ではなく大幅な成長を生み出せるかを理解する る.こうしたアプローチをとることにより仕事が関 には,非常に多様な生産組織のインプットとアウト 心事項の中心に据えられるようになろう. プットの情報が必要となる.また,雇用の構成が信 頼感と社会への参加意欲にどう影響するかを評価す * * * るには,個人の価値観と行動に関する情報が必要と なる.  各国は,人口動態,構造の変化,技術進歩,そし 概観 35 て周期的なマクロ経済危機に起因する仕事の問題に が常に賛成するわけではないが,広く受け入れられ 対応して,種々の対策を選択することができる.ひ た伝統的な見解が存在する.仕事というレンズを通 たすら成長を追及し,労働市場がうまく機能するよ して開発課題を見つめることは,こうした伝統的な う努力して,その後に仕事の拡大が続くものと期待 見解をにべもなく否定するのではなく,むしろ有意 することもできる.あるいは,成長の追及だけでは 義な見解とそうでない見解を見極めることにつなが 仕事は自動的に創出されないと認識することもで るであろう. きる.女性のための仕事,都市や世界的バリュー  端的に言うと,各国は,生活水準のわずかな向 チェーンでの雇用,社会の弱者にボイスと保護を提 上,生産性の減速,分断された社会という状況に甘 供する仕事を筆頭にあげることもできる.仕事をめ んじることもできる.あるいは,仕事の問題に取り ぐる問題の特性は,当該国の立地,資源,機構,開 組むことにより,豊かな暮らし,高生産性,そして 発レベルによって異なる.一方,全ての国に共通し 仕事の機会の拡大と仕事への公正なアクセスを通し ているのは,民間セクターによる,開発のためにな て実現できる,より力強い社会的結束に向けた,改 る仕事の拡大を阻止している制度的失敗や市場の不 善が改善を呼ぶ「好循環」のパターンを享受するこ 完全さに対応する必要があることだ.各国はこれを ともできる. 通して初めて,冒頭の難しい問いに取り組むことが できる.これらの問いの一つひとつには,実務者ら 36 QUESTION 伝統的な見解が正しいときはいつか?  成長志向の戦略か,それとも仕事中心の戦略か?  中小企業であっても,経営の実務は事業の生産性 これまでの伝統的な見解によると,生活水準を向上 を高める上で大切となる.スキルを習得し,それを し,社会的結束を強化するには成長を重視すること ビジネスに応用する能力は,企業家を成功に導く最 が前提だと言われてきた.しかし,生活水準,生産 も重要な資質の一つである.しかし市場は企業家の 性,社会的結束という 3 つの変革の間で時間的な 育成には積極的ではない.それというのも,知識の ずれやアンバランスが生ずることは珍しくない.成 模倣を通じて,新たな経営管理の知識を習得し開拓 長が貧困削減に及ぼす影響は国によって大きな差が した者が受ける利益の一部は,他者の利益となって ある.時には,成長を通じて一部の人々の間で貧困 しまうからだ.さらに,経営の実務をどれほど習得 が減り生活水準が向上しても,社会的結束が高まら できるかは,訓練を受けた人によって大きな差があ ず,それ以外の人々の期待が満たされないまま残る る.小事業主の観察可能な特徴は,企業家としての ことがある.また,様々なセクターでの労働集約 潜在的可能性を示している.また,彼らの経営能力 度や仕事の機会への公正なアクセスも重要となる. を高めるためのプログラムは功を奏していることが 従って,これらの 3 つの変革の全体に対応できる 分かっている.そのため,有力な小事業主を標的と のは仕事にほかならない. した研修プログラムを実施すれば,生活水準と生産  生活水準の改善,生産性向上の加速化,社会的結 性を大きく改善することが可能となる. 束との間に生ずるトレードオフは恐らく,実際にど  政策は社会的結束に貢献できるか? 伝統的な見 れを選択するかというより,測定上の問題を示した 解によると,仕事がないことは社会的結束に悪影響 ものである.成長に関する指標が,貧困削減や社会 を与えるが,政府は,完全雇用を確保すること以外 的結束の向上など,目に見えない社会的利益を捉え に,できること,あるいはすべきことはほとんどな たものならば,成長戦略と仕事の戦略は同等だとい いと言われてきた.だが多数の国では,失業率だけ える.しかし,成長戦略は,女性の雇用,二次的な が大きな問題なのではなく,仕事の特性も重要とな 都市での雇用,あるいは無活動な若者などに十分留 る.全ての仕事が社会的結束に正の効果をもたらす 意していない可能性がある.仕事を通じて重要な波 わけではないが,仕事を通じて,特に取り残されて 及効果を達成できないのであれば,仕事中心の戦略 きた人々に社会的アイデンティティを与え,社会 から有用な知見が得られるはずだ. ネットワークを構築し,一段と公平に扱うことがで  企業家精神は育成可能か? これまでの伝統的な きれば,緊張を緩和し,集合的意思決定を冷静に行 見解では,途上国の大半の零細・小企業は生存する うことに役立つだろう. のがやっとで,成長の可能性は限られていると言わ  また,貧困層に配慮し,ボイス(発言権)と権利 れてきた.途上国では自営業が仕事の大きな部分を を確保し,労働市場における透明性と説明責任を高 占めている.その中のたとえ一握りの者がビジネス めるような施策であれば,人々は自分も社会の一翼 の発展に成功したとしても,生活水準と生産性に与 を担っているのだという意識を向上することができ える総体的影響は計り知れないものがある.また, る.こうした意識は,若年層の高失業率や対立によ 途上国の大企業は,政府の支援を受けたり,金融や り社会不安が生じる危険性が高い場合には特に重要 情報へのアクセスで優遇されることが多く,設立当 となる.雇用プログラムは,ガバナンスが粗雑で 初から大型であることが多い.こうした特権や優遇 あったり,標的が差別的である場合は社会的結束を を打開するためにも,零細 ・ 小企業の成功は非常に 損なうが,適切に設計されたものであればプラスの 重要となっている. 効果をもたらすことができる.高リスクの若者を対 概観 37 象とした仕事の政策には,紛争解決のためのカウン 環境づくりを進めることは困難であり,従って,い セリングや訓練を盛り込むことができる.公共事業 かにして政策の優先順位を設定するかが重要とな プログラムは,市民と地元当局が地域社会に参加し る.従来の見解では,過去の産業政策で失敗した経 関わり合うことに役立つ.従って,政策の焦点は, 験があることから,標的を絞り込むことに懐疑的で 仕事の数だけではなく,取り残されてきた人々のた ある.だが,産業セクターだけに照準を合わせる必 めに仕事の機会を広げることにも向けられるべきで 要はない.女性の雇用率の高いセクターで仕事を創 ある. 出したり,小規模な自作農の生産性を高めたり,世  技能と仕事のどちらを優先すべきか? 伝統的な 界的バリューチェーンに連結された仕事を増加する 見解によると,技能に投資をすれば,仕事の創出や ための支援は,各国の状況しだいでは,高い開発成 生産性の向上,労働所得の増大につながると言われ 果を発揮できる. てきた.失業率が高く,求人側の求める技能と求職  開発に資する良い仕事が明らかに存在し,これら 側の技能が整合していないのは,教育や訓練システ の仕事の創出を支えるための情報が十分にあるのな ムの欠陥によるところが大きい.だが,実際には, らば,標的を絞った投資環境の整備は正当化できよ 市場の歪みに起因している場合もあり,そのような う.ただし,その際の的を絞った介入は,権益団体 ときは,教育システムを間違った方向に導いたり, からの圧力に屈することがないように設計されてい ダイナミックな民間企業の育成につながらないこと なければならない.また,農家,都市のビジネス, になる.こうした状況では,世界のあちこちでも見 女性の零細企業家など,受益者の数が膨大であれ られるように,訓練システムに巨額の資金を投じて ば,特定の権益団体からの圧力に屈するリスクが減 も,期待通りの就業を達成できず,不本意な結果に る.伝統的産業政策の場合,このリスクは非常に高 終わる可能性がある. い.  認知能力と社会的スキルの両方を含めた一連の基  仕事をめぐり競争が起こるのか? 従来の見解に 本的スキルは生産的な仕事に携わる上で不可欠だ よると,仕事の数は限定されているわけではないの が,それは職場で習得できるものではない.このよ で,ある国の仕事の政策が他国に危害を及ぼすこと うな基礎能力をもたない場合,雇用機会や収入を改 はないと言われてきた.確かに,中期的・長期的に 善できる見通しは薄い.付加価値の向上に努める国 は,雇用総数は概ね労働人口の規模で決まる.しか にとってもスキルは極めて重要となる.スキルがあ し,こうした政策は,世界貿易,投資,そして移住 れば,イノベーションを促し,互いに学ぶことが可 者の流れを変える可能性があり,仕事の構成に影響 能になり,ひいては仕事の創出につながる.しか を及ぼしかねない.ここでの懸念は,開発に資する も,その間にも仕事を通じて多くを学ぶことができ 良い仕事の割合がある国で減り,別の国で増えるか る.仕事の機会があれば,社会的スキルの醸成に役 もしれないことだ.生産性に最大限の効果を及ぼ 立つほか,教育や訓練に対する需要を生み出す.仕 し,仕事の世界シェアの拡大を目指す政策の場合, 事を通じて学ぶ場合も,多くの状況では,収入の大 自国を含む世界全体の経済水準を増大させたとして 幅な増大につながる.職場で 1 年間の経験をつけ も,他国の経済水準を低下させることがありえる. ると,学業を 1 年間継続するごとに得られる報酬  とはいえ,仕事の創出を支えるための取組みがす のおよそ 3 分の 1 から 2 分の 1 を受けることがで べて,近隣窮乏化政策につながるわけではない.そ きる. うなるかどうかは,採用する政策手段の種類と,仕  標的を絞った投資環境の整備を行うべきか? 従 事から生まれる波及効果の性質にかかっている.こ 来の見解によると,政府には「勝者」を選べるだけ こで重要なのは,政策がどのような目的をもつかで の十分な情報がない上,権益団体の圧力で標的が決 ある.強制労働や危険な児童労働の取締りを通じ まってしまう可能性があるため,公平な環境を整備 て,権利に対する遵守状況の改善を目的とする政策 することが望ましいとされてきた.しかし,途上国 であれば,世界的な公益に資することになろう.一 では,往々にして財政的な余裕がなく,行政能力に 方,生産の外部効果を促進するような政策は,特 も限りがあるため,全ての分野でビジネスに適した に,それがオープンな貿易システムを阻害したり, 38 世界開発報告 2013 自国のダイナミックな比較優位とかみ合っていない 見解によると,生産性の低い企業や分野で働く労働 場合には,他国に悪影響を及ぼす可能性がある. 者を堅持するような労働市場の硬直性を排除する政  労働者と雇用のどちらを保護するのか? 伝統的 策が重視されてきた.だが,そうした改革は常に政 な見解によると,人々を保護する政策は,私的厚生 治的に実施可能とは限らない.インドでは,複雑で の損失を軽減すると同時に,労働力の再配分を可能 煩雑な労働市場制度が経済的効率に明らかにマイナ にし,創造的破壊を促進することから,望ましいも スの影響を与えてきたが,このような制度は実に のだと言われてきた.政府の移転支出や雇用保護法 60 年間も手付かずのままだった. により経済性の低い雇用を保護することは,資源の  歪みのある規制を無効にしたり回避したりするこ 配分を非効率的な状態のままで凍結してしまう.雇 とは,コスト抑止に役立つかもしれないが,ダイナ 用の保護はまた,対象者の私的利益の保護につなが ミックな活動にはつながらない.インドでは,煩雑 りがちである.その結果,非生産的な雇用を永続さ な労働規制は無視すればいいという考えが幅広く浸 せ,技術進歩を阻害し,構造の変革を妨げ,やがて 透してきた.しかし,同国の経済全般が好調である は成長に悪影響を与えかねない. にもかかわらず,労働集約的な生産セクターでは不  しかし,一度に多くの仕事が失われたり,その危 振が続いている.同じような厳格な規制上の障害が 険性が高まるときや,新しい仕事がほとんど生み出 存在する他の国々では,こうした規制の効力を和ら されないときがある.また,生産性の波及効果が大 げるために,工業団地,躍動する都市,あるいは世 きい仕事もある.このような仕事が大量に失われる 界的バリューチェーンで創出された仕事の生産性の と,町がゴーストタウンと化し,地域に不況が襲う 波及効果を上手に利用して,効率向上に役立つ労働 こともある.失業者の発生が局地的かつ限定的であ 力の再配分を実現してきた.スリランカでは,輸出 り,しかも離職率も通常と変わらないような,特異 加工区(EPZs)の開発を通して,アパレル産業が なショックに見舞われた場合には,人々の保護が優 開花した.ブラジルでは,国内での移住者数が急増 先されるべきである.一方,システミックな危機や しているが,このことは,同国による世界経済への 経済の大規模な変化が生じたときは仕事を保護する 統合の継続と,工業団地や産業集積を優遇する開発 ことが妥当といえよう.ただし,雇用の保護政策 政策に密接に関係している.中国では,労働力は, は,永続的な非効率性を生み出す可能性がある.こ 地域的な競争と試行錯誤のもとで,競争力のある都 とに機構が脆弱な国では,保護の範囲と規模を定め 市に流れる傾向がある.つまり,都市化や世界経済 るトリガールールやいつそれをやめるかのサンセッ への統合を通じて,仕事がもたらす生産性の波及効 ト条項を確立することが必須となる. 果を高める戦略を重視することで,労働市場の硬直  労働者の再分配をいかに加速させるか? 従来の 性を克服できるのである. 概観 39 40 世界開発報告 2013 注 式統計では民間セクターに含まれない.詳細は以下 1. ILO 2007 第 2 条.国際連合 2009 も参照. を参照:Kanamori and Zhao (2004). 2. Ghose, Majid, and Ernst 2008. 23. Nabli, Silva-Jáuregui, and Faruk Aysan 2008. 3. Gindling and Newhouse 2012( 世 界 開 発 報 告 24. Assaad 2012; Assaad and Barsoum 2007. 2013 向けのレポート). 25. Mryyan 2012;Gatti and others 2012; Stampini 4. Kanbur 2009. and Verdier-Choucane 2011; ILO 2011. 5. 国際労働機関(ILO)統計局(http://laborsta.ilo. 26. WDR チームによる Chen and Ravallion (2010) org/sti/sti_E.html.) のアップデート版に基づく. 6. Lyon, Rosati, and Guarcello 2012(世界開発報 27. 世界銀行 2011a. . 告 2013 向けのレポート) 28. ILO 2012a. 7. 世界銀行 2006b. 29. ILO および世界銀行 2012. 8. ILO(http://laborsta.ilo.org/applv8/data/ 30. Bell and Blanchower 2011; Farber 2011. EAPEP/eapep_E.html) お よ び 世 界 開 発 指 標 31. 世界銀行 2011c. (http://data.worldbank.org/data-catalog/ 32. Ravallion 2009. world-development-indicators)のデータに基づ (世界開発報告 2013 向けのレポー 33. Inchauste 2012 く世界開発報告 2013 担当チームの推計. . ト) 9. 国際連合 2011. 34. Baulch 2011; Fields and others 2003. 10. Lin 2012; Pagès 2010; 世界銀行 1992. 35. Narayan, Pritchett, and Kapoor 2009. 11. 欧州職業訓練開発センター 2008. 36. Azevedo and others 2012(世界開発報告 2013 12. Autor and Dorn 2011; Gratton 2011; Holzer 向けのレポート).本レポートでは Paes de Barros and Lerman 2009. and others (2006) お よ び Bourguignon and 13. Feenstra 2010. Ferreira (2005) などにより開発された手法を使用. 14. Brown, Ashton, and Lauder 2010.世界開発報 37. Blanchower and Oswald 2011. 告 2013 向けの Selim 2012 参照. 38. Haltiwanger 2011; Nelson 1981; Schumpeter 15. Goswami, Mattoo, and Sáez 2011. 1934. 16. 一 例:oDesk, https://www.odesk.com/; 39. Bartelsman, Haltiwanger, and Scarpetta 2009; Babajob, http://www.babajob.com/; Google Davis, Haltiwanger, and Schuh 1996. Trader ( 例:http://www.google.co.ug/africa/ 40. Bartelsman, Haltiwanger, and Scarpetta 2009. trader/search?cat=jobs); SoukTel, http:// 41. Baily, Bartelsman, and Haltiwanger 1996. www.souktel.org/. 42. 世界開発報告 2013 担当チームによる推定. 17. TeamLease 2010. 43. Bartelsman, Haltiwanger, and Scarpetta 2004; 18. A.T. Kearney 2011. Brandt, Van Biesebroeck, and Zhang 2012; Lin 19. UNESCO 統 計 研 究 所,http://stats.uis. 2012, Rutkowski and others 2005. unesco.org/unesco/TableViewer/tableView. 44. 世界開発報告 2013 担当チームによる推定,および aspx?ReportId=175. Dutz and others 2011. 20. 15 歳児を対象にした 2009 年の国際的学習達成度 45. Ayyagari, Demirgüç-Kunt, and Maksimovic に関する調査で,上位 20%にランクされた生徒 2011; IFC 2012 近刊. についての WDR 担当チームによる推定.参照: 46. 南アフリカは,例外的であるため(農家の平均面積: http://www.pisa.oecd.org. 288 ヘクタール),この推計から除外された. 21. 労 働 統 計 に 関 す る 国 際 労 働 機 関 デ ー タ ベ ー ス, 47. Hsieh and Klenow 2009; Pagés 2010. Laborsta, http://laborsta.ilo.org/e. 48. Banerjee and Duo 2011; Fox and Sohnesen 22. ここでの民間セクター雇用とは,中国の公式分類に 2012; Schoar 2010; Sutton and Kellow 2010. よる「民間企業」と「個人」を指す.前者は,自 49. de Soto 1989; Perry and others 2007. 然人により投資され設立された営利事業,または, 50. Grimm, Kruger, and Lay 2011; McKenzie and 労働者 8 名以上を使用する者により支配される営 Woodru 2008. 利事業と定義される.後者には,8 名未満の労働者 51. Mertens 2011; Witze 2010. を雇う事業が含まれる.外資系企業や共同体は,公 52. Sandefur 2010. 概観 41 53. Hsieh and Klenow 2011. and others 2007; Heckman 2008; Walker and 54. Bartelsman, Haltiwanger, and Scarpetta 2009; others 2007; Young and Richardson 2007. Haltiwanger 2011; Hsieh and Klenow 2009; 87. Engle and others 2007. Syverson 2011. 88. Heineck and Anger 2010; Cunha, Heckman 55. Moser 2009, 240. and Schennach 2010. 56. Dani and others 1999, 3. 89. OECD PISA 2009 (http://www.pisa.oecd.org). 57. Kilroy 2011. 90. IMF 2003; Rodrik 2000. 58. Gatti and others 2012. 91. Keefer 2009; North 1981, 1990. 59. Akerlof and Kranton 2010. 92. Acemoglu, Johnson, and Robinson 2001; North 60. Giles, Mavridis, and Witoelar 2012( 世 界 開 発 1990; Rodrik, Subramanian, and Trebbi 2004. 報告 2013 向けのレポート) . 93. 世界銀行 2004. 61. ILO 2012b. 94. 世界銀行 2010. 62. ILO 2010. 95. 世界銀行 2004. 63. ILO 2002. 96. 世界銀行 2004. 64. Heath and Mobarak 2011. 97. Laeven and Woodru 2007. 65. Luke and Munshi 2011. 98. ILO 1998. 66. Alfaro and Chen 2011; Romer 1993. 99. Chen and others 2012(世界開発報告 2013 向け 67. UNDP 2003a; UNDP 2003b. のレポート). 68. Ibarraran and others 2012. 100. Betcherman 2012. 69. 様々な状況における仕事の波及効果については, 101. Alatas and Cameron 2003; Arango and 以 下 の 世 界 開 発 報 告 を 参 照: 若 年 層( 世 界 銀 行 Pachón 2004; Rama 2001; SMERU Research 2006b),地理(世界銀行 2009b),紛争(世界銀 Institute 2001. 行 2011a),ジェンダー(世界銀行 2011c). 102. Haltiwanger, Scarpetta, and Schweiger 2008. 70. Glewwe 2004. 103. Betcherman 2012(世界開発報告 2013 向けのレ 71. IOM 2010. ポート).Freeman 2009; OECD 2006. 72. Goswami, Mattoo, and Sáez 2011. 104. Aidt and Tzannatos 2002. 73. Ball, Leigh, and Loungani 2012. 105. Freeman 2009. 74. 世界銀行 (2012, various issues. 106. Aidt and Tzannatos 2002. 75. 成長開発委員会 2008. 107. Card, Kluve, and Weber 2010; OECD 2006; 76. Kraay 2012. Almeida and others 2012(世界開発報告 2013 77. Elbadawi, Kaltani, and Soto 2009. 向けのレポート). 78. King and Levine 1993; Levine 2005. 108. Bird and Smart 2012; Levy 2008. 79. IFC 近刊 . 109. Bhatt 2006; Chen and others 2012(世界開発報 80. Foster and Briceño-Garmendia 2010. 告 2013 向けのレポート). 81. Djankov, Freund, and Pham 2010; Hallward- 110. 世界銀行 2010. 注:このコストは「多数国軍人復員・ Driemeier, Khun-Jush, and Pritchett 2010. 社会復帰プログラム」の総コストを示し,雇用だけ 82. Klapper, Laeven, and Rajan 2006. でなくあらゆる形の社会復帰支援も含まれる. 83. Bruhn, 2008. 111. Glewwe 2004. 84. 以 下 の 例 参 照:Psacharopoulos and Patrinos 112. Rama 2009. (2004); Montenegro and Patrinos 2012(世界開 113. 世界開発指標 2012,世界開発指標,世界銀行,ワ 発報告 2013 向けのレポート) . シントン DC,http://data-worldbank.org/data- 85. 以下の例参照: 生産性に関するリンク:Hanushek catalog/world-development-indicators. and Woessmann (2008) お よ び Commander 114. 世界銀行 2007. and Svejnar (2011). 構造変化および貧困に関す 115. Rwanda Demobilization and Reintegration る 検 討 に つ い て の リ ン ク:Lee and Newhouse Commission 2012. . (2012)(世界開発報告 2013 向けのレポート) 116. ルワンダは,「ビジネス環境の現状 2010」で有力 86. Engle and others 2007, Grantham-McGregor な改革推進国として指定された. 42 世界開発報告 2013 117. Dudwick and Srinivasan 近刊 ; 世界銀行 2011a. の権利や規制に関する共通の原則を策定している. 118. 世界開発指標 2012,世界開発指標,世界銀行,ワ 143. これに関する議論は以下を参照:Pritchett (2006). シントン DC,http://data-worldbank.org/data- 144. 月間または四半期ごとに労働調査を行っているの catalog/world-development-indicators. は 65 件だけだが,年次調査を行っているのは 116 119. Consejo Nacional de Innovación 2008; 世界銀 件. 行 2008b. 145. 4 つの指標とは,雇用者 1 人当たり GDP(生産性 120. 世 界 銀 行 2006a; 世 界 開 発 指 標 2011, 世 界 開 の尺度),人口に対する雇用者比率,1 日 1.25 ドル 発 指 標, 世 界 銀 行, ワ シ ン ト ン DC,http:// 未満で暮らす雇用人口の割合(いわゆる「ワーキ data-worldbank.org/data-catalog/world- ング・プア」),雇用人口に占める自営業者と無償 development-indicators. 労働者の割合(いわゆる「脆弱な労働者」)を指す. 121. OECD 2010. 国連開発計画 2010 参照. 122. OECD 2009. 146. ILO 2012c. 労 働 分 析 お よ び 政 策 立 案 に お け る 123. OECD 2009. データの重要性に関しては Kanbur and Svejnar 124. Yusuf and Nabeshima 2006; Park and others (2009) を参照. 2011. 125. 以下を参照:世界銀行 2010; Gibson, McKenzie, 参考文献 and Rohorua 2008. ここでの「processed」という表現は,形式にこだわら 126. Fajnzylber, Maloney, and Montes-Rohas 2011; ずに再出版された文献を指し,通常,図書館では扱われ OECD and ILO 2011. ていない. 127. 世界銀行 2011d. A.T. Kearney. 2011. Offshoring Opportunities amid 128. Chau and Kanbur (2002) では,ある国が条約を Economic Turbulence: A.T. Kearney Global Ser- 批准するかどうかは,同じような状況下にある他国 vices Location Index, 2011. Chicago: A.T. Ke- の批准数に左右されるという「ピア効果」の実例が arney Global Services Location Index. Acemoglu, Daron, Simon Johnson, and James A. 指摘されている. Robinson. 2001. “The Colonial Origins of Com- 129. Adler and Hwang 2012(世界開発報告 2013 向 parative Development: An Empirical Investigation.” けのレポート). American Economic Review 91 (5): 1369–401. 130. Levi and others 2012(世界開発報告 2013 向け Adler, Daniel, and Hans Hwang. 2012. “From Law on the Books to Law in Action: A Note on the Role of Regula- のレポート),Newitt 2012(世界開発報告 2013 tion in the Production of Good Jobs in Cambodia’s 向けのレポート). Garment Sector.” Background paper for the WDR 2013. 131. Locke 近刊 ; Locke, Quin, and Brause 2007. Aidt, Toke, and Zafiris Tzannatos. 2002. Unions and 132. Hoekman 2011. Collective Bargaining: Economic Effects in a Global 133. Borchert, Gootiiz and Mattoo 2011. Environment. Washington, DC: World Bank. Akerlof, George A., and Rachel E. Kranton. 2010. Identity 134. François and Hoekman 2010. Economics: How Our Identities Shape Our Work, Wages, 135. Hoekman and Mattoo 2011. and Well-Being. Princeton, NJ: Princeton University 136. Fink, Mattoo, and Rathindran 2003; François Press. and Hoekman 2010. Alatas, Vivi, and Lisa Ann Cameron. 2003. “The Impact of Minimum Wages on Employment in a Low Income 137. Hoekman and Mattoo 2011. Country: An Evaluation Using the Difference-in-Dif- 138. 世界銀行 2011c. ferences Approach.” Policy Research Working Paper 139. Randriamaro 2007. Series 2985, World Bank, Washington, DC. 140. 以下の例を参照:Winters and others (2002); 世 Alfaro, Laura, and Maggie Xiaoyang Chen. 2011. “Se- lection, Reallocation, and Knowledge Spillovers: 界銀行 (2005). Identifying the Impact of Multinational Activity on 141. 以下の例を参照:EFRA (2011) and Angenendt Aggregate Productivity.” Paper presented at the World (2012). Bank Conference on Structural Transformation and 142. 欧州連合のシェンゲン地域のような地域協定には Economic Growth, Washington, DC, October 6. 移住労働者の査証や社会保障といった特定分野を Almeida, Rita, David Margolis, David Robalino, and Michael Weber. 2012. “Facilitating Labor Market Tran- 盛り込むことも可能.一部のラテンアメリカ諸国, sitions and Managing Risks.” Background スペイン,ポルトガルは,社会保障を受ける移住者 paper for the WDR 2013. 概観 43 Amador, Diego, Raquel Bernal and Ximena Peña 2011. ———. 2009. “Measuring and Analyzing Cross-Country “The Rise in Female Participation in Colombia: Differences in Firm Dynamics.” In Producer Dynamics: Fertility, Marital Status or Education?” Background New Evidence from Micro Data, ed. Timothy Dunne, J. paper for the World Development Report 2012. Bradford Jensen, and Mark J. Roberts, 17–76. 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Washington, DC: World Bank. 1 50 世界開発報告 2013 CHAPTER 仕事をめぐる挑戦 人口動態の変遷,構造の変化,技術の進歩,世界的な変動性が仕事の世界を変えつつ ある.にもかかわらず,多くの諸国ではいまだに伝統的な農業や自営業が支配的であ る.  世界全体で 30 億人以上の人々が仕事に就いているが,その仕事の性格には大きな バラツキがある.約 16.5 億人は規則的に賃金ないし給与をもらっている.残りの 15 億人は農業や小規模な家内企業,一時的ないし季節的な日雇い労働で働いている.最 貧国の労働者の大半はこのような種類の仕事に従事しており,これらは労使関係の対 象外である.これ以外に 2 億人――その大部分は若者――が失業者で,懸命に仕事を 探している.ほぼ 20 億人の生産年齢の成人は仕事も求職活動もしておらず,その大 半は女性である.しかし数知れない多くの人々が仕事に就きたいと切望している 1.  世界が直面している仕事への挑戦は多岐にわたり,人々がしている仕事の質を改善 することから,より良い仕事に向けて人々の再配分を支援することや,働きたい人々 のために仕事を創出することまでと幅が広い.一部の諸国では,若者の増加を受けて 何百万人もの求職者が労働市場に新規に参入してきている.サハラ以南アフリカの労 働力は毎年 800 万人ずつ増加している.南アジアでは同じく毎月 100 万人ずつ増加 している.他の地域では生産年齢人口が急速に高齢化しており,退職を延期する労働 者が増えている.2020 年までには 65 歳以上の人々のために,4,000 万人分以上も の追加的な仕事が必要になるだろう 2.  構造的・技術的な変化を受けて農村部から都市部に移動する人々が増加している. 今後 15 年間で途上国の人口の半分は都市部に居住するようになるだろう.これは移 住の結果ではあるが,職場が農場から工場や街路に急速にシフトしていることを反映 したものである.農村部から都市部への移動は,特に賃金雇用に就いた人々にとって は,総じて個人的な福祉の改善につながる.とはいえ,世界の総所得に占める労働者 のシェアは低下をたどっており,これはグローバル化と技術変化が一因とみられる. 同一職種の賃金は国をまたいで収斂しつつあるが,スキルが高い職種ほど高いプレミ アムが支払われている.女性の所得は依然として男性に後れを取っており,働いてい る女性の割合は国ごとに大きく異なっている.女性の労働力参加率はベトナムでは 75%を超えているが,パキスタンではわずか 28%にとどまっている.  世界が変化するように仕事も変化する.労働者の教育水準は改善しているにもか かわらず,多くの企業が,求める熟練労働者を見付けるのに苦労すると語っている. CHAPTER1 仕事をめぐる挑戦 51 パートタイムや一時的な仕事が増加しているようで  生産に割り当てられている時間のパターンは,国 ある.例えば,インドや南アフリカでは,人材派遣 や時期によって異なっている.1 日 8 時間労働・週 会社や労働ブローカーの数が急増している.外部委 5 日制・有給休暇というパターンの仕事は,途上国 託はかつては製造業に集中していたが,新技術のお では標準的ではない.週の特定の日あるいは年の特 かげで今やサービスの仕事を細分化することが可能 定の週における 2-3 時間の労働という仕事もあれ になっている.一方,インターネットや携帯電話を ば,週のほぼ毎日かつ年のほぼ毎週における長時間 利用する新しいプラットフォームが,労働者と雇用 にわたるという仕事もある.前週に 1 つしか仕事 者のマッチングについて斬新な制度を提供してい をしなかった人もいれば,2 つ以上の仕事をした人 る.しかも,それは単に高度なスキルを要する仕事 もいる.2011 年について一時雇用をみると,韓国 向けに限定されていない. やスペインでは賃金雇用全体の 5 分の 1 以上を占 めたが,オーストラリアやスロバキアでは約 5%に とどまった 4. 仕事,しかし必ずしも給与を伴わない  失業や不完全雇用の測定も同じく困難である.長  多くの人は,「仕事」という言葉を聞けば,雇用 時間労働を希望する人もいれば,そうでない人もい 者がいて,定期的に給与をもらっている労働者を思 る.労働時間が希望よりも短い被雇用者の割合は, い浮かべるだろう.しかし,そのような狭い定義で アルメニア・コロンビア・グアテマラ・ペルーでは は,生活のために働いている 15 億人近くが除外さ 15%超に達しているが,ハンガリー・パキスタン・ れてしまう.仕事の概念は実際には賃金雇用よりも ポルトガル・アメリカでは同 3%未満にとどまっ ずっと幅広い.仕事というのは実際所得あるいは帰 ている 5 .働きたいのに仕事のない人もなかにはい 属所得――金銭支給か現物支給か,あるいはフォー る.失業率は景気循環に伴って変化する.2009- マルなセクターかインフォーマルなセクターかなど 10 年には最悪の国際危機が世界中のほとんどの諸 は問わない――を生み出す活動である.すべての形 国を襲ったなかで,失業率は南アフリカやスペイン の労働が仕事とみなせるわけではない.労働者の意 の 20%超から,オーストリア・韓国・マレーシア・ 志に反して行われた活動,あるいは基本的な人権の シンガポール・スリランカ・タイの 5%未満までと 侵害を伴う活動は仕事と考えるべきではない.家庭 幅広い範囲に及んだ 6 . における料理や掃除など労働の努力を伴う他の活動  労働の世界は途上国では先進国よりも多様であ のなかには,労働のために有給で雇われた人々に る.この多様性は途上国では,通常の物差しである よって行われない限り,仕事とは考えられていない 労働時間や求人数だけではなく,仕事の性格に関し ものもある. ても当てはまる.次の 2 つの重要な側面が際立っ ている.第 1 に,自営業が蔓延しており,そのせ 多種多様な形の労働 いで失業や不完全失業の測定がしばしば不十分なも  仕事の定義や測定は困難を伴う.というのは, のにとどまっている 7.第 2 に,生産について伝統 人々の時間の使い方や労働の仕方は多種多様だか 的な様式と近代的な様式が共存しているため,労働 らである(本章末の質問 1 を参照).経済学者は通 の性格について自給自足農業やつまらない労働か 常は労働と余暇を区別するが,現実はもっと複雑で ら,技術主導型の製造業やサービス業までと幅が広 ある.時間は非生産的活動にも生産的活動にも割り い. 当てることができる.前者には食事・睡眠・学校教  発展途上世界ではどこの国でも労働は高度にイン 育・レクレーションなどに費やされる時間が含まれ フォーマル化されている――それは会社登記や社会 る.後者には市場性と非市場性両方の労働が含まれ 保障の適用範囲・文書による雇用契約など,どのよ る.ある活動が生産的とみなせるかどうかは,次の うなベースでみても当てはまる.インフォーマルな ような第三者テストに基づいて評価できる:「もし 雇用は労働規制の対象外となるが,それは規制の対 ある活動が有給労働者に委託できるという性格のも 象範囲が限定的であるか,または意図的に回避ない 3 のであれば,その活動は生産的とみなされる」 . し免れているためだ.具体的にどのような定義が使 52 世界開発報告 2013 図 1.1 仕事は賃金を伴うとは限らない 男性 女性 100 賃金雇用 80 雇用全体に占める割合(%) 60 自営業 非賃金雇用 40 20 農業 0 ヨーロッパ・ ラテンアメリ 南アジア 中東・ 東アジア・ サハラ以南 中央アジア カ・カリブ 北アフリカ 太平洋 アフリカ 出所:WDR 2013 チーム. 注:データは入手可能な最新年のもの. われているかとは無関係に,インフォーマルな雇用 雇用が総雇用に占める比率は女性の方が男性より は一般的に低生産性と関係がある.しかし,これは もずっと低い.タンザニアやベトナムといった諸 会社登記・社会保障の適用範囲・文書による契約が 国でさえ――男女とも参加率は 75%以上――,女 あることが,効率性の上昇につながることを必ずし 性の賃金雇用は後れを取っている.このような明 も意味するものではない.インフォーマル性という 確な相違以外でも,女性は引き続き男性よりも所 のは低生産性の原因であるのと同じくらい,その病 得が著しく少ない.また,このような格差は教育・ 状でもあり得るからである. 経験・労働セクターによってまだ十分説明できて いない. 場所が変われば仕事も変わる  典型的には年齢が 15-24 歳の人と定義される若  途上国では自営業と農業が仕事のほぼ半分を占め 者については,学校教育中ないし職業訓練中のシェ ている.自営業に就いている大多数は有給従業員の アが増加している.とはいえ,若年失業率が警戒す 8 いない小企業で働いている .しかし,賃金労働・ べき水準に達している国がなかにはある(南アフリ 農業・自営業のシェアはジェンダーと国によって大 カで 2008 年初め以降 40%以上,スペインでは 12 きく異なる.女性の雇用に占める非賃金労働のシェ 年初め以降 50%以上)10.若年失業率が比較的低 アは,サハラ以南アフリカでは 80%超であるが, い諸国でも,それは全平均の 2 倍以上になってい 東ヨーロッパ・中央アジアの諸国では 20%未満と る.加えて,若者の大きな割合が「無活動」と考え なっている(図 1.1). られている――教育を受けているわけでも,雇用さ  ジェンダー格差も驚くべき状態である 9.世界全 れているわけでも,訓練を受けたり求職活動をした 体で男性のほぼ 80%は仕事に就いているのに,女 りしているわけでもない(図 1.2)11.15-24 歳の 性は 50%未満にとどまっている.働いている人は 3 分の 1 以上が無活動の状態にある国もなかには 男女とも約 50%が賃金労働者であるが,この統計 ある.ほとんどの諸国で,失業率は無活動の比率 は国・地域による著しい相違を覆い隠している. との比較では低い 12 .多くの場合,若者が働いて 女性の割合は低所得国・下位中所得国の賃金雇用 いる場合,それは無給の仕事に就いている.たと では低いものの,中所得国では男性よりも高くなっ え有給であっても,社会保障を利用できる可能性 て い る. パ キ ス タ ン の よ う な 国 で は ―― 男 性 の は低い 13 . 82%以上が労働力として参加している――,賃金  児童労働は低下傾向にあるが,依然として 8 人 CHAPTER1 仕事をめぐる挑戦 53 のうち 1 人(有害危険作業では 14 人に 図 1.2 若年層では,失業が常に問題というわけではない 1 人)の子供に影響している.国際労働 非就学または非就業 機関(ILO)は児童労働を次のように定 非求職者 求職者 義している:12 歳未満の子供によるす パキスタン 男性 べての労働,あるいは 12 歳以上の子供 (2008 年) 女性 による,教育を阻害する,あるいは健康 トルコ (2005 年) や自己啓発に有害なすべての労働.世界 イン ド 全 体 で は 2008 年 時 点 で,3 億 600 万 (2009 年) インドネシア 人の子供が労働していた.このうち 2 (2010 年) 億 1,500 万人は児童労働と考えられる チリ (2009 年) 活動に従事し,1 億 1,500 万人が有害 ブラジル で危険な作業に関与していた 14.この (2009 年) ウクライ ナ ような子供たちのほとんどは無給の家族 (2005 年) 労働者であるか,または農業に携わって ガーナ (2005 年) いる.半分以上がアジア・太平洋に居住 タンザニア しているが,シェアが最も高いのはサハ (2009 年) ラ以南アフリカであり,そこでは 4 人 0 10 20 30 40 50 60 対 15-24 歳人口比(%) に 1 人(6,500 万人)が児童労働を行っ ている. 出所:WDR 2013 チーム. いが,それは年率 2.7%での雇用増加と言い換える 若年層の増加,高齢化社会,移民国家 ことができる.しかし,東ヨーロッパ・中央アジア  人口動態上の変化は大規模になることがあるが, では,人口の高齢化が進展しているので,同じ期間 いつも同一方向とは限らない.世界で最も人口の 中に必要な新規の仕事はわずか 240 万人分ですむ 多い諸国は労働力の著増を経験している.1990 年 だろう. 代初め以降についてみると,新規参入者は中国で  労働力に関しては,単にその規模だけでなく, 年 800 万人,インドで年 700 万人にも達している 年齢構成も重要である.若者は学校にとどまる期 (このペースは特に中国では今や急速に鈍化してい 間が長くなって労働市場への参入が遅くなる一方, る).多数の中小国も絶対数は驚くほどではないに 成人はより長く健康的な生活をするようになって せよ,比較的大きな人口増加に直面している.一 いる.65 歳以上の人々の労働力参加率は過去 20 方,人口全体と労働力が収縮している諸国もなかに 年間にわたり比較的安定していた.しかし,参加 はある.例えば,ウクライナの労働力は年率 0.75% 率が安定していても高齢者の増加に対処するには, のペースで減少するものと推定されている.これは 2020 年までに 4,200 万人の仕事が創出されなけ 15 毎年約 16 万人の減少に等しい . ればならないだろう.このような仕事の 4 分の 1  単純な概念上の作業を行ってみると,人口動態面 は中国で必要になるだろう.ただし,中国では労 でのこのような劇的な変化が提起する課題がよく 働力の規模そのものは絶対数でみて減少し始めて わかるだろう.2020 年における雇用対生産年齢人 いるだろう 16 . 口の比率を不変に維持するためには,2005 年との  国際移住も多くの諸国で労働力の規模と構成を変 比較で約 6 億人分の仕事が追加的に必要であろう. 化させている.前世紀の変わり目には,世界中で 2 そのうち 1 億 7,500 万人分,すなわち毎月約 100 億人以上の国際移民がいて,そのうち 9,000 万人 万人分が南アジアに加えて,東アジア・太平洋でも 以上は労働者であった.仮に国際移民が国家を樹 新規に必要になるだろう(図 1.3).サハラ以南ア 立したとすれば,それはブラジルを超えて世界で 5 フリカでは就職先が約 50%増加しなければならな 番目の大国になるだろう.正確な推定値に関しては 54 世界開発報告 2013 図 1.3 人口増加に対処するには雇用の増加が必要 a.年当たりの仕事数 b.雇用の年変化 サハラ以南 南アジア アフリカ 東アジア・ 中東・ 太平洋 北アフリカ サハラ以南 南アフリカ アフリカ ラテンアメリカ・ ラテンアメリカ・ カリブ カリブ 中東・ 東アジア・ 北アフリカ 太平洋 ヨーロッパ・ ヨーロッパ・ 中央アジア 中央アジア 0 5 10 15 0 1.0 2.0 3.0 100 万人 % 出所:ILO のデータと World Development Indicators に基づく WDR 2013 チームの試算. 注:推定は就業率一定を前提に人口増加の予測に基づく 2005-20 年にかかわるもの. 意見が分かれているが,移民は世界の人口の 3%近 に凌駕することを意味する 21.都市化というのは くを占めている,という点に関しては意見の一致が 生活水準の向上を支えている農業生産性の上昇に由 17 ある . 来する.集計値レベルでの急速な経済成長とも関係  このような集計値は重要な国別の相違を覆い隠し している.というのは,都市部の仕事は農村部の仕 ている.一部の諸国は絶対数か(アメリカなど), 事よりも生産性が高い傾向にあるからだ.しかし, あるいは相対比か(ヨルダンやシンガポール)のい 常にそうとも限らなかった 22.東アジアでは人口 ずれかで,移民について大きな受入国になってい 移動と急速な経済成長との間には相関関係があった る.バングラデシュ・インド・メキシコなどといっ が,サハラ以南アフリカではその関係はずっと弱 た諸国からの移民が,世界全体の移民総数のうち大 かった(図 1.4). きなシェアを占めている.フィジー・ジャマイカ・  技術変化を背景に,家計は自家生産の代わりに市 トンガなどといった諸国の場合,海外にいる人口の 場生産を増やすようになる 23 .構造変化は消費や 割合の方が大きくなっている.一部の中小国の数字 投資といった活動向けの時間を増やしただけでな は驚くべきである.例えば,全エルサルバドル人 く,労働の増加ももたらした.場合によっては,構 のほぼ 5 分の 1 は海外在住であるのに対して,ク 造変化は余暇の削減にさえつながり 24,そのこと ウェート・カタール・アラブ首長国連邦では人口の は,特に生産性の低い市場性の仕事に移行した労働 5 分の 3 以上が外国生まれである 18 . 者にとって顕著であった 25 .このような構造変化 のプロセスは過去においてはしばしば何十年も要し たが,現在の多くの途上国では,わずか 1 世代の 都市,賃金,女性 . うちに生活の転換が起こっている(ボックス 1.1)  経済開発は労働力の構成に顕著な変化――構造転  自家生産から市場生産へのシフトはジェンダー面 19 換として知られているプロセス――をもたらす . で中立的というわけではない.というのは,女性は 2020 年までに途上国の総人口の半数以上が都市部 自家生産に特化する一方で,男性は伝統的に市場生 に居住するものと予想されている 20.ということ 産に焦点を当てる傾向が強いからである.女性は仕 は,非農業労働力の伸びは農業労働力の伸びを大幅 事に就きながらも,家でも引き続き働いているのが CHAPTER1 仕事をめぐる挑戦 55 図 1.4 農村から都市への移動は必ずしも経済成長をもたらすとは限らない a.東アジア・太平洋 b.サハラ以南アフリカ 75 75 マレーシア リベリア 60 60 都市人口のシェア(%) 都市人口のシェア(%) ナイジェリア インドネシア ガーナ 45 45 カメルーン 中国 ギニア・ ビサウ 30 30 タイ マダガスカル ジンバブエ ベトナム 15 15 ケニア エチオピア 0 0 80 800 8,000 80 800 8,000 1 人当たり GDP(2000 年の不変ドル価格) 1 人当たり GDP(2000 年の不変ドル価格) 出所:World Development Indictors. 注:データは 1985-2010 年の変化に対応.GDP =国内総生産. 普通である.仕事と家庭の両方での活動を考える ルのプールを利用できるようになった 30.外部委 と,女性は総じて男性よりも忙しい.これには先 託は製造業だけでなくサービス業でも起こりつつあ 進国と途上国の区別はない.サハラ以南アフリカ・ る.世界のサービス輸出に占める途上国のシェアは ヨーロッパ・インドからの証拠が示すところでは, 1990 年の 11%から 2008 年の 21%へと高まって 女性が生産活動に費やしている時間は男性よりも長 いる 31.インドは情報技術(IT)分野ではリード 26 い .しかし,女性が――特に家庭環境外で―― しているが,エジプトなど他の諸国もサービス輸出 仕事に就くと,その経済的役割は変化する(ボック に焦点を当て始めている 32. ス 1.2).  世界における生産の情景がこのように変化してい ることを受けて,スキルの賦存状況や高い能力を持 つ人の分布がシフトしている.インドや中国は人々 仕事は驚くような形で変化している のスキルや入手可能性について異常に高い格付け  新技術・グルーバル化・構造転換などによって, を得ていることから,外部委託のハブとして魅力 効率性が驚くほど改善している.途上国のなかには 的である 33 .インドでは高等教育を受けている人 わずか 20-30 年間で,先進国との生産性格差を縮 が 2,000 万人近くいるが,これはアメリカとほぼ 27 小したところもなかにはある .しかし,多くは 同数である.ただし,両国とも高校卒業以上の学生 追い付きに失敗しており,すべての発展途上地域で を 3,000 万人も擁する中国の後塵を拝している 34. 格差は依然として大きいままである(図 1.5). 国際学習到達度調査で高得点の生徒については,ア  労働の性格も変化しつつある.先進国は一次産業 メリカが依然として最大のシェアを占めているが, や伝統的製造業から,サービス業や知識集約産業へ 韓国はドイツと同じシェアであり,ロシアがすぐ後 の持続的なシフトを経験しつつある.と同時に,技 を追っている.高得点を獲得した生徒の人数は上海 術改善や途上国への外部委託依存の高まりを受け 市だけでも,ドイツ全体の 5 分の 1,アルゼンチン 28 て,中スキルの仕事が減少している .技術のお 全体の約 2 倍に達している 35 . かげで生産の仕事は細分化され,それぞれ相異なる  しかし,スキルは一次元的ではない.仕事が違え 場所で実施できるようになった 29.多国籍企業は ば,肉体的スキル(肉体的な課題に必要)・認知的 統合的な価値連鎖を構築して,世界中の各国でスキ スキル(精神的な課題に必要)・社会的スキル(他 56 世界開発報告 2013 ボックス 1.1 都市の発展に伴い労働と余暇の性格は変わる  構造的転換のプロセスは,今日,発展途上世界を通 「社内 も厳しくなっている.彼はこう付言している. じて中小都市においてみることができる.同プロセス にコネがないと就職できないというのは周知の事実 はあまりに速くて,若者さえ含めてほとんどの人々は だ.仕事を必要とする人が増える一方,仕事の機会は 古い農村の風景を覚えている.近代的な都会生活の特 限定されているからだ」.この近隣地区の工場労働者 徴を会得するにしたがって,人々の仕事や余暇はあま の多くは 6 カ月契約で働いており,その更新を期待 りにも著しく変化し,昔の習慣に戻ることなど考えも している.地元で入手可能な最善の仕事は自営業であ しなくなる.インドネシアのタンゲラン市の郊外に位 ると報告されている.失業の可能性に直面しながらも, 置する 5,000 人が居住する近隣地区は,25 年前に周 41 歳の男性はこう指摘している.「村に戻ることなど 辺地域に鉄工・ゴム・衣類・繊維などの工場が建設さ 考えたこともない.それは自暴自棄だ.自暴自棄になっ れてから活気を帯び始めた.同地区にはまだ農場労働 てはいけない.別の仕事を探すことだ.選り好みはい 者として働いている人もなかにはいる.しかし,ほと けない」. んどの男女は工場や,それと並んで台頭した多種多様  現状を初期の頃と比較して,地方官吏は近隣地区の 多くの男性はオジェク な仕事で生計を立てている. (バ 「今 にぎやかな市場のことを次のように説明している. イク・タクシー)の運転手をしている.女性は工場の やもっと清潔で戦略的であり,売り子や商人も多いの 門の近くでお菓子やその他の雑貨を売っている.住民 で,選択肢が広い.市場への公共輸送手段は今やさら 箒など手工芸品作り, は自宅ベースでの衣類請負作業, に利用しやすい.かつては見付けるのが大変で,通り 建設の仕事などでも生計を得ている.なかには公務員 .彼の推測によれば,同地区の貧困は は泥道だった」 や教師もいる.貧しい女性は布地の切れ端を収集して 世紀の変わり目の 20%から,現在の約 10%へと半減 転売している.新規参入者のフローも地元の家計に 「この地区は世界的な金 した.彼はこうも指摘した. とっては,間借りによる所得機会を提供している.こ 融危機をうまく乗り切り,工場労働者は仕事を維持す の近隣地区ではだれもが携帯電話をもって,オートバ ることができた」.労働に関するこのような変化に伴っ イで動き回っているようにみえる. て,余暇も変化している.若者はいまではパソコンの  28 歳の鉄工所労働者で一児の父は次のように言っ チャットやビデオ・ゲーム遊びで時間を費やしている. ている.「工場への就職はコミュニティがもっと新し 22 歳の若者は次のように回想した:「かつては郵便局 かった時は容易だった.その当時は中卒でも就職でき で手紙を出したものだ.今ではだれも郵便局にはいか た.ところが,今や生産現場の労働者は少なくとも高 ない.…その必要がない.みんなが携帯電話をもって 卒でなければならず,職業学校の卒業者は 30 歳未満 いる」. であることが条件となっている」.採用に関する慣行 出所:World Bank 2011a. 人との相互作用に必要)などの組み合わせも違って な認知的スキル・社会的スキルの使用に向かう,と くる.生産のスキル集約度を推定するには,職種別 いう線形的・進化論的な軌道から逸脱することが可 の雇用分布が使えるだろう.所得の増加に伴って, 能になっている 38 .サービス業にかかわる外部委 各国が使う肉体的スキルは減少する一方で,非定型 託のハブとしての魅力を測定した国別指数のリスト 的な認知的スキルは増加する傾向にある 36 .しか で,インドと中国はトップにきている.ガーナとセ し,1 人当たり GDP が同一水準であっても,各国 ネガルは 26 位と 28 位であるが,これは南アフリ が使う非定型的なスキルの度合いにはバラツキがあ カやトルコなど新興市場のなかの列強をはるかに凌 る(図 1.6)37. 駕している 39.高スキルのニッチが世界中で発展  技術進歩は新興国や低所得国にとってさえ,サー しつつある.それはインフラが整備された大都市圏 ビス業や製造業における国際的な価値連鎖にリンク で高等教育の中心地に近接したところに立地する傾 するだけでなく,高スキルの生産活動にかかわる仕 向が強い.カイロのスマート・ビレッジ・ビジネ 事を創出する可能性を拡張する.換言すると,技術 ス・パークや,ガーナの IT 支援サービス産業クラ 進歩を受けて,各国は肉体的スキル集約性から高度 スターなどがその例である 40.インドのバンガロー CHAPTER1 仕事をめぐる挑戦 57 ボックス 1.2 仕事は女性に所得機会だけでなく新たな困難ももたらす  仕事は家計や社会における女性の役割をもっと広範 者は「女性の方に大きな信頼を寄せている」からだ. 囲に転換することができる.南アフリカのダーバン市  労働力参加率の引き上げに挑戦課題がないわけでは 郊外の住民 3,000 人のコミュニティでは,女性の 80% ない.サンチアゴの女性は身の安全を心配している. は自宅外で働いていると推定されている.教員や看護 というのは,暴行・窃盗・ギャングの暴力が多いからだ. 師が中心であるが,事務所・小売店・警察で働いてい 多くの人の考えでは夜の労働は危険である.労働機会 る人もいる.10 年前なら女性にそういう機会はなかっ の増加にもかかわらず,移動性が引き続き制約になっ た.ダーバンのフォーカス・グループで若い女性は次 ている.交通手段の未整備や安全性のリスクだけでな 「女性はもはや主婦とはみなされてい のように語った: く,女性が所得の稼ぎ手として,また家庭内で世話を . ない」 する人として,これらの両方で果たしている忙しい役  インドネシアの東ジャカルタ市の騒がしい近隣地区 割がその理由である.さらに農村部では,女性は農作 では,女性が食品・ガラス製品・皿・絨毯などを売る 業や村の外のその他の仕事に通勤するのに困難に直面 露天商として働いている.若い女性がこう説明した: している.伝統的・文化的およびジェンダー面での規 「というのは, 絨毯の販売は女性としては厳しい労働だ. 範が厳しいからだ. 家族の扶養を助けなければならないからです.夫の仕  ペルーのクスコ市郊外の準都市部では,大勢の女性 .ジャカルタ 事だけでは十分な所得にならないのです」 が今や自宅ベースで手工芸品・裁縫・多様な農業活動 のこの地区の若い女性は年長者よりも高い教育を受け に従事している.自宅外では農業の仕事をし,独自の ていて,近隣のセラミック工場,マーケット地区にあ 小さな店やレストランを運営し,あるいはそこで雇わ る小売店,あるいは美容院,中心街の新しいショッピ れて働いている.しかし,これらの女性は次のように ング・モールで働くようになる可能性が大きい. (家畜の飼育など)自宅ベースの作業の 説明している:  ドミニカ共和国の 2 番目に大きい都市チャンチャゴ・ 方が自宅外の労働よりも良い仕事だと考えている.と デ・ロス・カバレロスの貧しい近隣地区の街頭で衣類 「平和な労働であり,子供の面倒も見ること いうのは, やお菓子を売っていた女性は,10 年前にはわずか数人 ができる」ためだ. にとどまっていた.今や宝くじ券の販売,衣類を売る  女性は働くために市街地を横断して通勤するのに多 小さな店や美容院の経営といった活動で,大勢の女性 くの困難に直面している.フィジーの都市部ラウトカ が収入を得ている.このような女性の収入は男たちが では,地元経済は停滞しており,大勢の女性が家計を 苦闘しているなかで,家族にとっては生死にかかわる 助けるために働いている.フォーカス・グループ参加 ほど重要である.自由貿易圏に関連した市の工場の機 「よその町で就職できる 者の説明は次の通りであった. 会や他の仕事は近年縮減してきている.サンチャゴの のは妻ではなく…男性に限定されている.というのは, フォーカス・グループに参加した人々の意見では,女 妻には自宅で子供や義理の親の面倒を見る義務がある 性は男性よりも就職が容易である.というのは,雇用 . からだ」 出所:World Bank 2011a. ルやチェンナイ,中国の蘇州などは,世界的な研究 は 2009 年に立ち上げられたが,今やインドではブ 開発拠点として台頭してきている. ルーカラー職に関して最大のデジタル市場となって  技術そのものが雇用の面でずっと大きな,しかも おり,32 万超の求人と 8 万超の求職がリストアッ 世界的な市場へのアクセスを通じて,労働者と企業 プされている. のつながり方を変化させつつある.このような市場  技術や仕事の組織が変化するなかで,常用雇用は のなかにはインターネット経由で運営されているも 一般的ではなくなりつつある.パートタイムや一時 のもあれば,携帯電話技術を使っているものもあ 的賃金雇用(非正規雇用ともいわれる)が,今や先 41 る .このような変化が途上国の労働者に影響を 進国では主要な特徴となっている.アメリカでは企 与えつつある.それは単に高スキル職種の労働者だ 業の半分以上が,今後 5 年間でパートタイムや一 けにとどまらない.例えばババジョブ(Babajob) 時的被雇用者のシェアを引き上げることを計画し 58 世界開発報告 2013 図 1.5 労働生産性は途上国では低いままである 0.40 ヨーロッパ・中央アジア 0.35 ラテンアメリカ・カリブ 労働者一人当たりGDPにかかわる 0.30 高所得国との相対比 0.25 中東・北アフリカ 0.20 0.15 東アジア・太平洋 南アジア 0.10 サハラ以南アフリカ 0.05 0 1991 1995 2000 2005 2009 出所:World Development Indicators. 注:GDP= 国内総生産.比率は購買力平価ベースで 2005 年価格の米ドルで測定. 図 1.6 経済開発に伴ってスキル構成は変化する a.肉体的スキル b.非定型認知的スキル 130 105 ルワンダ 125 指数:アメリカの水準=100 指数:アメリカの水準=100 リトアニア 100 120 インド エジプト エジプト 115 95 トルコ ペルー トルコ インド 110 インドネシア ペルー 90 インドネシア 105 リトアニア ルワンダ 100 85 200 2,000 20,000 200 2,000 20,000 1 人当たり GDP(2000 年不変価格の米ドル) 1 人当たり GDP(2000 年不変価格の米ドル) 出所:WDR 2013 のために書かれた Aedo 他 2012. 注:GDP= 国内総生産.すべてのスキル集約度はアメリカの水準との相対比で測定.各データ点は各国のスキル集約度を示す――Autor, Levy, and Murmane 2003 にしたがって,職業上の構造を個人的スキルに翻訳することによって導出. ている 42.このトレンドは途上国でも明確である で働いている割合が高い――はもっと低くなってい (ボックス 1.3). る.東ヨーロッパ・中央アジアの 35 カ国では,平  人々の仕事は自分の希望にマッチしないかもしれ 均すると成人の約 4 分の 1 は自営業を好んでいる ない.高所得国における調査によると,全労働者― が,その比率はアゼルバイジャンやハンガリーの ―自営業者と賃金労働者の両方――の半数が部下を 10%から,ベラルーシやトルコの 43%までと相違 持つ立場になりたいと考えている 43 .その比率は に幅がある 44.貧困国では自営業というのは,往々 低・中所得国――労働力のなかでは家内企業や農場 にして給与雇用が見付からない場合における最後の CHAPTER1 仕事をめぐる挑戦 59 ボックス 1.3 途上国における人材派遣業の拡大  10 年前,人材派遣業は高所得国以外には関係のない いが,急速な発展を遂げつつある.労働斡旋業者が採 ものとみられていた.ところが,今や一部の途上国で 用している派遣労働者の数は 2009 年に 10%強,10 年 a は大都市以外でも急速に拡大している .この増加は には 18%の伸びを示した.一部の報道によると,労働 しばしば雇用者が直面している複雑な規制上の枠組み 者は常用職を辞めて,より魅力的な派遣職にシフトし への対応とみられている.派遣スタッフのおかげでピー ている.一部の派遣会社の主張では,新規採用者のう ク時の仕事量管理やビジネス・ニーズに応じたスタッ ち 15%は常用職から派遣職に転換した人であった d. フ水準の調整について,柔軟性を確保することも可能 インドの人材派遣業界では競争が熾烈である.派遣会 になっている. 社は市場シェアを引き上げて拡大を後押しするために,  人材派遣業は状況に応じて多種多様な労働者を活用 採用の手数料を引き下げている.大手の人材派遣会社 している.主として,経験を得ようとしているそれま はビジネス・コンサルティング(マンパワー社)や研 で失業していた初級レベルの労働者から,キャリアの 修(チームリース社)など,ニッチの事業にも参入し 速やかな昇進を目論む高学歴で中級レベルの被雇用者 つつある e. まで揃えている.  人材派遣業の成長に伴って,同業界を規制している  南アフリカでは,派遣スタッフは労働力の約 7%を 枠組みの見直しという要請も強まっている f.このよう 占めている.人材派遣業は 1 日当たりの平均で 41 万 な要請のなかには,脆弱性への取り組みに焦点を当て b 人の雇用を提供している .金融業――派遣スタッフ ているものもある.このような仕事に就いている労働 を含む人員統計を発表しているセクター――は,1994- 者は典型的には低所得に甘んじている(給与の一定割 2009 年の雇用増加で小売業に次ぐ第 2 位の雇用者と .また, 合が人材派遣会社の取り分になるからだ) 手当・ なっている.労働斡旋業という下位セクターのなかで 労働法制の適用範囲・雇用保証などの欠如に直面して は,未熟練の仕事やサービス関連職種が雇用分布を支 いる.それ以外では業界の専門化を重視しようという 配している.人材派遣サービスで雇用されている労働 努力がある.例えば,2011 年にチームリース社と他の 者は年金基金や健康保険に拠出している可能性が低く, 人材派遣 7 社はインド人材派遣同盟を結成して,労働 総じてより脆弱であるとみられている. 法規の改正や労働力の過半が組織化されていないイン  臨時形態の雇用はインドでは,厳格な労働法規を ドにおける人材派遣業の受け入れ拡大を訴えることに c 回避することを一因に古くから存在している .しか した. し,近代的な人材派遣業はまだ 15 年しか経っていな 出所:World Development Report (WDR) 2013 チーム. a. Dourgarian (2011) は次のように述べている:2011 年に人材派遣業の拡大で群を抜いていたのは G8 諸国ではなく,BRICS(ブラジル・インド・ロ シア・中国)と並んでインドネシア・メキシコ・パキスタンである. b. 南アフリカに関する議論は WDR 2013 のために書かれた Bhorat (2012) に依拠. c. World Bank 2011b. d. TeamLease 2010. e. Bajaj 2011. f. ILO 2011; Musgrave 2009. 選択である 45 .小企業のオーナーというのは貧困 昇に由来している.残りは同じスキルの労働者がよ 層は必ずしも希望してはいない目標といえる 46 . り良い機会を享受することに由来する.  貧困は発展途上世界では,大体が仕事を通じて 減少している.途上国では 1 日 1.25 ドル(購買力 繁栄しているが,所得の分配は変化している 平価 PPP)未満の生活をしている人々のシェアが,  労働からの所得は経済開発に伴って増加し,仕事 1981 年の 52%から 2008 年の 22%に,あるいは に関連した付加給付も改善する(図 1.7).その関 19.4 億人から 12.9 億人に低下した 47.この減少 係は機械的ではないが,成長はまぎれもなく仕事に はさまざまな要因の結果であるが,何百万人もの新 とって良いことである.所得や付加給付の変化の一 しいより生産的な仕事の創出――ほとんどがアジア 部は,開発に伴って経済が獲得する平均スキルの上 であるが,発展途上世界のその他の地域でも創出― 60 世界開発報告 2013 図 1.7 経済発展につれ,仕事は収入と福利厚生を増大させる a.平均賃金 b.社会保障の対象範囲 100,000 100 プログラムへの負担者の割合(%) 2005年のPPPを基準とした 雇用全体に占める、社会保障 製造業の平均賃金(米ドル) 80 10,000 60 40 1,000 20 100 0 300 3,000 30,000 300 3,000 30,000 2005 年の PPP を基準とした 2005 年の PPP を基準とした 1 人当たり GDP(米ドル) 1 人当たり GDP(米ドル) 出処:世界開発報告 2013 担当チーム. 注:GDP= 国内総生産,PPP= 購買力平価.各点は国を示す. ―が主な牽引力となっている 48 .かつてないほど  特に途上国の非貿易セクターでは,低スキル労働 大勢の人々が仕事に就いており,その仕事は総じて 者の賃金は高スキル労働者と比べて低いが,それは 高い所得を提供している. 教育の収益率上昇と整合的である.教育の収益率は  にもかかわらず,大多数の諸国では――先進国と 性別・年齢・労働経験が同じ労働者について,教育 途上国の両方で――,総所得に占める労働のシェア 達成度が高いことに伴う賃金プレミアムを測定する 49 は低下している .このトレンドは 1980 年代半ば ものである.すべての地域で,学校教育の長さと労 から 90 年代初めにかけての時期以降にみられるもの 働所得の高さの間には相関関係があるが,優位性は であるが,多種多様な潮流に起因している.それに 線形ではない.高等教育を受けた労働者の所得は中 は技術進歩が熟練労働者にとって有利に作用してい 等教育だけの労働者の 2 倍以上となっている.し ることや,世界的な競争激化が労働者の交渉力を殺 かし,中等教育だけの労働者の所得は初等教育だけ いでいることなどが含まれる.中国とインドが世界 の労働者とほとんど変わらない.教育のプレミアム 貿易に参入したことを受けて,グローバル化した労 は総じて当該国の所得水準が低いほど大きくなって 働力の規模が倍増し,その他の生産要素との対比で いる(図 1.9). 50 労働の価格が低下していることが一因であろう .  近年における所得分配の変化は,実際には,生産 要素間だけでなく労働者間でも起こっている.この 民間セクターの役割 点では 2 つの区別が適切である.高スキル労働者  このような人口動態や技術における課題すべて と低スキル労働者の間,および貿易セクターで働い にかかわる解決は民間セクターにかかっている. ている労働者とそうではない労働者の間の分配であ これは政府には果たすべき役割がないということ る.貿易セクターはシャツやコンピュータなど輸出 を意味するものではない.開発にとっては公務員 入が可能な財・サービスを生産している.転換点が ――スキルを形成している教員,農業生産性の改 来たのは 1990 年代半ばで,途上国では労働所得が 善に当たっている農業指導員,機能的な都市を設 スキル水準とは無関係に,先進国よりも速いペース 計している都市計画官など――の質が決定的に重 で増加し始めた.しかし,このトレンドは貿易セク 要である.戦闘員の動員解除に向けた公共事業や ターにおいては顕著であったが,非貿易セクターの 雇用プログラムも,一定の状況下では正当化され 低スキル労働者は引き続き最も恵まれなかった(図 るだろう.しかし,民間セクターが雇用創出の主 1.8). 要エンジンであり,世界中の仕事全体を 10 とすれ CHAPTER1 仕事をめぐる挑戦 61 図 1.8 途上国の賃金は追い付きつつある a.非貿易セクターの相対賃金 b.非貿易セクターの相対賃金 50 50 40 40 対アメリカ賃金比(%) 対アメリカ賃金比(%) アメリカ以外の賃金 アメリカ以外の賃金 30 30 20 20 10 10 0 0 1985 1990 1995 2000 2005 1985 1990 1995 2000 2005 低スキル(建設業労働者) 低スキル(アパレル工場の縫子) 高スキル(会計士) 高スキル(化学エンジニア) c.非貿易セクターにおける賃金の分散 d.貿易セクターにおける賃金の分散 1.4 1.4 各国における賃金格差 1.2 各国における賃金格差 1.2 (変動係数) (変動係数) 1.0 1.0 0.8 0.8 0.6 0.6 1985 1990 1995 2000 2005 1985 1990 1995 2000 2005 低スキル(建設業労働者) 低スキル(建設業労働者) 高スキル(会計士) 高スキル(会計士) 出所:WDR 2013 のために書かれた Oostendorp 2012 に基づく. 注:本図作成のため使ったデータベースには,150 カ国以上のアンバランスなパネルについて,職種別の賃金データ(1983-2008 年)が含まれてい る.データは ILO の 10 月調査のデータベースに依拠しており,それが職業別の正規化された賃金率に補正されている.データの説明に関しては, Freeman, Oostendorp, and Chor 2011 を参照.パネルの a と b の縦軸はアメリカの賃金と非アメリカの賃金の比率を示したものである.パネルの c と d の縦軸は標本に含まれるすべての諸国にかかわる賃金の変動係数――賃金格差の指標――を示す. ば,そのうちほぼ 9 は民間セクターが占めている. 1.10)52. ブラジルについて 1995-2005 年をみると,民間セ  世界的な平均とは対照的に,中東・北アフリカの クターが雇用創出のほぼ 90%を占めた.フィリピ 一部諸国では,国家が雇用者として主導的な役割を 51 ンやトルコでは同割合は 95%に到達した . 維持している――このパターンは独立後の時期にお  民間セクターの成長を通じた雇用の拡大というこ ける政治経済学や,場合によっては石油収入が潤沢 とで最も著しい事例は中国である.1981 年に民間 すぎることに結び付けることができよう 53.長い間, セクターの雇用は 230 万人に達したが,国有企業 公共セクターの仕事は大学卒業の若者が求人対象で (SOE)は 8,000 万人もの労働者を抱えていた.そ あった.しかし,近年,公的セクターの雇用の拡大 れから 20 年後,民間セクター企業の雇用は 7,470 を維持する財政的余裕が縮小したため,公務員職の 万人と SOE の 7,460 万人を初めて凌駕した(図 「行列待ち」が一般的になり,インフォーマルなセ 62 世界開発報告 2013 図 1.9 教育の収益率は貧困国ほど高い 25 20 教育の私的な年収益率(%) 15 10 5 0 世界 低所得国 下位中所得国 上位中所得国 高所得国 初等 中等 高等 出所:WDR 2013 のために書かれた Montenegro and Patrinos 2012. 注:報告された数字は国レベルの私的な収益率の非加重平均で,69 カ国の標本について 2000-10 年のなかで最新年のもの. 図 1.10 雇用拡大が民間セクター主導で進められてきた中国 110 100 90 80 労働者数、100万人 70 60 50 40 30 20 10 0 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 20 20 20 20 国営企業 個人企業(従業員 8 名未満) 民間企業(従業員 8 名以上) 外資系企業 出処:Kanamori and Zhao 2004. 注:外資系企業の 2002 年のデータおよび非国営企業の 2003 年のデータは利用不能. クターへの就職増加,教育資格証明書の価値低下, 短期間の危機でも何年も要した進展を一掃してしま 多種多様な社会的疎外などにつながっている 54.相 う.それはある 1 国で始まってグローバル化を通 対的に良い教育を受けた若年労働力が失業ないし じて地域全体に,あるいは最近の事例であったよう 不完全就業にとどまり,労働生産性が停滞してい に,世界全体に広がってしまうこともある.1995 る 55 . 年のメキシコの金融危機は,他の新興国はもちろ んラテンアメリカのほとんどの諸国を飲み込んだ. 1997 年にタイの通貨に対して発生した投機的な攻 世界的な規模の脆弱性 撃は,インドネシア・マレーシア・韓国の経済に深  仕事は経済の下降に対して脆弱であり,公共セク 刻な影響を与えた.2007 年に発生した食料価格の ターよりも民間セクターにおいてその傾向が強い. 急騰は食料供給とインフレの問題を誘発することに CHAPTER1 仕事をめぐる挑戦 63 図 1.11 途上国では危機は雇用よりも所得に影響を与えた 東アジア・太平洋 ヨーロッパ・中央アジア ラテンアメリカ・カリブ 0 ‒2 成長率の変化(%) ‒4 ‒6 ‒8 ‒10 ‒12 GDP 成長率 雇用の伸び 所得の伸び 出所:Khanna, Newhouse, and Paci 2010. 注:GDP= 国内総生産.縦軸は危機勃発の前後における伸び率の相違を測定したもの. よって,発展途上世界の各地で貧困を増やし,実質 2 四半期に,実質賃金の 10%低下に加えて,特に 賃金を削減した 56 . 女性・若者・高齢の労働者を中心に約 50 万人の  2008 年にはアメリカと一部のヨーロッパ諸国 雇用減少につながった 59.インドネシアでは危機 で,資産価格バブルが破裂し,その結果として金融 の効果は軽微であったものの,若くて臨時のイン 機関が破綻すると,世界的な広がりをもつ危機が発 フォーマルな労働者が影響を受けた 60.各国を通 生し,わずか 1 年間で 2,200 万人もの失業者が新 じて若年層が最大の悪影響をこうむった 61. たに生み出された.2008 年以前は毎年 1.8%前後  仕事の喪失や所得の低下という観点でみた調整パ で推移していた総雇用の増加が 2009 年には 0.5% ターンは,途上国の間でも相違がある.労働市場が 以下に減速し,11 年になっても危機以前の水準に フォーマル化されていないほど所得の減少幅が大き 57 戻っていない .ヨーロッパが,高水準の公的債 い一方で,雇用の減少幅は小さくなっている.労働 務・銀行セクターの脆弱性・ユーロに関する不確実 市場が総じてフォーマル化されている中央・東ヨー 性と苦闘を続け,中国とインドの成長が減速するな ロッパでは,GDP 成長率が平均的に 12%ポイン かで,世界的な危機が終了したのかどうかは決して ト低下するなかで,雇用は 3%の減少,所得は 8% 明瞭ではない. 以上の減少となった(図 1.11)62.フォーマルな  2008-09 年危機の影響は途上国の間で相違があ 雇用比率が非常に低い東アジアでは,GDP 成長率 る.バルト諸国・キルギス・メキシコ・ルーマニ の平均的な低下は 5.5%ポイントとなったが,雇用 ア・ロシア・南アフリカ・トルコなどといった一部 総数はほとんど変化しなかった 63 . の諸国では雇用が絶対的に減少した.一方,ブラジ  危機への政策対応は対応の規模という点で前例 ル・中国・インドネシアなど他の諸国は一時的な鈍 がなかっただけでなく,手段の組み合わせが多種 化を経験しただけであった.個別国の研究では,人 多様であり,仕事に対して持つ意味もさまざまで 口グループごとの雇用インパクトが解明されてい あろうとみられる.世界全体で財政刺激策は購買 る.例えば,中国では危機が原因で,特に輸出指向 力平価でみて 5.5 兆ドルに達し,中国・日本・ア 型のセクターの移民労働者を中心に,2,000-3,000 メリカの 3 カ国だけでその 70%以上を占めた 64 . 万人が失職した 58 .メキシコでは,2008-09 年第 データが入手可能な 77 カ国のうち 80%が財政拡 64 世界開発報告 2013 ボックス 1.4 危機への対応策は失業者向けの所得扶助を超越  世界中の各国は仕事の危機に立ち向かうために一連 ドイツ 3.2%,日本 2.7%に達した. の政策対応を行った.マクロ経済的な刺激策と対象を  低・中所得国は資源の 67%を直接的な雇用創出措置 絞ったセクター別の政策は次のような政策で補完され と公共事業プログラムに支出した.例えば,メキシコ た.影響をこうむった人々向けの所得扶助を強化する は暫定事業プログラムを約 25 万人の労働者,つまり 政策;賃金補助・信用政策・公共事業プログラムを通 労働力の 0.5%にまで拡張した.賃金補助金はヨーロッ じて労働需要を増やす措置;最も影響が大きかった人々 パでは人気があった.それはしばしば社会保障拠出金 向けのスキル投資や特注雇用サービス. の削減を通じて実施され,中小企業および長期の求職  世界的にみると,失業保険の役割は小さかった.危 者や若者など弱者グループを対象にした.ただし,タ 機の期間中に手当を受給していたのは失業者のわずか イムリーに有効な規模に達するには,国として危機の 15.4%にとどまった.これは失業保険制度の実効的な 前にそういったプログラムを整備しておく必要があっ 適用範囲が狭いからである.OECD 加盟・中央ヨー た. ロッパ・ラテンアメリカの 23 カ国では,手当の支給  それに対して,弱者グループ向けに訓練・雇用サー 期間が延長された.インフォーマル・セクターが大き ビス・個別支援プログラムを組織化する努力は,範囲 い,または失業保険制度のない諸国は,困窮者に追加 と規模の点で相対的に控え目であった.このカテゴリー 的な所得扶助を供与するために,現金給付と公共事業 の予算のなかではスキルの修得・維持が最大のシェア 制度の組み合わせに訴えた.コロンビアの「活動中の を占め,チリ・イタリア・メキシコ・トルコ・アメリ (Familias en Accion:子供の栄養や教育の強化 家族」 カなどが大きな支出をした. に焦点を当てたプログラム)は適用範囲を 180 万世帯  全体として,確立した雇用プログラムだけでなく, から 270 万世帯に拡大した.アルゼンチンは家族手当 より成熟した社会的保護制度をもっている諸国は速や の適用範囲をインフォーマル・セクターのすべての労 かに反応し,危機が仕事に及ぼすインパクトを削減す 働者にまで拡大した. ることができた.ただし,ほとんど例外なく,ある仕  各国は所得水準に関係なく労働需要を増やすための 事を維持することが他の仕事を破壊するという犠牲を 措置を取った.仕事の創出・保護に充当された資源の 伴っていないかどうかなど,プログラムがもたらす意 うち,高所得国は半分以上(56%)を企業向けの信用 図せざる効果の可能性についてはほとんど何もわかっ 政策に支出した.危機の影響を和らげるためにワーク・ ていない.慎重なインパクト分析はまだほんの初期段 シェアリング取り決めも実施した.このようなイニシ 階にある. アティブの採用率は,イタリアでは被雇用者の 3.3%, 出所:ILO and World Bank 2012. 張政策に訴えた.高所得国は減税・失業手当の増 みと仕事関連の不満,という悪循環に陥る懸念があ 額・企業向けの直接支援を重視した.低・中所得 ろう 66 .若年層では失業や無活動が多く,女性の 国は職業訓練向け支出や所得扶助措置などを含め 雇用機会は限定的で,経済的・社会的な潜在的利益 65 支出を拡大した .対応策は各国共通に,所得減 は未開拓のままにとどまるだろう 67.生活水準の 少の相殺に努めるというよりも,主として雇用損 微々たる向上,遅々とした生産性の伸び,社会的一 失を防止ないし緩和することを目指していた(ボッ 体感の侵食などが繰り返すパターンが定着するだろ クス 1.4). う.それとは対照的に,このような仕事の挑戦にか かわる取り組みに成功した諸国は好循環を生み出す * *  * ことができる.その結果――人々の繁栄,中流階級 の拡大,生産性の向上,女性や若者の機会改善など  人口動態・都市化・グローバル化・技術進歩・マ ――は自己強化的になる可能性があろう. クロ経済危機などは,仕事の面で困難が予想される 挑戦を引き起こしている.その取り組みに失敗した 諸国は,労働力の大半に影響する労働所得の伸び悩 QUESTION 1 仕事とは何か?  仕事の世界は特に途上国では多様であり変化が速 説明するのに使われる言葉や分類には実体的な意味 い.このような背景を考えると,生計を立てるため が含まれている.仕事が何であり何を意味するかに に人々がしていることを説明するのに使われている 関する意見は,ほぼ確実に仕事にかかわる政策の在 言葉が,国や文化によって多様であるのは驚くに値 り方を巡る意見に影響する.仕事という言葉を,雇 しない.同じ言語を話している人々でさえ,仕事の 用者がいて給与がある事務所や工場の労働者のイ 意味についての解釈が大幅に異なり得る.その言葉 メージと関連付けている人々なら,企業向けの支援 で事務所ないし工場で働いている労働者のイメージ 的な投資環境に焦点を当てるだろう.その言葉が農 を思い浮かべる人もいれば,農民・都市にいる自営 業・物売り・ごみ収集・家事も包摂すると考える の物売り・子供や高齢の親族の面倒を見ている人た 人々なら,仕事に関する政策には,土地改革・農業 ちのことを考える人もいる. 指導・都市政策・最も脆弱な労働者に対する発言権 の付与など,が含まれるべきだと考えるだろう. 労働は重要であり言葉も重要である  各国共通に公的に使用する標準的な定義を設定し  解釈がさまざまなのは,人々が重要だと考える仕 ている国際労働統計研究者会議(ICLS)によれば, 事の側面が異なっているからである.ベトナムのハ 仕事というのは「雇用者のために,あるいは自営業 ノイ市に住んでいるある女性は次のように説明し において,1 人が遂行する,ないし遂行する予定の た.「単に野菜を売っている老女が他の人々から尊 一連の職務や義務」である 71.この定義の下では, 敬されることがあり,人々は彼女の言うことに耳を 仕事は雇用と同じではない.求人や仕事を 1 つ以 傾けている」68 .バングラデシュの Satgailijhara 上もっている人々の存在が意味しているのは,仕事 で働いて貧困を脱出したある男性は,米作農民とし 数は被雇用者数よりも多いということである.失業 ての自分の価値を,子供に投資することができた点 の存在が意味しているのは,望む仕事が見付からな に結び付けた.「子供に教育を受けさせることがで い人々がいるということである.仕事は課題を指 きた.それが人生で最善の功績だ」69. し,賃金雇用者・農民・自営業者は望む仕事を見付  インドの弁護士で女性自営者協会(SEWA)の けている人々のことを指している. 創立者であるエラ・バットは,人々が日々かつ長期 にわたって行っている課題の複合性を考えると,仕 一部の灰色の領域 事という言葉の説明に苦労した:「小規模農民が自  ICLS の定義はある形の労働をフォーマルな雇用 分の農場で働いている.困窮時には他の農場でも労 統計から除外している.被雇用者というのは経済 働者として働く.農繁期が終わると,森へ行ってゴ 的に活動的な人口の一部である.それは「国連の国 ムやその他の森の産物を収集する.通年で刺繍製品 民経済計算や国民貸借の体系で定義された財・サー を作っている.これは契約者との歩合制で働くか, ビスの生産」に寄与する人々として定義されてい 製品を買い付けに村にやってくる業者に売るための る 72.国民経済計算体系(SNA)は自家消費のた 仕事である.さて,彼女の商売はどのように分類す めの財の生産に加えて,販売のためか交換のためか べきか? 彼女が属するのは農業セクター,工場セ には関係なく,実際に市場に向かうすべての生産」 クター,それとも自宅ベース労働セクター? 農民 を含むが,「家計内における自己の最終消費に向け ないし農場労働者のいずれに分類すべきか? 自営 たサービスすべての生産」を除く 73 .したがって, 70 業者か歩合制労働者か?」 この定義は通勤に加えて,子育て・老人介護・家庭  このような疑問は単なる意味論ではない.仕事を 料理などの活動を公的統計から除いている. 66 世界開発報告 2013  このような他の種類の活動について推定値を作り ではあるが,一般的な生産の境界内で,ある 1 人 始めている諸国もなかにはある.SNA は仕事とみ が家計のために遂行する無給の家計サービスやボラ なされない家事を反映する形で,サテライト勘定の ンティアの仕事を意味することができる」74.例え 作成に対する指針を提供してくれる.このような ば,メキシコはこの指針を使って,家事や育児など 指針によると,「仕事は,SNA のいう生産の境界外 といった家庭内の無報酬の活動の価値を推計してい ボックス 1.5 インフォーマル性に関して統計を作成している国はほとんどない  二重経済の概念には古くからの系統がある a.二重 マニュアル」に関して,ILO と共同作業を行ってきて 経済の認識やハリス = トダロの 2 セクターモデルに基 いる.2008 年に国連国民経済計算体系の最新版はイン 「インフォーマル性」という用語を初めて使っ づいて, フォーマル製の測定に関する過去の決議や勧告のほと たのはイギリスの人の人類学者であり,それはガーナ んどを採用した.その結果として,インフォーマル・ に関する論文においてであった.この概念は ILO のケ セクターとインフォーマル雇用の両方を含む広範な定 ニア使節団が報告書のなかで広く引用したことから人 義が作成された.しかし,農業や独立的な専門家の活 b 気を博した .それ以降,インフォーマル性に関する 動と農村部労働者の活動全般について,灰色の分野が 研究が増加し,この概念は開発経済学・労働経済学・ 残っている. その他の学問において標準的なものになっている.現  インフォーマル性に関して定期的に公的統計を作成 在,インフォーマル性の原因とその意義は真剣な学術 している国はほとんどない.ILO の主要労働市場指標 的討論や,途上国で労働市場がどのように機能するか (KILM)データベース――最新版に含まれているイン の理解を目指す応用研究のテーマとなっている c. フォーマル性のデータはわずか 60 カ国に限定されてい  インフォーマル性・インフォーマル雇用・インフォー る――など世界的なレポジトリでは,データの欠如が マル・セクターを測定するには,多種多様なアプロー 明瞭である d.ILO と「インフォーマル雇用の女性:グ チを利用することが可能である.インフォーマル性が (WIEGO)が共同で作成した報 ローバル化と組織化」 違法で地下の活動あるいは非標準的な労働と組み合わ 告書では,インフォーマル雇用とインフォーマルな企 さるといっそう複雑になる.インフォーマル性に関す 業における雇用を対象に 47 カ国のデータを提示する る体系的な各国レベルのデータが欠如しているため, ために,インフォーマル性に関して最も徹底した定義 研究者は同じようではあるがまったく同一とはいえな を体系的に使っている e.ILO-WIEGO の報告書は,イ い基準を用いて――時として互いに矛盾に結論に至る ンフォーマル率はウガンダの 40%やタイの 42%から, こともある――,独自の推計を行っている. ボリビアの 75%やインドの 80%までと範囲が極めて  インフォーマル性の測定に関する勧告が 1993 年に 広いことを示している. 初めて, 第 15 回国際労働統計研究者会議(ICLS)によっ  インフォーマル性の度合いは規制の性格やその執行 て起草された.4 年後,国連はインフォーマル・セク 程度の相違に加えて,企業や労働者ごとの生産性の相 ターに関するデータを定義・収集するための方法を文 違に応じて異なる.インフォーマル性が出口・排除・ 書化し勧告するために,デリー・グループを創設した. 不均質な執行・低生産性などいずれの結果なのかにつ 2003 年の第 17 回 ICLS は「インフォーマル雇用の統 いては,いまだに議論の種となっている.測定を改善 計的定義に関する指針」と題する文書を通じて,イン すれば,インフォーマル性の規模に関する情報を提供 フォーマル雇用の定義と測定のために一連のルールを し,したがって,この分野に関する研究を前進させる 導入した.2006 年以降,デリー・グループは近刊の「イ データを増やすことができる. ンフォーマル雇用とインフォーマル・セクターの調査 出所:WDR 2013 チーム. a. Boeke 1942; Lewis 1954. b. Harris and Todaro 1970; Hart 1973; ILO 1972. c. 最新のものをいくつかあげれば以下の通り:Guha-Khasnobis and Kanbur 2006; Perry 他 2007; Kanbur 2009; Blades, Ferreira, and Lugo 2011; Vanek 他 2012. d. ILO Key Indicators of the Labour Market (datrabase). e. Vanek 他 2012. CHAPTER1 仕事をめぐる挑戦 67 る.このような活動はメキシコの場合,2003-09 類の活動に関しては幅広いコンセンサスが存在して 年の GDP のほぼ 4 分の 1 を占めており,労働者 いる.国際規範の定義によれば,基本的人権が許容 の賃金・給付金の約 3 分の 2 に等しかった 75 . 不可能なことの限界を画している.国際連合の「世  インフォーマル性がもう 1 つの重要な灰色の領 界人権宣言」――国連総会が 1948 年に全会一致で 域である.インフォーマル性の概念に関してはほ 採択――は,働く権利と差別からの保護を規定して ぼ 40 年間も議論が続いているのに,インフォーマ いる 76 .1998 年の ILO 会議で採択された「労働 ルな仕事が何を意味するかについては,いまだに何 の基本的権利および原則に関する宣言」はさらに, のコンセンサスも得られていない.ある学派の考え 中核的労働基準を規定している:強制労働・児童労 では,インフォーマル性を企業の特性――企業が登 働・労働差別の終了を呼びかけるとともに,結社の 記されているか否か,あるいは税金を払っているか 自由と団体交渉を規定している 77.ほとんどの諸 否かなど――に結び付けている.他の学派は労働者 国が強制労働・児童労働・差別に関する条約を批准 の特性――社会的保護制度の対象になっているかど しているが,結社の自由と団体交渉に関する条約を うか,あるいは雇用契約を締結しているかどうかな 批准している諸国は少ない(図 1.12)78 . ど――に注目している.さらに,別の学派はイン  どのような形の労働が許容されないかを定義する フォーマル性を定義するのに,生産の方式や生産性 のに国際合意は役立つものの,実際には,多くの の水準を強調している.インフォーマル性の測定方 人々は自分の権利を侵害する活動に従事している. 法に関してはコンセンサスができつつあるものの, 強制労働に服従させられている人々が約 2,100 万 使われている定義の方は一部の人々がインフォーマ 人,人身売買に従事している人が約 100 万人いる ルだと考える種類の労働を依然として除外してい ものと推定されている 79.多くの場合,強制労働 る.一方,インフォーマル性に関して定期的な統計 は移民・女性・原住民など少数派ないし差別を受け を作成している諸国はごく少数にとどまっている ているグループに課せられている.ラテンアメリカ (ボックス 1.5). の搾取工場における移民労働者,アフリカの紛争地 域における児童兵士,ヨーロッパやアジアで性的搾 何が仕事ではないか? 取のために売買された人々,中東におけるスポン  仕事が何を意味するかについての意見はさまざま サー契約に基づく一時的な移民労働者などが,世界 だが,仕事として決して考えられるべきではない種 で最も顕著な形の強制労働や人身売買の対象となっ 図 1.12 大半の諸国は中核的労働基準を批准している 180 175 170 (総計185カ国) 165 批准国数 160 155 150 145 140 135 Con. 87 Con. 98 Con. 29 Con. 105 Con. 100 Con. 111 Con. 138 Con. 182 結社の自由 強制労働 差別 児童労働 出所:ILO 2012c. 注:Co.= 条約. 68 世界開発報告 2013 別の複雑な理由から働いている 81.それは家庭が ボックス 1.6 児童の労働すべてが児童労働ではない 貧困であることから,学校教育にかかわる相対的な  ILO によると,児童労働に従事している児童には以 アクセスの容易性や経費負担の可能性に至るまで, 「5-17 歳のすべての人のうち,指定さ 下が含まれる: また,労働対娯楽に関する家庭や子供本人の選好か れた期間内に次の活動の 1 つ以上に従事した人:(a) 有 ら,技術変化・国際貿易・都市化の影響に至るまで 害危険な作業;(b) 有害危険作業以外で最悪の形の児童 広範囲にわたる.裕福な家庭の子供たちも一定の環 労働;(c) 他の形の児童労働(子供の年齢と週労働時間 境下では児童労働に従事することがある.それは家 」a. に依存する) 「最悪の形の児童労働」には児童の健 庭の有する資産や金融・土地・その他の資源に対す 康・安全・道徳を危険にさらすすべての労働が含まれる. そのような労働は個別の性格,特定産業における児童 るアクセスが,他の家族員から働くようにという需 に対する要求,労働条件一般などに応じて,有害危険 要を生み出す場合である 82.児童労働は学校教育・ であると決定される.有害危険作業は別として,最悪 健康・妊娠・行動に影響する.ただし,このような の形の児童労働には,すべての形の奴隷,束縛,徴兵, 結び付きを立証するのはむずかしい.学校と労働と 人身売買,売春・ポルノ,その他非合法活動のための の間に 1 対 1 のトレードオフがあるのはむしろ稀 児童の利用・調達・提供などが含まれる. である.多くの諸国で,働いている児童の大半は学  児童労働のこの定義は ILO の 2 つの条約(132 号と 校にも通っている.加えて,ある児童が退学したと ,ILO の 2 つの勧告(146 号と 190 号) 182 号) ,国連 しても,それは児童労働と無関係な理由による公算 の児童の権利条約によって規定されている.しかし, があろう.12 歳以上の子供が家族農業や小規模家 国際的な基準は各国に対して,生産活動に子供を関与 内企業で働くことは,場合によってはスキルの修得 させることにかかわる許容される境界の設定について に貢献するだろう 83 . 若干の自由も認めている(例えば有害危険作業の年齢  要約すれば,仕事というのは,金銭か現物で,実 .同基準では家事の実施や有害とは考 や定義に関して) 際に所得を生み出し,職場の基本的人権と原則を侵 えられない軽い生産活動に関して限定的な労働が許容 されている. 害しない活動である.この定義には ICLS の指針の 対象となっている次のような種類の労働が含まれ 出所:WDR 2013 チーム. る:賃金ないし給与による雇用,雇用者,協同組合 a.ILO 2008a. の会員,家族労働者(無給の家族員を含む),自営 業者.しかし,多くの場合,このようなカテゴリー ている. では特定の個人を唯一無二に,あるいは明瞭に分類  児童労働はもう 1 つの驚くべき事例を提供して できないことがある.例えば,小農民は時として賃 いる(ボックス 1.6).それは中核的労働基準の適 金雇用者だったり,あるいは自営業者だったりする 用範囲であり,多くの諸国は関連する ILO 条約や が,もし無給の家族労働者を雇っていれば雇用者に 「児童権利に関する国連条約」を批准しているが, もなる.仕事というのは,家計にとって所得を生む ILO の推定によれば,2008 年現在,世界全体で 1 労働活動を含む.それは家計による企業や農業の場 億 1,500 万人の子供が有害危険な労働に従事して 合のように,たとえ所得の指標を個人の具体的な労 いる.測定は法的・道徳的な懸念だけでなく,児童 働に帰属させることができなくてもである. 労働について親の誤報を誘発するような調査設計上  この定義によると,仕事は,単に事務所や工場で 80 の欠陥によって複雑になっている .このような 働き,そこには雇用者がいて定期的に給与がもらえ 統計は問題の規模に関して,実際にはその下限値を る,ということよりもずって幅広いのである. 示しているにすぎない可能性があろう.  最近の研究が示すところでは,子供たちは千差万 CHAPTER1 仕事をめぐる挑戦 69 © Sebastiao Salgado / Amazonas—Contact Press Images ブラジルのセラ・ペラダ金山の独立的採掘労働者(Garimpeiro) 70 世界開発報告 2013 注 19. Chenery and Syrquin 1975; Clark 1940; Kuznets 1966; Rostow 1960. 1. WDR 2013 チームによる推定. 20. UN 2011b. 2. International Labour Organization (http:// 21. Herrmann and Khan 2008. laborsta.ilo.org/applv8/data/EAPEP/ eapep_ 22. これはインフォーマル・セクターに関する次のよう E.html) と World Development Indicators(http:/ な研究を誘発することになった重要な観察である: data-worldbank.org/data/catalog/world- Harris and Todaro 1970; Hart 1973; ILO 1972. development-indicators) か ら の デ ー タ に 基 づ く アフリカにおける構造変化のプロセスに関する最 WDR 2013 チームの推定. 近の研究に関しては,Losch, Freguin-Gresh, and 3. Reid 1934, 11. White (2012) を参照. 4. Organisation for Economic Co-operation and 23. F r e e m a n a n d S c h e t t k a t 2 0 0 5 ; N g a i a n d Development Employment database (http:// Pissarides 2008. www.oecd.org/employment/database). 非 正 規 24. Bardasi and Wodon 2006; Lee, McCann, and 職は季節的な仕事,有期契約,呼び出し労働者,派 Messenger 2007; Maddison 2001; Ramey and 遣労働者など多種多様な労働を指し,詳細は定義や Francis 2009. 利用可能な統計によって国ごとに異なる. 25. Bardasi and Wodon 2010; Gammage 2010. 5. Lee, McCann, and Messenger 2007. 26. Charmes 2006; Gálvez-Muñoz, Rodríguez- 6. ILO Department of Statistics, "Short term Modroño, and Domínguez-Serrano 2011; indicators of the labour market" (http://laborsta. Hirway and Jose 2012.Burda, Hamermesh, and ilo.org/sti/sti_E.html). Weil (2011) の主張では,ジェンダー別にみた総労 7. Ghose, Majid, and Ernst 2008. 働の格差は景気循環に伴って変化するが,長期的に 8. WDR 2013 の た め に 書 か れ た Gindling and は収斂する. Newhouse 2012. 27. ILO 2009a; Pagés 2010. 9. World Bank (2011c) はこの問題に関してより深い 28. Autor and Dorn 2011; Gratton 2011; Holzer and 検討を提示している. Lerman 2009. 10. ILO Department of Statistics, "Short term 29. Feenstra 2010. indicators of the labour market" (http://laborsta. 30. Brown, Ashton, and Lauder 2010. 国 立 科 学 財 ilo.org/sti/sti_E.html). 団によると,アメリカの親会社にとって,日本を除 11. 雇用・学校・訓練のいずれにも就いていない若者 くアジア所在の関連会社が行った研究のシェアは, は,「ニート」(not in employment, education, or 1997 年の 5%から 2008 年の 14%に上昇した.そ training:NEET)と呼ばれることもある.詳細は以 の中心は中国・韓国・シンガポール・インドであっ 下を参照:主要指標;WDR 2013 のために書かれ た (http://nsf.gov/statistics/seindl12/c4/c4s4. た Kovrova, Lyon, and Rosati 2012;同 Ranzani htm). and Rosati 2012 . 31. Goswami, Mattoo, and Sáez 2011. 12. WDR 2013 の た め に 書 か れ た Lyon, Rosati, and 32. Goswami, Mattoo, and Sáez 2011. Guarcello 2012. 33. A.T. Kearney 2011. 13. World Bank 2006. 34. ユネスコ統計研究所(United Nations Educational, 14. ILO 2010. Scientific and Cultural Organization Institute of 15. United Nations Population Division, World Statistics, http://stats.uis.unesco.org/unesco/ Population Prospects 2011; ILO, Labor Force TableViewer/tableView.aspx?ReportId=175. Participation Estimates and Projections. 35. 12 カ 国 に お け る 15 歳 児 童 に 関 す る 2009 年 16. Rozelle and Huang 2012;推定値は International の Programme for International Student Labour Office database on labour statistics, Assessment (PISA) の格付けでみて,トップ 20% Laborsta (http://laborsta.ilo.org/), October 2011 に関する WDR チームの推定. から. 36. このスキルの定義は総じて次にしたがっている: 17. IOM 2008; Lucas 2005; Özden 他 2011. Autor, Levy, and Murnane (2003); Acemoglu 18. IOM 2010. and Autor (2011).他のアプローチでは,例えば, CHAPTER1 仕事をめぐる挑戦 71 認知的スキル・非認知的スキル・技術的スキルを区 56. 過去の危機に関しては Fallon and Lucas (2002), 別したり (World Bank 2010),認知的 / 問題解決ス 食 料 価 格 の 危 機 に 関 し て は Ivanic and Martin キル , 学習スキル , 人的 / 行動的 / 倫理的スキル ,  (2008) を参照. 社会的・コミュニケーションのスキルを区別したり 57. ILO 2012a. している (ILO 2008b). 58. WDR 2013 のために書かれた Giles 他 2012.この 37. WDR 2013 のために書かれた Aedo 他 2012. ような減少は一時的であって,現在では労働者不足 38. Brown, Ashton, and Lauder 2010. を経験している. 39. A.T. Kearney 2011. 59. F r e i j e - R o d r i g u e z , L o p e z - A c e v e d o , a n d 40. Yoshino 2011. Rodriguez-Oreggia 2011. 41. 実 例 に は 以 下 が 含 ま れ る:oDesk (https://www. 60. McCulloch, Grover, and Suryahadi 2011. odesk.com/), babajob (http://www.babajob. 61. Cho and Newhouse 2010. com/), Google trader ( 例 え ば , http://www. 62. Khanna, Newhouse, and Paci 2010. google.co.ug/africa/trader/search?cat=jobs), 63. Khanna, Newhouse, and Paci 2010; World Souk-Tel (http://www.souktel.org/). Bank 2012. 42. McKinsey Global Institute 2011. 64. ILO and World Bank 2012. 43. Blanchflower, Oswald, and Stutzer 2001.国際比 65. I L O a n d W o r l d B a n k 2 0 1 2 ; R o b a l i n o , 較調査グループ(ISSP)によるもっと最近(2005 年) Newhouse, and Rother 近刊. のデータも同様のパターンを示している. 66. Bell and Blanchflower 2011; Farber 2011. 44. WDR チ ー ム に よ る 2010 Life in Transitions 67. World Bank 2011c. Survey (LiTS) に基づく推定値. 68. World Bank 2011a. 45. Banerjee and Duflo 2011; Perry and others 69. Narayan, Pritchett, and Kapoor 2009, 19. 2007. 70. Bhatt 2006, 17. 46. Banerjee and Duflo 2011.ただし,福祉が低いと 71. Article 2, ILO 2007.UN (2009) も参照. いう申し立てを自営業者がいつもしているというこ 72. Article 9, ILO 1982 (http://www.ilo.org/ とではない.Falco 他 2012 が WDR 2013 のため wcmsp5/groups/public/ ---dgreports/ ---stat/ に書いたガーナの研究が発見したところによると, documents/normativeinstrument/wcms_087481. 他人を雇用しているインフォーマル・セクターの企 pdf). 業は平均するとフォーマル・セクターの労働者より 73. UN 2009, 6–7. も著しく幸福である. 74. ILO 2009b, 42. 47. Chen and Ravallion 2010 による更新に基づく. 75. INEGI 2011. 48. World Bank 2011b. 76. UN 1948 (http://www.un.org/en/documents/ 49. Guscina 2006; Lübker 2007; Rodriguez and udhr/, article 23 (1)). Jayadev 2010. 77. ILO 1998. 50. Bentolila and Saint-Paul 2003; Freeman 2008. 78. 中核的な国際労働基準は 4 分野をカバーする以下の 51. International Labour Office database on labor 8 つの条約のテーマとなっている:87 号条約(1948 statistics, Laborsta (http://laborsta.ilo.org/). 年)―結社の自由および団結権の保護に関する条 52. 中国の「民間セクター」の定義は幅広く,公式な統 約;98 号条約(1949 年)―団結権および団体交渉 計でも明瞭に定義されていない時もある. 「民間企業」 権 条 約;29 号 条 約(1930 年 ) ― 強 制 労 働 禁 止 条 (自然人が投資・設立した,あるいは 7 人以上の労働 約;100 号条約(1951 年)―同一報酬条約;111 者を雇用している人々が支配した営利単位)と「個 号条約(1958 年)―雇用・職業における差別待遇 人企業」(従業員が 8 人未満の民間企業)の区別が 条約;138 号条約(1973 年)―最低年齢条約;182 ある.外国人出資企業や集団企業は公式な統計では 号条約(1999 年)―最悪の形態の児童労働条約. 民間セクターに含まれていない.詳細は Kanamori 次を参照:"Conventions," NORMLEX Database: and Zhao (2004) を参照. Information on International Labour Standards, 53. Nabli, Silva-Jaurengui, and Faruk Aysan 2008. International Labour Organization, Geneva. ILO 54. Assaad 2012; Assaad and Barsoum 2007. (2012) (http://www.ilo.org/dyn/normlex/en/). 55. Mryyan 2012. 79. Andrees and Belser 2009; ILO 2009c; ILO 72 世界開発報告 2013 2012b. Bardasi, Elena, and Quentin Wodon. 2006. “Poverty 80. Dillon 他 2012. 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Cambridge, U.K.: Cambridge University Press. 1 76 世界開発報告 2013 PART 仕事は全てを転換するものである 77 パート 1 序説  経済発展とは生産性の伸びに支えられて生活水準 が改善することである.また,それには都市化に関 発展 連した社会的な変化,世界経済との統合,ジェン ダー平等に向かう流れなどを伴う.このような転換 のすべては仕事に関係している.発展のプロセスと 生活 生産性 社会的 いうのは,ある仕事が伸びる一方で他の仕事が消滅 水準 結束 すること,人々が就職し転職すること,仕事が国内 の他の場所か,または国境を越えた他の場所に移動 していくことなのである.発展の結果として,労働 はしばしば農村・農業・ほとんどが自給自足の活動 仕事 から,都市・非農業・ほとんどが市場指向型の活動 に移動することになる.この動きが家族やコミュニ ティの生活・企業の組織・社会の規範や価値観を転 換する.生産性を押し上げ,生活水準を改善し,社 会の一体感に影響を与える.つまり,仕事は発展の は信頼や市民的社会参画に影響する. 牽引力なのである.  このような 3 つの転換を区別できれば,仕事が • 生活水準:仕事は所得の機会を提供して,人々 どのように発展に貢献するかの理解に役立つだろ を貧困から引き上げ,消費を増加させ,より幅 う.人々の福祉が究極の目標であり,生活水準の転 広く個人の福祉に貢献する. 換はこの結び付きを直接とらえている.しかし,生 • 生産性:セクター内における創出と破壊,およ 産性の伸びがなければ,あるいは資源が対立を通じ びセクターや国をまたぐ再配分を通じて,仕事 て浪費されていれば,生活水準の持続的な改善は不 は経済成長の根底にある. 可能である.それが 3 つの転換を一緒に検討する • 社会的一体感: 仕事は多くの面で人を定義す ことが必要な理由である. る.価値観や行動を形作ることによって,仕事 2 78 世界開発報告 2013 CHAPTER 仕事と生活水準 仕事は大半の家計にとっては主要な収入源であり,貧困削減の重要な牽引力でもあ る.しかし,仕事が福祉に対して行っている貢献は大きく,単なる仕事が提供する所 得を超えている.  仕事は世界中で生活水準にとって最も重要な決定要因である.大多数の人々にとっ て,特に最貧国では,労働が主要な収入源となっている.また,仕事関連の全てが家 庭にとって貧困を免れるか,あるいはそれに陥るかを決する最も頻繁な理由となって いる.さらに,所得の増加に伴って個人の選択肢は広がる――家族員は労働力の枠外 にとどまる,労働時間を短くする,教育・退職・家族に費やす時間を増やす,などを 選び取ることができる.農業や自営業を含め所得が得られる労働の機会があれば,家 計は消費を増やし,その変動を削減し安定させる手段を手にすることができる.作物 収量の増加,小規模な農場外企業活動へのアクセス,家族員の都市への移住,賃金雇 用への移行などは,繁栄に至る道のしるべとなる.  仕事は所得への基本的・直接的な貢献に加えて,福祉の他の側面にも良かれ悪しか れ影響する.特に賃金雇用が当たり前で,雇用機会が無いということは不完全就業で はなく,公然の失業を意味する国々では,無職は人々の心の健康にとって有害であ る.しかし,労働災害や職業病に陥りやすい仕事は,肉体的健康に有害か,あるいは それよりもさらに悪い.より一般的には,仕事の金銭的・非金銭的・主観的な特性の . すべてが,福祉にインパクトを及ぼすのである(ボックス 2.1)  仕事は労働者が自分をどうみているかや,他人とどう関係するかにも影響する.ほ とんどの人は仕事というものは有意義であり,社会に貢献すべきであると感じてい る.その他の仕事の客観的な特性と相まって,仕事が提供する自尊心というのは生活 における満足感を決定する重要な要因になっている. 仕事は物質的な福祉を改善する  一国が発展する過程で生産性と労働所得が上昇すると,家計は投資や消費に割り当 てる時間を増やす一方で,生産に費やす時間を減らすことができるようになる.し たがって,労働に対する学校教育や退職の重要さが高まる.過去 1 世紀程度の間に, 先進国における若者の労働時間は教育へのアクセスが増加するなかで着実に減少して きている.同様に,退職後の年数も平均余命の長期化に伴って長くなっている 1.所 CHAPTER2 仕事と生活水準 79 ボックス 2.1 生活水準には多くの側面があり,その測定にも多くの方法がある  生活水準をどう定義し測定するかについての議論 界的に生活水準や貧困削減の緻密なモニタリングが可 は,社会科学のなかではかなり昔にまで遡る.19 世 能になっている.第 1 のミレニアム開発目標(極貧 紀後半のイングランドにおけるラウントリー = ブー の撲滅)に向けた進展は,世界の金銭的な貧困指標を スの著作は,特に貧困測定との関係で通常は独創的で 使って裏付けられている.豊富なデータセットの入手 あるといわれている.1930 年代に国民勘定体系が創 可能性が,今度は,生活水準に関して新しい指標の登 造されて以来,経済のなかで生産された財・サービス 場を後押しているが,その多くは性格的に多元的であ にかかわる市場総価値の測定に関心が集中し,1 人当 る.このような指標は福祉に関する金銭的な指標と非 たり国内総生産(GDP)が一般的な生活水準の主要 金銭的な指標を組み合わせたものであると同時に,そ 指標となった.しかし,1970 年代から 80 年代にか の各人口グループをまたがる分配状況に関する情報も けて,健康状態や犯罪・汚染・都市部の混雑といった 織り込んでいる b. ことが明らかになり,福祉の重要な側面が GDP では  このような進展にもかかわらず,特に福祉の各側面 十分に考慮に入れられていない,という意見において を測定するのにどの指標がより適切かということと, 一致がみられるようになった.また,研究が示すとこ 各側面に帰すべきウェイトに関して,重要な論争が未 ろでは,物質的なアメニティの分配が個人の福祉に影 解決のまま残っている.最近の提案のなかには,財の 響する.今や次のようなコンセンサスが形成されてい 質・政府サービス・家庭活動や余暇に配分された時間 る:生活水準は平均的な所得や消費だけでなく,健康・ にかかわる変化を考慮に入れた,より良い生産の指標 教育・衛生・住宅・安全性・自由など多種多様な便益 を作成するために,統計システムの刷新を主張してい a へのアクセスにも依存している . るものもある.生活水準の指標のなかに,福祉に関す  途上国と先進国の両方における生活水準をより良く る主観的な指標や,人的資産・実物資産・環境資産の 理解し相互比較するために,個人・家計・コミュニティ 水準や持続可能性に関する指標を含めるという提案も のデータを収集する体系的な努力が継続して行われて ある c.他の提案では哲学的な見地に基づく主観的な いる.国内のさまざまな人口グループにかかわる完璧 指標が強調されている d.指標を集計して,それを長 な貧困プロフィール――所得や消費の集計値を国際的 期的に空間をまたいで比較するのは,この場合,ます な,あるいは各国の貧困線と比較して――が増加して ます複雑になる.というのは,価値観や信念は国ごと いる.ミクロ・データを収集する努力のおかげで,世 に違うからである. 出所:WDR 2013 チーム. a. Adelman and Morris 1973; Chenery and Syrquin 1975; Nordhaus and Tobin 1973; Sen and Hawthorn 1987; Steckel 1995; Streeten 1979. b. このような指標には以下がある:Human Development Index (UNDP 1990); Human Opportunity Index (Paes de Barros 他 2009); 多種多様な多元的な貧 困指標 (Alkire and Foster 2011; Bourguignon and Chakravarty 2003; Kakwani and Silber 2008).OECD 2011 も参照. c. Fitoussi, Sen, and Stiglitz 2010. d. 例えば,ブータン研究センターによるブータンの国民総幸福量という指標がこれに当たる. 得が高いことを受けて,特に若い家族員の間では求 仕事の特性も発展に伴って変化する.農業活動が支 職期間の長期化が促進され,それがしばしば失業 配的な農業国では,自家生産の目的はしばしば直接 率の上昇につながっている.働き盛り(25-54 歳) 的な消費にある.開発が遅れている国では,農業や の男女の間では,総労働時間(市場性と非市場性の その他の種類の自営業を含め,賃金支払いを伴わな 総計)は比較的安定しており,女性の間で市場活動 い仕事に充当される労働時間が長い.発展に伴って, のシェアが高まっているというのが主な変化である 労働の組織は自家生産から市場生産に変化する 2. (図 2.1).しかし,このような一般的なトレンドは 経済の発展に伴って賃金や給与という報酬をもたら さほど厳格なものではない. す労働が増える.この再配分は,通常は女性の労  生産・消費・投資にかかわる活動の性格は国に 働市場参加率上昇を伴う 3 .1 日のうちどの程度の よっても異なる.若者の労働時間が短いのは学校教 シェアを仕事に割り当てるかは,先進国と途上国と 育ではなく無活動との関係が強い国もあれば,学校 では大差がない.しかし,女性は男性よりも直接的 教育が加速度的に増加している国もある.同様に, に所得を生まない活動に大きなシェアを割り振って 80 世界開発報告 2013 図 2.1 労働時間は年齢により異なる 年齢グループ 24-54 歳 70 54-65 歳 コスタリカ 14-24 歳 2004 60 アメリカ アメリカ 2005 ガーナ 1900 アメリカ 2006 1950 平均週労働時間(男性) 50 40 ロシア グアテマラ 1994 2006 メキシコ ラトビア 30 2009  2003 20 10 100 1,000 10,000 40,000 1 人当たり GDP 出所:Berniell and Sanchez-Paramo 2011; Ramey and Francis 2009. 注:GDP= 国内総生産.縦軸は生産活動(市場性と非市場性の両方の労働)に費やした週当たりの時間を指し,子供の世話など国民経済計算体系の枠 外にあるものも一部含まれる.この指標には学校教育や余暇に割り当てられた時間は含まない.横軸は 1 人当たりの実質 GDP(2000 年の米ドル価格) を示す. いる(図 2.2). ついて,貧困のダイナミクスを 20 年以上にわたっ  仕事は所得や福祉の持続的な改善を自動的に保証 て研究した成果が示すところによると,労働関連の するものではない.労働者は往々にして貧困に陥っ 事象が家計の貧困からの脱却のきっかけとなってい たままである.多くの諸国で,貧困家計の成人は非 る(図 2.4).このような事象には,世帯主が新し 貧困家計の成人よりも働いている可能性が大きい. い仕事に就くことから家族員が働き始めることや, 貧困層というのは通常は仕事や労働時間の欠如が特 働いている家族員の所得が増加することまでさまざ 徴とはなっていない.しばしばいくつかの仕事を掛 まなことが含まれる.低所得国における大規模な定 け持ちして長時間労働を甘受しているが,報酬率は 性的研究では,就職と起業が貧困脱出につながった 低い(ボックス 2.2). 2 つの重要な要因として指摘されている 5 .逆に,  もっと豊かな社会になると,所得のうち資本・移 仕事の機会がなければ,福祉を改善する家計の能力 転(社会的扶助) ・貯蓄(社会保険や年金)などの は削減されてしまう 6 . シェアが大きい.とはいえ,世界中のほとんどの家  仕事は家計が貧困から脱出できるかどうかを決定 計は労働によって生計を立てており,労働所得が する唯一の力ではない.新生児の登場・親族の転 家計総所得のうち最大のシェアを占めている(図 入・死亡や別離による家庭の分裂など人口動態上の .発展に伴う主要な変化は労働所得の中身にま 2.3) 変化も,1 人当たりの支出,したがって家計の貧困 4 で及ぶ . 度に影響する.資産や移転――私的な送金・公的な  先進国と途上国の両方で,仕事関連の事象が貧困 社会扶助・年金など――による非労働所得の変化に からの主要な脱出ルートである.多種多様な諸国― ついても同じことがいえる.このような動向のすべ ―カナダ・エクアドル・ドイツ・南アフリカ――に てはしばしば相互作用しながら同時に発生する.例 CHAPTER2 仕事と生活水準 81 図 2.2 女性は直接的に所得を生まない活動により多くの時間を費やしている 100 90 80 70 時間配分(%) 60 50 40 30 20 10 0 男 女 男 女 男 女 男 女 インド グアテマラ スペイン アメリカ 所得創出活動 投資 その他の活動 出所:スペイン,アメリカに関して ISSP 2005,1999 Time Use Survey of India,2006 Guatemala Household Survey に基づく WDR 2013 チームの試算. 注:図は 15 歳以上の人々を指す.所得創出活動は次に充当された時間を指す:賃金ないし給与による雇用;農業;自己勘定の労働;労働の採用を伴 う自営業;家内企業における無給の家族労働.投資は次に配分された時間を指す:教育・保健ケア・求職.その他の活動は国民経済計算体系外の労 働,例えば子供の世話や家事などが含まれる.余暇や消費に関連したその他の活動(例えば買い物や社交など)および睡眠などは含まれない. えば,家族員が仕事を探して都会に転居すると,転  仕事と貧困削減のつながりは機械的なものではな 居者だけでなく農村にとどまっている人々の福祉も く,すべての貧困脱却が,従事している仕事の種類 改善する可能性がある.後に残された人々は送金を 変更を必要とするわけでもない.同じ仕事における 受領することに加えて,転出者の土地で耕作を行 生産性の変化も影響している公算がある.例えば, 7 い,その結果として労働が増える可能性があろう . バングラデシュやベトナムでは,貧困脱出にとって  このような変化が同時に起こるため,貧困削減に 支配的な要因は農業所得から非農業所得へという所 対する労働所得の寄与率を測定するのは困難であ 得源の変化ではなく,同一セクターにおける所得増 る.しかし,貧困の変化を所得の源別に分解できる 加であった 10. 最新の手法によって,労働所得の変化が基本的な貢  労働関連事象と貧困脱出のつながりに関するより 献をしていることが確認されている(図 2.5).分 豊かな洞察が,同じ家計を長期間にわたって追跡し 析対象 28 カ国中 10 カ国において,1 日 2.50 ドル た研究から得られる.アジアとサハラ以南アフリカ の貧困線で測定した貧困の変化のうち半分以上が労 の数カ国にかかわる研究が示すところによると,農 働所得で説明できる.さらに 5 カ国では,貧困削 業と農場外活動は複雑に関係しており,必ずしも互 減の 3 分の 1 以上が労働所得の変化が原因となっ いに代替的ではない.土地へのアクセス・作物収量 8 ている .バングラデシュ・ペルー・タイにおける の増加・市場へのアクセスが,農場外の仕事の拡 貧困削減に関して,労働所得の貢献度をさらに分解 大,したがって家計所得の多様化にとっては基本的 してわかったのは,個人の特性(教育・仕事の経 な要因となる 11.このような研究によると,単に 験・居住地など)の変化は重要であるが,このよう 仕事があるということが最重要なのではない.とい な特性の収益率がさらに重要だということである. うのは,農業国ではほとんどの人が働いているから そのような収益率のなかには労働の相対価格が含ま だ.貧困脱却にとって重要なのは,労働からできる 9 れる . だけ大きな所得を得るということである. 82 世界開発報告 2013 ボックス 2.2 ほとんどの貧困者は働いている  貧困層を定義するのは仕事の欠如ではない.この認 しかし,この概念の理解には注意が必要である.勤 識を受けて勤労貧困層(仕事があるのに貧しい人々) 労貧困層の他にも労働所得は非常に低いのに,支出は の概念と,それがだれで,仕事があるのになぜ貧しい 貧困線を上回っている人々がいる.これは私的な移転 のかという疑問が浮き彫りにされた.アメリカなど一 および社会保険や社会的扶助プログラムからの所得な 部の諸国について研究者が初めて研究したこのような ど,その他の所得源を有しているからである.換言す 勤労貧困層の概念は,今では世界的に認識されている. ると,勤労貧困層のカテゴリーから除外されていても, 国際労働機関(ILO)は 1990 年代半ば以降,その統 その人の労働所得が高いということを意味するもので 計のなかに勤労貧困層を含めており,このグループの はない. 指標がミレニアム開発指標として追加されている.  労働所得がその人ないし家計にとって,適切な生活  勤労貧困者というのは,家族員が 2 つの国際的な 水準を保証するのに十分かどうかを示す別の概念に 貧困線――1 日当たり 1.25 ドルないし同 2 ドル――の 「生活賃金」というものがある.これは労働者とその いずれかを下回る生活をしている家計に属する被雇用 家族に十分な生活水準を提供する所得水準である.し 者と定義される a.家計支出調査を使えば,1 人当た かし,この定義から測定に移るのは困難である.労働 りの消費水準に基づいて,人口を貧困者と非貧困者に 者の半分以上が非賃金労働に従事している状況下で, 分類することが可能になる.このような調査では働い 労働所得の正確な測定値は入手不可能であろう.加え ている家族員に関する情報も提供されている.ILO の て,何が標準的な家庭なのかに関する解釈が千差万別 最新の推定によると,9 億 1,000 万人の労働者――世 であり,計算方法に関しては合意が欠如している d. 界総雇用の 30%近く――は 1 日 2 ドル未満の暮らし 代替策はメキシコの貧困労働トレンド指数のように, をしていた b.その割合は低所得国ではずっと高く, 労働所得だけでは貧困線に届かない人口の割合を測定 アフリカでは 63.7%,アジアでは 54.2%に達してい することである e. c る . 出所:WDR 2013 チーム. 注:先進国の勤労貧困層のレビューに関しては以下を参照―Blank, Danziger, and Schoeni (2006);Brady, Fullerton, and Cross (2010).途上国に関しては Fields (2011) を参照.ミレニアム開発目標の内容と範囲は次に発見できる:United Nations, "We Can End Poverty, 2015: Millennium Development Goals," United Nations, New York. a. Indicator 18, "Poverty, income distribution and the working poor," KILM (Key Indicators of the Labour Market) (database), 7th ed. 2011, International Labour Organization, Geneva. b. ILO 2011, 41–42. c. 推定値は ILO KILM に基づき 2009 年の主要低所得国にかかわるもの. d. Anker 2011. e. Poverty Labor Trend Index, National Council for the Evaluation of Social Development Policy (CONEVAL), Mexico City.  他の生産要素が仕事を通じた貧困削減にとって, と関係がある.それぞれ 1980 年代と 90 年代にお 特に農村部では決定的に重要である.ウガンダとパ ける中国とベトナムの事例は,農業生産性の重要性 キスタンに関して,それぞれ 4 年間および 10 年間 や,土地改革・農村インフラへの投資・農場外職の にわたる農村部のデータを使った研究は,農業生産 機会によって解き放たれた潮流を証明している 13 . 性の上昇・農業の商業化・現金作物生産の増加が 中国の農村部では,貧困削減は農場外活動と関係が 貧困削減に著しく貢献していることを示している. あったが,そのような活動に従事していた労働者 この間における現金作物の価格上昇も助けになっ は農業所得や教育の増加で利益を享受していた 14. た 12.地権の改善や,インフラ投資に伴う投入物 さらに,農場外雇用や移住機会へのアクセスが容易 市場・産出物市場へのアクセス改善も,特にウガン になったおかげで,家計の所得ショックから受ける ダでは貧困脱却の確率を引き上げた.このような要 影響が減少した.他のアジアやサハラ以南アフリカ 因すべてが農民の労働生産性に影響したが,出発点 の諸国についても,同じようなパターンの事象が裏 は労働市場ではなく土地市場ないし食料市場にあっ 付けられている.アジアの農村部における貧困削減 た. は非農業活動への多角化と関係があるものの,サハ  裏付けデータのある最大の貧困削減は農業の仕事 ラ以南アフリカでは農業生産性の上昇と密接な関係 CHAPTER2 仕事と生活水準 83 図 2.3 仕事は家計所得にとって最も重要な源泉 100 90 80 70 対家計所得比(%) 60 50 40 30 20 10 0 ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 年 01 5 0 3 5 5 3 1 6 5 05 2 ェリ 004 5 5 7 9 1 04 0 0 0 0 0 0 0 0 0 9 0 0 0 0 0 20 20 20 20 20 20 20 20 20 19 20 20 20 20 20 20 20 20 2 ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( イ リア ア ア ア ア ア ア ア ュ ラ ン ン マ ム ナ ル ル ル ウ シ シ グ ニ タ ニ リビ タ ニ マ ナ ナ カ ド ー ー ガ ラ クア ネ ラ デ ス ス テ ケ ト バ ザ ス パ ガ パ イジ マ ボ ル カ ド ベ キ キ ア ラ ン ガ ル ネ エ イン ニ ブ グ グ パ ジ タ ア ダ ナ タ ン マ バ 自営業 賃金雇用 移転 その他 出所:WDR 2013 のために書かれた Covarrubias 他 2012. 図 2.4 特に途上国では,仕事があれば家計は貧困から脱出できる 100 90 80 70 貧困からの脱出(%) 60 50 40 30 20 10 0 リ カ カ カ ン ン イン ー ス ツ ル ル ダ ダ タリ チ メリ リ イ リ チ デ ド ン ル ナ ジ アフ クア ド イギ ペ ラ カ ン ー ラ ペ ア ス ス ウェ オ ゼ ブ 南 コ エ ル ス ア 労働事象 非労働事象 出所:WDR 2013 のために書かれた Inchauste 2012. 注:非労働事象には非労働所得(家賃や年金など)や人口動態上の変化が含まれる.引き金となる事象は貧困削減の時期に生じた最も重要な事象― ―家族構成・収入源・家計のニーズにかかわる変化など,相互に排他的な一連のカテゴリーの事象のなかで――として定義される. 84 世界開発報告 2013 図 2.5 仕事は極貧者の減少をもたらす主要因となる 200 150 極貧者数の総変化率(%) 100 50 0 ‒50 ‒100 イ イ リ ア ア カ ュ コ ン ス マ ー ナ ル ル ル ル バ ア タ チ リ シ シ ニ ビ チ ラ ナ ド アド ド ー ル ー ジ タ グ ン キ デ ュ バ ル マ ン ガ パ ラ パ ペ ス ク ラ メ ロ ジ ラ ー モ ル ゼ ブ ネ コ エ コ パ ン グ ル サ ル ホ ン ア ル バ エ 家族構成の変化 労働所得 非労働所得 消費対所得比率 . 出処:Azevedo and others 2012, Inchauste and others 2012(共に,世界開発報告 2013 を目的としたもの) 注:「家族構成の変化」とは,ある世帯における成人(18 才以上)の割合の変化を指す. 「労働所得」とは,各成人の雇用および労働による収入の変 化を指す. 「非労働所得」とは,移転,年金,帰属家賃など,労働以外の手段から得られた所得の変化を指す.棒グラフの横軸がゼロ以下にある場合 は,それにより貧困が減少せず,むしろ増加したことを示す.変化算出の対象国:アルゼンチン(2000-10 年) ,ブラ ,バングラデシュ(2000-10 年) ジル(2001-09 年) ,コロンビア(2002-10 年) ,チリ(2000-09 年) ,エクアドル(2003-10 年) ,コスタリカ(2000-08 年) ,エルサルバドル(2000-09 年) ,ホンジュラス(1999-2009 年) ,ガーナ(1998-2005 年) ,モルドバ(2001-10 年) ,メキシコ(2000-10 年) ,パラグアイ ,パナマ(2001-09 年) ,ペルー(2002-10 年) (1999-2010 年) ,ルーマニア(2001-09 年) ,ネパール(1996-2003 年) .バングラデシュ,ガーナ,モルド ,タイ(2000-09 年) バ,ネパール,ペルー,ルーマニア,タイでの変化率は,消費ベースの貧困測定法を,他の国では所得ベースの測定法を用いて算出. がある可能性がある 15 . 仕事は単なる所得以上のもの  仕事と貧困への陥落もつながっている.旱魃・洪  仕事は賃金や所得を超越して幅広い影響をもたら 水・紛争など広範なショックは,家計を貧困に,あ す.職場の安全性や安定性,通勤時間,学習や昇進 るいは慢性的な貧困にさえ追いやることができる. の機会,年金手当の受給権,その他の福利厚生など 世帯主の病気や健康悪化など個人に固有な事象も同 を高く評価する労働者もなかにはいる.しかし,こ じ効果をもち得る.このような場合,世帯を貧困に のような仕事の他の側面にかかわる金銭的な価値を 陥れるのは仕事がないことそのものではなく,むし 定量化するのは容易ではない.比較可能な調査(中 16 ろ個人や世帯の資産の破壊である .また,その 国の簡陽県,コロンビアのリサラルダ県,エジプト ようなショックを考慮に入れても,世帯主の失職が のカイロ県とファヨウム県,シエラレオネのポー 貧困への転落にとって重大な決定要因であることに ト・ロコ市とフリータウン市)が示すところによれ 17 変わりはない . ば,回答者は喜んで支払い負担をするとは言いなが  貧困層が生計を立てるのに労働に依存しているの らも,仕事がもたらす付加給付に金銭的な価値を付 は明らかである.所得者が死亡ないし疾病に遭遇す ける能力は限定的である 19.明示的な価値評価を ると,保有資産の少ない家計は貧困に陥る,あるい 示した人々の間で,年金手当について負担の許容 は貧困にとどまる確率は著増する.ウガンダとパキ 限度をみると,中国の月給の 5%から,コロンビア スタンの研究が示すところでは,家族員のなかで働 の 7%やエジプトの 13%までの範囲となっている. いている人のシェアも大きな影響を与える.扶養率 通 勤 手 当 に 対 す る 評 価 は 低 い が( そ れ ぞ れ 2%, が上昇した家計は貧困にとどまるか,または貧困に 1%,7%),終身雇用契約は特にエジプトではもっ 陥る確率が高まったが,生産年齢に達している成人 と高く評価されている(3%,8%,22%)(ボック のシェアが上昇した家計は貧困に陥るか,または貧 . ス 2.3) 18 困状態にとどまる確率が低下した .  仕事の特性は福祉に対して,目には見えにくいも CHAPTER2 仕事と生活水準 85 ボックス 2.3 仕事属性の価値はヘドニック価格法を通じて定量化可能  労働者は仕事に関して所得を超越した価値を付ける 時給の 1.5%から,エジプトの 4.2%やシエラレオネの ことができる.個人レベルでは,人々は仕事が自分の 5.1%までと幅がある a.これは調査対象者が回答した 肉体的・精神的な福祉だけでなく,家族に及ぼす影響 明示的な価値評価よりも大幅に低い:中国 4.9%,コ を評価する.仕事が提供する所得に加えて,労働者は ロンビア・シエラレオネ 10%,そしてエジプトでは最 仕事の安定性・所得・昇進の可能性・労働時間の柔軟 高の 25%.これは次のことを示唆する:仕事における 性などを価値評価することができる.また,労働者は 健康保険給付金について個人が示している顕示選好は, ある仕事がどの程度うまく社会に結び付いているか, 喜んで負担すると表明している価格よりも低い.ヘド それに関連した威信や社会的目標に対する貢献なども ニック価格法では仕事にかかわる他のあまり有形でな 評価している. い特性について,負担しても良いとしている顕示選好  ヘドニック価格法はより一般的に仕事満足度や幸福 を特定することができる.コロンビア・中国・エジプ を通じて,個別の仕事の特性にどのような価値を付け 仕事が「有意義」なら, トの給与労働者は, 時給の 1.5% ているのかを評価する.主観的な福祉の指標が統計的 を失ってもかまわないとしている.エジプトでは,給 分析を通じて,所得を含めさまざまな仕事の特性に結 与労働者は非肉体的ないし非定型的な仕事に対して, び付けられている.このような仕事の各特性が幸福や 時給の 2.1%に相当する値札を付けている. 仕事満足度にどの程度貢献しているかを評価するには,  このアプローチは仕事がもたらす付加給付の評価に 統計的手法を使うことができる. 特に適切である.このような給付には,例えば,所得  推定したヘドニック価格関数におけるさまざまな仕 からの控除との交換で獲得できる老齢年金へのアクセ 事の特性に関連したウェイトをみると,労働者が仕事の スが含まれる.仕事に就いている人は典型的にはこの 各特性に置いた価値を評価することができる.仕事の特 ような給付を評価するが,社会保障拠出金を通じて所 性の金銭的な価値は,ヘドニック価格関数における対応 得から控除が行われる場合よりも評価が低い.仮に年 するウェイトを所得のウェイトと比較することで評価 金の期待価値が低い,あるいは不確実であるとすれば, できる.したがって,例えば,ヘドニック関数は回答者 人々はインフォーマル・セクターにとどまることを好 が安定性,労働における創造性,職場での発言権などを むかもしれない.それとは対照的に,長寿のリスクを 供与してくれる仕事との交換に,失ってもかまわないと 他の就業者と一緒にプールしておくことを許容してい b 思っている所得のシェアを顕示している . る設計の良いプログラムは,制度参加に伴って控除が  本報告書のために委託した調査を使うと,健康保険 行われても,就業者から高く評価される可能性がある. 付与のヘドニック価値評価はコンビアと中国における 出所:WDR 2013 チーム. a.FAFO (Forskningsstiftelsen Fafo [Fafo Research Foundation]) 2012 Survey on Good Jobs に基づく WDR 2013 チームの試算. b.最近の事例には次がある:Hintermann, Alberini, and Markandya 2010; Falco 他 2012. のの実体的な影響を他の側面にも与える.特に,仕 もある:インドの石筆労働者の半分とラテンアメリ 事は労働者の健康――人間開発と個人的な福祉に カの炭鉱夫の 37%は,程度は異なるものの,珪肺 とって重要な構成要因――に直接的なインパクトを 症(珪石粉吸入を原因とする職業的な肺病)を患っ 及ぼすことがある(ボックス 2.4).産業有害物へ ている 21.精神衛生はマネジャーと労働者の虐待 の曝露を原因とする死者は,主に途上国で年 65 万 的な関係やセクハラによって脅威にさらされること 1,000 人にも達している.労働関連の事故・病気で がある.健康リスクは賃金雇用者に限定されていな 1 日平均 6,000 人,年間 220 万人が死亡している. い.多くの自営労働者がしているように,水を汲ん この死亡のほとんど(170 万人)は労働関連の病 で運んだり,戸外のコンロで料理したりすることに 気,残りは職場あるいは通勤途上における致命的な もリスクが伴い,それは男性よりも女性に影響する 20 事故による .毎年,4 億人以上(世界全体の労 公算が大きい 22. 働力の約 15%)が,労働関連の病気を含め業務災  労働災害や職業病は経済的代価をもたらす.この 害・疾患で苦しんでいる.発生率がひどく高い事例 コストは算定がむずかしい.というのは,このよう 86 世界開発報告 2013 労働成果が異なっている原因は,生産性の相違,社 ボックス 2.4 労働は健康や安全性にリスクもたらす 会保障制度が生み出しているディスインセンティ  3 カ国の衣服工場の労働者に関する調査では,彼ら ブ,差別などにある.いずれにしても,就業率が低 が仕事のなかで直面している健康や安全性の面での危 いため,障害は貧困につながる主要な経路の 1 つ 険性が明示された.インドネシア・ヨルダン・ハイチ になっている. の衣服労働者は仕事に関連した肉体的なストレスを報  賃金雇用が一般的な諸国では,無職というのは福 告しており,それには空腹・渇き・過労が含まれる. 祉に甚大な影響を与える.社会的な地位というのは  インドネシアでは,調査対象になった労働者の半分 以上がしばしば,ないし毎日,ひどい喉の渇きを覚え 所得とともに,精神衛生の動向・維持にとって重要 ると回答した.熱が原因とみられる.工場が暑すぎる な要因として認識されている 26 .失業が有害な効 のか,それとも寒すぎるのかと質問されて,温度は懸 果をもたらす一方,就職がプラス効果を生むことは 念事項ではないと答えたのはわずか半分程度(52%) 多くの研究で裏付けられている 27.医療研究によ であった.職業上の安全性が大方にとっては問題であ れば,失業はストレス・うつ病・心臓病・アルコー る:59%の労働者は危険な機械に関する懸念を表明し ル中毒症と関係がある 28 .心理的辛苦・婚姻解消・ た;73%が事故を心配していた;64%が埃だらけの, 自殺なども失職と関係がある 29.外部委託・労働 あるいは汚染された空気を気にしていた;69%は化学 のインフォーマル化・近代的な職場における移動性 物質の臭気を懸念していた. の拡大に伴って,うつ病やストレス関連の病気が一  ヨルダンの工場では,労働者の 37%は危険な機器に 般化しつつある 30. 関する懸念を,45%は事故や傷害に関する懸念を報告  失業が精神衛生に及ぼすインパクトは,社会保険 していた. や他の保護メカニズムにかかわる利用可能性とは無  ハイチでは,労働者の 40%はひどい疲れあるいは過 関係に発生するようである 31.これは失業の心理 労を時折,しばしば,あるいは毎日感じると回答した; 41%は頻繁な頭痛・めまい・腰痛・首痛を訴えた.労 的な辛苦は社会的恥辱とも関係があるためであろ 働者の何と驚くべき 63%もが,しばしばあるいは毎日 う.研究が示すところでは,失業した労働者や脆弱 ひどい喉の渇きを経験していると報告した. な仕事に就いている労働者は,その現象がもっと一 般的な場合,あるいは失業の発生や脆弱な仕事の分 出所:IFC and ILO 2011. 布に関して不平等が小さい場合,それほど強迫観念 には直面しない.この発見は,人の仕事と社会にお なコストの推定は健康ケアや疾病手当の支出に加え ける立場の間には密接な相互作用がある,というこ て,労働損失日にかかわる逸失所得も含まなければ とを例証している 32. ならないからだ.このようなコストの推定は自営業 者の場合は特にむずかしい.それを試みた数少ない 研究は社会の負担が大きいことを示している.スペ 仕事と生活満足度 インでは,工業セクターだけで,このようなコス  個人的な抱負であると同時に社会の目標でもある トは 2004 年に対 GDP 比で 1.72%に達したもの 幸福は雇用状態に関係している.膨大な文献が示す と推定されている.モーリシャスでは,労働関連 ところによれば,失業者は被雇用者よりも幸福度や の傷害コストは 2003 年で GDP の約 2.3%となっ 生活満足度が低い 33 .例えば,インドネシアでは, た 23 .労働関連疾病に伴う世界全体の推定値は対 主観的な福祉は就職すると増大し,失職すると減少 24 GDP 比で約 4%とされている . する 34.一部の研究者はこの不満は一時的である  障害者が労働市場に参加できる機会は国によって としているが,別の研究者の指摘によれば,仕事の さまざまである.障害者の就業率はポーランドの 安定性に関する懸念が持続している限り不幸も持続 70%からスイスやジンバブウェの 20%の範囲に収 する.このいわば「不幸効果」を口にするのは典型 25 まり,人口全体の就業率よりも低い .障害とい 的には女性よりも男性に多いが,女性は配偶者の失 うのは以前からの状況である場合と,仕事関連の傷 業に影響されるという証拠が示されている.無職は 害や状況である場合との両方があり得る.障害者の 自尊心を傷付け,他の家族員の社会的地位の足を CHAPTER2 仕事と生活水準 87 引っ張ることがある 35 . 図 2.6 労働者は所得よりもしばしば雇用保証について懸念している  仕事が供給不足で失業が問題になってい る場合,人々の期待や態度は変化する.多 4.9 数の諸国(先進国と途上国の両方を含む) 4.7 における世界価値観調査のデータは,失業 雇用保証(中位得点) 4.5 率が高いと有意義な仕事をしたいという抱 負が低下することを示している.これはお 4.3 そらく就職できない人はどんな仕事でも引 4.1 き受けざるを得ない,という考えになって いることを示すものであろう. 3.9  生活満足度にとって重要なのは就職だけ 3.7 ではない.イギリスでは,失業率が高い地 3.5 区の失業者は不幸感が相対的に低くなって 3.5 3.7 3.9 4.1 4.3 4.5 4.7 4.9 いる.これは失業には常に痛みが伴うもの 雇用所得(中位得点) の,周辺に大勢の失業者がいる場合には 出所:ISSP 2005. 痛みが小さいということを示している 36 . 注:分析は 29 カ国をカバーしており,各国は図中の点で示されている.回答者は雇用 保証と雇用所得の重要度を 1 から 5 の尺度で点数を付けた:5= 非常に重要,4= 重要, 無職が幸福感に及ぼす影響は,失業が一般 3= 重要あるいは非重要のいずれでもない,2= 非重要,1= まったく非重要. 的な場合には社会的恥辱が低下することで 部分的に相殺されるようである.失業は職 場を通じた人々との接触の喪失や,関連した社会的  自営業者が賃金労働者よりも高い満足感を表明し ネットワークの縮小にもつながり,それが社会資本 ているか否かは状況次第である.先進国および東 37 を侵食し,他人との連帯感を害する . ヨーロッパ・中央アジアでは,満足感は平均すると  単に就職しているというだけでは,生活満足感が 両グループでほぼ同じであるが,ラテンアメリカで 高いことの保証にはならない.職場があっても,所 は自営業者の間で著しく低くなっている 42. 得の変動・仕事の不安定性・健康や安全性の懸念な  仕事は人々が自分のことをどう考え,他人とどう どを理由に不安感を抱いていていれば,その人の 関係するのかに影響する.ほとんどの人は自分の仕 38 幸福感には悪影響がある(図 2.6) .賃金労働者 事について,有意義で社会に貢献すべきであると強 にとっては,契約の種類と有効期間が重要である. く感じている.2005 年に実施された 29 カ国の調 パートタイマーや季節労働者が表明している仕事満 査では,人々に自分の仕事のなかで高く評価して 足度は低い.長期契約の労働者でさえ不安を感じて いる特性を質問している 43 .社会にとって有益な いる可能性があろう 39.ハイチやヨルダン,ベト 仕事をしていることが重要であると回答した人が 4 ナムなどの工場では,生活満足度に影響していたの 分の 3 以上,自分の仕事が他人の助けになること 40 は労働所得ではなく労働条件であった .先進国 が重要だとした回答も同じようなシェアに達してい では,より大きな自律性を伴う仕事は生活満足度の た.9 カ国では,仕事が社会的に有益であることが 上昇につながっている 41. 重要だとした人のシェアが,高所得が重要だとした  仕事と生活満足度の結び付きに関する研究のほと 人のシェアを上回った.このほとんどは高所得国で んどは,賃金雇用が標準的な環境になっているとこ あるが,ドミニカ共和国やメキシコ,南アフリカで ろで実施されたものである.賃金所得者のシェアが は,社会的に有益な仕事と高所得の仕事の選好度に 小さい発展途上地域の生活満足度に関しても研究の 大差がみられなかった. 増加がみられるが,それが示すことによると,農民  生活満足度,幸福感,アイデンティティなど非物 は他の労働者や失業者との比較で生活満足度が最低 質的な福祉に関するその他の指標は,文化的相違や 水準にある(図 2.7).一方,賃金労働者と自営業 社会規範に影響される可能性があろう.にもかかわ 者の満足水準は失業者よりも高い. らず,恐怖や悲哀の欠如など仕事満足度の代理変数 88 世界開発報告 2013 図 2.7 生活満足度は農民と失業者の間で低い 50 45 40 35 30 % 25 20 15 高所得国 ラテンア メリカ・カリブ 10 ヨーロ ッパ・中央ア ジア 東アジア・太平洋 5 中東・北ア フリカ 0 南アジア サハラ以南ア フリカ 者 者 用 民 業 雇 者 農 営 金 業 自 賃 失 として使われるその他の健康変数も,やはり労働条 昇を推進して,家計資源の配分方法に関する発言権 件との関係を示している.ハイチ・ヨルダン・ベト を高め,典型的には子育て向けの支出増加につなが ナムに関する調査からは,基本的な衛生・健康,職 る.ジェンダーの平等は,貧困削減とほとんど同じ 場の設備などの労働条件や,労働組合の存在など ように,幅広く共有されている社会目標である.こ は,恐怖や悲哀の感覚低下と関係があることが明ら のような追加的なインパクトをもっている仕事は, 44 かになった . 開発に対する貢献度が大きくなる.そのような波及 効果を考えると,仕事は個人や社会全体の福祉に * * *  とって根本的な役割を果たす.したがって,仕事と いうのは開発戦略の最重要項目なのである(本章末  仕事はそれに就いている当人の福祉に影響を与え の質問 2 を参照). るだけでなく,他人の福祉にも影響を及ぼす.一部 の仕事は貧困削減効果が大きく,貧困の撲滅が根本 的な社会目標だと考えている人々にとっては大きな 利益をもたらす.別の一部の仕事は女性の就業率上 2 CHAPTER2 仕事と生活水準 89 QUESTION 成長戦略か仕事戦略か?  一般に,途上国では急速で持続的な成長が重要な を行えるかも重要である 51. 優先課題であり,生活水準の持続的な向上と社会的  このようなもっともな区別の背景として,仕事 一体感の強化にとって前提条件になるとみられてい の役割があるということが指摘できる.所得の上 る.経済成長・生活水準・社会的一体感は確かに一 昇が,労働力の大半,特に貧困層向けの雇用機会 緒に動き得るし,実際にもしばしばそうなっている によって牽引されていれば,成長は「包容的」であ ――それは韓国やシンガポールを含め東アジアの驚 る.最近の研究が示すところによると,経済成長が くべき経験で示されている 45 .東アジアの経験に 貧困削減に及ぼす影響は,各セクターの雇用集約度 基づく通念の想定では,成長に焦点を絞っていれ に大きく依存する 52.雇用機会は社会的一体感に ば,生活水準の向上と社会的一体感の強化はおのず とっても重要である.つまり,3 つの転換を一緒に とついてくる.これが「成長政略」,「成長診断」, もたらすのは仕事なのである. 「制約要因分析」の主旨であり,そのすべてが経済  仕事が果たす役割を認識すれば,成長問題に最初 成長の障害を特定して除去し,長期間にわたって成 に取り組めば雇用は需要増加に伴っておのずとつい 長を維持することを目指している. てくる,というような見方を超えることができる.  しかし,生活水準・生産性・社会的一体感の転 そうではなく,仕事は開発による転換を現実のもの 換は必ずしも同じペースでは起こらない.生活水 にすることができる手段とみるべきである.統計的 準向上の遅れや格差は,成長が貧困削減に及ぼす な観点からすると,成長と雇用(あるいは失業)の 影響の違いで例証できる.年 2%の経済成長率で 関係は,長期的に,国やセクターによって著しい相 貧困率が 1%削減される国もあれば,7%削減され 違を示している.この多様性からしても,一定の成 46 る国もある .エチオピア・タンザニア・ザンビ 長率は一定の雇用創出や,一定の雇用構造を保証す アは経済成長はしたものの,貧困率はほとんど変 . るものではないといえる(ボックス 2.5) 47 化しないという時期を経験した .一方,低成長 にもかかわらず,貧困削減について重要な進展が 成長戦略が十分でない場合 生じるという時期を経験した諸国もあった.それ  成長と雇用について集計値レベルの関係に焦点を は 1990 年代から 2000 年代前半にかけてのブラ 当てると,仕事が開発に結び付いている最も重要な ジルとメキシコである 48 .しかし,成長が社会的 経路の一部が軽視されてしまう.雇用が労働需要に 一体感の強化を伴わない事例もあった――貧困は よって起こるという考えそのものは,途上国では多 減少し,一部の人々にとっては生活水準が改善し くの労働者が農民や自営業者であるという状況を考 たものの,多くの人々は期待外れを味わった.チュ 慮すると事実を反映していない.成長と雇用の間の ニジアがその適例である:成長率は地域の平均を 伝動チェーンとして労働市場に焦点を絞ると,働く 大きく上回ったのに,深刻な社会的・政治的な緊 人々と家計・職場・さらに幅広く社会のその他の 49 張を経験することになった . 人々との相互作用を把握することができない.成長  このような遅延や格差の認識を受けて,経済成長 と雇用の関係だけに焦点を絞ると,仕事がどのよう に関するアプローチは「貧困層に優しい」,「共有 に男女平等を促進し,都市化を後押しし,平和的な 的」,「包容的」などに細かく区別されるようになっ 集団的意思決定に貢献しているかが評価できなくな 50 た .このようなバージョンでは成長率だけでな るだろう.仕事がもたらすこのようなプラスの波及 く,初期における所得分配や,成長プロセスそのも 効果をどうやって高めるかを理解するのは,集計値 のにより,また政府移転などによって資源の再分配 を検討しているだけでは困難であろう. 90 世界開発報告 2013 ボックス 2.5 成長と雇用の関係は機械的ではない  経済成長と雇用の統計的な結び付きは時にオークン 応じて大きなバラツキがみられるため,開発途上にお の法則と呼ばれる.1962 年にアーサー・オークンは次 けるネットの雇用創出を予測するのは困難である.例 のことを発見した:第 2 次世界大戦直後の時期に,ア えば,タンザニアでは雇用の対成長弾性値は 1992-96 メリカでは GDP が 1%増加すると失業率が約 0.3%低 年の 1.04 から 2004-08 年の 0.27 に低下している.エ 下する.それ以降,この実証的な規則性は広範囲にわ チオピアやガーナ,モザンビークでも同じようなトレ たるさまざまな諸国で支持を受けた.しかし,最近の ンドが報告されている c.ラテンアメリカについては, 研究からの発見によれば,オークンの法則は法則とい 最近の推定値が示すところでは,雇用の対成長弾性値 a う名前が示唆するほど安定的ではない . は世界的な金融危機の時期には従来の危機下における  オークンの法則の安定性に関する討論を受けて,経 よりもずっと低かった.換言すると,同地域では大不 済的な好不況の特性に光が当てられるようになった. 況の雇用破壊効果はネットで比較的小さかったという 最近の研究は,失業は過去 20 年間に産出の低下に対 ことである d. して感応度を高めてきていることを示している.これ  雇用や失業は集計値であるが,成長は失業の構成に は労働市場の弾力化を推進してきた制度改革に原因が も影響することがある.インドの製造業雇用は同セク 求められる.興味深いことに,金融危機や住宅価格の ターの急成長にもかかわらずなぜ停滞しているのか, 大規模な破裂を経験した経済(最近ではアメリカやス などといった重要な論争はこの観点から解釈すること ペイン)では,オークンの法則で予測されるよりも深 ができる e.他の研究が示すところでは,労働集約度 くて長期にわたる失業の増加を経験した.一方,大規 が異なることを考えると,農業・建設業・サービス業 模な短縮労働時間制度のある諸国(ドイツ・イタリア・ など一部のセクターの拡大は,製造業の拡大よりも大 日本・オランダなど)では,失業の増加は予想外に少 きな雇用を創出する f.ウクライナの農業関連産業,イ b なかった . ンドの建設業,ルワンダの観光業における投資プロジェ  オークンの法則は失業に関するものであるが,他の クトは,大きな雇用インパクトをもたらした.これは 研究では雇用の対成長弾力性に焦点が当てられている. 直接的な雇用の創出に加えて,流通経路の大規模なネッ 単純化すれば,この弾力性は雇用の%変化と GDP の% トワークに間接的な雇用創出があったおかげである g. 変化の比率である.このような弾性値も時期と空間に 出所:WDR 2013 チーム. a.Cazes, Verick, and Al Hussami 2011; Moosa 2012. b.Balakrishnan, Das, and Kannan 2009. c.Martins 2012 for the World Development Report 2013. d.World Bank 2010. e.Bhalotra 1998; Roy 2004. f.WDR 2013 のために書かれた Arias-Vasquez 他 2012. g.IFC, 近刊.  バングラデシュのような都市化が進展している国  しかし,実際には,3 つの転換の間のトレードオ の事例は,3 つの重要な転換が同時に起こり得ると フは単に遅延や格差を超えるものになり得る.一国 いう考えを支持している.そういった諸国は豊富な が直面している仕事の課題に応じて,生活水準のた 比較的低スキル労働を活用して,軽工業を通じて世 めに仕事を創出する成長と,生産性の伸びや社会的 界市場に参入することができる.賃金雇用が大量に 一体感のために仕事を創出する成長との間に緊張が 創出されるので,農村部に移住の機会を提供し,急 生じる可能性がある.以下のように,実例は枚挙に 速な社会変化の時期に社会的緊張を和らげてくれ 暇がない: る.バングラデシュでは軽工業セクターの拡大に よって,出生率が低下している時に,若い女性を労 • 農業国では,農村部に住んでいる人口の割合が 働市場に統合することが可能になった.女性の雇用 高いので,小自作農の生産性上昇が貧困削減に 機会が今度は女性の学校教育の増大,人間開発面で とって決定的に重要である.しかし,成長のた の成果の向上,貧困削減の進展につながった. めには,経済を世界市場や世界的な価値連鎖に CHAPTER2 仕事と生活水準 91 結び付ける都市部の仕事が必要である.両方を 置換されても,測定される産出は減少しない. 支えるには資源に制約があるため,生活水準と  仮に仕事の波及効果が適切に定量化できたとすれ 生産性の間でトレードオフが発生する公算があ ば,トレードオフを適切に理解し,一定の成長戦略 ろう. が産出や雇用に及ぼす潜在的な効果を十分に評価す • 資源の豊富な国では,採取産業に対する大規模 ることが可能であろう.例えば,現在の汚染が労働 投資が成長率の加速化と国際市場との結び付き 者の将来的な健康に及ぼすマイナスのインパクトを を後押しするが,直接的な雇用を(間接的なも 十分考慮に入れれば,所与の技術に基づく成長戦略 のでさえ)ほとんど創出せず,したがって貧困 が産出の潜在力に及ぼす影響をもっと完全に評価す 削減効果もあまりないのが普通である.加え ることができるだろう.緊張の緩和または世界貿易 て,外国為替が潤沢であるため,他の活動の競 に関する統合強化を選択すれば,将来的に成長を持 争力を殺ぎ,他のセクターで生産的な仕事を創 続的な形で加速化させるお膳立てになるだろう―― 出することが困難になっている. これは産出の伸びに基づく短期的な評価だけでは考 • 若年失業率が高い国では,仕事の機会は教育制 慮できない点であろう.仮に成長のための措置が仕 度の拡大によって生み出された期待と釣り合っ 事に伴う無形の社会的利益を把握できていれば,成 ていない.また,社会的緊張を短期的に緩和す 長戦略と仕事戦略は同じものとなるだろう.しか るのに必要な積極的労働市場プログラムは,貧 し,測定された成長だけに焦点を絞ると仕事からの 困削減にほとんど効果がない.というのは,失 波及効果が容易に看過されるため,それが仕事戦略 業者の多くは中流階級世帯出身であり,それに が必要となる理由である.仕事に伴う波及効果に焦 公的資源を充当すると経済的なダイナミズムを 点を当てることによって,仕事戦略は開発プロセス 削減する懸念があるためである. におけるさまざまな興味深い結果を解明できるだろ • フォーマル化しつつある国では,できるだけ大 う. 勢の労働者向けに社会的保護の適用範囲を拡張  仕事戦略を検討すれば,それは仕事の社会的価値 することによって,社会的一体感を下支えしよ に注意を喚起する 1 つの方法になる.仕事戦略で うという取り組みが行われている.職種に関係 は特定の国の状況における開発にとって有益な仕事 なく適用範囲を広げるのは社会契約の一環であ の種類を評価する.仕事が生活水準・生産性・社会 る.しかし,労働・貯蓄・フォーマルな制度へ 的一体感にどのように貢献するのかについて,定性 の参加などにかかわるインセンティブを歪める 的・定量的な分析を行う.また,開発効果が最大の ことなくカバレッジを拡張するのは困難で,生 仕事を創出するための制約が,実際にどこにあるの 産性や長期的な成長に悪影響を及ぼす可能性が かを特定しようとする.仕事戦略は女性の労働への ある. 参加の増加に焦点を置くこともあれば,若者向けの 雇用機会を創出したり,都市の仕事ないし世界的な 仕事戦略が適切な場合 価値連鎖に結び付いた仕事を創出したりすることに  生活水準の改善・生産性上昇の加速化・社会的一 焦点を当てることもある.これは仕事が舞台中央に 体感の促進の間のトレードオフは,まず間違いなく 来るということを除けば,より包括的な成長戦略を 測定問題を反映している.仕事が産出に対して行っ 策定することと大差はない. ている貢献は定量化できるが,仕事の波及効果の一  仕事戦略はすべての状況下で必要なわけではな 部は定量化できない.仕事が社会的緊張を緩和して い.仕事戦略が正当化されるのは,仕事に伴う潜 も測定される産出は増加しない.ただし,その結果 在的に重要な波及効果が実現しておらず,生活水 は社会で高く評価され,将来的に生産性を押し上げ 準・生産性・社会的一体感の間に緊張が発生するこ る可能性はあるだろう.逆に,労働を通じて技術 とにつながっている場合だけである.生活水準・生 的・経営的な知識を修得する機会は,輸出セクター 産性・社会的一体感の改善が,東アジアの数カ国で の方が多い傾向にあるにもかかわらず,輸出セク そうであったように一緒に生じて,今やバングラデ ターの仕事が国内市場向け生産を行う仕事によって シュのように都市化が進展している場合,成長戦略 92 世界開発報告 2013 ボックス 2.6 韓国は成長戦略から仕事戦略へ,シンガポールはその逆へ  韓国とシンガポールは,長期にわたる経済成長に急  戦略は就業率 70%という目標を達成するために次の 速な貧困削減と社会的一体感の強化の組み合わせるこ 4 本の柱を規定している.第 1 に,雇用創出のために とに成功した事例を示している.しかし,時期は異な は官民両セクター間の協調が重要であることを認識し るが,両国とも仕事戦略に依存していたことがあった. て,経済・産業政策を仕事に優しい形で実施する.第  シンガポールは独立した時には緊張した社会状況に 2 に,職場における柔軟性と公平性の改善を目指す. 直面しており,失業率と少数民族間の緊張はともに高 そのために労働法の特定分野にかかわる規制を強化す かった.最初の開発戦略では仕事・住居・賃金抑制に る一連の改革を行う一方,他の規制を削減する.した 焦点が当てられた.失業問題が後退すると,次の戦略 がって,週 40 時間労働が規模とは無関係にすべての会 は高付加価値活動を奨励するため,労働コストの引き 社について適用可能とし a,労働時間削減システムの 上げに向けられた.しかし,このコスト重視は不況を 導入を義務化する b.同時に,採用の柔軟性を許容す もたらしたため,これ以降,シンガポールは仕事より べく,臨時労働者契約や有期契約の期限に関する規制 も成長に焦点を当てている. を緩和した.第 3 に,女性・若者・高齢の労働者の労  逆に,韓国は 1996 年に開発計画を放棄していたが, 働力参加とスキル開発に焦点を当てる.これには恒久 2010 年に最高水準の政策文書として,向こう 10 年間 的なパートタイム職という選択肢を導入して――特に にかかわる仕事戦略を採択した.2010 年 10 月,韓国 労働者不足で苦しみ,フルタイム職を埋めることがで 政府は「成長・雇用・福祉のバランスに向けた国家雇 きないセクターで――,仕事と子供の世話の両方を親 用戦略 2020 年」を打ち出した.この国家戦略は長期 ができるようにすることが含まれる. 高齢労働者は賃 計画の伝統にしたがって,2020 年に関して次のように 金ピーク制度の下で短縮労働時間という選択肢によっ 明確な目標を設定している:生産年齢人口(15-64 歳) て,活動的な労働力として従来よりも長く在職する c. の就業比率を最低でも 70%――先進国の平均――に引 第 4 に,最後になるが軽んじてはいけないのが,福祉 き上げる.この戦略は経済の回復を示唆しているマク から就労への移行を円滑化することである.福祉を受 ロ経済指標と,特に若者を中心に個人が適切な雇用を 給している健常者に雇用支援プログラムへの登録を奨 発見できないこととの間に生じているミスマッチを背 励し,雇用探しの義務を強化する. 景にしている. 出所:Huff 1994, 1995; Republic of Korea 2010 に基づく WDR 2013 の試算. a.週 40 時間労働は 2004 年に導入されたが,適用されたのは従業員 1,000 人以上の会社に限定. b.この制度では従業員は残業・休日勤務・夜間勤務などを補填するために休暇を取得することが許される. c.賃金ピーク制度下では会社は退職した労働者を再雇用することができる. はより適切になるだろう.にもかかわらず,数十年 間にもわたって包容的な成長を疑いもなく実現した 韓国やシンガポールなど,驚くほどの成功を達成し てきた東アジア諸国は,開発の歴史上のある時点で は仕事戦略を策定していた(ボックス 2.6). CHAPTER2 仕事と生活水準 93 ©Justin Guariglia / Redux マレーシアのポンティアン郡にあるパイナップル農園の日雇い労働者 94 世界開発報告 2013 注 22. Al-Tuwaijri 他 2008; Brenner 1979. 1. Gershuny 2000; Krueger 他 2009; Ramey and 23. スペインとモーリシャス両国の推定値は Ramessur Francis 2009. (2009) に基づく. 2. Ngai and Pissarides 2008. 24. ILO 2005. 3. 中国における女性の労働力参加増加の事例に関し 25. WHO and World Bank 2011. て は Hongqin, MacPhail, and Dong (2011) を 参 26. Wilkinson and Marmot 1998. 照.他方,中東における同停滞の事例に関しては 27. Baingana 他 2004; Murphy and Athanasou Gammage and Mehra (1999) を参照. 1999. 4. Davis 他 2010. 28. Brenner 1971; Brenner 1975; Dooley, Catalano, 5. Narayan, Pritchett, and Kapoor 2009. and Wilson 1994; Dooley, Prause, and Ham- 6. 以下に引用されている研究を参照:Baulch 2011; Rowbottom 2000. Fields 他 2003; Fields 他 2007. 29. Lundin and Hemmingsson 2009; Stuckler 他 7. d e B r a u w a n d G i l e s 2 0 0 8 ; G i l e s a n d 2009a, 2009b. Murtazashvili 2010. 30. ILO 2010. 8. WDR 2013 の た め に 書 か れ た Azevedo 他 2012. 31. Ouweneel 2002. エルサルバドルとルーマニアでは,非労働所得が金 32. Helliwell and Putnam 2004; Stutzer and Lalive 融危機の結果としての労働所得減少を補填した.メ 2004. キシコについては,被雇用者の所得は増加したもの 33. Blanchflower and Oswald 2011; Winkelmann の,その効果は被雇用成人の減少で相殺されたため, and Winkelmann 1998.自己申告による主観的な 労働所得の貧困削減に対する寄与率は移転との対比 結果を国や文化をまたいでどのように比較するか, で若干小さくなった. ということに関しては正当な懸念がある.King 他 9. WDR 2013 のために書かれた Inchauste 他 2012. 2004 を参照. 10. Dang and Lanjouw 2012. 34. WDR 2013 の た め に 書 か れ た Gales, Mavridis, 11. Estudillo, Sawada, and Otsuka 2008; Himanshu, and Witoelar 2012. Bakshi, and Dufour 2011; Lanjouw and 35. Björklund 1985. Lanjouw 2001; Lanjouw and Murgai 2009; 36. Clark and Oswald 1994. Otsuka, Estudillo, and Sawada 2009; Takahashi 37. Helliwell and Putnam 2004. and Otsuka 2009. 38. Dooley, Prause, and Ham-Rowbottom 2000; 12. WDR 2013 のために書かれた Mansuri 他 2012a. Winefield 2002. 13. G l e w w e , G r a g n o l a t t i , a n d Z a m a n 2 0 0 2 ; 39. Bardasi and Francesconi 2004; Origo and Ravallion and Chen 2007; Ravallion, Chen, and Pagani 2009. Sangraula 2009. 40. WDR 2013 の た め に 書 か れ た Dehejia, Brown, 14. Christiaensen 他 2009; de Brauw 他 2002; Giles and Robertson 2012. 2006; Giles and Yoo 2007. 41. WDR 2013 の た め に 書 か れ た Wietzke and 15. Christiaensen and Todo 2009; Estudillo 他 2012; McLeod 2012. Himanshu and others 2011. 42. Graham 2008. 16. Dercon and Porter 2011; Fields 他 2003; 43. ISSP 2005. Lawson, McKay, and Okidi 2006; Lohano 2011; 44. WDR 2013 の た め に 書 か れ た Dehejia, Brown, Quisumbing 2011; Woolard and Klasen 2005. and Robertson 2012. 17. Fields 他 2003, 2007. 45. Gill and Kharas 2007; Stiglitz 1996; World Bank 18. WDR 2013 のために書かれた Mansuri 他 2012b. 1993. 19. WDR 2013 のために書かれた Bjørkhaug 他 2012; 46. Ravallion 2001; Ravallion 2011. WDR 2013 の た め に 書 か れ た Hatløy 他 2012; 47. Bigsten 他 2003; Demombynes and Hoogeeven WDR 2013 の た め に 書 か れ た Kebede 他 2012; 2007. WDR 2013 のために書かれた Zhang 他 2012. 48. Ferreira, Leite, and Ravallion 2010; Hanson 20. ILO 2010. 2010. 21. ILO 2005. 49. チュニジアの 1 人当たり GDP(2000 年の実質米ド CHAPTER2 仕事と生活水準 95 ル)は 1990-2008 年に年率平均 3.4%で増加した. Evidence from a Panel of British Workers.” Social それに対して中東・北アフリカの平均は同じ期間に Science & Medicine 58 (9): 1671–88. Baulch, Bob, ed. 2011. Why Poverty Persists: Poverty 2.0%であった (World Development Indicators). Dynamics in Asia and Africa. Cheltenham, U.K.: 「貧困層に優しい」成長を測定する指標がいくつかあ 50. Edward Elgar Publishing. る.Ravallion 2004 を参照. Berniell, M. Inés, and Carolina Sanchez-Paramo. 2011. 51. Ianchovichina and Lundstrom 2009; Ravallion “Time Use Database.” World Bank, Washington, DC. 2001. Processed. Bhalotra, Sonia R. 1998. “The Puzzle Of Jobless Growth in 52. Christiaensen, Demery, and Kuhl 2011; Loayza Indian Manufacturing.” Oxford Bulletin of Economics and Raddatz 2010. and Statistics 60 (1): 5–32. 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Shiferaw and Bedi 2010 に基づく) 注:数字は,年間の雇用フローを示す.データは以下の国を対象:アルゼンチン(1996-2001 年) ,ブ 上昇する.この構成効果――生 ラジル(1997-2000 年),カナダ(1984-97 年) ,チリ(1980-98 年),コロンビア(1983-97 年),エス 産性上昇構造変化と呼ばれる― ,エチオピア(1997–2007 年) トニア(1996-2000 年) ,フィンランド(1989-97 年),フランス(1989- 97 年),ドイツ(1977-99 年) ,ハンガリー(1993-2000 年) ,インドネシア(1991-94 年) ,イタリア ―は,農業から工業やサービス (1987-94 年),ラトビア(1983-98 年),メキシコ(1986-2000 年) ,ポルトガ ,オランダ(1993-95 年) ル(1983-98 年),ルーマニア(1993-2000 年) ,スロベニア(1991-2000 年) ,台湾(1986-1991 年), 業への労働シフトの事例につい 英国(1982-98 年),米国(1989-91,1994-96 年)およびベネズエラ(1996-98 年). ては十分な裏付けがなされてい る.もっと分解したデータに基 づく分析の示唆によれば,高成 長を遂げている東アジアの数カ CHAPTER3 仕事と生産性 103 図 3.3 東アジアではセクターをまたぐ労働の再配分が生産性上昇の牽引力 8 7 労働生産性の年上昇率(%) 6 5 4 3 2 1 0 ‒1 イ ア ジア ア フ ア 南 リカ カ レ ド ン ン モ ム 界 ア ー 国 中 カ・ パ サ ・北 リブ 洋 ベ 国 ド ル 港 湾 ン 韓国 パ ール タ ン リ シ シ タ ピ ッ ナ 世 進 平 中 イ ゴ 香 台 イ ラ アフ フ カ ア 南ア リ メ ロ ネ ス ー ト ン ポ 全 先 太 ア ィ キ ガ ・ ン ン ヨ マ リ 以 テ 南 シ ジ 東 ラ 東 ハ ・ 東 央 中 セクター内の変化 セクターをまたぐ再配分 出所:Kucera and Roncolato 2012 に基づく WDR 2013 チームの試算. 注:図は 81 カ国の 1999-2008 年における労働生産の上昇原因を,セクター内の変化とセクターをまたぐ変化に分解した結果を示す.検討したセク ターは次の 7 つである:農業・狩猟・林業・漁業,鉱業・公益事業,製造業,建設,商業・レストラン・ホテル,輸送・倉庫・通信,その他サービ ス.地域別の上昇率は加重平均で,そのウェイトは当該国が地域別 GDP 占めるシェアに基づく. 国では,工業の下位セクターをまたぐ労働の再配分 なく,韓国の企業は都市中心街の郊外に連続的に拡 も生産性上昇の重要な牽引力となっている.中国で 大している(地図 3.1)ブラジル・中国・ベトナム は過去 10 年間に労働生産性全体は年率 7.3%で上 でも同じようなシフトが生じつつある 7.インドで 昇したが,その寄与度は 4.1%ポイントに達した. は,大きな製造業企業は都市中心街から脱出して農 ベトナムでは 4.2%のうち 2.6%ポイントを占めた 村地帯に移転しつつある 8 .シフトの性格がどうで (図 3.3)4. あれ,仕事が創造されるところと破壊されるころが  仕事のフローは雇用の空間的な分布の変化にも関 出現するのは,ほとんど仕方がないといえる. 係している.農村部の農業から町や都市の工業や  雇用構造がセクターや空間の面でこのように変化 サービス業への構造的なシフトは,空間的な労働の する背景には,仕事のフローと生産性の伸びを結び 再配分に関して最も目に見える実例かもしれない 付ける企業のダイナミクスがある.既存企業が自ら が,それが唯一ではない 5 .同一セクター内でさえ, の事業をより効率的に行う,より生産的な企業が市 仕事のフローはしばしば強い空間的な側面をもって 場に参入する,あまり生産的でない領域が退出す いる.ある革新的な活動に関連した新しい工場は, る,などが起こると,生産性全体は伸びる.また, 大きい多角的な都市で操業を開始する傾向がある. より生産的な企業が大きくなる一方で,あまり生産 サプライヤーや労働の密度が高く,情報の交換が円 的でない領域が小さくなっても生産性は伸びる.分 滑だからである.それが成熟化し,情報に関して自 解した分析は,ほとんどの諸国では生産性全体の伸 足的になるにしたがって,このような工場は土地や びの主たる牽引力は,企業での仕事のやり方の改善 賃金のコストが安い小さな都市に移転する.その結 であることを示している(図 3.4)9.入退出も一 6 果,多くの中小都市はより特化するようになる . 因であり,これは新規企業が既存企業よりも生産的  空間的な移転の度合いはセクターや国によってさ だということを示している.一般的に,既存企業は まざまである.例えば,韓国の都市中心街では製造 閉鎖する以前に生産性の低下を経験するのに対し 業が長期にわたって優勢である.一部の先進国にお て,新規企業は 5 年以内に業界の平均的な生産性 けるように違う場所に不連続的に移っていくのでは 水準を達成する傾向にある.このような複雑なダイ 104 世界開発報告 2013 地図 3.1 韓国では製造業の活動は主要な都市中心街から拡張しつつある IBRD 39533 1960 DEMOCRATIC PEOPLE'S REPUBLIC OF KOREA 1985 DEMOCRATIC PEOPLE'S REPUBLIC OF KOREA 2005 DEMOCRATIC PEOPLE'S REPUBLIC OF KOREA SEPTEMBER 2012 日本海 日本海 日本海 ソウル ソウル ソウル インチョン 37°N 37°N 37°N 黄海  黄海  黄海  36°N 36°N 大邸 36°N 大邸 釜山 釜山 35° N 35° N 35° N 対馬海峡 対馬海峡 対馬海峡 34°N 34°N 34°N 0 30 60 Kilometers 0 30 60 Kilometers 0 30 60 Kilometers 126°E 127°E 128°E 129°E 126°E 127°E 128°E 129°E 126°E 127°E 128°E 129°E 市・町 この地図は世界銀行の地図デザイン・ユニッ トが提供してくれた.地図上に示されている 製造業の雇用 40% シェア(%) 道の首都 境界・色・名称・その他の情報は,世界銀行 30% 国の首都 によるいかなる領域の法的地位に関するいか 20% 郡境 なる判断や,そのような境界のいかなる承認 10% や受諾を意味するものではない. 道境 出所:Park 他 2011. 注:地図は 1960 年・1985 年・2005 年について,市ないし郡のレベルにおける製造業産業の雇用シェアを示す. 図 3.4 企業レベルの効率性増大が生産性上昇の主要な牽引力 14 12 10 生産性の年上昇率(%) 8 6 4 2 0 ‒2 ‒4 リ ア ア ア ア ア ア カ ド ラ ン ス フ リス ツ ツ ル ダ ル 湾 国 ル ン リ チ イ イ ビ ビ ニ ニ ビ ニ エ チ ン ン ガ ガ ジ 台 韓 メ ラ ト ト ド ド ギ ン ト ト ラ ベ ラ ズ ン ト ト ラ ア ラ ラ イ ン ス ス ロ フ ル ル オ ロ ネ ゼ ブ ィ コ エ エ ス ポ ポ ベ ル ア 製造業 サービス業 企業内 企業間 混合 退出入 出所:Bartelsman, Haltiwanger, and Scarpetta 2009b に基づく. 注:図は労働生産性の年上昇率を分解したものである.先進国のデータは次の諸国のものである(かっこ内は対象時期) , :フランス(1990-95 年) ,アメリカ(1992 年,1997 年) オランダ(1992-2001 年) ,ポルトガル(1991-94 年),イギリス(2000 年, ,ドイツ(2000-02 年) 2001 年) .途上国 のデータは次の諸国:アルゼンチン(1995-2001 年) ;チリ(1985-99 年) ;ブラジル(2001 年) ;コロンビア(1987-98 年);エストニア(2000 年, ;韓国(1988 年,1993 年) 2001 年) ;台湾(1986 年,1991 年,1996 年) ;スロベニア(1997-2001 年) ;ベネズエラ(1999 年).企業内は企業レベ ルの変化,企業間は企業をまたぐ雇用シェアの変化,混合は前 2 者の相互作用,退出入は企業の設立・閉鎖を示す. CHAPTER3 仕事と生産性 105 図 3.5 効率性の向上と雇用の伸びは両立できる 100 90 80 70 シェア(%) 60 50 40 30 20 10 0 工場数 雇用 付加価値 工場数 雇用 付加価値 工場数 雇用 付加価値 チリ(2001-06 年) エチオピア(2005-08 年) ルーマニア(2000-05 年) 規模拡大で成功 規模縮小で成功 規模縮小で不成功 規模拡大で不成功 出所:次に基づく WDR 2013 チームの試算:Amadeus Database, Bureau van Dijk, Amsterdam, and Ethiopia Large and Medium Scale Manufacturing and Electricity Industries Survey, Central Statistical Agency, Addis Ababa. 注:図は労働生産性の年上昇率に対する 4 グループそれぞれの寄与率を示す.工場は 10 人以上の労働者を雇用し全期間を通じて存在していたところ 「規模拡大で成功」は労働生産性と雇用の両方を増やした工場, を対象にしている. 「規模縮小で成功」は生産性は高めたものの雇用を減らした工場, 「規模縮小で不成功」は雇用と生産性の両方を削減した工場, 「規模拡大で不成功」は雇用を増やしたものの生産性を低下させた工場を意味する. ナミクスは次のことを示唆する:産業をどのように 強い.チリについては 2001-06 年,ルーマニアに 狭く定義しようとも,すべての時点において様々な ついては 2000-05 年における,同一の産業・地域 10 生産性水準の企業が共存している . における生き残り組をみると,若い企業ほど規模  企業レベルにおける規模縮小を通じて生産性が伸 拡大派となっている.3 カ国すべてにおいて,従業 びるという一般論は,このような分析によってある 員 20 人以下の生き残り組みは規模縮小ではなく規 程度は支持されている.確かに,多くの場合,急速 模拡大を図る傾向にあった.ルーマニアでは,労働 な生産性の伸びを経験している企業では雇用は縮小 者 1 人当たりでみて資本投資が多い生き残り組は, する傾向にある 11.しかし,規模縮小は物事の一 規模拡大でも成功している可能性が高かった.さら 側面でしかない.生産性と雇用の両方の伸びを達成 に,71 カ国 2 万 6,000 社の製造業者に基づく最近 しながら規模拡大を図っている成功企業も数多く存 の証拠が示すところによると,製品やプロセスを革 在する 12.例えば,チリで 2001-06 年に操業して 新した企業は規模拡大に成功する可能性が大きい. いた製造業工場の 4 分の 1 は,一般論と整合的な 革新的でない企業と比べて高い全要素生産性を達成 規模縮小を図って成功していた.しかし,残りの 4 しているだけでなく,雇用についても高い伸びを示 分の 1 は規模拡大で成功していた(図 3.5).より していた 14. 重要なのは,生産・雇用・生産性の伸びに対する寄  ヨーロッパの体制移行国が仕事の再配分と生産性 与度は,規模拡大派の方が規模縮小派よりも大き 上昇との連動を例証している.改革が実施される かったという点である.結果は 2000-05 年のルー 前,これら諸国は厳格な計画制が引き起こしていた マニアや 2005-09 年エチオピアでも同様であった. ――資源がより効率的な使途に流れるのを阻害して 国別の経験にはバラツキがあるものの,規模拡大の いた――大きな歪みで苦しんでいた.自由化を受け 成功者が臨界質量に達しているケースも稀ではな て大規模な規模縮小と雇用損失が発生した.最終的 い. には,それがインセンティブや移動性,市場を強化  各国を横断的にみると,製造業で成功した規模 し,より生産的な民間企業のためのスペースを切り 拡大派はより若く,無駄がなく,革新的な傾向が 開いた.このようなダイナミックなプレーヤーの参 106 世界開発報告 2013 は驚異的であった.事業会社の数は 1980 年の 37 図 3.6 小自作農がラテンアメリカ以外では支配的 万 7,000 社から,96 年には 800 万社近くまで増加 ヨーロッパ・中央アジア した.2004 年の経済統計調査では,製造業は 133 100 4.8ha アジア 万社で年商 500 万元に達していた 16 .そのほとん 1.2ha サハラ以南アフリカ どは民間である.このような新企業の参入と存続不 1.8ha ラテンアメリカ 80 中東・北アフリカ 61.5ha 可能な国有企業(SOE)の閉鎖が,1998-2006 年 所有農場(%) 3.2ha おける製造業にかかわる TFP の伸びの 3 分の 2 を 60 占めた 17. 40 ほとんどの仕事は非常に小さい農場や企業に 20 ある 0 5 10 15 20 25 30 35 40 賃貸農場(%)  途上国のほとんどの人々は非常に小さくて,あま りダイナミックでない経済単位――家族農場・零細 出所:FAO 2010. 注:ha= ヘクタール.各地域には以下の諸国が含まれる―アジア:バング 企業・家内企業など――で働いている.零細企業は ラデシュ,インド,インドネシア,ラオス,ネパール,パキスタン,タイ; 従業員数 10 人以下の企業と定義されてはいるもの ヨーロッパ・中央アジア:アゼルバイジャン,クロアチア,チェコ,グル ジア,キルギス,ラトビア,セルビア,スロベニア,トルコ;ラテンアメリ の,その多くは実際には 1 人の企業である.総雇 カ・カリブ:ブラジル,グアテマラ,ニカラグア,セントルシア,セントビ ンセント・グレナディン,ウルグアイ,ベネズエラ,バージン諸島(アメリ 用に対する貢献を考えると,これら小規模な経済単 カ領);中東・北アフリカ:エジプト・ヨルダン・モロッコ・カタール・サ 位を無視することはできない.そのダイナミクスの ウジアラビア・チュニジア;サハラ以南アフリカ:コートジボワール,エチ オピア,マダガスカル. 理解が仕事と生産性の関係を解明するのに決定的に 重要である. 入が,1990 年代後半における労働生産性の伸び全  家族農場では,雇われ労働は雑草取りや刈り入れ 体の 20-50%に寄与した.陳腐化した企業の退出 などの単純作業に使われるのが普通であるのに対し が資源を解放し,新規ないし既存の企業によってよ て,家族労働は通常は水管理・土地造成・施肥など り効率的に使用されるようになった.新規企業は先 ケア集約的な活動を実施する.雇われ労働への依存 進国の平均的な企業との比較では,経験不足や小規 度が低いのは仕事を監督するのが困難だからであ 模が原因で生産性の面で劣ってはいたものの,国内 り,農場は機械なしで家族労働が管理可能な規模― の既存企業よりは効率的であった.ミディテクやハ ―典型的には 1-2 ヘクタール――を超えて拡大す イテクの産業の生産性を押し上げることや,既存企 ることはできない 18 .高所得国でも家族農場が支 業に対して競争圧力を加えることにおいて,大きな 配的であり,オーナー耕作というのが特にアジアで 役割を果たした 15 . . は最も一般的な土地保有権の形である(図 3.6)  中国の急速な生産性上昇も大規模な再配分によっ  アジアとサハラ以南アフリカでは平均的な農場の て下支えされていた.1978 年に始まった経済改革 規模はそれぞれ 1.2 ヘクタールと 1.8 ヘクタールで に向けた取り組みは徐々に市場の影響力を拡大し, あり,ともに小さい 19.アジアでは,農民は典型 世界との統合を深化させた.これらすべてが民間 的には土地区画を所有しており,それが賃貸契約を 組織――町村企業を含む――を形成したり,外国 通じて補完されている.そうすることで,土地が比 企業が参入したりするための前例のない機会を生 較的潤沢な家計から労働が比較的潤沢な家計への譲 み出した.改革開始から最初の 10 年間(1978-88 渡が円滑化している.サハラ以南アフリカの農場は 年),農業から非農業活動への再配分の生産性上昇 アジアよりもやや大きいが,規模やオーナー農業の に対する寄与率はほぼ半分に達した.しかし,それ 重要性は両地域で類似してきている 20.このパター 以降,生産性の伸びの主要な牽引力になったのは国 ンにはいくつかの例外がある.植民地政府は一部の 家セクターからの労働再配分,民間セクターの活 途上国で大規模農場を作り出した.南部アフリカの 気,国家セクターの再編であった.企業参入の規模 栽培地,ラテンアメリカやフィリピンの大農場(ア CHAPTER3 仕事と生産性 107 図 3.7 零細企業での雇用比率が高い途上国 エチオピア エジプト インド ボリビア コロンビア ガーナ メキシコ ベネズエラ アルゼンチン ポーランド トルコ ハンガリー 南アフリカ ウルグアイ チェコ スロベニア チリ ルーマニア ベトナム 先進国(平均) 0 20 40 60 80 100 雇用に占めるシェア(%) 製造業セクター サービス・セクター 出処:世界開発報告 2013 担当チーム推計および EUROSTAT. 注:零細企業とは,正規,非正規を問わず,従業員 10 名未満の企業を指す.途上国のデータは以下の国を対象:アルゼンチン(2006-10),ボリビア (2005,2007),チリ (2006,2009),コロンビア (2009),チェコ (2005-07),エジプト (2006),エチオピア (1999),ガーナ (1991),ハンガリー (2007-08), インド (2004,2009),メキシコ (2004-10),ポーランド (2005-07),ルーマニア (2005-07),スロベニア (2005-07),南アフリカ (2005-07),トルコ (2006- 10),ウルグアイ (2009),ベネズエラ (2004-06),ベトナム (2009).先進国のデータは以下の国を対象:オーストリア,ベルギー,デンマーク,フィン ランド,フランス,ドイツ,ギリシャ,イタリア, ルクセンブルグ,オランダ,ノルウェー,ポルトガル,スペイン,スウェーデン,英国(いずれも . 2005-07) シエンダ),カリブの大農園(プランテーション) 1-3 名の企業で構成されている 25 . などがその実例である.サハラ以南アフリカでは広  ほとんどの雇用やほとんどの雇用創出は中小企業 大な地域が慣習地としても保有されている――拡張 で起こっているとしばしば主張されているが,それ 家族・部族・親族などによって集団的に所有されて は一般的に途上国では正しくはない.現実は,中所 21 いる . 得国でさえ,雇用のほとんどを占めているのは零細  農業以外では,零細企業と家内企業が支配的であ 企業や小企業なのである(図 3.7).そのシェアが る.アルゼンチン・ボリビア・エルサルバドル・メ 往々にして過小評価されている.というのは,経済 キシコにおいて登記されている製造業施設の 80% 統計のなかで工場レベルの調査は,企業が特に小規 22 以上は,従業員が 10 人未満である .中国・イン 模であるインフォーマル・セクターをほとんどカ ド・インドネシア・韓国・フィリピン・台湾の製 バーしていないからである.しかし,人口全体を代 造業施設の約 90%では,従業員数は 5-49 人にと 表する家計調査や労働力調査に基づくデータは違っ 23 どまっている .零細企業のシェアは製造業以外 た姿を提示している.このような小企業が製造業の ではさらに高く,メキシコのサービス業では 94%, 雇用では重要な役割を果たしている.それがエチ チュニジアのすべての近代的なセクターでは 98% オピアの製造業セクターの雇用の 97%,チリでは にも達している 24.アフリカとラテンアメリカの 39%を占めている.サービス・セクターではその 数カ国では,インフォーマル企業の大半は従業員 役割はもっと重要なことが多い.民間セクターの参 108 世界開発報告 2013 ボックス 3.2 雇用の創出と破壊のほとんどは零細企業で起こっている  一部の家計調査や労働力調査では,被雇用者は自分 布は,チリの家計調査である全国社会経済実態調査 が働いている企業の規模,あるいは,もし自営業者で (CASEN)から得られる工場規模別の雇用分布に基づ あれば自分の事業規模を報告するよう要請される.こ いて調整可能である.この調整を実施する前,仕事に の情報は工場規模別の雇用分布を推計するのに使うこ 関する創出と破壊のほとんどは大企業で起こっている とができる.この分布が今度は経済統計や工場レベル ようにみえる.しかし,調整後のデータが示すところ 調査におけるインフォーマル企業の除外を是正するの では,グロスの仕事フローのうち約 80%は零細企業 に使える. が占めている.この推定値は額面通り受け取るべきで  このアプローチがチリの製造業調査である全国工業 はない.というのは,雇用の創出・破壊に関する情報 調査年報に適用されていた.これは労働者 50 人以上 が入手可能な零細企業というのは,必ずしも代表的で の事業所における雇用の 90%以上を含んでいる.た はないからである.チリの国勢調査で零細企業が含ま だし,労働者 10-49 人の事業所における雇用のカバー れるようになったのは,ようやく 1900 年代後半のこ 率は半分以下にとどまっている.零細企業のほぼ 30 とであった.しかし,誤差を考えても,推定値はあま 万人の労働者が調査対象から漏れている.そのうち りに大きく,仕事の創出・破壊に関する姿を訂正しな 25 万人は従業員 5 人未満の企業で働いている. ければならない.  製造業調査からみえる企業規模別の仕事フローの分 a.調整前の企業規模別寄与度(2000-06 年) b.調整後の企業規模別寄与度(2000-06 年) 80 80 60 60 40 40 % % 20 20 0 0 0‒5 6‒9 10‒49 50‒199 > = 200 0‒5 6‒9 10‒49 50‒199 > = 200 企業の雇用規模 企業の雇用規模 雇用創出に占めるシェア(%) 雇用破壊に占めるシェア(%) 雇用創出に占めるシェア(%) 雇用破壊に占めるシェア(%) 雇用に占めるシェア(%) 雇用に占めるシェア(%) 入にはまだ 20 年間の歴史しかない東ヨーロッパで れているためである.この農場規模と生産性の逆関 さえ,零細企業は製造業雇用の 10-20%,サービ 係が初めて観察されたのは南アジアである 27.土地 ス業では 30-50%を占めている.零細企業と小企 に対する人口圧力が農業の集約化をもたらすのに 業は雇用の創造と破壊についても決定的に重要な役 伴って,サハラ以南アフリカでもその傾向がみられ 割を果たしている(ボックス 3.2)26 . るようになった.ケニア・マラウイ・タンザニア・ ウガンダでは,農場規模が 1%拡大すると収量は 0.1-02%減少する 28 .ヘクタール当たりの家族労 農場では技術進歩はまちまち 働の使用も農場規模と逆の相関関係にある 29.  一般的には,大きな農場の方が生産的であると想  作物収量と農場規模の間に関係があるのは,農場 定されている.しかし,低所得国では 1 ヘクタール は機械化されているほど生産性が高くなるからだ. 当たりの収量は小規模農場の方が多い傾向にある. しかし,土地市場の制約が通常は拡大や機械化にブ これは家族農場では購入した投入物の使用は少ない レーキをかけている 30. が,土地 1 単位当たりでみてより多くの労働が使わ  「緑の革命」の新技術は雇用創出に貢献したが, CHAPTER3 仕事と生産性 109 図 3.8 作物収量は地域によって大きな格差がある 6 中国,韓国,日本 5 ヘクタール当たりトン 4 ラテンアメリカ・カリブ 3 2 東南アジア・南アジア 1 サハラ以南アフリカ 0 61 64 67 70 73 76 79 82 85 88 91 94 97 00 03 06 09 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 20 20 20 20 出所:FAOSTAT-Agriculture (database), Food and Agriculture Organization, Rome. 注:数字は小麦・コメ・雑穀にかかわる収量の加重平均. それは労働集約的だったためである.丈が低く肥 増加は食料市場の発展を刺激し,都市に移住した 料レスポンスの良い高収量のコメや小麦の品種が, 人々にとって生活費を低位に維持してくれる.この 1960 年代後半に国際的な農業研究センターによっ ような後方や前方の連関に加えて,農民所得の増加 て開発された.トウモロコシなど他の穀物の品種改 は財・サービスに対する需要を増やす 37.各国横 良も後に続いた.このような品種に加えて改良され 断的な分析が示すところでは,農業の伸びは特に農 た生産の慣行が,特に熱帯アジアを中心にたちまち 業セクターが大きいところでは,非農業セクターの 普及した.無機肥料の使用量も長期間にわたって漸 拡大につながっている 38 . 増した 31.継続的な技術改善のおかげで,穀物収 量は過去数十年間にわたり激増した 32.  しかし,進歩は地域ごとにバラツキがある(図 企業の間では「大山鳴動してネズミ一匹」 3.8).サハラ以南アフリカでは,小規模農家の方が  農業以外では生産性は企業ごとに著しく異なり, 大規模農家よりも新技術の採用が遅い,という証拠 これは仕事の再配分によって生産性全体が大幅に上 はまったくない.しかし,限定的な可耕地に対する 昇し得ることを示唆している.インドでは,狭義の 人口の圧力を受けて農地は希少化していたにもかか 製造業をみると,TFP の百分比分布でみて 90 番目 33 わらず,緑の革命は大規模には発生しなかった . の工場は 10 番目の工場の 22 倍もの産出を生み出 サハラ以南アフリカ諸国としては,縮小している農 している.比較のためにアメリカをみると,この推 地で増加している人口を養っていくためには,穀物 定比率はわずか 9 対 1 である 39.TFP の分散はラ 34 収量を増やす必要がある .ところが,農業技術 テンアメリカの数カ国でも大きい(図 3.9).非製 というのは立地固有である.すなわち,アジアで改 造業企業に関する詳細なデータはもっと少ない.し 良された品種はサハラ以南アフリカでは生産的でな かし,メキシコの小売企業とウルグアイの通信・輸 い可能性があるし,灌漑地における高収量品種は雨 送企業における TFP の分散も非常に大きい 40. 35 水地では低収量にとどまる懸念がある .  生産性上昇のスピードも企業ごとに異なってい  緑の革命に関連した農業の伸びは農業の仕事を生 る.大企業は典型的には小企業よりも革新的であ み出しただけでなく,非農業セクターの発展も促進 る.機械により多く投資し,教育程度のより高い労 した 36 .近代的技術を採用すると,肥料やその他 働者を採用する傾向も強い.また,大企業は次のよ の購入投入物の生産や販売を刺激する.穀物供給の うな活動に従事している公算が小企業よりも高い: 110 世界開発報告 2013 図 3.9 製造業における生産性の分散は途上国の方が大きい アメリカ 中国 アルゼンチン エクアドル チリ ボリビア ウルグアイ エルサルバドル インド メキシコ 0 5 10 15 20 25 30 TFP 分布で 90 番目の百分位層と 10 番目の百分位層の生産性比率 出所:Pagés 2010. 注:TFP= 全要素生産性.図は狭く定義された産業のなかで,TFP 分布上 90 番目と 10 番目の百分位層の間で工場の TFP 比率を示したもの.TFP は Foster, Haltiwanger, and Syverson (2008) にならって,物理的な生産性で測定されている.カバーされているのは製造業だけ.以下の諸国が含まれてい る:アルゼンチン(2002 年) ,ボリビア(2001 年) ,中国(2005 年) ,チリ(2006 年) ,エルサルバドル(2005 年) ,エクアドル(2005 年) ,インド (1994 年) ,メキシコ(2004 年) ,アメリカ(1997 年) . ,ウルグアイ(2005 年) 新製品の開発,新技術の導入,工場の開設・閉鎖, 柔軟であった.その結果,このような若い企業は大 外部委託,外国パートナーとの合弁事業など(図 きな SOE よりもダイナミックであった.ただし, 3.10a).大企業は一定量の労働でより多くの生産 それらは大手や中堅の私営企業との比較では生産性 を行い,輸出の可能性が高く,輸出規模が大きい傾 が劣っていた 43 . 向にある.さらに,零細企業や小企業に比べて著し  途上国では,企業別にみた生産性や成長見込みに く高い賃金も支給している(図 3.10b).年齢・教 関する分散は,零細企業――その多くは貧困層に 育・その他の労働者の特性を制御しても,大企業は とって辛うじて最低限の生活の糧を提供している― 賃金プレミアムを支払っている.しかし,すべての ―が多数存在していることによっていっそう大きく 大企業が革新的なわけではない.規模が非市場性の なっている.このような零細企業の大半は資本が限 メカニズムによって維持されていると,効率性が犠 定的であり,往々にして住所さえ不定である.多く 牲になりやすい.外国の競争相手がいない大きな は農村部に所在しており,農閑期には余剰労働をあ SOE は他の大手企業よりも,革新性と生産性が劣っ る程度吸収している(ボックス 3.3).発展途上 18 41 ている . カ国の調査によると,1 日1ドル未満の生活をして  規模を所与とすると,若い企業の方が古い企業よ いる人々の割合は都市部で 44%に達し,農村部で りも革新的な活動に従事している可能性が高い.ま はそのうち 24%の人々が非農業セクターで働いて た,成長の展望も明るいが,これは先進国におけ いる.平均すれば,彼らの稼ぎは多くはない 44. る証拠とも整合的な発見である(図 3.11)42.例  にもかかわらず,このような非農業活動は貧困層 えば,中国が改革の初期段階にあった 1990 年代に にとっては,所得を多角化するのに重要な経路を提 は,人的・金銭的な資源は SOE に集中していた. 供している.サハラ以南アフリカ 9 カ国では,ほ しかし,このような企業のインセンティブ構造は革 とんどの非農業職は急速に拡大している民間賃金セ 新を阻害していていた.それとは対照的に,新しい クターに参入するのではなく,起業する家計によっ 郷鎮企業は新技術を採用したり,新機械を輸入した て創出されていた.家内企業からの所得が控え目で りする財源はもっていなかったものの,意思決定が はあるが,賃金雇用からの所得と同じように消費に CHAPTER3 仕事と生産性 111 図 3.10 大企業は小企業よりも業績と給与が良い傾向にある a.大企業はより生産的かつ革新的 労働生産性 賃金 b.大企業ほど賃金が高い 業績全体 輸出業者 6 輸出の対売上高比率 新製品ラインの追加 4 推定(%) 新技術の取り込み 既存製品ラインの格上げ 新工場の設立 2 製品を最低 1 つ廃止 革新的な活 動に従事す 外国パートナーとの合弁 る確率 新ライセンス契約の締結 0 0 20 50 80 120 既存工場を最低 1 つ閉鎖 零細企業に対する賃金格差(%) 主要業務の外部委託 従来外部委託していた業務を社内に戻す 小企業 大企業 0 10 20 30 40 50 60 70 格差(対小企業比%) 出所:Ayyagari, Demirgüç-Kunt, and Maksimovic 2011a;WDR 2013 のために書かれた Montenegro and Patrinos 2012 に基づく WDR 2013 チームの試算. 注:パネル a は業績全体に関して,発展途上 102 カ国の計 5 万 4,000 社を 2006-10 年について,革新的な活動に関しては,同 47 カ国 1 万 9,000 社を 2002-05 年についてカバーした世界銀行の企業調査を使っている.分析では企業特性・産業・国を制御している.このパネルでは大企業は従業員 100 人以上,小企業は同 20 人未満のところを指す.パネル b は 33 カ国の 1991-2010 年にわたる 138 件の家計調査や労働力調査を使用したが,労働者の 特性は制御した.このパネルでは大企業は従業員 50 人以上,小企業は同 10-50 人の企業を指す. 図 3.11 若い企業は古い企業よりも革新的な活動に従事している割合が高い 新技術の取り込み 新製品ラインの追加 新しいプラントの稼働 既存製品ラインの格上げ 従来外部委託していた業務を社内に戻す 外国パートナーとの合弁 主要業務の外部委託 新ライセンス契約の締結 既存工場を最低 1 つ閉鎖 製品を最低 1 つ廃止 ‒0.15 ‒0.1 ‒0.05 0 0.05 0.1 格差(1 年若い企業との対比,%) 出所:Ayyagari, Demirgüç-Kunt, and Maksimovic 2011a に基づく WDR 2013 チームの試算. 注:図は発展途上 47 カ国の計 1 万 9,000 社を 2002-05 年についてカバーした世界銀行の企業調査を,企業・特性・産業・国を制御して利用.統計的 に有意でない推定値はゼロとして計上. 112 世界開発報告 2013 ボックス 3.3 ほとんどの零細企業は農村部に所在し商業に従事している  都市部の零細企業,特にインフォーマル・セクター 料(16%),その他サービス(11.8%)である.同様に, のそれは,学者や政策当局の関心を引く傾向にある. アフリカとラテンアメリカ・カリブの諸国における調 しかし,零細企業は農村部でも目立っている.アフリ 査が示唆するところによれば,零細企業・小企業は都 カとラテンアメリカ・カリブにおける零細企業や小企 市部の場合は 56-74%が,農村部の場合は 60-70%が 業に関する調査が示すところでは,2 万人以上の都市 商業に携わっている.サハラ以南アフリカ諸国の家内 や町に所在するのは半分以下である.都市部のシェア 企業にかかわる調査も同じようなパターンを示してい はドミニカ共和国では 46%に達しているが,他の全 る.このような調査では次の 3 つの製造業がすべて 調査対象国では 30%未満である.農村部の町(一般 の諸国を通じて最も重要であることがわかった:繊維・ 的に住民 2,000-2 万人の地域)を算入しても,半分以 アパレル,食料・飲料,木材・森林製品.この 3 つ 上の企業はほとんどの諸国で厳密に農村部に所在して のカテゴリーが都市部では製造業企業の約 75%,農 いる. 村部では同約 90%を占めている.  零細企業の圧倒的な大多数は商業に従事しており,  零細企業のほとんどは自宅,あるいは路上で営業し 零細企業を露天商や小商いと結び付ける通念を下支 ている.サハラ以南アフリカの家内企業の調査による えしている.しかし,相当数は軽工業に関与してい と,このような零細企業の 25-45%が主要な営業拠点 る.西アフリカ諸国の 1-2-3 サーベイによれば,首 として自宅を使い,10-40%が要するに路上で働いて 都で最も重要なセクターは小商いであり(全企業の いる. 27.1%を占める),それに続くのはその他製造業と食 貢献している.また,このような小企業は貧しい家 す高成長企業――と類似性がある.先進国では, 計にとって,より生産的な活動に徐々に従事してい 「カモシカ」という言葉は売上が最低でも 100 万ド 45 く道を提供している . ルで起業した会社に使われるが,これは途上国の基  零細企業はグループとしてのパフォーマンスは精 準では非常に大規模である.しかしながら,同じダ 彩を欠いてはいるものの,個々には極めて多種多様 イナミズムがずっと小規模ではあるが発見される. である.中所得国では,零細企業や小企業のオー サハラ以南アフリカ 7 カ国からのデータが示すと ナーの相当な部分は,先進国の同業者と同じように ころによると,都市部のインフォーマル企業が保有 企業家精神に溢れている.彼らのパフォーマンスが する資本ストック(中位数)は 80 ドル未満,最上 芳しくないのは,能力が限定的なわけではなく,環 位 20%層の資本ストックは平均 5,000 ドルである. 境的な要因――信用へのアクセスが限定的なこと このような上位 20%層の平均月間利益は中位月間 や,技術や市場に対するアクセスに関して政策が誘 利益の 7 倍となっている.これら企業では資本利 発した障害があることなど――が原因とみられる. 益率も相対的に高い 47.零細企業の間における異 例えば,ラテンアメリカの数カ国では,自営業に参 質性は,零細企業が大きな生産的な企業にとって培 入した人は賃金ないし給与労働をしながら,人的・ 養器になり得るということを示している. 実物資本を蓄積した労働者であることが多い.零細  零細企業のダイナミズムは生活の糧としてだけで 企業の経営が彼らにとっての選択なのである.その なく,生産性の伸びにとっても重要である.大企業 なかで生産性水準の上昇を達成した人々は,事業を はより革新的かもしれないが,全社が生まれながら 継続し,拡大させ,他の人々を雇用する機会を生み にして大きかったわけではない.先進国では,ホン 46 出す可能性が大きい . ダからマイクロソフトに至るまでの,際立った成功  零細企業のうち非常に少数のグループは,実際に を成し遂げた企業もガレージで始まった.また,途 は堅調なパフォーマンスを示している.このグルー 上国の多くの成功企業も小さな家内企業から成長し プは先進国のいわゆる「カモシカ」(ガゼル企業) た.タイのチャルーン・ポーカパン・グループは ――4 年間以上にわたり年 20%強の売上増加を示 1921 年にバンコクで 2 人の兄弟が設立した小さな CHAPTER3 仕事と生産性 113 図 3.12 ガーナで生き残っている企業はポルトガルと比べて生まれながら大きく,あまり成長していない a.初年度:全企業対生き残り企業 ガーナ ポルトガル 0.4 0.4 生き残り企業は 0.3 生き残り企業は他の 0.3 他の企業に似ている 企業と比べ生まれつき 大きい 頻度 頻度 0.2 0.2 0.1 0.1 0 0 1 10 100 1,000 1 10 100 1,000 従業員数 従業員数 全企業(1988 年) 全企業(1984 年) 生き残り企業(1988 年) 生き残り企業(1984 年) b.生き残り企業:最終年度対初年度 ガーナ ポルトガル 0.4 0.4 生き残り企業は 成長した 0.3 0.3 生き残り企業は 頻度 頻度 0.2 成長していない 0.2 0.1 0.1 0 0 1 10 100 1,000 1 10 100 1,000 従業員数 従業員数 生き残り企業(1988 年) 生き残り企業(1984 年) 生き残り企業(2003 年) 生き残り企業(1991 年) 出所:Cabral and Mata 2003;Sandefur 2010. 種苗店であったが,農業関連ビジネスで世界最大 往々にして看過されている.大きくて古い企業は のコングロマリットの 1 つに成長し,世界 15 カ国 停滞する傾向にあり,小さい企業は乱高下しやす 48 で操業し,100 社近い会社を傘下に擁している . い.例えばガーナでは,多くの企業は大きく生まれ インドのタタ・グループはムンバイを基盤とする家 て,その後の 15 年間にほとんど成長を示していな 族所有による 19 世紀の貿易商社から,多国籍コン い(図 3.12).ポルトガルでは,それとは対照的に, グロマリットに転換した.世界の数大陸で 8 つの ずっと多くの企業が零細企業として誕生し,7 年間 事業セクターにまたがり,子会社・関連会社 114 で著しく成長している 51.インドでも大半の企業 49 社を擁している .温州の履物や電気製品の産業 は小さく生まれるが,小さいままにとどまり,ライ など,中国の成功している産業群の多くも,互いに フサイクルを通じて大きな雇用の変動を示すことが 近接して働いていた小さな家内企業から始まったも ない.内奥を窺わせるのは創業 35 年の企業と創業 のである 50. 時点の規模との比較である.インドでは,規模は 4  しかし,活気に溢れた企業のライフサイクルが 分の 3 に収縮している.メキシコでは 2 倍,アメ 114 世界開発報告 2013 図 3.13 インドとメキシコの大半の企業はほとんど成長していない a.企業の生涯にわたる雇用 b.企業の生涯にわたる生産性 11 11 10 10 9 9 8 8 生産性(創業時対比) 雇用(創業時対比) 7 7 6 6 5 5 4 4 3 3 2 2 1 1 0 0 5 9 4 9 4 9 4 35 5 9 4 9 4 9 4 35 <  5‒ ‒1 ‒1 ‒2 ‒2 ‒3 <  5‒ ‒1 ‒1 ‒2 ‒2 ‒3 ≥  ≥  10 15 20 25 30 10 15 20 25 30 創業年数 創業年数 インド メキシコ アメリカ 出所:Hsieh and Klenow 2011. 注:TFP= 全要素生産.図はさまざまな創業年数の企業の平均雇用(あるいは生産性)を,同一企業の創業時における平均雇用(あるいは生産性)と ,メキシコ(1998 年,2003 年) の対比で示したものである.同図は以下の諸国(対象年)のデータを用いて算出:インド(1989-90 年,1994-95 年) , . アメリカ(1992 年,97 年) リカでは 10 倍になっている(図 3.13a).これら 行国や東アジア諸国の高成長を下支えしていた市場 諸国では生産性の伸びも企業のライフサイクルにわ 選択や創造的な破壊のプロセスが,ほとんどの途上 たって,同じようなパターンをたどっている(図 国で弱いことを示している.この弱さを受けて,労 3.13b)52. 働はその他の資源が最も生産的な使途に向けて移動  途上国の零細企業や小企業の間では成長よりも, するのを阻害し,雇用創出と生産性の伸びの両方の 入れ替わりないし回転――比較的高い率での退出入 足を引っ張っている.新規設立企業が直面している ――がもっと一般的である.サハラ以南アフリカや 困難に取り組み,既存企業に対する制約を除去すれ ラテンアメリカの数カ国では,零細企業や小企業の ば,その利益は膨大になり得るだろうが,その課題 約 20%は,市場への参入と退出を同じ年にしてい は気が遠くなるほどである(質問 3)57. る.閉鎖の過半は起業から 3 年以内に起こってい る.生き残り企業をみると,従業員 4 人以上で成 * * * 53 長したのは 3%未満にとどまっている .ベトナ ムでは,家内企業の 20-30%は 2 年間で市場から  仕事は就業者やその人が所属する経済単位を超越 退出するが,家計企業の総数はほぼ横ばいにとど して,他人の生産性にインパクトを及ぼす.このよ まっている 54.サハラ以南アフリカでは,家庭を うな追加的なインパクトをもつ仕事は多かれ少なか 超えて雇用を拡大させた家内企業はほとんどない. れ開発に影響する.このような追加的インパクト それはエチオピア・タンザニア・マダガスカルの が生じるのは,仕事は互いに結び付く方法が異な 経験で示されている 55 .メキシコでは,零細企業 り,その結び付きの一部が市場を通じて生じないた を起業した個人というのは,企業規模を拡大する めである.機能的な都市では,アイデアは人々の間 よりも唯一の労働者にとどまる公算が大きい(表 でより効率的に交換されて,すべての人々をより生 56 3.1) . 産的にする.産業クラスターでは,互いに隣接して  一般の企業,多数の零細企業,及び大きな企業に 立地する同じような企業は,有資格労働者や共通支 おける停滞はすべて,過去数十年間における体制移 援サービスの幅広いプールから利益を享受する傾向 CHAPTER3 仕事と生産性 115 表 3.1 メキシコの小企業で成長を遂げたところは数が少ない 同一企業の規模(2011 年,%) 自己勘定 労働者 1-4 人 労働者 5-9 人 労働者人 10 人以上 規模別に 自己勘定 51.9 12.4  0.5  0.2 みた企業 労働者 1-4 人 22.1 49.2  3.9  1.5 (1987 年, %) 労働者 5-9 人 7.8 35.1 22.6 13.1 労働者 10 人以上 4.1 15.2 14.4 44.6 出所:Fajnzylber, Maloney, and Rojas 2006. 注:行の合計が 100%になっていないのは,このような企業のオーナーのなかには給与労働者や失業者になった人がいるため. にある.企業は貿易や投資を通じて外国企業と結び 付き,世界的な価値連鎖と統合する際に,より先進 的な知識・技術・経営ノウハウなどを修得すること ができる.このようなすべての方法を通じて,特定 の仕事は他人や経済の他の場所における生産性上昇 に貢献することができる.しかし,もし仕事が天然 資源を過剰使用し,環境を損傷し,したがって生産 性全体を削減すれば,その効果はマイナスになり得 る. 3 116 QUESTION 企業家精神は育成できるか?  途上国では自営業が一般的であり,零細企業や小 るのは,現実は楽観論と悲観論の間のどこかにある 企業は,低スキル労働者にとっては主要な生計源と ということだ:生存権が支配的かもしれないが,企 なっている.このようなちっぽけな経済単位のうち 業家精神がまったくないわけではなかろう. 1%でも存続可能な事業が構築できれば,他人を雇 用するようになって,生活水準に対する影響は全体 だれが企業家なのか? 的に顕著なものとなろう.その成功は生産性の観点  企業家精神というのは,新しいアイディアを実践 からも重要であろう.先進国で現在は大手といわれ する革新能力と,既知技術の限度内で企業の効率性 ている相当数の企業も,零細企業や小規模な家族企 を高める経営能力を組み合わせたものである.企業 業として創業している.それとは対照的に,途上国 家精神には次のような具体的な心理的特性が関係し では,多くの大企業は生まれながらにして大きい. ている:達成に対する個人的な欲求,個人的な努力 それは往々にして政府支援や,金融や情報への特権 が結果に影響を及ぼすという信念,自信,リスクに 的なアクセスの結果である.特権の打破ということ 対する積極的な態度など.このような特性は観察や が零細企業の成功がそれほど重要なもう 1 つの理 測定が困難である.しかし,中国やロシアなど多種 由である. 多様な諸国において,企業家とそれ以外の労働者を  自営業者の成功を助ける余地が存在するか否かに 比較した調査は,教育・経験・性別・場所・年齢な ついては,さまざまな意見がある.すべての自営業 ど観察可能な個人の特性は,企業家精神を予測する 者や零細企業オーナーは潜在的な企業家である―― うえで重要な要素であることを示している 61.零 厳しい規制と腐敗によって抑え込まれていただけで 細企業の資本利益率をみると,オーナーの教育程度 ある――とみなされた時期があった.零細企業や小 が高く,経験が豊かな方が高くなる傾向がみられ 企業の資本利益率の高さは,繁栄する潜在力をもっ る. 58 ている証左であるとみられた .しかし,振り子  そこで,自営業者の観察可能な特性を使えば,成 が逆に振れて,通念は今や悲観的である.途上国に 功する企業家を特定することができるだろう 62. おける多数の未登記の自営業者は繁栄しているわけ このポイントを例証するため,成功する企業家は他 ではなく,何とか帳尻を合わせようとしている最低 人を雇用し,貧困状態で生活していない人として定 限の企業家とみなされている 59.ラテンアメリカ 義する.このグループが総雇用に占めるシェアは小 と西アフリカの数カ国における零細企業や小企業の さく,発展段階とは無関係に各国で比較的安定して 成長に関する証拠が示すところでは,創業 2 年以 いる 63 .他方,有給従業員のいない自営労働者の 上の零細企業のほとんどは創業時の雇用水準にとど シェアは,1 人当たり GDP とともに当初は上昇す まっている 60.通念となった悲観論に定着してい .低所得 るが,その後は低下している(図 3.14a) るのは,企業家の能力やスキルというものは,特に 国におけるそのピークで,有給従業員のいない自営 フォーマルな教育が限定的な成人には容易に伝達す 労働者のシェアは総雇用のほぼ 5 分の 3 にも達し ることができないという発想である.この意見で ている.このグループのうち,大半は成功の潜在力 は,企業家というのは作られるのではなく,そうい がない個人である.彼らの特性は雇用者よりも賃金 う人として生まれるものなのである.仮にこの意見 労働者の方に近い 64. が正しいとすれば,生存権を企業家精神に転向させ  しかし,仮に潜在力の高い自営労働者 1 人 1 人 る試みは失敗せざるを得ない.しかし,零細企業も が追加的な仕事を 1 つでも生み出せば,総雇用は 含め,企業ごとの生産性の大きな格差が示唆してい 著しく増加するだろう.特に低所得国ではその効果 CHAPTER3 仕事と生産性 117 図 3.14 自営業者のなかには企業家として成功する潜在力をもった者もいる a.総雇用のなかで潜在力の高い / 低い b.潜在力の高い自営労働者が創出した 自営労働者のシェア 追加的な 1 つの仕事の雇用効果 70 9 60 8 7 対総労働力比(%) 対雇用シェア(%) 50 6 40 5 30 4 3 20 2 10 1 0 0 500 3,000 15,000 500 3,000 15,000 1 人当たり GDP(2005 年の PPP 米ドル) 1 人当たり GDP(2005 年の PPP 米ドル) 潜在力の低い自営労働者 雇用者 潜在力が高い自営労働者 出所:WDR 2013 のために書かれた Gindling and Newhouse 2012;36 カ国のデータに基づく WDR2013 の試算チーム. 注:GDP= 国内総生産.PPP= 購買力平価.パネル b で各点は国を著す. が大きくなるだろう(図 3.14b).そのような追加 企業や小企業の間で大きなバラツキがある.革新的 的な雇用創出は生産年齢人口のシェアとして,ケ ないし転換的な企業家と模倣的ないし生存的な企業 ニアでは 8%,エジプトでは 5%,コスタリカでは 家との区別がしばしばなされている 67.前者はシュ 4%に達する. ンペーター型の企業家,後者は総じて零細企業や小  この計算は仮説的ではあるが,いくつかの研究 企業を切り盛りしている追随者である.しかし,そ の報告によると,インフォーマルな零細企業や小 のような区別では転換的企業家と生存的企業家とい 企業のオーナーの観察可能な特性――教育や性別 う両極端の間に横たわっている,経営パフォーマン など――は,革新や雇用の伸びにとって重要な決 スの広範な等級付けが把握できていない.サハラ以 65 定要因である .メキシコでは,企業登記制度の 南アフリカの零細企業や小企業のオーナーが採用し 改革を受けて,フォーマルな企業のオーナーの間 ている多数の経営慣行に関する研究から,経営者の にみられるのと同じような観察可能な特性を有す 特性は広範囲に及ぶことが明らかになっている(図 るインフォーマル企業のオーナーは,賃金労働者 3.15).このような得点は企業パフォーマンスと密 と同じようなオーナーと比べて,会社登記に前向 接な関係がある 68 .経営の特性の幅広い分散はイ 66 きになった . ンドの比較的大きい企業の間でもみられる 69.  新たに出現してきている文献では,企業の生産性 何が企業家精神を制約しているか? を説明するのに経営慣行が重要であることが確認さ  潜在的なスキルをもっている企業家でさえ,基本 れている.多くは大企業に注目しているものの,最 的なインフラや金融資源へのアクセスがなければ成 近の研究では中小企業で革新がどのようにして起こ 功は困難であろう.それがなければ,経営能力だけ るのかに関心が向けられている.最も多くを物語っ では生産性の伸びや雇用の増加を実現するのに十分 ている研究はランダムに選定された企業に無償で提 でない可能性があろう.投資環境も企業パフォーマ 供された経営研修に関するもので,そのパフォーマ ンスにとって重要である.つまり,企業の成長に対 ンスが対象群の企業のものと比較されている.この する障害を除去することが,企業家精神を育むため プログラムの評価は,研修のおかげで企業オーナー の前提条件なのである. の財務知識や基本的な経営スキルが改善したことを  障害は別としても,企業家としての能力には零細 示した.推定される影響もプラスであったが,業績 118 世界開発報告 2013 図 3.15 サハラ以南アフリカの小企業では経営得点に大きなバラツキがある 9 8 7 6 シェア(%) 5 4 3 2 1 0 1 6 11 16 21 26 経営得点 出所:Fafchamps and Woodruff 2012. 注:経営得点は企業オーナーがコアな経営やビジネスのスキルを使用・修得している度合いを測定している.得点は 26 個のテクニックに関する評価 . に基づく(26 が可能な最高点) 改善や仕事創出となるとさほど大きな成果はなかっ いるからである.おそらくもっと重要なことに,企 た.より大きな成果があったのは,当初から概念を 業家自身が経営知識の適切性を認識していないから すでに理解し,財務資源へのアクセスが良かった企 であろう 72.例えば,ブラジルでは零細企業や小 業オーナーであった. 企業のオーナーのうち,経営管理を強い制約要因で  一方,零細企業に財務資源を供与する,当局への あるとみなしているのはわずか 3%にとどまってい 登記を処理する,追加的な従業員の給与を支給す る 73 .これは情報や知識の欠如が問題となる重要 る,といった類似の設計の介入策が業績にもたらし な分野であり,それが低生産性・低生活水準・不十 70 たインパクトはまちまちであった .メキシコと 分な雇用創出という悪循環につながっている公算を スリランカでは,零細企業に供された補助金はオー 示唆している. ナーの所得を増やすだけで――しかもそれが男性の  スキルを修得して,それを事業に適用する能力 場合に限って――,雇用の創出には帰結していな が,企業家が成功するための最も重要な特性の 1 い.ガーナでは女性の企業オーナーに供与された類 つのようである.また,成功は社会的スキルに加 似の補助金は,零細企業の大幅な成長にはつながら えて,数的処理能力や読み書き能力など最も重要 なかった.スリランカでは,労働者 1 人を 6 カ月 なスキルをもっていることにも依存している.膨 間雇用するコストの 50%,追加的な 2 カ月間のコ 大な文献が企業家の学校教育が企業の成長・雇用・ ストの 25%を負担する賃金補助金制度を利用した 効率性にとって,重要な決定要因であることを強 のは,適格な零細企業のわずか 22%にとどまった. 調している 74 .ロシアや中国の企業オーナーをみ 全体として,このような結果は金融アクセスの欠如 ると,家族や子供の友人の間に――他の点では同 が唯一の制約でないことを示唆している. じような人々の間に――企業家が多いようである.  企業オーナーの教育や研修参加で測定した企業家 これは社会環境も重要であることを示唆するもの スキルは,途上国では企業や地域ごとにみられる生 であろう 75 . 71 産性格差の大きな部分を説明している .にもか  学習は仕事を通じても起こる.エチオピアの 50 かわらず,市場は企業家精神を育てることに失敗し 大製造業企業を経営している企業家のほぼ半分は, ている.これは知識の波及効果が示唆しているとこ 貿易会社として創業しており,市場や需要に応じる ろによると,新しい経営アイディアの修得ないし開 方法のことを学んでいる 76 .アジアやサハラ以南 発にかかわる利益の一部は他人によって盗用されて アフリカの軽工業に従事している大勢の創業者や主 CHAPTER3 仕事と生産性 119 導的な企業家は,当初は大手企業のマーケティング スであれ重要な要素であるが,問題は普及させ,育 77 セクターのトレーダーや従業員であった . てること可能かどうかにある.  供給チェーンの,大きな,しばしば外国の企業と  近年,膨大な数の実験が行われて,経営研修介入 の統合が,知識移転の潜在的な源泉として大きな関 策にかかわる成否両方の証拠が提供されている.入 78 心を集めている .シリコン・バレーから帰国し 手可能な証拠の体系的なレビューから一定のパター たインドの企業家は,バンガロールを情報技術産業 ンが見えてきている.成功するためには,経営研修 のハブにした.おそらく海外からの学習の重要性を は単純にし,適切な教材を入手可能にし,一定の最 証明する最も劇的な証拠は,バングラデシュの衣服 低期間にわたり継続しなければならない.教室での 産業の事例に見出すことができる(ボックス 3.4). 講義を講師が職場のトレーニーを訪問することで完 了すると,著しいプラス効果を生み出すことがで 対象を絞った経営研修の主張 きる 80.例えば,メキシコでは,そのような現場  経営慣行は生産性・収益性・成長性・生き残りに 訪問は売上・利益・生産性の改善につながった 81. かかわる格差と連動している 79.バングラデシュ しかしガーナでは,零細企業の現場訪問や支援は成 の衣服産業の発展経験は次のことを示唆している: 功しなかった 82.重要な経営スキルは研修プログ 企業家精神は先進的な経営の慣行や技術を経験させ ラムを通じるよりも,大きな生産的な企業における ることによって育てることが可能である.しかし, 業務経験を通じて,より効果的に修得できるという 経営能力が経営研修を通じて改善可能か否かについ こともあり得よう 83 . ては,更なる議論の余地があろう.独創性・先見  女性向けの企業家精神研修は成果がまちまちであ 性・リスクテイキングはどのような革新的なプロセ る.女性の企業家精神の育成には,女性雇用に関連 ボックス 3.4 バングラデシュにおける衣服産業のブームは何が原因なのか?  バングラデシュの衣服産業は,先進的な経営慣行・ 国際調達・マーケティング・サンプル制作・デザイン マーケティング・技術を海外から学ぶことがいかに重 見直しなどを含む多種多様な貴重なサービスを提供す 要かを例証している.韓国の大宇実業がバングラデシュ ることによって,衣服産業の拡大に貢献した. のデシュ社と組んで,バングラデシュで輸出用に衣服  デシュ社の輸出における幸先の良い出足や,その後 を生産すると 1979 年に発表した時,南アジアには近 の元デシュ社従業員による成功を見ていた教育水準の 代的な産業が存在していなかった.20 年あまり後,同 高い人々も,自分で衣服事業を始め,富裕階層も同産 産業は 125 億ドルを超える輸出収入を生み出している. 業に積極的に投資した.その結果,衣服企業は創業時 360 万人に達する労働者の 80%は女性であった. との比較では極めて大きくなった.平均的な規模を従  おそらく,金融革新から政策支援に至るまでの広範 業員数でみると,1983-85 年 300 人,2010-11 年 700 囲にわたる要因が,この発展の成功に貢献している. 人となっている.2005 年現在,衣服企業オーナーの学 しかし,それが始まったのは 1979 年のことであった. 校教育は平均 15 年間に達し,その約 60%は短大ない デシュ社は新規に採用した教育のある従業員 120 人を し大学の教育を修了していた. 韓国にある大宇の衣服工場に派遣した.彼らはそこで  海外からの学習は継続している.一部の企業家はシ 8 カ月間にわたる集中研修コースに参加し,縫製スキ ンガポール・日本・ヨーロッパで研修プログラムに参 ル・工場管理・品質管理・国際調達・マーケティング 加した.韓国の衣服企業以外でも,東アジアの他の新 などの話題を学習した.そのスキルをバングラデシュ 興工業国も大宇の後を追ってバングラデシュに進出し, のデシュ社の工場に適用した.2-3 年のうちに,ほぼ そこのマネジャーや労働者の研修に投資している.つ すべての研修生がデシュ社を辞職して独自の衣服企業 まり,バングラデシュの大勢の貿易業者や製造業者は を設立した.元デシュ社の労働者のなかには裕福なビ 現在の事業を始める以前に,合弁会社で働いていたこ ジネスマンが新規に設立した衣服工場に転職した者も とも含めて,衣服の貿易や生産に関する業務を経験し いれば,自分の貿易商社を創設した者もいる.それが ていたのである. 出所:Bangladesh Knitwear Manufacturers and Exporters Association 2012; Easterly 2002; Mottaleb and Sonobe 2011; Rhee 1990. 120 世界開発報告 2013 した広範な社会的利益を生み出す潜在性がある.そ を把握するために設問された調査表である 87.経 れには特に子供を含めて家族の福祉を改善するよう 営研修自体はふるいにかける手段として使うことが な,家計における資源配分の変化などが含まれる. できる.潜在力の高いトレーニーは研修の結果とし 女性の企業家精神はしばしば,女性が仕事と家族の て,しばしば新しい投資を実施して雇用を拡大して 役割を調整できるような雇用機会を女性に提供す いる.金融機関はそのような活動を潜在的に高い投 る.にもかかわらず,ペルーでは女性の零細企業家 資収益率の兆候とみなすことができる.経営研修を に教室での研修を提供しても,売上や利益など重要 財務支援と組み合わせたプログラムは,途上国では な業績に何の効果もなかった.ただし,業務慣行の より良い企業業績を生み出している 88 . なかには改善したものもあった 84.しかし,現場  研修プログラムは民間提供者によって実施し,自 訪問で完了した教室研修はプラスの結果をもたらし 分たちが投資している企業家の成功に大きな関心を 85 た .パキスタンやタンザニアでは,経営研修は 抱いている民間投資家によってファイナンスするこ 男性については経営慣行や業績の改善につながった とができる.しかし,知識の波及効果があり,経営 が,女性企業家については何の影響もなかった 86 . の専門知識の重要性が過小評価されている限り,政 このような多種多様な結果は,社会のなかで女性が 府には果たすべき役割があるだろう.企業オーナー 直面している幅広い制約を反映している可能性もあ の間で能力に格差があることを考えると,公的資金 り,それには学校における有効な学習の利用状況が でファイナンスしたプログラムでプラスの収益率を 含まれる. 確保するためには,適切な対象の絞り込みが極めて  研修の評価から出てきた共通の発見は,経営慣行 重要である.ガーナ・タンザニア・ベトナムにおけ を吸収する潜在力は受益者の間で大きなバラツキが るランダムな実験が示唆するところによると,その あるということである.容易に観察可能な個人の特 ようなプログラムの利益は総じてコストを凌駕して 性が,経営訓練から利益を享受する潜在性が最大の いる.ただし,研修プログラム実施のコストには著 企業オーナーを特定するのに役立つ.零細企業や小 しいバラツキがある 89.しかし,総合的な投資環 企業の潜在的な成長力を特定し,ランク付けするの 境が民間セクターの成長にとって優しくないとすれ に専門家パネルを使うこともできようが,そのよう ば,事業スキル改善のための対象を絞った研修プロ な手法は大規模に適用するには高価で困難である. グラムもわずかな成果しか期待できない可能性が大 有効な代替策は研修候補者の能力・態度・経営得点 きいだろう. CHAPTER3 仕事と生産性 121 注 Survey of Chile;Ethiopia Large and Medium 1. 図 3.1 では雇用の代わりに労働力を使った.長期 (10 Scale Manufacturing and Electricity Industries 年間 ) でみると,失業率の変化は総じて小さく,一 Survey に基づく WDR 2013 チームの推定. 国の雇用は労働力の規模に牽引される. 14. Dutz 他 2011. 2. Haltiwanger 2011;Schumpeter 1934. 15. Bartelsman, Haltiwanger, and Scarpetta 2004; 3. グロスの雇用創出は総雇用に対するすべての追加の Rutkowski 他 2005. 総計になる.それが生じるのは拡大している経済 16. Brandt and Rawski 2008;World Bank and 単位が労働者を採用したり,新しい経済単位が作り the People's Republic of China Development 出されたりする時である.原則として,経済単位 Research Center of the State Council 2012. は 1 人だけの零細企業でもいいが,ほとんどの定量 17. Brandt, Hsieh, and Zhu 2008;Brandt and 的分析は労働者数名を雇用している事務所を対象に Rawski 2008;Brandt, van Biesebroeck, and している.グロスの雇用破壊はすべての雇用損失の Zhang 2012. 総計である.それは経済単位が閉鎖したり,あるい 18. Hayami and Otsuka 1993. は規模を縮小したりする時に生じる.ネットの雇用 19. 南アフリカは本図から除外されている.というのは, 創出はこのような 2 つのグロスのフローの差異であ 平均的な農場規模が 288 ヘクタールと特異な値だか る.雇用の創出や破壊の率は,特定期間中(典型的 らである. には 1 年間)にいくつの雇用ポジションが出現した 20. 事実,サハラ以南アフリカでは賃貸市場が出現しつ り消滅したりするかを,既存のポジション数との対 つある.Holden, Otsuka, and Place 2009 を参照. 比で測定するものである.次を参照:Bartelsman, 21. Otsuka and Place 2001. Haltiwanger, and Scarpetta 2009b; Davis, 22. Pagés 2010. Haltiwanger, and Schuh 1996. 23. ADB 2009.分析は次の諸国(時期)にかかわるデー 4. Kucera and Roncolato 2012;McMillan and ; インドネシア タに基づく:インド(2004-05 年) Rodrik 2011;Pieper 2000;Timmer and de ; (2006 年) ; 韓国(2004 年) ; フィリピン(2005 年) Vries 2009. 台湾(2006 年). 5. World Bank 2009. 24. WDR 2013 の た め に 書 か れ た Rijkers 他 2012; 6. Duranton 2007;WDR 2013 の た め に 書 か れ た Pagés 2010. Duranton 2012;Duranton and Puga 2001; 25. Grimm, Kruger, and Lay 2011; Liedholm 2002. Henderson 2002. 26. 世 界 銀 行 の 企 業 調 査 に 基 づ く 分 析 に 関 し て は 7. Park 他 2011;World Bank 2011b. Ayyagari, Demirgüç-Kunt, and Maksimovic 8. Ghani, Goswami, and Kerr 2012. (2011b)も参照.分析の示唆によると,小企業は雇 9. 企業のダイナミクス別に生産性の伸びを分解する 用と雇用創出に著しく貢献している. 方 法 に 関 す る 議 論 に つ い て は 次 を 参 照:Foster, 27. このテーマに関しては膨大な文献がある.次を参 Haltiwanger, and Krizan 2001;Griliches and 照:Barrett, Bellemare, and Hou 2010;Carletto, Regev 1992. Savastano, and Zezza 2011;WDR 2013 のため 10. Bartelsman and Doms 2000;Bartelsman, に書かれた Larson 他 2012. Haltiwanger, and Scarpetta 2004;Foster, 28. Holden, Otsuka, and Place 2009;WDR 2013 の Haltiwanger, and Krizan 2001;Roberts 1996; ために書かれた Larson 他 2012. Syverson 2011;Tybout 1996,2000. 企 業 別 生 29. 例えば,2007 年のケニアでは,(規模でみて)最上 産性の分散はそれ自体では,雇用の創出や再配分の 位 25%層については,トウモロコシ生産で 1 ヘク プロセスにかかわる効率性を測定するのに必ずしも タール当たりの家族労働投入は 418 時間であったが, 十分ではない.市場構造や制度の不備がプロセスを 最下位 25%層では同投入は 1,032 時間に達した. 歪めることがあるためである. Haltiwanger 2011; 30. 正の相関関係は日本など高賃金国だけでなく,最近は Nelson 1981 を参照. インドでも発見されている.次を参照:Foster and 11. Bartelsman, Haltiwanger, and Scarpetta 2004; Rosenzweig 2011;Hayami and Kawagoe 1989. Tybout 1996. 31. Evenson and Gollin 2003. 12. Baily, Bartelsman, and Haltiwanger 1996. 32. World Bank 2007.農業技術の改善は同セクターの 13. Amadeus Database;Annual National Industrial 生産性の急成長と,生産性全体の収斂につながるか 122 世界開発報告 2013 もしれない.Martin and Mitra (2001) が 50 カ国 52. Hsieh and Klenow 2011. の 1967-92 年のデータに基づいて発見したところで 53. Liedholm 2002;Mead and Liedholm 1998. は,農業の生産性の伸びはこれら諸国ではこの期間 54. 1-2-3 Survey の結果. について製造業を凌駕した. 55. Grimm, Kruger, and Lay 2011;Kinda and 33. しかし,TFP は 1990 年代初めから上昇しており, Loening 2008;Loening and Imru 2009. それは緑の革命がサハラ以南アフリカの一部の地域 56. Fajnzylber, Maloney, and Rojas 2006. では発生していたことを示唆している.Block 2012 57. Bartelsman, Haltiwanger, and Scarpetta 2009a; を参照. Haltiwanger 2011;Hsieh and Klenow 2009; 34. Hayami and Ruttan 1985. Syverson 2011. 35. David and Otsuka 1994. 58. Banerjee and Duflo 2004;Banerjee 他 2009;de 36. Ravallion 2005;Ravallion and Chen 2007. Mel, McKenzie, and Woodruff 2008a; Göbel, 37. Haggblade, Hazell, and Reardon 2007. Grimm, and Lay 2011;Grimm, Kruger, and Lay 38. Christiaensen, Demery, and Kuhl 2011. 2011;McKenzie and Woodruff 2008. 39. Hsieh and Klenow 2009. 59. Banerjee and Duflo 2011;Schoar 2010;Sutton 40. Pagés 2010. 数 字 は Foster, Haltiwanger, and and Kellow 2010;Tokman 2007.もっと前向き Syverson (2008) が定義した物的生産性(あるいは な意見に関しては次を参照:de Soto 1989;Yunus TFPQ) に基づいている.この要因は投入 1 単位当た and Jolis 1999. りの実質産出に関する指標であり,工場レベルの価 60. Fajnzylber, Maloney, and Rojas 2006;2009-10 格デフレーターを使って算出されている.TFPQ は 年に実施された世界銀行のインフォーマル企業に関 TFPR――産業レベルの価格デフレーターを使って する調査の結果. 計算される TFPQ にとって収入の代理変数――より 61. Djankov 他 2005, 2006b.高い潜在力をもつ企業 も正確である.TFPQ の方が指標としては好まれて 家に対象を絞った政策を策定するに当たって,企業 いる.というのは,TFPR は数量と価格の効果が組 家精神の動因の重要さを解明することに関しては み合わさっているためである.数量や価格は需要要 Vivarelli (2012) も参照. 因・品質の相違・利益率・潜在的な歪みなどに影響 62. 潜在力の高い企業家を特定するこのテクニックの方 される.TFPR に基づく従来の研究のサーベイが発 法論的な詳細については次を参照:WDR 2013 の 見したところによれば,途上国では生産性の分散は た め に 書 か れ た Gindling and Newhouse 2012; 大きくない.しかし,このような研究はあまり有益 WDR 2013 のために書かれた Grimm, Knorringa, ではない.なぜならば,旧式の方法論に基づいてい and Lay 2012. るためである.Tybout 2000 参照. 63. WDR 2013 の た め に 書 か れ た Gindling and 41. Ayyagari, Demirgüç-Kunt, and Maksimovic Newhouse 2012. 2011a. 64. de Mel, McKenzie, and Woodruff 2008b. 42. Ayyagari, Demirgüç-Kunt, and Maksimovic 65. de Mel, McKenzie, and Woodruff 2009; Sonobe 2011a;Haltiwanger, Jarmin, and Miranda and Otsuka 2006; Sonobe and Otsuka 2011. 2010. 66. Bruhn 2008. 43. Lin 2012;Wang and Yao 1999. 67. Baumol 2010;Schoar 2010. 44. Banerjee and Duflo 2011;Fox and Sohnesen 68. Fafchamps and Woodruff 2012. 2012;Schoar 2010;Sutton and Kellow 2010. 69. Bloom 他 2011. 45. Fox and Sohnesen 2012. 70. de Mel, McKenzie, and Woodruff 2010; 46. Perry 他 2007. Fafchamps 他 2011;McKenzie 2010. 47. Grimm, Kruger, and Lay 2011;McKenzie and 71. Gennaioli 他 2011;Kelley, Bosma, and Amorós Woodruff 2008. 2010;van der Sluis, van Praag, and Vijverberg 48. Mertens 2011;The Economist 2001;Charoen 2005. Pokphand Group(www.cpthailand.com) . 72. Bloom 他 2011;Mano 他 2011. 49. Kasbekar 2007;Witze 2010. 73. ブラジルの ECINF 2003 survey に基づく推定. 50. Sonobe, Hu, and Otsuka 2004. 74. Fafchamps and Woodruff 2012;WDR 2013 の 51. Sandefur 2010. た め に 書 か れ た Gindling and Newhouse 2012; CHAPTER3 仕事と生産性 123 Grimm, Kruger, and Lay 2011;Otsuka and Ayyagari, Meghana, Asli Demirgüç-Kunt, and Vo- Sonobe 2011;Sonobe and Otsuka 2006. jislav Maksimovic. 2011a. “Firm Innovation in Emerging Markets: The Role of Finance, Gov- 75. Sutton and Kellow 2010. ernance, and Competition.” Journal of Financial 76. Otsuka and Sonobe 2011;Sonobe and Otsuka and Quantitative Analysis 46(6): 1545–80. 2006. ———. 2011b. “Small vs. Young Firms across the 77. Djankov 他 2006a,2006b. World: Contribution to Employment, Job Cre- 78. Inter-American Development Bank に よ る 次 の ation, and Growth.” Policy Research Working Pa- per Series 5631, World Bank, Washington, DC. イ ニ シ ア テ ィ ブ を 参 照:"Bringing Market-Based Baily, Martin Neil, Eric J. 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Journal of Economic Literature 49: (2), 326–65. 4 128 世界開発報告 2013 CHAPTER 仕事と社会的一体感  仕事は人々の社会的な相互作用を促進し,集団的意思決定を社会として管理する方 法に貢献することができる.このことにより,人々は他人と結び付き,発言権を利用 することができるようになる.  仕事は自分がだれであるかや他人との関係に影響する.ほとんどの社会では,仕事 は自尊心や社会的アイデンティティの基本的な源泉である.歴史的にみると,一部の 文化では,家名は特定の職業と結び付いていた.人々は何をしているかによってみず からを定義していたのである.英語のミラー(粉屋),ショナ語のフルツァ(農民の 親方),ヒンディ語のスタール(大工)などがその例である.  仕事はネットワークを通じて人々を他人に結び付ける.職場は新しい考えや情報に 遭遇し,多種多様な民族の人々と相互交流する場所になり得る.社会における仕事の 分布や,有利な条件を利用できるのは誰でありその理由は何か,に対する感じ方は, 将来に対する人々の期待や抱負,社会に利害関係をもっているという感覚,公平感な どを形成する.  仕事に関する個人へのこのような影響は集団的な結末をもたらすだろう.就業の有 無は社会的一体感の重要な要素,すなわち集団的な意思決定を平和裡に管理する社会 の能力に影響する.「アラブの春」の際,失業中の若者の欲求不満が示唆したのは, 仕事の欠如が社会不安の源泉になり得るということであったが,それは仕事と社会的 一体感の関係が単純・即座・直接的であるということを意味するものではない.その 関係はむしろ状況次第であり,個人・その価値観・態度・行動・それらを取り巻く制 度によって規定される.また,それは一方通行ではなく双方向的である:社会的一体 感も企業家が投資決定を行う状況を形作ることによって仕事に影響し得る.  仕事と社会的一体感の結び付きに関する実証的な証拠は次のような理由から限定的 である:データの制約,社会的相互作用の測定にかかわる複雑さ,社会的一体感には 多種多様な要因が寄与していることなど.しかし,価値観調査を国際比較した分析に よって,失職や仕事へのアクセス欠如と,信頼や市民的社会参画にかかわる水準の低 下との間には相関関係があることが明らかにされている.これはしばしば指摘されて いるように,富裕国だけの現象ではない.失業はうつ病を引き起こし,他人に対する 不信を高め,コミュニティ生活からの脱落につながることがある.社会的な絆をもた ない移住労働者は,新しい環境のなかで成功が可能かもしれない仕事の機会から排除 される公算があろう.極端な場合,仮に特に若者を中心に人々に仕事がない状況下 CHAPTER4 仕事と社会的一体感 129 で,将来に希望をつなぐためには,仕事が提供して しかし,全体として,社会的一体感は社会が集団的 くれる自尊心や一体感の欠如を補償すべく,暴力的 な意思決定を平和裡に管理する能力を指す 5 .した あるいは犯罪的な行動に走る懸念があろう.将来の がって,社会的一体感はグループがどのように相互 機会が限定的な,あるいは発言権を行使できない求 交流するかを形作るプロセスや制度に関係がある. 人は疎外や欲求不満につながりかねない. 必ずしも集団的な意思決定は上から強制されるべき  ある仕事は,社会的一体感との間に正の相関関係 だということを意味するものではなく,それどころ がある.エンパワーし,エージェンシーを構築し, か,多種多様なグループの発言権・説明責任・包容 発言権を利用する機会を提供する仕事は,信頼と市 的な参加が,結束力のある社会にとって有益であ 民社会に参加しようという人々の積極性を高める. る. 仕事は経済的・社会的な絆を生み出し,境界をまた いで作用し,紛争を解決するインセンティブを生み 信頼と市民的社会参画は重要である 出す潜在力をもっている.また,仕事の機会が今  平和的な集団的意思決定を下支えする国の能力に あるいは将来的に入手可能であると信じていれば, は多数の要因が絡んでいる.それに含まれるのは制 人々の政府に対する信頼や制度に対する信認は高ま 度の質,グループ間の関係,紛争解決のための経路 るかもしれない.仕事は社会的なアイデンティティ の有効性などである.政治的安定性・暴力の不在・ やネットワーク,公平性に対する影響を通じて,社 発言権・説明責任などに関する各国横断的なデータ 会的一体感に影響を及ぼすことができる. を使えば,国レベルで社会的一体感にかかわる指数 を構築することができるだろう 6 .ノルディック諸 国・スイス・ニュージーランドはこの指数で高得点 仕事は社会的緊張を管理するのに役立つ を取っている.指数は静態的な尺度ではあるが,平  金融危機や「アラブの春」に関するニュース報 和的な意思決定の能力は社会の変化に伴って――都 道によって,特に若者を中心とする失業は社会不 市化・女性雇用の増加・中流階級の成長などを通じ 安や暴動を引き起こすことがある,という共通の て――,時とともに変化し得る. 感 情 が 広 ま っ た 1.2010 年 9 月,『テレグラフ』  仕事を通じた相互作用の性格がコミュニティや社 紙の見出しはこう伝えた:国際通貨基金(IMF) 会における社会的一体感の程度に影響する.信頼や と国際労働機関(ILO)のサミットに先駆けて, 市民的社会参画というのは,個人レベルの社会的一 「IMF は世界的な仕事の危機から『社会的な爆発』 体感について測定可能な 2 つの指標である.この が発生するのを恐れている」2 .2011 年,『ル・モ よう指標は平和的な集団的意思決定の能力にかかわ ンド』紙はチュニジアの仕事と社会不安を,次の る国レベルの指数と関係がある(図 4.1). ように社会正義に関する懸念に結び付けた:「抗議  信頼というのは,個人が家族や隣人を含め個人的 者は政府に仕事を見付けてくれと要求しているわ に知っている人々に対してもっている信認の程度を けではなく,労働市場における透明性と正義の欠 指す 7.また,初めて会った人や,宗教や国籍が違 如を非難している」3 .チュニジアの革命で引き金 う人々に対する信頼を指すこともある.市民的社会 になったのは,仕事をするのに必要な許可が得ら 参画はコミュニティ組織・組合・政党・宗教団体に れなかった果物売りの抗議であった.2011 年夏に 参加したり,市民生活に関与したりすることによっ イギリスで発生した暴動の大きな要因は,高水準 て,人々が市民社会に自主的に参加している程度を 4 の若年失業であった . とらえるものである.このような形の関与や積極主  このような事件が示唆しているのは,仕事は社会 義には,社会的一体感にとって建設的であり得る抗 的一体感に貢献できるということである.これには 議運動への参加など,非暴力的な活動も含まれる. 社会が意見の相違をどう処理するか,さまざまなグ 市民的社会参画というのは個人をして集団的行動の ループ間の緊張をどう管理するか,紛争をどう回避 一環を担おう,という気にさせる社会資本・参加・ し解決するかなどが含まれる.社会的一体感の定義 エージェンシーに関係している. についてはさまざまな方法がある(ボックス 4.1). 130 世界開発報告 2013 ボックス 4.1 社会的一体感とは何か?  この概念はイブン・ハルドゥーンという 15 世紀に カースト・言語など)の性格と程度」として定義して チュニスに生まれたイスラム学者の著作にまで遡るこ いる d. とができる.彼のアサビヤという考えは一般に「社会  社会的一体感には多数の定義があり,注目点や強調 的一体感」と翻訳されている.多種多様な紛争の時期 点は異なるものの,いくつかの共通点がわかっている: に生きていたハルドゥーンは,アサビヤを幅広い社会 的統合を促進する力をもった小グループ(部族)の連 • 社会的一体感は総じて肯定的な概念だとみられて a 帯とみなした . いる.それは手段であると同時に,それ自体が目  4 世紀後,エミール・デュルケームは一体感を社会 的になり得る.OECD は統合的社会のことを「そ b 的転換の状況のなかで考えた .彼は特にヨーロッパ のすべてのメンバーの福祉に向けて機能する」社 の工業化を通じて台頭してきた,2 つの相異なる種類 会と説明している e.フランスの計画庁は社会的 の連帯に関心をもった.彼の発見では,原始的な社会 一体感を次のように定義している:「個人に同じ は機械的な連帯と,生活と仕事に関する比較的同質的 コミュニティに所属しているという感覚や,個人 なパターンに基づく強い集団的な精神を特徴としてい がコミュニティのメンバーとして認められている た.それとは対照的に,先進的な資本主義社会は分業 という感情を抱かせるのに役立つ一連の社会的プ が複雑で,能力に基づく有機的な連帯,労働力のなか ロセス」f. でさまざまな役割に対する尊敬,道徳的な規則の必要 • 社会的一体感は個人・グループ・社会の間の相互 性を特徴としていた. 作用に関係している.このような相互作用は「個  もっと最近なると,社会的一体感は社会資本に関係 人を属しているグループ内にとどめておく力」で 付けられている.1990 年代にピエール・ブルデュー あり,多種多様なグループを相互に結び付けるも 他はグループに参加することによって個人に帰属する のであるとみられている g. 利益や,個人がこのような関係に投資する必要性に注 • 社会的一体感は持続可能な社会発展に貢献する. 目した.感応的・効果的・代表的な制度を生み出す条 マドリッド・ 「共有社会は安定し, クラブによると, 件に関するロバート・パットナムの分析は,このテー 安全であり,正義であり,そしてすべての人権の マに依拠している.有名なことであるが,北部イタリ 促進と保護に基づいている.それには不利な,あ アには南部イタリアと比べてこのような制度が多く, るいは脆弱なグループや人々が含まれる」h. パットナムは次のように結論付けた:重要な促進条件 • 最後に,社会的一体感に関する定義のなかには, は大量の社会資本が存在することであり,それは地元 プロセスや制度的な特性に関係しているものもあ における結社の密度で測定できる c.社会的一体感は る.例えば,社会的一体感は「集団的行動問題を 広範な文脈でグループ間の関係を考えるという点で, 平和的に管理する社会(単にグループではなく 社会資本よりも幅広い概念であると理解することがで ネットワーク)の能力」を指すことがある i.こ きる.イースタリー = リッツエン = ウールコックは の定義では社会的一体感が参加や市民的社会参画 社会的一体感(あるいはその欠如)を,「社会のなか に結び付けられている. における社会的・経済的な分裂(所得・民族性・政党・ 出所:WDR 2013 のために書かれた Norton and de Haan 2012 に基づく WDR 2013 チーム;OECD 2013. a.Weiss 1995. b.Durkheim 1893. c.Putnam, Leonardi, and Nanetti 1993. d.Easterly, Ritzen, and Woolcock 2006, 105. e.OECD 2011, 17. f.Jenson 1998, 4. g.Moreno and Jennings 1937, 371. h.OECD 2011, 53. i.Woolcock 2011. CHAPTER4 仕事と社会的一体感 131 図 4.1 平和的な集団的意思決定には信頼や市民的社会参画が伴う a.信頼 b.市民的社会参画 0.8 0.9 0.7 0.8 人に対する信頼を申告している割合 0.7 0.6 市民的社会参画の指数 0.6 0.5 0.5 0.4 0.4 0.3 0.3 0.2 0.2 0.1 0.1 0 0 ‒2.0 ‒1.5 ‒1.0 ‒0.5 0 0.5 1.0 1.5 2.0 ‒1.5 ‒1.0 ‒0.5 0 0.5 1.0 1.5 2.0 平和的な集団的意思決定の指数 平和的な集団的意思決定の指数 出所:次の基づく WDR 2013 チーム:World Values Survey 2005 (database), World Values Survey Association, Stockholm;Worldwide Governance Indicators 2005. 「平和的な集団的意思決定の指数」は Worldwide Governance Indicators か 注:分析には 56 カ国(パネル a)および 49 カ国(パネル b)が含まれる. らの「発言権と説明責任」と「政治的安定と暴力の不在」という指標の平均. 「市民的社会参画の指数」は World Values Survey における次の質問に対 する回答の平均:(a) 団体の積極的な会員;(b) デモ行進に参加したことがあるか,あるいはそのつもりがあるか;(c) 請願書にサインするか. …また,それは仕事に影響される るために働いているからだ.途上国では,仕事の種  信頼や市民的社会参画は仕事と結び付けることも 類・仕事が提供する機会・仕事が人々を結び付ける 可能である.仕事の有無は他人や制度に対する信頼 方法が,社会的一体感にとってはより適切かもしれ を含め価値観や態度に影響を与えることによって, ない. 人々の世界観に影響する可能性があろう.仕事は多  仕事と社会的一体感との結び付きに関するさら 種多様なグループを超えて,人々が相互交流する経 なる証左は,仕事の特性を検討することで得られ 路を提供することもできる.特定の特性をもつ仕事 る.2005 年版の世界価値観調査では,人々に仕 は他の仕事よりも,信頼や市民的社会参画に貢献す 事は肉体的か認知的か,定型的か創造的か,仕事 ることがあるだろう. ではどの程度の独立性をもっているかを質問した.  高所得国では,就業していないということと,信 このような自己申告された特性で構築された指数 頼が低いという自己申告との間には相関関係があ は,仕事がどの程度の動機付けになっているかを る(図 4.2a).市民的社会参画との関係はもっと強 とらえている.高所得国と上位中所得国では,指 く,失業者は団体やデモ行進への参加が少なく,請 数と信頼との間には正の相関関係がある(図 4.3a). 願書に署名することもあまりしない(図 4.2b,c, この関係は下位中所得国と低所得国では有意では d).低所得国を例外として,失業と団体加盟にか ない.低所得国を除くすべての国で,認知的・創 かわる積極性の関係は有意でマイナスである.信頼 造的・自律的な属性をもつ仕事に就いていること と失業に関する入り混じった結果は次の点を強調す と,市民的社会参画との間には正の相関関係があ るものであろう:途上国では失業は必ずしも有意義 る(図 4.3b,c,d)9.同様に,中国・コロンビ な概念ではない.途上国ではしばしば公然たる失業 ア・エジプトで 2012 年に実施された調査では, は少なく,必ずしも貧困層に集中しているわけでも 自分の仕事は自律性が高く,高い創造力と認知能 ない.というのは,社会的セーフティ・ネットが欠 力が要求されていると考えている労働者は,他人 如しているなかで,ほとんどの人々が収支を合わせ を助けていると自己申告する傾向にあった 10 . 132 世界開発報告 2013 図 4.2 失業者はあまり信頼も参加もしない a.信頼と失業 b.積極的な市民活動と失業 0.1 0.04 0 ◆ ◆ ‒0.1 ◆ 0 限界的確率 限界的確率 ◆ ◆ ‒0.2 ◆ ‒0.04 ‒0.3 ◆ ‒0.4 ‒0.08 ◆ ‒0.5 ‒0.12 ‒0.6 高所得国 上位 下位 低所得国 高所得国 上位 下位 低所得国 中所得国 中所得国 中所得国 中所得国 c.デモ行進と失業 d.請願と失業 0.02 0.02 0 0 ‒0.02 ‒0.02 ◆ ◆ ◆ ◆ 限界的確率 限界的確率 ◆ ‒0.04 ‒0.04 ◆ ◆ ‒0.06 ‒0.06 ◆ ‒0.08 ‒0.08 ‒0.1 ‒0.1 高所得国 上位 下位 低所得国 高所得国 上位 下位 低所得国 中所得国 中所得国 中所得国 中所得国 出所:WDR 2013 のために書かれた Wietzke and McLeod 2012. 注:この分析には 54 カ国が含まれる.縦軸は失業中であることに関して個人が自己申告した信頼ないし市民的社会参画の周辺確率(d- プロビット係 数)を示す.推定値は回答者の所得・教育・人口動態的な特性を制御している.信頼は次の質問に基づく: 「一般的に言って,ほとんどの人々は信頼 できると思うか,あるいは人と接するには非常に注意する必要があると思うか?」 .市民的社会参画の変数は次の 3 つである:(a)9 つの相異なる団体 のうち 1 つ以上のところで積極的な会員になっているか?;(b) デモ行進に参加したことがあるか,あるいはそのつもりがあるか?;(c) 請願書にサイ ンしたことがあるか,あるいはそのつもりがあるか? 線は各係数の 95%信頼区域を示している.もし線が水平軸を横切るようなら,その係数は統 計的に有意でない. できるかが主要な焦点ではあるが,この関係は双 相関関係以上? 方向通行である.社会的一体感については,それ  このような関係は非常に示唆に富んではいるもの が仕事に影響するさまざまな道がある.信頼と社 の,仕事と社会的一体感の間に因果関係があるとい 会資本(市民的社会参画の 1 要素)は,経済成長 うことを立証するものではない.失業者は他人を信 を促す経済的・政治的な環境を生み出す可能性が 頼したり,団体に参加したりすることに積極的でな ある 11.信頼があれば取引コストを削減し,不確 いかもしれないが,他人をあまり信頼しない人は失 実性のゆえに生じる市場の失敗を克服することが 業したり,市民社会に参加しない可能性が大きいと できる.また,探求や情報,取り締まりや執行, もいえるだろう.加えて,信頼や市民的社会参画は 交渉や意思決定などに関連したコストを削減でき 仲間効果や社会的相互作用効果(他人の信頼や参加 る.さらに,知識の伝達・交換のベースになって, など)に影響を受けるため,結論を導くのは困難で 企業の間で革新・調整・協力を許容することがで あろう. きる 12 .一方,不信・差別・民族性の線に沿った  仕事がどのように信頼や市民的社会参画に貢献 細分化・不平等などの要因も,雇用が創出されるか CHAPTER4 仕事と社会的一体感 133 図 4.3 やる気の出る仕事に就いている人はより積極的に信頼し参加する a.信頼とやる気の出る仕事 b.積極的な市民活動とやる気の出る仕事 0.03 ‒0.02 ◆ ◆ ◆ 0.02 0.01 ◆ 限界的確率 限界的確率 0 0.01 ◆ ◆ ◆ ‒0.01 0 ◆ ‒0.02 ‒0.01 高所得国 上位 下位 低所得国 高所得国 上位 下位 低所得国 中所得国 中所得国 中所得国 中所得国 c.デモ行進とやる気の出る仕事 d.請願とやる気の出る仕事 0.1 0.02 0.08 ◆ ◆ 0.06 ◆ ◆ 0.01 ◆ 限界的確率 限界的確率 ◆ 0.04 0 ◆ 0.02 ◆ ‒0.01 0 ‒0.02 ‒0.02 高所得国 上位 下位 低所得国 高所得国 上位 下位 低所得国 中所得国 中所得国 中所得国 中所得国 出所:WDR 2013 のために書かれた Wietzke and McLeod 2012. 注:この分析には 54 カ国が含まれる.縦軸は回答者が自分の仕事が認知的・創造的・独立的と考えているかどうかを評価した指数に関して,個人が 自己申告した信頼ないし市民的社会参画の周辺確率(d- プロビット係数)を示す.推定値は回答者の所得・教育・人口動態的な特性を制御している. 信頼は次の質問に基づく 「一般的に言って,ほとんどの人々は信頼できると思うか,あるいは人と接するには非常に注意する必要があると思うか?」 : . 市民的社会参画の変数は次の 3 つである:9 つの相異なる団体のうち 1 つ以上のところで積極的な会員になっているか,デモ行進に参加したことが あるか,あるいはそのつもりがあるか,請願書にサインしたことがあるか,あるいはそのつもりがあるか. 線は各係数の 95%信頼区域を示してい る.もし線が水平軸を横切るようなら,その係数は統計的に有意でない. 否かやどのような種類が創出されるかに影響する. いていた男女は,07 年に働いていなかった人々に  雇用の地位と市民的社会参画との方向性の面での 比べてコミュニティ活動への参加率が著しく高かっ 連動に関する証拠は,インドネシアの調査から得ら た 15 .分析のなかで制御しなかった理由がこのよ れる.これはコミュニティの集会やボランティア活 うな結果を説明してくれるだろう.例えば,病気に 動に参加した人々を追跡して,2000 年と 07 年に なった人は失職し,コミュニティ参加の能力も失う 13 同じ人々にインタビューしたものである .平均 だろう.ヨーロッパとラテンアメリカに関する新た すると,コミュニティ活動への参加はこの期間に な国際比較によれば,雇用の地位と他人や制度に対 8%増加したが,職歴の異なる人々の間では増加率 する信頼の間には因果関係が存在することが示唆さ 14 にバラツキがあった(図 4.4) . れている(ボックス 4.2)16 .  他の要因を制御すると,2000 年には働いていた  失業・信頼・市民的社会参画に関する実証的な結 が 07 年には働いていなかった男女は,他の人々に 果が示しているのは,失職というのは所得損失以上 比べてコミュニティ活動への参加率が低かった.逆 のことを意味するということである.失職すると自 に,2000 年には働いていなかったが 07 年には働 尊心に傷が付き,家族や社会との関係が緊張する. 134 世界開発報告 2013 失業は経済的・社会的な結び付きを破壊し, 図 4.4 インドネシアでは就業はコミュニティ参加の増大を意味する 不信を育み,人々の共同体意識や将来に対す 雇用の地位 る希望を害する.無職ということは家族に所 2000 年に非就業, 得を提供できないだけでなく,社会的地位を 2007 年に就業 失うということも意味する.セルビアのある 工場で 24 年間も勤務したのに解雇された男 2000 年と 性はこう説明した:「私はそれとともにすべ 2007 年に就業 てを失った.もっていた自由や権力を失っ た.すべてが失われた」17.新規の雇用創出 2000 年と が限定的ななかで,広範な雇用損失を経験し 2007 年に非就業 たアルゼンチンやブルガリア,ガイアナのコ ミュニティ民族誌は,長期的な失業の社会的 2000 年に就業, 2007 年に非就業 な意義に関して,驚くほど類似した説明をし ている .コミュニティにとっ (ボックス 4.3) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 て,失職はかつての雇用者や政府当局者―― コミュニティ参加の変化(%,2000-07 年) 雇用機会の欠如について無関心ないし無責任 出所:Indonesia Family Life Survey (database), Rand Corporation, Santa Monica, CA. が疑われる人々――に対してだけでなく,隣 注:コミュニティ参加にはコミュニティ集会,協調的・自発的な労働,近隣地区の改 ,婦人部会への参加が含まれる. 善,近隣地区の監視(男性) ボックス 4.2 仕事は信頼をもたらすか? ユーロバロメーターとラティノバロメトロの調査による分析  ラティノバロメトロやユーロバロメーターの 2000 るのか.推定された効果が定量化するのは,例えば, 年代の価値観調査を分析に使えば,信頼と仕事の推移 ある年におけるコホートの失業率の%変化が,どのよ および両方向の結び付きを研究することが可能にな うにして,それ以降の年に信頼を申告している個人が る.調査には個人間の信頼と制度に対する信頼に関す 同じコホートに占める割合の変化を予測するのか,と る質問が含まれている.さまざまな調査年ごとにコ いうことである. ホート(集団)が定義され調査対象にされている.分  この分析の発見によれば,失業が増加するとヨー 析ではコホートにとって社会的一体感や雇用条件が, ロッパ人の間では信頼が増大するが,ラテンアメリカ 時とともにどのように推移したかが検討されている. 人の間では逆になる.同時に,自営の増加はヨーロッ ただし,信頼と雇用の地位の両方と相関関係にあるこ パでは信頼の増大につながるものの,ラテンアメリカ とが考えられ得る一定の国別特性は制御されている. では反対になる.このような結果はラテンアメリカで  データセットでは社会的一体感の形成にかかわる重 は,政府と他人の両方に対する信頼に当てはまる.逆 要な特徴がとらえられている.というのは,信頼と市 に,分析では信頼が仕事に及ぼす因果関係に関しては 民的社会参画にかかわる感じ方は,仲間や社会的相互 ほとんど証拠が発見できない.ただし,ラテンアメリ 作用効果に強く影響されるためである.例えば,ある カでは,自営が政府に対する信頼に小さなマイナスの 人が他人ないし国家を信頼する性向は,同じような社 影響をもたらすことは除く.このような結果はヨー 会人口統計学的なグループに属している他人の主観的 ロッパでは社会的保護の適用範囲が広いことや,ラ ないし現実の信頼に依存している. テンアメリカではヨーロッパよりも公然となっている  このモデルでは失業や自営を含め,集団レベルの雇 失業の重要性が低いことを反映しているのかもしれな 用条件が信頼に影響することと,その逆が同時に許容 い.これは次のことと整合的である.ラテンアメリカ されている.経験主義で次の点が定量化できる:集団 では,賃金雇用が見付けられない大勢にとっては,自 レベルの雇用条件にかかわるかつての変化が,社会や 営は最後の手段ではあるが,一部ではそれが提供する 制度に対する彼らの信頼を時とともにどう予測してい 独立性のゆえに高く評価されている a. 出所:WDR 2013 のために書かれた Arias and Sosa 2012. a.Perry 他 2007. CHAPTER4 仕事と社会的一体感 135 ボックス 4.3 立ち退きや失業は信頼や絆の侵食につながる ガイアナにおけるボーキサイト鉱山の規模縮小 可能な国営企業の大規模な縮小を図った.国営企業職  新たな雇用機会がないのにボーキサイト鉱山の規模 の消滅は保健ケアや雇用保証を含め,多数の付加給付 が縮小したことが,ガイアナのリンデン市では家族や の喪失をもたらした.フォーカス・グループでは人々 コミュニティの関係悪化の一因になった a.1970 年 は失職が,健康の悪化・社会的な孤立・犯罪の増加に 代初めから 80 年代半ばの間に,リンデン市近郊のボー つながっていると主張した.特に高齢者は就業を若い キサイト採掘は半減し,解雇が 90 年代を通じて継続 親類や雇用者に依頼しなければならなくて面目を失っ した.1999 年までに,リンデンの公式な失業率は約 た. 40%に達し,住人は犯罪増加について不平を口にす  失業は社会的な絆を単に弱める以上の被害をもたら るようになっていた. した.不信や相互疑惑を生み出したのである.リスト  鉱夫はかつては高給取りで尊敬され,経済の牽引力 ラは勝者も生み出したが,彼らも相互不信で悩んだ. であるとみなされた.人々は規模縮小のプロセスに 失職した人々は伝統的な社交を避けるようになった. よって特に卑しめられたと感じた:「解雇された人々 というのは,差し出すことが期待されている贈り物を はいかなる情報も入手できない.われわれは存在しな 買う余裕がないからだ.安心感には手が届かなくなっ いかのように扱われている.しかし,…解雇される前 てしまったと人々は感じた――かつてそれは健康,個 には,何が起きているかに関して,私達には話し合い 人的・職業上の充実感を追求する機会,良好な人間関 b の機会があった」 . 係,コミュニティにおける尊敬,社会的一体感などと  物質的な困窮や不確実性はアイデンティティや男女 連動していた.かつて比較的に平等であったコミュニ 女性の主張によれば, 関係に残酷な被害をもたらした. ティでは,人々は 5 つや 6 つの幸福感を数え上げる 稼ぎ手としての権威を維持できなかった男性は家庭内 ことができたものである. 暴力に訴えた:「特に虐待の場合,カウンセンリング をしてみると,驚いたことに,問題はまさに経済状況 アルゼンチンにおける経済改革 にあることがわかる.男は家族を十分養うことができ  ラマタンサはブエノスアイレス郊外の人口 120 万 ないのである」c.困窮がショッキングな形で,育児 の都市で,かつては繊維・ディーゼルエンジン・家 の放棄や虐待につながっていたのである.子供に売春 電製品・鉄鋼など製造業の中心地であった.しかし, させている親もなかにはいると言われていた.大麻栽 1990 年代の経済転換を受けて,技術や熟練動労者へ 培・コカイン使用・麻薬の国際輸送への関与などが, の依存度が高まった.ラマタンサ市の工場は閉鎖され, 若者の間で急増していると言われていた. 仕事の口は希少になった.人々は移動性が低いため,  規模縮小を受けて,教会などコミュニティ組織に 失業や健康のための保険もない一時的ないし臨時の仕 とってもかつては入手可能だった経済的資源が減少し 事に就かなければならなかった.何とか就職した人々 た.ある人がこう言っている:「教会も危機に陥って は,搾取的な給与・虐待的な処遇・威厳に対する攻撃 いる.個人としてわれわれは危機の一部であり,そこ などに関して不平を漏らした. でそれを教会に持ち込むと,今度は教会がそれを社会  どこでも同じであるが,失職は男女関係に影響した. d に持ち込む」 . 一部の男性はより公平な役割に順応したが,多くは稼 ぎ手としての自尊心失墜に憂鬱や憤怒をもって反応し ブルガリアにおける体制変更と失業 た.女性は家庭内暴力が増加したと嘆いた.男性は失  ブルガリアは共産主義体制の終焉を受けて,維持不 業のせいで家庭での役割が損なわれたと感じた. 出所:WDR 2013 のために書かれた Dudwick 2012. a.World Bank 2004a. b.World Bank 2004a, 26. c.World Bank 2004a, 29. d.World Bank 2004a, 53. 136 世界開発報告 2013 人・元同僚・友人に対しても不信を抱かせたようで 仕事(あるいはその欠如)は社会的相互作用 ある.この欲求不満が政治環境に対する一般的な不 を形作ることができる 満に貢献している可能性がある.69 カ国における  社会的一体感と仕事との結び付きは必ずしも直接 世界価値観調査を使った実証研究が発見したところ 的でも線形でもない.仕事と社会の相互作用は状況 では,失業は民主主義の有効性に関する否定的な 次第で多元的である.効果はプラスのこともあれば 意見とならず者リーダーの渇望に結び付き得る 18 . マイナスのこともある.就業していること,あるい 不確実な仕事,あるいは人々が腐敗的だと考える仕 は就業していないことは,人々が他人との関係で自 事は,失業と同じような効果を発揮する.地位・雇 分のことをどうみるかに影響し,価値観・態度・行 用保証・職場における発言権の欠如などから,人々 動にも影響するだろう.仕事は人々を情報・経済活 は意気消沈し,将来に関して希望がもてず,社会的 動・他人に結び付けることができる.仕事がどのよ 19 ネットワークへの参加を停止してしまう . うに配分されるかは,人々が自分の社会が公正で実  極端な事例では,失業は暴力や社会不安の一因に 力本位と考えられるか否か,社会に利害をもってい なることがある.特に若者は経済的・社会的な生活 ると信じられるか否か,将来に向けて期待や抱負を における結び付きの欠如を補償するために,ギャ . もてるかどうかに影響し得る(質問 4) ングやその他の暴力集団を頼りにするかもしれな い 20.エクアドルにおける若者に関する長期的な 仕事は社会的アイデンティティを提供する 研究の発見によると,麻薬や銃器に関与していた人  人々が自分のことや他人との関係をどうみている もギャングのメンバーになっていた.「というのは, かについて,プラスに貢献する仕事もなかにはあ 彼らの主張では,家族も提供してくれなかった支 る.仕事が伝えるアイデンティティは,個人が関係 援・信頼・一体感――社会資本――を探し求めてい をもちたいと思っている社会的カテゴリー,行動, たからであり,また,地方の状況ではチャンスが不 その行動を形成する規範に影響する 23 .先進国で 足していたからでもある」21.同様に,アメリカの は,学び,キャリアを発展させる機会を人々に提供 分析でも次のことが発見されている:ギャングは仕 する仕事は刺激的であり,アイデンティティを強化 事のなかで発見できなかった所得・尊敬・社会的絆 するだろう.アメリカでは低賃金労働者にスキル開 を若者に提供している.組合の存在する安定した製 発と成長機会を提供するプログラムは,自尊心と動 造業の仕事を失ったシカゴやニューヨークなどの都 機付けの強化を目的としている 24.保健ケア・育 市では,入手可能なチャンスが限定的であることを 児・教育・バイオ技術・製造業において,昇進の梯 考えると,このような影響は理解できる 22. 子を確立しようという官民両セクターによるイニシ  移民・難民・退去民を含む故郷を離れた人々の間 アティブでは,仕事に必要な能力を定義した上で, の失業は,特に分別を失わせるものであろう.それ 従業員に,スキルを習得し,訓練に参加し,責任を は,例えば,出身地でより良い仕事に就いていた移 増やすチャンスを提供している.マサチューセッツ 民にとっては,地位とアイデンティティの両方に影 州の介護施設で実施されたプログラムでは,成長の 響する.故郷を離れた人々の間における失業がもた 機会があることでスタッフ間のコミュニケーション らす社会的影響は,新しいコミュニティで家族や他 とチームワークが改善し,スタッフの転職が減少 の絆をもっていない人々にとっては,特に孤立化を し,自尊心と自信が構築されたことがわかった 25 . 推進するものとなろう.市民社会に参加する能力だ  仕事は途上国の低賃金労働者に対しても同様の効 けでなく,心理的な安寧に悪影響が及ぶだろう.就 果をもち,その効果は社会的一体感にとっても意味 職できた移民でさえ,もし新しい仕事が新しい社会 を持つだろう.バングラデシュの衣服産業の成長は のなかで一体化するのに十分な経路を提供しなけれ 300 万人以上の女性を職場に取り込んだ.工場の ば,あるいは移民が自分たちの権利に関して発言権 仕事は肉体的に厳しく給与も低いが,女性の自律性 や情報を欠いていたりすれば,脆弱なままにとどま が拡大し,公的な生活に参加する機会も増えた 26 . るかもしれない. 「私 26 歳の女性労働者は次のように説明している: は前よりも度胸が付いた.昔はわからなかったが CHAPTER4 仕事と社会的一体感 137 今では理解できることが増えた」27.識者の指摘で ボックス 4.4 コロンビアのリサダルダ県における仕事・ は,女性が通勤の往復で歩いている姿は,公共の場   動機付け・アイデンティティ 所に女性を受け入れるかどうかや,公的機関にア  デービッドはリサルダ県の農村部で小さな商店の クセスする権利に関する一般的な概念を変えた 28 . オーナーである.彼はコロンビアの別の場所で生まれ 同僚が一緒に通勤し,仕事の機会に関する情報を共 たが,リサルダ県に居住するようになってからすでに 有し,貯蓄グループを形成している 29. かなりの年数が経過している.安全と平和が存在する  仕事がアイデンティティに及ぼす影響は,農民も この地域に住んでいることがうれしかった.彼は村の 含め自営業者にも妥当する(ボックス 4.4).発言 目抜き通り沿いに立地している店をもう約 15 年間も 権へのアクセスを提供する仕事は権利を与えるもの 所有していた. であり,労働者に自分の仕事について利害関係と共  自分の仕事で一番気に入っていたのは,深い共同体 通の利害を付与する 30 .インフォーマルな労働者 意識である.必要に応じて,人々は店にやってきて, 欲しいものについて信用買いを申し込んだ.顧客の未 には仕事に関する代表権のアクセスが欠如している 払いは数件あったものの,彼は村人の支援に最善を尽 し,同様に,地方政府や経済団体からも排除されて くしている.店の収入は何とか食っていける程度でし いる.自営労働者や農民の団体はこのようなギャッ かないため,彼は追加的な所得が得られるように,他 プを埋めるのに役立つ 31.インドの自営女性労働 の仕事にも携わらなければならなかった.彼はこう感 者協会(SEWA)の中心となる戦略は,コミュニ じている:自分の店はコミュニティに返報する手段で ティにおける発言権を増大することによって,メ あり,そこにいることによって隣人たちのニーズに応 ンバーやパートナーをエンパワーすることにある えることができる. (ボックス 4.5). 出所:WDR 2013 のために書かれた Bjørkhaug 他 2012. 仕事は人々を結び付ける  人々は仕事のおかげで通常なら遭遇しないような 他人と接触することがある.それには民族や社会的 ることになる」35 .仕事を通じた関係は,貿易ある 背景が異なる人々が含まれる(ボックス 4.6).仕 いはその他の取引のいずれを通じて築かれたもので 事がもっているこのような結び付ける力は社会的一 あれ,社会的関係に影響を与えることができる. 体感に貢献することができる.仕事は相互依存関係  インドの多民族都市に関する 2001 年の調査が につながる課題に焦点を置いた反復的な相互作用の 示唆するところでは,仕事を通じたものも含め経 機会を創出できる 32.アメリカの政治的意見や職 済的な相互依存は,コミュニティ間暴力のインセ 場に関する研究が発見したところでは,職場で横断 ンティブを削減できる 36 .経済関係が緊密な都市 的な相互作用があると,自分以外の人たちの意見 ほど民族紛争の可能性が低い一方,それが希薄な や,「政治的な傾向に関して意見を超越する政治的 都市ほど暴動がより頻繁である.クラブ・政党・ 対話に人々をさらすということ」の論拠を強く意識 労働組合・業界団体など市民社会組織の存在が, 33 するようになる .トリニダード・トバゴにおけ 暴力の削減に貢献している.しかし,経済的な利 る 200 人のマネジャーやオーナー,販売員を調査 害が各グループのコミュニティ・メンバーに,こ したところ,その 81%は次のように回答した:職 のような団体に参加しようという共通の動機を提 業生活のおかげで社会生活以上に幅広い範囲の人種 供していたのである 37. の人々と接触している 34.  都市部という環境以外でも仕事は結び付けの役割を  仕事を通じた相互交流はグループ間の信頼の増大 果たすことができる.ガーナとウガンダに関する研究 や肯定的な相互依存に貢献できる.18 世紀にモン は,ネットワークを通じて結び付いた農民が,どのよ テスキューは次のように述べた:「交易の自然な効 うにして情報にアクセスし生産性を上昇させることが 果は平和をもたらすことにある.互いに交渉してい できるかを例証している.ガーナでは,パイナップル る 2 つの国は,もし一国が買うことに関心があり, を栽培する農民は隣人の経験の成否に対応して,みず 他国が売ることに関心があるのなら,相互に依存す からの肥料の使用量を調整した.パイナップル耕作を 138 世界開発報告 2013 ボックス 4.5 発言権は自営業者にも拡張できる:SEWA の事例  自営女性労働者協会(SEWA)はインドのグジャ ・社会的サー 策唱導・金融サービス(貯蓄・融資・保険) ラート州アフマダーバード市にある卸売布地市場で, ビス・インフラ・研修や能力開発などが含まれる. 荷車を引いていた移民女性の小さなグループによって  SEWA が特に懸念しているのは,勤労貧困層(仕 1972 年に創設された.このような女性はかつて頭上 ,特にそのうちの女性が, 事があるのに貧しい人々) 運搬人として働いていて,衣服を運ぶために卸売市場 自分たちに影響するルールを制定する機関に対して, を往復していた.支払いは距離や重さには関係なく, 発言権をもっていないという事実である.SEWA は 1 回の往復を基準として設定されていた.正当な全額 地方レベルで会員の発言権を拡大しようとしている. が受取れないこともしばしばであった.というのは, 次のような機関に代表者を派遣したり,参加する能力 記録が付けられていなかったからだ.繊維労働協会の を開発したりすることによって,その実現を目指して 婦人部長エラ・バットが公正な処遇が得られるように, いる:地方議会,市・州・国の企画官庁,三者会議, グループを組織化して布商人と交渉するのを後押しし 最低賃金など諮問委員会,セクター別の業界団体,地 た. 方・州・国の労働組合連盟など.  SEWA は今では国際労働組合連盟(ICTU)のメン  過去 10 年間,SEWA は南アジアや東南アジアの他 バーであり,インフォーマルな労働者の協会としては の地域における家事労働者の国家的・地域的なネッ 国際的な模範になっている.2011 年現在,SEWA は トワーク,インドやケニアの露天商の国家的なネット インド全土にわたって 130 万人の会員を擁し,82 万 ワーク,家事労働者やゴミ収集人の国際的なネット 人がグジャラート州,残りがその他の州という内訳に ワークなどにも刺激を与えたり,共同で創設したりし なっている.会員の顔ぶれは業種や職業の面で多岐に ている.このようなネットワークや組織には脆弱なも わたり,宗教やカーストの面でも多種多様である. のもなかにはあるが,ほとんどは協働し,資源を活用  SEWA は自恃を強調し,雇用保証・所得保証・食 し,政策に影響を与えることができるようになってい 料保障・社会保障という中核的な戦略を柱に組織化す る.家事労働者・自宅ベース労働者・露天商・ゴミ収 ることを促進している.SEWA は一義的には労働組 集人などの地域的・国際的なネットワークは,2 つの 合ではあるが,今や広範囲にわたってその他の分野に 国際条約(在宅労働者と家事労働者に関するもの)と, も関与している:それには指導力開発・団体交渉・政 数カ国で政策・法律・法的最低を確保している. 出所:WDR 2013 のために書かれた Chen 他 2013. 開始しようとしていた農民は,他の農民から享受した の介入策は農民ネットワークを拡張することによっ 情報に基づいて調整を行う可能性が大きかった.これ て,情報交換や学習を促進した.このプロジェクト は現場における相互作用や他人からの学習がもってい に参加した農民,特に女性は,生産性を大幅に引き る潜在力を示すものであろう 38.ある定性的な調査 上げた.確立していた自分たちの社会外の人々と農 では,ガーナの若者はどんな特性があれば仕事が魅 民を結び付けたことが,そうでなければ共有される 力的になるかと質問されて,仕事は新しい人々と出 ことがなかったであろう情報を普及させるのに役 会って社会的ネットワークを構築する機会として重 立ったのである 40. 39 要であると強調した .  仕事はグループ間の意見相違や緊張を常に克服で  ウガンダの農村部の農民の間で行ったある実験に きるわけではない.仕事に固有なインセンティブ よると,社会的ネットワークを使っている綿花の自 は,人々がジェンダーやカースト,民族性の境界を 給自足農民は,既存の社会的相互作用を変更して有 越えて相互交流する動機付けになり得るものの,そ 益な成果をあげた.ランダムな介入策によって,訓 のようなインセンティブは信頼を構築し,行動を変 練が農業生産性に対して及ぼすインパクトを,他の え,社会的一体感に貢献するには十分でない可能性 農民とペアを組んだ場合のインパクトと比較した. があろう.偏見に関する文献は,グループをまたぐ ペアは農業の活動・問題・解決策を話し合い,耕作 接触は他人に関する人々の考えを変えることがで の増加について目標を設定するよう奨励された.こ きることを示唆している 41.リスクもあるだろう. CHAPTER4 仕事と社会的一体感 139 ボックス 4.6 一部の仕事は民族の境界をまたいで人々をつなげる  世界中で実施された調査が,仕事が千差万別の環境 には――ヨーロッパ人・中国人・インド人・原住民な の出身者をつなげる方法を例示してくれている. どがいる.それは厳格な意味でまさに寄せ集めであり, 彼らは交わるが一緒にはならない.各グループには独  「アルメニアとアゼルバイジャンとの国境に近いグ 自の宗教・文化・言語・考え・やり方がある.市場で ルジアのサダフロ村の市場では,国境の向こう側の 2, 売り買いをするために…個人として出会う」d. 3 マイル先で聞かれる毒々しい憎しみ合いの言葉は聞  スペインの古代コルドバでは,市場というのは「イ 『彼らは喧嘩するが, こえてこない. われわれはしない』 スラム的な都市化を構成するジェンダー・部族・信条 とマフタというアゼルバイジャンからの商人は言いな の相違を超越して出会う場所」e を代表していた. がら,アルメニア人の同僚アショットの肩に手を回し 「何もないなかで融和するわけではない.現実的な   ていた」a. プログラムがなければならない;人々を一堂に会する  「南オセティアとグルジア本土の間で争いが起こっ 何かがなければならない.一緒に働いていると(コー ている国境に沿ってエルグネティ村がある.そこの市 ,人々は一緒 ヒー・メーカーをきれいにしていると) 『ここには政治 場で働く露天商の 1 人はこう述べた: に話し,仕事の話を始め,後で家庭のことを話し始め 的な問題は一切ない.市場の言葉は1つだけである. る.それが関係と融和を育む」f. b 経済,それだけだ』」 .  「仮にこの仕事に就いていなければ,私にはインド  「ギニアでは,マリンケ族という民族グループがグ 人とアフリカ人の友人しかいなかったであろう」とは, ラウンドナッツ市場チェーンの卸売業者で,主たる生 トリニダード・トバゴの加工食品メーカーの販売マ 産者はグエルス族である.マリンケ族の卸売業者とグ ネージャーの発言であった.「でも今では私には本当 エルス族の農民は相互取引に積極的である.それが民 に大勢の友だちがいる.マヤロ町には白人の友人,ポー 族的・宗教的な緊張を克服するのに役立っている.… ト・オブ・スペイン市には中国人の友人がいる.本当 取引に対するこの積極性は利益の可能性を相互に認識 に近い.同時期に生まれた隣人の場合よりも近い.そ c しているからだ」 . れは私がこの仕事を何か他のことと交換したくはない  「ビルマでは,ジャワと同じく,訪問者が第 1 に驚 理由である」g. くのは多種多様な人が共存していることだろう.そこ 出所:WDR 2013 のために書かれた Kilroy 2012. a.The Economist 2000. b.Voice of America 2002. c..Spilsbury and Byrne 2007. d.Furnivall 1948, 304–12. e.Briggs 2004, 326 に引用されている Vicente-Mazariegos-Eiriz 1985, 763. f.BBC News 2006 に引用さた Fatuma Ngangiza, Unity and Reconciliation Commission of Rwanda. g.Kilroy 2011. 仕事を通じた協調が失敗すれば,グループ間の緊張 ターの仕事に就いていない人々は自分もその仕事に が高まるだろう.とりわけグループがかつて対立 就ける可能性が著しく低い 43 .仕事へのアクセス し,非難合戦をしていた場合にはその公算が大きい にかかわる不公平に加えて,家族のコネは労働所得 だろう 42. にも影響し得る.例えば,ブラジルでは,息子の賃  ネットワークは人々を肯定的に結び付ける一方, 金は親の賃金に影響されている 44. 排除することもできる.先進国と途上国両方におけ  ネットワークの排他性は農村部から都市に移動し る調査では,人々は知己を通して就職していること た移民の経験によって,関心がもたれるようになっ が一貫して示されている.にもかかわらず,そのよ た.移民はしばしばコネがある行き先を選択してい うなコネのない人々やグループが取り残されるとす る.しかし,仮にそうでなければ,仕事へのアクセ れば,ネットワーク依存は否定的な社会的結末をも スも含めて経済的・社会的な支援を提供してくれ たらすだろう.モロッコでは,教育・社会的地位・ る,家族やコミュニティの絆から引き離されてしま その他要因を制御すると,父親がフォーマル・セク うだろう.境界や地域をまたいで移動する移民,紛 140 世界開発報告 2013 ボックス 4.7 仕事へのアクセスにおける機会の不平等を測定する アプローチ 状況とは個人の性別・父親の教育達成度・両親の過去  ジョン・ロールズやロバート・ノージックにまで遡 における共産党加盟(ヨーロッパ・中央アジア)を自 a ることができる機会の平等という概念は ,次のよう 己申告した少数派の地位のことを指し,属性とは教育 な発想に由来している:ある個人の人生における成功 達成度と年齢である.機会が欠如している人々は週 の機会は,ジェンダー・民族・出生地・家族の履歴な 20 時間未満しか働いていない人々,失業者,もっと ど,当該者のコントロール外にある状況を原因とすべ 長時間働きたい人々である. きではない.ジョン・ローマーの 1998 年の研究は機  HOI は機会の適用範囲の比率であり,状況や属性 会平等の原則を定式化し,政策は状況とは独立して機 で定義されたグループ間の不平等が調整されている. b 会の平等化を目指すべきだと主張した .この概念の 不平等は「非類似性指数」(略号 D)によって測定さ 実証的な適用では,努力や才能など個人的な属性より れ,すべてのグループをまたいで同一の適用比率の機 も出生の状況によって不平等が発生する程度が,さま 会を達成するために配分されているであろう利用可能 ざまな機会の指標を使って推定されている c. な機会のシェアを反映する.D を分解してみると,次  人間機会指数(HOI)は衛生・清潔な水・電気 ・ 基 のことが示唆されるだろう:グループ間の不平等に状 礎教育など基本的な財・サービスへのアクセスという 況が(属性との対比で)どれだけ関与しているかと, 面で,子供に入手可能な機会を分析するのに国や地 どの状況が最大の要因なのかなど.状況は直接的・間 d 域を超えて使われているアプローチの 1 つである . 接的な経路を通じて,週 20 時間未満の労働を要する HOI は社会がこのような財・サービスを提供できる 仕事へのアクセスに影響する.直接的な経路の実例と 程度と,それへの平等なアクセスが社会のなかでさま して,少数派グループに属していると就職のチャンス ざまな状況にあるグループの間でどのように配分され に影響する.間接的な経路としては,状況は人の教育 ているかの両方をとらえている. に影響し,それが今度は就職のチャンスに影響するだ  最近の研究では 2006 年の「移行期の生活調査」や ろう.D の分解は直接的経路,つまり事前に決定され ラティノバロメトロ調査からのデータを使って,ヨー ていた状況に起因する不平等――労働者の間における ロッパ・中央アジアとラテンアメリカの仕事に HOI 教育や経験の差を除く――の測定を意図したものであ の方法論適用がテストされている e.この場合,機会 る f.(↗次頁へ続く) は週 20 時間以上の仕事に就いていることと定義され, 争を逃れようとしている,あるいは和平協定の締結 けでなく,その仕事の種類にも影響を受ける可能性 を機に郷里に戻ろうとしている国内避難民や難民, がある.教育や努力が報われない場合,あるいは仕 紛争終結後に動員解除された兵士は,雇用機会から 事の配分が不公正だと人々が感じる場合,欲求不満 の排除に特に脆弱である.これは紛争状況だけでな や社会不安にさえ発展していくかもしれない. く,膨大な数の人々が農村部から都市部に移動する  「アラブの春」というのは仕事にかかわるもので 45 構造転換という状況下でも懸念事項である .ネッ あったと同時に,それ以上に政治的な発言権に関す トワークは特に孤立して働いている自宅ベースの労 ることであった.とはいえ,特に若者の間を中心に 働者を中心に,多くの自営業者や他人と相互交流す 仕事機会の欠如に関する広範な失望や,能力ではな る機会がない家事労働者の間には届いていない. くコネに基づく仕事の配分に対する欲求不満が,各 国に充満していたのは間違いない.エジプトのある 仕事は抱負や期待に影響する 若者はこうコメントした:「大会社で働くためには  仕事が配分されているさまざまな形は期待や抱負 ワスタ〔コネ;文字通りには仲介者の意味〕がいな に影響し,自分が社会に対して利害関係をもってい ければならない.資格がどうであろうと,仕事を確 ると信じるか否かに影響を与える.他の人が就いて 保してくれる人を探さなければならない.場合に いる仕事も自分の価値観・態度・行動に貢献する. よってはお金を支払う必要がある」46 .イエメンに 子供たちの将来の目標は親が就業しているか否かだ おける社会評価が裏付けたところによると,部族・ CHAPTER4 仕事と社会的一体感 141 ボックス 4.7 仕事へのアクセスにおける機会の不平等を測定する(続き) 但し書き る.しかし,親の教育と個人の観察されていない能力  多くの問題で作業が複雑になり,分析には但し書き との間には相関関係があるかもしれない.個人の教育 を付ける必要が出てくる.第 1 に,仕事へのアクセ 水準を制御すると,部分的にこの問題が解決されるが, スという点で機会はどのように定義すべきか? 人々 次のような可能性に取り組むものではない:同じ教育 の仕事に関する選好は異なるため,測定された不平等 を受けている子供たちの間では,教育のある親をもつ の一部はアクセスの欠如ではなく,自発的な選択を反 子弟は観測不能な投入物に由来するより良いスキルを 映している可能性があろう.また,特定の状況や属性 修得するかもしれない.方法論は欠けている状況に関 を有する人々は,そもそも労働力になっている可能性 して何の前提も置いていないが,それは確かに存在す が高い(低い)だろう.第 2 に,どの状況を考慮す る可能性がある.というのは,すべての状況に関する べきか? データは限定的な範囲の状況しか報告して 情報は典型的には同じ調査からは入手可能ではないた おらず,なかにはまったく観察不可能なものもある. めだ.不平等ないし非類似性の指数には,状況や属性 ジェンダー・少数派の地位・親の教育が一般に文献で の追加に伴って必ず上昇するという性格がある.この は検討されている.親が共産党に加盟していたかどう ような但し書きにもかかわらず,このアプローチは仕 かは,相当の歳月が経過しているのに,ヨーロッパ・ 事へのアクセスに対して機会の不平等分析を適用する 中央アジアの諸国では社会的地位の代理変数になり得 第 1 歩になるだろう. 出所:WDR 2013 のために書かれた Abras 他 2012. a. Nozick 1974;Rawls 1971. b. Roemer 1998. c. Roemer 他 2003. d. Paes de Barros 他 2009. e. Life in Transition Survey I (database), European Bank for Reconstruction and Development, London. f. 間接的な経路――教育を通じた状況の影響――の推定は困難であろう.というのは,教育というのは情報が入手可能な状況以外の多数の要因に依 存しているからだ.加えて,教育を通じた状況のインパクトを排除することは正当化される.なぜならば,われわれが関心をもっているのは,仕 事へのアクセスにかかわる不平等が状況に起因する度合いを測定することだからである.状況が教育達成度にも影響を与えたであろうが,この効 果は人生のなかでもっと早い段階で(主として子供時代に)生じるため,仕事に固有な機会の不平等を反映するものではない. 家族履歴・政党加盟に基づく仕事の配分には欲求不 いがわかる 49.ヨーロッパ・中央アジアの 29 カ国 満があった.フォーカス・グループの参加者はこう からの結果が示唆するところでは,状況や属性に基 説明した:「就職するには,自分を推薦してくれる づくグループ間の不平等はほとんどの事例で著しく 人が必要だ.特に首都サヌア出身者が望ましい」. 大きく,不平等全体の半分以上に寄与している(図 若者の申し立てでは,公務員の地位を父親から相続 4.5). するのは,国の公務員規則上では間違ったことだと  不平等に対する出自の寄与率が最大なのはアゼル 47 みなされてはいない . バイジャンであり,その後にはウズベキスタン・グ  コネや個人のコントロール外のその他の状況に基 ルジア・トルコ・アルバニアが続いている.このよ づいて割り当てられた仕事は,人々が社会を公正だ うな諸国では仕事へのアクセスにかかわる不平等に とみるかどうかに影響する.機会の不平等の測定に ついて,そのような要因の寄与が大きくなってい 関する最近の研究では,教育・健康・栄養・衛生な る.教育が不平等に特大の役割を演じている国がな ど人間開発にとって必須な基本的サービスへのアク かにはある――特にアルメニアが顕著で,アルバニ セスが,出生の状況に基づいている,ないしは社会 ア・ブルガリア・ルーマニアも続いている. のなかの不平等のゆえに生じている程度が検証され  1990 年のラティノバロメトロ調査を使ったラテ 48 た(ボックス 4.7) .このアプローチを仕事への ンアメリカ 18 カ国に関する類似の分析でも,同 アクセスに適用すると,機会が性別・民族性・親の じような発見が確認されている.全体として,労 教育達成度・所属政党などを含む出自,あるいは教 働者の教育や出自が仕事へのアクセスにおける不 育到達度や年齢などを含む属性に関係している度合 平等を説明するのに重要な役割を果たしており, 142 世界開発報告 2013 図 4.5 雇用機会の不平等は国ごとにバラツキがある 20 16 12 D指数 8 4 0 セ ア ス ア ア ロ ア ロ ア ウ キア ェ ア キ ア キ ニア ア ウ ー ア キ ア イ ア ア ヘ ロ ド ラ コ モ コ ケ ロ ラ ン テ ン ン ル ン ー ー ル ス フ シ ン ナ モ ナ ト ル グ バ リ ベ チェ ・ ス ラン ア ャ シ ス チ ハ イ エ ビ ニ タ ク ビ ポ リ ツ ニ ジ ニ ン タ ベ ニ ア アル タ バ ニ ニ ル ル ジ マ グ ザ ー ブ ギ ド ビ ゴ ガ ト ガ ジ ロ ラ ア タ ア メ バ ル ト ス モ ス ド ス ト ル ル ズ マ ネ ル ベ ル バ ゴ カ ル ル ン ク リ ゼ ア ニ ス ボ 状況 年齢 教育 出所:WDR 2013 のために書かれた Abras 他 2012;Life in Transition Survey I (database), European Bank for Reconstruction and Development, London から のデータに基づく. 注:機会は週 20 時間以上の仕事に就いていることとして定義される.状況にはジェンダー・民族性・親の教育・所属政党などが含まれる.D 指数 (非類似性指数)はすべてのグループをまたいで同じカバー比率を達成するために,再配分すべき確保可能な雇用機会のシェア. フォーマル・セクター の正規雇用にとっては教育 ているかどうかではなく,仕事とその特性が社会的 50 の役割が特に重要である . 一体感に貢献できるか否かということである.特定 の状況下では,仕事は社会を転換することができ * * * る.社会のアイデンティティや規範に影響を与える ことができれば,家庭・コミュニティ・社会のなか  仕事と社会的一体感の相互作用は線形でもない の交渉力をシフトさせることができれば,あるいは し,解明が容易でもない.これは学際的にさらなる グループ間の勢力関係を変化させることができれ 研究を要する新たな分野である.仕事が個人レベル ば,それが可能となるだろう.アイデンティティに の信頼や市民的社会参画に及ぼす影響が示唆すると 影響を及ぼし,ネットワークを通じて人々を接続 ころによれば,仕事を通じて確立された交流や関係 し,仕事へのアクセスにおいて公平感と能力主義を は社会に広範な影響をもたらし得る.それにはグ 高める仕事には,社会的一体感に貢献する潜在力が ループ間の緊張や集団的意思決定をどう管理するか ある. も含まれる.しかし,仕事ごとに社会的一体感に貢 献する度合いは異なる.重要なのは必ずしも就業し QUESTION 4 公共政策は社会的一体感に貢献できるか?  モロッコの首都ラバトでは,失業している大学卒 員解除プログラムは分裂を生む対象の絞り込みを通 業者が政府建物の正面に毎日集まって,仕事の欠如 じて,かつての敵対者どうしの間の緊張を悪化させ 51 について抗議している .南スーダンの首都ジュ るリスクがある 54.公的資金によるプログラムの バでは,駆け出しの政府は 15 万人の戦闘員を動員 仕事が政府高官の友人や親族に配分されたり,プロ 解除し,紛争による膨大な数の国内避難民を再融合 グラム自体が腐敗や統治のリスクにさらされていた 52 する挑戦に直面している .若年失業率が高い国 りする場合,社会的一体感は実際には侵害される. や紛争の影響下にある国の政策当局にとって,雇用 しかし,このような否定的な経験は,仕事政策が社 機会の拡大は経済的理由に加えて,社会的・政治的 会的一体感に貢献することは不可能であるというこ な理由からも緊急性がある. とを証明するものではなく,プログラム設計が不適  先進国か途上国かの区別なく,通念では仕事に就 切であったことを意味する可能性があろう. いているということが社会的一体感――社会がどの ようにして集団的意思決定を管理するか――にとっ 情報・権利・発言権に対するアクセス て重要である.仕事がアイデンティティを構築でき  就職したり,発言権・権利へのアクセスを増やし る,あるいは信頼ないし社会への参画の増大に関係 たりするという点で,障壁に直面しているグループ があるかもしれないという考えは,富裕国の数少な 向けに機会を拡大することによって,政策は社会的 い一連の職業だけに妥当するとしばしばみられてい 一体感を考慮に入れることができる.人々は仕事が る.そのような仕事は途上国では提供できない贅沢 能力や実績ではなく,特権やコネがベースとなって であると思われている.仕事のなかには途上国にお 配分されていると感じれば,欲求不満に陥るだろ ける社会的一体感に貢献できるものもあるというこ う.仕事の機会に関する公平と平等を高めるため とを認める人々でさえ,政策は雇用創出を支援する に,次のようなことが実施されている:仕事のこと ことを超えて多くのことができる,という点につい や就職のことに関して,また,差別を削減し,アク ては懐疑的である.ほとんどの雇用が民間セクター セスを欠くグループの包容を支持するための反差別 にあることを考えると,政府が仕事の性格にどのよ 法や積極的是正措置プログラムの存在に関して,一 うにして影響を与えるのか,あるいはそれができる 般大衆に情報を提供する.しかし,法律の制定だけ のか否かは不明確である.仕事そのものが社会的一 では十分ではない.公平性を高めるためには,取り 体感の強化につながる,ということを疑っている人 締まりの制度や説明責任のための是正メカニズムが さえなかにはいる.そのような人々の意見では,仕 必要である.そのような措置は貧困削減などを含 事というのは制度的・歴史的・政治的・社会的な要 め,多種多様な目的によって動機付けすることがで 因の複雑な絡みのなかで,価値観・態度・行動など きるが,社会的一体感の視点からも検討することが を変えることに貢献できる 1 つの要素にすぎない. できる. このような影響力の多様性を考えると,仕事を通じ  仕事に関する情報の透明性とアクセスは,欠員 た社会的一体感の醸成は選択肢になり得ない. が広く広報されるとともに,公的雇用プログラム  公的資金による雇用プログラムの否定的な経験か へのアクセスに関する情報を確保することによっ ら,このような懐疑はある程度正当化される.将来 て,機会の公平性と平等性を高めることができる. 的な雇用の望みがない行き止まりの仕事に,人々を 権利に関する情報へのアクセスも,労働慣行が公 就業させる一時的な雇用プログラムは有害無益かも 正であることを確保するのに同じく重要である. 53 しれない .同様に,紛争後の環境下における動 農民・自営労働者・フォーマルな労働契約をもた 144 世界開発報告 2013 ボックス 4.8 家事労働者:ILO 条約に至る旅路  家事には掃除・料理・庭仕事・育児・高齢者介護など 範な調整が含まれた.この運動の結果として,ジャマ が含まれる.国際労働機関(ILO)の推定では,世界全 イカでは家事労働者の最低賃金が 10%引き上げられ, 体で 5,260 万人の家事労働者がいる.他の推定ではこの マレーシアではインドネシア人家事労働者の条件を改 値より多く,ほぼ 2 倍である.一般的に社会の最下層出 善するための了解覚書が調印された. 身の女性が家事労働者の 80%以上を占めている a.多く  2011 年,ILO は家事労働者に関する条約と同勧告を は移民で,特に女子を中心に児童労働も一般的である. 採択した.条約は次のように規定している:家事労働 家事労働者,とりわけ移民は,ほとんどの諸国で労働 者は社会的保護プログラムに関連したものも含め,各 法や社会的保護法の対象外とされている. 国の労働法や規制でカバーされなければならない.  家事労働者は長いこと,各国の労働法で認知され対  ILO 条約を確保するためのプロセスは組織や個々の 象に組み込まれるよう要請してきた.2006 年に家事 指導者の能力構築に寄与し,労働組合との関係で家事 労働者団体は国際的な組織化に着手した.これは国際 労働者協会の地位を獲得した.また,権利の認知と執 的労働組合やインフォーマルな労働者を代表する非政 行に向けて条件の改善をもたらした.2012 年 3 月,シ 府組織の支援を得た.主要な要求は認知と権利へのア ンガポール政府は次のような発表を行った:国内の 20 クセスであり,これには家事労働者の労働権に関する 万 6,000 人に達する家事労働者――ほとんどがインド ILO 条約を求める運動も含まれる. ネシア・フィリピン・スリランカ・インドの出身者―  この運動には労働者を動員し,労働省・労働組合・ ―に対して週 1 日の休暇付与を雇用者に義務付けた b. 雇用者団体の支持を獲得するために,国レベルでの広 出所:WDR 2013 のためにか書かれた Chen 他 2012. a.ILO 2011a. b.Kennedy 2012. ない労働者などは,地主・業者・地方当局・雇用 を広げるための措置を採用することができる.フィ 者との関係に関する自分の権利や,提訴の選択肢 リピン政府には海外在住の労働者を保護するメカニ に関して詳しく知らないことが多い.協同組合・ ズムがある.政府は出国前に情報や支援サービスを インフォーマルな労働者の団体・労働組合などの 提供している;移民労働者の権利を認めた二国間合 市民社会組織は,権利や苦情を申し立てるチャン 意や了解覚書を移入国と締結している.政府は海外 55 ネルに関する情報を普及させることができる . 在住労働者向けに自主的な社会保障制度を推奨して  関連した課題として,法的枠組みの外で働いてい いる 57. る人々の有効な法的保護の拡張という課題がある.  説明責任を負う機関の存在とその質は,権利が実 国際的なレベルでは,家事労働者に関する ILO 条 際に執行される度合いに影響を与える 58 .法的な 約の成立によって,そのようなグループ向けに適用 枠組みは紛争を処理し,両当事者の説明責任を問う 範囲が拡張された(ボックス 4.8).各国レベルで のに,労働省・検査官庁・法廷などの能力に依存し は,ザンビアやフィリピンなどは国内法のなかにイ ている.ほとんどの諸国では,労働争議は特別な労 ンフォーマルな労働者の法的保護を盛り込んだ.ブ 働法廷ないし民事法廷で審理されている.しかし, ラジルは家事労働者を憲法のなかで認めて,彼らに 法廷手続きは時間とコストがかかり,煩雑でもあ 対する休暇や出産手当の付与を含め,社会的保護を る.そこで,紛争解決のために代替的な手続きが確 拡張している.同国の国立社会保障機構は雇用者に 立されている諸国もなかにはある.それには調停・ 家事労働者を登録するようインセンティブを供与し 仲裁・法廷審理前仲裁などが含まれる 59.カンボ ている.実際には執行が困難ではあるが,ブラジ ジアは 2003 年に仲裁委員会を創設して,拡大して ル・チェコ・フィリピン・南アフリカは家事労働者 いる衣服産業における労働苦情の管理や労使関係の 56 について最低賃金を設定している . . 管理を支援することにした(ボックス 4.9)  同様に,移民労働者は法的枠組みの外に漏れてし まう傾向にある.移出国と移入国の両方で法的保護 CHAPTER4 仕事と社会的一体感 145 ボックス 4.9 カンボジア衣服セクターでの「紙の上の法」から「行動における法」へ  衣服産業はフォーマル・セクターのなかでカンボジ グラムは,衣服工場における労働条件をモニターする ア最大の雇用者である. このセクター 2008 年半ば現在, ものである. は 300 以上の工場,約 34 万人の労働者――その 90%  第 2 のプログラムでは労働争議を阻止・解決するた は女性――を擁していた.このセクターの拡大に伴っ めに仲裁機関が創設された.同機関の 30 名のパート て,低賃金・過剰残業・衛生安全体制の不備・児童労働・ タイム委員は ILO が便宜を図ったプロセスを通じて指 反労働組合慣行などが重要な問題として浮上してきた. 名され,組合・雇用者団体・政府によって承認された. 最初の対応策として,1997 年には新しい労働法が成立 同機関は労働省の調停を通じて解決できない集団的労 した.しかし,執行が不十分であった.労働監督局に (一般的には)拘 働争議について,強制的ではあるが, は信認が欠如していた:監督官は低給与かつ資源不足 束力をもたない裁定を実施する.同機関で処理される で,横槍に弱いとみられていた.法廷は腐敗しており, ほとんどの争議は,賃金・賞与・付加給付・労働条件 労働者や雇用者のニーズに無反応であると考えられて に関係する労働法順守にかかわるものとなっている. いた.その結果,ストライキやデモ行進が増加し,主 反組合的な慣行・男女平等・結社の自由・団体交渉な 要な国際ブランドはカンボジアでの操業継続に対して どを含め,権利に関する係争もなかにはある. 懸念を表明した.  2003 年に創設されて以降,仲裁機関は 1,200 件を超  この状況で,カンボジアは 1999 年にアメリカと二 える係争を審理しているが,うち 70%は成功裡に解決 国間貿易協定を締結した.他の貿易協定における同様 されている.世論調査では,同機関の独立性と有効性 の条項に依拠して,アメリカは衣服にかかわるカンボ に対する高水準の信認が示されている.2010 年,カン ジアの輸入割当を増加することに同意した.ただし, ボジア衣服製造業者協会と主要な労働組合連盟は,既 半年ごとのレビューで,コアな国際労働基準とカンボ 存の労働権を巡る紛争に関して,仲裁機関の仲裁手続 ジアの法律に規定されている基準の順守に向けて,進 きに変更することに合意した.その結果,仲裁機関が 展が達成されていることを条件とした.この協定を受 結審した裁定の率が急増する一方,当事者が反対を申 けて,アメリカはこの条項の実施を支援するための 2 し立てる率が減少している.工場ストライキはこの 10 「カンボ つの ILO プロジェクトに資金供与を行った. 年間で最低の水準に減少している. ジア工場改善プログラム」として知られる第 1 のプロ 反差別政策 ある.それによると,措置が一時的で,採用・研  反差別法や積極的是正措置規定など法的メカニズ 修・実地研修などにかかわる改善と組み合わされた ムは,機会から排除されている,ないしは恥辱に悩 場合に,最も有効である 63 .途上国に関する証拠 むグループ向けに,仕事へのアクセスを円滑化する はもっと限定的である.南アフリカでは,黒人・女 ことができる.ほとんどの諸国は一般的に国家の義 性・障害者を支援する積極的是正措置は,企業向け 務として,憲法のなかで平等を保証している.この のインセンティブ――許可や契約が含まれる――で 保証はしばしば仕事の分離・給与の不平等・採用に 補完された.評価の結論によれば,雇用と賃金の格 おける偏見・仕事上のいやがらせ・教育や訓練の欠 差縮小に関するインパクトは限定的であったが,賃 如などに取り組む法律によって補完されている 60. 金分布のトップ層における格差は縮小した.この結 積極的是正プログラムには,女性・少数民族・その 果が示唆するところによれば,プログラムが助けた 他の排除されやすいグループを採用するための積極 のはスキルの面ですでに高い水準に達している人々 的な措置が含まれる 61.そのようなプログラムは であって,それまで不利な立場にあった平均的な 義務的な場合と自主的な場合があり,適用先も公的 人々ではなかった 64. セクターと民間セクターと両方があり得る.  小数グループの採用割当は,インドの指定カース  積極的是正措置はうまく機能し得るものの,たく トと部族,そしてマレーシアのブミプトラ(マレー さんの落とし穴がある.評価もさまざまな結果を示 人)の事例におけるように,憲法上に規定すること 62 している .アメリカに関する最も広範な研究が ができる.両国とも割当がうまく機能しているが, 146 世界開発報告 2013 ボックス 4.10 紛争後の環境下でも,プログラムの設計がよければ社会的緊張を削減することができる 北部ウガンダにおける若者向けの機会 ある.  20 年間にわたる暴動・不安定・紛争を受けて,北部 ウガンダでは貧困率が高水準に達していた.2005 年に スリランカの北部州における公共事業 なると,ある程度の平和と安定が同地域に戻ってきて,  スリランカでは,内戦終結に伴って当初 10 万人の 元戦闘員やその他の戦争の影響をこうむった人々の動 復員者を再定住させるために創設された現金報酬プロ 員解除と社会復帰が可能となった.2006 年,政府は グラムは,実際には 25 万人強を支援し,たちまち北 16-35 歳の若い成人層の間における所得創出と雇用増 部州で最大の雇用源に発展した. 加を刺激するために,若年者雇用機会創出プログラム  参加者の指摘によれば,多くの場合,プログラム説 を打ち出した.このプログラムでは補助金を申請した 明会は国内避難民キャンプから帰郷して初めて出席し グループに対して,審査を経て職業訓練やビジネス教 たコミュニティ・レベルの集会であった.多くの話に 材向けに現金補助を供与した.グループの平均メンバー よると,コミュニティ集会,合同の食事会,チームワー は 22 人で,ほとんどが縫製・大工・金属細工・機械・ ク,プログラムの間接的な受益者としての高齢者や子 理髪に興味を示していた. 供の関与が,新たに再定住した家族の間に帰属感を醸  介入策実施から 2 年後の評価では,スキル投資や熟 成した. 練作業参加の増加,所得の増加,貯蓄の増加などがみ  北部州のプトゥックディールップ地区のテルビプラ られた.補助金受領者はコミュニティ集会への出席率 ム出身で 36 歳のサクチタナンタン・スボディニはこ が 4%,コミュニティの世話人になる確率が 9%高く 「私は非常にうれしい.現金報酬のおかげで う述べた: なっていた.また,参加者の話によると,家族やコミュ 村全体が 1 つになって働いている.私たち自身のコミュ ニティからの社会的支援が増加した.さらに,補助金 .1995 年に退去してからの人生 ニティや村のために」 を受領した男性たちは対照群との対比で,攻撃的な行 「プログラ 行路を振り返って彼女は次のように語った: 動が 31%減少したと報告されている.このような発 ムが村をまとめるのに役立った.…村は放棄されたよ 見は,攻撃性をストレスの水準,社会的地位が低いこ うに見えたが,シュラマダーナ(奉仕事業)がコミュ と,主観的な不正義と結び付ける理論と整合的であり, . ニティを元の状態に戻す助けになった」 すべて雇用や所得の増加によって緩和される可能性が ;WDR 2013 のために書かれた Andrews and Kryeziu 2012(スリランカ) 出所:Blattman, Flala, and Martines 2011(北部ウガンダ) . 政治問題化し得ることを示している 65 .特殊プロ 高い諸国では,対象を絞った訓練プログラムには, グラムを通じて支えられた割当は成功している.例 コミュニティへの関与増大や犯罪・暴力の削減につ えば,バングラデシュでは,女性の就業率は極めて ながり得る自尊心を高めるような形に設計できる可 低いが,「貧困層向けの雇用創出プログラム」は女 能性がある.証拠は限定的で暫定的ではあるもの 性に関して 30%の割当を導入した.このおかげで の,若者に対象を絞ったいくつかの訓練プログラム 女性のプログラム参加率は 1 年間で倍増し,参加 ――紛争後の状況におけるものも含む――から得ら 66 者は高水準の満足度を報告している . れている成果はやや有望である.北部ウガンダ社会 行動基金は,職業訓練・生活スキル・カウンセリン 雇用政策は社会的アイデンティティを形成し, グを組み合わせると,紛争後の状況下にある若者の 人々を結び付けることができる 間で,コミュニティへの参加を増やし,攻撃性を削  仕事へのアクセスは自尊心を高め,所得以外でも 減することができることを例証している(ボックス 社会にとって利益をもたらすことができる.若者を 4.10)67.リベリアでは,高リスクの若者向けの融 含めリスクにさらされている雇用を支援するプログ 合・農業生計プログラムのおかげで,社会参画の若 ラムは,仕事が人々の態度・価値観・行動に影響を 干の増加と非合法活動の削減につながった.参加者 与える方法を考慮に入れて,グループ間の関係改善 は隣国コートジボワールにおける暴力的活動への関 に寄与することができる.おそらく,若年失業率が 与に,あまり関心を示さなかった.しかし,プログ CHAPTER4 仕事と社会的一体感 147 ラムは攻撃性と暴力の削減に関して明確なインパク 最大の公共事業プログラムの 1 つ――に参加した 68 トがなかった .ドミニカ共和国における「若者と 人々の調査によると,回答者の 3 分の 2 はこう述 (Juventud y Empleo)プログラムの評価から, 雇用」 べた:プロジェクトは地方集会に参加する初めての 若年失業者向けの職業と生活スキルを組み合わせた 機会を与えてくれた.多くの参加者はプログラム実 訓練は,ギャングとの関係を削減し,十代の妊娠を 施前には地方政府官吏と相互交流したことがなかっ 遅らせることができることが判明している 69.これ た 73 . はさらなる研究が必要な分野である.証拠は少な  民間セクターとパートナーを組んだ雇用プログラ く,雇用・訓練プログラムの評価で,コミュニティ ムは,仕事を通じて人々を結び付けることができ 参加や紛争解決など社会的一体感の面で成果を上げ る.チュニジアのプログラムでは,学生に基本的な る措置を盛り込んだものはほとんどない. 企業家スキルを教えるために,学部レベルの論文を  一時的雇用プログラムはリスクにさらされている 執筆させるプロセスを使う.学生たちは教授や民間 若者や脆弱な人口に対して,特に危機下や紛争後 セクターのコーチから業務計画を策定するよう指導 に,スキル訓練や雇用へのアクセスを提供すること を受ける.このプログラムの初期結果が示すところ 70 ができる .このようなプログラムの実績は雇用 によれば,プログラムは学生を動機付け,リスクを 可能性を支えるという点ではさまざまである.とい 取る自信を供与した.チュニスからの男性参加者は うのは,総じて地位の低い仕事を対象にしており, こう説明した:「私は独立心が旺盛になった.行動 将来的に所得機会につながることが稀だったからで も変わった.私は新しいスキルを使っているし,よ ある.しかし,次のような徴候がみられる:社会的 り規律正しくなった」.学生の説明では,プログラ 一体感にとって有益なスキルへの投資を促すよう ムのおかげで指導者と相互交流する機会が享受でき に,プログラムを設計することができる.エルサル たため,専門的なネットワークを拡大できた.「私 バドルの一時的な所得援助プログラムは,暴力の率 には社会的ネットワークがある.だれに相談したら が高い地域の女性や若者を対象にしている.早期結 いいかがわかっている」とはある女性参加者の説明 果の示唆では,プログラムは受益者の自尊心を増や であった 74. 71 す一方,暴力の再発を削減している .  すべての仕事が社会的一体感に影響するわけでは  公共事業プログラムは地方プロジェクトを選定す ないが,社会的アイデンティティを形成し,ネット るため,しばしばコミュニティが参加して,集団的 ワークを構築し,特に疎外されているグループのた 意思決定のためのフォーラムを提供してくれるのを めに公平性を増やす仕事は緊張をほぐすことができ 頼りにしている.コミュニティ集会は紛争や危機に る.包容性を支え,発言権や権利へのアクセスを広 影響された人々を一堂に会することができる(ボッ げ,労働市場における透明性や説明責任を改善する クス 4.10).ルワンダの国の公共事業プログラムに 措置は,公平性を改善することができる.また,そ 関する集会では,プロジェクト関連の問題に加え れは人々が社会に対して利害関係をもっていると感 て,平和構築・安全保障・コミュニティ開発・融和 じる程度を高めることができる.その感じ方は若年 が議論された.イエメンでは,燃料不足と建築資材 失業を背景とする社会不安や紛争のリスクが高い場 の価格高騰を受けて,2011 年には公共事業が立ち 合には,特に決定的に重要であり得る.弱い統治, 往生した.しかし,コミュニティがこのような障害 あるいは分裂を煽るような対象の絞り込みを伴う政 について創造的な解決策の発見に協働した.それに 策は,社会的一体感を侵害する一方,設計の良いプ は地方の資材を使用することや,代替的な輸送手段 ログラムは肯定的な効果をもつだろう.リスクにさ を発見することが含まれた 72. らされている若者向けの政策には,紛争解決に関す  プログラムにおける参加型の側面は疎外されてい るカウンセリングや訓練を盛り込んでも良い.公共 たグループにとって,発言権のチャンネルを提供す 事業プログラムは市民と地方政府の間でコミュニ ることができる.エチオピアの「生産的セーフティ ティへの参加や参画を円滑化することができる. ネット・プログラム」――受益者 760 万人と世界 148 世界開発報告 2013 ©Ayemoba Godswill / World Bank ナイジェリアの Mpape に所在する食料品店の店員と友人 ©Curt Camemark / World Bank 中国の建設現場で働く農村部からの移民 CHAPTER4 仕事と社会的一体感 149 注 13. WDR 2013 の た め に 書 か れ た Giles, Mavridis, 1. The International Labour Organization (2011b) and Witoelar 2012.Indonesia Faily Life Survey の推定によれば,失業率が社会不安に及ぼすインパ (database), Rand Corporation, Santa Monica, クトはプラスで有意である. California(http://www.rand.org/labor/FLS/ 2. Evans-Pritchard 2010. .記録されているコミュニティ活動は以 IFLS.html) 3. S o l l e t t y 2 0 1 1 . " [ L ] e s m a n i f e s t a n t s n e 下を含んでいた:コミュニティ集会参加;協調的・ demandent pas à l'Etat de leur trouver du 自発的な労働;近隣地区の改善;近隣地区の監視(男 travail mais dénoncent le fait que, sur le marché 性);婦人部会参加など.このようなトレンドは一連 de l'emploi, les choses ne se font jamais dans la の要因によって牽引される可能性が大きいが,それ transparence et avec justice." には以下が含まれる:コミュニティ対話の余地を生 4. Hudson 他 2011. み出した 1998 年以後の政治的変化と 1999 年に始 5. この定義は Woolcock 2011 に基づく. まった公共サービスの分権化;予算編成を協議する 6. Worldwide Governance Indicators(http://info. ための多角的利害関係者フォーラム――ムスレンバ worldbank.org/governance/) と,Kaufmann, ンという開発計画会議,村会を含む――の 2004 年 Kraay, and Mastruzzi 2010 に裏付けられている指 における導入;親の関与を必要とする学校ベースの 標に基づく. 管理イニシアティブ;コミュニティ参加を明らかに 7. Fukuyama 1995;North 1990;Putnam 2000. 促進する開発プログラムの規模拡大など. 8. Delhey, Newton, and Welzel 2011. 14. WDR 2013 の た め に 書 か れ た Giles, Mavridis, 9. 仕事のこのような側面も,他人に対する寛容,男女 and Witoelar 2012.ケカマタン開発プロジェク 平等の選好,個人の選択,発言権などを含む価値 ト(KDP)やその都市部版である都市貧困プログ 観との間に相関関係を持つ(ただし,他の要因を ラム(UPP)など開発・反貧困プログラムは,創設 .WDR 2013 のために書かれた 制御していない) 以来,コミュニティ参加を明示的に促進し,住民エ Welzel 2012 を参照. ンパワメント国家プログラムという新しい拡張され 10. WDR 2013 の た め に 書 か れ た FAFO た傘の下で,引き続きその努力を行っている.他の (Forskningsstiftelsen Fafo [Fafo Research 貧困プログラム(条件付き現金給付プログラムであ Foundation]) の Good Jobs Survey.所得・年齢・ る「希望ある家族プログラム」 を含む)には通常ある程度のコミュニ 次のような質問にプロビット回帰する度合い:「自分 ティ参加の成分が含まれている. の家計のためにすることは除外して,自分の仕事と 15. このような結果は Wisconsin Longitudinal Study して,あるいはボランティア組織の団体のなかで, の発見と類似している.これは 1957 年に高校を卒 過去 12 カ月間にあなたはどの程度頻繁に他人のた 業した約 5,000 人を 45 年間にわたり追跡して,失 めに積極的に手助けしまたか?」 職が協同生活からの引きこもりにつながり得ること 11. Easterly, Ritzen, and Woolcock 2006;Knack を示したものである.一度でも解雇されると,特に and Keefer 1997.Fukuyama (1995) の指摘によ それが働き盛りに起こると,「人生コースにわたっ ると,社会における信頼が経済取引と制度の性格を て,社会関与の確率が実質的に永続的で統計的に有 形成する.同様に,Arrow (1972, 357) は次のよう 意に低くなっていた」.特に教会・若者・コミュニ に書いている:「事実上すべての商業取引には,それ ティのグループに対する関与でそれが顕著であった. 自身のなかに信頼の要素がある.一定期間にわたっ Brand and Burgard 2008 参照. て行われる取引については確かにそうである.次の 16. WDR 2013 の た め に 書 か れ た Arias and Sosa ようにもっともらしく主張することも可能であろ 2012.. う.すなわち,世界における経済的な後進性の多く 17. WDR 2013 のために書かれた Petesch 2012. は相互信頼の欠如によって説明可能である」.North 18. Altindag and Mocan 2010. (1990) は 市 場 経 済 の ベ ー ス と し て, 信 頼 と イ ン 19. Helliwell and Putnam 2004. フォーマルな制度の役割を検討している. 20. Bell and Blanchflower 2010;WDR 2011 のため 12. Noteboom 1999;Ostrom 1990; World Bank に書かれた Cramer 2010. 2004b.概観のためには Boschma (2005, 51–52) 21. Moser 2009, 240. を参照. 22. WDR 2011 の た め に 書 か れ た Cramer 2010; 150 世界開発報告 2013 Padilla 1992. 57. WDR 2013 の た め に 書 か れ た Fredman 2012; 23. Akerlof and Kranton 2010. McKenzie, Theoharides, and Yang 2012. 24. Fitzgerald 2006;Holzer and Lerman 2009; 58. Locke, Amengual, and Mangla 2009. Osterman 2005. 59. Purcell 2010. 25. Wilson, Eaton, and Kamanu, 2002. 60. WDR 2013 のために書かれた Fredman 2012. 26. WDR 2013 の た め に 書 か れ た Dudwick 2012; 61. Holzer and Neumark 2000. WDR 2012 のために書かれた Hossain 2011. 62. World Bank 2011. 27. Amin 他 1998, 191. 63. Holzer and Neumark 2000. 28. WDR 2013 のために書かれた Dudwick 2013 に引 64. Burger and Jafta 2010. 用されている Feldman 2009;WDR 2012 のため 65. Bardhan, Mookherjee, and Parra 2012;WDR に書かれた Hossain 2011. 2013 のために書かれた Das 2012; Datta 1999; 29. Amin 他 1998. Deshpande 2008;Funston 2001;Gudavarthy 30. Marsden 2000. 2012;Montlake 2010; Teoh 2008;Weisskopf 31. WDR 2013 のために書かれた Chen 他 2012. 2004;Yadav 2010. 32. WDR 2013 の た め に 書 か れ た Kilroy 2012; 66. WDR 2013 のために書かれた Das 2012. Pickering 2006. 67. Blattman, Fiala, and Martinez 2011. 33. Mutz and Mondak 2006, 153. 68. Blattman and Annan 2011. 34. Kilroy 2011;WDR 2013 のために書かれた Kilroy 69. Ibarraran 他 2012. 2012. 70. 公共事業プログラムは速やかな規模拡大が可能で, 35. Montesquieu 1951. 大勢の人々に届くことができる.アルゼンチンでは 36. Varshney 2002. 「失業した男女世帯主向けプラン」という 2002 年 37. Chandra 2001. の危機後に導入されたプログラム(Jefes y Jefas de 38. Udry and Conley 2004. Hogar)が急いで拡張され,毎月 200 万人以上の人々 39. Anarfi, Anyidoho, and Verschoor 2008. に届いた.紛争終結後にプログラムが打ち出されて, 40. Vasilaky 2010. その規模が拡大された諸国には以下が含まれる:ギ 41. Allport 1954.Pettigrew and Tropp (2011) は グ ニア・ギニアビサウ・リベリア・ネパール・シエラ ループ間研究に関してメタ分析を提供している. レオネ・スーダン・イエメン. 42. Austin and Worchel 1979. 71. ケニア・シエラレオネ・南アフリカのプログラムは, 43. Gatti 他 2012. 若者向けに職業訓練と企業家精神に対する支援も提 44. Arias, Yamada, and Tejerina 2004.Wang 2011 供している. も参照. 72. WDR 2013 の た め に 書 か れ た Andrews and 45. WDR 2011 の た め に 書 か れ た Willman and Kryeziu 2012. Makisaka 2010. 73. WDR 2013 の た め に 書 か れ た Andrews and 46. Singerman 2007, 33. Kryeziu 2012. 47. Marc 他 2012, 50. 74. Brodmann, Grun, and Premand 2011, 3. 48. World Bank 2005. 49. WDR 2013 のために書かれた Abras 他 2012. 50. WDR 2013 のために書かれた Abras 他 2012. 参考文献 51. Amos 2012. ここでの「processed」という表現は,形式にこだわ 52. IOM 2012. らずに再出版された文献を指し,通常,図書館では扱 53. 公共事業プログラムの経験に関する評価は以下にあ われていない. る:Betcherman, Olivas, and Dar 2004;Harvey Abras, Ana, Alejandro Hoyos, Ambar Narayan, and Sailesh Tiwari. 2012. “Inequality of Opportuni- 2011;Martin and Grubb 2001;McCord and ties in the Labor Market: Evidence from Life Slater 2011. in Transition Surveys in Europe and Central 54. Dudwick and Srinivasan, 近刊;USAID 2009. Asia.” Background paper for the WDR 2013. 55. 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CHAPTER5 仕事を評価する 159  仕事がそれに就いている人に対して持っている価 子供が有害危険な作業に従事している(ボックス 値は,開発の成果についての基本的意義である.ま 5.1)4. た,仕事が社会に対して有する幅広い価値を評価す  国際的なレベルでは,国際連合の 1948 年の世界 るには,仕事が他人の生活水準・生産性全体・社会 人権宣言は次のように規定している:「すべての人 的一体感に対してもたらす波及効果に関する情報も は労働し,職業を自由に選択し,公平かつ有利な労 必要である.家計や工場レベルおよび価値観の調査 働条件を確保し,および失業について保護を受ける に加えて定性的評価のデータを使えば,適切な波及 権利を有する」.このような権利はさらに国際的な 効果の存在を決定できる.仕事に関する個人的な価 条約と地域的な枠組みのなかで詳述され,国内法に 値観と社会的な価値観の相違をすべて定量化するの 翻訳されている 5 .労働者の権利の世界的な課題と は不可能かもしれないが,その相違がどこにあるの しては,1998 年に職場における 4 つの基本的な原 かを特定できれば,政策のトレードオフを透明化す 則や権利に焦点が当てられた.その当時,国際労働 るのに有益であろう.そのための分析手法は経済学 機関(ILO)の大多数の加盟国は,強制的・義務的 や広く社会科学のなかの他の領域から借用できる. 労働の排除,児童労働の廃止,雇用・職業における そのような学問では,必ずしもそうは呼んでいない 差別の排除,結社と団体交渉の自由に関する中核的 ものの,仕事の波及効果に焦点を当てている. な一連の労働基準をカバーした宣言に調印した 6 .  個人の価値観調査が示唆するよりも開発に大きな 他の ILO 条約は広範な関連するテーマをカバーし 貢献をしている仕事もなかにはあるが,ある種の形 ており,それには労働時間・社会保障・職業上の衛 の仕事はどんな観点からみても悪い可能性が大き 生安全・労働監督などが含まれている 7. い.すべての諸国が一連の普遍的権利に賛成してい  各国は自国が批准した国際的な法律文書を順守す る.国際機関などに加えてほとんどの政府は,強制 る形に,国内法を適合化するよう国際法で義務付け 労働・有害な形の児童労働・差別・労働者の発言権 られている.中核的労働基準は ILO 条約のなかで 抑圧の排除を求める基準を批准ないし承認してい 特殊な地位を占めている.というのは,1998 年の る.したがって,一部の仕事は広く許容不可能とみ 宣言は ILO の全加盟国に対して,個別の条約を批 られており,仕事として扱われるべきではない. 准しているか否かにかかわらず,基準を「尊重・促 進・実現する」よう求めているからである 8 .基準 は次のようなものに対する負託を通じて,労働者の 基盤としての権利 権利を保護する他の手段に影響を与えている:国や  仕事は転換的になり得るものの,なかには有害な 地域の法制,多数の二国間貿易協定の条文,国際機 形の仕事もある.労働者を搾取する,危険な環境に 関の手続き,企業の行動規範など 9.国際的な法的 さらす,身体的・精神的な安寧を脅かすものは,個 枠組みが一部の基本的な権利を含んでいないことは 人と社会の両方にとって悪い.その負の効果は驚く まず間違いない.例えば,中核的労働基準は衛生安 ほど長期にわたり得る.極端な事例としては,大西 全を含め,労働条件には直接的に取り組んではいな 洋間の奴隷貿易が西アフリカに及ぼした影響があ い 10. る.ある研究の発見によれば,祖先が奴隷の脅威  規定上の権利と実際に運用されている権利の間に を受けた人々は,奴隷貿易の終焉から 100 年以上 はギャップが残っている(ボックス 5.2).コア労 経っているにもかかわらず,親類・隣人・地方政府 働基準を批准し,成文法を制定した諸国においてさ 2 をあまり信頼していなかった .今日,人権や労働 え,児童は有害危険な条件下で働き,仕事や給与へ 基準に関する国際規範によって,強制労働・有害な のアクセスについて差別が発生し,強制労働が持続 形の児童労働・差別・労働者の発言権抑圧は否定さ し,結社の自由が限定的である.条約・協定・法律 れている.にもかかわらず,全世界で 2,100 万人 における公約はそれ自体では,労働者の権利に影響 近くが奴隷労働・奴隷・強制的売春・その他の形の する制度・慣行・行動を変えるものではない.この 非自発的仕事の犠牲者であると推定されている 3 . ようなギャップを生む重要な要因として,多くの労 2008 年現在,1 億 1,500 万人に達する 5-17 歳の 働者が法律の対象になっていないという事実があ 160 世界開発報告 2013 ボックス 5.1 マリの零細金鉱山では子供が危険な作業をしている   マリの零細金採掘の多くは村ベースであり,選り くありませんでした.僕の本当のお母さんはどこ 分けのために砂金を鍋で洗うことが必要な沖積鉱床に かへ行ってしまいました.もらった賃金は継母に 集中している.マリの児童労働は比較的厳しく抑制さ 全額取り上げられています.…仕事をしても僕は れてはいるものの,推定 2-4 万人の子供――なかには 一銭ももらえません.…仕事は朝 8 時に始まっ 6 歳という幼児まで含まれる――が,零細金採掘で働 て 1 日中続きます.…鉱石を取り出して鍋で煮 いている a.ヒューマン・ライツ・ウォッチはこの作 るのです.水銀で作業するので,どうしても触っ 業の危険な性格を次のように説明している:「立坑を てしまいます.…監督は水銀は有毒なので飲むな 掘って地下で働き,鉱石を引き上げ,運び上げ,砕き, とは言っていますが,水銀に関してそれ以外のこ 金を求めて,鍋で選り分ける.多くの子供が頭・首・腕・ とは何も言ってくれません.…鉱山で働きたくあ 背中に大きな痛みを感じており,重いものの運搬や反 りません.学校に行きたいです.僕は以前にマラ 復的な動きに耐えていることから,長期にわたって背 リアに罹ったことがあるので,[鉱山で働いてい 骨を損傷するリスクを冒している.子供は岩や鋭利な ると]非常に疲れを感じます」. 立坑に陥落したりしている. 道具の落下で負傷したり,  ――マリアム・D,推定 11 歳, さらに,不安定な立坑で働いている場合には,時折崩 シカソ州ウォログナン,2011 年 4 月 11 日 c b 落して重傷を負うリスクがある」 .  作業は有毒である.というのは,鉱夫は金を岩から  「危険です――崩落が頻繁に起こります.負傷者が 分離するために水銀を使うからである.水銀中毒は深 出ます.落盤で 3 人が亡くなりました.小さい 刻な神経障害・視力障害・頭痛・記憶喪失・集中困難 子供は穴には降りてきません.…そこで働くよう などを引き起こすことがある.しばしば子供自身が危 になってから問題が出てきています――背中は痛 険性を認識している: いし排尿が困難なのです.安全性に関してはだれ も何も言ってくれませんでした」.  「そこで働けといったのは継母です.僕は働きた ――イブラヒム・K,15 歳 d 出所:Human Rights Watch 2011 に基づく WDR 2013 チーム. a. マリ政府は子供の権利を保護するための措置を取っている.それには以下が含まれる:零細 鉱山における有害危険な児童労働の禁止,2011 年 6 月の「児童労働撲滅のための国家行動 計画」採択など. b. Human Rights Watch 2011, 6. c. Human Rights Watch 2011, 29. d. Human Rights Watch 2011, 31. る.実例をあげれば下記の通りである: に除外している労働法がなかにはある 12.そ の除外は輸出促進地区や投資を誘致するため • 労働に関する多くの法律や規則はフォーマルな に,規則を停止しているその他の地域でも適用 雇用関係にある労働者しか対象にしておらず, されている.農業や企業における無給の家族労 労働者が法的メカニズムに訴えられる程度を制 働者は,家族農場の子供も含め,やはり除外さ 限している.労働者の採用について派遣会社の れていることがある.多くの女性はこの種の無 関与が増大しているため,法的な説明責任が複 給の仕事に携わっている 13 . 雑になっている.というのは,臨時労働者はし • 労働者の権利に関しては,国内法・国際法と ばしば人材派遣会社と契約を締結しており,そ 慣習法・宗教法・先住民法の間で緊張関係が こが今度は実際の雇用者と契約を結んでいる. 存在することがある.多くの諸国は法的多元 往々にして,そのような労働者は労働者の権利 主義を特徴としており,多くの法体系が併存 が拘束力をもつようになる法的な最低雇用水準 している.管轄区の重複は結婚・離婚・相続 には算入されない 11. などに関係する家族法の事例において最も一 • 家事労働者・家族労働者・小企業労働者を故意 般的である 14 . CHAPTER5 仕事を評価する 161 質問に対するものとは異なる回答をした(図 5.1).  法律上の権利と実際の権利の間の乖離が強調して 自分のために好ましい仕事としては公務員ないし商 いる重要な課題は,受け入れがたい形の仕事を排除 店主としばしば言っているが,教師や医師を社会に する,というものだ.非国家主体は民間雇用者や市 とって最も重要な仕事だと指摘している.中国は公 民社会組織を含め,労働者の権利や基準の順守を改 務員が個人よりも社会にとってより重要だとみられ 善する努力にますます関与するようになっている. ている唯一の国である.エジプトでは,教師の仕事 多国籍企業や業界団体はしばしば行動規範,自主基 は社会にとってはさほど高く評価されていないが, 準,モニタリングや監査といった戦略を採択してい 個人からは高く評価されている.また,シエラレオ 15 る .非政府組織が工場や企業をモニターし,労 ネでは,農民は個人的にも社会的にも評価されてい 働者に訓練や教育を提供し,国内の運動と世界的な るが,他の諸国では社会的には価値があると認識さ 運動の調整を図っている.このような権利や基準に れているが,好まれている仕事ではない. 対する関与の高まりで,実施を改善する保証になる  このような直観は,ある仕事がそれに就いている わけではないが,職場における権利の説明責任を高 人よりも社会にとって,より価値があったりなかっ めるための潜在的な経路やパートナーシップを提供 たりする理由のもっと体系的な分析に発展させるこ することになるだろう. とができる.その理由は 3 つの主要な見出しの下 にグループ分けできる――それは 3 つの開発の転 換期にそれぞれ対応している.個人の仕事は社会の 個人と社会に対する仕事の価値 他人の生活水準を改善することができる,あるい  仕事というものの最も自明な成果は,それが労働 は,その所得や雇用機会に悪影響を与えることもで 者に提供する所得である.このような所得は現金か きる.他人の生産性上昇を後押しできる,あるいは 現物であり,一連の関連付加給付を含んでいること 環境への影響を通じてそれを傷付けられる.また, もある.仕事が提供する所得は,それが生み出す産 より平和的な集団的意思決定を支持するか,それと 出と同じく,典型的には労働者のスキルとともに増 も代わりに,それが特権に基づいている場合には社 大する.したがって,スキルの改善が仕事が個人や 会的緊張を高めることができる. 社会に対してもたらす価値を高めるのに,最も直接 的な経路の 1 つである(質問 5).仕事のその他の 特性は,個人的な福祉の観点からみても重要であ 仕事からの波及効果 る.安定性・発言権・仕事における充実感などすべ  開発にとって良い仕事とは社会に対して最高の利 てが,全体的な仕事の満足感を得るという点で役割 益をもたらす仕事である.第 1 の近似として,仕 を演じる.それは仕事の有害な影響がストレスや心 事がそれに就いている人にとってもたらす価値は, 配を通じて,精神的・肉体的な健康に影響するのと 仕事が社会にとってもたらす価値について良い指標 16 同じである . となるだろう.しかし,一部の仕事は他人の生活水  仕事のこのような側面の一部は,1999 年 ILO 準,生産性全体,社会的一体感に波及効果をもたら が導入した「適切な仕事」(decent work)という す.波及効果がプラスの場合,仕事は社会に対し 概念に組み込まれている(ボックス 5.3).それ以 て,それに就業している人に対するよりも大きな価 降,多くの政府がそれを使って,仕事に関する政策 値をもつし,波及効果がマイナスの場合,その逆が 課題を明確にしている.適切な仕事の概念は国際連 当てはまる.原則として,波及効果は無視できるほ 合やいくつかの国際機関によって採択され,多数の ど小さいこともあり,その場合には個人的な視点と 世界的なフォーラムによって承認されている. 社会的な視点の間には実質的な差異は存在しない.  仕事はその就業者以外の他人にとっても重要であ にもかかわらず,仕事は大規模な波及効果をもち得 る可能性がある.最も好ましい仕事は何かと質問さ るという発想が,社会科学のいくつかの分野では中 れた調査対象者――まったく違う 4 カ国の出身者 心にあり,それが最近の開発思想に大きな影響を与 ――は,社会にとって最も重要な仕事な何かという えている(ボックス 5.4). 162 世界開発報告 2013 ボックス 5.2 中核的労働基準の順守は不完全なものにとどまっている  「労働の基本原則と権利」にかかわる 1998 年の 扱い,ないしは政策・慣行・ルールの不平等なインパ ILO 宣言に含まれている,8 つの中核的労働基準を採 クトが原因である.雇用の結果はこのような差別の 1 択した国の数は着実に増加している.しかし,4 つの つ 1 つによって影響される f.女性の仕事へのアクセ 原則――児童労働・強制労働・差別・結社の自由と団 スに影響する法的な障害を除去することに関しては進 体交渉――に関しては,順守に差があることは依然と 展がみられるが,障壁はいまだに残っている g.労働 a して明らかである . 法は 44 カ国で女性が働ける時間を制限し h,71 カ国 で女性が働ける産業に関して法的な限度を設定してい 児童労働.ILO の第 138 号と第 182 号の条約は,各 る.このような制限が往々にして女性から仕事への平 国に対して 18 歳未満の児童による労働を規制する行 等なアクセスを奪っている.結婚・相続・所有権に関 動計画を策定・モニターするように義務付けている. する法律だけでなく,伝統的・慣習的な法律における 最も有害な形の児童労働を対象とした第 182 号条約 不平等も,生産的資産や事業機会に対する女性のアク は 175 カ国が批准している.有害危険な労働に従事 セスに影響する. している児童の人数が最大なのは東アジア・太平洋  雇用における差別は労働問題とは直接関係のない政 であるが,さまざまな地域で増加が生じつつあると 策の結果かもしれない.例えば,中央・東ヨーロッパ の証拠がある b.ブラジルとインドは改善を見せてい の一部諸国では,ロマ人の子供はしばしば特殊ニーズ る諸国のなかに含まれる.ブラジルでは,1992-2008 の子供向けの学校に割り当てられているが,その後の 年に 7-15 歳層の雇用は 18%から 7%へと 10%ポイ 教育や雇用に関する前進について,そこが提供する ント以上低下している.同時に,就学率が 85%から チャンスは限定的である.チェコの特殊クラスを卒業 97%に上昇している.インドでは,児童の雇用は 8% したロマ人が,労働力の外にとどまる確率は非ロマ人 から約 4%に低下する一方で,就学率が 14%ポイン の約 2 倍に達していた i.チェコのロマ人に関するあ c ト(72%から 86%へ)上昇した . る研究の発見によれば,10-19 歳のロマ人の 19%は 特殊学級に通っていたが,非ロマ人の同シェアは 7% 強制労働.強制労働に関する中核的労働基準である第 にとどまっていた.スロバキアの同じシェアはそれぞ 29 号条約と第 105 号条約を批准した国の方が,他の れ 12%と 8%であった j.チェコでロマ人学生が関与 中核的基準を批准したところよりも多い.推定では強 した 2007 年のある裁判事例が指摘したところによれ 制労働の 3 分の 2 は経済的搾取,5 分の 1 は国家な ば,彼らは非ロマ人の学生と比べて,精神障害者の学 いし軍隊によって課された強制労働という形を取って 校に入れられる確率が高かった.ヨーロッパ人権裁判 おり,残りは商業的な性的搾取である.この最後の形 所は次のように裁定した:この確率は過大であり,ヨー d は女性や少女に不当な影響をもたらしている .個人・ ロッパ人権条約で規定されている非差別的な保護に違 家庭・コミュニティに対する長期的な影響には甚大な 反している k. ものがあろう.特に商業的な売春を中心に,強制労働 の犠牲者を救助している非政府組織の発見によれば, 結社の自由と団体交渉(FACB). 第 87 号と第 98 号 心的外傷後ストレス・社会的恥辱・病気などで社会へ の条約は中核的基準のなかでも最古の部類に属する の復帰が困難になっている e. が,他の基準よりも批准国が少ない.この条約は組織 を創設し,それに加盟し,雇用者と労働者組織の間で 差別. 第 100 号条約と第 111 号条約は,仕事へのア 交渉するメカニズムの設置を要請する権利を扱ったも クセス・労働市場内での分離・給与格差・職場におけ のである.FACB は衛生安全を含め,労働条件の他の る嫌がらせや暴力の原因として,性差・民族性・障 側面を唱導する発言権を労働者に付与するという意味 害・その他の格差を指摘している.法的観点からは, で,「授権的」である l. 差別というのは正式な法体系あるいは慣習法といった 労働組合やその他の団体が禁止されている諸国では 法律以前の不平等と理解することができるだろう.そ FACB は奪われている.団体は活動に制限を加えら れは人種,ジェンダー,宗教,政治的意見,国家的な れていたり,会員は暴力ないし抑圧によって威嚇さ 搾取,ないし社会的な起源を根拠とする不平等な取り れたりしている.労働者と雇用者両方の FACB 権利 CHAPTER5 仕事を評価する 163 ボックス 5.2 中核的労働基準の順守は不完全なものにとどまっている(続き) は,ILO 理事会の指揮下にある「結社の自由委員会」 情を処理している m.第 87 号条約は自営業者も含め (CFA)によってモニターされている.これは批准さ すべての労働者の権利を保護している.しかし,実 れた条約をモニターするための ILO の通常の監督メ 際には,FACB の実施は限定的なものにとどまって カニズムに加えて機能している普遍的なモニタリン いる.というのは,大勢の労働者が伝統的な雇用者 グのメカニズムである.CFA は労働組合の指導者や 対被雇用者という関係の外で雇用されていたり,正 組合員の殺人・拉致・失踪・脅迫・逮捕・拘束に加 式な組合でカバーされている職業やセクターで働い えて,反組合的ないじめや威嚇と,集会の自由や表 ていなかったりするためである. 現の自由の侵害に関連した市民的自由にかかわる苦 出所:WDR 2013 チーム. g. World Bank 2011d. a. ILO 1998;ILO 2012a. h. World Bank and IFC 2011. b. Diallo 他 2010. i. World Bank 2008a. c. UCW 2010. j. World Bank 2012b. d. ILO 2009. k. European Court of Human Rights 2007. e. Farley 2003. l. WDR 2013 のために書かれた Levi 他 2012. f. Fredman 2011. m.ITUC 2011. ボックス 5.3 適切な仕事と適切な仕事に関するアジェンダ   (decent work) 「適切な仕事」 は, 「男女が自由・公平・ ターするためには,限定的な一連の指標が使用されて 安全・人間的な威厳という条件の下で,適切で生産的 いる e. な仕事を確保できる機会」と定義されている a.この  ILO の「適切な仕事アジェンダ」には仕事がそれ以 定義はあらゆる形の経済活動を包摂する幅広い仕事の 下になるべきではない,という最低限度が含まれてい b 概念に基づいている .国際労働機関(ILO)は「適 る.この限度には次の 4 つの構成要素が盛り込まれ 切な仕事」をみずからのすべての活動に関して組織化 ている:生産的な仕事(単にどんな仕事でもいいとい を行う際の原則にしており,各国の戦略的な計画の目 うわけではない),各国の状況に応じた基本的な社会 的として「万人のための適切な仕事」の目標を盛り込 的保護,発言権や組織化の機会, 「適 職場における権利. むというアジェンダを策定している c.ILO の「適切 切な仕事」指標は漸進的なアジェンダとして,各国の な仕事アジェンダ」は次の 4 つの戦略的な目的に基 経済的・社会的・制度的な進展に応じて変更が可能で づく政策アプローチである:仕事に関する根本的な原 ある. 則と権利および国際的な労働基準,生産的で自由に選  この ILO のアジェンダは過去 10 年間にわたって 択された雇用,社会的保護,社会対話. 大きな関心と国際政治面で支持を集めてきている.  ILO は世界レベルで概念の諸側面を測定し,長期的 1999 年に国際労働会議で初めて策定されて以来,こ な進展を追跡するために,「適切な仕事」指標を定義 れは今では ILO 憲章のなかに組み込まれ,国連総会, している.2010 年,ミレニアム開発目標(MDG)に G20,地域的な組織――ヨーロッパ連合・アフリカ連 関する国際連合(UN)サミットは第 1 目標(貧困と 合・米州機構・東南アジア諸国連合・南米南部共同市 飢餓を撲滅する)の下に次の新たな目標を組み込んだ: 場(メルコスール)など――の国家元首によって承認 「女性や若者を含む万人のために,完全で生産的な雇 されている.多数の諸国が「適切な仕事」の概念を使っ 用と適切な仕事を達成する」d.「適切な仕事」指標は て,開発目標を定義し,政策優先課題を指定し,具体 各国が進展を測定し,優先課題を設定するのを助ける 的な目標実現に向けた進展を測定している. ために使われている.MDG 目標に向けた進展をモニ 出所:WDR 2013 チーム. a.ILO 2002. b.Anker 2003;Ghai 2003;UNECE 2010. c."Decent Work Agenda", ILO, Geneva (http://www.ilo.org/global/about-the-ilo/decent-work-agenda/lang--en/index.htm). d.UN 2011. e."Measuring Decent Work", ILO, Geneva (http://www.ilo.org/integration/themes/mdw/lang--en/index.htm). 164 世界開発報告 2013 図 5.1 自己が望む仕事と最も重要とみなされる仕事は同じではない a.中国 b.エジプト 50 50 D 40 40 社会的価値観 社会的価値観 30 T C 30 F T 20 20 F D 10 10 C S S 0 0 0 10 20 30 40 50 0 10 20 30 40 50 個人的価値観 個人的価値観 c.コロンビア d.シエラレオネ 50 50 D 40 40 D D 社会的価値観 社会的価値観 30 30 20 T 20 F F T C 10 10 CS S 0 0 0 10 20 30 40 50 0 10 20 30 40 50 個人的価値観 個人的価値観 C 公務員 D 医者 F 農民 S 店主 T 教員 出処:Bjørkhaug and others 2012; Hatløy and others 2012; Kebede and others 2012 および Zhang and others 2012(全て世界開発報告 2013 向けのレポー . ト) 注:数字は自己の望む職業(個人的価値観)を回答した者と社会にとって好ましいと考える職業(社会的価値観)を回答した者の割合.  開発における仕事の役割を十分評価するために • 家計の配分.仕事と家計予算に役立てることの は,波及効果が生じる経路を特定することが必要に できる資源をもっていれば,就業者は地位を変 なる.そのうち次の 9 つが開発にとって決定的で え,予算配分に関する発言権を高めることがで あるとして注目を集めている(図 5.2). きる.もし就業者が女性であれば,食料や子供 に対する支出が増加し,それが子供の福祉増大 • 他人の所得.交渉力が不均一で規制が不十分な に帰結するかもしれない.女性をエンパワーす ため,労働所得というのは仕事が生み出した産 る仕事には,そのようなプラスの波及効果を生 出との対比で過大か過少かのいずれかになる. み出す潜在力がある. この歪みが雇用者の所得やその他の労働者の雇 • 貧困削減.他人の福祉はたとえ自分の所得が変 用機会に影響する.仕事が移転支出を通じて支 化しなくても,人々が利他的で,貧困削減を一 えられていると,納税者も影響をこうむるだろ 般に高く評価しているなら影響を受ける可能性 う.他人に負担をかけない――文字通りに,あ がある.仕事が貧困脱出の主要な道なので,他 るいは比ゆ的に――仕事が開発にとってはより 人を貧困から引き上げる仕事の入手可能性には 有益である. 社会的価値がある.貧困層に傾斜した雇用機会 CHAPTER5 仕事を評価する 165 ボックス 5.4 経済学や社会科学はさまざまな名前の下で,仕事からの波及効果を研究している  経済学や社会科学におけるいくつかの分野は,仕事 や努力ではなく,生まれ付いた環境によって形成され からの波及効果が生じる経路に焦点を当てている.た る度合いを検討し始めている.最後に,紛争の研究は だし,それらの学問は研究対象をそういう形で定義し 仕事へのアクセスやその配分における公平性も含め, てはいない.労働経済学が重視しているのは所得格差 建設的かつ平和的に管理されていない緊張の背景と とその原因――差別,交渉力・規制・税制などの相違 なっている社会的な条件を特定することを目論んでい など――を評価することである.財政学の文献でも, る. 雇用・資本集約度・税収・補助金――社会保険掛け金  このような学問は仕事に関する個人的価値と社会的 を賄うのに使われるものも含む――などに対するイン 価値の差異評価にかかわる分析に,したがって開発に パクトが評価されている. ジェンダーの研究では, ジェ とって良い仕事の発見に厳密さを持ち込んでいる a. ンダー差別とその雇用との関係にかかわる経済的・社  仕事に関する定義が明示的でないかもしれないが, 会的・文化的な決定要因が検討されている.貧困の分 このような学問が最近の開発に関する思潮を形成して 析は,仕事の配分や成長パターンの相違が有する貧困 『世界開発報告 2007:経済開発と次世代』a きている. や不平等に対するインパクトを研究している.経済地 が示すところによれば,若者のために仕事の機会を開 理学は仕事の空間的な集中度の生産性へのインパクト 拓することが将来の経済的・社会的な開発の触媒にな を解明している.国際経済学は輸出セクターや外資系 る.『世界開発報告 2009:変わりつつある世界経済 企業における雇用が提供する資源配分や革新の刺激を 地理』では,仕事を通じて生じている集積の利益を経 分析している.環境経済学はさまざまなセクターに雇 『世 済成長の源泉として収穫することを議論している. 用のマイナス(およびプラス)の効果,あるいは違っ 界開発報告 2011:紛争,安全保障と開発』は,紛争 た手法を使って天然資源に対する影響を測定・評価し 後の社会における安定化のためには仕事が重要な要素 ている.アイデンティティ経済学は行動や規範が人々 『世界開発報告 であることを強調している.そして, やその仲間のグループの関係――仕事を通じたものも 2012:ジェンダーの平等と開発』は次のような証拠 含め――によって,どのように影響されるかを研究す を提示している:仕事はジェンダーの平等を促進し, る.公平性分析の分野は仕事上の成果が,個人の能力 それは社会的・経済的な進歩に転換する手段になる. 出所:WDR 2013 チーム. a.一例として最近の『世界開発報告』――若者に関するもの(World Bank 2006) ;紛争に関するもの ;経済地理に関するもの(World Bank 2009c) ;ジェンダーに関するもの(World Bank 2011d)――は,多種多様な文脈の下で仕事からの波及効果を検討している. (World Bank 2011c) は開発にとっていっそう有益である. に伴う知識波及効果は生産性全体を押し上げ • 集積効果.生産性というのは経済単位の内部的 る.したがって,世界市場に結び付いた仕事は な効率性だけでなく環境にも依存する.より大 開発にとって良い仕事である. きな労働者のプールを背景にスキルのマッチン • 環境効果.仕事は環境を損傷したり,希少資源 グが改善することに加えて,労働の回転やサプ の過剰使用につながったりすると,生産性全体 ライヤーとの相互作用を通じた学習や模倣が, に対してマイナス効果もつ.しかし,森林やそ 生産性を押し上げるだろう.したがって,機能 の他の共有資源を管理する仕事は環境に対して 的な都市における仕事は開発にとって良い仕事 プラス効果をもち得る.ある仕事の社会的価値 であることが多い.逆に,過密都市ではマイナ は環境への影響を考慮に入れないと,評価する ス効果が生じる. ことはできない. • 世界的統合.知識の波及効果は国際貿易や世界 • 社会的アイデンティティ.仕事はそれに就いて 的な価値連鎖への参加を通じても発生する.輸 いる人々が社会全体に影響を及ぼすような形で 出市場に従事している企業はより生産的にな 価値観や行動を左右することによって,他人の り,その過程で,あまり生産的でない企業を廃 福祉に影響を与えることができる.仕事は就業 業に追い込む傾向がある.外国直接投資(FDI) 者が他人とどう相互作用するかに影響する規範 166 世界開発報告 2013 図 5.2 一部の仕事は開発にとってより有益である 世界市場に 連結された 機能的な 環境的に 仕事 都市での仕事 優しい仕事 開 発 貧困層の 公平感を ための仕事 与える仕事 生活 生産性 社会的 女性の 水準 結束 社会ネット エンパワメントに ワークにつな つながる仕事 がる仕事 他者に負担を 社会的 押し付けない アイデンティティを 仕事 形作る仕事 仕事 出処:世界開発報告 2013 担当チーム. ――信頼性,時間厳守,丁寧さなどの基本事項 消費者のいずれかによる)を必要とする保護産業に を初めとして――形成することができる.仕事 おける仕事は社会にとって価値が劣る.仮に保護の はその特性に応じて市民的社会参画を促進し, 必要性が旧式技術の使用に関係していて,環境面で 信頼の増進に帰結し得る. 高コストをもたらしているとすれば,なおさら価値 • ネットワーク.仕事は人々をお互いに接続する. が劣る.技術や経営の面で海外からの新しい知識の 同僚や社会の間により幅広く情報を伝達する. 習得に貢献し,それをサプライヤーとの相互作用を 農村部からの移民が新しい都市部の環境に統合 通じて広げる輸出産業における仕事には,逆のこと していく動きに影響を与える.仕事は社会的・ が当てはまる.この仕事は就業者が女性で,その労 民族的な背景が多種多様な人々が相互交流を増 働の地位が彼女をエンパワーしている場合には,社 やすにつれて,違いを受け入れることに寄与す 会にとっていっそう価値が高いであろう.また,若 るだろう. 者に社会への帰属感を付与したり,機会があるとい • 公平感.自分自身の仕事以外で,雇用機会への う感覚を他人に伝えたりする仕事についても同じこ アクセス全体にかかわる主観的な公平感の欠如 とが当てはまる(図 5.3). は帰属感にとって有害である.仕事の配分は機  開発における仕事の役割は状況次第でさまざまで 会の平等という考え方に一致していないと,集 ある.低・中所得国では貧困削減のウェイトが大き 団的意思決定プロセスへの不関与という行動に い.生産性の効果についてはバラツキがある.シン つながるだろう.透明性と能力主義の基準に恥 ガポールのような高度に都市化・接続化した諸国 じない仕事が社会における公平感に貢献する. は,このような効果の大部分をすでに内部化してい るが,バングラデシュやグアテマラなど都市化が進  仕事はそれに就いている人だけでなく他人の福祉 展中の諸国は依然として大きな利益を享受できる. にも影響を与えることができるため,個人的な観点 不法な鉱業における仕事は環境破壊を引き起こすこ からは同じにみえる 2 つの仕事も社会的な観点か とがあり,その結果として,それが生産性上昇にも らはやはり異なり得るだろう.貧困削減が評価され たらすネットの貢献は限定的である.トルコの風力 社会では,家計を貧困から脱却させるインフォーマ エネルギー公園における仕事は,次のような 3 つ ルな仕事は,社会にとって大きな価値があるとみら の転換すべてに対してプラス方向に貢献する可能性 れるべきだろう.移転を通じた支援(納税者ないし 大である:労働者に所得と職務満足を提供する;ト CHAPTER5 仕事を評価する 167 図 5.3 個人的価値と社会的価値が一致しない仕事がある 世界的バリュー チェーンと連結された 都市での女性の仕事 若者に 機会を与える 集積効果 仕事 貧困者に チャンスを与える 社会的 波及 世界的統合 インフォーマルな仕事 アイデンティティ 効果 社会的価値観 時代遅れの技術を 利用する保護された 貧困削減 公平感 男女の平等 セクターでの仕事 シフト された 負担 個人的 価値観 個人的 環境 価値観 コスト 出所:WDR 2013 チーム. ルコを新エネルギーにおける技術開発の最先端に据 第 1 歩となる. える;村のために新しい生計機会を生み出すことに よってしばしば社会的一体感の形成に貢献する.  しかし,仕事は往々にしてトレードオフをもたら 仕事からの開発利益は定量化できるか? す.個別の仕事はプラスとマイナスの波及効果を同  労働からの所得というのは,開発に対して仕事が 時にもたらすことがある.例えば,相対的に低スキ 行う貢献についての第 1 の最も直接的な指標であ ルを要し,旧式の技術を使った,したがって環境破 る.しかし,生活水準・生産性・社会的一体感の転 壊をもたらす仕事を考えてみよう.社会的な視点か 換は,仕事が子供への投資につながり,人々に仕事 らは,そのような仕事はそれでもプラスの波及効果 を通じて新しいスキルを修得する可能性を与え,社 をもつ.なぜならば,貧困削減につながるからだ. 会への関与を増やす場合に,より速いペースで発生 しかし,その環境効果を通じてマイナスの波及効果 する.このような転換的な側面は労働所得にほとん もある.同様のトレードオフは国内経済を世界に接 ど反映されていないため,開発にとって良い仕事と 続する仕事にも存在している.というのは,それが いうのは社会的に重要であるほどには,個人にとっ コネを通じて獲得したものであれば,仕事の市場が ては魅力的でない可能性があろう.これが完全雇用 公正であるという感覚を低下させることになるから という状況下でさえ,多くの途上国では女性向けに だ. 十分な仕事がない,世界市場につながる十分な仕事  このようなトレードオフは戦略的な色彩を帯びる がない,あるいは無活動な若者に十分な仕事がない ことがある:中国では,道路投資の性格と場所は仕 理由かもしれない.したがって,次のような諸国で 事にとって多種多様な意味をもっている.最も生産 は波及効果がとりわけ有効である:ジェンダー平等 的な仕事が存在する中国の東部・中央部地域では成 が確立したというには程遠い国,都市化やグローバ 長率でみて利益が最高になっている.しかし,その ルな統合化が初期段階にある国,依然として紛争の 貧困削減に対する寄与度が最大なのは生活水準が 可能性がある国など. 17 もっと低い西部地域である .このような状況下  仕事からの開発利益を十分評価するためには,そ では,社会的な選択が必要である.波及効果の評価 れがもたらすかもしれない波及効果に加えて,そ と地図作成が情報に基づく意思決定に向けて重要な れが提供する所得を評価する必要がある.実際に 168 世界開発報告 2013 ボックス 5.5 いくつかのデータ源を使えば,仕事が開発にもたらす効果を定量化することができる  貧困の分析などに使用される家計調査は,仕事が社 して詳細ではないため,生産性の変化を推定するには 会に対して行う貢献を評価するのに極めて重要な資料 有用性が限定的である.しかし,企業がどのようにし である.活動・雇用・所得などに関する定期的な最新 て誕生・成長・衰退・消滅するかや,その結果として の高品質のデータが,雇用ダイナミックスを理解する 雇用がどう推移するかに関して,より包括的な姿を示 ために使用できる.世界中で多くの諸国が生活水準調 してくれる.残念ながら,インフォーマル・セクター 査や労働力調査を通じて家計データを収集している. にいる無数の零細企業に関する情報を収集している国 社会プログラムの適用率が高い諸国では,社会保障庁 はほんの一握りにすぎない.この情報は雇用創出が経 が拠出金支払い者に関する情報を保存している.残念 済のなかのどこで生じ,生産性全体のどこに最も貢献 ながら,雇用履歴を追跡している国は少ない.そのよ しているかを理解するのに極めて重要である.定性的 うな履歴(雇用の推移を含む)は若い求職者がどれく な評価とともに,価値観や態度に関して質問する特別 らい長く失業しているか,失業が中年層に傷跡を残す な家計調査は,一方における仕事と他方における信条 かどうか,あるいは国内移住がどのように農村世帯を や行動との間のつながりを評価するための重要な手段 扶養しているか,などに関する理解を得るのに決定的 である.このような調査はしばしば,他人に対する信 に重要である. 頼と市民的社会参画,回答者の特性とその仕事に関す  工場レベルの調査も仕事の創造と破壊のダイナミク る情報を提供してくれる.このような調査からの情報 スと,その生産性全体に対して持つ意味を理解する を生活水準や労働力の調査と組み合わせれば,リスク のに標準的なもう 1 つの資料になる.多くの諸国は, にさらされている人口グループを特定したり,仕事が 製造業のすべての単位を把握しているとされる抽出枠 平和的な集団的意思決定にどう関係しているかを分析 のなかからそのような調査を実施している.適用範囲 したりすることができる.個人あるいは特定の集団を が商業など他のセクターの単位にまで広がっている場 長期的に観察すれば,仕事・信頼・行動・態度の間で 合もある.他の諸国では生産や雇用に関するデータは 可能な因果関係を探求することができる. 行政記録を通じて収集している.その情報は投入に関 出所:WDR 2013 チーム. は,それは結局,特定国の状況下で妥当する仕事の 穴が多いため,最も安全なアプローチは入手可能な 個人的な価値と社会的な価値の間の相違(もしある 証拠を三角法で測定することであろう. なら)を特定することになる.そのような評価には データが必要になるが,そのなかには多くの諸国が 生活水準 今やほぼ定期的に収集しつつあるものもある(ボッ  次の 3 種類の波及効果は,仕事が生活水準に対 クス 5.5).ある仕事の社会的価値全体を測定すべ してできる直接的な貢献を高めることも,侵害する くデータを使うためには,厳格な分析も必要になる こともできる:仕事は他人の所得に影響を与えるこ だろう.データにみられるパターンは見せかけの相 とができる,家計内における資源配分を顕著な形で 関関係から帰結していて,仮に根本的に相異なる特 変更することができる,貧困削減など共有されてい 性をもった個人や企業がみずから個別の仕事や活動 る社会的目標貢献することができる. を選択しているとすれば,導いた結論は歪んでいる 可能性があろう.労働経済学,生産性研究,その他 他人の所得.補助金を受領している企業や膨張した の社会科学は必要な分析のための道具を発展させて 公的機関における仕事は,他人所得に影響する.と きている.社会学的・人類学的な手法は定量的な いうのは,経済の他の分野における過剰な税負担や データに欠如している実質や状況を提供することが 所得の削減(あるいは仕事の消滅)につながるから できる.場合によっては,ランダム化したテストや だ.雇用者と被雇用者の交渉力の不平等,あるいは 自然な状態に関する実験が,機能しているメカニズ 女性ないし少数民族グループに対する差別などを特 ムを解明できるだろう.しかし,方法論には落とし 徴とする仕事の所得は,その仕事が生み出した産出 CHAPTER5 仕事を評価する 169 との対比で過大か過小かのいずれかであろう. していない.  公的財政の手段を使えば,移転を通じて支援され  このような作業は有益ではあるものの,所得格差 ている仕事の場合,仕事の個人的な価値と社会的な はこの分析に取り込まれていない仕事や労働者の 価値の格差を評価することができる.税金や政府支 特性にかかわる相違から生じているかもしれない. 出は所得に影響し,インセンティブを修正し,した ジェンダー格差は差別を原因とすることもあるが, がって,雇用を含め,資源配分にインパクトを与え 仕事と生活のバランスに関する選択にも原因があ る.資本と労働に適用される税負担の分析,個人と る.組合にかかわる格差は強力な交渉力を示唆する 企業の間におけるセクター間補助の評価,ないし賃 かもしれないが,組織労働者の生産性が高いという 金税のインパクトを評価すれば,仕事の個人的価値 事情を反映している可能性もあろう.農村部の給与 と社会的価値の格差を特定することができる. が低いのは,都市に移住した労働者と後にとどまっ  「税の楔」は仕事の個人的な価値と社会的な価値 た労働者の観察不可能な何らかの相違が影響してい が異なるとか,雇用効果が大きいとかいうことを必 るからであろう.したがって,格差が厳格に測定で ずしも示唆するものではない.この場合の避けるべ きたとしても,政策的な結論を引き出す前に,その き方法論上の落とし穴は,個人は自分が支払う税金 背後にある理由を解明することが重要な第 1 歩に や拠出金には何の価値も認めないと前提することに なる. ある.仮に労働者が社会保障拠出金を繰延付加給付 に対する権利として高く評価しているのであれば, 家計内の配分.だれが就業しているかが,家計の所 彼らのネット負担は拠出率が示唆するよりも低くな 得がどのように推移するかや支出されるかにとって る.もし拠出金を十分に評価しているのであれば, 重要であり得る.雇用機会は若者にとっては特に重 資源の誤った配分は起こらないであろう.拠出金と 要である.学校から仕事への困難な移行は傷跡を残 付加給付が密接に連動している制度もあれば,連動 すことがある――長期的な所得の展望,したがって が緩やかで再分配が顕著な制度もある.付加給付が 将来の家計支出にマイナスのインパクトを及ぼす. 税金に比べて低くても,雇用に対する効果は雇用者 人生の先に行って失業するリスクは,学校から仕事 が税金のうちどれだけを,賃金引き下げを通じて従 への移行に困難を経験した人の場合ほど高くなって 業員に転嫁できるか次第である.賃金雇用を求める いる 20.女性向きの仕事もそれに就いている女性 労働者の数が固定されているという極端な場合,税 に加えて,社会の他のメンバーにも利益をもたらす 金は全額労働者が支払うので,雇用は税金がかから 公算が大きいだろう.女性は総じて労働力参加率が ないのと同じである 18 .トルコでは,社会保障税 男性よりも低く,典型的には男性よりも稼ぎが少な を削減すれば,ネット賃金の上昇と総労働コストの いものの,家計外の雇用はしばしば女性をエンパ 若干の低下につながり,雇用の変化を緩和するだろ ワーする 21.多くの証拠が発見したところによる う.ただし,その効果は,稼ぎが最低賃金前後の低 と,支出決定は家計のメンバーが家計の所得に貢献 19 スキル労働者にとってはやや大きい . している度合いに左右される.女性が家計資源をコ  個別の労働者グループの現実の所得と,交渉力の ントロールすれば,食料や子供の学校教育向けの支 不均質性や差別がなければ得られたであろう所得の 出増加につながるだろう. 格差を測定するには,労働経済学の道具を利用する  女性の雇用が家計内の配分に与える影響は,貧困 ことができる.このような格差の規模に関して,所 やジェンダーの分析における標準的な手段を使えば 得関数(労働経済学の標準的な道具)は推定値を提 定量化できる.例えば,メキシコでは,女性の所得 示することができる.現実の所得は女性・少数民 シェア上昇は食料と子供服の増加とアルコールの減 族・農業セクターで働いている人々について低く 少と関係がある 22.同じような結果はバングラデ なっている.労働組合員の場合は高い傾向にある. シュ・コートジボワール・南アフリカでも観察され 経済開発に伴って消滅する格差と持続するものとが ている 23 .コンゴ共和国では,家計総収入に占め ある(図 5.4).少なくとも表面的には,ジェンダー る女性のシェアが上昇すると,食料向け支出が大幅 と職業に応じたギャップは一向に消滅する兆しを示 に増えて,大人用衣服と娯楽向け支出が大幅に減少 170 世界開発報告 2013 図 5.4 所得格差は発展段階に応じて縮小するものとそうでないものがある a.都市部の仕事対農村部の仕事 b.初歩的な職業対その他 0.2 0.2 0.1 0.1 0 0 ‒0.1 格差(%) 格差(%) ‒0.1 ‒0.2 ‒0.2 ‒0.3 ‒0.3 ‒0.4 ‒0.4 ‒0.5 1 人当たり GDP(2005 年の PPP 米ドル) ‒0.5 ‒0.6 500 5,000 50,000 500 5,000 50,000 (2005 年の PPP 米ドル) 1 人当たり GDP (2005 年の PPP 米ドル) 1 人当たり GDP c.女性対男性 d.農業職対製造業職 0 0.3 0.1 ‒0.1 0.1 ‒0.2 0 格差(%) 格差(%) ‒0.1 ‒0.3 ‒0.2 ‒0.4 ‒0.3 ‒0.4 ‒0.5 ‒0.5 ‒0.6 ‒0.6 500 5,000 50,000 500 5,000 50,000 (2005 年の PPP 米ドル) 1 人当たり GDP (2005 年の PPP 米ドル) 1 人当たり GDP 出所:WDR 2013 向けに書かれた Montenegro and Patrinos 2012 に基づく WDR 2013 チーム. 注:GDP= 国内総生産;PPP= 購買力平価.初歩的な職業はしばしば相当な身体的努力を要する単純で定型的な仕事を行う.縦軸は各象限に描かれて いる 2 つのグループ間の所得格差を示す.格差指標は月当たり所得(対数)が教育年数と潜在的な経験年数(およびその二乗)に対する各国固有の 回帰分析したものに基づく――産業・職業・都市部対農村部・民族性・ジェンダーは制御.各点は国を表す. した(図 5.5)24.しかし,影響の度合いはどこで 接的に検討している.南部インドの農村部という も同じだと考えるべきではない.ブルキナファソに 環境下で,女性の年収が 90 ドル増加すると不利な おける現金給付は,どちらの親がお金を受給したか カーストの学校教育が 1.6 年増加した 27.メキシ にかかわらず,子供向けの定型的な予防ケアを増加 コでは,成人女性に対する労働需要が増加したのを させた 25 .また,ガーナやスリランカにおける評 受けて,娘を良い健康に保つことができる確率が 価が示すところによると,調達された零細信用は男 10%上昇した 28 .加えて,自宅に近いところに新 性の場合,女性よりも事業投資に使われる割合が大 しい工場が建設されたおかげで,輸出向け製造業に 26 きかった . 就職できた女性の子供は身長が大幅に高かった 29.  もう 1 つのアプローチでは,女性の雇用が子供 の教育達成度や健康など人間開発に及ぼす影響を直 貧困削減.仕事の機会や雇用の変化は,個人の生活 CHAPTER5 仕事を評価する 171 図 5.5 コンゴ共和国では家計所得に占める女性のシェアが上昇すると食料支出が増加する 0.3 することのインパクト(%ポイント) 0.2 賃金所得を夫から妻へ %再配分 0.1 0 10 ‒0.1 ‒0.2 ‒0.3 料 育 ル 康 送 服 こ 居 楽 服 他 食 教 ー 健 輸 供 ば 住 娯 人 の コ 子 た 成 そ ル ア 家計の支出項目 出所:Backiny-Yetna and Wodon 2011. 水準や一国の貧困全体の両方にかかわる変化の重要 生産性 な決定要因である.仮に社会が貧困削減を高く評価  仕事が他の仕事の生産性に及ぼす波及効果は次の するのであれば,ある個人ないし家計を貧困から引 3 つの主要な経路を通じて作用する:機能的な都市 き上げる仕事は他人の福祉を増大させる.したがっ の仕事は専門化と相互学習の進展につながる;世界 て,波及効果が存在している.福祉全体が貧困を脱 市場に接続している仕事はより先進的な技術・経営 する個人や家計の福祉増加を超えて増加するため に関する知識の獲得を可能にする;仕事は根差して だ. いる生産プロセスを通じて環境にマイナス / プラス  新しい雇用機会の配分方法が貧困削減にとっては 効果をもち得る. 極めて重要である.貧困層の特性を明らかにしてい る貧困プロファイルは,どのような種類の仕事―― 集積効果.活動の空間的な集中は途上国では,生産 またどの場所の仕事――が,最大の効果を発揮する 性上昇にとって強力な牽引力になる.効果はセク かを特定するのに役立つ.例えば,高齢化が進展し ター内(地域化の経済),あるいはセクター間で実 つつある 2 つの国であるブルガリアとラトビアで 現する(都市化の経済).都市部の環境下で産業や は,就業率の押し上げが最優先課題である.就業率 経済活動が地理的に集中する背景にある主要な力 を 3%引き上げることによる貧困緩和効果を考える は,投入物の共有・労働マッチングの改善・知識の と,それは現在働いていない人々の間で,だれが追 波及である.投入物の共有は中間的な財やサービス 加的な仕事を手にするかに依存するだろう.仮に仕 に特化した生産者の台頭を促す.近接性のおかげで 事が雇用力が高い特性を持つ人々に行ったとすれ 企業は求人を埋めてくれる労働者の発見が容易にな ば,貧困率はブルガリアで 1.1%ポイント,ラトビ る.企業は知識の波及を受けて新しい技術・製品・ アでは 1.2%低下するだろう.ところが,もし新し 慣行を近隣で操業している他企業から学習できる. い雇用機会が貧困層のなかで雇用力が最も高い人々 このような集積効果は仕事に関する私的な価値と社 に行ったとすれば,貧困率はブルガリアで 4.7%ポ 会的な価値の相違を示す前兆となる. イント,ラトビアでは 4.1%と大幅に低下する(図  都市経済学の道具を使えば,集積による潜在的な 5.6). 利益を評価することができる.先進国では,都市 の雇用が 10%増加すると,都市における賃金や企 172 世界開発報告 2013 が決定的に重要な小都市の場合,輸送や通信のイン 図 5.6 ブルガリアとラトビアの貧困削減に とっては,だれが仕事を獲得するか フラの不足に起因している可能性があろう 37. が重要である  しかし,都市の人口が 100-300 万人規模になる 0 と,集積には土地価格の高騰および交通渋滞や汚染 の悪化など,高い代価を伴うことがある.アメリカ 貧困率の変化(%ポイント) ‒1 では,1980-2000 年に交通遅延で失った 1 人当た ‒2 りの年間時間は,4 時間から 22 時間に増加した 38 . ‒3 ロンドン中心部の交通はわずか 1 時間当たり 11 マ イルしか動かない 39.メキシコ・シティでは,交 ‒4 通遅延の年間コストは 1 人当たり 580 ドル,つま ‒5 り 1 人当たり年間所得の 3%にも達している 40. ブルガリア ラトビア 渋滞や汚染が集積効果を制限する 41.カリフォル 雇用力が 貧困層のなかで 最大の人 雇用力が最大の ニアでは,オゾン濃度を 10 ppb 削減すると,労働 向けの仕事 人向けの仕事 者の生産性は 4.2%上昇する 42. 出所:WDR 2013 チーム.  経営学の文献にある分析道具を使えば,産業クラ 注:上図は家計調査のデータを使ったミクロ・シミュレーションに基づく. スターが生産性に及ぼす影響を評価することができ 各国で就業率を外生的に 3%引き上げる.ベースライン・シナリオでは,新 しい仕事が雇用される可能性が最高であった人々に配分される.所得は個人 る 43 .多数の低所得国では,産業クラスターが自 の特性に基づき帰属計算してある.代替的なシナリオでは,貧困層の間で雇 営業を含む製造業雇用のなかで大きなシェアを占め 用の可能性が最高であった人々が就職する. ている 44.クラスター化というのは未熟練労働が 集約的な軽工業――衣服・履物・家具・金属加工な 業の生産性は 0.2-1.0%増加する 30.規模の感覚を ど――でより一般的である.クラスターの形成はパ もってもらうには,仮に賃金や生産性が 0.3%増加 イオニアによって始まる.パイオニアは典型的には するとすれば,人口 5,000 人の都市から同 500 万 かつては商人かエンジニアだった人で,新しい儲か 人の大都市に移動する労働者は,所得の 23%増加 りそうな事業を発見する能力を有している.成功が 31 が期待できる .にもかかわらず,都市に一緒に 模倣を呼び,多数の比較的小さい類似した企業が周 住み,働いているすべての労働者が等しく利益を享 辺に出現する.経営学の文献を見れば,仕事がプラ 受するわけでもないし,生産性の伸びに等しく寄与 スの波及効果をもたらすダイナミックなクラスター するわけでもない.認知的・社会的スキルに優れた を突き止めることができる. 32 労働者は利益が大きくなる傾向にある .労働者 も教育程度の高い労働力に取り囲まれて高賃金を享 世界的統合.国境をまたぐ生産の細分化は,世界経 受するということである 33 . 済の最も顕著な特徴の 1 つである 45 .価値連鎖は  都市の規模と生産性の関連は,ブラジル・中国・ 企業や仕事を,距離を置いた貿易や企業内取引を通 インド・インドネシア・韓国・トルコなどを含め, じて,国境をまたいで接続する.世界的統合は国内 34 多くの途上国でも裏付けられている .台湾では, の資源配分を改善する.というのは,それによって ある地方で製造業の総雇用が 10%増加すると,個 企業に対する競争強化の圧力がいっそう大きくなる 別の工業セクターの雇用も 3.0-7.5%増加する(図 ためだ.最も生産的な企業は輸出によって成長する 35 5.7) .企業による調査は,規模の大きな都市の ことができる.しかし,その過程で,その企業は最 ほうが,企業はより速く成長することも示してい も生産的でない企業に対して,収縮ないし退出の圧 36 る .しかし,多くの途上国では都市の機能性が 力をかけることにもなる.世界的統合は知識の波及 劣っていることが,近接性にともなう潜在的な利益 効果も生み出す.これは貿易商品に応用されている の足を引っ張っている.労働・土地・住宅にかかわ 新技術を目にすることや,FDI を受け入れる会社 る市場の非効率性が,都市の劣悪な機能性の原因か での新しい経営慣行を通じて生じる.知識の波及は もしれない.機能性が悪いのは,特に市場アクセス 競争相手との間で水平的に,また,バイヤーやサプ CHAPTER5 仕事を評価する 173 ライヤーとの関係を通じて垂直的に生じる. 図 5.7 台湾では集積効果は産業セクターご  国際経済学では世界的統合の生産性への影響を定 とに異なる 量化することに,相当な努力が傾けられてきている. コロンビアでは,工場レベルでの生産性上昇が速かっ アパレル たのは,輸入代替の時期よりも貿易自由化の時期で あった 46.インドでは,1991 年の貿易改革直後に プラスチック製品 続いた産業再編――企業の退出入を含む――が生産 性の上昇に大きな貢献をした 47.ブラジル・コート 機械 ジボワール・トルコでは,貿易障壁の低下で利幅が 削減された.これは競争激化の兆候であろう 48.輸 電気器具 出の生産性押し上げ効果は東アジアとサハラ以南ア フリカという地域レベルだけでなく,中国・インド コンピュータ ネシア・韓国・スロベニア・台湾でも見出されてい 0 2 4 6 8 る 49. 製造業雇用の 10%増加に対応した 雇用の増加率(%)  ある専門的な文献では,多国籍企業と FDI によ る知識波及効果や生産性への影響に焦点が当てられ 1986‒96 1976‒86 ている.国内から外国の所有権に転換したインド 出所:Sonobe and Otsuka 2006b. 注:上図はある場所の製造業総雇用が 10%増加した際に,当該地域の個別 ネシアのある工場では,全要素生産性が 3 年間で セクターにおける雇用の増加率を示す.ただし,その他の要因は制御されて 13.5%上昇した.ブラジルでは,国内企業の既存 いる. 労働者の賃金は,かつて多国籍企業で働いた経験の ある労働者のシェアによって押し上げられていた. ガーナでは,同一産業内の多国籍企業で働いていた ――に依存している.現地企業は外国企業によって 人がオーナーとなっている企業は,他の国内企業よ サプライヤーとして選定されるためには,一定レベ りも生産的であった 50.途上国では,FDI に伴う ルの生産・技術能力をもっていることが必要であ 知識波及効果はその資源配分に対するインパクトよ る.現地企業と外国企業の技術格差が大きいと,生 51 りも重要かもしれない(図 5.8) . 産性波及効果が発生する可能性は低くなる 54.  世界的統合に伴う知識波及効果が価値連鎖を通じ て,小さなインフォーマル企業にまで浸透するかど 環境へのインパクト.天然資源を過剰使用したり, うかを評価するのに役立つ研究がある.大きな企業 環境を損傷したりする仕事は,その直接的な産出が ほど外国企業に対するサプライヤーになる,あるい 示唆するよりも生産性が劣っている.それがもたら は直接的に多国籍企業によって買収される可能性が す環境破壊は他人にマイナスの波及効果を賦課する 高い.しかし,そのような海外企業は,コアでない ため,産出全体に対するネットの貢献はもっと小さ 事業はコスト効率性のために外部へ委託して,もっ くなる.大気・水・森林・土壌などの天然資源は, と小さい現地企業を価値連鎖に組み込む傾向にあ 経済活動にとって有用で,人間生活にとって必要な る.外部委託は小企業や零細企業が知識波及効果の サービスを提供するが,その私的な観点からのコス 52 利益を享受する機会を提供することになる . トが本当の社会的なコストを下回るため,しばしば  世界的に統合された仕事からの生産性波及効果が 過剰使用されてしまう 55 .温室効果ガスの排出は 実現するのを邪魔する障害物に光を当てている研究 マイナスの波及効果の例である. もある.各国比較の分析が示すところによると,労  環境経済学の道具を使えば,仕事に関連した排出 働市場の柔軟性・企業の参入障壁・インフラ開発な のコストを定量化することができる.世界全体で産 どが,開放性が成長に及ぼすインパクトに著しく影 業が炭素排出の 5 分の 1 強について責任を負って 響する 53 .知識波及はそれを吸収できる地元経済 いる 56 .世界全体として,製造業における燃料消 の能力――人的資本と研究開発の能力が重要である 費の平均コストは,1 つの仕事当たり年間 82 ドル 174 世界開発報告 2013 にあり,ブラジルと中国はその際立った例外で 図 5.8 外国直接投資からの知識波及効果は国内の生産性を押 し上げる ある(ボックス 5.6)58 .  仕事に伴う環境への波及効果に関して正確な 2.5 定量化が未解決な状況下では,途上国の環境破 2.0 壊を緩和する最大の潜在性を有する活動は,近 全要素生産性の伸び(%) 代的なセクターの外にある農業や森林管理と 1.5 いった分野である.農業や森林伐採は世界の温 室効果ガス排出の 30%近くを占めている 59. 1.0 生産性の低い農業は耕作地の拡大に伴って森林 伐採につながる 60.したがって,途上国で仕 0.5 事に伴う環境波及効果を削減するための努力 は,農村部に関係せざるを得ず,農業や農村部 0 の生計に影響する 61.例えば,それは森林や 全世界 先進国 途上国 自然生息地など共有地にかかわる管理につい FDI からの知識波及効果に伴う国内生産性上昇 て,コミュニティの参加を含む可能性があろ FDI 主導の再配分に伴う国内生産性上昇 う. 出所:Alfaro and Chen 2011. 注:FDI= 外国直接投資.上図は新しい多国籍企業が参入する確率が 2 倍になっ 社会的一体感 た際に,相異なる国グループにとって国内生産性がどの程度上昇するかを示す.  もし仕事が人々の価値観・行動・態度を変え るものなら,社会がどう機能するか,特に社会 程度である 57.しかし,この平均は国・産業・技 の諸グループがどのように緊張を解決し,平和的な 術ごとに,生産の排出コストに著しいバラツキがあ 集団的意思決定に関与できるかについて影響を与え ることを覆い隠している.どこの国でも,仕事当た ることができる.仕事が社会的一体感に及ぼすその りの年間排出コストと生産の排出効率の間には逆相 ような波及効果には次の 3 つがある:社会的アイ 関関係が観察される.富裕国では 1 つの仕事に関 デンティティ,ネットワーク,公平感.仕事が社会 連した環境コストが高くなっているが,それと並行 的アイデンティティに及ぼす影響は若者にとっては して,このような仕事は生産性が高いため,製造業 特に重要であろう.仕事は,社交に加えて,職場や 産出 1 単位当たりの排出原単位は比較的低い傾向 社会のために価値観や行動を修得するプロセスにも がある(図 5.9). 資する 62.  炭素排出を抑制し環境破壊を削減する政策は,コ ストを生産者に移転することを目指して,価格や数 社会的アイデンティティ.仕事は個人が関係してい 量の手段に依存している.このような政策は環境の る社会的グループ,その行動,同行動を形成する規 観点からみて,仕事当たりのネット産出を増やす. 範に影響を与えることができる 63 .仕事あるいは しかし短期的には,仮に天然資源や労働が補完物で その特性によって,個々人がコミュニティや社会の あるとすれば,それは仕事を減らすことになるだろ なかの自分をどうみるかが形成される度合いは,伝 う. 統・文化・経済発展段階によってさまざまである.  政策は環境にもっと優しい産業における雇用創出 しかし,関係が大きくなると,仕事が社会的一体感 の促進に努めている.発電用の風車を生産し,水や に及ぼす波及効果は確かに存在するといえる. 土壌の保全システムを建設し,木を植え管理する企  仕事から社会的一体感への波及効果を定量化する 業における雇用はこのカテゴリーに入る.これはし のは,生活水準や生産性の場合よりもむずかしくな ばしば「緑の仕事」と呼ばれるが,さまざまな定義 らざるを得ない.しかし,定性的な研究に加えて家 がある.緑の仕事にかかわる最も一般的な定義に合 計調査を利用すれば,ラフな評価は可能である.例 致する産業は,多くの途上国では比較的小さい傾向 えば中国では,回答者の約半分の判断によれば,自 CHAPTER5 仕事を評価する 175 分たちの仕事は若干ないし絶対に有意義 図 5.9 労働者 1 人当たりの高排出は産出 1 単位当たりの低排出と共存 であり,シエラレオネではそのシェア し得る は 90%に達している.これは低所得で 30 紛争後の環境下では,仕事が社会的に重 要であることを示唆している可能性があ 製造業労働者1人当たりのCO 排出 25 る. 20  行動や規範は仕事へのアクセスに関す る主観によっても変わりうるし――人々 15 の将来に対する期待や抱負を高めること によって――,そのような主観の変化は 10 測定できる場合もある.例えば,バング 2 5 ラデシュでは村からの通学圏内に衣服工 場が開設されて以降,女子の就学率が上 0 昇した 64.男子の間ではそのような効 0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 果はみられず,年長の女子のなかには新 製造業 GDP1,000ドル当たりの CO2 排出 (2000 年価格,年当たりトン) しい雇用機会に就くために退学する者も あった.(図 5.10).工場の仕事が女性 出所:IEA 2011;International Income Distribution Database (I2D2);ILO's Labor Statistics に基づ く WDR 2013 チームによる試算. にとって就業可能なものになるのに伴っ 注:CO2= 二酸化炭素;GDP= 国内総生産.推定は IEA のデータと国別温室効果ガス目録の て,親は娘にとって雇用機会が今後増え ための気候変動に関する政府間パネルの指針(1996 年修正版)からの手法と排出係数に基づ く.上図は製造業・建設業セクターにおける生産活動に伴う燃料燃焼からの CO2 排出だけ る可能性が大きいと考えて,教育の重要 を算入.グラフの中の円は国を表す.バブルの規模はそれに対応する不変価格でみた製造業 GDP の規模を表す 性を認識したのであろう.したがって, このような衣服工場で働く女性が他の女 性や少女に模範を示したといえる. 果は社会的距離を増大させることである.  プログラム評価も仕事から社会的一体感への波及  やはり,調査によって,波及効果が存在するのか 効果に関するもう 1 つの情報源となっている.例 どうかを判断するための第 1 次接近として,この えば,ドミニカ共和国の「若者・雇用プログラム」 ようなダイナミクスに関して質問することができ (Programa Juventud y Empleo)は中等学校を修 る.4 カ国で,調査対象者に仕事が他人と接触を確 了しておらず,失業中で貧しい家計で暮らしている 立するために,社会問題や他の仕事に関する情報を 若者を対象にしている.参加者は職業訓練と生活ス 提供するために,良い取引に関する(例えば食料に キル訓練――自尊心・チームワーク・コミュニケー 関する)ニュースを理解するために,役立ったか否 ションスキルを含む――の組み合わせを受講し,そ かを質問した.ネットワーク効果が少なくともや の後には民間セクター企業でのインターンシップが や重要であると回答したのは,中国では回答者の 4 65 続く .プログラムのおかげで,ギャング・暴力・ 分の 1,シエラレオネでは同 4 分の 3 にとどまっ その他のリスクを伴う行動――麻薬使用や無防備な .各国間比較には慎重な解釈が必要で た(図 5.11) 性交など――への関与が減少した.参加者は自分の あるが,同一国内における個人間の比較は有益であ 自尊心や行動に対するプラスの影響を指摘した. ろう.  ネットワーク効果を状況にあてはめるには定量 ネットワーク.仕事は新しいコンタクト先を生み出 的な手法が必要である.ボスニア・ヘルツェゴビ し,情報を伝える手段になり得る.マイナス面とし ナと旧ユーゴスラビア共和国・マケドニアにおけ ては,疎外する効果もあり,個人を広範な社会から る調査によって,異なる民族の人と仕事ないし事 いっそう遠ざける.ネットワークのプラス効果とし 業を喜んでするという人数は,学校や近隣地区に ては,人々にコミュニティないし社会に対する利害 おける民族間協力を支持する人数を凌駕したこと 関係を付与することができる一方,そのマイナス効 が明らかになった 66 .また,1990 年代後半のボ 176 世界開発報告 2013 「緑の仕事」の国際的な定義は途上国にとって狭すぎる ボックス 5.6   「緑の成長」の概念はよく発達しているが,「緑の仕 やバイオマスの生産など著しい拡大が見込まれている 事」の概念に関してはコンセンサスがあまりできてい が,適切な仕事とはみなされない可能性がある e.さ a ない .経済協力開発機構(OECD)はこのレッテル らに,再生可能エネルギーや低炭素製造業に関心が集 を環境産業に連動した仕事に使っている b.ヨーロッ まっていることを受けて,貧困層にとってより高い所 パ委員会は製品が環境にとって有益であるとみなされ 得をもたらす,環境へプラスの影響を与える活動から る産業の雇用に焦点を当てている c.実例としては, 関心がシフトしてしまう懸念があろう. 再生可能エネルギー・セクターや低炭素製造業におけ  森林劣化の削減や森林の持続可能な管理に向けた努 る仕事が含まれる.統計目的に加えて,政策策定向け 力を考えてみよう f.閉鎖林の外にある木材資源は,炭・ に情報を提供するために,緑の仕事に関して独自の定 薪・材木・非木質森林製品に対する需要を満たすのに 義を規定している政府もなかにはある. ますます重要になってきている.地方管理による森林  国連環境計画は緑の仕事を,「農業・製造業・建設業・ 復活や劣化した地形の再生は,プラスの環境インパク 据え付けや保守点検に加えて,環境の質の保持・修復 トだけでなく,貧困層にとって所得機会を生み出す可 に著しく貢献する科学的・技術的・管理的なサービス 能性があろう.窒素を固定化できる能力をもった木を d に関連したポジション」として定義している .国連 使って,土壌肥沃度が改善され,飼料・木材・燃料が 環境計画や ILO にとって,このような仕事は「適切 供給されてきた.そのような高度な樹木管理が一部の な仕事」という資格ももっていなければならない. 地域ではサトウモロコシの収量が 85%も増加し,同  しかし,このような定義はあまりにも狭い.途上国 じく雑穀が 50%も増加するのを後押ししている. では,緑の成長と関連した一部の仕事は,バイオ燃料 出所:WDR 2013 チーム. a.詳しい検討に関しては Bowen 2012 参照. b.OECD 1999. c.UNEP 他 2008. d.UNEP 他 2008, 35–36. e.Upadhyay and Pahuja 2010. f.WDR 2013 のために書かれた Sander and Dewees 2012. 図 5.10 バングラデシュでは衣服工場の近接性が若い女子の間で学校教育を刺激した a.男子 b.女子 70 40 60 30 50 就学率(%) 就学率(%) 40 20 30 20 10 10 0 0 1980 1985 1990 1995 1980 1985 1990 1995 近隣に衣服工場のある村 近隣に衣服工場がない村 出所:Heath and Mobarak 2011. CHAPTER5 仕事を評価する 177 図 5.11 すべての仕事が社会的アイデンティティ・ネットワーク・公平感を提供するわけではない 100 90 80 発言に同意(回答者の%) 70 60 50 40 30 20 10 0 中国 エジプト コロンビア シエラレオネ 私の仕事は有意義である 私の仕事はネットワークを確立する 最も資格のある人が仕事を得ている 出所:WDR 2013 のために書かれた Bjørkhaug 他 2012;Hatløy 他 2012;Kebede 他 2012;Zhang 他 2012 に基づく WDR 2013 チームによる推定. スニア・ヘルツェゴビナで,フォーカス・グルー 語などといった状況が含まれる 69.平等な機会を プは,「民族協力に関して最大の支持があった」の 提供する社会は,人生のずっと後における仕事の軌 は職場であることを見出した 67.トリニダード・ 道に対して,このような状況が影響を及ぼしたとい トバゴの印刷・梱包,食料・飲料,建設,小売で う痕跡をほとんど残していない.しかし,そのよう 働いているビジネスマンは,仕事を通じた他民族 な出自から生じる不平等のシェアが大きい諸国もな との相互交流は社会生活にプラスの効果をもたら かにはある.このような諸国では,根深い不平等の 68 したと回答している . 存在が早くから生活機会を決定し,仕事へのアクセ スや関連報酬を通じて後に表面化するのである 70. 公平感.仕事へのアクセスが公正か否かは当然なが 雇用機会における不平等に寄与している多様な要因 ら主観的な評価に依存する.労働市場がどの程度公 の重要度を評価するのにも,このアプローチを使う 正であるかの評価は世論調査でわかり,そのような ことができる.東・中央ヨーロッパの数カ国では, 評価を長期にわたって追跡すれば,政策当局にとっ 父親の教育が仕事へのアクセスにかかわる不平等の て指針を与えることができる.中国では回答者の約 牽引力となっている.特にロシアとスロベニアでは 30%が最も有能な人が仕事を獲得すべきだと感じ それが甚だしいが,ラトビア・カザフスタン・クロ ている――これは仕事が能力に基づいて配分されて アチアではジェンダーに関する要因が支配的である いる,と判断している人が比較的少ないという兆候 (図 5.12). である.シエラレオネに加えてコロンビアではこの 割合は著しく高かった. * * *   このような主観的な評価以外では,仕事へのアク セスにかかわる公平性は現実には,機会の不平等に  仕事の社会的価値の評価は,特定国の状況下で開 関して台頭しつつある文献に依拠して,厳密に測定 発にとって何が良い仕事かを特定するのに重要であ することが可能である.この種の文献では才能と努 る.そのような評価はさまざまな手法で探求するこ 力以外の要因が,仕事へのアクセスでどの程度重要 とが可能である.そのなかには実際に定量化が可能 なのかを探求している.そのような要因にはその人 なものもあれば,仕事に関する個人的な価値と社会 が生まれついた場所・家庭環境・性別・民族性・言 的な価値の相違の定性的な分析が可能なものもあ 178 世界開発報告 2013 図 5.12 仕事へのアクセス機会に関する不平等の原因については,ジェンダーと父親の教育が大きなシェアを占めている ロシア リトアニア キルギス スロベニア クロアチア ラトビア カザフスタン 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 % ジェンダー 親のコネ 父親の教育 少数民族 出所:WDR 2013 のために書かれた Abras 他 2012. 注:上図は不公平の指標である D 指数に対する各状況の寄与率を示す.D 指数は利用可能な機会のシェアであり,すべてのグループにかかわる機会 について同じカバー率を達成するために再配分されなければならないものである.機会は週当たり 20 時間以上の仕事に就くことと定義されている. 親のコネは共産党員である親を指す.父親の教育は修了した学校教育の年数で測定されている. る.多種多様な仕事の社会的価値を評価することが できれば,開発政策のトレードオフや優先課題に関 する議論にとって有益であろう.適切な波及効果と いうのは発展段階や特性の違う国ごとに異なり,仕 事にかかわる課題も多様にならざるを得ない. QUESTION 5 スキルと仕事――どちらが先か?  人的資本理論がスキルと経済パフォーマンスの連 内市場向けに生産している企業よりもスキルのボ 動性を初めて確立して以来,一般的に次のように主 トルネックを報告している割合が高い 79.発展途 張されてきている:教育や訓練は雇用と所得を増や 上 106 カ国のうち,技術の採用が素早く世界的に すためには賢明な投資であり,したがって成長と雇 統合している企業は,他の企業と比べると,海外 用創出にとって必須の要素である.特に読み書き算 からの候補者を通じて求人を埋めるのに長い時間 術を中心とする基本的な認知的スキルの修得とそれ を要している――スキル関連の制約がより拘束的 に関連した所得機会の増大に伴って,貧困のなかで であるという証左であろう 80 .他方,農民や非登 暮らすリスクは低下する.スキル,特に認知能力は 記企業の企業家――農村部と都市部の両方――は, 生産性の伸びと強い関係があり,それは学校の出席 スキルのボトルネックをさほど深刻ではないと評 71 率以上である .また,構造転換とも密接な関連 価する傾向にある 81. がある.それが農業以外の人々向けに雇用機会を創  そのようなミスマッチに対する簡単な対応は,民 出している低所得国および下位中所得国では,特に 間の企業や人々がいっそうの教育や訓練を通じてス 72 そういえる .110 カ国の 1,500 の下位地域を調 キルを改善することであろう――しかし,いくつか 査したところ,教育が知識波及や企業家精神にとっ の周知の理由から,このような動きの発生は阻害さ て極めて重要な決定要因として浮上している 73 . れている.企業や農場――特に小規模なもの――お さらに,スキルは,仕事が人々をどのようにして隣 よび労働者は,必要な資金をもっている,あるいは 人・コミュニティ・社会に結び付けるのかを形作る この目的用に資金を借りられることは稀である 82. 74 ことができる . また,企業が従業員の訓練に消極的なのは,訓練後  しかし,世界中で,獲得可能なスキルは経済の要 に労働者が転職していくことを懸念しているから 求にうまく適合していない.スキルのミスマッチは だ 83 .さらに,企業と労働者の双方とも,スキル・ 縮小しているというよりも,おそらくは拡大してい ギャップを特定するのに必要な情報が欠如している る.正確な指摘は困難ではあるが,ブラジル・コ 公算がある. スタリカ・パキスタン・スリランカ・タンザニア  そのような市場の失敗のゆえに,政策当局は高失 といった多種多様な諸国では,被雇用者の 3 分の 1 業や生産性の伸び悩みに対処するために,しばしば 程度は担当職務に対して資格過少か資格過剰かのい 教育・訓練システム制度を頼りにしている.現在, 75 ずれかである .世界中の登記されたフォーマル 多くの諸国は実地訓練と雇用前(職業)教育の強調 企業のマネジャーは労働力のスキルのことを,生産 を通じて,現在および近い将来の労働力のスキルを プロセスのなかで平均以上の重要性を有する障害で 磨き上げることを推進している.トルコの公共雇用 あると判断している 76 .多種多様な発展段階にあ 庁は 2007 年以降,職業訓練への登録者をほぼ 10 るいずれの諸国においても,スキル障害は 2000 年 倍に拡充して,11 年には約 25 万コースを実施し 代前半におけるよりも今の方がより深刻であると判 ている.インドは全国スキルズ・ミッションを打ち 断されている(図 5.13). 出し,2022 年までに 5 億人訓練という目標を掲げ  スキル不足は最もダイナミックな企業家にとっ ている. 77 ては特に深刻な制約となる .若くて成長途上の 企業だけでなく,大きな企業は中小規模の企業よ スキル構築の落とし穴 りもスキルが制約要因であると指摘している 78 .  スキルの重要性は誇張しすぎることがない(ボッ インドネシアやフィリピンの輸出指向企業は,国 クス 5.7).しかし,この認識から大規模なスキル 180 世界開発報告 2013 図 5.13 スキルは他の障害と比べて,事業にとってより深刻な制約になっている 2.5 他の制約との対比でみたスキル政策の 2.0 厳しさの変化 1.5 1.0 0.5 0 低所得 高所得 1 人当たり所得によって順序付けした国 出所:企業調査に基づく WDR 2013 チーム. 注:上図はスキル障害の相対的な重要性が 2000 年代の初めと終わりの間でどれだけ変化したかを示す.相対的なスキル障害は (a) スキルの欠如が重 大な,あるいは深刻な障害であると述べている企業のマネジャーの割合と,(b) 他の制約が重要ないし深刻であると評価している企業マネジャーの割 合の比率として定義されている.プラスの点数はスキル制約が他の制約との対比でより深刻になったことを示唆する. ボックス 5.7 スキルはどのように形成され,どのようにしたら測定できるか  スキルは生活を通じて修得される.人々は学校教育 自己効力感・抱負が高まり,卒業試験の点数や初期の の形成期に,職場において,訓練で,家庭や近隣地区 労働市場成果が上昇した c.基盤の構築は早くから始 における無数の相互作用やメカニズムを通じて,学び, まるが,スキルは子供時代が終わって職業人生のなか スキルを形成する. 適合し, 認知的スキルには言語能力・ でも継続して形成される. 作動記憶・数的思考能力・問題解決能力などが含まれる.  スキルの測定にかかわる関心が世界的に顕著となっ 社会的スキルは性格の特性に基づいており,チームワー ている.学力テストは親・教員・管理者に対して情報 ク・信頼・規律・労働意欲などといった行動の背景を を提供し,システム全体のパフォーマンスと達成度の 成している a.技術的スキルがあれば特殊な課題を遂 より良い理解を可能にしてくれる.このようなテスト 行することができる.すべての仕事は多数の方法でさ で測定されるスキルは性格的に純粋に学力にかかわる まざまな環境下で形成されたスキルの組み合わせを必 もののようにみえるが,テストの得点は個人の認知的 要とするため,政策当局はスキル開発に関して最善の スキル以上のものを反映している.学力テストにおけ 軌道を策定するという複雑な挑戦に直面している. る格差の相当な部分は,インセンティブ制度に加えて,  人生最初の年月がスキル形成にとって最も重要であ 性格的な特性や社会的スキルに原因を求めることがで る.中核的な認知的・社会的スキル開発の基盤である きる.このような性格的特性や社会的スキルは,教育 知性と学習能力が固まる時期だからである b.脳の成 到達度や所得を含め,個人の人生の成果を予測するの 熟化は段階的に起こり,新しいスキルは前のスキルに に極めて重要である. 折り重なっていく.仮に土台が強固であれば,高次の  より最近では,努力は職場で使われるスキルの種類・ 認知的・社会的スキルは後で追加することが可能であ 強度・頻度を測定することによって,成人の能力を評 る.これが変化の速い仕事環境における適合性の増大 価する方向に向かっている.このような措置はより定 や仕事固有のテクニックの修得につながる.ムンバイ 型的な多種多様な手先の器用さや現場力を評価するこ のスラム街では,初等学校教育と並行して運営されて 問題解決能力など複雑な能力までと幅が広い d. とから, いる特別プログラムのおかげで,子供たちの自尊心・ 出所:WDR 2013 チーム. a.Barrick and Mount 1991. b.Grantham-McGregor 他 2007;Knudsen 他 2006. c.Krishnan and Krutikova 2010. d.OECD 2012;World Bank 2010 に基づく Skills toward Employment and Productivity Measurement Study. CHAPTER5 仕事を評価する 181 構築プログラムに飛躍するには慎重さが必要とされ 者の品質管理と経営を資金調達とは区別して監視す る.教育・訓練制度がスキルの不足ないしミスマッ るために,パキスタンのシンド州技術職業訓練庁な チの根本原因ではない可能性があるためだ.不足や どのような監視機関を創設している.インドでは, ミスマッチは市場の歪みや経済のなかの他の分野に 国家スキル開発戦略は訓練・保証・認可を担当する おける制度的な故障が発している間違った信号から 機関は厳しく分離されていなければならない,と 生じている懸念があろう.仮に公務員職の給与が非 いう原則に基づいている 90.マイナス面としては, 常に高いとすれば,若者はたとえ行列を作らなけれ 多くの省庁にまたがる責任の分散,民間セクターか ばならないとしても,ここへの就職のために勉強す らの距離,急速に変貌を遂げているスキルのニーズ る可能性が大きいだろう.これは例えばエジプトで に対する反応の遅さ,提供者による支配などが,世 みられたように,民間セクターでは不適切なスキ 界中で訓練プログラムや雇用前教育を悩ませ続けて 84 ルの修得や非現実的な期待につながりかねない . いる. 同様に,給与体系が圧縮されていると,教育・訓  教えられていることも重要である.しばしば看過 練向け投資を増やすインセンティブが殺がれる 85 . されているのは社会的スキルであるが,同スキルは 雇用機会・通勤費・住宅市場の失敗などに関する情 学校や訓練センターで修得できることは稀である. 報の欠如が,労働者が入手可能な仕事に就かない本 インドでは,エンジニアを雇用するところは,信頼 当の理由かもしれない.このような事例すべてにお 性・学ぼうという積極性・企業家精神が,個別の技 いて,スキル関連のようにみえる制約は実際には教 術的スキル――数学・科学・国語がよくできること 育・訓練制度の外にある. ――よりも重要であると強調している 91.ボツワ  加えて,スキル構築サービスを成功裡に実現する ナでは,仕事に関する理論的・実際的な知識は他の のは困難である.雇用前訓練や実地訓練の成功度は 仕事固有のスキルと並んで,公約・意志疎通・基本 発展途上世界ではバラツキがある.実地訓練は労働 的な問題解決などのスキルよりも,総じて重要度が 所得の上昇や生産性の伸びと一貫して同一歩調をた 劣ると考えられている 92.ペルーでは,雇用者の どっている.それは先進国よりも途上国でいっそう 40%は,チームワーク・持続力・コンセンサスに 妥当している 86 .しかし,それにアクセスできる 到達する能力・イニシアティブなど頼りになる労働 のはほんの一握りの労働者にとどまっている.教育 倫理や個性が,従業員の間で欠如していることを嘆 水準の低い人々や,小さいインフォーマル企業で働 いている.このような主観的な評価は,忍耐力とい いている人々は,訓練を享受する機会がほとんど う社会情緒的な気質の収益率が,平均的な認知能力 ない.技術職業教育(TVE)の実績もさまざまで の収益率と同じように高いことを示す強固な証拠に ある.一般教育との比較で TVE をみると,ルワン よって確認されている 93 . ダ・スリランカ・タイでは高所得,インドネシアと インドではほぼ同じ所得,パキスタンでは低所得 仕事を通じて学ぶ 87 につながっている .農村部では TVE の対象範囲  スキルが仕事にとって重要なのとちょうど同じ 88 が往々にして非常に限定的である .一部の諸国 く,その逆も真である.多くの技術的・社会的な では,TVE は社会的な移動性を促進するどころか, スキルは職場における経験を通じて構築できる― 社会経済的な不平等を強化している 89.質が良く ―仕事にかかわるスキルの形成は大きな収益をも ないこととアクセスが不平等なことが,多くの諸国 たらす.各国を平均すると,非農業活動における では重要な制約となっている. 仕事の経験を 1 年追加した場合の収益率は,職業  説明責任と統治に関する取り決めがスキル構築イ 人生を開始した時期における追加的な 1 年の教育 ニシアティブの連鎖のなかで弱いことが多く,市場 の収益率のほぼ半分に相当する 94 .また,マネ の失敗に代わってしばしば制度的な失敗が生じてい ジャーは経験にプレミアムを付ける.アフリカの る.プラス面としては,近代的で柔軟なスキル開発 5 カ国のマネジャーは採用の決定にとって,仕事 戦略が旧式の機械的な要員計画に取って代わってい の経験の方が技術的スキルや教育よりも重要であ ることが多い(ボックス 5.8).多くの諸国は提供 ると指摘した 95 . 182 世界開発報告 2013 ボックス 5.8 人員計画はダイナミックなスキル開発に道を譲った  人員計画は 1960 年代から 70 年代にかけて人気が ターはますますスキル開発の牽引力になる必要があ あった.これはマクロ経済やセクター別の予測を使っ る.インドの全国ソフトウェア・サービス企業協会 て,特殊な技術的スキルをもった労働者が何人必要に (NASSCOM)は 2006 年に,標準化したスキル評価・ なるかを導出するテクニックである.いくつかの事例 認証制度を創設した.韓国技術教育大学(KUT)は「橋 では成功した.それは韓国の場合にみられたように, 渡しモデル」というものを創設した.これは大企業 1 国の経済開発戦略全体に密接に統合されて,普遍的な 社とその主要な下請業者である中小企業(SME)群も 基礎教育制度の利益を享受したからである a.しかし, 巻き込んだ 3 者間パートナーシップである.大企業が その厳格性がすぐに息苦しくなった.人員計画は一般 技術的知識を寄付し,SME が訓練すべき従業員を連 的に,労働と産出の間の固定的な関係を前提とし,し れてきて,KUT は教育施設と中身を供給する d.サム たがって暗黙裡に技術変化を排除している.また,技 ソンが 2006 年に第 1 号の「橋」になった.それ以降, 術的スキルが認知的・社会的スキルにとって有害であ 他の大手 5 社が「橋」になっている. ることも強調している.さらに,グローバル化が仕事  特に東アジアを中心とする包括的なスキル構築シス の世界にもたらした急速な変化に適合するのも遅かっ テムからは多くのことが学べる.しかし,このような た b. システムは精緻な制度的メカニズムを必要とし,能力  徐々に焦点はスキルの十分な供給を単に確保するこ が低い状況ではそれに手が届かない可能性がある e. とから,需要応答型の高質スキル開発プログラムを実 世界で 100 を超える諸国が包括的な「全国資格枠組み」 施することにシフトした.韓国では 1990 年代半ばに を打ち出している.これは能力の定義・認証・認定を なると,明示的な産業政策を伴った長期マクロ経済計 巡って制定されている.しかし,例外はあるが,結果 画の策定が停止された.人員供給の産業別予測は,教 とインパクトは期待外れであった f.低・中所得国では 育やスキル開発の質と適切性を強調する新たな国家的 利用可能な行政能力が往々にして圧倒され,最も重要 イニシアティブに首位を譲った c.対象範囲はより広 なプレーヤー――親・教員・訓練機関・企業――から くより統合されて,機械的な予測に取って代わった. の強力な支持の欠如によって,進展が阻害されている. シンガポールも 1980 年代から 90 年代にかけて,特に おそらく東アジア諸国からの最も貴重な教訓は,スキ 教育やスキルの水準が低い人々を中心に,労働力を格 ル開発制度は上からの調整策や促進策を享受しつつも, 上げし,再訓練し,生涯学習を提供するために統合的 下から有機的に成長していくことが必要だということ な戦略を策定した. であろう.  グローバル化のペースが速いことから,民間セク 出所:WDR 2013 チーム. d.Lee 他 2008. a.Kim 2002. e.Nam 2011. b.Richards 1994. f.ILO 2010b.次も参照:DFID 2010;Gill, Fluitman, and Dar 2000. c.Kim 2002.  教育と仕事を通じた学習の統合を促進する徒弟制 では,二重制度は迅速で体系的な雇用統合の成果を 度プログラムは,世界中において多種多様な形で存 上げているとの評価が高い 98 .しかし,二重制度 在する.それはサハラ以南アフリカのインフォーマ は適切な経済的インセンティブ以上のものを必要と ル・モデルから,中央ヨーロッパの二重モデルまで する――それは雇用者(公共財としての徒弟という と幅が広い.技術的スキルを世代を超えて継承する 将来の場所を提供し,それに投資する)・労働組合 しばしば主要なメカニズムとなっているインフォー ・政 (訓練生には最低賃金未満の支払いを承認する) マルな徒弟制度は,国家的訓練制度への漸進的な統 府(職業学校に資金を供与し品質管理を実施する) 96 合を通じて強化することができる . の間の社会契約に基づいている 99.経済の下降期  ドイツで深く根付いている二重モデルは,教室 においてさえ訓練のファイナンスや継続を含め,民 ベースの学校教育――一般的で譲渡可能なスキルを 間セクターの公約が決定的である.そのような制度 重視――と,訓練企業における実地学習を組み合わ 的な要件が厳しいことから,二重モデル全体を移植 97 せたものである .フランス・ドイツ・オランダ する試みはほとんど成功していない. CHAPTER5 仕事を評価する 183  実地においてスキルを構築するのは有望である. 暗いという前兆である 107.また,社会的スキルは というのは,スキルというのは公式な学校教育が 基礎的な認知スキルを補完するものとして,いよい 終ってからも,十代や職業人生を通じて,発展・蓄 よ重要な役割を担っている.スキル構築が累積的な 100 積していくものだからである .仕事は,特に早 ものであることを考えると,スキル修得の後の軌道 期の経験は,社会全体に貢献しようという積極性を が従うべき土台を確保することは絶対的な優先事項 含め,行動や態度を形成することもできる. のままである.多くの所得はまだそこまで到達して  重要なのは,仕事は他人との相互交流を通じて知 いない. 識の伝達を後押しすることだ.都市や生産クラス  この土台が整備されていると,仕事はスキルを牽 ターで観察される集積効果の背景には,知識の波及 引することができる.雇用機会は教育需要を増加さ 効果がある 101.しかし,仕事から知識が波及する せ,それは制度によって充足させなければならな 効果は農村部でも生じる.インドの「緑の革命」期 い.ここで政策の役割は,信号が十分に発せられる に,経験豊かな隣人がいる農民は,それが乏しい隣 ことを確保して,若年層と生産年齢人口層が同じよ 人の農民に比べて大きな利益を享受した 102.村レ うにスキル蓄積を継続するインセンティブを提供す ベルの社会的学習に伴う利益は相当大きかったので ることだろう.ドミニカ共和国では,中等学校教育 103 ある . に実際の収益率に関する情報を生徒に提供したとこ  仕事は人々を外部世界と接触させることによっ ろ,それが就学率の大幅な上昇につながった 108 . て,人びとにスキル構築に向けた熱意を起こさせ インドでは,農村部の女性に仕事の機会に関する情 る.外資系企業や国際的価値連鎖のなかに統合され 報を提供したことが,少女の学校教育の増加や,女 ている企業で働いていると,新しい技術や経営のス 性の結婚・妊娠の先延ばしにつながった 109.他方, キル修得が可能になる.その後,この学習が模倣に 仕事へのアクセスにかかわる特権は信号を歪める. 拍車をかけ,広範囲に影響が及ぶ 104.シンガポー それはスキル構築を奨励するどころか,傷付け意気 ルでは,インドのタタ・グループが 1972 年に経済 阻喪させかねない. 開発庁とパートナーを組んで,精密エンジニア向け  仕事自体が,特に労働市場に参入したばかりの時 に社内訓練センターを設立した初めての国際企業 には,スキルを構築することができる.学校から仕 であった.このパートナーシップのモデルはその 事へのむずかしい移行期における長期的なマイナス 後,他の外国企業でも成功裡に模倣され,最終的に 効果を考えると,新求職者支援の重視は大きな成果 は 1993 年にさまざまな機関が統合されて,シンガ を上げることだろう. ポールで現在は南洋理工学院という施設になった.  しかし,仕事はスキルを著しく牽引したり構築し 今日,同学院は産業界主導型訓練に関する国際的な たりするものではない.たとえ基本的な認知スキル 105 専門知識の源泉となっている .半導体の組立・ が身に付いていたとしてもである.これが起こるの 試験工場をコスタリカに設立するというインテルの は,集積や世界的統合からの利益が存在するにもか 決定も,同じく同国の展望とスキル構築制度に顕著 かわらず,十分開拓されていないという状況下であ 106 な貢献をしている . る.急速な都市化が進行している国はしばしば収穫 すべき大規模な知識の波及効果があるにもかかわら 仕事はスキルを必要とし,スキルを牽引し,スキ ず,付加価値の梯子を上ることに失敗していること ルを構築する がある.もしそうなら,低生産性と低スキルの罠に  生産的な雇用がそもそも出現してくるために必要 陥っているのかもしれない 110.そのような罠が生 なスキルもなかにはある.また,それは仕事を通じ まれるのは,スキルが革新を加速するには不十分な て修得することはできない.数的処理スキルや識字 場合や,スキルの需要がその修得を奨励するにはあ スキルがなければ,雇用機会や所得の展望――農業 まりに低い場合である.そのような場合,中等レベ あるいは都市部の環境のいずれであれ――は暗い. ル・技術的レベル・高等レベルにおけるより適切な 今日,世界中で 15-24 歳の若者のうち 10%強が機 学校教育やスキル構築が,開発のために良い仕事を 能的に識字能力を欠いており,それは彼らの将来が 創出するための前提条件として必要である. 184 世界開発報告 2013 注 Geneva, http://www.ilo.org/dyn/normlex/en/. 1. Glewwe 2004;World Bank 2008b. 7. 例えば,第 122 号条約は雇用政策を含み,第 81 2. Nunn and Wantchekon 2011. 号と第 129 号の条約は労働監督に取り組み(第 3. ILO 2012b. ,第 144 号条約は三者協議に関する 129 号は農業) 4. ILO 2010a. ものとなっている. 5. United Nations, 1948, The Universal 8. ILO 1998. Declaration of Human Rights, United Nations, 9. Hassel 2008. 例 え ば, 国 際 金 融 公 社(IFC) の New York, http://www.un.org/en/documents/ 保護政策は中核的労働基準と整合的である.IFC udhr/, article 23 (1). 宣 言 を 補 完 す る 形 で, 国 2012 参照. 際条約が女性・児童・障害者・移民などの権利を 10. 理論的には,結社の自由は労働者に労働条件の改善 保 護 す る こ と を 目 指 し て い る. こ れ に は 以 下 が を要求する経路を提供している.労働の衛生安全は 含 ま れ る:Convention on the Elimination of ILO 条約・各国法・規則・増加傾向にある民間セ All Forms of Discrimination against Women クターの自主的な行動規範によって補われている. (1979), the Convention on the Rights of the 11. WDR 2013 のために書かれた Fredman 2012. Child (1989), the International Convention 12. 家族労働者は同じ家計に住んでいる親族が経営し on the Protection of the Rights of All Migrant ている市場指向型事務所で,自営業者の立場にあ Workers and Members of Their Families る.ILO 2011a 参照. (1990), and the Convention on the Rights of 13. Sankaran 2007. Persons with Disabilities (2006). 労 働 者 の 14. WDR 2013 のために書かれた Fredman 2012. 権利を保護する地域的なメカニズムは以下を含 15. WDR 2013 のために書かれた Levi 他 2012;同 む:European Convention on Human Rights, Newitt 2012. こ の よ う な イ ン シ ア テ ィ ブ は 次 the European Social Charter, and the Inter- のような国際的な基準や指針によって支持され American Convention on Human Rights.これ て い る:Performance Standard 2 of the IFC; ら 1 つずつが広範な労働者の権利について明示的 Equator Principles for Financial Institutions; な保護を提供している.国レベルで,各国は労働者 United Nations Guiding Principles on Business の権利を憲法・法律・規則に組み込んでいる.各国 and Human Rights. の法律において,国際的な権利や基準にかかわる具 16. Clark 2005;Helliwell and Putnam 2004. 体的な解釈や適用の詳細が明確にされている. 17. Fan and Chan-Kang 2008. 6. 中 核 的 な 国 際 労 働 基 準 は 4 つ の 分 野 を 含 む 次 の 18. Summers 1989. 8 つ の 条 約 の 主 題 と な っ て い る: Convention 19. World Bank 2009a. 8 7 (1 94 8) , t h e F r e e do m o f A s s o c i a t io n 20. Bell and Blanchflower 2010,2011. and Protection of the Right to Organize 21. Beegle, Goldstein, and Rosas 2011. Convention;Convention 98 (1949), the 22. Attanasio and Lechene 2002. Right to Organize and Collective Bargaining 23. Hoddinott and Haddad 1995;Quisumbing Convention;Convention 29 (1930), the and Maluccio 2003. Forced Labor Convention; Convention 24. Backiny-Yetna and Wodon 2011. 105 (1957), the Abolition of Forced Labor 25. Akresh, de Walque, and Kazianga 2012. Convention;Convention 100 (1951), the 26. de Mel, McKenzie, and Woodruff 2009; Equal Remuneration Convention;Convention Fafchamps 他 2011. 111 (1958), the Discrimination (Employment 27. Luke and Munshi 2011. and Occupation) Convention;Convention 28. Kaveh 2012. 138 (1973), the Minimum Age Convention; 29. Atkin 2009. Convention 182 (1999), the Worst Forms 30. WDR 2013 のために書かれた Duranton 2012. of Child Labor Convention. 次 を 参 照: 31. この事例は問題の規模を例示したもので,福祉効果 "Conventions," NORMLEX (Information に関する断言ではない.都市には住宅価格の高騰な System on International Labour Standards) ど金銭的コストもあれば,汚染の悪化や犯罪の増加 database, International Labour Organization, など非金銭的コストもある.生活費も都市の規模と CHAPTER5 仕事を評価する 185 ともに増大する.先進国から出てきている証拠がや Javorcik 2012;Kee 2010;Poole, 近刊. はり示しているところによれば,大きな都市ほど 51. Alfaro and Chen 2011. 賃金について水準効果だけでなく,上昇の効果が 52. Unni and Rani 2008. ある.以下を参照:Freedman 2008;Holmlund 53. Bolaky and Freund 2004;Chang, Kaltani, and and Storrie 2002;Wheeler 2006. Loayza 2009;DeJong and Ripoll 2006. 32. Bacolod, Blum, and Strange 2009;Glaeser 54. Blalock and Gertler 2005;Borensztein, De and Resseger 2010;Wheeler 2001. Gregorio, and Lee 1998;Glass and Saggi 33. Duranton 2006;Moretti 2004a.文献における 2002;Kinoshita 2000;Kokko, Tansini, and 早期発見はアメリカのデータに基づいていたが, Zejan 1996;WDR 2013 の た め に 書 か れ た それはほとんどの大きな先進国でも確認されてい Javorcik 2012. る.体制移行国や途上国については,次のような 55. Hallegatte 他 2011. 諸国でも同じ発見がなされている:チリ(Saito 56. UNEP 2011. and Gopinath 2011) ,中国(Liu 2007) ,マレー 57. この推定値は 1995 年における 1 トンの炭素の社 シア(Conley, Flyer, and Tsiang 2003) ,ロシア 会的コスト 20 米ドル(Fankhauser 1994)に基 (Muravyev 2008). づいており,それをアメリカの GDP デフレーター 34. Duranton 2008;Henderson 2005;Overman を使って 2009 年価格に換算したものである.推定 and Venables 2005. 方法に関する出所については図 5.9 の注を参照. 35. Sonobe and Otsuka 2006b. 58. それとは対照的に,ヨーロッパでは,緑の成長に 36. IFC, 近刊. 関する議論はしばしば再生可能エネルギーと低炭 37. Duranton 2008;Henderson 2005;Overman 素製造業に焦点が当てられている(GHK 2009; and Venables 2005;World Bank 2009c. Oral, Santos, and Zhang 2011). 38. Glaeser and Kohlhase 2004. 59. IPCC 2007. 39. Santos and Shaffer 2004. 60. Stevenson 他 2011. 40. Parry and Timilsina 2010. 61. Otsuka and Place 2001;Pingali, Bigot, and 41. Rappaport 2008. オ ラ ン ダ の 証 拠 に 関 し て は Binswanger and Mkhize 1987; Yamano, Broersma and Oosterhaven (2009) を参照. Otsuka, and Place 2011. 42. Zivin and Neidell 2011. 62. WDR 2013 の た め に 書 か れ た Norton and de 43. Henderson, Kuncoro, and Turner 1995; Haan 2012. Henderson, Lee, and Lee 2001. 63. Akerlof and Kranton 2010. 44. Long and Zhang 2011;Mano 他 , 近 刊; 64. Heath and Mobarak 2011. McCormick 1999;Schmitz and Nadvi 1999; 65. Ibarraran 他 2012. Sonobe and Otsuka 2006a. 66. UNDP 2003a,2003b. 45. Feenstra 1998;Hummels, Ishii, and Yi 2001; 67. Dani 他 1999, 3. Yeats 2001;Yi 2003. 68. Kilroy 2011. 46. Fernandes 2007. 69. 状況は出生時における子供の能力からは独立して 47. Harrison, Martin, and Nataraj 2011. いるということが前提となっている. 48. Harrison 1994;Levinsohn 1993;Muendler 70. WDR 2013 のために書かれた Abras 他 2012. 2004. 71. Hanushek and Woessmann 2008.WDR 2013 49. Aw, Chung, and Roberts 2000;Aw, Roberts, (2012) のために書かれた Lee and Newhouse は, and Winston 2007;Blalock and Gertler 2004; Hanushek and Woessmann (2008) に よ る 分 析 De Loecker 2007;Fernandes and Isgut 2007; を拡張して,学力テストの得点を雇用の成果に合致 Hallward-Driemeier, Larossi, and Sokoloff させるべくコーホート分析を実施している. 2002;Lileeva 2004;Matthias Arnold and 72. WDR 2013 の た め に 書 か れ た Lee and Javorcik 2009;Park 他 2010;Van Biesebroeck Newhouse 2012. 2005. 73. Gennaioli 他 2011. 50. Aitken, Hanson, and Harrison 1997;Görg 74. WDR 2013 のために書かれた Welzel 2012. and Strobl 2005;WDR 2013 のために書かれた 75. 各国の家計調査に基づく WDR 2013 チームの試 186 世界開発報告 2013 算.教育(学校教育の年数)が各職業において観 訓練を強化しない主因であると回答している.ラテ 察される平均を標準誤差 1 単位以上上回っている ンアメリカ諸国(ブラジルを除く)における企業調 場合,同被雇用者は学歴が高すぎるとみなされる; 査に基づく WDR 2013 チームの試算. 逆に下回っている場合には学歴が低すぎるとみな 84. Assaad 1997. される.職業に関しては ILO の 2 桁の定義が使用 85. 地中海諸国の事例に関しては,WDR 2013 のため されている. に書かれた Biavaschi 他 2012 を参照. 76. これは相対的な制約の比較である.各国について, 86. Almeida, Behrman, and Robalino 2012. スキルが深刻な,あるいは非常に深刻な制約である 87. 特 定 年 に 関 す る 以 下 の 研 究 か ら の 推 定 値: イ ン と評価している企業の割合を,他のすべての障害 ド(2004 年データ),パキスタン(2004 年デー にかかわる同様の評価の平均で除したものである. タ), ス リ ラ ン カ(2002 年 デ ー タ ):Riboud, これによって,主観的な回答の水準とは独立して, Savchenko, and Tan(2007 年);インドネシア 各国比較が可能になる. (1993 年,1997 年,2000 年,2007 年データ): 77. 相対的なスキル制約と世界銀行の 105 カ国に及ぶ Newhouse and Suryadarma(2011 年);ルワン 企業調査を活用した多くの変数について条件付き ダ(1999-2001 年 デ ー タ ):Lassibille and Tan 相関関係を推定してみると,企業規模(プラス), (2005 年 );タイ(1989-95 年データ):Moenjak 年齢 , (マイナス)輸出活動(プラス),革新的活動(プ and Worswick(2012 年). ラス),製造業セクター(プラス)と有意な関係が 88. 中等教育のうち何割の生徒が職業訓練校に行って あることがわかる. いるべきかに関して黄金律は存在しない.ほとん 78. グルジア・マケドニア・ポーランド・ウクライナと どの先進国では,具体的な技術スキルに対する需 いった国の事例に関しては以下を参照:Rutkowski 要――および報酬――が高まっていることを背景 2008;Rutkowski 2010;World Bank 2009b, に,40-50%の生徒が職業訓練軌道に乗っている. 2011a. 発展途上世界の同平均は,UNESCO 統計(http:// 79. Di Gropello, Kruse, and Tandon 2011;Di www.uis.unesco.org/Pages/default.aspx) に 基 Gropello, Tan, and Tandon 2010. づけば 33%である. 80. Almeida and Filho 2012. 89. Tan and Nam (2012) 参照.先進国に関しては, 81. IFC がアフガニスタン・アンゴラ・ボツワナ・ブ 平均すると,TVE を卒業した生徒の雇用力は一般 ルキナファソ・カメルーン・カポベルデ・コンゴ 軌道を卒業した生徒と同様であるが,所得が若干低 民主共和国・エジプト・マリ・ネパールで実施した, くなっている. 非登記企業に関する特別投資環境調査.企業のオー 90. Indian Planning Commission 2008. ナーは事業経営にとって最重要な障害を指摘する 91. Blom and Saeki 2011. よう要請されている(障害の数は調査ごとに異な 92. World Bank 2012a. る).最高比率はエジプトで記録された(企業オー 93. World Bank 2011b. ナーの 6%が全部で 21 個の選択肢のうち,スキル 94. 545 件の家計調査にかかわるミンサー型回帰分析に が最重要な障害であるとして選択した).他方,最 基づく WDR 2013 チームによる推定.同調査には 低比率はアフガニスタンであった(12 個の選択肢 教育期間に加えて,潜在的な仕事経験の期間も含ま のうちスキルを障害として指摘したのは企業オー れる(WDR 2013 のために書かれた Montenegro ナーの 5%にとどまった).農村部の投資環境評価 and Patrinos 2012). はベニン・ブルキナファソ・エチオピア・インド 95. McKinsey & Company 2012.マネジャーは採用 ネシア・モザンビーク・ナイジェリア・タンザニ にとって最大のボトルネックを選ぶのに際して次 ア・スリランカ・イエメンで行われ,スキルの重 の 4 つの選択肢が与えられた:教育(卒業証書な 要性に関しては同じような回答となった(Sawada ;必ずしも学校で教えられていない技術 いし学位) 2011). ;社会的スキル(例 的スキル(例えば溶接や会計) 82. ブラジル・チリ・メキシコ・シンガポールなど多く ; えば態度・職場での行動・時間厳守・信頼性など) の諸国で創設され,しばしば賃金税を通じて賄われ 仕事の経験. ている訓練基金が訓練向けの資金を供与している. 96. ILO 2011b;Nübler 2008.ILO は学校から仕事 Almeida, Behrman, and Robalino 2012. への移行をテーマとした多数の調査を実施してい 83. ラテンアメリカでは,小企業の 10%はこれが社内 るが,それは労働市場に参入する若者が直面する CHAPTER5 仕事を評価する 187 制約と選択肢に関して洞察を提供するものである. FDI 誘致の間の関係については,WDR 2013 の 例えば,Matsumoto and Elder (2010) を参照. た め に 書 か れ た Bashir, Gindling, and Oviedo 97. WDR 2013 の た め に 書 か れ た Biavaschi 他 2012 も参照. 2012.興味深いことに,ドイツについては,最初 の移行は訓練企業における就職に依存しない.訓練 や実地学習は特定の企業で行われるが,学んだスキ 参考文献 ルは移転可能なようである(Winkelmann 1996). ここでの「processed」という表現は,形式にこだわ 98. 文献レビューについては,WDR 2013 のために書 らずに再出版された文献を指し,通常,図書館では扱 われていない. かれた Biavaschi 他 2012 参照. 99. WDR 2013 のために書かれた Biavaschi 他 2012 Abras, Ana, Alejandro Hoyos, Ambar Narayan, and 参照. Sailesh Tiwari. 2012. “Inequality of Opportuni- 100. Cunha, Heckman, and Schennach 2010; ties in the Labor Market: Evidence from Life Heineck and Anger 2010.ドミニカ共和国では, in Transition Surveys in Europe and Central 貧しい若者(中等学校を修了していない 16 歳と Asia.” Background paper for the WDR 2013. Acemoglu, Daron. 1997. “Technology, Unem- 29 歳の若者)向け生活スキル訓練の早期結果は顕 ployment and Efficiency.” European Eco- 著な成果を示している.若い女性参加については, nomic Review 41 (3–5): 525–33. 妊娠率が低下する一方,雇用機会が上昇している. Aitken, Brian, Gordon H. 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CHAPTER6 仕事のさまざまな課題 197 農業国 産品ブームに加えて,ヨハネスブルクに最も近い港  人口の大半が農村部に住んでいる諸国では,賃金 というマプトの特権的な立場のおかげで,モザン 雇用というのは支配的な形態の仕事ではない.例え ビークはサハラ以南アフリカでは過去 10 年間にわ ば,ケニアの被雇用人口の約半分は農業に従事して たり,最高の成長パフォーマンスを示した諸国の 1 いる一方,非農業家内事業の自己雇用とインフォー つとなっている.にもかかわらず,おそらく内戦終 マル企業の賃金雇用が 3 分の 1 強を占めている 1. 焉の結果として 1990 年代に大幅に低下した貧困率  登記済み民間企業と公共セクター全体における賃 は,2003-08 年には総人口の約 55%で基本的に横 金労働者を含め,フォーマルな雇用は農業国では典 ばいにとどまった 6 . 型的には総雇用の 10%弱を占めるにすぎない.製  モザンビークで貧困の中心は農業にある.雇用の 造業賃金雇用のシェアはさらにずっと小さい.サハ 80%強は農業であるが,同セクターが国内総生産 ラ以南アフリカのフランス語圏数カ国を比較する (GDP)に占める割合は 30%にすぎない 7.農業に と,この比率は首都でさえ 5%弱にとどまっている おける労働時間当たり付加価値は,サービス業の 7 ――ベニンの首都コトヌーやトーゴの首都ロメで 分の 1,製造業の 12 分の 1 にとどまっている.収 は 3%弱,カメルーンの首都ヤウンデで 8%,マダ 量は過去 10 年間にわたり停滞している.農業労働 ガスカルの首都アンタナナリヴォだけは 10%強と 者の約 95%は小さな区画で働き,近代的技術の使 2 なっている .ちなみに,サハラ以南アフリカ全体 用は低く,農業指導サービスへのアクセスは最低限 として,フォーマル・セクターの労働者に占める女 にとどまっている. 性の割合は 4 分の 1 未満にとどまっているが,セ  証拠が示すところによると,低所得国では農業の 3 ネガルだけは同比率が 3 分の 1 強となっている . 成長は他のセクターの成長よりも貧困削減効果が大 それどころか,フォーマル・セクターの雇用は過去 きい.というのは,貧困層は農業セクターに集中し 20 年間にわたりむしろ低下傾向をたどっている. ており,他のセクターの成長よりも農業の成長に大 というのは,国有企業が民営化され,外国貿易が自 きくかかわっているからだ 8 .1700 年以降,大規 由化されたからである. 模な貧困削減のほぼすべての歴史上の事例は,実際  この状況では,失業の概念は慎重な解釈を要す にも農業生産性の上昇とともに始まっている 9. る.失業率は技術的には計算可能であるが,農業  農業の成長に対する制約は,農場労働の入手可能 国では貧困が蔓延していることから,労働力のな 性との対比でみた土地の入手可能性に応じてさまざ かで多くの割合の人々が長期にわたって無活動状態 まである.発展途上世界における他の地域と比べ で過ごしている公算は低い.農業国で人々が直面し て,サハラ以南アフリカは伝統的に土地は豊富であ ている挑戦課題は公然の失業ではなく,不完全就業 るが,労働者が稀少な大陸であるとみられてきた. や低所得なのである.モザンビークの家計調査が示 それが妥当する地域もなかにあるが,大陸の南部と すところによると,2003 年現在,驚くべきことに 東部の諸国にはそれはもはや当てはまらない.モザ 仕事をしている人々の 81%が 1 日 1.25 ドル未満, ンビークでは平均的な農場の規模は 1.5 ヘクタール 4 95%が一日 2 ドル未満で生活していた . 未満である.耕作地が人口比で相対的に減少するの  農業国では,生活水準を改善する主要な方法は, に伴って,収量を増加させる技術的な変化がない限 農業の生産性を高め,都市にダイナミックな経済環 り,十分な食料の生産が重要な問題になる.サハラ 境を作り出し,農村部から都市部へ労働の再配分を 以南アフリカの多くの農業国では,このような技術 促進し,そうすることによって生産性の伸びと生活 的な変化はまだ起こっていない.アジアの多くの諸 水準の改善に,プラスのスパイラルをもたらすこと 国――「緑の革命」で穀物収量が増加して貧困率が である.このようなアプローチは全体として,農場 低下した――とは異なり,サハラ以南アフリカ諸国 外の雇用機会の拡大につながり,それが今度は貧困 では穀物収量は低く,貧困率は高いままにとどまっ 削減の重要な牽引車となる. ている(図 6.1).アジアのなかにはカンボジア・  モザンビークは農業国が直面する仕事上の挑戦課 ラオス・ミャンマーなど,同じような挑戦に直面し 5 題を例示している .重要な鉱業関連の発見と一次 ている諸国もある. 198 世界開発報告 2013 図 6.1 農業国では「緑の革命」がなかったため,貧困は高水準にとどまっている 南アジア 1981 年 1.48t/ha 穀物収量改善 2001 年 2.49t/ha 150 東アジア 1981 年 2.84t/ha 穀物収量 2001 年 4.24t/ha 120 貧困者数 指数 サハラ以南アフリカ 1981 = 100 アジア 100 サハラ以南アフリカ では収量も貧困も 停滞 80 貧困者数 南アジア 穀物収量 1981 年 1.25t/ha 50 2001 年 1.07t/ha 貧困減少 東アジア 1981 2001 1981 2001 出所:Christiaensen and Demery 2007.  小自作農の生産性の伸びや集約化にとって公共投 は,アジアの収量に比肩する 12.そのような地域 資は重要な牽引力となる.技術というのはしばしば では,アジアで開発された改良品種や地方品種との 公共財である.農民はコメや小麦の改良品種を再生 交雑種が採用されている.この観察が示しているの 産することができるため,民間の種子会社は新品種 は,水稲に関する限り,アジアの技術はサハラ以南 導入の利益を享受することができず,したがって努 アフリカの灌漑地に直接的に移転することができ 力しない傾向にある.トウモロコシ・サトウモロコ る,ということである. シ・雑穀のハイブリッド種子を農民は再生産できな  穀物ベース農業の集約化は無機肥料使用の著増と いため,民間セクターが種子を供給する.しかし, 関係があるが,ヘクタール当たりの無機肥料の適用 その場合でさえ,基礎研究は公共セクターが実施し はサハラ以南アフリカでは,世界の他のどの地域よ ている.その結果,生物学や化学の技術を開発する りもずっと少ない.その重大な一因は肥料価格が穀 には公的支援が必要なのである. 物価格との比較で高いことにある.肥料価格はサハ  これを行うのはサハラ以南アフリカでは,先進的 ラ以南アフリカではインフラや貿易物流が不備のた な農業研究センターと国家プログラムによる永続的 め,通常はアジアやラテンアメリカの 2-3 倍の高 な共同研究である.それが綿花やキャッサバの改良 さとなっている 13 .施肥に関するもう 1 つの制約 品種を開発した――それはアジアにおける国際的な は,土地所有権が多くの場合確実ではなく,した 農業研究センターと国家プログラムによる,長期的 がって担保として利用できないため,小自作農は融 なコメと小麦の共同研究を思い出させるものであっ 資を獲得できないことにある 14.したがって,農 た 10.モザンビークも含め,輸出向けの高額作物 業において生産性が伸びるためには,インフラや融 11 生産が最近著増していることも有望である .し 資に対するアクセスの改善を含め,良好な投資環境 かし,このような事例を除くと,アフリカの気候に がやはり必要である 15 . 適した作物はほとんど開発されていない.  都市における仕事は自営業が支配する構造になっ  重力灌漑システムも地方の公共財である.サハラ ており,小規模商業が素早い成長を示している.も 以南アフリカでは灌漑地は総耕作地のわずか 5%を し農業が貧困削減にとって最も重要であれば,都市 占めるにすぎない.サハラ以南アフリカ一般と特に 化の成功が社会的一体感に加えて,生産性の上昇や モザンビークにおける灌漑地における水稲の収量 所得の増加にとって鍵を握っている可能性があろ CHAPTER6 仕事のさまざまな課題 199 う.しかし,サハラ以南アフリカのほとんどでは, 害する制約の除去に焦点が当てられる.実際,サハ 都市化は発展途上世界の他の地域で観察されたダイ ラ以南アフリカの都市部では多数のインフォーマル ナミズムを作り出すことに失敗している.農村部か な産業クラスターが台頭している.そこでは特に衣 ら都市部への移住は継続しているが,移住者は最低 服・革靴・簡単な金属製品・家具などが生産されて 限の賃金を稼ぐ自営業者の群れを単に膨らませてい いる.ただし,輸出向けはほとんどない 17.この るにすぎない.ダイナミックな都市がなければ,移 ようなクラスターは自然発生的に発展したもので, 住は希望ではなく絶望で終わってしまう.例えば, このような産業に潜在的な比較優位があることが モザンビークでは,若者は都市部に移動しつつある 示唆されている.物流コストを削減し,官僚主義 が,正規の賃金雇用に就業する者はほとんどいな を排し,挑戦課題に取り組めば,このようなクラ い.一方,信頼の水準は低下し,若者間では最低に スターに外国人投資家を呼び込むのに必要な条件 16 なっている . を作り出すことができる.特に中国沿岸部におけ  次のような意見もある:このような都市部におけ る賃金上昇を受けて,低賃金が重要な競争要因と る仕事の挑戦課題は,自営業の機会を増やすことを なっている一部の産業がよそへの移転を検討し始 通じて取り組むことができる.例えば,バス停留所 めている時期にあっては,重要な施策になるだろ 周辺にインフォーマルな市場のスペースを建設すれ う(ボックス 6.1)18 . ば,生計を立てることができる農村部出身の移民が  集積効果の引き金になって世界経済に接続させて 増えるだろう.しかし,この種の自営業によって, くれる仕事が,農業国では開発にとって良い仕事で 他の地域では都市に繁栄をもたらした集積効果や知 ある.この種の仕事を増やし,経済的ダイナミズム 識波及効果を支えることができる可能性は低いだろ の中心になるためには,都市はもっと機能的になる う. 必要がある.しかし,最も楽観的なシナリオでも,  代替的なアプローチは労働集約的な軽工業が離 都市化のプロセスが完了するには時間がかかるた 陸できるような条件を整備することであろう.こ め,農業の生産性を引き上げることが高水準の貧困 のアプローチでは潜在的に比較優位がある活動の を削減するための優先課題となる. 特定や,私企業がそのような活動に着手するのを阻 仕事のレンズ 農業国 生産的な小自作農の増加 世界市場に接続した都市部の仕事 紛争の影響を受けた国 建するための鍵にもなる.仕事は安全や正義と並ん  紛争下にある国や紛争から立ち直りつつある国で で,暴力の循環を打破し,制度に対する信認を回復 は,仕事が最も緊急を要する問題の 1 つである 19. し,人々に社会への利害関係をもってもらうのに重 それは戦争や暴力に影響された個人や家族の生計を 要である 20. 修復し,元戦闘員を社会に再融合し,社会に帰属  しかしながら,紛争の影響下にある国での雇用創 しているという各自の感覚を再建するために,決定 出にまつわる障害は膨大であり,政策当局者は圧倒 的に重要である.また,経済活動を急発進し,人々 的な問題に直面する.動員解除された兵士,退去さ の繋がりを再構築し,ネットワークや社会構造を再 せられた人々,暴力や戦争の影響を受けた脆弱なグ 200 世界開発報告 2013 ボックス 6.1 農業国エチオピアは製造業で競争できるか?  エチオピアの管理の良い企業で働いている労働者の るだろう.このような措置を取れば,エチオピアは産 労働生産性は,中国やベトナムのそれに匹敵する.た 業をリードするために,中国やベトナムがしたのと同 だし,賃金は中国のわずか 4 分の 1,ベトナムの半分 じ方法で投資家を引き付ける立場に立てるだろう. にすぎない.したがって,エチオピアは顕著な拡大を  エチオピアは豊富な天然資源からも利益を享受して みせつつある労働コスト面での優位性のおかげで,世 いる.履物産業向けの皮革などの原材料や,家具産業 界的に競争できる潜在力をもっている.また,ジブチ 向けの硬木や軟木が入手可能である.しかし,それら の最新で立地の良いコンテナ港に近く,EU やアメリ は高価である.1 立法メートルの木材は 667 ドルで, カの市場に対して無関税のアクセスを有している.ア これは中国の 344 ドル,ベトナムの 246 ドルと比較 パレルにおけるエチオピアの競争力にとって根本的な される.そこで,エチオピアの都市部の消費者は輸入 制約は貿易物流の不備にあり,それが労働コスト面で された近代的な家具――安価でしかも良質――を購入 の優位を帳消しにし,同国は市場のなかで時間により している.にもかかわらず,エヒオピアは木材に関し 敏感でより高額な分野には参入できないでいる.アパ ては,特に竹を中心に膨大な未開拓の潜在力をもって レルの通関が可能な高速軌道のルートを設置し,外国 いる.改革すれば同国の家具産業は国内市場で競争力 為替に対する無償かつ即時のアクセスを供与し,信用 をもち,より生産的な仕事を生み出し,外国為替を節 状のコストを削減し,ジブチ近くに工業地帯を設立す 約することができるだろう. れば,最も重要な貿易物流のボトルネックが緩和され 出所:Dinh 他 2012. ループのために,どうしたら仕事を速やかに創出す だけでなく,インセンティブを変えることによって ることができるか? どのような種類の政府プログ も,仕事を根底から混乱させることがある.スリラ ラムなら即効が期待できるか? 民間セクターはど ンカでは,北部での紛争が経済活動を混乱させ,暴 うしたら雇用創出の原動力になれるか? さらに, 動グループが新規失業者のなかからメンバーを採用 紛争の影響下にある国 は往々にしてそもそも貧し するのに好都合な状況を生み出した 22. い.その機会・資源・能力は稀少であり,立案のた  しかし,戦時下でも人々は働く.仕事は自給自足 めのデータが要するに存在しない可能性があろう. 農業や小商いなど,低給与ないし無給の業務にかか  紛争という環境には幅があり,犯罪的な暴力が高 わることが不当に多い.紛争後のリベリアの農村部 水準にある状況から内戦やその他の形の対内抗争ま では,若者は一度に 2 つから 4 つの仕事をしてい でが含まれる.それほど頻繁ではないが,国家間の ると述べている 23 .すべての諸国において,紛争 敵対行為が含まれることもある.国全体が対内紛争 は女性の労働力参加を増やす.というのは,女性は や対外紛争に巻き込まれると,制度が崩壊し外部世 家計が所得ショックを乗り切るのを助け,戦闘に従 界との接続が切断されるため,仕事への挑戦は特に 事している男性の不在を補填するために働くからだ 厄介になる.仮に紛争が地方にとどまるとすれば, (ボックス 6.2)24.アフガニスタンでは,女性の 制約はそれほど深刻ではない.というのは,敵対行 就業率は紛争の少ない地域よりも多い地域の方が高 為が管理可能になり次第,機能を維持していたイン くなっている.ネパールでは,紛争の多い地域で上 フラ・サービスや制度を紛争の影響下にある地域に 昇率が大きくなっている 25 . 拡張することができるからだ.紛争状況は一般的に  紛争の影響下にある国における一部の仕事には, 退去を余儀なくされた大勢の人々の存在によって, 紛争終焉後も継続している非合法活動が含まれてい いっそう複雑になっている.2010 年末現在,自国 る可能性もある.それは統治が弱くて,合法的な代 外で紛争から避難している人々と国内で退去してい 替活動が欠如しているためだ.このような活動は範 る人々は,それぞれ 1,540 万人と 2,750 万人に達 囲が限定的であっても,インセンティブを歪めレン していたと推定されている 21. トを生み出すことによって,開発のための良い仕事  紛争はインフラや市場アクセスを破壊・損傷する の創出にとって有害な可能性があろう.アフガニス CHAPTER6 仕事のさまざまな課題 201 タンでは,ケシ栽培が農村家計にとって重要な所得 ボックス 6.2 紛争は女性の労働力参加を高める 源である 26 .ソマリアでは,海賊は高速船の乗組  女性は必要に迫られて,紛争の時期にしばしば経済 員や関連した陸上作戦向けの雇用などを通じて,一 活動を活発化させている.女性を対象にした紛争後プ 部の人々向けには雇用を生み出す 27.リベリアで ログラムは,紛争によってもたらされた機会の窓を活 は,農村部の若者は違法な採鉱・ゴム樹の切り付 用して,地元経済の回復に有意義に貢献するという新 け・伐採で働くことで,所得を補填している 28 . しい役割を担当してもらうのに役立つ.インドネシア  紛争から立ち直ろうとしている諸国では,仕事は の北マルク州では,約 1 年に及ぶ極めて暴力的であっ 回復にとって重要であるが,雇用創出の障壁はとり た内戦終結後に急速な経済回復と貧困削減がみられた わけ険しい(ボックス 6.3). 紛争の影響下にある が,それに積極的に参加したのは女性であった.38 国の企業の回答によると,政治不安が事業にとって 歳の既婚女性は次のように述べている:「紛争が終結 最も深刻なボトルネックであり,次には電力不足が した 2002 年以降,家族のニーズを満たすための余分 きている(図 6.2).単に基礎的なサービスを機能 な所得を得るために,小売店を運営しています.…私 させることが重大な問題になることがある.腐敗や はテルテナ市政府から得た支援金を事業の資本金とし ファイナンス欠如も制約要因としてトップの部類に て使いました.10 年前,私は主婦にすぎませんでし た.今のように事業を運営するための資本をもってい 入っている.高犯罪率や武力紛争を原因とする安全 なかったからです」. リスクは投資収益率を押し下げ,武力紛争が公式に 終焉した後でも持続することがある.企業としては 民間の警備員を雇ったり賄賂を払ったりするのに, 出所:Petesch 2011. 追加的な資金が必要となる.移住や学校教育の混乱 に伴うスキル損失も企業にとって障害をもたらす.  元戦闘員の動員解除と社会復帰は紛争から立ち ボックス 6.3 南スーダンでは仕事における課題を解決することが緊急を要する  世界で最も新しい国である南スーダン共和国は,紛 の新政府は今後 6-8 年にわたって 15 万人に達する兵 争から立ち直ってきた諸国が直面する課題を例示して 士の動員解除を目指している c.土地の権利に対する いる.南スーダンには石油を含め天然資源があるに アクセスや遊牧民グループ間の紛争も,仕事にとって もかかわらず,人口の 5 分の 4 以上は農村部に居住 顕著な挑戦である.また,公共セクターにおける過剰 し,ほとんどが自給自足農業と育牛に依存している. 雇用の後遺症もそうであるが,深刻な財政圧力を考え 人口の半分は貧困のなかで暮らしているが,2009 年 ると持続可能ではない. の家計調査によると,貧困は農村部ではとりわけ深刻  雇用の創出は新政府が直面している最も直接的な である.成人人口のなかで識字能力があるのはわずか 懸念事項の 1 つである.雇用は平和と安定に貢献し, 4 分の 1 強にとどまっており,将来的な人的資本開発 合法的で非暴力的な活動を通じて持続可能な生活水準 の展望は暗い:10-14 歳のほぼ半分はすでに働いてお を提供し,経済回復を促進することができる.このよ り,女子の場合で就学しているのは 3 分の 1 強にと うな仕事を生み出すためには,民間セクターの投資に どまっている a. とって好意的な環境を整備することが必要である.し  国際移住機関(IOM)の推定によると,スーダンの かし,それには時間がかかるため,仕事の欠如が安定 内戦では 400 万人が退去させられ,2005 年に包括和 性にとって脅威をもたらすグループ――これには国内 b 平合意が調印されて以降,190 万人が郷里に戻った . 避難民・元戦闘員・若者などが含まれる――向けには 国内避難民の帰郷はそうでなくても貧しいコミュニ 代替策が緊急に必要とされている. ティに対して,著しい圧力をもたらした.南スーダン 出所:WDR 2013 チーム. a.Guarcello, Rosati, and Lyon 2011. b.IOM 2009. c.Republic of South Sudan Disarmament, Demobilisation and Reintegration Commission 2012. 202 世界開発報告 2013 図 6.2 紛争の影響下にある国では不安定性とインフラの不備が企業にとって深刻な制約である 政治的安定性 * 電気 * 金融 腐敗 輸送 * 税率 * 競争 * 犯罪 / 無秩序 税務行政 * スキル 土地アクセス * 税関 通信 * 法廷 * 労働規則 * 許認可 * 0 1 2 3 他の制約の平均点との対比でみたある制約の得点の倍率 紛争の影響下にある国 他の諸国 出所:Investment Climate Survey (database), World Bank, Washington, DC. 注:上図の紛争の影響下にある国には以下が含まれる―アフガニスタン(2008 年) ,ボスニア・ヘルツェゴビナ(2009 年) , ,ブルンジ(2006 年) ,コンゴ民主共和国(2006 年,10 年) チャド(2009 年) ,コートジボワール(2009 年) ,ギニア・ビサウ(2006 年) ,グルジア(2008 年) ,コソボ ,リベリア(2009 年) (2009 年) ,シエラレオネ(2009 年) ,ネパール(2009 年) ,東ティモール(2009 年).横軸はある制約の平均点が,その他のす べての制約の平均点に対して,何倍になっているかという比率を示す.星印は紛争の影響下にある国とその他の諸国の相違が 1%水準で統計的に有意 であることを示す. 直ろうとしている諸国にとっては,重要な挑戦課 供することによって,重要な橋渡しの役割を果たす 題である.元戦闘員が総人口に占めるシェアは比 ことができる.臨時プログラムが紛争を削減して, 較的小さいものの,特に若者の失業や無活動がス コミュニティの再建に寄与したか否かに関する証拠 トレス要因になれば,脆弱な紛争後の環境を緊張 はあまり明確ではない.現金報酬職プログラムは, 29 させたり傷付けたりしかねない .仕事は軍隊や もし特定グループだけを対象にしているのであれ 民兵の解体に伴うアイデンティティや地位の喪失, ば,コストがかかり苦しい公共予算をいっそう逼迫 それに窃盗や略奪からの所得の喪失を補填してく させ,低質で維持不可能な資産を作り出す懸念があ れる.仕事はギャングや暴力へのさらなる関与を るだけでなく,分裂をもたらし,緊張につながりか 抑止する後押しをしてくれる.にもかかわらず, ねない. すべての仕事が暴力の代替物になるわけではない.  対象が幅広いコミュニティ・ベースのプログラム ほとんど所得をもたらさない骨折り仕事の場合に の方が,安定を確立するのに有益かもしれない.コ は特にそうである. ンゴ民主共和国では大勢の元戦闘員が就職で苦労し  ほとんどの武装解除・動員解除・社会復帰プログ ていたため,元戦闘員とコミュニティ・メンバーが ラムには,緊急的な臨時職・現金報酬職・公共雇用 構成する協会が,雇用機会や社会的扶助に関する情 サービス・小額補助金・職業訓練などといった何ら 報を共有するとともに,問題の処理を助けることに かの形で,雇用支援策が盛り込まれている.臨時雇 した 30.特に紛争に巻き込まれていた若い男子を 用プログラムは他の選択肢がない状況下で,元戦闘 中心に,プログラムは若者の社会復帰を円滑化でき 員やその他の脆弱な人々に対して仕事を速やかに提 るように調整することができる.コンゴ民主共和 CHAPTER6 仕事のさまざまな課題 203 国・リベリア・シエラレオネなど一部の事例では, ログラムから民間セクターにおける雇用創出にシフ 若い元戦闘員には平和な時期や平常な市民生活の記 トするだろう.ただし,紛争の影響下にある国が一 憶がなかった. 夜にしてダイナミックな経済国になると期待するの  最終的には, 紛争の影響下にある国 は民間投資 はナイーブである. を誘致する必要がある.国家は規則や制度を強化  紛争の影響下にある国が直面している仕事の挑戦 し,基本的インフラを再建し,安全性を提供するこ に取り組むのは手強い課題である.平和と安定に貢 31 とによって,誘導役を演じることができる .公 献し,違法な経済活動や暴力に取って代わり,経済 的セクターや民間セクター,ドナー,市民社会の間 回復の長いプロセスを始める仕事を創出することが でパートナーシップができれば,市場や投資家の信 必要である.紛争後の状況下では,仕事は次のこと 認を再建するのに有益であろう.価値連鎖を通じて を通じて社会的一体感に対しても開発効果をもたら 農民や企業家を接続することができれば,革新や雇 すことができる:自尊心を強化し,アイデンティ 32 用の増加を誘発する可能性があるだろう .業界 ティや地位の感覚を付与してくれる生産的な活動に 団体は法と秩序・道路・電気を回復することによっ 人々を関与させる,ネットワークを再構築する,機 て,企業家精神を支援し,集団行動問題の解決を後 会は公平に配分されているという感覚を人々に与え 33 押しすることができる .しかし,安全性が回復 る. するのに伴って,仕事の焦点は対象を絞った公的プ 仕事のレンズ 紛争の影響下 にある国 戦闘員を動員解除させる仕事 退去民を社会復帰させる仕事 対決の代替策を提供する仕事 都市化する国  それが過去半世紀にわたり東アジア数カ国の物語  豊富な未熟練労働に恵まれて都市化しつつある国 であった.多くの点でそれは最近のバングラデシュ には,仕事に関して好循環に入る可能性がある.こ の物語でもある.チッタゴンやダッカといった大都 のような諸国は世界経済に統合できれば,とりわけ 市では工業化が進展しつつある.工業セクターが付 軽工業を中心に広範な雇用機会の創出につながるだ 加価値総額に占める割合は 1990 年の 20%から上 ろう.このような仕事は重労働や比較的低い給与を 昇して,今や約 30%に達している.また,都市化 伴い,付加給付は限定的か無視できる程度にすぎな 比率は 30%に接近しつつあるが,これは 1980 年 いかもしれないが,総じて農業の仕事よりは好まし との比較では 2 倍の水準である 35 .輸出が GDP い.また,将来的により良い仕事につながる経済 に占める比率は 1990-2010 年に 3 倍に上昇した. 的・技術的な格上げプロセスにとって,参入点にな この増加の多くは,女性労働に関して非常に集約的 る可能性もある 34.したがって,未熟練労働者向 な既製服の分野で発生している.この構造転換は農 けの雇用機会は多数の家計にとって,貧困を脱出す 業生産性の改善と一緒になって,生活水準に重大 る道を提供する.女性向けの仕事の選択肢が限定的 なインパクトをもたらした.1 人当たり GDP は過 であった諸国では,都市化経済における新たな雇用 去 20 年間で 2 倍になり,1 日 1.25 ドル未満で生 機会は,家計と社会の両レベルで重要な変化を引き 活している人々のシェアは,1992 年の 70%から 起こすかもしれない. 2010 年の 43%へと低下した 36 .生産性と所得の 204 世界開発報告 2013 緩和されている.金融アクセスを背景に,特に女性 ボックス 6.4 バングラデシュに関する開発悲観論は理解で きるものであったが,間違っていたことが判 の教育と健康を中心に人的資本の蓄積が円滑化し, 明している 零細企業への投資が促進されている.  1975 年,バングラデシュに関する初めての本は次  農村部には相当な余剰労働があるにもかかわら のようにコメントしていた:「仮にバングラデシュの ず,農業の実質賃金は 1983 年の 1 日当たりコメ 問題が解決できるとすれば,開発に関してそれほどむ 2.5 キログラム(金銭相当額)から現在の 6.0 キロ ずかしくない問題も解決できる,という合理的な自 グラム強へと上昇している.モンガの期間――田植 信がもてるだろう.バングラデシュが開発のテスト・ えから収穫までの期間――に関連した季節的な飢餓 a ケースになる,というのはこの意味においてである」 . は消滅しつつある.工場で働いている女性や建設業 同じ趣旨で,飢餓に関する著名な研究では,バングラ で働いている男性からの送金も,農村部の貧困削減 デシュは「貧困以下の均衡」にあると結論付けられて に役立っている. いた b.  労働が農業から脱出する動きは都市部が近いこと  バングラデシュ経済の存続性に関するこのような否 で円滑化されているが,それはバングラデシュの人 定的な考え方は,同国が独立後に直面していた悪い初 口密度が高い結果である.近接性によって可能にな 期条件――高人口密度,限定的な天然資源の基盤,未 開発のインフラ,頻繁な自然災害,政治的な不安定性 る特別な結び付きも,農村の非農業セクターに従事 など――に規定されていた. している労働者の間における生産性の上昇を支えて  このような否定的な見方は世界の開発業界では楽観 いる.都市化が進展しつつあるバングラデシュにお 論に道を譲っている.それはバングラデシュの社会経 いては,既製服産業というのは仕事の物語の重要な 済開発がこの 20-30 年間に,前向きな実績を達成し 一環なのである.約 300 万人の女性は輸出指向が ていることを受けたものである.人間開発指標が改善 強いこのセクターで働いている.農村部の農業から した国もあれば経済成長で素晴らしい成果をあげた国 脱出する男性にとって,建設業者は重要な雇用者と もある.しかし驚嘆すべきは,バングラデシュは当初 なっている.大勢の低スキル労働者は特に湾岸諸 の悲観論にもかかわらず,両方の面でうまくやった少 国を中心に海外にも出かけている.送金が年率約 数国のグループに属していることだ. 10%で増加しつつある 37. 出所:WDR 2013 のために実施されたバングラデシュに関する国別事例研究.  都市化しつつある国の大勢の労働者にとっては, a.Faaland and Parkinson 1976, 5. b.Alamgir 1978. 軽工業が雇用機会を広げている.というのは,スキ ル要件が控え目だからだ.企業は何らかの教育を要 求するが,一般的には限定的である.例えば,バン 伸びは依然として一部の近隣諸国に後れを取っては グラデシュでは,2005 年でみて都市部の常用賃金 いるものの,バングラデシュの物語は驚くべきであ 労働者の 87%は何らかの教育を受けているが,中 る.というのは,同国は開発の文献ではしばしば望 等以上の学校教育を受けた労働者の比率は 28%に みのない事例として提示されていたからだ(ボック すぎない 38 .ただし,このような教育水準は農業 ス 6.4) 労働者の教育到達度よりもかなり高く,したがっ  このような成功は農業セクター――低スキルの余 て,衣服産業における雇用機会は特に女子を中心に 剰農場労働を吸収できるセクター――における近代 学校教育に対する需要を刺激している.都市化は女 化と,支持的な社会政策の上に築かれている. 性に対して他の有益な効果ももたらしている.労働  技術の採用が速かったことが農業における生産性 所得の増加は子育ての機会費用も押し上げ,それが の上昇につながっている.農民は低収量の深水イネ 今度は結婚の年齢を押し上げて出生率を削減する可 の一毛作から,早生で高収量のコメの二毛作にシフ 能性がある.女性の教育達成度と労働市場参加率が トしてきている.小作から定額借地への顕著なシフ 上昇するにしたがって,女性の社会における地位も トも生じている.土地をもたなかった限界的農民 高まっている. が,この変化の主要な受益者である.と同時に,信  社会政策の分野では,政府と非政府組織がとも 用面の制約は同国の有名な零細金融機関のおかげで に,貧困層・若年層・婦人層をそれぞれ支援するプ CHAPTER6 仕事のさまざまな課題 205 ログラムを設定している.これらは人口増加を抑制 ボックス 6.5 バングラデシュの企業家は現地人 し,教育・健康向けに官民による有効な投資を促進  バングラデシュの既製服産業は過去 30 年間で急成 した. 長し,同国は今や衣服に関して世界最大の輸出国の仲  農業の近代化,労働移動,社会政策を受けて,バ 間入りを果たしている.初期の成功は韓国からの技術 ングラデシュでは仕事の情勢が変わってしまった 移転のおかげだとされているが,そのような 1 度限 が,このような転換には経済の顕著な公的体制化は りの知識注入だけでは持続的な成長を説明するのに不 含まれていない.法的保護や社会保険から利益を享 十分である.この点では,バングラデシュの開発パター 受している仕事のシェアは,過去 10 年間であまり ンは東アジアと類似している:そこでは人的資本への 上昇していない.ブーム状態にある建設セクターは 投資と先進国からの技術・経営にかかわる知識の輸入 ほとんどインフォーマルのままである.バングラデ と吸収の両方が,工業化を推進するのに決定的な役割 シュの輸出指向型企業の間における企業の社会的責 を果たした. 任が,既製服セクターで若干の変化をもたらしつつ  メリヤス製造業者や衣服貿易業者から収集された一 あるものの,労働争議が頻発している.しかし,企 次データを使えば,先進的な技術や知識の継続的な学 業の社会的責任は主として先進国向け輸出と関係し 習のプロセスを探求することができる.同データの示 ており,該当セクターが他の途上国向けに分散化す すところによれば,初期の段階で固有の人的資本の注 入を行ったことが教育程度の高い企業家を産業に引き るのに伴ってあまり妥当しなくなっている.企業の 付け,メーカーと貿易商の分業が産業の拡大を円滑化 社会的責任は建設業では有効な選択肢になる可能性 し,教育程度の高い企業家によって海外からの学習が は小さいであろう.しかし,フォーマル化は進展し 継続したおかげで,企業の成長も持続した.このよう ないものの,企業家精神の発展には目覚ましいもの な要因を総合すれば,バングラデシュの衣服製造業の があり,わずか 20 年のうちに国有の中堅および大 高収益性を説明することができる. 手企業が数千社も設立されている(ボックス 6.5). 出所:Mottaleb and Sonobe 2011;Sonobe and Otsuka 2006.  バングラデシュは興味をそそる事例として際立っ ており,特にその出発点を考えると理解を深めてお くことが重要である.政府は輸出加工区・保税倉 庫・港湾における衣服の特別扱いなどの形で,確か あった. にある程度の支援を供与した.繁栄している東部地  バングラデシュのような都市化が進展しつつある 域と後れている西部地域を結ぶジャムナ橋など大規 諸国には,波及効果をいくつか活用できる潜在力が 模なインフラ・プロジェクトのおかげで,国内の移 ある.しかし,鍵を握っている挑戦課題は付加価値 動は容易になっている.しかし,政府が転換につい 連鎖を這い上がって,工業品輸出を分散化する方法 て主導的な役割を果たしたわけではない.腐敗が問 を見出すことであろう.既製服を除くと,バングラ 題で,事業運営のコストは高い.停電が頻繁に起こ デシュで大きく成長したセクターはほとんどない 39 り,多くの道路は未舗装で,舗装道路は渋滞がひど .医薬品産業が発展してきており,発展のパター い.このような障害にもかかわらず,緑の革命のお ンが衣服産業とは異なっている点が興味深い.しか かげで農業の近代化が進展した.これはコメの高収 し,医薬品セクターやその他の高付加価値の輸出セ 量品種の開発・普及と金融アクセスに助けられたも クターでは高スキルが必要とされることから,それ のである.労働は工業化を通じて農業から脱却し, が初等教育だけの大勢の若者にとって雇用源になる 社会政策が家族計画や社会的保護を通じて支持的で 可能性は低いだろう. 206 世界開発報告 2013 仕事のレンズ 都市化が進む国 女性に雇用機会を提供する仕事 国の輸出能力を高める仕事 過度な渋滞につながらない仕事 農村部からの移民を取り込む仕事 資源の豊富な国 . す公算は低い(表 6.1)  採取産業向けの投資は途上国の GDP のなかで大  経済のその他の分野へのつながりも弱い傾向にあ きな割合を占め,輸出収入の目覚ましい増加につな る.港湾施設,輸送回廊,物流・金融・会計サービ がることがあるが,大きな雇用創出にはつながらな スも必要である.石油精製や鉱石処理が国内で実施 い.建設段階における大勢の労働者は地方レベルで される場合もある.このようなサービスは主要な都 ダイナミズムを生むには十分かもしれないが,鉱山 市やハブで,高付加価値の仕事を生み出さざるを得 や油田の操業が始まると雇用は激減する.おそらく ない.しかし,後方および前方の連関すべてを含め 最も極端な例はパプアニューギニアの液化天然ガ ても,創出された仕事の総数と直接的な仕事の数 ス・プロジェクトであろう.プロジェクトの投資コ の比率は 1 桁台にとどまる可能性が高い.直接的・ ストはプロジェクト着工時点で同国の GDP の 2 倍 間接的な仕事の波及効果を考慮に入れても,採取産 を超え,同プロジェクトは先行き長期にわたって 2 業は資源が豊富な途上国の総雇用の 1-2%を占める 桁の成長率につながる可能性が大きい.しかし,長 にすぎない. 期的にみて 1,000 人を凌駕する直接雇用を生み出  さらに,採取産業は経済の他のところで,仕事に 表 6.1 採取産業プロジェクトは資本集約的でほとんど雇用を創出しない プロジェクト 投資 国 直接雇用(人数) (セクター / 資源) (対 GDP 比%,2010 年) LNG プロジェクト 建設期 9,300 人; パプアニューギニア 237.0 (天然ガス) 以後 1,000 人 オユ・トルゴイ鉱山 建設期 14,800 人; モンゴル 74.2 (銅,金) 以後 3,000-4,000 人 ジュワネング・カット 8 プロジェクト ボツワナ 20.2 1,000 人 (ダイヤモンド) ラム鉱山 建設期 5,000 人; パプアユーギニア 19.0 (ニッケル) 以後 2,000 人 ベンガ鉱業 現在 150 人; モザンビーク 13.6 (石炭) 以後 4,500 人 ムチュチュマ タンザニア 12.2 5,000 人 (石炭) フサブ鉱山 建設期 5,200 人; ナミビア 11.9 (ウラニウム) 以後 1,200 人 ルムワナ鉱山 ザンビア 9.3 建設期 4,700 人 (銅) レコ・ディク鉱業 建設期 2,500 人; パキスタン 4.0 (銅,金) 以後 200 人 コンガ鉱山 建設期 6,000 人; ペルー 2.6 (金) 以後 1,700 人 出所:プロジェクト情報に基づく WDR 2013 チーム. 注:GDP= 国内総生産;LNG =液化天然ガス. CHAPTER6 仕事のさまざまな課題 207 対して重大なマイナス効果をもたらすことがある. られており,女性や若者など一部のグループは,良 このような効果はしばしばオランダ病と呼ばれてい いコネをもっている人々との比較ではアクセスが少 る.これは 1950 年代後半に大規模な天然ガス田が ない.卑しい仕事には臨時契約によって移民が従事 フローニンゲン州で発見された後のオランダの経験 しており,給与や付加給付は控え目なものにとど を指す.すなわち,持続的な輸出収入が実質為替相 まっている.仕事は一部の人々にとってはレントを 場の高騰をもたらし,国際競争にさらされていた他 共有する窓になっているが,それ以外の人々に社会 のセクターの競争力悪化と,そのような貿易可能な に対する持ち分を付与するものではない. セクターにおける仕事の喪失につながった.  生産性のための仕事と社会的一体感のための仕事  資源ブームに沸く先進国のなかには,経済の保護 の間の緊張関係は,途上国では回避することがなお ないしその多角化に成功しているところもある.お さらむずかしい.というのは,ノルウェーにおける そらくノルウェーが最も人目を引く事例であろう. 制度的な強さも,UAE のような実施能力も欠如し 労働運動からの強力な支持を得て,中央集権的な団 ているからだ.資源が豊富な途上国では,貿易セク 体交渉の合意で次のことが確保されている:実質賃 ターの競争力喪失だけでなく,都市化の利益を見過 金は石油を除く貿易セクターの生産性を上回って上 ごすことも懸念事項となっている.主要な集積地の 昇することはない.賃金抑制は全ての人の雇用機会 土地価格は資源が豊富な途上国では,確かに法外に を下支えしており,失業率は最近の世界的な金融危 高くなっている.ある指標によると,世界で最も高 機のさなかでも約 3%にとどまった.石油収入は長 価な都市はルアンダ(アンゴラの首都)である(表 期投資のために使われ,労働所得引き上げのために 6.2).この指標によると,世界で最も高価なのは, ただちに転換されることはない. 上位 5 都市のうち 3 つ,上位 50 都市のうち 9 つ  石油が豊富な他の諸国のなかでは,アラブ首長 は,資源が豊富な途上国に所在する. 国連邦(UAE)も金融・物流のサービスを通じて,  資源の豊富な国のそのような都市は,ロンドンや 何とか経済を多角化している.しかし,全体とし ニューヨーク,東京などのような経済密度をもって て,湾岸諸国では,国民は公共セクターにおける高 いないため,集積の利益を享受するのが困難であ 給職を通じて石油ブームの直接的な受益者になって る.一次産品(ココアなど農産物も含む)生産への いる.大きな諸国では,このような仕事は割り当て 特化が,サハラ以南アフリカの諸国で都市化が成長 表 6.2 資源が豊富な途上国の都市は世界で最も高価な部類に属する 2011 年の順位 都市 国 1 ルアンダ アンゴラ 2 東京 日本 3 ヌジャメナ チャド 4 モスクワ ロシア 5 ジュネーブ スイス 12 リーブルビル ガボン 14 シドニー オーストラリア 18 ロンドン イギリス 23 ニアメー ニジェール 27 パリ フランス 29 セントペテルスブルク ロシア 32 ニューヨーク アメリカ 41 ラゴス ナイジェリア 44 ハルトゥーム スーダン 48 バクー アゼルバイジャン 50 アムステルダム オランダ 出所:Mercer 2011. 注:都市は海外在住者向けの消費バスケットのコストに基づいて,最も高い方から低い方へとランク付けされている.途上国の都市はハイラ イトされている. 208 世界開発報告 2013 の実現に失敗している重要な理由かもしれない 40. を感じた.零細・小規模の採鉱が一部の人々にとっ しかし,このような富裕な消費の集積地は農村部か ては収入の道を提供した.硬岩鉱夫は年 5-7.5 万ド らの移民を引き付け,したがって,地方の不平等・ ル相当額,砂鉱床鉱夫は同 1 万ドルの稼ぎができ 不満・犯罪を煽っている.資源が豊富な途上国の る.この所得は他の大きな鉱山で仕事を見付けた元 都市のうち,生計費ベースでは世界のトップ 50 に ミシマ鉱山の従業員が送金してきたお金とともに, 入っているのに,生活の質のベースで世界のトップ 地元経済に多大な貢献をすることになった 44. 50 位に入る都市は 1 つもない.  また,鉱山地域でさえ,社会的インパクトは生活  採取産業は多くの雇用は創出しないものの,他の 水準に対するプラス効果が示唆するよりもまちまち 経路を通じて地方経済に貢献する.パプアニューギ である.鉱山地域から流入するお金を受けて,男た ニアにおける大規模な採鉱プロジェクトで働く従業 ちは花嫁に高額を支払い,前例のない規模で何人も 員に関する最近の調査が示すところでは,彼らは自 の妻を娶った.それは女性の地位低下に貢献してい 宅宛てに現物と現金の両方を送っている.現物送付 る.ポルゲラ鉱山周辺では,古い妻の放棄や他の部 のほとんどは建設・建築資材(41%)で,輸送関 族から連れてこられた女性の数の増加が,家庭内暴 41 連の品目が続いている(28%) .送金は授業料 力や近隣グループとの緊張が増加している原因だと (29%)と輸送関連品目(12%)に最もよく使われ 考えられている.リヒールでは地主グループが補償 ている.従業員は農村部から訪問してきた親族を宿 と利権料を受領した際,口座を管理する権限が付与 泊させていると答えている.訪問客のなかには家事 された女性はだれもいなかった 45 .加えて,通常 を手伝った者もいれば,ホスト側の負担で教育を受 は子供が零細・小規模の鉱山では手助けしている. 42 けていた者もいた . ミシマでは,明確な制限とワウ小規模採鉱センター  零細採掘が大規模投資と並行して繁栄し,地方コ による訓練を受けて,子供たちはかつてほど採鉱に ミュニティの生活水準を押し上げることがある.パ 関与していないが,児童労働はいまだに懸念事項と プアニューギニアでは,草の根の砂鉱床採鉱業者の して残っている 46 .最後に,土地紛争はしばしば 数は,フォーマルな採取産業セクターで働いている 零細鉱夫の間で発生する.というのは,鉱物を発見 人数――下請け業者や臨時労働者を算入しても―― しようと他人の土地に侵入してしまうからだ 47. の 2-3 倍にも達している.大規模な採取プロジェ  採取産業のブームは地方コミュニティを除けば, クトのなかには,オク・テディ鉱山のように偶然に パプアニューギニアで主要な農業セクターの仕事に も貧困地域に所在するものもある.したがって,そ 影響を与えている.近年,パーム油輸出が着実に増 の周辺で行われる零細採掘が富が広がるのを後押し 加しており,今や他のすべての農産物を合わせた輸 している. 出額を凌駕している.驚いたことに,パーム油の実  しかし,貧困地図が示すところによると,生活水 を生産するには,大きなプランテーション周辺の小 準には過去 30 年間にわたり空間的に大きなバラツ 自作農 1 万 8,000 人分の区画を必要とする 48 .こ 43 キがあり,貧困が執拗に持続している .パプア のセクターは農村部の生計を改善し,雇用を創出す ニューギニアで最も深刻で最も執拗な農村部の貧困 ることによって,経済に大きな貢献をしているもの が存在しているのは,鉱物資源の存在が知られてい の,採取産業のブームは熟練労働者賃金と物流コス ない地域である. トを押し上げることによって,パーム油の輸出競争  大規模な採取プロジェクトが閉鎖された時,零細 力の足を引っ張っている. および小規模な採鉱は所得減少のクッションになっ  熟練労働者賃金の上昇は公共セクターの有効性も て,地方経済に貢献することもできる.例えば,パ 侵食している.政府や教育・訓練機関の全部局では プアニューギニアのミシマ島では,近くで唯一の大 スタッフが払底している.というのは,採取産業に きな鉱山プロジェクトであるミシマ鉱山の周辺で生 おける魅力的な機会を目指してスタッフが転職して 計を立てることに慣れてしまっていた.同プロジェ いるからだ.と同時に,鉱山会社の方はスキル形成 クトが 2004 年に閉鎖されると,ミシマの経済は停 に資する教育・訓練システムから人々をおびき出 止してしまい,地元住民は収支を合わせるのに困難 しておきながらスキル不足を嘆いている.例えば, CHAPTER6 仕事のさまざまな課題 209 ボックス 6.6 土地所有会社は富を広めながら能力を構築することができる  パプアニューギニアでは現地の土地所有グループに  このような企業の成功にとって鍵となっているの 連結した企業が,ますます多角的な事業を展開しつつ は,その社会的役割と事業モデル――強固な企業統治 あり,地域的にも,いや全国的にも競争力があり,し に基づく――との明確な分離かもしれない.土地所有 たがって,広範囲にわたるスキル水準を要する仕事を の起源と商業的な焦点を背景に,彼らは他の資源プロ 創出することができるだろう.このような企業の起源 ジェクト地域の土地所有グループとパートナーを組む はパプアニューギニアの共同土地所有権にある――こ ことができ,それが規模と経営の深さを構築するのに れは次のことの意味する:鉱山会社は土地の補償金を 役立っている.開発に真正の関心をもっている海外在 個人ではなくコミュニティに対して支払わなければな 住者は,適切なバランスを達成するのに重要な役割を らない.その結果,土地所有会社のなかには 30 万人 演じていたようである. もの株主を抱えているところがある.国家機関が地方  すべての土地所有会社が等しく成功しているわけで の土地所有グループのために個々の資源プロジェクト はない.ほとんどは単に鉱山からのレントをコミュニ と交渉して,プロジェクト向けの主要サービス供給に ティに配分するためだけに存在しており,メンバーに 関して特権がもてるようにしている. 対して持続可能な経済機会を構築するという野心は抱  最も成功している土地所有会社の経営は――トラン いていない.中央州で設立された 4 社のうち 2 社は ス・ワンダーランド,アニチュア,イピ・グループ, 足場固めさえできなかった.というのは,出資金にな ナショナル・ケータリング,スター・マウンテンなど るはずだった資金が消失したからだ.成功している土 が含まれる――は地方で管理されている.それらの事 地所有会社も採取産業の建設段階――支援サービスに 業活動は探査・建設・採取という採取産業セクターの 対する需要が異常に高くなる時期――を超えると持続 中核的な仕事の流れを超越して広がっている.例えば, 不可能かもしれない.このような事業の発展を通じた トラック所有によるフランチャイズ構造を通じた物流 作業スキルの構築は,地方インフラを通じたサービス サービスや,天然資源セクターの以外の顧客も含め全 提供向けの投資よりも本当に重要かどうかに関して, 国をカバーする配膳サービスを提供している. 懐疑的な意見もある. 出所:Blacklock and Bulman 2012. 大規模な採掘プロジェクトに関する最近の調査で  資源の豊富な国の挑戦は透明性の観点からしばし 181 人と面談が実施されたが,うち 58 人(32%) ば規定されているが,それは社会的一体感にとって の労働者は少なくとも大卒の学位を 1 つもってい は確かに重要である.しかし,採取産業に関与して 49 た .公共セクターの給与引き上げが必要かもし いるお金の流れを説明するというのは,解決策の一 れないが,そうすると別の問題を作り出す.無断欠 部でしかない.同じく重要なのは,ブーム状態を呈 勤が横行し,サービス提供は劣悪だという現状があ している地域やハブから,国内の貧しい地域に資源 る.説明責任を強化せずに,給与を引き上げれば, が流れること――特に基本的なインフラやサービス 多くの公共セクターの仕事はレント共有の窓口にな の提供という形で――を確保することである.資源 るだけだろう. のフローを供給サイドよりも需要サイドに(例えば  有望な動きは,採鉱地帯周辺で一部の土地所有会 公立病院ではなく健康保険に)集中することが,レ 社が成功しているということだ.このような会社は ントの共有のための新しい窓口の創設ではなく,生 わずか 2-3 年前まで近代的な経済から遠く離れた 産性に貢献する可能性があるだろう. 場所で,良い労働倫理を構築し,有効な事業慣行を  公共財政以外では,採鉱を行っている包領(飛び 発展させていたのであろう.しかし,すべての土地 地)やハブとなっている都市への富の集中は,空間 所有会社が成功したわけでなく,このモデルは周辺 的な価格設定という問題に関心を持つ必要があるこ 地域を超えて,採取産業の富を広めることには失敗 とを意味している.集積の利益は,もし都市部の土 する公算が大きいだろう(ボックス 6.6). 地が法外に高価になると,享受することができなく 210 世界開発報告 2013 なる.都市部で土地の入手可能性を増やし,都市部 引っ張ることがない形で富を広めることにある.こ の住宅を手が届くように維持しておくには,積極的 の状況では開発にとって良い仕事とは,採取産業セ な努力が必要である.そのような努力にもかかわら クターの外で産出を生み出す(単に吸収するのでは ず,労働コストは鉱山地帯や都市部のハブではずっ なく)仕事である.仮に経済が輸出基盤を分散化し と高くならざるを得ない.労働政策はこのような格 ようとするのであれば,重要なのは,企業による雇 差を考慮に入れて,次のような事態は回避する必要 用創出と,人々が働くインセンティブである.外貨 があるだろう:国内のブーム状態にある地域で入手 が潤沢なことは為替相場の上昇を考えると制約にな 可能な賃金や付加給付を模倣した最低賃金や義務的 り得る.特にノルウェーなど一部の諸国の経験が示 な付加給付を通して,貧しい地域や遠隔地で労働者 すところによると,長期的な投資のために使われる をあまりにも高価なものにしてしまう. 政府系ファンドはこのような外貨問題を管理するこ  資源の豊富な国が直面する主要な挑戦課題は,生 とができる. 産性の伸びや社会的一体感といった波及効果の足を 仕事のレンズ 資源の豊富な国 輸出多角化に資する仕事 移転を通じて補助金を享受していない仕事 小さな島嶼国 ら諸国が輸出できるようになる唯一の道は,利潤と  小さな島嶼国にとって仕事の課題は,その市場規 労働所得の圧縮を受け入れることにある.しかし, 模と地理によって規定されている.これら諸国はそ 電子組立や衣服などの産業では,たとえ資本の収益 の規模のゆえに,規模の経済を活用したり,集積や 率がマイナスで,賃金がゼロであっても,小規模経 特化の利益を享受したりすることができない.島で 済における単位当たりの生産コストは,依然として あるため,多くは細分化が特徴となっている――そ 支配的な世界価格を上回るだろう 50. うでなくても,少ない人口が膨大な地域にわたって  特に太平洋に位置する国を中心に多くの小規模な 薄く広がっている.例えば,フィジーは人口約 86 島嶼国家は,遠隔性の問題にも直面している.小さ 万人,面積 1 万 8,274 平方マイルである.しかし, な諸島が経済の中心地から遠く離れて所在している その土地は合計 332 の島々にわたって細分化され 時,貿易のコストは法外なものになる可能性があ ている.ところが,都市やクラスターの仕事という る.太平洋島嶼国の場合,貿易相手国への GDP 加 のは,プラスの波及効果を生み出すのに規模と密度 重平均ベースの距離は,カリブの小国の約 8,000㎞ を頼りにしている. に対して 1 万 1,000㎞にもなる(図 6.3)51.驚く  小さな島嶼国は国内市場が限定的であるため,規 ことではないが,太平洋の島嶼国の貿易は他の小国 模の問題を克服するためには外を見る必要がある. と比べて少ない. しかし,大きな外国市場への輸出は困難である.と  このような地理的な課題は小さな島嶼国の経済に いうのは,小さいことの不利は生産コストが高いと とっては基本的なものである.残念ながら,政策で いう形でおのずと表れている.小国は世界市場のな はこのような不利は変更できないが,より大きな経 かで価格受容者になるため,このようなコスト・プ 済との統合を通じて部分的に相殺することができ レミアムを消費者に転嫁するのはむずかしい.これ る.カナダのカリブやラテンアメリカの諸国との季 CHAPTER6 仕事のさまざまな課題 211 節的労働者プログラムはその一例である.これ以外 図 6.3 小さな島嶼国は経済の中心地から遠 にも類似の二国間取り決めがいくつか創設されてい く離れている る 52.事実,大きな経済センターとの政治的な関 14,000 係を強化すると,小さな島嶼国の間では所得水準が 12,000 上昇するという関係があることが判明している 53 .  移住は経済的統合に向けた重要な経路の 1 つで 10,000 GDP加重の距離(㎞) ある.労働者が大きな経済の中心地に移動すると, 8,000 彼らはより大きい市場・安価な投入財・投資の増加 へのアクセスを得ることができる.したがって,労 6,000 働力をより生産的な使途に供することができ,より 4,000 高い所得を獲得することができる.今度は移民から の送金が本国の生活水準を改善する.労働をより大 2,000 きな市場に移動させると,労働者や企業家はもっと 0 太平洋諸島 カリブ諸島 ダイナミックな企業と相互交流することができ,し たがってより良いより多様なスキルを修得したり, 出所:Gibson 2006. 注:GDP= 国内総生産;km= キロメートル.上図は諸島から他の 218 カ国 新しいアイディアに触れたりすることができる. までの平均距離(当該国の GDP で加重)を示す.  これら諸国の大半では移出者が総人口の 20%以 上を占めている.平均すると,GDP に占める送金 の比率は太平洋の島嶼国では 8%強,その他の小 対照的に,フィジーでは送金は事業所得に影響して さな島嶼国では 5%に達している(図 6.4).事実, いないようであり,賃金所得との間にはマイナスの いくつかの成功物語の背景には移住がある.サモア 相関関係がある――移住はまるで単に国内の賃金雇 はニュージーランドへの移住ということでは長い歴 用の代替策として機能しているかのようである 56 . 史をもっており,友好条約は 30 年以上にわたって  しかし,移住は必ずしも一挙両得の状況につなが 存続している.また,クック諸島はニュージーラン るとは限らない.例えば,送金のフローが大きいと ドと自由貿易協定を締結している.両島嶼国とも他 オランダ病の可能性が高くなる――外貨が潤沢な結 の太平洋島嶼国の経験とは対照的に,持続的な成長 果として実質為替相場が高騰する.これら諸国では 54 を記録している . 少なくとも短期的には,頭脳流出も顕著な特徴と  トンガとフィジーの比較が例証しているように, なっている.移住者は一般の人口よりも教育程度が 移住に伴う利益が実現するには時間がかかるかも 高い.小さな島嶼 19 カ国中 12 カ国では,移出者 しれない.トンガは大規模な移住を 40 年間以上に 総数のうち 30%は熟練労働者であり,14 カ国では わたって経験しており,1 人当たりで大きな送金フ 熟練移出者は国内の熟練者人口の 40%以上に達し ローも享受している.フィジーでは,国際的な移住 ている 57.このような移民は大幅な所得増加を経 はもっとずっと最近の現象である.家計調査が示す 験し,巨額の郷里送金を実施し,知識移転を行って ところでは,トンガでは 90%の家計が,フィジー いるものの,自国との貿易や自国への投資を大規模 では同 43%が送金を受領している 55 . な形では行っていないようである 58 .カリブ諸国  移住が国内経済に及ぼす影響はその歴史的な軌道 では,医療関係者の移出が保健制度に及ぼすマイナ によって違っている.移住が成熟している諸国で スの影響を考えると特に懸念材料とされている. は,本国における家計の状態は事業活動に傾いてい  一方,移住や送金は人的資本の蓄積を促進できる. る.トンガとフィジーではともに,移住と送金は貯 移住の可能性があると教育投資を増やす動機になる 蓄の増加につながっているが,家計の所得創造に対 し,送金はそれをファイナンスできるかもしれない. するインパクトは異なっている.トンガでは,移出 短期移住は労働者により良い訓練や教育の機会を提 者の人数及び送金受領額の水準の両方と事業活動か 供することができるため,同移住者が帰国した際に らの所得増加との間には相関関係がある.それとは は国内の資本ストックを増やすことになる 59.フィ 212 世界開発報告 2013 図 6.4 移住は小さな島嶼国にとって重要である――太平洋ではなおさら a.人口に占める移民のシェアは大きい b.所得に占める送金のシェアは大きい 100 14 90 GDPに占める送金のシェア(%) 小さな島嶼国数(累積比率%) 80 12 70 10 60 8 50 40 6 30 4 20 10 2 0 0 10% 20% 30% 40% 全島嶼国 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 未満 未満 未満 未満 人口に占める移民のシェア(%) 東アジア・太平洋 ラテンアメリカ・カリブ サハラ以南アフリカ 出所:世界銀行の移住および送金に関するデータベースに基づく WDR 2013 チームの試算. 注:GDP =国内総生産.移住に関するパネル a には小さな島嶼国 19 カ国,送金に関するパネル b には同 15 カ国が含まれている.太平洋諸島におけ る長期的な送金の変動は,サモアのデータ欠如が原因である. ジーからは,移住機会は家族員が高等教育を享受す ラスの影響をもたらす. る確率を高めるという証拠が得られている 60.フィ  天然資源セクターの仕事に伴うレントの広範囲に ジーにおける定性的調査も,労働者には移住に向け わたる分配を確保するのは困難な課題である.例え て特殊スキルを修得しようという拍車がかかってい ば,バヌアツでは目覚ましい成長がみられている ることを示している 61. が,ほとんどの住民の生活には何のインパクトもな  小さい島で存続可能な仕事は伝統的には,漁業・ い.同国の開発は観光・金融サービス・土地開発な 林業・鉱業・観光業務を含む天然資源の採取と関係 どに対する外国投資に牽引されており,利益に浴し がある.ニッチの機会が存在している場合,事業コ ているのは都市人口の比較的小さな部分でしかな ストが低いため,それは投資を誘致するのにそれほ い.そのため不平等が拡大しており,分裂的な社会 ど決定的ではなくなる.フィジーでは,砂糖生産と トレンドにつながる懸念がある 63 . 観光業が最大の雇用源である.最重要な農業関連ビ  モーリシャスの奇跡を詳細に検討すると,小さな ジネスである砂糖生産は輸出の約 8%を占め,総人 島嶼国は,どうしたら天然資源の採取に基づかな 口の 10%以上を雇用している.フィジーの人口は い活動に多角化していくことができるかがわかる. 100 万人以下なのに,毎年約 50 万人が同国を訪れ 1977-2009 年にモーリシャスの実質 GDP は,サ る.観光業はフォーマル・セクターのなかでは雇用 ハラ以南アフリカ全体の年 3.2%に対して同 5.1% 増加の主な源泉となっている 62. で成長した.世界経済フォーラムのランク付けによ  しかし,天然資源への依存はこれら諸国の脆弱 れば,モーリシャスは同地域で第 2 位の競争力を 性 を 高 め て い る. こ の よ う な セ ク タ ー は 自 然 の 有する国となっている.このような持続的な成長は ショック――自然災害と降雨パターン乱高下の両 長期的にみて甚大な構造転換を伴っている.1968 方――に脆弱な傾向がみられる.地理的な不利と 年に独立した時点では貧しかったモーリシャスは砂 同様に,政策ではこの種の脆弱性を排除すること 糖生産国から,繊維・アパレルを製造し,知識集約 はできない.しかし,天然資源を活用する仕事は 的サービス(観光・金融・情報通信技術など)を供 島の脆弱な生態系を侵害すべきではない.持続可 給する国に移行してきている 64.モーリシャスの 能な形で実施すれば,観光業や漁業は環境的にプ 奇蹟に対しては,多くの説明が提唱されている.疑 CHAPTER6 仕事のさまざまな課題 213 う余地がないのは,貿易と外国直接投資,そして軽 うなことから利益を得ることができないからだ.ま 工業を対象とする輸出を行う地域という点に的を たこの問題は,経済活動の中心的な立場にある国か 絞って取り組んだことがモーリシャスの成功にとっ ら遠く離れている太平洋の島国ではより一層難しい て重要であったということだ.この国はまた,汚職 ものになる.モーリシャスの経験は,戦略的な政策 が少ないことや,規制環境が良好であることを誇り や確固とした制度の確立,幸運といったようなもの にしており,それは官民両セクター間の強力なつな によってどのようなことが起こりうるのかを示して 65 がりと柔軟な制度を伴っている .しかし,モー いる.しかし,小さな島国の多くにとっては,脆弱 リシャスのこの注目すべき発展を可能にした環境 な生態系を保護しつつ,近くにある経済的な中心地 は,例外的である.その環境の一つは,衣料品の輸 との結びつきを確立し,移行から得られる利益を最 出を統制するために用いられた割当制度である. 大化し,そしてニッチ市場を開拓することが,この 小さな島国は,固有の困難に直面している.なぜな 先進むべき道となるだろう. らば,そのような国家は,規模や特殊化といったよ 仕事のレンズ 小さな島嶼国 世界市場に接続した仕事 脆弱な生態系にとって有害でない仕事 若年失業率の高い国 ヨーロッパにおける最近の事件では,教育のある若  若者は年長の大人よりも失業の可能性が大きい. 者の不満――雇用機会が期待を下回ったことによる ほとんどの諸国で,15-24 歳と定義される若年層 ――に光が当たった.「アラブの春」は当該地域の の失業率は,通常,全体の失業率の 2-3 倍に達し 透明性や説明責任を高めるかもしれないが,もし仕 ている(図 6.5).また,失業率というのは学校か 事が伴わないとより大きな不安定に帰結する懸念が ら職場へ移行する際に,若者が直面する問題の 1 あろう 68 .若年雇用問題には短期的なものだけで つの側面をとらえたものにすぎない.例えば,農業 なく,長期的にも経済的な代価が伴う.若者の間の 国では,公然たる失業は低く,若者の雇用にかかわ 失業は将来の所得が低くなるという形で,永続的な る困難は仕事の質が悪いとか,所得が低いとかと 効果を及ぼしかねない 69.雇用機会の欠如は意気 いった形で顕現する公算が大きい.若年失業率が高 阻喪にもつながる.世界的な危機を受けて若年失業 い国でも,仕事が見つかった若者にとっては仕事の が減少したが,その一部は実際には若者が労働力か 質が問題かもしれない.エジプトではインフォーマ ら退出したことによってもたらされている 70. ル性が 15-24 歳の労働者の間では,35-54 歳の 2  若年失業問題を抱えている多くの諸国には非常に 66 倍の確率で一般的になっている .労働市場が非 大きな若年層が存在している.ジンバブエでは生産 常に細分化されているため,インフォーマルな仕事 年齢人口の 43%が 15-24 歳であり,若年失業率は からフォーマルな仕事へ移行する余地は限定的であ 全体の失業率の 3 倍に達している.若年失業率が る.チュニジアでは,主として若年労働を雇用して 特に高い中東・北アフリカは圧倒的に若い地域であ いるセクターでも,雇用はしばしば一時的かつイン る.1 億人以上が 15-29 歳で,それが同地域の総 フォーマルなものにとどまっている 67. 人口の 30%,生産年齢人口の約 47%を構成してい  若年失業は重大な問題である.アラブ世界や南 る.若年層がこれほど大きいと,失業率が高くなる 214 世界開発報告 2013 熟練労働の入手可能性が限定的なこと 図 6.5 若年失業率が極端に高い国がいくつかある が企業にとって重要な制約になってい 60 ると回答している.同地域で大幅に増 南アフリカ 加している公式な教育の欠如が原因で 50 アルメニア はない.事実,若年失業率は多くの諸 40 アルジェリア 国で教育達成度とともに上昇する傾向 にある.モロッコでは,大学教育を受 若年失業率(%) チュニジア エジプト 30 けた若者の 2009 年の失業率は 17% ヨルダン 線 45° と,初等水準以下の教育しかない人の 20 3.7 倍に達していた.チュニジアでは, 大学卒業の若者の失業率は 2010 年に 10 23%であったが,非大卒者は 11%に 0 とどまっていた 73 .チュニジアでは, 0 5 10 15 20 25 30 35 就職までに要する平均的な月数をみる 失業率全体 (%) と,大卒者 28 カ月,非大卒者 19 カ 出所:World Development Indicators, World Bank, Washington, DC. 月となっている 74.大卒者は非大卒 注:失業率は 2000-10 年の平均. 者よりも失業が増加してきただけでな く,その傾向が今後とも続くものと予 ばかりでなく,労働所得に対して下押し圧力をかけ . 想されている(図 6.6) 71 る可能性が大きいだろう .  教育程度の高い人々の間で失業率が高いという逆  人口動態がストーリーのすべてではまったくな 説は,中東・北アフリカ諸国の成長軌道に関係して い.差し迫った若年雇用問題を抱えるすべての諸国 いる.同地域では公務員制度と国有企業が長らく選 (youth bulge)があるわけでは に「若年層過多」 り抜きの雇用者であり,教育制度というのはそこに ない.スリランカでは,15-24 歳は生産年齢人口 人員を供給するために構築されていた.学生は公務 の 4 分 1 未満を占めるにすぎないが,若年失業率 員職――付加給付が寛大で雇用が安定している―― は全体の率の 3 倍以上に達している.また,若年 を熱望し,雇用力を高めるスキルよりも学歴に焦点 層が多いところでも,若者は雇用に関して他の障害 を当てている 75 .この地域の若者と高成長を続け に遭遇する可能性がある.求職者や雇用機会に関す ている東アジア諸国の若者との間では,選好される る情報の不備は,仕事の発見で若者が成人よりも大 教育軌道に顕著な相違がある.2009 年現在,アル きな困難に直面する一因となっている.官民の職業 ジェリア・レバノン・サウジアラビアでは,科学・ 斡旋機関や労働市場に関する他の情報源がまだうま 技術・工学を専攻している大学生は全体の 4 分の 1 く整備されていない諸国では,個人的なネットワー 以下であった 76 .中国・韓国・マレーシアなど東 クが人と仕事のマッチングにとって重要である.ほ アジア諸国では,その比率が 5 分の 2 を超えてい とんどの中東・北アフリカ諸国における労働者の大 るところもなかにはあった 77. 半は,現在の仕事を家族や友人を通じて見つけてい  若年失業率が高い諸国における仕事の課題に取り 72 る .教育から雇用への移行を経験しつつある若 組む際の処方箋は,通常,以上のような 2 つの説 者に比べると,大人はより良いネットワークをもっ 明に基づいている.雇用者と求職者の間で情報の流 ている傾向にある.当人のネットワークのうち大き れが良くないという点は,労働の供給と需要のマッ な割合の人が失業していれば,その人が就職できる チを改善することに焦点を当てた積極的労働市場政 確率は低くなるだろう. 策を正当化するものとみられている.カウンセリン  スキルのミスマッチはもう 1 つの一般的な理由 グは,求職者に何を提供すべきか,そして機会がど である.中東・北アフリカで実施された投資環境 こにあるかを理解してもらう助けになる.臨時雇用 評価において調査対象となった企業の 40%近くが, プログラムは初めての仕事を提供するので,雇用者 CHAPTER6 仕事のさまざまな課題 215 図 6.6 チュニジアでは教育程度が高くても雇用のチャンスは改善しない a.大卒者の失業率 b.予想される毎年の雇用不足(2010-14 年) 35 30 30 25 25 20 20 15 % % 15 10 10 5 5 0 0 ‒5 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 初等 基礎 中等・職業 高等 出所:Angel-Urdinola, Brodmann, and Hilger 2010;Government of Tunisia, L'Institut National de la Statistique. 注:雇用不足は 2010-14 年について予測されている毎年の労働力増加と同雇用増加の差を指す. は若い労働者の価値に気付くかもしれない.スキル とんどが未熟練労働者を需要している 80. に関しては高い教育達成度と高い失業率の対照は,  問題は訓練プログラムについても同様である.教 学校教育の質や適性と労働市場の実際のニーズが断 育のある若者は速習能力を身に付けている.もし雇 絶している兆候とみられる.次のように主張できる 用者が望むなら,必要に応じて実地訓練を提供する だろう:若者の雇用にかかわる展望を改善するため ことができよう.しかし,訓練では抱負を変えるこ には,学歴よりも市場性のあるスキルを身に付けら とはできない. れるように,教育・訓練制度を再編成する必要があ  中東・北アフリカ地域の公共セクターは,吸収能 78 ろう .短期的には,失業している若者に雇用者 力が逓減しているにもかかわらず,依然として高等 が必要とする実際的なスキルを修得させる,という 教育制度の主要な顧客であり,したがって,学生の 訓練プログラムがまさに最も自明な対応策といえよ 期待や選択を形成している.公共セクターは依然と う. して,エジプト・イラク・ヨルダン・イエメンなど  しかし,このような処方箋の潜在的なインパクト といった諸国では,雇用全体の約 3 分の 1 を占め は限定的である.より良い情報・カウウンセリン ている 81.このような諸国の一部では,公共セク グ・臨時雇用プログラムなどは,確かに一部の求職 ターの雇用は近年控え目ながらもプラスの伸びを記 者にとっては助けになるだろうが,それが全体の失 録している.しかし,予算面の圧力が将来的に厳し 業率に大きな影響を与えられるか否かは不透明であ い収縮を必ずやもたらすであろう.ただし,抱負は る.求職者と雇用機会のマッチングの改善が総雇用 存続しており,公共セクターへの就職を期待して大 の大幅な増加に帰結するのは,多数の未充足の求人 学教育を追求してきた大勢の失業中の若者は,約束 がある場合だけである.しかし,中東・北アフリカ 破りと感じざるを得ないだろう. はそのような状況にはない.大卒者の高失業率は次  情報・カウンセリング・訓練でこの欲求不満を克 のような事情を主因としている:熟練労働に対する 服できる可能性は低い.若年失業率の高い諸国が仕 需要は主に行政から発生しているが,その伸びは予 事における課題に取り組むためには,労働市場に新 算問題と民営化や規制緩和などによって制約を受け 規に参入する人々の教育や抱負に見合った雇用機会 ている 79.一方,民間セクターにおける伸びの主 を創出できる,ダイナミックな民間セクターが必要 要な源泉(建設や低付加価値サービスなど)は,ほ である. 216 世界開発報告 2013  成長だけでは不十分かもしれない.結局,チュニ まっている.しかし,そのような大企業は総雇用の ジア以上に良い経済パフォーマンスを示した国はほ 3 分の 1 以上と,すべての一人企業を合計したより とんどなかった――それなのに,そこが仕事上の不 も大きな割合を占めている.過去 10 年間にわたる 満が爆発して政治的な混乱を招いたアラブ世界で ダイナミクスの研究が示すところによると,零細企 初めての国となった.2000-10 年にチュニジアの 業や小企業はほとんど大企業になっていない.加え GDP は年率平均でほぼ 5%のペースで拡大してい て,一人企業が小規模のカテゴリーに卒業していく た.一方,失業率は全体として 14%以上にとどま ことさえ非常に稀で,多くは閉鎖される可能性が大 り,大卒者に限定すると 30%を超過していた. きい 84.  鍵を握る疑問は次の通りである:若年失業率の高  若年失業が高い諸国は「若者過多」や「教育の いチュニジアを初めとする諸国では,成長がなぜ 質」といった問題に直面しているのかもしれない もっと労働集約的ではなかったのか,最も拡大した が,問題は往々にして需要側にある:競争が限定的 セクターがなぜ未熟練労働者に依存しているのか? なため,特に高度なスキルを有する若者を中心に雇  その答えは労働市場よりも製品市場にあるのかも 用機会を削減している公算がある.中東・北アフリ しれない.この地域の多くの諸国は官僚主義を削減 カの多くの諸国では,もし企業の参入や成長に対す する改革を実施して,全体的なビジネス環境を改善 る障壁が緩和されれば,若者向けにもっと多くの仕 してきているが,裁量性・恣意性・不平等な取り扱 事が創出される大きな余地がある.しかし,近代的 いが依然として競争や,特に通信などスキル集約的 な分野に進出するのに,企業家の能力よりも政治的 な民間セクターの発展を阻害している.中東・北ア なコネが重要だという状況が継続する限り,この展 フリカの多くの諸国では,成功のためには企業家と 望が現実のものとなることはないだろう.したがっ しての能力よりも,政治勢力とのコネが重要なのか て,若年失業率が高い諸国にとっては,特権を終わ もしれない 82.役得はしばしばその人気の高い企 らせることが,労働市場のマッチングを改善した 業の労働者にまで,雇用保証やその他の付加給付と り,スキルを格上げしたりすること以上に優先課題 いう形で拡張適用されていて,それが排除されてい である.スキル集約的なセクターにおけるダイナミ る人々の欲求不満を倍加している. ズムは,教育のある若者を働かせることによって成  企業のダイナミクスがこれら諸国における雇用創 長率の上昇につながるだろう.そうすることで,保 出や雇用増加にかかわる困難について,ある程度の 護された活動が他の分野に転嫁している重荷が削減 83 証拠を提供してくれる .新規の企業登記の比率 され,生活水準の向上に帰結するだろう.それが社 はこの地域の各国を通じて低い.また,たとえ起業 会における公平感を強めることになるだろう――だ しても,小企業は大きな会社に成長していくのに障 れを知っているかではなく何を知っているかによっ 壁に直面する.チュニジアのフォーマル企業の大半 て出世できる,という感覚を若者がもてるようにな は小規模である.その 86%は一人会社であり,労 るだろう. 働者が 100 人以上いる会社はわずか 0.4%にとど CHAPTER6 仕事のさまざまな課題 217 仕事のレンズ 若年失業率が 高い国 レントを通じて支えられている仕事 コネに基づいて割り当てられている仕事 フォーマル化が進む国 い,市民がその順守に消極的である,という兆候と  労働力の大きなシェアが労働法制や社会的保護 して解釈される場合がある 87. プログラムの適用範囲になっており,適用範囲を  このような比較的発展した諸国におけるイン 普遍的なものにすることが可能にみえる諸国では, フォーマルな雇用の蔓延は,貧困と社会的排除を広 フォーマル化における問題が出現してきている.し めることがある 88 .ほとんど定義からして,イン かし,その方向に進むと深刻なトレードオフが生じ フォーマルな労働者には雇用保護や社会保険の適用 る.フォーマル化はしばしば社会的一体感を強化す が欠如しているため,職場での虐待・健康リスク・ るのに必要なことであると考えられている.また, 景気循環の気まぐれなどに対して一層脆弱である. 労働法の管轄内に入って,社会的保護にアクセスで インフォーマルな労働者は貧困に陥る可能性が高 きるようになった人々の生活水準を引き上げるはず く,しばしばみずからを貧しいとみなしている 89. である.しかし,フォーマル化は仮にインセンティ インフォーマルな労働者の大半は男性であるが,男 ブを歪めたり,企業に負担を課したりするような 性がインフォーマル・セクターで働いている確率は ら,かえって生産性を削減する懸念があろう. 総じて女性よりも低く,インフォーマル性はジェン  フォーマル化が進む国の特徴は次の通りである: ダー不平等の一因となっている.ペルーでは,イ 都市人口はすでに大きいか増加中であり,大半の住 ンフォーマル性の比率は女性 76%,男性 66%と 民は貧困水準を大幅に上回る所得を得ているもの なっている.南アフリカではそれに対応する比率は の,インフォーマル・セクターで働いている人々が 37%と 30%である.エジプトは顕著な例外で,そ 依然として多い.このような諸国で台頭しつつある の比率はそれぞれ 23%と 54%となっている 90. 中流階級は先進的な公共サービスを要求するが,そ  インフォーマル性は低生産性とも関係がある.イ れには高等教育・保健ケア・年金などが含まれる. ンフォーマルな労働者のほとんどは自営業者か,未 統治が悪いため,彼らはしばしば欲求不満を抱いて 登記の小企業――労働者 1 人当たりの資本が少な いる.中流階級は税金や公的付加給付を無用ないし く,技術が限定的で,規模の経済が機能していない 不公平と感じており,規制上の過度な負担に加え ――で働いているかである.トルコでは,フォーマ て,物理的・制度的なインフラの不備に憤りを感じ ル企業とインフォーマル企業の全要素生産性の格 ている.このような不満は規則の回避・逸脱を生 差をみると,製造業で 19%,サービス業で 62%と み,また,そういった環境のなかで,インフォーマ なっている 91.ラテンアメリカ 6 カ国に関する研 ルな仕事は持続するだけでなく,増殖することさえ 究から,労働生産性はフォーマル企業の方がイン 85 ある . フォーマル企業を 30%上回っていることが明らか  この状況は,「インフォーマル性の罠」と呼ばれ になった 92.しかし,インフォーマル・セクター ることもあるが,社会契約の弱さを反映したもので が税金面で正当な拠出をせずに公共サービスを利用 ある 86 .都市部労働力の大きな部分がインフォー していることが,フォーマル企業の負担を大きく マルだということは,その国が規則を執行できな し,その生産性の足も引っ張っている 93 . 218 世界開発報告 2013 を受けて零細企業の間ではフォーマル性が著増 図 6.7 労働規制はフォーマル化にとって最大の障害ではない 可能性がある した 96 .他の事例では,資産蓄積へのアクセ スが限定的な労働者が生産性の低いインフォー 税率 * マルな職に陥っていたり,あるいは失業を免れ 腐敗 * 政治的安定性 * るための最後の手段としてインフォーマル・セ スキル * クターを活用したりしている.コロンビアとア 税務行政 * ルゼンチンでは,次のことを示唆している証拠 犯罪 / 無秩序 * 競争 * がある:特に低スキル労働者を中心に非常に大 金融 * きなシェアの労働者は,フォーマル・セクター 電気 * で働くことに前向きではあるが,その公算は体 許認可 * 系的に低い 97.いずれにせよ,インフォーマ 通信 * 法廷 * ル性というのは明らかに多面的な現象であり, 労働規則 * その罠にはまっている労働者もいれば,それを 輸送 * 自己選択している労働者もいる 98 . 土地アクセス * 税関  インフォーマル性に関する個人的な意見も実 0 1 2 際に非常に多様である 99.例えば,南アフリ 他の制約の平均点との対比でみた ある制約の得点の倍率 カのダーバン市の裕福な近隣地区出身の若い女 性たちで構成されるフォーカス・グループに フォーマル化が進む国 他の諸国 参加した人々のなかには,良い仕事と聞いて 出所:Investment Climate Survey (database), World Bank, Washington, DC. 医者・弁護士・教師・看護師・警察官などの 注:標本のなかでフォーマル化しつつある国には以下が含まれる―アルバニア,ア ルゼンチン,アルメニア,アゼルバイジャン,ブラジル,カポベルデ,チリ,コロ 「女性警 フォーマルな職を連想した人がいた: ンビア,コスタリカ,エクアドル,グルジア,ガイアナ,カザフスタン,キルギス, 官というのは生計を立てるのに適職です.とい マケドニア,モーリシャス,メキシコ,モロヅオア,モンゴル,パナマ,ペルー, フィリピン,ルーマニア,ロシア,セルビア,トルコ,ウクライナ,ウルグアイ, うのは,付加給付がもらえるし,コミュニティ バヌアツ,ベネズエラ.横軸はある制約の平均点が,その他のすべての制約の平均 点に対して,何倍になっているかという比率を示す.星印はフォーマル化が進む国 保護を手助けするからです」.やや貧しい地区 とその他の諸国の相違が 1%水準で統計的に有意であることを示す. 良い仕事として農業( 出身の他の参加者は, 「野 )や裁縫( 菜を売れるから」 「たくさん儲かるか  フォーマル化だけが生産性を上昇するわけではな )を指摘した.しかし,インフォーマル・セク ら」 い.証拠が示すところでは,企業はフォーマル化だ ターの他の仕事は悪いとみられていた.というの 94 けで儲かるようになっているわけではない .低 は,財政的に不安定だったり,労働条件が厳しかっ 生産性は労働者や企業による自己選択を反映してい たりするからだ.そのなかには家事労働者としての るのかもしれない:関連する費用と便益の間のバラ 仕事も含まれる(「戸別訪問して御用はありません ンスに応じて,フォーマル化するかどうかを選択し かと尋ねる必要があります.…彼らはこう言うで ている可能性がある.多くの労働者にとって,社会 しょう:支払いは 30 ランドよ,ちょっと手助けし 的保護の劣悪さや有害なショックの場合に他人を頼 てくれただけですからね」.あるいは芝刈りもある りにできる可能性を考えると,インフォーマル・セ (「庭の芝刈りはどうかと尋ね回る必要があります. クターの雇用の方が好ましい代替策なのかもしれな ) …それに太陽の下で働くことになります」. い.ブラジルやメキシコにおける労働市場ダイナ  長期的にみると,インフォーマル・セクターが ミックスの分析で確認されたことによると,特に自 大きいのは,労働生産性が低く,政府サービスが弱 営業者を中心に,インフォーマル・セクターの労働 く,事業環境が柔軟性に欠けている諸国である 100. 力の相当に大きな部分は,自発的にフォーマル・セ 議論を呼ぶ疑問は次の通りだろう:労働市場や企業 95 クター から退出しているようである .企業の場 に関する規制はインフォーマル性にどの程度寄与し 合でも自己選択が発生している.1996 年にブラジ ているのか? 投資環境を評価するために調査した ルでは法人税の軽減と簡素化が実施されたが,それ 企業の回答が示唆するところによれば,労働法制は CHAPTER6 仕事のさまざまな課題 219 必ずしもインフォーマル性の主因ではない 101.法 高成長と制度強化は最近の例外となっている.両国 律や規則は必ずしも不適切なわけではなく,ただ尊 の事例では,労働市場規則改正の効果は限定的で 重されていないだけなのである.腐敗と課税は企業 あった.人的資本の忍耐強い蓄積と持続的成長は成 が直面する最も困った障害であるとみなされている 果を上げた.しかし,法の支配の強化,有効な政 (図 6.7).やはり最近の研究が示唆するところでは, 策,国家の役割に関する受け止め方の改善も有益で インフォーマル性や失業の変化を説明するのに有用 あった. 102 なのは,労働規制以上に事業規制である .  インフォーマル性を社会契約が弱い結果であると  フォーマル化が進む国が直面する仕事の課題に取 みる人々の主張では,推進すべき方策には規則執行 り組むためには,経済のダイナミズムを窒息させる の強化,公共サービスの質改善,政策の一貫性強化 ことなく,社会的保護や労働法の管轄範囲を拡張す の組み合わせが含まれなければならない 106 .仮に ることが必要である.ラテンアメリカ諸国によるか インフォーマル性が規則を回避する,あるいは対象 つてのフォーマル化の試み――強圧的な規則,付加 外にとどまる生産単位に関連するものであるなら 給付の義務化,設計の悪い社会保険プログラムを通 ば,3 段階の戦略が正当化されるだろう 107.明ら じた試み――は,一般大衆の熱狂だけでなく,生産 かに規則の対象外で働いている人々に対しては,人 性の低下と最終的には経済停滞や社会的保護の質の 的開発や社会的保護のサービスと活性化政策の管轄 低下につながった. 範囲を拡大すべきである.法的にフォーマル化する  インフォーマル性を削減する努力には近年,新た ことを回避している未成熟な企業で働いている人々 な工夫が追加されている.ラテンアメリカ数カ国 に対しては,規則を簡素化して負担を軽減すべきで で,社会的保護制度の刷新が実施ないし提案されて ある.最後に,規則を免れている企業で働いている いる.まずは移転プログラムが拡充された.ブラ 人々については,取り締まりを強化すべきである. ジルとメキシコは 1990 年代後半に現金給付プログ この 3 段階戦略が成功するためには,労働者と雇 ラムを導入したが,それが今や人口のほぼ 5 分の 1 用者がともに国家を信頼できる公正なパートナーと 103 をカバーしている .ブラジル・チリ・メキシコ して受け止める必要がある.もし国家が,効率的で では,高齢者向けに非拠出型のプログラムが導入さ 良質のサービスの提供を通じて信頼感を生み出すこ れ,他の諸国も続いている.より根本的に,政策当 とができないようであれば,規制改革や取り締まり 局は社会保険の適用範囲を普遍的なものにする―― 強化もフォーマル化を著しく増やすことに成功でき 現行の拠出型システムから離れて,付加給付を一般 ないだろう. 税収でファイナンスするシステムに向かう――かど  鍵となる政策はあまり高価なものでなく,労働者 104 うかを議論している .このような改革は確かに が評価する公式な制度やプログラムを構築すること 受益者数を拡大させるであろうが,企業のフォーマ にある.つまり,フォーマル化が進む国にとって仕 ル化を奨励するかどうかは特にメキシコでは激論の 事の課題というのは,有効な規則と社会的保護制度 105 テーマとなっている(ボックス 6.7) . の発展に密接に連動しているのである.  今のところ,インフォーマル性を何とか大幅に削 減した国はほとんどない.ブラジルとチリにおける 仕事のレンズ フォーマル化が 進む国 負担可能な社会的付加給付を伴う仕事 社会的保護の適用範囲に格差を生み出さない仕事 220 世界開発報告 2013 ボックス 6.7 メキシコでは,インフォーマル性をどうやって削減するかに関する議論が白熱化している  家族員が 1 人でもフォーマル・セクターで働いて 「機会」は総人口の約 5 分の 1,農村部貧困層のほ る. いれば,メキシコの世帯は定期的な収入源と全員の健 ぼ全員をカバーしており,メキシコでは対象を絞った 康保険が確保でき,これを通じて社会的ネットワーク 「国民健康 最良の貧困削減プログラムになっている. の支援にアクセスすることができる.民俗学的・統計 保険」は最も急速に拡大しているプログラムで,2012 学的な証拠に基づく事例研究によれば,次のような主 年 4 月現在で 5,000 万人以上が対象になっているとさ 張が可能である:構成員がフォーマルな仕事を確保で れている e.しかし,ある予備的な研究は,非拠出型 きていない世帯は,高額医療費のリスクがあるため, インフォー プログラム全般と「国民健康保険」は特に, 貧困に陥る可能性が高い.また,親族や隣人から社会 マル性を誘発している,あるいは少なくとも,フォー a 的支援を享受できる可能性も低い .つまり,メキシ マルな雇用を阻害していることを見出している f. コではフォーマルな雇用が生活水準にとって極めて重  一方,健康保険の普遍化に関する議論がメキシコで 要なのである. は活発化している.学者や政策当局がそれを巡って議  1 人当たり GDP が購買力平価ベースで約 1 万 4,000 論しているだけでなく,政治的な議論の話題ともなっ ドルに達しているにもかかわらず,メキシコのイン ている.普遍化のコストがそのポイントである.推定 フォーマルな雇用は使う定義にもよるが,総雇用の には追加的なコストはない(効率化や徴税強化などの 50-62%も占めている.この比率は同国の発展段階を おかげで)というものから,比較的大きなコストがか 考えると高いといえるし,ほぼ 20 年間にわたって持 かる(人口動態の長期的な変化を考慮に入れると)と 続的に低下する兆候を示していない.いくつかの研究 いうものまで大きな開きがある.このような相違は方 が主張するところによると,労働法制がメキシコの大 法論の相違に起因するが,それは話題の複雑さや,改 きなインフォーマル経済を説明する要因である b.同 革が持つ意味を測ることの難しさを示唆している g. 国は基本となる労働法を改革しようとしたが失敗に  フォーマル化に関するメキシコの議論はより広範な 終わっている.これは 1973 年に施行されたもので, 状況に置いてみる必要がある.近年,実質賃金は停滞 1917 年の憲法に規定されている権利と結び付いてい しているのに,貧困や失業が増加している.しかし, る. 教育・保健・社会保障へのアクセスなど他の福祉に関  執行の弱さがメキシコにおけるインフォーマル性の する指標は改善を続けている h.平均生産性は上昇は 背後にあるもう 1 つの要因である.政府は 2012 年に しているが遅々としており,それは仕事や企業の過度 労働省の監督官を 300 名から 600 名に倍増すると発 な回転が原因になっている可能性がある i.人口動態 表した.この数字でも他の諸国との比較では依然とし 上のトレンドが示すところでは,人口のなかで大きな て少ない c.労働法廷も負担が過重となっている:係 シェアを占めている層では出生率が依然として高いた d 争は結審までに 3-6 年も要する . め,それが貧困やインフォーマル性の社会的な再生産  法制や執行の改革にかかわるこのような停滞は,成 につながっているのであろう j.社会的保護制度だけ (Oportunidades)という現金給付 功している「機会」 でなく労働法制・税制の刷新がインフォーマル性を大 「国民健康保険」 プログラムや, (Seguro Popular)と 幅に削減できるか否かは,依然として未解決の問題で いう非拠出型社会保険プログラムの拡大と対照的であ ある. 出所:WDR 2013 チーム. d. Kaplan, Sadka, and Silva-Mendez 2008. a. Gonzalez de la Rocha 2012. e. http://www.seguro-popular.gob.mx. b. Botero 他 2004;Heckman and Pagés 2004;Levy 2008;Venn 2009. f. Aterido, Hallward-Driemeier, and Pagés 2011. c. Pires (2011) によるとブラジルには監督官が 3,000 人いる;Piore g. Anton, Hernandez, and Levy 2012;Perry 他 2007;Villarreal 2012. and Schrank (2008) によるとフランスには 2,100 人いる.Piore and h. Villarreal and Rodriguez-Oreggia 2012. Schrank (2007) の推定では,労働者 10 万人当たりの監督官の人数は, i. Calderon 2012. メキシコ 1.72 人に対して,ブラジル 2.45 人,アルゼンチン 3.05 人, j. Martinez and Aguilera 2012. チリ 19.25 人となっている. CHAPTER6 仕事のさまざまな課題 221 高齢化社会 ることができるだろうが,その他の多くの諸国はそ  出生率の低下と多くの諸国における平均余命の上 れができない.多くの東ヨーロッパ諸国・キュー 昇が組み合わさって,世界のいくつかの地域では人 バ・中国が受ける影響は非常に鮮明であろう.とい 口の急速な高齢化が生じている.現在の高齢化社会 うのは,生産年齢人口の規模自体が縮小するから は先進国,東ヨーロッパ,ラテンアメリカの南部最 だ.2011-2050 年に直面する労働力の減少は,ブ 南端地域に集中している.中国は 2010 年に高齢化 リガリアで 40%,ポーランド 28%,中国 17%と 段階に入った.インド・イラン・シンガポール・タ 予想されている(図 6.8)109. イは比較的近い将来に著しい高齢化を経験するだろ  高齢化はいくつかの経路を通じて仕事に影響する 108 110 う . .出生率の低下は仕事を探していて,すぐにも就  老年従属人口指数は 65 歳以上人口が生産年齢 職したい女性の数が増加していることを示唆するか (15-64 歳)人口に占める割合を測定したものであ もしれない.しかし,過去 20 年間にわたり東ヨー る.この比率が高いと,生産年齢人口は老年世代の ロッパではその証拠はほとんど発見されていない. ニーズを満たすために,所得を生み出さなければな 若年層の減少は革新能力を削減するかもしれない. らないという圧力に直面する.イランとシンガポー さらに高齢の層では障害率が高くなって,高齢化人 ルの老年従属人口指数は今から 2050 年までにほぼ 口のなかで労働供給により多くの影響を及ぼす 111. 5 倍に上昇する.この 2 カ国は 15-64 歳の 10 人 貯蓄が投資・成長・雇用創出を牽引することを考え でそれぞれ 4 人と 6 人の老人を支えることになる. ると,総貯蓄がどのような影響を受けるかについて 中国の同指数はほぼ 4 倍になる.アルゼンチン・ 理解しておくことも重要である.貯蓄というのは典 チリ・ウルグアイなどだけでなく,すでに高齢化が 型的には高齢者層の間では減少する.もし若者が高 進展している東ヨーロッパの多くの社会では,この 齢者の長くなった寿命を支えるために,追加的な緩 比率が今から 2050 年までの間に 2 倍以上になる 衝材を積み上げておいてくれるのであれば,この減 だろう. 少は相殺されるであろう.公的退職制度が持続不可  従属人口指数がこのように膨らむ理由は国ごと 能であることが判明しているか,あるいは欠如して に異なる.ほとんどの国で,高齢者は長生きする いる場合には,特にそういえるだろう.支出パター ようになっている.生産年齢人口が減少している ンも年齢とともに変化する.高所得国における長期 国もなかにはある.ブルガリアでは出生率の低下が 介護産業の急速な台頭がその実例である.アメリカ 1990-2010 年の間における人口の 15%減少に寄与 では,同産業は 300 万人分以上のフォーマルな職 している.そして,同国は 2050 年までに 1980 年 を擁しており,50 歳以上のアメリカ人のうち推定 代半ばのピーク時の比較では,約 40%の人口減少 で 1,000 万人以上(この年齢層の約 4 分の 1)が, を経験するものと予測されている.他の東ヨーロッ 片親ないし両親を介護している 112. パ諸国――ボスニア・ヘルツェゴビナ,モルドバ,  働いている人口が少なくなるという高齢化社会で ルーマニア,ウクライナなど――も,同じパター 生活水準を維持するためには,生産性を引き上げる ンをたどるものと予想されている.中国の人口は ことが最終的には必須である.多くの東ヨーロッパ 2050 年には現在との比較で 5,000 万人少なくなっ 諸国では,必要とされる生産性の増加は大幅であろ ているだろう.インド・シンガポール・ラテンアメ .それが実現しなければ,生活水準の う(図 6.9) リカの南部最南端諸国では,人口の増加が鈍化しつ 低下が貧困に脆弱な人口グループに脅威を与えるだ つあり,今世紀半ばまでには減少に転じるだろう. ろう 113 .  もし高齢労働者の労働力参加率が現在非常に高  高齢化は仕事を通じて,世代間関係や社会的一体 く,もしこの水準が維持できるとすれば,高齢化が 感に影響する.移住や高齢化は中国農村部の高齢者 平均所得に及ぼすインパクトを著しく緩和すること にとって,伝統的な家族ベースの支援制度にストレ ができる.しかし,それでは十分ではなかろう.仮 スをもたらしており,次のような可能性が高まって に年齢別の参加比率が不変にとどまるとすれば,タ いる:高齢者はさらに高齢になるまで働き続けなけ イなど一部の諸国は労働力の絶対的な減少を制限す ればならず,子供から援助――金銭的なものか否か 222 世界開発報告 2013 図 6.8 年齢別の参加率が不変にとどまれば労働力は縮小するだろう 0 ‒10 労働力の変化(%) ‒20 ‒30 ‒40 イ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ド コ ナ ナ バ バ 国 リ ン ェ タ キ イ チ シ ニ ビ ビ ニ ニ ド ビ ー 中 ガ チ ラ ト ラ ロ ア メ バ ル ル マ バ ゴ ュ ラ ル ク ー ロ ル ェ ロ キ セ ー モ ル ウ ク ポ ブ ツ ア ス ル ア ル ヘ ・ ア ニ ス ボ 出所:国連人口統計に基づく WDR 2013 チームの試算. 注:シミュレーションは年齢別の労働参加率が 2011-50 年に不変にとどまとの前提に立って,労働力全体の減少を評価したものである. 図 6.9 生活水準の低下を回避するためには労働生産性が上昇しなければならない 30 労働生産性の変化(%) 20 10 0 イ ア ア ア ア ア ア コ ナ ナ リ ェ タ キ シ イ ニ ニ ニ ビ ガ チ ロ ラ ア バ ト ベ ゴ ル ク ス ト ロ ェ ロ リ ウ エ ブ ツ ス ス ル ヘ ・ ア ニ ス ボ 出所:国連人口統計と各国家計調査に基づく WDR 2013 チームの試算. 注:シミュレーションは就業率の低下が予想されているなかで,1 人当たり GDP を不変に維持するために 2011-50 年に必要とされる労働生産性の上昇を評価したもの. は問わない――は期待できない 114.高齢世代は無 なら採用できる,と彼らは言う.私には 20 年の経 視されているだけでなく,疎外されていると感じる 験があるのに,まだ 35 歳であることを期待してい こともあるだろう.ポーランドでは 55 歳の人が次 たのだろうか? 115」 のように感じていた:「年齢は大きな障壁だ.私が  高齢化が進展している中・高所得国の多くにおけ 履歴書を送ると,年を取り過ぎている,もし 35 歳 る社会保障・保険制度は,現行の設計下では辛うじ CHAPTER6 仕事のさまざまな課題 223 て存続可能であるにすぎない.ビスマルク型モデル いないという背景の下で,高齢化が進展している. ――社会福祉・保険は労働課税を通じて現金払い ただし,労働者――高スキル労働者と肉体労働者の ベースでファイナンスされる――はとりわけ脆弱で 両方――を必死に探している企業もなかにはある. ある.拠出基盤の減少で年金・保健ケアに利用可能 高齢者は若者に比べると通常は移動性が低く,住宅 な財源が収縮すると同時に,老齢人口の増加で両制 市場のことを考えると居所の変更はむずかしい.国 度に対する請求権が増大しているからだ.70 歳以 内移動性の低下は活動の活性化と生産性の引き上げ 上の人々にかかわる保健ケアのコストは,障害有病 にとって,著しいボトルネックを意味するだろう 率が高くなっているため,働き盛りの人々の場合の (ボックス 6.8). 116. 2-3 倍に達している 教育支出は多くの高齢化諸  ウクライナのような高齢化社会では,開発のため 国で中期的には減少する可能性があるものの,それ に良い仕事とは,特に高齢者にとって労働力参加率 自体は学校が閉鎖され教員が失職するのに伴って, を高水準に保つ仕事である.このような仕事は平均 さらなる――しばしば痛みを伴う――調整を惹起す 所得の低下を含むだろうが,社会保険制度――多く るだろう. の諸国で顕著な財政的ストレス下にある――の存続  社会福祉制度で必要とされる調整は気が遠くな 性を保護してくれるだろう.そのような仕事はこの るような規模になる.東ヨーロッパの代表的な国 ような 2 つの経路を通じて,社会的一体感の支持 では,公的年金制度だけでも赤字が現在の対 GDP にも寄与するだろう.高齢者在宅介護モデルが発展 比 2%に対して 2050 年には約 7%にも達するだろ すれば,就業率を高く維持し社会保険コストを抑制 117 う .収支を均衡させるには,退職年齢を引き上 するという双子の目的を支援することもできる.移 げるか,退職時所得に対する年金給付の比率を削減 民を積極的に引き付け――融合し――,海外離散者 するか,あるいは両方の何らかの組み合わせが必要 との好循環を何とか管理することも,同じく大きな であろう.そのような変更は高齢者にとって重大な 見返りを約束してくれるだろう. 困難をもたらしかねない.調整プロセス自体も経済  退職年齢の引き上げなどといった措置は労働力参 的・社会的・政治的に痛みを伴う可能性が大きい. 加率や福祉制度のファイナンスに貢献することがで 高所得数カ国の経験が示すところでは,必要な改革 きるものの,すべてのグループが同じ平均余命を を実施すれば社会的一体感を限度一杯に伸ばすこと もっているわけではない.典型的には,専門職・技 ができる. 術職・熟練職は特に有害危険な職業に就いている肉  高齢化に伴って社会の移動性が低下するだろう 体労働者と比べて長生きが予想される.熟練者を長 が,それは経済的な影響をもたらす.例えば,ウク く職場にとどめておくことが,平均的な労働性生産 ライナでは,危機以前と同じ比較的高水準の成長率 性を引き上げ,就業率の低下を相殺する方法であろ が続いているものの,雇用の創出をほとんど伴って う. 仕事のレンズ 高齢化社会 熟練者をより長く維持する仕事 高齢者向けサービスのコストを削減する仕事 224 世界開発報告 2013 ボックス 6.8 ウクライナでは,高齢化の影響は移住と出生率低下で複雑になっている  ウクライナの人口は減少しつつある.この国は工業 部地域では,雇用者は十分なスキルをもった労働者不 化の著しいロシア語圏の東部から,農業中心で主にウ 足についてひどく不平を述べているのに,空いている クライナ語圏の西部にまで広がっており,ソ連が崩壊 未熟練職を埋めることができないでいる.にもかかわ した時点では総人口 5,200 万人を擁していたが,現 らず,ウクライナでは国内の移動性が国際的な標準か 在では 600 万人の減少をみている.2050 年までに, らすると低く,しかも近年低下している.手の届く住 人口は 3,500 万人にまで減少しているだろう.出生 宅の欠如が移動性にとって重大な障壁として浮上して 率は 1990 年代の約 2.0 人から現在の 1.5 人未満へと おり,それが新しい居所において付加給付を請求する 急低下している.ただし,近年は若干の上昇がみられ ための登録を阻害している.賃貸不動産は希少で,し る.老齢者扶養率は現在 22%であるが,今後 30 年 ばしば高価であり,大都市では家計所得の 50%を吸 間で 40%以上に達するだろう. 収してしまうことがある d.  この人口の高齢化が仕事に及ぼす影響は国際的な移  最終的に,ウクライナは仕事に関して悪循環に直面 住で増幅されている.激動の体制移行期から 2000 年 する懸念がある.労働力の減少と芳しくない生産性の 代半ばにかけて,250 万人のウクライナ人がロシアと 実績を受けて,社会保険や福祉の制度は持続不可能に 西ヨーロッパを中心に移出した.毎年約 8 万人が出 なるリスクがあろう.高齢者に付加給付を提供できな 国したわけであるが a,最近の研究が示すところでは, いことや制度改革がもたらすかもしれないストレス 送金・帰還移住・海外離散者の関与などを通じた移住 は,社会的緊張の源泉になるだろう.フォーカス・グ がもたらす可能性のある好ましいプラス効果は,(ま ループの議論に参加した人々が言ったように,このよ b だ)ほとんどみられていない .25-29 歳の人々は特 うな緊張は仕事の配分が不公平であり,公共セクター に女性を中心に,労働市場から大挙して退出している: の仕事には賄賂が必要である,といった受け止め方に 女性の参加率は 2001-10 年に 78.1%から 70.9%に低 よって増幅されるだろう e.就業率の低下は市民的社 c 下した . 会参画の足を引っ張るおそれもある.被雇用者の間で  労働市場で高度な効率性を達成することが,高齢化 は政治やコミュニティへの参加水準は低いかもしれな のインパクトを相殺する鍵になる.しかし,地域別の いが,それは失業者との対比では 2 倍の高さであり, 労働市場は失業率のバラツキが大きいことに反映され 非活動人口よりも 25%も高くなっている f. ているように,ほとんど統合されていない.国内の一 出所:WDR 2013 チーム. d.Komarov 2011. a.World Population Prospects online database, United Nations, Geneva. e.WDR 2013 のために実施されたウクライナに関する国別事例研究. b.WDR 2013 のために実施されたウクライナに関する国別事例研究. f.WDR 2013 のために実施されたウクライナに関する国別事例研究. c.Statistical Service of Ukraine. QUESTION 6 対象を絞った投資環境?  民間セクターで雇用創出を促進するような投資環 を形成する,一連の公共財や公的政策のことであ 境を整備することが,最優先の政策課題である.問 る 119.広範囲にわたる政策手段が含まれる:安定 題は政府としては競争条件の平等化を目指すべき 性と安全性の確保,金融市場の高度化,インフラ・ か,それとも特別な地域,活動の種類,企業の規模, サービスの提供,規制・税制の負担削減,労働力の 開発のために良い仕事を生む潜在性が最も高いセク 質改善など.対象を絞った投資環境を産業政策と同 ターに焦点を絞るべきか,ということである.仕事 一視するという自然な傾向がみられる.仮にある活 の挑戦課題は当該国の発展段階・資源の賦存状況・ 動が生産面で大きな波及効果をもたらすとすれば 人口動態・制度に応じて異なる.すべてのセクター (例えば,実地学習や特化・統合化の進展のおかげ に関して自由な参入と競争を確保することが,成長 で),対象の絞り込みというのはそのような活動の にとってまずは基本である.しかし,途上国の財政 支援ということを示唆するだろう.近年,さまざま 面での余裕や行政能力が限られていることを考える な活動に関連した生産性の波及効果がいろいろな視 と,経済全体にわたって好意的な事業環境を整備す 点から再検討されており,学者も実務家もその識別 るのは挑戦的なので,適切な質問は政策の優先順序 のための実際的なアプローチを提案している(ボッ をどのように設定するかということになるだろう. . クス 6.9)  通念では対象の絞り込みを懐疑的にみている.こ  しかし,投資環境にかかわる対象の絞り込みは必 れは産業政策のしばしば悲惨であった経験に由来し ずしも産業セクターに関するものである必要はな ている.ラテンアメリカでは輸入代替の局面で対 い.目標は女性の労働市場参加率引き上げを目指す 象の絞り込みは一般的であったが,1980 年代まで 政策の場合のようにジェンダーに,ないしは都市化 には個別のセクターを優遇する介入策は,レント・ 政策ないし地域開発政策の場合のように空間的な懸 シーキング,経済的停滞,対外的脆弱性につながる, 念事項に焦点を絞ることもできる.あるいは政策が というコンセンサスが形成された.インドにおける 中小企業の発展を支援する場合には,企業規模に焦 1990 年代までの低成長も,地元の産業グループを 点を当てることもできるだろう.開発にとって良い 優遇し,競争の足を引っ張る政策に原因があるとさ 仕事というのは国よって異なる.仕事の課題には次 れた.東アジアの数カ国が工業化で成功したことを のようなことが含まれるだろう:農業国では小自作 背景に,対象の絞り込みの利点や国家の役割に関す 農をもっと生産的にすること,資源の豊富な国では る論争が再燃したが,制度的な失敗がもつ悪影響が 国際競争力を維持すること,若年失業率が高い国で 118 重要な懸念材料として残っている .支配的な意 は熟練労働を雇用する活動で競争を促進すること. 見の主張によれば,政策当局には対象活動を選定す それぞれの場合について,対象を絞り込む論拠は仕 「勝者を選ぶ」のに必要な情報も能 るに当たって, 事が開発にもっと貢献することを阻害している市場 力もない.強固な情報基盤がないなかで,途上国に の欠陥ないし政府の失敗に取り組むことにある. 共通する制度的な失敗を考慮すると,対象を絞った  農業セクターにおける対象絞り込みの例を考えて 支援の潜在的な受益者が意思決定プロセスに不当な みよう.基本的な論理は公共財の概念に基づいてい 影響を及ぼすというリスクがないわけではない. る.農業開発にとって最大の障害は適切な技術と十 分なインフラの欠如にある.可耕地が希少化する 対象の絞り込みは必ずしも産業政策ではない のに伴って,収量を増やす技術が必要不可欠にな  投資環境というのは企業が生産的に投資し,雇用 る 120.しかし,そのような技術を開発するインセ を創出し,拡大するための機会やインセンティブ ンティブは,それが無償で模倣できるため蝕まれて 226 世界開発報告 2013 ボックス 6.9 産業政策を巡って再び激論が戦わされた  産業政策というのは国家の経済管理に関するアプ 第 2 のアプローチは政策プロセスと特に官民パート ローチの 1 つで,国家目標を追求するために特定のセ ナーシップを強調する.この意見によると,政府と企 クターに直接的な支援を供与するものである.産業政 業の対話は調整の失敗を克服し,最も適切な生産性の 策は 1980 年代に支持を失ったが,現在,再び認識を 波及効果に関して民間セクターから情報を引き出すの 新たに獲得しつつある.しかし,今回台頭してきた意 に役立つ b. 見は批判を招き,新たなラウンドの討論につながって  第 3 の学派にとって重要なのは単なる調整の失敗や いる. 外部性ではなく,生産的な知識の波及効果――物事の  産業政策は次の 3 種類の市場の失敗に論拠を置いて やり方をマスターすること――である.そのような知 いる:知識の波及効果とダイナミックな規模の経済, 識は文字化された公然の知識とは異なり,経験を通じ 調整の失敗,情報の外部性.第 1 の場合,産業政策は, て修得・蓄積される.このアプローチの主張では,多 知識の波及効果とダイナミックな規模の経済は産業別 種多様な産業に関連した生産的知識の波及効果は大規 に異なっている,という観察から導かれている.調整 模になり得る.支援に値する産業を選定するのに,こ の失敗は次の事態から生じる:市場が大規模なインフ のアプローチはどれだけの生産的知識が埋め込まれて ラ・プロジェクトなど投資プロジェクトの将来的な成 いるかによって製品をランク付けして,現在生産され 果について正しいシグナルを発することができず,民 ているが,より高い内容の知識を体現しているものに 間セクターによる投資は過少になる傾向がある場合で 類似した製品に焦点を絞るよう提案している c. ある.情報の外部性が存在するのは,投資機会の収益  産業政策の反対者は言われている論拠を疑っており, 性に関する知識が限定され,ただ乗りのリスクが投資 とりわけその実施にかかわる実際性を疑問視している. や革新を阻害する場合である. 例えば,一定の産業に潜在的に大きな知識の波及効果  このような論拠に基づいて,いくつかのアプローチ やダイナミックな規模の経済が存在することは認める が産業政策に関する考えをさらに発展させている.新 ものの,公共セクターにそのような産業を選定する能 構造主義経済学は賦存状況の変化の結果として生じる 力があるのか否か,ということを懐疑派は問題視して 比較優位の変化を強調する.インフラや関連した調整 いる.関連して,公的セクターが産業政策をダイナミッ の失敗から生じる生産性の大きな波及効果は,国家の クなプロセスにする――古い産業には信頼できるサン 主導的な役割を正当化する.支援すべき産業を選定す セット条項を適用したり,資源を新しい産業に再配分 るのに,このアプローチは賦存状況が類似していて, より一般的には, したりする――能力も懸念材料である. 所得水準がやや高い諸国から学ぶことを提案している. 懐疑派の信じるところでは,実施が成功するために必要 このような諸国が示している強固な実績を伴った輸出 とされる知識やスキルが公的セクターの能力を超過し は,経済の成長に伴ってどのセクターが比較優位をも ている d. ち得るかを示してくれるだろう a. 出所:WDR 2013 チーム. c.Cimoli, Dosi, and Stiglitz 2009;Hausmann 他 2011;Nuebler 2011. a.Lin 2009, 2012;Lin and Monga 2011. d.Noland and Pack 2003;Pack and Saggi 2006. b.Harrison and Rodríguez-Clare 2010;Rodrik 2004, 2007. いる 121.したがって,公的政策がそのような技術 関連ビジネス・セクターの成功に決定的な役割を果 の開発と普及を支援することによって一定の役割を たしている 122. 果たすことになる.収量を増やす技術は肥料集約的  ダイナミックな都市の台頭ももう 1 つの適例で で,水の入手可能性に敏感であることから,インフ ある.ダブリンから上海に至るまで,競争力イニシ ラ――道路や灌漑施設を含む――に対する公共投資 アティブには国よりも都市が含まれるようになって が必須になることがしばしばである.例えば,ブラ いる.このシフトは集積効果の結果である:競争条 ジル政府の考えでは,順応的農業研究に対する投資 件の平準化はフラットな世界を想起させるが,都市 が開発にとっては前提となる.そこで政府はブラジ 化政策は経済活動の盛り上がりがある世界に対応し ル農牧研究公社(EMBRAPA)を支援した.同社 ている.ダイナミックな都市では優遇税制が提供さ は技術の創造と移転に焦点を当て,ブラジルの農業 れ,土地へのアクセスが容易で,行政手続きが簡素 CHAPTER6 仕事のさまざまな課題 227 化されており,官民パートナーシップに対する支援 ところからはほど遠い状態にある. も供与されている.インセンティブのパッケージを  農業の仕事を考えてみよう.主要作物のなかで, 補完しているのは,より効率的な物流と主要インフ コメ・小麦・トウモロコシがサトウモロコシや雑穀 ラ施設に対する公共投資である.空間的な対象絞り よりも有望であるが,後者はとりわけ貧しい,より 込みにかかわる最近の案が特許都市(charter city) 乾燥した厳しい条件下にある農民によって栽培され の発想である:外国投資家の目から見て信認が低い ている 124.近代的な穀物品種は主に降水のある灌 国が海外から企業を誘致するために,信頼できる一 漑された良好な地域で高収量をもたらす 125 .した 連のルールの執行と引き換えに,都市の主権を別の がって,農業政策は地域が異なれば農村人口の福祉 123 国に譲渡するというものである .この目的は国 に違った影響を及ぼさざるを得ない.選択は当該国 内の小さな地域の投資環境を強化して,さらなる改 の天然資源や社会目標次第である 126 . 革に向けてデモンストレーション効果を潜在的に提  非農業セクターでは,雇用創出にとって重要な障 供する一方で,よそにいる強力な地方エリート層の 害になっていることは,企業が直面している制約に レントに脅威を与えないというところにある. かかわる定量的・定性的な評価を通じて特定でき る.このような評価の解釈は慎重さを必要とする 対象の絞り込みのための情報基盤は存在する が,企業ごとに異なる対応が対象を絞った政策介入  一国が直面する挑戦が明確な場合には,どのよう を策定するのに利用できるパターンを明らかにして な種類の仕事がこのような挑戦への取り組みに役立 いる(ボックス 6.10)127. つかを決定することもできるだろう.研究やデータ  一国の仕事の課題として競争力のある都市の創造 収集にかかわる努力のおかげで,開発のために良い を特徴にしたいのであれば,企業が直面する制約が 仕事の創出を支援すべきか,あるいはどう支援すべ 規模の異なる都市でどのように違っているかに関す きかを決定するための情報セットは,空っぽという る情報が企業調査で得られる ( 図 6.10a).もし仕 ボックス 6.10 企業調査の結果を解釈するには慎重さが必要  企業家や上級管理職の調査は,民間セクターが発展 可能性という問題に取り組まなければならない.可能 にとって何が著しい制約であるとみているかに関する な場合には,より客観的な質問が好ましい.つまり, 情報を提供してくれる.しかし,その回答の解釈に関 電力供給がどの程度の制約になるかを 1 から 5 の尺度 しては若干の注意が必要である.回答者は会社の収益 で質問する代わりに,停電の頻度や長さ,あるいは発 に対する制約を反映する回答をするだろう――幅広く 電機を動かすコストを質問すればよい.このような回 社会や福祉への影響は考えない.ほぼどの企業家も税 答なら回答者をまたいで,また長期にわたって容易に 金や借入金利が高すぎると不平を言うだろう.しかし, 比較可能である. それは必ずしも減税すべきである,あるいは金利が債  企業調査の回答を解釈して,それを企業業績に結び 権者が直面しているリスクを逸脱している,というこ 付ける際のもう 1 つの厄介事は,両者の間の因果関係 とを意味するものではない.個々の回答者にとっての が両方通行になっている可能性があるということだ. 制約は広範な社会的目標と比較考量する必要がある. 多数の複雑な条件が企業の存続能力を妨害していると  さらに,企業調査は現存する企業だけを対象にして いうことかもしれない.しかし,おそらくは経営が悪 いる.調査は意気阻喪した参入者には届いておらず, いことによる企業の業績不振も,回答者の苦情にある したがって,彼らが克服できなかった参入の制約を質 程度は影響しているだろう.業績は投資環境のどの側 問していない.最近閉鎖した企業に向かってなぜ廃業 面が最も重要かということにも影響する.例えば,ス したのかも尋ねていない.したがって,だれに質問す キルの入手可能性は拡大中の企業にとってはより制約 べきかを決定付けるのに重要な役割を果たすかもしれ 的かもしれないが,労働規制は収縮傾向にあって,労 ない問題が特定される可能性は低い. 働者を削減する必要性に迫られている企業にとっては,  主観的な質問をするどんな調査であれ,回答の比較 より重大な懸念事項であろう. 出所:Hallward-Driemeier and Aterido 2009;World Bank 2004b. 228 世界開発報告 2013 図 6.10 事業に対する制約の評価は企業ごとに異なる a.中・大都市対小都市 b.外国企業対中・大民間現地企業 (中国,2005 年) (104 カ国,2006-10 年) 金融アクセス 税関 金融コスト 輸送 地方的保護主義 許認可 法廷 税関 スキル 意志疎通 政治的不安定性 反競争的行動 腐敗 情報アクセス 通信 不安定な政策 労働規則 犯罪 電気 輸送 税務行政 土地アクセス 水サービス 犯罪 / 無秩序 税務行政 税率 労働者のスキル 競争 電気 金融 ‒0.6 ‒0.5‒0.4 ‒0.3 ‒0.2 ‒0.1 0 0.1 0.2 0.3 ‒0.3 ‒0.2 ‒0.1 0 0.1 0.2 0.3 制約ランクの相違(小都市との対比) 制約ランクの相違 (外国企業と中・大民間現地企業との対比) 大規模都市 中規模都市 c.大・中・小企業対零細企業 d.古い成熟した企業対若い企業 (104 カ国,2006-10 年) (104 カ国,2006-10 年) スキル 競争 税関 腐敗 労働規則 法廷 輸送 税率 法廷 労働規則 税務行政 犯罪 / 無秩序 許認可 税務行政 通信 政治不安 政治不安 税関 犯罪 / 無秩序 通信 電気 許認可 税率 電気 腐敗 スキル 土地アクセス 輸送 金融 土地アクセス 競争 金融 ‒0.6‒0.5‒0.4‒0.3‒0.2‒0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 ‒0.15 ‒0.1 ‒0.5 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 制約ランクの相違(零細企業との対比) 制約ランクの相違(若い企業との対比) 大規模企業 中規模企業 小規模企業 古い企業 成熟企業 出所:World Bank's Enterprise Surveys 2006-10 に基づく WDR 2013 チームの試算. 注:この分析はパネル a については,中国における 2005 年の都市レベルの企業調査,他のパネルについて,104 カ国における 2006-10 年の都市部 企業 6 万社以上に関する調査に基づく.棒は 2 つのグループの企業の間でみられる制約のランク付けの相違を示している.調査における格付けは 1 (まったく制約ではない)から 5(深刻な制約である)までとなっている.相対的な深刻さを評価するために,各企業が感じる制約の格付けの平均を 控除している.分析では,企業の年齢・規模・所有構造・輸出指向・産業・年などが制御されている. 事の課題として外国直接投資の流入を必要としてい 中堅企業の方がより深刻な制約だとみている.これ るのであれば,企業調査は次のようなことを示唆す とは対照的に,零細企業や小企業は金融アクセスや るだろう:外国企業は,ファイナンスのことをあま 競争が,成長にとってより深刻な障害であると考え り懸念していないが,税関行政・輸送・許認可など ている.最近,主要国の農村部で操業している家内 が企業の活動や成長にとってより深刻な障害である 企業に関して企業調査が実施された.これも各国が とみている(図 6.10b).零細企業の成功が貧困削 農村部で非農業セクターを育成するための追加的な 減に寄与するので,それに焦点を絞ることを選択す 道具となり得るだろう 128 . る国もあれば,若い大企業が最も革新的なため,そ  そのような制約の除去がもたらす効果も産業ごと れに焦点を絞る国もある.両方の事例について,企 に異なるだろう.参入障壁を削減すれば,回転率が 業調査を利用すれば,最も適切な制約を探り出すこ おのずと高い産業の成長を促進する.金融アクセス とができる(図 6.10c,6.10d).熟練労働の不足・ を改善すれば,外部金融への依存度が高い産業を刺 税関の遅延・厳格な労働規則などは,小企業よりも 激する.制約除去のインパクトは企業の規模・年齢・ CHAPTER6 仕事のさまざまな課題 229 所有権・その他の特性によっても異なる 129.例え  多数の受益者が関係する活動が対象になった場 ば,インフラのボトルネックは中企業や大企業の成 合,支配される可能性は小さい.例えば,小自作農・ 長を阻害する傾向があるが,零細企業に対しては顕 競争力のある都市・女性の零細企業家などに対する 著な影響はない.同様に,司法制度が障害であると 支援は,受益者に影響される公算が小さい.どの国 みられれば,外国企業は現地民間企業に比べて市場 でも,何百万とはいわないまでも,何千もの農民・ から退出する可能性が大きいといえるだろう 130. 都市部の企業・女性の零細企業家などが,それに対 象を絞った政策から必ずや利益を享受するだろう. すべての対象絞り込みが利益団体による支配に弱 しかし,彼らは個々人としてはそのような政策に影 いわけではない 響を及ぼす力はもっていないし,有効な利益団体と  対象絞り込みの方式に関しては,既得権益層によ して組織化することもできない可能性があろう. る支配がおそらく最も重要な懸念事項であろう.潜  対象を絞った政府介入策が正当化されるのは,そ 在的な受益者が意思決定プロセスに不当な影響力を れが特定の状況下で開発にとって良い仕事に関する 及ぼすことができる,というのは現実的なリスクで しっかりした理解に基づいており,また,支配に抵 ある.企業と政府の関係があまりにも心地良いと, 抗できるように設計できる場合に限定される.最後 たとえ甚だしい失敗であっても,支援を廃止するこ の点の実例としては,経済特別区の設計と管理に とが極めて困難になることがある.既得権益層が政 は民間セクターが関与していることが指摘できる 策を支配すれば,多くの途上国ではしばしば弱い政 . (ボックス 6.11) 府の能力の足を引っ張りかねない. ボックス 6.11 経済特別区の実績はさまざま  経済特別区(SEZ)は国境内の仕切られた地理的な区  例えば,バングラデシュでは,SEZ プログラムは当 域であり,そこでは事業のルールが国内で一般的なもの 初ハイテク投資誘致を目的にしていたが,政府は焦点 とは違っている.このような特異なルールは主に投資環 を民間セクターが成功の兆候を示していた衣服にシフ 境・国際貿易・関税に関係している.特区の事業環境は, トした.このシフトは SEZ プログラムのパフォーマン 政策の視点からはより大きな自由,行政の視点からはよ スにとって極めて重要であることが判明した.民間セ り高い効率性を意図したものとなっている. クターとの有効なパートナーシップの構築は,調整と  1970 年代以前,ほとんどの SEZ は先進国が運営し いう課題を克服するには重要なメカニズムである.制 ていた.その後,東アジアとラテンアメリカを手始め 度的には,パートナーシップはドミニカ共和国やレソ として途上国が,しばしば輸出主導型成長戦略の一環 トにおけるように,SEZ の理事会に民間セクターの代 として,外国直接投資を誘致するために SEZ を利用し 表者が参加することを通じて確立することができる. 産業政策 始めた.SEZ が貿易や投資の手段, ・空間政策・  多くの成功している SEZ に共通している要素は,そ より広範な経済政策になるのに伴って,その目的は時 の構築・実施を担当する官僚の技術的な能力である. とともに幅が広がった.1986 年には 47 カ国に 176 の したがって,これは政府の能力が弱い場合には対象の 特区があったが,2006 年現在,特区は 130 カ国で 3,500 絞り込みに注意しなければならないものの,ラテンア カ所にまで拡大した. メリカ数カ国では民間セクターの所有権や管理を活用  SEZ の実績は様々である.その収益率は経済学者の することによって成功を達成している.ドミニカ共和 間でいまだに白熱した議論の的である.そのパフォー 国では,公的ゾーンと民間ゾーンが併存しており,雇用・ マンスは設計と管理に大きく依存している.SEZ は当 投資・輸出などに関してゾーンの所有権による明確な 該国の開発戦略の構成要素になっていて,その比較優 格差はみられない.しかし,民間ゾーンは政府運営の 位と整合的で,クラスターを基盤にし,経済の他の部 ゾーンと比べると,総じて良質なインフラや付加価値 分との連関を確立している場合には,成功の可能性が の大きいサービスを提供しており,したがって,賃料 高くなる. も高くなっている. 出所:Akinci and Farole 2011;WDR 2013 のために書かれた Kingombe and te Velde 2012. 230 世界開発報告 2013 タジキスタンのザクロ畑で働く農民 ©Gennadiy Ratuushenko / World Bank アフガニスタンのカブールの露天商 ベトナムの衣服工場で働く賃金労働者 ©Steve McCurry / Magnum Photos ©Lino Vuth / World Bank メキシコの通りでトウガラシを乾燥させている女性 ©Curt Carnemark / World Bank CHAPTER6 仕事のさまざまな課題 231 注 2010. 1. Pollin 2009. 33. Dudwick and Srinivasan,近刊. 2. De Vreyer and Roubaud,近刊. 34. Lin 2011a. 3. Fox and Sekkel Gaal 2008. 35. World Development Indicators. 4. Altman 2011. 36. World Development Indicators;World Bank 5. 天然ガスを含め天然資源が新発見されたおかげで, Poverty and Inequality database. モザンビークは資源の豊富な国になったといえる 37. ADB 2012. かもしれない.しかし,WDR 2013 のために行わ 38. World Bank 2011b. れたモザンビークの国別事例研究によると,同国で 39. 通念によると,所得の増加に伴って,産業は集中化 は農業生産性の上昇と軽工業の発展が引き続き重 する前に構造が多様化する(Imbs and Wacziarg 要な問題であろう. 2003).したがって,バングラデシュの工業化のプ 6. Arndt 他 2012;Fox, Bardasi, and Van den ロセスは衣服産業のモノカルチャーにシフトして Broeck 2005. いるので,一般原則から逸脱しているといえる. 7. WDR 2013 のために書かれたモザンビークの国別 40. Jedwab 2012. 事例研究. 41. WDR 2013 のために作成されたパプアニューギニア 8. Christiaensen and Demery 2007. に関する国別事例研究. 9. Lipton 2005. 42. WDR 2013 のために作成されたパプアニューギニア 10. Otsuka and Larson, 近刊. に関する国別事例研究. 11. Christiaensen, Demery, and Kuhl 2011. 43. Gibson 他 2005. 12. Otsuka and Larson, 近刊. 44. WDR 2013 のために作成されたパプアニューギニア 13. Morris 他 2007. に関する国別事例研究. 14. Conning and Udry 2007. 45. Macintyre 2011. 15. Sawada 2012. 46. WDR 2013 のために作成されたパプアニューギニア 16. WDR 2013 のために書かれたモザンビークの国別 に関する国別事例研究. 事例研究. 47. WDR 2013 のために作成されたパプアニューギニア 17. McCormick 1999;Sonobe and Otsuka 2011. に関する国別事例研究. 18. Lin 2011b. 48. McCrea 2009. 19. Moving Out of Poverty (Narayan and Petesch 49. WDR 2013 のために作成されたパプアニューギニア 2010) のために実施された調査では,経済の回復 に関する国別事例研究. と生計の修復が最優先課題としてあげられている. 50. Winters and Martins 2004. 20. World Bank 2010. 51. Gibson 2006. 21. IDMC and Norwegian Refugee Council 2011; 52. McKenzie, Martinez, and Winters 2008; UNHCR 2011. World Bank 2006a. 22. Cramer 2010. 53. Bertram 2004. 23. Blattman and Annan 2011. 54. World Bank 2006a. 24. Finegan and Margo 1994;Jones 他 2009; 55. World Bank 2006a. Menon and Rodgers 2010;Narayan and 56. World Bank 2006a. Petesch 2010;Schweitzer 1980. 57. 世 界 銀 行 の 移 住 の デ ー タ ベ ー ス に 基 づ く WDR 25. Iyer and Santos 2012;World Bank 2011b. 2013 チームの試算. 26. World Bank 2005. 58. Gibson and McKenzie 2012. 27. Shortland 2011. 59. Stillman, McKenzie, and Gibson (2007) が別途 28. Blattman and Annan 2011. 発見した証拠によると,移住は労働者の精神衛生を 29. Collier 2007;Collier, Hoeffler, and Rohner 改善する. 2006;World Bank 2010. 60. World Bank 2006a.トンガに関する分析が示唆 30. Lemasle 2012. するところでは,移住と高等教育の関係は有意では 31. World Bank 2010,2011b. ない. 32. Dudwick and Srinivasan, 近 刊;World Bank 61. World Bank 2011a. 232 世界開発報告 2013 62. https://www.cia.gov/library/publications/the- Stiglitz 2000. world-factbook/geos/fj.html. 88. 一部には次のような意見がある:貧困がインフォー 63. Stefanova 2008. マル性を生む.というのは,貧困層はフォーマルな 64. World Bank 2012c;Zafar 2011. 職の発見の制約に直面しているからだ(Devicenti, 65. Frankel 2010;Roy and Subramanian 2001; Groisman, and Poggi 2010). Zafar 2011. 89. Perry 他 2007. 66. Gatti 他 2012. 90. ILO 2011b. 67. WDR 2013 のために作成されたチュニジアの国 91. Taymaz 2009. 別 事 例 研 究;Stampini and Verdier-Choucane 92. Perry 他 2007. 2011. 93. Loayza 1996;Perry 他 2007. 68. 高水準の若年失業がもたらすもう 1 つの社会的結 94. ボリビアの最近の証拠に関しては,McKenzie and 末としては,家族形成パターンや「移行の立ち往生」 Seynabou (2010) を 参 照.de Mel, McKenzie, といわれるものに対する効果がある.特に中東・北 and Woodruff (2008) も参照. アフリカの状況では,これには結婚の先延ばしが含 95. Bosch and Maloney 2010;Maloney 1999. まれる(Wrigley 2010).結婚年齢が上昇する一方 96. Fajnzylber, Maloney, and Montes-Rojas 2011. で,婚姻率が低下している(Dhillon and Yousef 97. コロンビアについては Bernal 2009;Mondragón- 2009).男性が結婚相手としてふさわしいとみられ Vélez, Peña, and Wills 2010;アルゼンチンにつ るためには,適切な雇用が必要である. いては World Bank 2008a. 69. Bell and Blanchflower 2010;Giles, Newhouse, 98. Fields 2005;Perry 他 2007.Gunther and and Witoelar 2010. Launov (2012) は コ ー ト ジ ボ ワ ー ル の デ ー タ を 70. ILO 2011a. 使って,この 2 つの要因の規模を区別する計量経 71. World Bank 2006b;Wrigley 2010. 済の手法を提示している. 72. Binzel 2011;Gatti 他 2012;Matsumoto and 99. WDR 2013 のために書かれた Petesch 2012. Elder 2010. 100. Loayza and Rigolini 2011. 73. World Bank 2012a. 101. Djankov and Ramalho 2009;Heckman and 74. Stampini and Verdier-Choucane 2011.このよ Pagés 2000,2004;Kaplan 2009. 先 進 国 の うな数字は 2005 年と 06 年の労働力調査で収集さ 視点からのより微妙な意見に関しては次を参照: れたデータに基づく. Boeri and van Ours 2008. 75. 2010 年の Gallup World Poll によると,公共セ 102. Freund 他 2012;Ulyssea 2010. クターで働きたいと思っている若者の比率は,中 103. Fiszbein 他 2009. 東・北アフリカの諸国では 40-70%のレンジにあっ 104. Anton, Hernandez, and Levy 2012;Perry 他 た.リビアのシェアだけが大幅に低かった. 2007. 76. World Bank 2012a. 105. Fields 2005;Kanbur 2009. 77. World Bank 2008b. 106. Almeida and Carneiro 2009;Kan and Lin 78. 一部の人々は同地域の限定されたグループの中等 2007;Kanbur 2009,2011;Scarpetta and および高等教育へのアクセス促進を呼びかけてい Tressel 2004. る(Middle East Youth Initiative 2009 を参照). 107. C h e n a n d D o a n e 2 0 0 8 ; J ü t t i n g a n d d e 79. Boughzala 2004;World Bank 2004a. Laiglesia 2009;Kanbur 2011. 80. World Bank 2012a. 108. 移 出 率 を 含 め 人 口 動 態 統 計 は United Nations 81. Gatti 他 2012. Population Division の推定に基づく. 82. World Bank 2009. 109. Giles, Wang, and Cai (2011) は人口の高齢化が 83. Klapper and Love 2011. 進展する中国で,就労生活の長期化を図る措置を検 84. Freund 他 2012. 討している. 85. Centeno and Portes 2006;Mezzadri 2010; 110. Chawla, Betcherman, and Banerji 2007. Saavedra and Tommasi 2007. 111. WHO and World Bank 2011. 86. Kanbur 2011. 112. Fiegerman 2011. 87. Geertz 1968;North 1991;North 1994; 113. Boersch-Supran 2003. CHAPTER6 仕事のさまざまな課題 233 114. Cai 他 2012. Alamgir, Mohiuddin. 1978. Bangladesh: A Case of 115. World Bank 2011c. Below Poverty Level Equilibrium Trap. Dhaka: Bangladesh Institute of Development Studies. 116. Cotlear 2011;Reinhardt 2003;Werding and Almeida, Rita, and Pedro Carneiro. 2009. “Enforce- McLennan 2011. ment of Labor Regulation and Firm Size.” Jour- 117. Schwarz 2009. nal of Comparative Economics 37 (1): 28–46. 118. レ ビ ュ ー は 次 を 参 照:Lin and Monga (2011); Altman, Miriam. 2011. Employment Policy in South Africa Pack and Saggi (2006).詳しい議論に関しては and the Region. Washington, DC: World Bank. 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Washington, DC: World Bank. 7 240 世界開発報告 2013 CHAPTER 結び付いている仕事の課題 人々の移住により,国境を越えて仕事の機会のマッチは起こる.グローバル化は製造 業だけでなく,サービス業においても,仕事の国際的移動の増加につながりつつあ る.  各国が直面する仕事の課題はそれぞれ異なるが,その仕事の課題は 2 つの潮流― ―人の移住と仕事の移動――によって相互に結び付いている.このような 2 つの流 れは移出国と移入国の両方において,生活水準・生産性・社会的一体感に影響を及ぼ す.移民の到着も仕事の海外委託も移民と地元民両方の生活水準に影響する.外国人 労働者の利用可能性,貯蓄やアイデアを流通させる移民ネットワークの発展,より先 進的な技術を持ち込む多国籍企業の進出などはすべて,生産性を押し上げざるを得な いだろう.しかし,コミュニティ生活はもちろん家族構造も人や仕事の移動によって 影響を受ける.潜在的な利益には膨大なものがあるものの,トレードオフもある.  仮に開発戦略が国レベルで仕事の課題への取り組みに成功したとしても,国内と海 外の雇用機会の間ではミスマッチが発生せざるを得ず,それは人々がコミュニティ を離れて,他のところでチャンスを試すことを奨励するだろう.ほとんど必然的に, 南アジアとサハラ以南アフリカでは,国際的な移住は人々が考慮すべき政策手段の 1 つになるだろう.というのは,このような地域では今後 20-30 年にわたり,労働力 の急増が予測されているからである.移住のトレンドは人口動態面での圧力だけでな く,経済的要因はもちろん,文化的・地理的な近接性によっても牽引されるだろう.  仕事の課題は仕事の国際的な移動を通じてもつながっている.生産手段の細分化を 受けて,脱地方化や途上国への外部委託が円滑になり,貿易量の増加と最終製品の価 格低下という結果をもたらしている.しかし,それは製造業の仕事の世界的な再配分 にもつながっているだけでなく,同じトレンドがサービス業でもいっそう目立ってき ている.今のところ先進国における仕事の移動は主にブルー・カラー労働者に影響し ているが,ホワイト・カラー労働者の仕事も続いている.アジアにおける労働コスト の上昇は,他の途上国が工業化を一挙に推進するための機会を開放することになるか もしれない. 労働者の移住  国際的な移民総数に関して正確な数字は入手不可能である.このことは驚くに値し CHAPTER7 結び付いている仕事の課題 241 地図 7.1 少数の国では移住者が人口の大部分を占めている * a. 労働力人口に占める外国人移住者の割合(%) % 0‒1.99 2.00‒4.99 5.00‒9.99 10.00‒14.99 15.00‒100 データなし b.移出者(対地元労働力比,%) % 0‒1.99 2.00‒4.99 5.00‒9.99 10.00‒14.99 15.00‒100 データなし * 本地図は世界銀行の Map Design Unit が作成.本地図における国境,色分け,呼称,その他のいかなる情報も,世界銀行グループにおける,いかな る領域の法的地位についての判断,あるいはそうした国境についての認定や承認を意味するものではない. . 出処:世界開発報告 2013 担当チーム(2000 年前後の国勢調査のデータを用いた Özden and others 2011 および Artuc and others 2012 に基づく) ないだろう.というのは,その多くは違法に国境を 国に戻っている. 越えており,ビザや許可が期限切れになっても帰国 しないからだ.そのため,推定は人口調査や家計調 移住の世界的なパターン 査を頼りにせざるを得ない.それでもデータを収集  世界全体の数字は国別の重要な相違を覆い隠して する方法や,国籍や移民の地位にかかわる法的な定 いる.主として移入している国,移出している国, 義が国ごとに違うことから,正確な勘定は困難であ 移民について大勢の移入も移出もない国など千差万 1 る .しかし,その桁数については比較的議論が少 別である(地図 7.1).小数の比較的小さな移入国 ない.世界全体には 2 億人以上の移民がおり,そ では,外国生まれの人が総人口の 40%以上を占め のうち 9,000 万人は労働者である.このような移 ている.このグループにはイスラエル・ヨルダン・ 民は世界の人口や世界の労働力の 2.5-3%を占めて クウェート・カタールなどが入る.もっと大きな移 2 いる .多くは臨時ないし季節的な労働者であり自 入国で,移民が総人口に占めるシェアが大きいの 242 世界開発報告 2013 は,サウジアラビア(27.8%),カナダ(21.3%), 受けたことのある労働者のシェアが,イギリスで オーストラリア(21.0%),アメリカ(13.5%)な は 15-25%,アメリカでは 25-30%に上昇してい どである.絶対数ではアメリカ(4,280 万人)が る.熟練労働の移住に関しては鮮明な国別相違が 最大の移入国で,ロシア(1,230 万人)やドイツ みられる.途上国のなかには熟練労働者の移出を (1,080 万人)がそれに続く.移出国のなかで,移 「頭脳流出」 明示的に促進しているところもあれば, 民の数が多いのはメキシコ(1,010 万人),インド に不平を鳴らすところもある.高等教育を受けた ,バングラデシュ(600 万人)などで (910 万人) ハイチ・ジャマイカ・トリニダードトバゴの国民 3 ある .ロシアはこのリストでも上位にくる.とい のうち,70%以上は海外に住んでいる.移出民の うのは,多くの小数派ロシア人はかつてはソ連の一 なかで熟練労働者のシェアはアフリカ諸国では特 部を構成していた共和国に居住しているからだ. に高い(地図 7.2)6 .  政治不安とグローバル化を背景に,20 世紀前半  高度なスキルを有する移出民は,技術開発者,創 には移住のフローが加速した.バングラデシュ・イ 業者,科学者,学者,学生,保健・文化的労働者な ンド・パキスタンの分割を受けて,出生国とは異な どといったカテゴリーに属する.それが移出全体に る諸国に住んでいる大勢の人々を作り出した.輸送 占めるシェアは 10%と依然として比較的小さいが, コストの低下・石油価格高騰を受けたペルシャ湾岸 彼らの 90%は先進国で暮らしている 7.熟練移入 諸国の成長・大きな人口を擁する途上国の世界市場 民の集中が顕著な職種もなかにはある:外国で訓練 への参入などすべてが,世界全体で移民労働者の急 を受けた医師の比率をみると,アメリカでは 27%, 増を刺激した. オーストラリア 21%,カナダ 20%となっている 8 .  出身国と行き先国における期待所得の格差は, 人々が移住する重要な理由となっている.しかし, 移出国と移入国に対する影響 所得面での利益は,度合いはさまざまであるが,移  国際移住の最も直接的なインパクトは生活水準に 住の直接的なコスト(輸送費や仲介費など)に加え 生じる.移入国における仕事を通じて,また,移出 て,異なる文化・社会への適合,家族や友人を残し 国に対する送金を通じて,移民は自分や家族の所得 てくることにかかわる困難に関連した間接的なコス を増やす.移民はもしその海外での生産性が国内に トによって相殺される.このようなコストも移住フ いた時よりも高ければ,世界の産出にも貢献する ロー全体を説明するのに役立つ.多くの移民にとっ が,そうなることがしばしばである.移出国の産出 て,行き先国を選定するのに,物理的・文化的な近 に貢献できることさえある.というのは,移民や帰 接性(共通の言語・宗教・生活様式なども含む)は 国者のネットワークが投資・革新・専門知識にかか 重要である.出身国における雇用機会や身の安全に わる経路として機能するからだ.しかし,社会的効 関する懸念も,移住にとって重要な,時として決定 果はさまざまである.プラス面としては,移住は視 的な動因である.なお,1,000 万人以上の移民が難 野を広げる形で異文化の出身者を接続する.マイナ 4 民,200 万人近くが亡命者である . ス面としては,家族や友人との別離は移入国におい  世界全体の移民労働者数の増加率は 2005-08 年 て悩みや孤独の種になり得る.移民が大人数だと, にピークを打って以降,世界的な経済危機の影響 移入国内の脆弱なグループの間で欲求不満が悪化す で減速している.それ以前の 20-30 年間にわたり, ることがある.外国人が仕事や公共サービスについ 移住フローの増加は南北間フロー――つまり途上国 て競争者としてみられる場合には,特にその懸念が から先進国へのフロー――が中心であった.南々フ ある. ローは人数としては大きかったものの,同期間中に  移住に伴う所得の増加は,労働者 1 人当たりで 5 は安定的に推移していた . 年間に数千ドルにも達する可能性がある.労働者の  熟練労働者が国際移住のなかでシェアを高めて 特性を制御すると,その増分は移入国と移出国の 1 いる.先進国は才能を引き付ける政策をますます 人当たり所得格差の 50%から 2 倍の範囲になって 実施するようになっている.1990-2000 年をみる いる 9, 10 .しかし,輸送費や仲介業者が取るレン と,移入民のうち少なくとも何らかの高等教育を トがこのような増分を削減する.このような仲介業 CHAPTER7 結び付いている仕事の課題 243 地図 7.2 多くの移民は高スキル * a.高スキルの移住(移入者 / 高スキル労働力,%) % 0‒4.99 5.00‒9.99 10.00‒19.99 20.00‒29.99 30.00‒100 データ不明 b.高スキル労働の移住(移出者 / 高スキル地元労働力,%) % 0‒4.99 5.00‒9.99 10.00‒19.99 20.00‒29.99 30.00‒100 データ不明 * この地図は世界銀行の地図デザイン・ユニットが提供してくれた.地図上に示されている境界・色・名称・その他の情報は,世界銀行によるいかな る領域の法的地位に関するいかなる判断や,そのような境界のいかなる承認や受諾を意味するものではない. 出所:Özden 他 2011;Artuc 他 2012 に基づく WDR 2013 チーム. 注:高スキル移民とは少なくとも何らかの高等教育を享受した者. 者は人身売買・犯罪的虐待に関与している非合法組 とを示している. 織の一環であって,特に移民はそれの脆弱な餌食に  移住が移出国の労働事情に及ぼすインパクトに関 なっている場合がある.そうでない場合,仲介業者 する証拠はまばらである.移出した人々の雇用機会 というのは移住の需要と供給の存在に取り組む他の が限定的だったのであれば,所得や雇用は不変にと フォーマルなメカニズムが欠如しているなかで,市 どまるだろう.それが豊富だったのであれば,所得 場価格の移住サービスを提供するインフォーマルな は上昇し,かつて非活動的だった人々の参加率も上 11 代理人といえる .移民は心理的・肉体的な健康 昇するだろう.メキシコ・パキスタン・フィリピン リスクにも直面するが,通常は健康保険を利用でき の研究が示すところによると,移出は移出国の賃金 12 ない .しかし,移住の持続的なフローは,大き や失業率に確かに影響するが,バングラデシュ・イ な利益――現実のものであろうと期待されるもので ンド・スリランカでは,労働事情に対して認識でき あろうと――が,コストを十二分に相殺しているこ るような効果は何もなかった 13 . 244 世界開発報告 2013 移住フローが雇用機会や労働所得に及ぼすネット効 のスキルを改善するインセンティブなどから利益を 果は,海外に移住する人々のスキルや仕事に依存す 享受している.帰還移民は企業家としての能力や技 る.中・高所得国のデータを使った最近の研究が示 術的な能力――移出国の生産性を押し上げる――を すところによると,高スキル労働者の移出は低スキ 持ち帰ってくる.いくつかの諸国では海外で修得し ルおよび高スキル両方の地元労働者の賃金にプラス た経験が給与労働者の昇給や,企業家の生産効率引 効果をもたらす.一方,教育程度がより高い労働者 き上げを誘発することがわかっている 21.個人的な の移出と,地元国に残っている低スキルおよび高ス 利益以外では,社会的な利益があり,それは産業全 キル両方の労働者にかかわる賃金低下との間には相 体への波及や,当該地域全体における新規雇用の創 14 関関係がある . 出につながる可能性があろう.インドのバンガロー  送金は移出国の家計にとって重要な収入源となる. ルやハイデラバードがこの点を例証している:帰還 ただし,それは必ずしも貧困層のなかでも極貧層に した移民がそれまでの経験や国際的企業との連関 は届いていない.国際送金と貧困層のシェア低下と を利用して,情報通信技術会社を設立している 22. の間には相関関係がある国もある 15.送金は受領し アメリカの会社に極めて優秀なインド人のエンジニ 16 た世帯で貯蓄と投資の増加をもたらしている .ま アや役員がいたことが,インドのソフトウエア産業 た,送金は一般に考えられているよりも強靭であ が台頭するお膳立てをした 23 .移民ネットワーク る.最近の研究が示すところでは,2009 年の不況 の活動は何も熟練移民や企業活動に限定されてい 期に移民にとっては状況が厳しくなったにもかかわ るわけではない.アメリカにおけるメキシコ人の低 17 らず,送金は微減にとどまった .送金が所得不 スキル労働者のネットワークはメキシコ政府と共同 平等に及ぼす影響はさまざまである.一部の研究が で,公共投資を出身コミュニティのインフラに対し 示すところによると,移民は所得(あるいは富)の て振り向けたり増加したりしている 24. 分布のなかで中間層の出身であり,短期的には,送  移民ネットワークは外国の直接投資やノウハウ― 金は不平等全体に何の変化ももたらさなかった.別 ―両方とも移出国の生産性上昇を促進する――の重 の研究は,不平等は中期的に縮小することを示して 要な源泉にもなり得る.ある推定によれば,中国向 いる.というのは,移民のいた地域の経済活動が活 け外国直接投資全体の半分以上は中国人移民が占め 18 性化するからだ .ほとんどの研究は,送金は移 ている 25 .帰還移民が出身コミュニティにもたら 民の親族の労働力参加率を引き下げたことを報告し すインパクトは,新しい活発な企業が発展するよう 19 ている . な規模に欠けている小さな諸国ではもっと控え目で  高スキル労働者の間で移住のトレンドが高まって あろう 26 . いることが,途上国に対する悪影響をもたらすので  人材移住の増加も移出国における人的資本蓄積に はないかという懸念を引き起こしている.「頭脳流 対するインパクトを通じて,頭脳流入をもたらす公 出」――貴重な人的資源の損失――を恐れている人 算がある.移住の見込みがあると,教育の収益率が 20 もなかにはいる .この見方によると,途上国と 上昇し,したがって,人的資本に対する投資が促進 しては相当な財政資源をこれら労働者の教育に注ぎ される.しかし,このようなプラス効果はスキル移 込んで,彼らの生産性を引き上げ,革新者・思想 動の規模や国の相対的な規模に依存する.最近の証 家・管理者などのエリート層を創造する意図であっ 拠が示すところによると,高スキル移出民の比率が た.したがって,熟練労働者の移住は財政や分配の 低い大きな国は,人的資本に関して差し引きで流入 面で短期的に懸念材料であるばかりか,長期的には を経験している.対照的に,それが高い小さな国は 当該国の成長力も害する.この見方によると,途上 流出に悩んでいる 27. 国は熟練労働者が出身国に戻りたくなるようなイン  社会への影響はもっと多様である.移出国では, センティブを作り出すべきである.例えば,中等・ 研究者の発見によると,政治的な態度に加えて, 高等教育の金融面での改革が考えられる. ジェンダーや家族の関係が変化する.しかし,その  しかし,他の研究では「頭脳流入」とみられてお ような変化の性格は国ごとに異なる.配偶者やパー り,途上国はネットワーク,帰還移住,若者が自分 トナーの移住によって女性や子供がエンパワーさ CHAPTER7 結び付いている仕事の課題 245 れる場合もあれば,より脆弱になる場合もある 28 . ビス輸出は世界貿易のなかで最も急拡大している分 自由と民主主義を高く評価する社会への移民はこの 野である.また,途上国からの輸出が占めるシェア ような価値観を評価するようになる一方,もっと伝 が過去 20 年間にわたり着実に上昇している.しか 統的な受け入れ国への移民は当初よりも伝統的にな し,いくつの仕事が影響を受けたのかを数えるのは 29 る . 不可能である.というのは,このプロセスは一方の  移入国では,ほとんどの研究は次のような側面に 国における雇用破壊と他方の国おける雇用創出で構 集中している:移民流入がもたらす財政的な影響に 成されている――しかも相互にマッチさせるのが容 加えて地元民の雇用や所得に及ぼす影響.このよう 易ではない形で――からだ. な研究の大半は地元民の平均労働所得に対してまっ たく影響がない,あるいは非常に小さなマイナス効 世界のトレンド 果がある,といういずれかの結果を示している.し  先進国で総雇用に占める製造業のシェアは,そ かし,地元民と移民の間で雇用の構成がシフトし の国内総生産(GDP)に占めるシェアと同じく, て,勝者と敗者を生み出している 30.移入国にとっ 1970-2008 年に約 3 分の 1 低下した(図 7.1)34. ての財政面の結果は移民の特性次第である.移民が 高い水準から出発した日本もヨーロッパや北アメリ 若くてスキルが高いほど税収も増える.移入国の政 カと同じであった.韓国は 1970 年代から 80 年代 府支出に対するインパクトは,移住の持続期間や家 にかけて工業化したが,製造業が雇用に占めるシェ 族構成によってさまざまである.移入国の福祉制度 アは 1992 年に低下し始めた.一方,中国を含め他 に対するネット効果の計算は,仮定や推定方法に敏 の東アジア諸国では,製造業の総雇用に占めるシェ 31 感である . アは過去 40 年間にわたって着実に上昇している.  最後になるが重要なこととして,移住は移入国で 南アジアとサハラ以南アフリカでは,同シェアは低 人種的偏見を引き起こし,社会的緊張を悪化させる く停滞しているが,ラテンアメリカでは低下し,東 懸念がある.これが生じるのは,移民が区別された ヨーロッパ・中央アジアでは上昇している.全体的 職業や近隣地区に隔離され,彼らの社会への真の融 なパターンとしては次のようにいえる:製造業の仕 合が阻害される場合である 32.また,移民が「非 事は主として西ヨーロッパとアメリカから,北東ア 移民向け」の仕事で競合しているとみられる場合に ジアに移動し,その後に東アジアに移動した. も生じる.偏見と緊張は移民に対する不信に帰結  東アジアのトレンドは「雁行形態」といわれる発 し,入国にかかわる法的要件の強化・強制送還・移 展パターンと整合的であり,経済的な転換は比較優 住阻止のための物理的な壁の構築につながることも 位のダイナミックな変化に従っている.東アジア諸 ある.このような政策はより包括的なアプローチが 国における工業化は労働集約的なセクターの発展で 採用されない限り,緊張を緩和できないだろう.非 始まり,次第に資本集約的なセクターに,そして, 正規の,または正式書類をもたない移住が増加傾向 その後は知識集約的なセクターにシフトした.並行 にあるが,移出国と移入国における雇用機会のミス 的に,賃金が上昇し,スキルも高まった 35.最初は マッチが拡大していることを考えると,法的に移住 日本,次に韓国,そして最近では中国が同じような 33 に代わる措置が欠如していることが一因である . パターンをたどっている.労働コストがさらに上昇 すると,軽工業の仕事はほとんどの産業が集中して いる中国沿岸部から移動していく可能性が強い.一 仕事の移動 部の推定によると,1 億人近い仕事が窮地に陥る 36.  仕事の国際的な移動の定量化は国際的な移民総数  軽工業職が中国沿岸部から移動すると,サハラ以 の推計よりもさらにむずかしい.過去 40 年間,先 南アフリカや南アジアの諸国にとっては,工業化を 進国から特に東アジアを中心とする発展途上世界へ 一挙に進める 1 世代に 1 度あるかどうかという機会 の脱地方化や製造業業務の外部委託が顕著であっ をもたらす可能性がある.一部識者の意見では,移 た.より最近では,サービス・セクターの業務につ 動先は一義的には,賃金が沿岸部よりも低い中国の いても同じパターンが観察されている.事実,サー 内陸部になるだろう.それは日本・韓国・台湾・ア 246 世界開発報告 2013 メリカの工業化パターン――最初は産業が地理 図 7.1 高所得国から移動した製造業雇用の推移 的に集中したが,同じ国内での分散が引き続い a.高所得国 45 た――と整合的である 37.しかし,中国の労 40 働市場は割合に統合されていて,農村部の未熟 練賃金率でさえ急騰する状況になっている 38. 35 したがって,中国でも GDP に占める製造業の 30 % シェア低下は不可避で,他の途上国にとって労 25 働集約的な工業化を推進する好機をもたらすだ 20 ろう 39. 15  製造業における労働生産性の急上昇は全世界 1970 1980 1990 2000 2008 で,製造業雇用数の停滞ないし減少にさえ帰結 GDP に占める製造業の割合 雇用全体に占める製造業の割合 しつつある(図 7.2).全世界の製造業雇用は 1990-2008 年にわずか 30%の増加にとどまっ b.日本と韓国 45 ており,その増加のほとんどは特に中国を中心 40 にアジアで発生している.製造業の仕事は他の 35 セクターよりも輸出市場や世界的な価値連鎖に 接続しており,したがって,生産性の外部性を % 30 25 生み出す可能性が大きいことを考えると,この 停滞ないし減少は今後国際競争が熾烈化すると 20 いう展望を示唆している(質問 7).仮に製造 15 1970 1980 1990 2000 2008 業職の総数が比較的安定せざるを得ないとすれ GDP に占める製造業の割合(日本) ば,ある 1 つの地域における工業化の成功は, 雇用全体に占める製造業の割合(日本) GDP に占める製造業の割合(韓国) 他の地域における工業雇用を犠牲にして実現す 雇用全体に占める製造業の割合(韓国) ることになろう.  製造業は,南アジアないしサハラ以南アフリ c.その他の東アジア諸国 45 カでも,技術と経営ノウハウが移転されれば, 40 離陸できるだろう.しかし,そのような移転は 35 簡単ではない:企業家精神の普及・高スキル労 30 働力の育成・強固な投資環境の整備・より良好 % 25 な制度的環境の確立などが必要であろう.当該 20 地域の潜在的な比較優位と整合しない産業に焦 15 点を絞ってしまうリスクもある 40.物流の不 1991 1995 2000 2005 2008 備や政府の能力不足が同時に存在すると,これ GDP に占める製造業の割合 はこの地域に実際に移動してくる製造業職はほ 雇用全体に占める製造業の割合 とんどないということを意味するだろう.多国 出処:世界開発報告 2013 担当チーム推計(国連工業開発機関 (UNIDO) および国連 籍企業の立地決定に関する研究は多くの要因 統計局のデータに基づく) . が作用していることを示している(ボックス 注:日本は a 図に含まれない. GDP= 国内総生産. 7.1).  サービスはかつてほとんど貿易不能と考えら れていたが,今やそうではない.国別および世 界的トレンドの両方が示すところによると,雇 用や GDP に占めるサービス業のシェアが上昇 しており,その一部は国境をまたいで販売され CHAPTER7 結び付いている仕事の課題 247 図 7.2 世界全体で製造業雇用数は大きく変わっていない 200 製造業雇用数(100万人) 150 100 50 0 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 90 19 19 19 19 19 19 19 19 19 20 20 20 20 20 20 20 20 20 19 東アジア・太平洋 東アジア・太平洋 ラテンアメリカ・カリブ 中東・北アフリカ 先進国 サハラ以南アフリカ 南アジア 中国 出所:ILO 2010;Industrial Statistics Database―INDSTAT2-2011 Edition, United Nations Industrial Development Organization, Vienna;World Development Indicators に基づく WDR 2013 チームの試算. ている 41.サービス提供の新しい方法――しばし される.最近まで,労働集約的な業務だけが途上国 ば小さな仕事に分割され,情報通信技術(ICT)に に移転されて,先進国の生産は資本ないしスキル集 牽引されている――は,サービス活動が立地可能な 約的な業務に焦点を絞ることができると考えられて 場所を転換しつつある(ボックス 7.2).世界のサー いた 44.しかし,途上国は輸送や観光など伝統的 ビス輸出に途上国が占めるシェアは,1990 年の なサービスだけでなく,金融仲介・コンピュータや 11%から 2008 年の 21%へと上昇している.サー 情報のサービス・法律や技術の支援など近代的なス ビス業は今やインドを含め多くの途上国の経済成長 キル集約的なサービスも今や輸出している 45 .会 にとって,重要な牽引力となっている 42. 計士・プログラマー・デザイナー・建築家・医療診  サービス貿易の急拡大は世界的な規模で生産性を 断士・金融統計アナリストなどによる高度スキル業 押し上げずにはおかないだろう.しかし,先進国で 務はますます,先進国の企業によって外部委託され は次のような懸念も生まれている:サービス・セク ている 46 .インドでは,多数のそのようなスキル ターの仕事は,過去 40 年間にわたって製造業の仕 を必要とするホワイトカラーの仕事が急速に増加し 事がたどったのとほとんど同じように,オフショア ている 47.しかし,発展途上国においてはスキル 化や国際的な外部委託を通じて途上国に移動するだ を必要とするように見える仕事の中には,先進国で ろう. はスキルを要しない仕事とみなされているものもあ  オフショア化や外部委託の潜在性を密かに示す兆 る 48 . 候として指摘できるのが,サービス業セクターの相  インドは近代的な輸出指向型のサービス業セク 当多数の業務が先進国内の遠隔地ですでに遂行され ターの構築という点で発展途上世界のパイオニアに 43 ているということだ .アメリカでは,内容的に なっているが,他の諸国――いくつか例をあげれ 貿易可能なサービス職業――コンピュータ・システ ば,ブラジル・チリ・中国・マレーシアなど――も ムの設計や経営コンサルティングなど――は地理的 チャンスをつかまえている 49.しかし,外部委託 に高度な集中を示している.この集中は特化を後押 というのは先進国と途上国の間に限定されているわ ししている集積経済に一因がある.しかし,地方に けではない.アメリカ(オフショア化の点で最大の おけるサービスを巡る需給の単純な地理的不均衡も 国)では,サービスの貿易の 85%は他の先進国が 遠隔供給に寄与している. 相手である 50.途上国のサービス業セクター輸出  サービス貿易は今後とも急拡大が続くものと予想 の 3 分の 2 は実は南々貿易である 51. 248 世界開発報告 2013 ボックス 7.1 多国籍企業はなぜ今の場所に立地しているのか?  多国籍企業の立地場所は企業が進出国で欲してい それらサービスを私的に供給しなければならない費用 る,ないし必要としている決定的な特性についての洞 などを通じて――コストを押し上げる.事業規則や税 察を提供してくれる.伝統的には, (FDI) 外国直接投資 金の順守にかかわるコストも,契約執行制度の信頼性 は水平的――海外でより大きな市場へのアクセスを改 やコストと同様に重要である.各種文献が示すところ 善する――か,あるいは垂直的――生産工程の一部を によると,このような側面の相対的な重要性は,セク 低コストの場所に移転する――かのいずれかに分類さ ターの種類・資本集約度・技術的な精度などによって れていた.貿易障壁や輸送費が低下し,供給チェーン 異なってくる.他の企業の存在も考慮のポイントにな がいっそう専門的な課題を含むようになるのに伴っ る.サプライヤーに対する迅速かつ信頼できるアクセ て,最終市場に近いところに立地する重要性は消滅し スがあれば,コストも遅延も削減することができる. た.しかし,実証的なパターンが示すところによると,  学術文献に加えて,多数のコンサルタント会社が多 「コスト」は広範囲にわたる次元に関して決定される 国籍企業のトップ役員層の意見に基づいて,各国の魅 必要がある. 力にかかわる分析やランキングを提供している.A・T・  立地決定問題は受入国の特性が FDI の流入や多国 カーニーは 1998 年以降「外国直接投資指数」を発表 籍企業の参入をどのように予測するかをみることに している.その分析では次の 3 つの側面が決定的で よって,実証的に検討されている.マクロ経済的に顕 あるとされている:機能の良い金融市場,強固な事業 著な不安定性や紛争があれば,ほとんどの立地は失格 環境,強固な労働スキル.サービス業の立地に関する となる.低賃金は魅力的であり得るが,労働は生産コ 別の指数でも,特に言語スキルを中心とするスキルや スト全体のなかで小さなシェアを占めるにすぎないこ 世界的な統合度が強調されている.サービス業では製 とを考えれば,しばしば支配的な理由にはならない. 造業と比べて,労働が典型的には総コストのなかで大 また,労働コストはスキルの質と分けて評価すること きなシェアを占めている. はできない.なぜならば,先進国が FDI にとって重  供給チェーンが多種多様な場所をつないで,いっそ 要な行き先にとどまっているのは,高スキルの労働力 う特化した業務を遂行する形に発展していけば,多く があるからだ.規制が厳しい特にアフリカやアジアの の途上国にとって雇用の機会がもっと増える.多国籍 一部では,土地アクセスが重要な検討事項になり得る. 企業は一律に強固な事業環境を求めているわけではな 電気・安全・輸送インフラを含め公共サービスの不備 い;自分たちのニーズに固有で,したがって場所固有 ないし矛盾は,たちまちにして――遅延,生産損失, の投入物やサービスに注目している. 出所:Alfaro and Chen 2011;Helpman 2006;Harrison and Rodríguez-Clare 2009 に基づく WDR 2013 チーム.  途上国はサービス・セクターのなかで特定の活動 している:「革命」が進展中であり,それが途上国 に特化する傾向にある.例えば,ブラジル・コスタ ではサービス・セクターを経済成長の主要なエンジ リカ・ウルグアイは専門的な ICT 関連サービスに ンに転換しつつある 53 .他の研究者はこう主張し 強い;チリは流通・輸送サービスに強い;メキシコ ている:インドやフィリピンなどといった途上国が は通信・流通サービスに強い;サハラ以南アフリ 比較的にスキル集約的なサービスの輸出に成功して 52 カ諸国は専門的サービスに強い .このような特 いるのは,そのようなサービスにかかわる比較優位 化の多様性は先進国と途上国の正面衝突ではなく, ではなく,製造業セクターの離陸を阻害している政 サービス・セクターのなかの多種多様な分野につい 策が原因である 54.製造業における世界全体の雇 て,競争と協力の両方につながる可能性が大きいだ 用が停滞し,サービス貿易が拡大している状況下, ろう. 適切な疑問は途上国は発展における工業化の局面を  このようなグローバル化の新たな局面は,仕事の 省くことに成功できるかということであろう. 構造的転換や移動に関する意見や解釈に影響を及ぼ さずにはおかない.一部の研究者は次のように主張 CHAPTER7 結び付いている仕事の課題 249 ボックス 7.2 E リンクが途上国では雇用機会を生み出しているが,規模はまだ小さい  インターネット・サービスは発展途上世界も含め の下で働いている女性に振り分ける.それには人里離 て,かつてなくアクセスが容易になっている.クラウ れた村,スラム街,ハイチ・パキスタン・ウガンダな ドソーシング・ツールを使えば,企業は大きな業務を どといった諸国に所在する難民キャンプが含まれる. 多くの小さな別個の業務に分割することができる.そ データ作業員は英語・コンピュータ・さまざまなプロ れが競争を通じて,世界のオンライン社会に提示され ジェクト固有業務に必要なスキルを学ぶ.サマソース る.例えば,トップコーダーというプラットフォーム は過去 3 年間で女性や若者 1,600 人に接触した. は,世界全体で 40 万人近いプログラマーを一堂に会  同様に,ルーラルショアーズはインド農村部を世界 している. の知識世界に連れ出すことを目指している.データ入  特別な種類のオンライン外部委託――インパクト・ 力・単純な記帳・経費処理・書類のデジタル化や保管 ソーシングとしてもブランド付けされている――は, など,非致命的な事業取引の遠隔処理サービスを提供 低所得地域に雇用と補完的所得をもたらすことを目的 している.ルーラルショアーズはインドの 7 州で 10 にしている.インパクト・ソーシングは事業プロセス センターを運営し,約 1,000 人を雇用している.営 外部委託産業全体の 4%を占めると推定されており, 利組織として運営されているセンターすべてはインド 世界全体で総売上は 45 億ドル,総雇用は 14 万人に の遠隔の村に立地している.ほとんどの従業員は高校 達している.サマソースというのはサンフランシスコ 卒業者であるが,会社としては障害者や貧しい農業世 に本拠を置く非営利組織であり,主要なテクノロジー 帯出身の若い求職者を優先している.インパクト・ソー 顧客企業と協働している.大きなプロジェクトを「ミ シングは確かに次のような挑戦課題に直面している: クロ作業」――割安なコンピュータを使ってオンライ 顧客や契約へのアクセス・持続可能な需要・ロバスト ンでできる小さな業務――に分割し,その作業を主と なインフラ・有効な採用・投資家の発見など. して世界の最貧地域で,パートナーのサービス提供者 出所:Monitor Inclusive Markets 2011 と WDR 2013 のために書かれた Selim 2012 に基づく WDR 2013 チーム. 勝者と敗者 国にとって広範な利益をもたらすことができる.  グローバル化の明らかな勝者は,産業や分割され  仕事の移動に伴う隠れた勝者は消費者一般であ た業務が移動してきた諸国の労働者と企業家であ る.労働の国際分業が改善されて,財・サービスの る.外部委託やオフショア化は新しい技術や先進的 世界的な入手可能性が拡大し,世界中の生活水準が な経営手法の付随的な移転と相まって,生産性の上 改善する 57.この点は次のように考えれば理解が 昇や生活水準の改善に貢献する.より効率的な工業 容易であろう:仮に中国やインドが世界向けに安価 やサービス業が発展すれば,労働をより生産的な用 な財やサービスを提供できないとしたら,世界はど 途に再配分することが促進される.また,後方連関 のようにみえるか? や前方連関を通じて,他の相互関連のある産業やセ  明らかな敗者は自分たちが働いていた産業やサー クターのその後の発展を刺激する.近代的なサービ ビス業の競争力が低下したため,仕事を失った人々 ス業セクターが発展すれば,価値連鎖の調整が改善 である.高スキル労働者は給与減を伴わずに他の産 し,業務のさらなる細分化や生産の再編成が可能に 業で類似の職種を簡単に見付けられるかもしれない 55 なり,規模の経済につながる .途上国では大勢 が,多くの低スキル労働者はそれほど幸運ではなか の主体――多国籍企業・市民社会組織・先進国の消 ろう.低スキル労働者や,産業ないし職種固有のも 費者などを含む――が,労働条件や労働者の権利を はや需要のないスキルをもった労働者は,違う産業 改善するための努力にますます積極的になってい で給与の低い仕事を受け入れるか,失業を余儀なく る.そのような努力が成果を生む限り,輸出機会の される可能性が大きい 58 .失職は先進国だけでな 56 拡大は労働者の福祉を改善する .このような方 く,中国などダイナミックな成長を続けている途上 法のすべてにおいて,波及効果が著しければ,受入 国でも,労働コストの上昇に伴って,深刻な問題に 250 世界開発報告 2013 なり得るだろう. 移動のおかげで,労働所得の増加から送金に至るま  隠れた敗者もやはりいる.それは世界市場と連結 での,また生産性の向上から広範なネットワークに した新しい工業やサービス業と,それに付随する雇 至るまでの,さまざまな形で利益を享受している. 用を発展させることに失敗した労働者や企業家であ 世界中の消費者もより安価な消費財で得をしてい 59 る .しかし,これら諸国の労働者は雇用機会を る.しかし,この 2 種類の移動には緊張やコスト 喪失したとは考えないかもしれない 60. が伴う.移民労働者は差別や隔離に苦しみ,あるい  グローバル化に伴う福祉損失――明らかなものと は家族・文化的な結び付き・アイデンティティなど 隠されたものの両方――を緩和するのに,労働者の を失い,みずからの幸福感が混乱するだけでなく, 国際的な移住を通じるという方法が 1 つある.各 出身国や受入国のコミュニティにインパクトを及ぼ 国の成長率格差を反映した各国間の所得格差が,こ す. の移住の重要な牽引力となる.労働者を,停滞して  人の移住と仕事の移動はコミュニティ全体を転換 いる,あるいは成長の遅い国から急成長している国 し,勝者と敗者を生み出す可能性がある.多くは生 に再配分することによって,労働者の国際移住は仕 活の改善を経験するが,外部委託やオフショア化の 事の国際移動によって生み出された所得格差の削減 ために失職した人々は,特に低スキルの場合には福 に寄与する.しかし,仕事は人よりも移動が容易で 祉の恒久的な低下を経験することになろう.この ある. ような波及効果は,プラスであれマイナスであれ, 人々と仕事の移動を促進あるいは反対する政治的・ * * * 社会的グループにとって,強力な動機付けになる. しかし,このような波及効果は性格として国際的で  人の移住と仕事の移動は次の点を明確にしてい あるため,各国の政策手段だけで対処するのは不十 る:仕事の挑戦は各国固有ではあるものの,世界的 分であることが判明するだろう. な広がりをもち得る.移出入両国はこのような国際 QUESTION 7 仕事を巡って競争する?  多くの途上国は仕事の課題に直面している.農村 化政策になるわけではない. 部の人々に貧困を脱出する道を提供することから, 都市化や世界市場との統合化に伴う利益を利用する 雇用総数ではなくその構成を巡る競争 ことに至るまで多種多様な課題がある.さらに,若  国際的な貿易と投資はさらなる繁栄をもたらして 者が意気消沈するのを防止する,あるいは紛争のリ くれるものと期待される.企業の移転と外部委託を スクを削減する,ということも課題である.このよ 含めグローバル化は,短期的には自国での仕事の喪 うな課題は特に開発効果が大きい地域や活動におい 失に帰結するかもしれないが,長期的にみれば労働 て,民間セクターが雇用創出を刺激するという形 需要は増加するだろう.というのは,特化が先進 で,各国の政策を通じて取り組まれている.各国の 国・途上国の両方で効率性を引き上げるからだ 61. 仕事面での課題はグローバル化――財・サービスの 財・サービスの価格低下や繁栄している新興国から 貿易,投資フロー,労働者の移住など――を通じて の消費需要増大は,労働に対する世界需要の増加ト 接続している.これは次の疑問を提起する:もし仕 レンドを強化するばかりであろう. 事が各国間を移動できるのであれば,ある国におけ  実証データではこの楽観的な評価が大体において る雇用創出を支援する政策は他の諸国における雇用 確認されている.各国が豊かになるにしたがって所 に影響する政策――世界的に仕事を巡って競争する 得も労働条件も改善している.世界的な統合化は成 政策――になるのではないか? 長にとって良かったということである.途上国全体  一般大衆は状況についてあまり楽観的ではない意 として,国の開放性――産出に占める外国貿易の 見をもっているようである.代表的な世論調査が示 シェアで測定――が 1%ポイント増加すると,1 人 すところによると,企業の移転や業務の海外委託は 当たり GDP は 1%増加する 62.金融サービスや通 先進国の雇用にとって脅威であると考えられている 信の開放性の場合,増加は平均すると 1.5%ポイン (ボックス 7.3).グローバル化というのは一対一の トに達する 63 .貿易の自由化が懐疑の目でみられ 競争であるとみられており,ある一国における雇用 ていたサハラ以南アフリカでさえ,産出増加率の上 増加は,他の諸国における雇用を犠牲にして初めて 昇幅は 0.5-08%の範囲になるだろう 64.さらに, 可能となる. 証拠が示すところでは,世界市場に関与している企  両意見にそれぞれ利点がある.外部委託や脱地方 業は高い賃金を支払っている.これはコロンビア・ 化の短期的なインパクトを除けば,ある国の雇用総 モロッコ・メキシコ・韓国などといった諸国の輸出 数が他の諸国の政策決定に大きく影響されることは 企業に当てはまる.外資系企業にも同じことが言え ない.活動を停止ないし開始する企業もあれば,事 る.カメルーン・ベネズエラ・インドネシア・ザン 業を拡大ないし縮小する企業もあるが,雇用総数は ビアのうち,どこで運営されているかは無関係であ 大体において労働力の規模によって決定されるだろ る 65 . う.しかし,雇用の構成は変化するはずである.開  実は国内における所得格差も拡大しており――例 発にとって良い仕事のシェアがある国で低下して, えば,教育の収益率上昇という形で――,このトレ 他の諸国で増加するという懸念がある.それが生じ ンドをグローバル化のせいにしたい誘惑に駆られ るかどうかは,開発にとって良い仕事の性格と,雇 る.先進国における低スキル職は途上国の視点から 用創出を支援するために採用されている各国の政策 はしばしば高スキル職であり,輸出そのものがスキ の種類に依存する.大衆の懸念はもっともである ル集約的な活動である.したがって,国際貿易やオ が,雇用創出を後押しするすべての措置が近隣窮乏 フショアの外部委託はスキルの両端で相対的な需要 252 世界開発報告 2013 ボックス 7.3 グローバル化は仕事の海外への脱出をもたらすと通常は考えられている  ヨーロッパ各国を含む世論はユーロバロメーターの の 3 分の 1 から 4 分の 3 はグローバル化を雇用に対す 調査から推測できる.その質問の 1 つは次の通りであ る脅威として考えていた. 「 る:『グローバル化』という言葉を聞いた時,あなた  世論調査に基づくと,仕事のための政策はしばしば  この質問に対 が最初に思い浮かべるのは何ですか?」 次のようなゼロサム・ゲームとみられている:一国に する回答の選択肢は次の通りである:新たなはけ口と おける仕事の増加は他国を犠牲にして初めて実現可能 いう点で国内企業にとって好機ができる;外国からの である.ギャラップ社の会長兼最高経営責任者(CEO) 内部への投資;一部の会社は労働の安い国に移転する; 「私に言わせれば,ギャラッ は次のように述べている: 国内における競争の激化;その他.第 3 の選択肢は主 プ社が世界中で 75 年以上にわたって実施してきた世 観的な雇用不安を反映したものである.世界的な危機 論調査から,何が世界を正すか――何が突如として世 やヨーロッパの債務危機の前でさえ,失業に関する懸 界的な平和,世界的な福祉,人間開発の次の驚異的な 念は悪化していなかったのに,回答者の 3 分の 1 から 進歩を生み出すか――と言えば,それは 18 億人分の 2 分の 1 の考えでは,グローバル化は会社の海外移転 .彼 仕事,フォーマルな仕事が即座に出現することだ」 を意味するということであった.調査は次の質問もし 「これには重要な区別が必要 の意見は次の通りである: 「次の 2 つの命題のうち,どちらがグローバル ている: である.われわれはもっと雇用を創出する必要がある  回答の選択 化に関するあなたの意見に近いですか?」 だけでなく,良い仕事の数を増やす必要もある.また, 肢には次が含まれている:国内にとっての好機;雇用・ 良い仕事の探求を対立する政治イデオロギー間の内部 「わからない」 会社に対する脅威; .第 2 の選択肢を選 的な小競り合いと考えるべきではない.それは国際的 んだ人が少なかったデンマークを例外として,回答者 な戦争である」a. 70 60 50 回答者(%) 40 30 20 10 0 ャ ア ア ア ア ア ド ド ド コ コ ン ン ー ー ス ル リ リ リ ン ェ ン ン イ シ チ ニ リ ル デ ン ギ ガ タ ト ガ チ リ ラ ラ ラ ガ ペ ア ト マ ラ ト ー ル ス イ ギ ン ー ル ル ロ ン ス ル フ ー ェ ベ ー ィ ク イ ポ ウ ブ ハ ル ポ フ オ ア ス 注:上図は次の質疑応答に基づく:質問―「貿易のグローバル化にはさまざまな結果が伴います.あなたが『グローバル化』とい う言葉を聞いた時,最初に思い浮かべるのは何ですか?」 回答―「一部の会社が労働の安い国に移転すること」.データは 2008 年に実施された調査に基づく. 出所:Clifton 2011;Eurobarometer Surveys (database) 2010, European Commission, Brussels. a.著書出版に関連して行われたインタビュー. CHAPTER7 結び付いている仕事の課題 253 を増やすものと期待され,豊かな労働者にとって有 ントすべてが日本に供与されながらも,アメリカに 利である.しかし,この効果の可能性についての実 おけるこれら産業における雇用の完全な崩壊が阻止 証研究結果には大きなバラツキがある 66 .確かに, された.これはこのような産業の重要性を示すもの すべての政策が勝者と敗者を作り出し,労働所得の であった 69. 分配はグローバル化と並行して拡大しているが,因  今では途上国でも同じような懸念がある.中国の 果関係は立証が困難である.総合的にみれば,不平 沿岸部における労働所得の高騰がもたらした機会を 等の拡大はグローバル化よりも,技術進歩や金融自 考えてみよう 70.世界的な価値連鎖に接続した労 由化と関係があったものとみられる. 働集約的な製造業の仕事の一部は,より低い生産コ  雇用の水準や労働所得の分散ではなく雇用の構成 ストを求めて中国を脱出するだろう.技術進歩が急 を検討してみると,違った視点が出てくる.グロー 速であるため,軽工業における世界全体の雇用人数 バル化は途上国に対して,世界市場と接続し,生産 が大幅に増える可能性は低い.サハラ以南アフリカ 性の波及効果を引き出し,経済成長率を押し上げる や南アジアの低所得国はこのような仕事の一部を誘 機会を提供する.世界的な価値連鎖に統合されてい 致することを熱望しているので,競争が生じること る製造業の仕事や,技術的に先進的なサービスや金 になる.緊張は何も労働集約的な製造業職に限定さ 融における仕事は,しばしば急速な発展の切符であ れていない.コスタリカがインテルとの交渉で成功 るとみられている.しかし,急速な技術進歩や経済 したように,同じような論理がハイテク企業を誘致 の規模は,このような仕事のなかには世界全体の雇 する政府の努力の背景にあった 71.また,ブラジ 用総数があまり増えないものもあるということを意 ル・チリ・インド・マレーシア・フィリピンの成功 味するかもしれない.製造業の仕事に関しては,過 が例証しているように,これがサービス輸出を育成 去 20-30 年間における経験は次のことを示してい する政府の努力の背後にある論理でもある 72. る:世界全体の人数が比較的安定しているなかで,  技術進歩とグローバル化が市場を前例のない水準 その空間的な分布には劇的な変化が生じている.も に接続しているため,開発効果の大きい他の種類の しそうなら,雇用創出の政策は雇用水準を巡るもの 仕事を巡る競争にも帰着している.世界的なハブに ではなく,開発効果が大きい仕事を巡る競争につな 所在している仕事は,生産性の面で大きな波及効果 がるだろう. を生み出すことができる.ロンドンがヨーロッパ随  日本とアメリカの経験がこの点を証明している. 一の経済的に活気のある都市として際立っている主 1950 年代に日本は先進的な知識や技術が埋め込ま 因は,そこが国際金融センターとして機能している れた財との交換で,安価な労働集約的な製品を輸出 ことにある.金融業は規模の経済を必要とし,密度 した.この戦略は日本の第 2 次世界大戦後の回復 によって支えられている.したがって,国際金融セ に特に必要とされた収入を生み出した.もっと重要 ンターの数は限られており,その形成は立地・歴 なのは,それは日本の生産性上昇に貢献し,より精 史・各国政策によって規定されている.類似の論理 緻な製品を生産するための基盤を築いた.1970 年 がシンガポールのような国際輸送のハブにも,ま 代から 80 年代にかけて,日本は鉄鋼・半導体・自 た,シリコン・バレーやバンガロールのようなコン 動車を輸出し始めただけでなく,それらについて主 ピュータ技術関連産業にも当てはまる. 導的なサプライヤーに転換した.このような製品の 主要な輸出国であったアメリカは,日本の拡大で苦 仕事のための政策:競争の程度はさまざま 67 しんだ .労働市場の流動性が高いことがアメリ  仮にグローバル化が開発のための良い仕事を巡る カの特徴であった.にもかかわらず,ピッツバー 競争に帰着するとしても,雇用創出を支援するすべ グ・デトロイト・その他の工業センターの没落に伴 ての努力が近隣窮乏化政策になるわけではない.そ う福祉の減少は,たとえ労働の再配分が円滑であっ うなるか否かは政策手段の種類や仕事からの波及効 68 たとしても膨大になったかもしれない .この競 果の性格に依存する 73 . 争は「輸出自主規制」によって解決をみた――これ  グローバル化には国際貿易と外国直接投資が関係 は特殊な形態の割当制であり,実際には割当制のレ しているので,まず貿易や投資に関連した手段を検 254 世界開発報告 2013 図 7.3 仕事のための政策は他の諸国にとって有害なこともそうでないこともある 仕事のための 政策 社会的一体感に 生活水準に 生産性に 権利順守 対する仕事の波及 対する仕事の波及 対する仕事の波及 を改善する 効果を高める 効果を高める 効果を高める プラス 世界的な波及効果 マイナス 職場での ジェンダーの 平和の 貧困の 都市化 産業 貿易の 権利 平等 構築 削減 政策 政策 歪み 政策の例 討するのが自然であろう.輸入関税・輸出補助金・ ションはさらに幅広くなる.都市政策は民間セク 現地調達要件などその一部は,多国間貿易協定に ターによる雇用創出を刺激するのに,もう 1 つの重 よって禁止されている.民間輸出業者向け信用アク 要な手段となる.潜在的な集積の経済を考えると, セスの改善や,外国投資家が直面している固有な制 比較的小さな介入策でも大きな効果を持ち得る 75 . 約の特定・除去などのその他の手段は禁止されてい 低所得国では,助言指導サービスは農場の生産性 ない.しかし,現実にはこれらは仕事のための政策 に,したがって貧困削減に大きなインパクトを与え としては狭義でしかない.外国直接投資の誘致を求 る可能性がある.このような広範な一連の政策が仕 める際,政府は免税・専用の物理的インフラ・人的 事を巡る競争につながるかどうかは,一国における 資源を通じて,直接的に競争することができる.ま 政策が他国の社会福祉にプラスあるいはマイナスの た,政府は地元企業家と外国投資家の双方にアピー どちらの効果をもたらすかに依存する. ルする措置を取るなどして,間接的にも競争する  解決すべき疑問は,政策がどんな目的に資するの ことができる.例えば,政府は義務的な付加給付 .例えば,仕事のた かということである(図 7.3) を負担可能な水準に維持することによって,労働 めの政策は強制労働や有害危険な形の児童労働を訴 コストの上昇を抑制することができる.あるいは 追して,労働者の権利の順守を改善することを目的 労働者のスキルや公共インフラなど,生産要素の にしているのかもしれない.基本的な労働者の権利 利用可能性と質を改善することもできる.例えば, や原則はほとんどの諸国が承認しているため,権利 南アジアでは,物理的インフラの質と労働力の教 の順守を促進するということは世界的な公共財を提 育は,新規企業の参入にかかわる有力な予報指標 供するということになる.したがって,ある国にお 74 になっている . ける人身売買や児童買春に対する介入策が,他国に  世界市場に接続した仕事だけでなく,開発のた 悪影響を及ぼす可能性は低く,仕事を巡る競争につ めに良い仕事一般を考える際には,一連の政策オプ ながることはない. CHAPTER7 結び付いている仕事の課題 255  世界的な公共財という側面が欠如しているなか ない.このような介入策は典型的には,都市開発政 で,2 番目の疑問は政策介入によって,どのような 策,インフラやスキルに対する投資,企業家精神 市場の不完全さあるいは制度的な失敗に対する取り の促進などを含んでいる.このような介入策は財・ 組みが行われているのか,ということである.紛 サービス・金融の国際的フローに影響する公算があ 争・差別・発言権の欠如につながっている制度的な るため,あり得る結果の範囲はもっと幅広い.一般 失敗への対処は,財・サービス・金融の国際的なフ 的なルールはないものの,開かれた貿易体制を害す ローに対して,間接的なものにとどまるものの,影 る介入策は福祉全体を削減する――おそらく海外よ 響を及ぼす可能性があるだろう.このような分野に りも国内で――懸念が最も大きい.他方,自国のダ 対する政府介入策が他国との仕事を巡る競争に至る イナミックな比較優位と整合的な介入策は,相互利 可能性は限定的であろう.貧困層向けに仕事の機会 益をもたらすことができる.確かに,何が「整合 を提供することを目指した介入策の場合も,リスク 的」かを評価することは,現実には,判断の要素を は限定的である.このようなすべての場合に,当該 含まざるを得ない 76 .しかし,東アジアの経験― 途上国の福祉には利益がある一方,他の諸国の福祉 ―製造業の仕事が日本から韓国や台湾へ,そして中 には大きな損失はないはずである.したがって,社 国やベトナムへと移動した――が若干のヒントを提 会的一体感を強化し,生活水準を改善することに焦 供している.このような諸国が発展の「雁行形態」 点を絞った仕事の政策は許容されるべきだろう. の下でダイナミックな比較優位に従ったので,彼ら  政府の介入政策が仕事からの生産性波及効果を高 の間では仕事を巡る公然の競争という事態はほとん めることを目的としている場合,答えははっきりし どなかった. 256 世界開発報告 2013 © Piotr Malecki / Panos Pictures ポーランドのコールセンターで働いている従業員 CHAPTER7 結び付いている仕事の課題 257 注 離のため)のいずれかで,高スキル労働者が低スキ 1. Özden 他 2011. ルの仕事をしているということである.両方ともス 2. IOM 2008;Lucas 2005. キルの過少利用のゆえに生産性が阻害されている. 3. IOM 2010. Özden and Schiff 2006 を参照. 4. 次を参照:IOM 2010;UNHCR 2010. 21. エジプトに関しては Wahba (2007);ウガンダと 5. この発見は南アジアと旧ソ連における政治的変化の 南アフリカに関しては Thomas (2009);西アフリ 影響を割り引いている.Özden 他 2011 を参照. カ 経 済 通 貨 同 盟(WAEMU) 諸 国 に 関 し て は De 6. Docquier and Marfouk 2006. Vreyer, Gubert, and Robilliard (2010) をそれぞれ 7. Docquier and Marfouk 2006;Solimano 2010. 参照. 8. Bach 2008. 22. Chacko 2007.Saxenian 2004 も参照. 9. Docquier, Özden, and Peri 2011. 23. Pandey 他 2006. 10. ト ン ガ か ら ニ ュ ー ジ ー ラ ン ド へ の 移 住 の 場 合, 24. C o r d o v a 2 0 0 9 ; G a r c i a Z a m o r a 2 0 0 5 ; McKenzie, Gibson, and Stillman (2006) の発見に McKenzie and Rapoport 2007;Torres and よれば,移住は所得の 263%の増加につながってい Kuznetsov 2006. る.Clemens, Montenegro, and Pritchett (2008) 25. Gibson and McKenzie 2012. の発見によれば,メキシコからアメリカへの移住は 26. Kuznetsov and Sabel 2006. 年間賃金の 1 万ドル近い増加,エジプト・ハイチ・ 27. Beine, Docquier, and Rapoport 2011;Lucas インド・ナイジェリアからアメリカへの移住は同約 2010. 1 万 8,000 ドルの増加につながっている. 28. メキシコに関しては Heymann 他(2009),アルバ 11. Chin 1999;Di Nicola 1999. ニアに関しては de Soto 他(2002)を参照. 12. Hanson 2006;Spener 2009. 29. Keddie (1998) を 含 む 一 部 の 人 々 は 移 民 は 政 治 13. Lucas 2005, chapter 3 を参照.Docquier, Özden, 的な過激化を持ち込むと主張しているが,Pérez- and Peri 2010 も参照.この話題に関する各国を横 Armendáriz and Crow (2010) などは移民は民主主 断した分析に関しては,WDR 2013 のために書か 義を持ち込むと主張している. れた Hovhannisyan 2012 を参照. 30. アメリカの証拠に関しては次を参照:Abowd and 14. Lucas 2005, 267–69;Priebe 他 2011. 健 康 と Freeman (1991); Borjas (2003); Card (2001); 移住の結び付きはまだ研究が増加中の分野である. LaLonde and Topel (1997). 各 国 に お け る 定 性 Gibson, McKenzie, and Stillman(近刊)の発見に 的に類似の結果についてはそれぞれ以下を参照:フ よれば――トンガからニュージーランドへの移民に ランスとドイツに関しては Giuletti (2012);Hunt 関するデータを使って――,移住は精神衛生の改善 (1992);Pischke and Velling (1997), イ ス ラ エ に つ な が る が,McKenzie, Gibson, and Stillman ル に 関 し て は Friedberg (2001) for Israel, ス ペ (2006)の発見によれば,移住は著しい持続的な血 イ ン に 関 し て は Carrasco, Jimeno, and Ortega 圧の上昇につながる. (2008), イ ギ リ ス に 関 し て は Dustmann, Fabbri, 15. Gupta, Patillo, and Wagh 2009;Lokshin, and Preston (2005).Chiswick and Miller 2009 Bontch-Osmolovski, and Glinskaya 2010. も参照. 16. Anzoategui, Demirgüç-Kunt, and Martinez-Peria 31. Lucas 2005, 285–86. 移 民 に 対 す る 態 度 と 福 2011. 祉国家の複雑で政治経済的なリンクに関して 17. Sirkeci, Cohen, and Ratha 2012. は,Koopmans (2010) と Razin, Sadka, and 18. 送金と不平等のリンクを説明するのは困難である Suwankiri (2011) を参照. が,その理論的な理由に関しては Shen, Docquier, 32. Dingeman and Rumbaut 2010. and Rapoport (2010) を参照.実証研究としては以 33. 非正規移住の測定は困難であるが次のようなコンセ 下 が あ る:Acosta 他 2007;Adams 1989, 1992, ンサスがある:非正規移民の数は 2009 年の大不況 2004, 2006;McKenzie and Rapoport 2007; 以前にすでに増加していた.非正規移住を測定する Milanovic 1987. 新たな情報源には管理記録と正規化プログラムが含 19. Adams 2011. まれる.その他にも次がある:国際移住機関(IOM) 20. 関連した問題として「頭脳浪費」がある:移出国(成 の人身取引対策モジュール(CTM),「国境通過・移 長が停滞しているため)あるいは移入国(職業分 民に関する情報・協議・意見交換センター」(CIREFI) 258 世界開発報告 2013 やヨーロッパ委員会が収集している移民法執行(EIL) 照:Eichengreen, Rhee, and Tong 2007; の統計.IOM 2010 参照. Greenaway, Mahabir, and Milner 2008. 34. データの入手可能性が限定的なため,図 7.1 は GDP 60. Blomström and Kokko 2009. に占める工業セクターのシェアを示す.同セクター 61. 例 え ば 以 下 を 参 照:Bhagwati, Panagariya, and は製造業・建設業・鉱業で構成される. Srinivasan 2004;François and Hoekman 2010; 35. Akamatsu 1962;Lin 2011. Grossman and Rossi-Hansberg 2008. 36. Lin 2011,2012. 62. Noguer and Siscart 2005. 37. Glaeser 他 1992;Henderson, Lee, and Lee 63. Mattoo and Rathindran 2006. 2001;Mano and Otsuka 2000;Sonobe and 64. Brückner and Lederman 2012. Otsuka 2006. 65. 輸 出 企 業 に 関 し て は Aw, Chung, and Roberts 38. WDR 2013 のために書かれた Rozelle and Huang (2000);Clerides, Lach, and Tybout (1998), 外 2012. 資系企業に関しては Aitken, Harrison, and Lipsey 39. 特に Dinh 他 2012 を参照. (1996);Velde and Morrissey (2003);Görg, 40. Lin 2012;Lin 他 2010. Strobl, and Walsh (2007) を参照. 41. オフショア化のネット効果の測定は複雑で,さまざ 66. 一般的なレビューに関しては下記を参照:Goldberg まな方法が提案されている.理論的な観点からする and Pavcnik (2007);Jansen, Ralf, and Manuel と,所与の国におけるネット効果は短期的には雇用 (2011);Newfarmer and Sztajerowska (2012); を削減するため曖昧であるが,結果としての特化は Rama (2003);Robertson 他 (2009). 生産性の上昇を誘発して,それが長期的には雇用を 67. 例えば McKinnon and Ohno 1997 を参照. 増加させる.ただし,総計のなかで労働や職業の種 68. Gomory and Baumol 2001. 類は変化するだろう.経済協力開発機構(OECD 69. 例 え ば Feenstra 1984 ;Hymans and Stafford 2007)や国連貿易開発会議(UNCTAD 2004)の 1995. 指摘によると,オフショア化は必ずしもゼロサム・ 70. Lin 2012. ゲームではなく,短期的な雇用損失は雇用増加によっ 71. Rodríguez-Clare 2001. て十二分に相殺される可能性もある.ただし,それ 72. Goswami, Mattoo, and Sáez 2011. は産業やセクターによって格差が生じるだろう. 73. WDR 2013 のために書かれた Levy 2012. 42. Ghani 2010. 74. Ghani, Kerr, and O'Connell 2011. 43. Jensen 2011. 75. Glaeser and Gottlieb 2008. 44. 例えば Görg 2011 を参照. 76. Lin (2012) は賦存状況が類似しているが,1 人当た 45. Goswami, Mattoo, and Sáez 2011. り所得が当該国よりも若干高い諸国の貿易パターン 46. Millberg 他 2007. を参考として使うことを提案している. 47. 例えば Suri 2007 を参照. 48. Goldberg and Pavcnik 2007. 49. Goswami, Mattoo, and Sáez 2011. 参考文献 50. Ebenstein 他 2009. ここでの「processed」という表現は,形式にこだわ 51. Goswami, Mattoo, and Sáez 2011. らずに再出版された文献を指し,通常,図書館では扱 52. Goswami, Mattoo, and Sáez 2011. われていない. 53. Ghani 2010. Abowd, John M., and Richard B. Freeman. 1991. 54. Goswami, Mattoo, and Sáez 2011;Jensen Immigration, Trade, and the Labor Market. Chi- 2011. cago, IL: University of Chicago Press. 55. François and Hoekman 2010. Acosta, Pablo, César Calderón, Pablo Fajnzylber, and 56. Elliott and Freeman 2003;WDR 2013 のために J. Humberto Lopez. 2007. “What Is the Impact of International Remittances on Poverty and Inequality in 書かれた Newitt 2012. Latin America?” Policy Research 57. Bhagwati, Panagariya, and Srinivasan 2004. Working Paper Series 4249, World 58. Ebenstein 他 2009. Bank, Washington, DC. 59. 中 国 の 輸 出 増 加 が 他 の ア ジ ア 諸 国 の 輸 出 パ タ ー Adams, Richard H. 1989. “Worker Remittances and ン に 影 響 を 与 え た と い う 証 拠 が あ る. 次 を 参 Inequality in Rural Egypt.” Economic Develop- ment and Cultural Change 38 (1): 45–71. CHAPTER7 結び付いている仕事の課題 259 ———. 1992. “The Effects of Migration and Remit- Is Downward Sloping: Reexamining the Impact tances on Inequality in Rural Pakistan.” Pakistan of Immigration on the Labor Market.” Quar- Development Review 31 (4 Pt. 2): 1189–203. terly Journal of Economics 118 (4): 1335–74. ———. 2004. “Remittances and Poverty in Gua- Brückner, Markus, and Daniel Lederman. 2012. temala.” Policy Research Working Paper Se- “Trade Causes Growth in Sub-Saharan Af- ries 3418, World Bank, Washington, DC. rica.” Policy Research Working Paper Se- ———. 2006. “Remittances and Poverty in ries 6007, World Bank, Washington, DC. 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Washington, DC: World Bank. 3 264 世界開発報告 2013 PART 仕事のレンズを通してみた政策 265 パート 3 序説  ほとんどの仕事は民間セクターによって作り出さ れている.公共事業や対象を絞った雇用プログラム は特定の状況下では正当化できるものの,政府の一 義的な役割は雇用を直接的に供給することではな い.それは民間セクターによる雇用創出のための条 優先課題 件を整備し,国が置かれている状況を考えて,最高 の開発効果を有する仕事の増加にとって障害になる ものを除去することにある. 労働政策  仕事の課題に直面して,政策当局は解決策あるい は問題点それ自体のいずれかとして,最初に労働政 ファンダメンタルズ 策を検討する傾向にある.だとすれば,労働市場規 則・団体交渉・積極的労働市場プログラム・社会保 険など,政策や制度の役割についてその影響を理解 出所:WDR 2013 チーム. することが重要である.しかし,雇用創出にとって 重大な制約は往々にして労働市場の外にあり,適切 な政策対応を支持するためには明確なアプローチが 連鎖における雇用創出を阻害するような歪曲的 必要とされる. な介入策の回避を目指すべきである.しかし, 政策は特に最も脆弱な人々のために,発言権や • ファンダメンタルズが成長のためには必要であ 社会的保護も確保すべきである. り,民間セクターによる力強い雇用創出のため • 開発のための良い仕事を支援するべく政策の優 の前提条件となる.それはマクロ経済の安定・ 先順位を決定しなければならない.理想は,政 有益な事業環境・人的資本・権利の漸進的な実 策は民間セクターによるこのような仕事の創出 現を含む法の支配などであり,これらが鍵を握 を阻害している,市場の不完全性や制度的な失 る政策のファンダメンタルズである. 敗を除去することを目的とすべきである.もし • 成長が雇用につながるためには労働政策が適切 制約が容易に特定できない,あるいは除去が困 でなければならない.政策としては,労働の再 難であれば,代替策を考慮すべきであろう. 配分を窒息させ,機能的な都市や世界的な価値 8 266 世界開発報告 2013 CHAPTER 労働政策再論 労働市場の不完全性は労働政策で対処することができる.しかし,介入策は場合に よってはダイナミズムを阻害することがあるし,発言権や社会的保護のための仕組み の欠如は最も脆弱な人々に影響を及ぼす.  労働市場には情報が不十分であること・交渉力が不均等であること・長期的な公約 を執行する能力が限定的なこと・雇用関連リスクに対する保険メカニズムが不十分で あること,といった形の不完全性がある.このような不完全性は仕事に関する個人的 価値と社会的価値の間に格差をもたらす.したがって,それは社会的な視点からは最 適ではない雇用の水準や構成に帰結することがある.  労働にかかわる政策や制度――規則,集団的代表制,積極的労働市場プログラム, 失業保険など――は原則として,このような不完全性に取り組むために活用すること ができる.年金やその他の形の社会保険など他の政策は,経済のなかの他の分野にお ける不完全性に取り組むものではあるが,労働市場の機能にとって重要な意味をもつ こともある.  労働の政策や制度の束ね方は国により異なる(図 8.1)1.その配置は発展段階に よって異なる傾向にあり,その政策や制度は先進国では総じてもっと発展している. これは雇用者と非雇用者の間の交渉などの集団的な発言権や社会保険のための手段を 提供する制度について特にそういえる.しかし,どの国であれ,労働の政策・制度の 性格は単なる発展段階以上のものに大きく影響されているので,当該国の法的伝統・ 政治・社会的な規範や価値観を考慮したなかでみなければならない.  労働政策の影響はしばしば白熱した議論のテーマになる.過去 10 年間,データや 手法が改善されて,先進国だけでなく,途上国についても多くの新たな情報が生み出 されている.このようなデータの分析は新鮮な洞察につながっている.推定効果はほ とんどの場合比較的控え目である――議論の真剣さが示唆するよりも確かに控え目で ある.介入策が行き過ぎたり不十分だったりすれば,もちろん生産性に有害な影響 がある.しかし,このような両極端の間には「高台(安定領域)」があり,そこでは 効率性を高めたり足を引っ張ったりする効果が隣り合わせに見つかるが,ほとんどの インパクトは再分配にかかわるものである.全体として,労働の政策・制度はほとん どの国において,開発のための良い仕事を創出するのに重要な障害でも特効薬でもな い. CHAPTER8 労働政策再論 267 図 8.1 労働に関する政策や制度の構成は国ごとに異なる 労働規則 社会保険 積極的労働市場 プログラム OECD 集団的代表制 紛争の影響下にある国 農業国 都市化が進む国 資源の豊富な国 小島嶼国 若年層の失業率が高い国 フォーマル化が進む国 高齢化社会 出所:次に基づく WDR 2013 チームの推定――Eurostat Public Expenditure on Labour Market Policy (LMP) Interventions (database), European Commission; Institutional Characteristics of Trade Unions, Wage Setting, State Intervention and Social Pacts (ICTWSS) (database), Amsterdam Institute for Advanced Labour Studies, Amsterdam;Pallares-Miralles, Romero, and Whitehouse 2012;Public Expenditure and Participant Stocks on Labour Market Programmes (database), Organisation for Economic Co-operation and Development, Paris;Robalino, Newhouse, and Rother, 近刊;World Bank, 近刊. 注:OECD= 経済協力開発機構.図は OECD 加盟国の平均.労働規則は最低賃金の平均賃金に対する比率を指す.積極的労働市場プログラムは同支出 の対 GDP 比を指す.集団的代表制は団体交渉合意の範囲を労働力で割り算したもの.社会保険は老齢年金向けに拠出している労働者が労働力に占め る割合を示す.世界各国は WDR 2013 チームによって 8 つのグループに分類されている.国は数グループに属すことができる.数字は各国の非加重 平均を示す. 268 世界開発報告 2013 完全性と制度的な失敗は雇用創出に影響し,労働者 が雇用から享受できるものと雇用の社会的な価値の 間の格差につながることがある. 優先課題 労働政策 雇用保護法制と最低賃金  このような失敗の一部に取り組むために,雇用 保護法制(EPL)と最低賃金制が広く採用されてい ファンダメンタルズ る.EPL は採用・解雇を規定し,雇用保証の度合 いを規定するルールで構成されている(ボックス 8.1).ほぼすべての諸国が何らかの形で採用・解雇 労働規則: 「高台現象」効果 を規制している――例えば,解雇手当は 170 カ国  労働規則というのは,非効率ないし不公平な結末 において法律によって,あるいは団体交渉を通じて をもたらす労働市場の失敗(非効率と不完全性)に 義務付けられている 2.同様に,100 カ国以上が最 取り組むことを目的として設計することができる. 低賃金に関する国際労働機関(ILO)の条約を批准 雇用者と被雇用者の間で長期の雇用契約を執行する し,その他にも多数の諸国が同条約を批准してはい ことが困難な場合,結果として訓練への過少投資や ないものの,最低賃金制を導入している 3 .しかし, 過度な転職がもたらされる公算がある.保険制度が 労働規則の具体的な性格は対象となっている社会を 非効率な場合,解雇された労働者は保護がないまま 反映する.重要な決定要因には一体感・不平等・信 に放置され,そのため労働者は希望する適職を発見 頼などに対する市民の態度に加えて,当該国の法的 する以前に求職活動の停止を余儀なくされるだろ 伝統自体が含まれる 4.規則の影響は内容と同じく, う.市場支配力が雇用者と被雇用者の力関係で不均 集団的代表や社会保険など他の潜在的な補完制度と 等なことから,企業は,賃金をより競争的な条件下 の相互作用からも影響を受ける. で合意するよりも低い値に設定することができる.  労働規則に関する意見は分極化して,政策策定の 差別的慣行も同じ効果をもち得る.支配力が不均 「労働政策は, 意図が対照的にわかれることがある. 等,あるいは情報が不完全なことを受けて,職場は 仕事と労働者のいずれを保護すべきか」といったよ 安全でなくなるかもしれない.このような市場の不 うな基本的な疑問が,しばしば白熱した議論に火を ボックス 8.1 雇用保護法制は解雇ルール以上のものをカバーしている  雇用保護法制(EPL)は 2 つの主要グループのルー  その他の種類の労働政策も雇用保証にとっての意図 ルに分類できる:1 つは採用に関するもの,もう 1 つ が含まれている.女性や若者の労働者の雇用に関して は解雇に関するものである.採用に関するルールはど は,特別な条件を設定している規則もなかにはある. のような労働契約がどのような条件下で可能か――例 それには出産休暇,育児施設の必要性,初契約の場合 えば無制限の契約,有期契約,パートタイム契約,徒 の権利放棄,徒弟向けの最低賃金削減などが含まれる. 弟契約など――を規定している.解雇に関するルール このような政策の目的はより脆弱な人口グループの参 は契約の終了を規定しており,それには原因(自発的 加を円滑にし,彼らが雇用された場合に保護すること ,勤務終了補償(解雇手 か非自発的か,正当か不当か) にある.反差別規則は労働者について,社会的に容認 , 当)手続き 事前通知, (例えば第三者の通知ないし承認, できない処遇の格差に取り組み,不平等を削減し,雇 権利確定期間など)が含まれる.このようなルールの 用における社会的一体感と公平感を高めることが目標 公正さや厳格さの点で各国の規則は非常な多様性を成 である. しており,さまざまな測定が行われている a. 出所:WDR 2013 チーム. a.EPL を要約しようとつとめた指標には以下が含まれる:Botero 他 2004 の提案;Employment Protection indicators (database), Organisation for Economic Co-operation and Development, Paris;Doing Business Indicators (database), World Bank, Washington, DC. CHAPTER8 労働政策再論 269 付けている(質問 8). 業あるいはインフォーマル・セクターの仕事に押し  一部の人々からすると,このような規則は労働者 やることによって,貧困を増加させる 9.採用・解 向けに,経済的な変動性や企業の強い交渉力に対抗 雇にかかわる制限は労働の再配分を鈍化させ,した 5 するのに必要な保証を提供するものである .EPL がって,生産性の伸びを制約する.最後に,それは は雇用保証を提供して,不安定な形の雇用を抑止す 社会契約の一環であるとしばしばみられているた ることができる.最低賃金は労働者の間で極貧が発 め,労働市場規則は状況が変化しても改革が困難 生するのを防止し,非競争的な労働市場に由来する で,不和や紛争さえ生み出すことがある 10. 非効率性に取り組むことを可能にする 6 .基準賃金 を確立することによって,最低賃金制はいわゆる灯 全体としてインパクトは控え目… 台効果を通じて,カバーされていない労働者にさえ  新しいデータとより厳格な手法の開発を受けて, 7 利益をもたらすことができる .EPL と最低賃金制 過去 20 年間にわたり労働規則の効果に関する実証 は人的資本の蓄積や,それに伴う生産性上昇のため 研究の波に拍車がかかっている 11.このような研 の条件を整備するものとみられている 8 . 究では,EPL や最低賃金制が雇用・賃金・賃金分  強力な EPL や最低賃金制に対する批判者はこう 布・生産性(研究事例は少ない)に及ぼす影響が検 主張する:それらは雇用を削減し,生産性の伸びを 証されている.より幅広く社会的一体感に対するイ 阻害し,規制から利益を享受する人々とそうでない ンパクトをみたものはほとんどない. 人々の間に分裂した社会につながる.この意見によ  このような新しい研究の波に基づくと,EPL と最 ると,EPL や最低賃金制が労働コストを押し上げ 低賃金の総合的なインパクトは議論の激しさが示唆 る程度に応じて,低スキル労働者・若者・女性を失 するよりも小さい(表 8.1,表 8.2)12.雇用水準 表 8.1 EPL のインパクトに関しては新たな実証的な証拠の波がある 次元 指標 発見 コメント 生活水準 雇用総数や 雇用(失業)に対してインパクトが 先進国と途上国両方の証拠(主 失業総数 ないか,控え目なマイナス(プラス ,結果は頑健 にラテンアメリカ) ス)のインパクトかのいずれか ではない 特定グループの雇用数 働き盛りの男性には有利な効果,若 二重市場に向けた部分的な改革 者・女性・低スキル層には不利な効果 は, 影 響 を 受 け る グ ル ー プ に とってより不安定な雇用につな がる 雇用ダイナミクス 雇用・失業・労働力外の期間の長期 化,各種の雇用地位間フローの減少 ショックへの調整 ショックのマイナス効果増大 コンセンサスは強くない 賃金分布 賃金分布を削減 生産性 労働と全要素生産性の伸び 一貫した結論なし 途上国に関しては証拠がほとん どない 訓練 プラス効果 雇用期間の長期化と人的資本へ の投資増加 技術変化 マイナス効果 研究がほとんどない 労働の再配分 労働フローの減少でマイナス効果 社会的一体感 公平性 雇用者の社会的責任を喚起する 執行とカバレッジに依存,「二 重」規制は不公平とみなされる 確実性 在職期間が長期化するのでプラス 執行とカバレッジに依存 平等性 賃金の大幅な平等化は所得分布に対 ほとんどが先進国の証拠 する平等化効果としては控え目 出所:EPL にかかわる実証研究のレビューに基づいて,WDR 2013 のために書かれた Betcherman 2012. 注:EPL= 雇用保護法制. 270 世界開発報告 2013 表 8.2 最低賃金のインパクトは労働経済学のなかで人気のある研究テーマ 次元 指標 発見 コメント 生活水準 雇用総数 インパクトなしか,控え目なマイナ 先進国と途上国の両方,一部の スのインパクト 研究は雇用に対してプラスの効 果を示す 特定グループの雇用数 雇用に対するマイナスの効果は若者と 一部の研究は雇用に対してプラ 低スキル層に集中 スの効果を示す 賃金 プラス効果 効果は最低賃金の周辺で最大, インフォーマル・セクターでは プラスの効果があるという証拠 が若干ある 賃金分布 賃金格差削減 貧困 貧困削減 一部の研究は効果なしとしてい る 生産性 労働と全要素生産性 一貫した結論なし ほとんど分析されていない 社会的一体感 公平性 「適切な」賃金を提供する 執行と適用範囲に依存 出所:最低賃金にかかわる実証研究のレビューに基づいて,WDR 2013 のために書かれた Betcherman 2012. に対するインパクトにかかわるほとんどの推定値は EPL が生産性に及ぼす総合的な影響に関する研究 13 取るに足らないか,あるいは控え目である .例え はさまざまで,マイナス効果を発見したものもあれ ば,ラテンアメリカ・カリブの EPL に関する研究で ば,プラス効果を発見したものや,目立った効果は は,次のような入り混じった結果が報告されている: 無いという結論に至ったものもある 20.研究結果 アルゼンチン・コロンビア・ペルーでは雇用保証が がこのように入り混じっている原因は,雇用保証 雇用にもたらした効果はマイナスであったが,ブラ ルールに対する他の影響力にあるのかもしれない. ジルと一部のカリブ諸国では際立った効果はみられ 例えば,訓練への投資のインセンティブがあれば, なかった.チリに関する別の各種研究も両方の結論 それで労働再配分の比率が低いことが相殺できる. 14 に達している .全体として,最低賃金制に関する 非正規雇用の対象範囲を拡大する部分的な(「二本 研究の大半では,特に若い労働者に対してマイナス )改革を実施することによって,EPL を削減 立て」 の雇用効果があるとされている.しかし,その規模 しようとしている国もなかにはある.しかし,正規 は小さく,多くの研究では何の効果もなかったと報 雇用の保護削減を伴わない限り,このアプローチは 告され,一部ではプラスの効果さえ指摘されている 脆弱なグループがより不安定な雇用に落ち込むとい 15 .EPL や最低賃金制を受けて,雇用は若者・女性・ う結果をもたらすと思われる 21. 低スキルの労働者から離れて,働き盛りの男性や教  大きなインフォーマル・セクターを抱える多くの 16 育程度の高い人々にシフトする可能性がある .そ 途上国では,EPL や最低賃金制の影響は控えめで の効果は一国内ではさまざまであろう.インドネシ あり,その一因は,適用範囲が狭く執行が弱いこと アでは,1990 年代に最低賃金が上昇して,それが にあるのかもしれない.ブラジルでは,強力な雇用 小企業の間では雇用にマイナス効果をもたらした 保証条項の雇用に対する効果は執行が厳しい自治体 17 が,大企業ではそういうことはなかった .一方, ではマイナスであった 22.発言権や代表制のメカ EPL と最低賃金制は各国共通に賃金不平等(賃金格 ニズム,および規則を有効に管理する政府の能力 差)の削減につながっている 18. が,執行の実効性に影響を及ぼす.ルールの不備と  EPL には明確でダイナミックな効果があり,労 執行の弱さが,労働市場の不完全性に取り組むのに 働市場フローを削減する一方で,雇用・失業両方 望ましい組み合わせでないのは確かである. 19 の継続期間を長くする .こうすることによって,  しかし多くの諸国は,EPL や最低賃金を,雇用 強力な雇用保証ルールは労働の再配分を鈍化させ, や生産性に対する影響が控え目にとどまるような 創造的破壊による効率性向上を制限する.しかし, 範囲に設定しているように思える.この範囲ない CHAPTER8 労働政策再論 271 し「影響を受けない領域」のなかでは,効率性を高 そして制度の設計と実施,及び他の制度との相互 める効果と害する効果が併存することがあり,いず 作用を時間をかけて検討することが重要である 26. れにしてもほとんどの効果は再分配的なものにとど EPL や最低賃金制では労働市場の不完全性に有効 まっている.分配効果は規則の対象になっている に取り組むことができないかもしれないが,ほとん 人々の間では平等化を推進するだろうが,カバーさ どの諸国では開発のための良い仕事が欠如している れている人とそうでない人の間では分裂を大きくす のは他の理由による. るかもしれない.影響のない領域では効率性に対す る効果は比較的小さいため,各国は再分配に関する 規範的な選好に応じて,みずからが欲する立場を選 集団的代表制:新しい形の発言権 択することができる.  団体交渉やその他の形の「発言権」は,雇用保証 や所得だけでなく生産性も高める形で,情報の失敗 …しかし,高台の端には崖がある に取り組むことができる.例えば,労働者は生産や  しかし,高台の端(グラフの左右の端に相当す 操業の詳細に関して,決定を行っている人々がもっ る,厳しすぎる側か緩すぎる側か)に到達すると, ていない知識をもっている可能性があろう.雇用者 影響のマイナス度は大きくなる.ある研究の発見に は,労働者にとって適切で有用な事業のある特定の よれば,EPL がより厳しいインドの諸州では雇用 側面に関して,その情報に通じている公算が大き も産出も著しく低く,この効果が最大なのは紛争解 い.情報を共有すれば,紛争を解決し浪費的な転職 23 決が無力または高価なところである .1990 年代 を削減するメカニズムを提供することによって,効 後半にコロンビアで最低賃金が大幅に引き上げられ 率性の利益を追加的に生み出すことができる. た際,これは著しい雇用損失につながり,しかも,  集団的代表制や交渉でも不平等な市場支配力の問 その当時の労働需要が低迷していたことでいっそう 題――企業としては個々の労働者に対して,競争的 24 悪化した .このような高台の端では,各国の状 な条件下における場合よりも低い賃金や,劣悪な労 況に応じてそれぞれ異なるが,労働規則は都市や世 働条件を押し付けることができるということ――に 界的な価値連鎖における雇用創出を鈍化させること 取り組むことができる. があり,各国が集積効果や知識の波及効果を後押し する仕事を見逃してしまう懸念があろう.都市化や 企業と労働者の交渉 グローバル化に伴う開発効果を逸失すれば,崖から  労働組合と団体交渉の実現状況は世界中で大幅に の転落は必至となるだろう. .実現率は総じて途上国では 異なっている(図 8.2)  最低限の規制が答えだということにはならない. 低く,行政事務や保護されているセクターの労働者 もしルールが弱すぎれば,あるいは執行されなけれ で組合に所属している人はほとんどいない.定期的 ば,情報が不備・交渉力が不平等・リスク管理が不 なデータが入手可能なほとんどの諸国では,団体協 十分などといった問題は,取り組みがないまま放置 約の適用率は過去 20 年間に低下してきている 27. される.この崖は労働市場の過度な硬直性よりは目 サービス・セクターへの雇用シフト,グローバル化, に見えにくいかもしれないが,現実性が劣るという 技術進歩,社会的価値観の変化,法的な変更などす ことではない. べてが,このような低下の原因になっている 28.  主要な課題は EPL や最低賃金を設定して,高台か  大半の証拠によって確認されているところによる ら墜落することなく,労働市場の不完全性に取り組 と,組合員やその他の労働者を優遇する賃金プレミ むことにある.高台の端は国によって,また国内で アムが存在し,それは団体協約によって実施されて も条件が変化するにしたがって時とともに異なって いる.調整済みの組合賃金効果の(他の要因を制御 くる.例えば,ブラジルでは,最低賃金は 1990 年 した)推定値は,日本や韓国の約 5%から,ブラジ 代には雇用に悪影響を与えたが,過去 10 年間では ル・カナダ・ドイツ・マレーシア・メキシコ・アメ 平均賃金との対比で上昇を続けたものの,悪影響は リカなど千差万別の諸国における 15%までの範囲 25 みられなかった .それゆえ,影響を慎重に監視し, 内にある 29.南アフリカは最高限度に位置してい 272 世界開発報告 2013 図 8.2 団体交渉の実行率は途上国では低い 100 90 被カバー労働者(%、2005年頃) 80 70 60 50 40 30 20 10 0 ク ス ーク ル ル シャ メ ア ス ア ラ ア ブ ビア カ ア ル ア ロ ア ア ル カ ド ド ド ド ン ド ス ラ ド ト コ ギ コ ン オ イン ベ デン ー ー ン ー ェ ス ー ー イ ツ ル ル ン ダ ン ル ス ダ リ ノ タリ ス トリ ン ン 南 ン ン ェ ン フ ン イ リ イ シ シ ル エ ニ ニ ポ ガリ ニ デ ウェ ピ ウ ン オ ルギ ア ラン ハ ナ セ ガ ブ ジ イ イ ガ ア アフ チ ポ リ ラ ラ フ ラ ラ ト ド リ キ ペ ア ネ マ ト ブ ベ ク ト ー ラ ス ィ フ リ ィ イ 出所:ICTWSS database;Visser 2011;World Bank 2011b に基づく WDR 2013 チーム. 注:報告された変数は労働組合員数か,あるいは団体交渉のカバレッジのいずれかが,総雇用数に占めるシェア. るが,組合賃金効果が現実にどの程度大きいのかに 報共有の改善につながる公算があり,組合組織化が 関しては論争がある(ボックス 8.2).組合効果が 進展する下で労働コストが上昇するのを受けて,経 最大なのは女性についてと,組合員比率が高い国に 営陣は訓練や技術に対する投資を積極化し,それ おいてである.また,組合や団体交渉は賃金格差を が生産性の上昇につながる可能性がある.他方で 圧縮することによって,所得分布に平準化効果を及 は,組合は労働時間の制限や給与に関するルールを ぼしている,ということも明らかである.研究は, 交渉することができ,それが努力を削減し,生産性 賃金格差は組合組織率が上昇している時期には縮小 の足を引っ張ることになろう.とすれば,このよう し,それが低下している時期には拡大することを示 な力のネット効果は実証問題となる.生産性に関し 30 している .貧困に対して組合が及ぼす影響に関 て欧米で収集された証拠は決定的ではない 32.途 しては,証拠がほとんど存在していない. 上国の間では,マレーシア・メキシコ・ウルグアイ  1 つの適切な質問は,組合賃金の増加は雇用の減 では効果はプラスであるが,ブラジルではマイナス 少という犠牲を伴っているか否かということになろ となっている 33 .発見が示唆するところによると, う.残念ながら,途上国についてはこの疑問に取り 組合が組織化されている企業は,そうでない企業よ 組んだ研究はほとんどない.先進国については,研 りも訓練に力を入れている.しかし,新技術の導入 究結果は組合は雇用を削減する(あるいは失業を増 に関する格差は顕著ではない. 加させる)というものと,目立った効果はないとい  団体交渉の制度的な構造は,中央集権化と調整の うものに分かれている.マイナスの効果が発見され 度合いに関して,国ごとに大きく違うことがある. た場合でも,その規模は控え目である.経済協力開 取り決めは他の企業に対しては何の影響力ももたな 発機構(OECD)による直近の推定によると,組 い企業レベルでの交渉から,産業ベースの交渉や全 合のカバー率が 10%ポイント低下すると,雇用は 国をカバーする中央集権的な交渉までさまざまであ 31 0.8%ポイント増加する . る.1990 年代以前には,ある研究者の発見によれ ば,中央集権的な交渉も分権的な交渉も,ともに, 労使関係と生産性 雇用面でパフォーマンスの改善につながっていた.  団体交渉が生産性に及ぼす影響は,2 つの対立す しかし,それ以降については,分析結果はそれほど る力の均衡を反映している.一方では,発言権は情 決定的ではなくなっている 34. CHAPTER8 労働政策再論 273 ボックス 8.2 南アフリカの失業は交渉評議会が原因か?  失業率が 20%を大きく上回っている南アフリカの労 しているところによると,交渉評議会の合意の適用も 働市場は,通常は公然たる失業が低いか控え目なこと 確かに影響しており,それが交渉評議会制度内の非組 を特徴とする他の途上国とは非常に異なっている.多 合員労働者の賃金も約 10%押し上げている d. 種多様な理由が指摘されているが,それには労働集約  このような結果が示唆しているのは,南アフリカの 性が低いセクターに成長が集中していること,スキル 賃金設定制度には何らかの雇用効果が確かにあるとい が不足していること,社会的給付が仕事についてディ うことである.国際的な標準との比較では,雇用創出 スインセンティブを生み出していること,アパルトヘ 全体に対する貢献が小さい小企業の間では特にそうで イトのさまざまな後遺症などが含まれる.南アフリカ ある.交渉評議会はそれが直接カバーしている企業で の独特な団体交渉取り決めも,仕事不足の要因ではな 雇用を 8-13%削減し,小企業で雇用を 7-16%削減し いかと頻繁に指摘されている. ているものと推定される e.  1920 年代以降,南アフリカの製造業セクターのほ  このような効果は小さくはないものの,交渉評議会 とんどにおける賃金や労働条件に関する交渉は,交渉 は南アフリカの異常に高い失業率のほんの一部を説明 評議会として知られている産業評議会を通じて実施さ するにすぎない.団体協約が適用されている産業で雇 れている.交渉評議会は合意をセクター全体――交渉 用されている労働者数を所与とすれば,交渉評議会の には参加しなかった雇用者や労働者を含む――に適用 雇用効果を排除すると,失業率は最大限で 1.5%ポイ するよう要求することができる.拡張適用は一般的で ント低下する f.したがって,雇用創出に対する主要な はあるが,セクターと地域によって著しく異なってい 制約は他のところにある. る.企業レベルの交渉も行われている.そこでは次の  1 つの手がかりは,同じような発展段階にある他の ように主張されてきた:交渉評議会の合意をセクター 諸国と比較すると,インフォーマル・セクターが相対 全体に拡張すれば,小企業に重い労働コストを賦課し 的に小さい点にある.南アフリカは他の点でもそれら a て,雇用創出の足を引っ張ることになるだろう . 諸国とは異なっている.アパルトヘイトの時期に,ス  組合員の賃金プレミアムの推定値が 60%と高いこと ラム街の撤去や厳しい許認可,厳格なゾーニング規制 は,この議論に信憑性を与えているように思われる b. などを受けて,都市からは黒人が支配するインフォー この賃金効果の大部分は,評議会の影響をおそらく反 マル・セクターのニッチが一掃された.アパルトヘイ 映している産業と関係があった.より最近のデータと ト終焉から 20 年後の現在でも,空間的な分離規制は より良い方法を使った最近の研究の結論によると,従 残存しており,黒人が支配的な地域に対する投資は 来の研究は交渉評議会の合意がもたらした実質賃金効 低水準にとどまっている g.分離の後遺症は失業者― 果を過大推定していた.最新の研究の示唆によると, ―職場から遠いところに住んでいる傾向が強い――に 賃金プレミアムは 10-20%の範囲内に収まっている c. とって交通費の高さに帰結している.したがって,南 この水準は顕著ではあるが,他の諸国でみられる組合 アフリカの雇用創出問題は主として都市問題に由来し 賃金の格差とより整合的である.ある証拠がさらに示 ているのかもしれない. 出所:WDR 2013 チーム. e.Magruder 2010. a.Butcher and Rouse 2001. f.Godfrey 他 2010;Magruder 2010. b.Schultz and Mwabu 1998. g.Banerjee 他 2007;Kingdon and Knight 2004. c.Magruder 2010. d.Bhorat, Goga, and van der Westerhuizen 2011.  政策の変更を受けて,一部の途上国や新興国は労 企業を超える発言権 働者代表制を拡張し,新たな形の団体交渉の出現を  雇用者団体や労働組合は社会的・政治的な主体 目にしている.例えば,中国では,多数の法改革が としての役割も果たしている.労働市場を規制す 労働組合や団体交渉取り決めが輩出するよう扉を開 る法律や労使関係の分野を超えた政策についてさ けたようだ(ボックス 8.3). え,影響力を及ぼしている可能性がある.そのよう な関与の性格はそれらの団体が活動している社会の 規範や制度的な枠組みに依存する.歴史的にみる 274 世界開発報告 2013 ボックス 8.3 中国では新しい形の団体交渉が台頭しつつある  今世紀の変わり目以降,中国では労働政策に関して 500 万人以上の労働者がこのような交渉の対象となっ 重要な変更が生じている.それには,労働組合(2001 ていた d. 年)や,雇用促進・労働契約・労働争議の調停・裁定  地方におけるセクター別の団体交渉協定の広がりは (2007 年)に関する新しい法律が含まれる.このよ 次のような背景で起こっている:活況を呈している民 うな変化は組合労働者と,賃金ないし団体協定が適用 間セクターが徐々に労働不足に直面し,労働市場の規 されている労働者の数の急増(現在 1 億 5,000 万人) 制が不備であるために多くの破壊的な労働争議につな を背景としたものであった.労働組合化や団体協定の がっている.このような取り決めが労働者の権利の保 普及に加えて,国際労働機関(ILO)の裏付け資料に 護にとってより有効にみえる場合もある e.同時に, よると,労働者による組合代表者の直接選挙が徐々に 民間セクターも労働者とのより安定した関係,より信 広がってきている.このような変化は次のようなこと 頼できる労働の供給,労働コストにかかわるより定期 を意図した政策シフトを反映している:「労働者の権 的で透明な変化などから,利益を享受することができ 利保護を強化し,柔軟性と完全性の間で新たな均衡を る. 生み出し,相互の関心事項に関して雇用者と労働者の  中国における集団的代表制の形は政府の奨励もあっ 対話を円滑にする」a. て多様化しつつある.このような変化の結末に関する  過去 10 年間におけるもう 1 つの顕著な変化は,地 証拠は徐々に表面化してくるであろうが,一部の研究 方におけるセクター別の団体交渉協定の導入である. が示唆するところでは,市や村のレベルにおけるセク このような協定は浙江省温嶺市新河鎮のウール製セー ター別交渉は大いに有望である f.このような協定の b ター製造業で 2003 年に初めて交渉された .この地 普及に拍車をかけるため,中央集権的な「トップダウ 区は透明性と地方民主主義の模範として知られてい ン式の」努力が行われたが,成功は限定的であった. る.それ以降,このような取り決めは浙江省で最も目 しかし,この空間的な団体交渉組織の自然発生的な普 立っており,他の沿岸に位置する省の一部にも広がっ 及が示しているのは,そのような普及は産業クラス ている c.ほとんどの場合,セクターベースの交渉が ターの運営を職場で発言権をもっている労働者の利害 台頭してきたのは郷鎮の周辺に群生した産業において と調整する,という民間セクターの利害ともうまく合 であった.2010 年現在,7 万 3,000 件の協定を通じて, 致している,ということだ. 出所:WDR 2013 チーム. a. Lee and Liu 2011a; 2011b, 8. b. Wei 他 2009. c. 温嶺市新河鎮はプロセスに公開審議を導入することによって,地方予算策定の透明性を高めるという点でも国全体をリードしている.Ministry of Finance of the People's Republic of China 2011 を参照. d. workercn.cn 2011. e. Liu 2010. f.Liu 2010. と,労働組合は多くの諸国で社会的な権利や労働者 改革期における経済パフォーマンスを比較してみる の権利の確立に加えて,政治的な変化に貢献してき と,組合員数が多く公共セクター(組合員労働者の ている.例えば,ポーランドの労働組合連合であ 大半が所属している)の雇用シェアが高い途上国 る「連帯」(Solidarność)は,共産党支配に反抗 は,重要な改革が採用される前には経済活動の大幅 する戦いで著名だったし,南アフリカ労働組合会議 な低下と,その後には遅々とした回復を経験してい (COSATU)はアパルトヘイトに反対する戦いで る 36 .この発見は最近採用された改革やその実施 主導的な役割を演じた. に手心が加えられていたことと整合している.一  特に途上国を中心に一部の諸国では,組合は政治 方,最低賃金や社会保障給付の水準はパフォーマン 的な関与のゆえに,職場における活動は影が薄く スに影響しておらず,これは労働組合の影響力とし 35 なっている .公務員や保護されているセクター ては労働コストに対するインパクトよりも,政治的 では組織が強固なため,組合はしばしば財政再建・ な活動の方が重要であったということを示してい 民営化・自由化にまつわる改革には反対してきた. る. CHAPTER8 労働政策再論 275 ボックス 8.4 ゴミ拾いがボゴタの強固なゴミ管理政策の変更を強制した  コロンビアの首都のゴミ拾いたち(recicladores) 府契約の入札プロセスにおいては,ゴミ拾いは優先的 は仲介業者を通じて,金属・段ボール・紙・プラスチッ な取り扱いと公正な積極的差別是正措置が必要であ ク・ガラスをリサイクルしたり,売却したりして生計 る. を立てている.効率性の問題は別として,彼らの経験  2003 年,憲法裁判所は地方政府の衛生サービスの はインフォーマルな労働者の協会が権利を利用するた 入札プロセスは,ゴミ拾いの基本的な権利を侵害した めに,どのように法的枠組みを使うことができるかを との裁定を下した.それ以降の係争では憲法の規定を 示している. 参考にしているが,そのなかには「生活の権利」を意  公共サービスを入札にかけるという改革のおかげ 味するものとして「生存の権利」という表現も含まれ で,地方政府がゴミやリサイクル品の収集・運搬・処 ている.憲法第 11 条が引き合いに出されて,生計手 分に関して,民間企業に排他的な契約を付与できるよ 段としてゴミ拾いを追求する権利や,「事業や商売を うになった際,ゴミ拾いたちは組織化して法的な要求 追求する権利」が主張された.また,第 333 条も引 「ボゴタ・ゴミ拾い協会」 を申し立てた. (ARB)― き合いに出して,単に企業だけでなく,ゴミ拾いの協 ―ゴミ拾い 2 万 5,000 人以上を代表するグループの 同組合もゴミのリサイクル市場で競争する権利が主張 上部団体――などの組織が,要求を取りまとめて法廷 された.2011 年 12 月の最近の係争では,市内のゴ に提出するのに重要な役割を果たした.提訴に当たっ ミ収集・除去にかかわる 13 億 7,000 万ドル相当の契 て,ARB は「平等の権利」に関する憲法の規定を喚 約が停止された. 起し,次のように主張した:ゴミを管理するための政 出所:WDR 2013 のために書かれた Chen 他 2012.  労使関係を巡って組織されている労働組合は,賃 カのダーバン市の露天商協会は,モールの建設に反 金労働をしていない人々に発言権を付与するのにあ 対し,市当局による嫌がらせや物品在庫の没収に抗 まり適していない.ほとんどの途上国で自営業の割 議して裁判所に告訴した 37. 合が高いことや,より一般的にはインフォーマル性  このような非伝統的な労働者組織は,ILO のよ が執拗なことを受けて,集団的代表制に関する斬新 うな国際機関にもますます参加するようになってい な制度に向けた弾みが生まれている.このような制 る.例えば,国際家事労働者ネットワークは 2009 度は伝統的な組合とは異なる.というのは,それが 年に国際労働会議に参加した.これは 2010 年と 取り組む市場の不完全性や制度の失敗は,通常の労 11 年の国際労働会議で家事労働に関する新しい 使関係や職場ベースの生産構造とは無関係だからで ILO 条約について行われる議論の準備をし,それ ある.それは特定の地方自治体や地方政府に対し に投票するためであった 38 . て,メンバーの利害を代表するためにしばしば組織 化されている.  自営労働者の協会が彼らの権利を要求・保護し, 積極的労働市場プログラム:ある程度有効 労働条件を改善する手段として台頭しつつある.そ  積極的労働市場プログラム(ALMP)は求人や労 れには 40 年前に創設されたインドの自営女性労働 働者の特性に関する情報を発信することによって, 者協会(SEWA)から,刺激を得たところもなか 雇用者と求職者間のジョブ・マッチングにかかわる にはある.多くの場合,ペルーのリマ市の露天商や 効率性を改善することができる.雇用者ないし労働 インドのプーナ市のゴミ収集人などのグループは, 者がさまざまな市場の失敗を理由に,訓練に過少投 政府当局と交渉するだけでなく,法廷に提訴するこ 資になっている場合には,そのギャップを埋めるこ ともあるだろう.コロンビアのボゴタ市のごみ拾い とができる.また,労働者に臨時雇用を提供した は,市に対してサービスを提供する権利を擁護する り,あるいは雇用者向けに採用のインセンティブを ために組織化している(ボックス 8.4).南アフリ 生み出したりすることによって,経済的な不振のイ 276 世界開発報告 2013 ンパクトを緩和することができる.ALMP は雇用 能性を切り開き,未登記企業やなかなか届かない若 創出について何かしたいと熱望している政府にとっ 者に接続しつつある.企業と非営利組織の両方を含 ては,政治的に魅力がある. め,新しい主体が出現して,各国のさまざまな環境  最も一般的な積極的労働市場プログラムは求職支 . 下でサービスを運営している(ボックス 8.5) 39 援・賃金補助金・訓練・公共事業である .介入 策は規模の点で,インド農村部で数百万人規模の仕 賃金補助金.これは雇用者が新規労働者を採用し, 事を供給するマハトマ・ガンジー国家農村雇用保証 あるいは既存の従業員を解雇せずに維持したりする 法(MGNREGA)のような巨大な公共事業プログ のを奨励するために,雇用者に対して供与する直接 ラムから,ドミニカ共和国の若い参加者の小グルー 的な移転,あるいは税金ないし社会保険料の削減で プ向けの生活スキル研修コースに至るまで大きな幅 ある.賃金補助金が最もうまく機能するのは,それ がある.すべての ALMP はしばしば労働市場のな が特定のグループに対象を絞っている場合である. かでチャンスが最低の人々向けに,新たな雇用機会 例えば,スキルを証明する機会を必要としている若 を生み出そうと努力している. 者や,「烙印」効果に苦しむリスクにさらされてい る長期失業者などである 43 .しかし,多くの研究 プログラム概観 が示すところでは,補助金は新規の仕事を費用効果 求職支援.これは求人や求職者に関する情報を供給 的に創出する,という意図した効果を発揮しないこ し,カウンセリングや就労支援を提供するサービス とがしばしばである 44. である.評価が示唆するところによると,求職支援  賃金補助の真のコストは算定が困難なことが多 は低コストで雇用や所得を改善することができる― い.直接的な財政負担は全体のほんの一部でしかな ―ただし,求人の存在が条件となる.情報を提供 い.補助金を享受するために,企業は不適格な労働 し,労働市場をより能力主義的にすれば,より有効 者を適格者で置換したり,あるいは解雇して同じ労 なマッチングが生産性にプラス効果をもたらす.し 働者を補助金プログラムの下で採用したりする.仮 かし,求職支援は労働者の大半が農民や自営業者で に企業がいずれにしても採用するのであれば,補助 あるような諸国ではあまり適切ではない. 金の雇用効果はゼロである.設計次第で対費用効果  フォーマルな労働の市場が中心となっている多く を高めることができる.トルコにおける補助金プロ の高所得国と一部の中所得国では,求職サービスは グラムの対象絞り込みやその他の特徴を改善したと 過去 10 年間に刷新されてきた.公的ファイナンスが ころ,このような「社会的な便益の損失」が削減さ 標準にとどまっているものの,民間によるサービス れた.ただし,補助金付き雇用の全体の 25-50% 提供も一般化してきている.提供者向けのインセン は,補助金なしでもやはり創出されたであろう 45 . ティブを生み出すべくパフォーマンス契約が使われ 適切な原価計算をすれば,賃金補助金が雇用の与え ている.このような契約では次のことを確保しなけ る影響は 90%までは減少させることができる 46 . ればならない:提供者は最も困っている人を手助け したがって,雇用効果全体は良く言っても低い.特 40 し,就労が容易な人だけに集中すべきではない . に若者や低スキルに届く代替的な設計なら,訓練な 求職支援は機会・生活スキル・その他の訓練を評価 ど他の積極的労働市場プログラムと連動した賃金補 するためのプロファイル分析など,広範な補完的 助金を盛り込むことができるだろう 47.ラテンア サービスとますます統合化されつつある.求職者に メリカ数カ国における「若者」(Jovenes)プログ 活発さを求める「活性化」戦略も一般化しつつあ ラムや類似の介入策は,このモデルを採用して肯定 る.最終的には,求職サービスの成否は雇用者の 的な結果を生んでいる 48 . ニーズに手を差し延べる提供者の能力に依存してい  賃金補助の影響は対象の絞り込みが厳しいほど, 41 る . また,受益者グループの不利の程度が大きいほど,  潜在的には市場の流れを変える技術革新が,今や 大きくなる傾向にある 49.アルゼンチンは大型公 42 伝統的な仲介の対象範囲を拡大している .携帯 共事業プログラムの元参加者を採用した企業に対し 電話やインターネットは包容的な情報アクセスの可 て賃金補助を供与した.このような労働者は求職に CHAPTER8 労働政策再論 277 ボックス 8.5 仕事への E リンク:新しい技術が新しいフロンティアを切り開く  新しい技術が人々の仕事への接続方法に革命を起こ のセクターに焦点を当てながら,インフォーマル労働 している.携帯電話が広く普及し,世界中の低所得家 市場を相手にしているという点でユニークである. 計にまで浸透している.40 億人が携帯電話を利用し,  このような会社や組織は成功しているものの,ハイ 15 億人がインターネットに定期的にアクセスしてい チのコンビットやパキスタンのパルスなどは著しい困 る. 難を克服しなければならなかった.その挑戦課題には  テキスト・メッセージング,音声通話,モバイル・ 次のようなことが含まれていた:十分な数の求職者と アプリケーションなどを使えば,求職者や雇用者は履 雇用者を勧誘すること,ユーザー間の信頼を構築する 歴書や面接スキルに磨きをかける情報や求職カウンセ こと,求職者の質に関して十分な保証を確保すること リング・サービスにアクセスし,ネットワークを確立 など.それに対応すべく,コンビットはサービスを宣 することができる.音声ベースのサービスは識字能力 伝するために,国内で有名なラジオのディスク・ジョッ のない求職者にとっては特に重要である.スクテル, キーや携帯電話プロバイダーとパートナーを組んで, アシュアード・レイバー,ババジョブ,レイバーネッ ユーザー数の増加に努めた.そのような努力を通じて, トなど,ラテンアメリカ・インド・中東など多種多様 同社は 1 カ月で 1 万人の求職者の勧誘に成功した. な場所で運営されている会社や非営利団体は,繁栄す  インターネットもオンライン・プラットフォームを るジョブ・マッチングのネットワークを確立している. 介して,求職者と雇用者を一堂に会することを可能に 例えば,スクテルはヨルダン川西岸・ガザだけで登録 している.大規模で急拡大中のオデスクは,約 35 万 数が求職者 1 万 7,000 人,会社 600 社に達している. 社(主として中小企業)を世界中の個人の請負業者に 登録している雇用者の 60%は,採用の時間とコスト 接続している.2012 年 4-6 月にオデスクは 45 万人 を 50%削減できたと回答している. 近い求人と約 28 万人の求職をオンライン掲示した.  アシュアード・レイバーなど一部の組織は,ほとん 仕事はタイプ打ち・ウェブリサーチ・翻訳などから, どが大学卒業の資格はもっていない中・低賃金労働者 ソフトウェア開発や社内法律サービスまで幅が広い. 向けのサービスに特に焦点を当てている.現在,ア 賃金は 1 時間当たり 1 ドルから数百ドルまでの範囲 シュアード・レイバーは,メキシコで求職者 15 万人, にある.この新しい現象には新規の仕事を創造し,巨 雇用者 2,000 社の登録数を誇っている.同様に,イ 額の新たな富を生み出す潜在性があるものの,オンラ ンドのババジョブやレイバーネットはそれぞれ 20 万 イン・プラットフォームは一般的に専門的・技術的な 人と 10 万人の求職者を擁し,おのおの 4 万社と 4 万 スキルをもった人々を相手にしているため,最も脆弱 5,000 社をカバーする雇用者について求人を検索する な人々にはほとんど届かないだろう. ことができる.レイバーネットは建設や施設管理など 出所:次に基づく――WDR 2013 のために書かれた Selim 2012;Monitor Inclusive Markets 2011. 多大な努力を払い,他の同じような労働者よりも 果は保証されておらず,プログラムのコストは膨大 信頼できるとみなされたのである.これは特に女 になり得る.しかし,プログラムをうまく考えた上 50 性や若い参加者については正しかった .しかし, で実施すれば,仕事から最も遠い人々にとっては大 焦点が狭いほど,潜在的な恥辱効果が大きくなる. きな利益になるだろう.ラテンアメリカとルーマニ ポーランドでは,賃金補助の資格がある男性は実際 アのような体制移行国では,若者と女性は中年男性 51 には雇用される可能性が低かった . に比べて,訓練による成功率が著しく高い 52.  設計に関しては一定の特徴が成功のためには決定 求職者向け訓練.訓練は最も広く採用されている積 的である.実地訓練と講義の両要素を統合したプロ 極的労働市場プログラムである.増加傾向にあるイ グラムは成果が上がる.特に先進国やラテンアメリ ンパクト評価に関する文献は,教えるスキルを労働 カ諸国では,求職者向けの訓練はしばしばこの統合 需要に整合的にすることの重要性を強調している. 的なモデル――生活スキル訓練やカウンセリングな このような評価の示すところによれば,肯定的な効 ど補完的なサービスが付随していることもある―― 278 世界開発報告 2013 情報は少ない.チュニジアでは,教育カ 図 8.3 仕事と訓練を組み合わせることでプログラムの成功率が上昇 リキュラム改革に企業家精神の訓練を組 0.15 み込んだことが,参加者の将来に対する 0.10 楽観論を改善した 55 .ドミニカ共和国 0.05 では「青春と雇用」プログラムの参加者 は,将来に対する期待が高く,仕事満 成功指標 0 足度も高く,求職態度が真剣である 56 . ‒0.05 ウガンダ北部では,補助金・職業訓練・ 生活スキル・心理社会的カウンセリング ‒0.10 を組み合わせた包括的な介入策に参加し ‒0.15 授業内 企業内 授業内訓練 授業内・ た結果として,コミュニティ参加の増大 訓練のみ 訓練のみ と企業内 企業内訓練 訓練の にその他の に成功している 57. 組み合わせ 支援を プラス 出処:Fares and Puerto 2009. 公共事業.このようなプログラムは賃金 注:数字は訓練の種類とプログラムの成功例との間の相関係数を示す.成功とは効率的な または食料のために短期雇用を提供す 雇用の改善をいう. る.インパクト評価の証拠が示すところ では,公共事業プログラムは特に最大の にしたがっている.この組み合わせで成功率が高ま 困難に陥っている層に対象を絞っている場合,セー 53 る(図 8.3) .ラテンアメリカの「若者」プログ フティ・ネットとして有用であり得る 58 .賃金水 ラムは,生活スキルと実務経験を含む技術訓練を 準の慎重な設定は,コロンビアの「行動中の雇用」 組み合わせており,まさにこの適例である.コロ (Trabajar)プログラム やアルゼンチンの「労働」 ンビアの「行動する若者」(Jovenes en Accion) でみられたように,自己ターゲティングの手段にな というプログラムは研修生の雇用可能性を高めて り得る.類似のアプローチがインドの MGNREGA おり,女性参加者の推定収益率は 13.5-25%に達 プログラムでも使われている.同プログラムは規模 54 している . とコストだけでなく,雇用保証にかかわる権利ベー  加えて,提供者は自分たちが提供している訓練 スのアプローチということでも知られている(ボッ が,雇用者のニーズに適していることを確実にする クス 8.6). ためのインセンティブを必要としている.企業や求  しかし,公共事業が将来におけるより良い仕事の 職者の両方から出てくる要求は変化することがある 踏み台として機能することはほとんどない.参加者 が,公的訓練機関の対応があまりにも遅いことがし がプログラムから離れた後で就職の助けになったと ばしばである.一国の制度的な能力と訓練組織の供 いう証拠はほとんどない 59.公共事業プログラム 給が許せば,公的訓練資金は競争的な条件で民間や は他の ALMP と比べると,プログラム修了後の就 非営利の提供者に配分することができるだろう.実 職率が最低で,そのコストは最高である(図 8.4). 績ベースの入札にすれば,より適切な訓練へのイン ポーランドとルーマニアでは,公共事業は雇用可能 センティブを生み出すことができると同時に,サー 性に悪影響さえ及ぼしている 60.したがって,そ ビス提供が最も困難なグループが損しないような契 の生産性への影響はあったとしても非常に低い傾向 約に設計することができる.ブルガリア・ハンガ にある. リー・ルーマニア・セルビア・スロベニアでは,公  「仕事の梯子」になるためには,公共事業プログ 的雇用サービスは公共入札を通じて多種多様な提供 ラムは貧困救済を超越する必要がある――そのよう 者から訓練プログラムを購入している. なルートをすでに取っている諸国がいくつかある.  研究の示すところでは,少なくとも一部の訓練プ エルサルバドルやパプアニューギニアでは,公共事 ログラムは信頼と市民的社会参画の構築に役立って 業プログラムの参加者は技術や生活のスキルに関 いるが,それがどのようにして起こるかについての して追加的な支援を得ている.シエラレオネでは, CHAPTER8 労働政策再論 279 ボックス 8.6 マハトマ・ガンジー国家農村雇用保証法,世界最大の公共事業プログラムを打ち出す  公共事業プログラムはインドでは 1950 年代から積 負担している d.州政府は資材・管理費の 25%,日々 極的に使われてきている.しかし,範囲と予算の面で の失業手当,州雇用保証評議会の経費を負担している. マハトマ・ガンジー国家農村雇用保証法(MGNREGA) この法律は情報通信技術・社会的監査・第三者モニタ ほ ど の 規 模 を も つ 制 度 は い ま だ か つ て な か っ た. リングなどの利用を通じた透明性を要請している e. 2006 年に打ち出され,3 種類が発表され実施された  2006-07 年度のプログラムの第 1 局面では予算支 このプログラムは,農業を行っている人が暮らしてい 出は 24 億 9,000 万ドルとなった.3,700 万枚のジョ るすべての地区に対して仕事を保証している.プログ ブ・カードが発行され,2,100 世帯に対して平均では ラムの目的は,賃金雇用の供給,農村部貧困層の購買 43 人日が,累計では 9 億人日の仕事が提供された. 力の改善,コミュニティのための資産創造,天然資源 それ以降,プログラムは適用範囲と予算の面で大幅に a 管理の強化,社会とジェンダーの平等の推進である . 拡充されている.2010-11 年度についてみると,平  このプログラムは低スキルの仕事でも喜んで行うと 均 47 人日,累計 25 億人日の仕事が,87 億ドル(対 いう成人メンバーがいる農村家計に対して,1 年間に GDP 比 0.51%)の総コストで 5,500 万世帯に提供さ つき 100 日までの雇用を保証する.ただし,賃金は れた f.これによって MGNREGA は世界最大の勤労 法定最低賃金にほぼ等しい b.このプログラムへの参 福祉プログラムとなった.管理データによると,貧困 加を希望する農村家計はそれぞれの村評議会(gram 層と弱者層の参加には極めて顕著なものがあった. panchayat)に登録する必要があり,家族全員の写真  批判者の主張では,MGNREGA は農村部の労働市 が入ったジョブ・カードが無料で発行される.ジョブ・ 場の機能に悪影響を及ぼしている可能性がある.プロ カード保有者は雇用を申請することができ,政府はそ グラムが支給する賃金(日当)を約 100 ルピー(1.80 れを 15 日以内に提供しなければならない.もし政府 ドル)に設定することによって,すべての臨時の農作 がそうできなければ,原則として失業手当が申請者に 業について一種の最低賃金の強制執行を助けている可 支給される.家族員の間での雇用の配分については各 能性があろう.仮にそれが通常提供されている賃金を 家計が決定する.日当は仕事量に基づき,郵便局か銀 上回れば,プログラムは臨時労働の供給を変えて,民 行の口座に直接振り込まれる.プログラムには現場の 間雇用者を締め出す公算がある g.また,農業からよ 施設を十分なものとするためにある程度の糧食が供与 り生産的なセクターへという労働再配分のプロセスに され,それには安全な飲料水の利用・日陰・事故に備 とっても制約になるだろう. えた救急手当の装備・女性が子供を預けておける託児  このプログラムはメディアから相当な注目を浴びて 所などが含まれる.プログラムは女性の参加を奨励し いる.その背景には,汚職の容疑,漏損,不十分な実 ており,雇用された労働者の 33%は女性でなければ 施などがある.しかし,それが農村家計 ・ 農村労働市 ならないという義務がある.加えて,女性の賃金は男 場・生産性に対して及ぼす影響を,体系的に評価しよ 性と平等であること,女性の職場は村から 5 キロメー うと試みた研究はほとんどない.次第に出現してきて トル以内であること,いかなる差別も禁止されること いる証拠のなかで驚くべき発見は,プログラムが最も c が義務化されている . 必要とされる地域の参加率が最高になっていないこと  MGNREGA の下で遂行されている公共事業のほと である h.家計調査が示すところによると,割当と未 んどは労働集約的である.現場では下請け業者や機械 充足の需要があるという証拠があり,それがプログラ は許容されていない.プロジェクトは村の優先事項を ムの貧困緩和インパクトを制約している.とはいえ, 反映させるべく公開の村会議(gram sabha)で選定 割当にもかかわらず,プログラムは貧困層にも届いて され,村の評議会が企画・実施・モニタリングについ おり,女性や不利なカーストの人々を労働力のなかに て実質的な役割を果たす.プロジェクトは主として, 誘引している i.アンドラ・プラデシュ州のある研究は, 水の保護・採取,灌漑水路,農村道路など,コミュニ プログラムは食材と非食材向けの支出を増やしている ティ資産の開発・維持に焦点を当てている.渇水防止・ ことを示している j.農村労働市場の賃金水準や労働 洪水管理・土地開発などもこのプログラムで支援され 再配分に対する影響の証拠は依然として決定的ではな ている.中央政府が参加者の賃金を全額,資材・管理 い.プログラムの非労働市場効果に関する研究は乏し 費の 75%を補助することによって,総費用の 90%を い. 280 世界開発報告 2013 ボックス 8.6 マハトマ・ガンジー国家農村雇用保証法,世界最大の公共事業プログラムを打ち出す(続き)  MGNREGA はいくつかの挑戦課題に直面している. 払われるのを確保することである.また,もしプロ 漏損や透明性への取り組みはその 1 つである.政府は, グラムの目的が最貧層を引き上げることにあるとすれ 例えば生体認証カードの採用によって,この挑戦課題 ば,プログラムとしては身体的な条件のゆえに厳しい に真剣に立ち向かっている.より広範な長期的な効果 肉体労働に従事することが許されない人々に配慮すべ を生み出すために,コミュニティ資産の質と適性を改 きである k. 善することももう 1 つの挑戦である.しかし,最大 の挑戦は仕事の需要が充足され,賃金が定時に全額支 出所:WDR 2013 チーム. f. World Bank 2011b.予算の対 GDP 比ということでは,MGNREGA 注:GDP= 国内総生産. は メ キ シ コ の PROGRESA/Oportunidades(GDP の 0.4 %) ,あるい a. Ministry of Rural Development 2012; World Bank 2011d. はブラジルの Bolsa Família(同 0.36%)など,最大の現金給付プ b. Ministry of Rural Development 2012.当初,法定最低賃金は州ごとに ログラムに匹敵する.しかし,家計のカバレッジということでは, 異なっていた.しかし,2009 年に中央政府は MGNREGA 賃金の州レ MGNREGA の規模の大きさが際立っている. ベル法定最低賃金とのリンクを切断して,100 ルピーという一律の g. Basu 2011;Basu, Chau, and Kanbur 2009;Dutta 他 2012;World Bank 日当を設定した.ただし,これは州固有のインフレを考慮して調整 2011b. 可能である. h. Dutta 他 2012. c. Ministry of Rural Development 2008;World Bank 2011d. i. Dutta 他 2012. d. World Bank 2011b. j. Ravi and Engler 2009. e. Ministry of Rural Development 2008. k. World Bank 2011d. パッケージとして義務的な「読み書き算術」,リベ の設計だけでなく,全国的な規模で,しかも継続的 リアでは生活スキルを含めている.バングラデシュ なベースでサービスを提供するという当該国の制度 では,農村部雇用制度の受益者は零細金融機関の斡 的な能力にも依存している. 旋によって,プログラム終了から 3 年経過しても,  プログラムや政策の設計はパフォーマンスを改善 ほぼ 80%は依然として零細企業活動で自営業をし するために,近年,多くの諸国で刷新されている. ていた 61.しかし,全体として,参加者の長期的 民間ないし非営利機関のプログラムを公的資金で賄 な雇用力を改善するのに成功した公共事業プログラ うというやり方が増加している.高齢化国やフォー ムは極めて少ない. マル化が進む国では,失業保険など社会的給付にか  しかし,公共事業プログラムには,特に紛争の影 かわる有資格を維持するためには,求職者は積極的 響下にある国では,社会的一体感に貢献する潜在力 な態度を要求されることが多くなっている.そのよ がある.シエラレオネでは紛争終結後ただちに,イ うな活性化措置は訓練・教育コースへの参加,カウ ンフラ再建を後押しし,貧困層や元戦闘員に短期雇 ンセリング,その他の雇用サービスないし公共事業 用機会を提供するために,勤労福祉制度が打ち出さ への参加を通じた求職のインセンティブを生む. れた.ギニア・ギニアビサウ・リベリア・イエメン  多くの先進国は,社会的給付と ALMP 両方の管 でも,公共事業プログラムが打ち出されたり,規模 理のための「ワンストップ・ショップ」を通じて, が拡大されたりしている.セルビアでは,参加者は そのような政策を実施している.ドイツのジョブセ 公共事業プログラムの結果として,社会的に仲間に ンターやイギリスのジョブセンター・プラスがその 62 入れてもらったと感じるようになっている . 例である.このような統合的アプローチは原則とし て,労働者が社会との結び付きを維持ないし創造す 成果の改善に努力する るのを助けることができる.ただし,この証拠はま  非常に多種多様な仕事の挑戦に直面している諸国 だ乏しい 63 .ワンストップ・ショップのモデルは では,多くのプログラムは期待を達成しているもの アルゼンチン・アゼルバイジャン・ブルガリアなど の,参加者にとって成果を改善することに成功して 多数の多様な途上国で,弾みがつきつつある. いないものもある.加えて,価格が手頃なプログラ  提供にかかわるもう 1 つの重要な改革として, ムもあれば高価なものもある.ALMP の成果はそ 求職者が直面する雇用制約を特定するための投資が CHAPTER8 労働政策再論 281 増加していることが指摘できる.就業の障 図 8.4 ルーマニアでは公共事業の就職率は最低で就職コストは最高 害はスキルの不十分さから,健康問題や家 50 25,000,000 事と仕事のバランスを取ることの困難さに 至るまでさまざまである.受益者の個別特 40 20,000,000 性を可能性のある制約や適切な是正策と結 就職コスト(現地通貨) び付ける統計的プロファイリングが,特に 就職率(%) 30 15,000,000 制度的な能力が顕著な諸国では重要な手 法になってきている 64.「チリ国家連帯」 20 10,000,000 (Chile Solidario)のような包括的なプロ グラムは,受益者を制約に応じて最適なプ 10 5,000,000 ログラムに結び付けることに大きな投資を している. 0 0 訓練 雇用サービス 公共事業  要するに,ALMP は重要であるが,労 プログラム 働市場のニーズにうまく合致し,望ましい 就職率 就職コスト 雇用の成果を阻害している市場の不完全性 出所:Rodriguez-Planas and Benus 2010. や制度的な失敗に取り組むよう設計されて 注:就職率はプログラム参加者で就職できた人の割合. いる必要がある.全体として,若年参加者 に関するプログラムの評価は,途上国は雇 用力の強化という点で先進国よりも優れた結果を達 険はこのような市場の失敗に潜在的に取り組むこと 65 成していることを示している .時間枠も重要で ができるプログラムのパッケージである.しかし, ある:先進国では,訓練プログラムは中長期的にみ 社会保険は歴史・価値観・政治によっても形作られ 66 て初めて真の価値を発揮する .しかし,ある具 ているので,その設計は効率性改善だけを目的にし 体的な ALMP を解決策の一環に含めるべきか否か ているわけではない. を決定する際には,直面している仕事の挑戦に関す  一部の諸国は労働者が失職リスクを緩和するのを る深い理解や制度的な能力の把握が決定的に重要で 助けるために,公的失業保険制度を導入している. ある. 多くは雇用機会に影響する病気やけがを対象に含め  このような革新にもかかわらず,積極的労働市場 る障害保険も導入している.また,ほとんどの諸国 政策に対する期待は抑制しておく必要がある.求職 には社会的セーフティ・ネットもある.これは必ず や斡旋は企業が仕事を創出していて初めて機能す しも雇用の状況には直接結び付いていないが,所得 る.短期訓練コースでは教育制度の根本的な問題を が基本的な生活水準を満たすのに不十分な場合に対 解決することはできない.仮に根深い差別が人々が 処するための仕組みを提供することができる. 求職を停止する原因となっているとすれば,活性化  労働市場リスクに直接関係していないその他の社 インセンティブは無益であろう. 会保険プログラムは,人々が就いている仕事ないし その雇用の地位に結び付いていることが多い.その うち最重要なのは,賃金税(社会保障拠出金)―― 社会保険:適用範囲拡大のという課題 雇用者,被雇用者,あるいはその両方――でファイ  失職・障害・稼ぎ手の死亡・資産なしの高齢化な ナンスされている老齢年金と健康保険のプログラム どといった重大なリスクに対して,貯蓄できていな であろう.このような付加給付が公的供与になって い,あるいはその気がない大勢の人々が存在してい いるのは,労働市場ではなく保険市場における不完 る.保険者は個人のリスクを正確に評価できないた 全性が理由である.しかし,それは創出される仕事 め(逆選択),個人はリスク水準に影響を与えるこ の種類や,したがって生産性にとって,重要な意味 とができるため(倫理の欠如),市場は十分なリス をもっている.賃金税を通じて運用されているた ク・プーリングを提供することができない.社会保 め,労働需要や雇用契約の一環として保険を提供す 282 世界開発報告 2013 べきかどうかに関する雇用者の選択に影響を与え 除き,手当は失業期間に影響しなかった.自営業 る.また,労働者の次のような行動――仕事に就 に変わる場合,過渡期間はもっと短く,手当のお く・仕事を続ける・転職する,フォーマル・セク かげで新規事業を始められるということを示唆し ターで働くかインフォーマル・セクターで働く,高 ているのかもしれない 72. リスク・高リターンの仕事に就く――にかかわるイ  求職におけるディスインセンティブや隠れた再分 ンセンティブにも影響する. 配に関する懸念を受けて,失業保険貯蓄勘定に対す  仕事の観点からすると重要な問題は次の 2 つで る関心が高まっている.設計は異なり得るが,労働 ある:ほとんどの人々が自給自足農業に従事してい 者は勘定に拠出し,失業期間中には出金する.残金 る,あるいは自営業者である場合,公然の失業とい があれば,労働者の退職時に引き出されて,年金加 うのは一般的な現象ではない.そのような状況下で 算金として使うことができる.主にラテンアメリカ は,社会的なセーフティ・ネット――非拠出型現金 の諸国を中心にオーストリアやヨルダンでも,この 給付や公共事業プログラムなどを含む――は,有害 貯蓄勘定が保険ベースのプログラムに代わるアプ なショックに対処するには決定的に重要である 67. ローチとして採用されている.しかし,貯蓄勘定で  しかし,賃金雇用が一般的になると,優先度は失 はリスクのプーリングは認められていないため,若 業保険の方が高いだろう.失業保険は失職した労働 い労働者や頻繁に失業する労働者の貯蓄は不十分な 者に対して所得扶助を提供し,個人や家計が貧困に 可能性があろう.この懸念に取り組むべく,再分配 陥るのを阻止することができる.それは求職を支援 の特徴をもたせたプランもなかにはある.例えば, することによって,より良いマッチや効率性に関し チリのプログラムには勘定残高があまりに低くて, て利益をもたらすことができる.しかし,有効な適 失業の際に十分な所得扶助を提供できない労働者を 用範囲は完璧というには程遠い状況にある.ILO に 支援するための連帯基金が含まれている. よると,最近の金融危機下で手当を受給したのは世  すべての諸国において,障害は重要な労働市場リ 68 界全体の失業者のわずか 15%にとどまっている . スクである.最近の推計によると,障害保有比率は 失業手当制度に関するもう 1 つの懸念は,それが 成人人口の約 15%である.低所得国と高齢化社会 仕事を維持する,仕事を探す,求人を受諾するイン ではこれよりも高い 73 .障害者の多くは働いてい センティブを削減するのではないかということであ るものの,障害者の不活動率は総人口でみるよりも ろう.失業手当のインセンティブ効果に関する証拠 著しく高い.先進国では,障害者の不活動率は非障 はほとんどが先進国のもので,まちまちである.一 害者の約 2.5 倍と高くなっている 74. 部の研究が発見したところによると,手当を厚くす  障害者手当は重要な所得保護を提供することがで ると――手当水準の引き上げか,支給期間の長期化 きるが,コストが一部の諸国では累増しており,手 のいずれにかよって――,失業期間あるいは失業率 当は一般人の間に仕事に対するディスインセンティ が増加する 69.失業からの脱出は典型的には手当 ブを生み出すこともある.職場による障害者の受け 70 が失効した時に増加する . 入れが,彼らの求職を奨励する重要な戦略となる.  過去 10 年間に,失業保険の資格と手当は多くの 給付制度もその目的に資するべく調整できるだろ 諸国で,求職のディスインセンティブを削減すべ う.在職給付,限定期間給付,勤労税額控除などす く改革されてきている.ディスインセンティブ効 べてが,EU では実験されつつある 75 .障害者手当 果のなかにはどんな失業保険制度にも内在してい のない諸国は,障害が貧困と関連する場合には,受 るものもあるが,デンマーク・フランス・ドイツ・ け入れを強調し,社会的セーフティ・ネットに依存 アイルランド・イタリア・スペインに関する最近 する必要がある. の研究でわかったことによると,たとえ労働者の 失業が長期間にわたったとしても,最終的にはよ 社会保険のファイナンス 71 り安定した仕事を見付けることができている .  途上国の社会保険プログラムで際立った特徴は ブラジルにおける失業保険の研究によると,労働 適用率が低いことである 76 .世界全体を見渡すと, 者が失業から自営業に変わろうとしている場合を 社会保険アクセスのある労働者はわずか 30%にと CHAPTER8 労働政策再論 283 地図 8.1 社会保険のカバレッジは多くの諸国で低いものにとどまっている * % 0‒19.99 20.00‒39.99 40.00‒59.99 60.00‒79.99 80.00‒100 * この地図は世界銀行の地図デザイン・ユニットが提供したものである.地図上に示されている境界・色・名称・その他の情報は,世界銀行によるい かなる領域の法的地位に関するいかなる判断や,そのような境界のいかなる承認や受諾を意味するものではない. 出所:Pallares-Miralles 他 2012;カナダの行政データに基づき WDR 2013 チーム作成. 注:カバレッジは所得連動型の義務的年金制度に(当該年に少なくとも 1 カ月分を)拠出した人数(対労働力比)を指す. どまっている.アフリカとアジアでは 25%未満に プログラムの対象範囲外となっている.自営業者・ すぎない(地図 8.1).平均すると,適用率が最も 農民・移民に手を差し延べるのは特に困難である. 高いのは高齢化社会とフォーマル化が進展している 多くの諸国では社会保険法で零細企業や小企業が対 諸国,最も低いのは紛争の影響下にある国と農業国 象となっていないか,あるいはこれら企業や農場の である.後者では,年金プログラムに登録されてい 側が最低限の拠出コストを負担できないため,非参 るのは生産年齢人口の 10%以下にとどまっている. 加を選んでいるかである 78 .執行能力が低いこと 一般的に,低所得労働者は適用されている確率が最 も適用範囲の狭さに寄与している. 低である.ラテンアメリカのほとんどの諸国では,  ほとんどの諸国では,(社会プログラムに対する 所得でみてボトム 20%層では適用率が 10%未満で 拠出金を含め)賃金税が社会保険の支配的なファイ あるのに対して,トップ 20%層では 50%以上に達 ナンス手段となっている.しかし,賃金税が特に途 77 している .労働者はたとえ名目上は社会保険が 上国にとって最適なモデルかどうかについては,疑 適用されているとしても,必ずしも給付が受けられ 問が大きくなってきている 79.社会保険を賃金税 るとは限らない.有効な適用範囲は財政圧力や実施 でファイナンスすると,フォーマル・セクターでは 能力の低さによって削減されかねないからだ. 仕事を創出するディスインセンティブが発生するこ  適用範囲が低いのは多種多様な理由に基づいてお とによって,適用範囲の問題をいっそう悪化させる り,それにはプログラムを賄うだけの財政的な余裕 可能性があろう. がないこと,給付の統制や供給を管理する制度的な  コロンビア・トルコ・東ヨーロッパおよび中央 能力が低いこと,適用されたりされなかったりする アジアの一部の体制移行国に関する研究は,社会保 グループが存在するなど,制度が細分化されている 険の水準を引き上げると,程度はさまざまであるが こと,プログラムの設計が参加のインセンティブ提 フォーマルな雇用が減少することを見出している 80. 供に弱いことなどが含まれる.多くの途上国では, 社会保険をファイナンスするための賃金税は,「税 インフォーマル・セクターの労働者や企業は総じて の楔」(労働総コストと手取り給与の格差)の要因 284 世界開発報告 2013 保険へのアクセスに置いている価値を考慮 図 8.5 労働税と社会的負担はさまざまな仕事の挑戦に直面して いる国ごとに異なる に入れる必要がある.社会的拠出金は拠出 者が付随的な利益に価値を置いている場合 小さい島嶼国 には,純粋な税金として考えるべきではな 紛争の影響下 にある国 い.そして,多くの証拠は,労働者は価値 農業国 を認めていることを示している 81.良い 都市化が 仕事に関して必須の要素を挙げてもらった 進む国 資源の豊富な国 ところ,中国・コロンビア・エジプト・シ 若年層の失業率 エラレオネの人々は,年金や健康保険への が高い国 フォーマル化が アクセスを良い賃金と同等に評価した.こ 進む国 れら諸国では,社会保険制度に参加してい 高齢化社会 る労働者の指摘によると,社会保険へのア 先進国 クセス喪失を補償するためには,大幅な所 0 5 10 15 20 25 得増加が必要になるだろう.同時に,この 税の楔(対商利比,%) 制度の外にいる人々は参加するためなら, 出所:World Bank 2011a. 給与のうち大きな割合を喜んで拠出する 注:労働税と社会的負担は企業が税金と義務的な拠出金額で測定. だろう(図 8.6)82.しかし,設計と実施 が重要である.制度参加に付与されている 価値は,拠出金との対比でみた給付金の適 切性や給付行政の効率性と透明性に大きく 図 8.6 労働者は健康保険と年金にアクセスできるなら所得の減 依存する.社会保険制度の長期的な信頼性 少を喜んで受け入れる も,特に高齢化社会では決定的な要因にな 30 回答者が付加給付アクセスのためなら る. 許容できるとした所得の減少率(%) 25  途上国で社会的保護の適用範囲を拡張 20 するためには,2 つの重要な問題に取り組 む必要がある.第 1 は,どのリスクが取 15 り組むべき優先的な課題かということであ 10 る.低所得国では,老齢・障害向け年金や 5 基本的な健康保険の方が,失業保険よりも 0 重要である. コロンビア エジプト シエラレオネ 中国  第 2 は,優先プログラムをどうやって 健康保険 老齢年金 インフォーマル・セクターの労働者に対 して拡張するかということである.イン 出所:すべて WDR 2013 のために書かれた Bjørkhaug 他 2012;Hatløy 他 2012;Kebede 他 2012;Zhang 他 2012. フォーマル・セクターの労働者による参加 注:データは雇用者負担による健康保険や年金給付を享受していない労働者に関するも を容易にするために,技術を革新的な形で の.上図は彼らが給付を受けるためなら減少してもかまわないとした所得の最高額(典 型的な月給に対する比率)を示したもの. 使っている国もなかにはある(ボックス 8.7).しかし,社会的保護の適用範囲を狭 いという状態に導いている市場の不完全性 になることによって,労働需要と働く意欲の両方の や制度的な失敗は,技術だけでは克服できない.例 妨げになる.この税の楔の大きさは国よって大きく えば,携帯電話のおかげで農民は健康保険の拠出金 異なる.先進国・高齢化社会・フォーマル化が進む の支払いが容易になったものの,病気にかかりにく 国で最も顕著である(図 8.5) い人は依然として登録しないという選択をするだろ  しかし,完璧な評価のためには,労働者が社会 う.それが社会的保護の適用範囲を拡張するには, CHAPTER8 労働政策再論 285 ボックス 8.7 近代的な技術は社会的保護コスト・漏損・腐敗を削減することができる  革新的な技術をベースとしたアプローチが,保険や は今のところ最も野心的で,すでに 2 億近い人々の その他の現金給付が供与される方法を転換しつつあ デジタル指紋と虹彩スキャンを収集している.指紋読 る.インドの新しい貧困層向け健康保険制度は生体認 み取り機――サービス提供者にとって受け入れ可能な 証カードを使用して,当該家計が適格であることを証 身元のオンライン認証を可能にする――を搭載した携 明するとともに,現金支払いを伴わない病院手続きを 帯電話などのアプリケーションを利用する実験が行わ 追跡している.ほぼ 3,000 万世帯がこのようなスマー れている. ト・カードを所有している.イギリスの国際開発省か  それほど派手ではないが,同じように重要なのは, らの最近のレポートによると,「南アフリカ・インド・ 社会的保護制度の「後方」部分である.取引を定期的 ケニア・リベリアに関する証拠は,スマート・カード なベースで追跡したり,重要な指標やレポートを作成 や携帯電話を組み込んだ電子支払いシステムは,コス したりすることが可能になる.特に人口の老齢化が進 トや漏損を大幅に削減することができる」ことを示し 展し,非伝染性の病気がより一般的になってくるなか ている a.「貧困層支援協議グループ」の別のレポー で,経営情報システム(MIS)がより複雑な社会保険 トによると,ブラジルやコロンビアでは電子支払いに プログラムにとってはおそらくもっと重要であろう. よって,取引コストが著しく削減された.このような 職歴を追跡すれば,年金給付と社会保障拠出金につい 「最初からの」適用が,過去にサービス提供を苦しめ てより良い整合性を取ることが可能になるだろう.病 たいくつかの問題を克服するのに役立っている.それ 歴のデータベースがあれば,健康プロトコルや保健ケ には受益者が給付金をもらうためには長距離を移動し ア提供者に対する支払いに関してより効率的な設計を たり,仲介者が用紙に記入したりする必要性が含まれ 支援することができる. ていた.  しかし,情報はもはやプログラムを管理している  多くの途上国では身元証明の強固な制度が欠如して 人々だけの領域ではない.潜在的に最大のインパクト いるため,多種多様な不正が看過され,大勢の貧困者 をもつ近代技術の応用の 1 つは,市民が社会的メディ が社会プログラムにアクセスすることが阻害されてい アを通じて腐敗や怠慢の行為を報告することであろ る.例えば,ドミニカ共和国では,貧困プログラムに う.携帯電話の大規模な浸透は特に力強い道具である. 適格な受益者の 4 分の 1 は,適切な書類をもってい  しかし,技術は万能薬ではなく,失敗したプロジェク ないため参加することができない.身分証明制度の不 トも多い.ほとんどの場合,関係するプロセスの再設計 備を受けて,政府プログラムやドナー支援プログラム 他の一般的な問題には, に技術がマッチしていなかった. を横断的に調整するという取り組みが阻害され,それ 企画や調達慣行の不備,政府と販売業者の間における情 がコストの重複につながっている.この挑戦に立ち向 報の非対称性,整備された後でシステムを運営する熟練 かうため,生体認証技術に移行する諸国が増加傾向に 要員の不足などが含まれる.このような問題にもかかわ (Aadhaar ある.インドの「アドハー」 : 「基盤」や「基 らず,社会的保護の将来は新技術を応用するための創造 礎」の意味)として知られている固有認証プログラム 的な方法を含まざるを得なくなっている. 出所:以下に基づく WDR 2013 チーム:Bold, Porteous, and Rotman 2012;Devereux 他 2007;DFID 2011;Gelb 他 2011;Palacios, Das, and Sun 2011. a.DFID 2011, 9. 近代的な「技術」に加えて,十分な規則や資源が必 引っ張り,フォーマル・セクターの発展を阻害すだ 要な理由である. ろう.このような問題は 2 つの制度の給付水準に  1 つのアプローチとして,インフォーマル・セク 格差を設け,並行制度を少なくとも部分的には拠出 ターの労働者向けには拠出型制度とつながった並行 ベースでファイナンスすることによって,ある程度 的な制度を運営することが考えられる.このアプ は対処することができる 83 . ローチで適用範囲における格差に取り組むことがで  もう 1 つのアプローチは,一般向けの社会保険 きるが,もしその並行制度が一般税収でファイナン プログラムに参加する農民や自営業者に対して,一 スされるのであれば,拠出型制度への登録の足を 部補助金を供与するということであろう.ベトナム 286 世界開発報告 2013 では,貧困層に分類された人々は全額予算で賄わ れた健康保険カードを受領し,「貧困に近い層」は 50%の補助金を得ている 84.この第 2 のアプロー チはファイナンスをやはり一般税収に依存している ので,従来のものと同じように映るかもしれない. しかし,これにはフォーマル化の足を引っ張らない という利点がある.社会的一体感の観点からみて も,二階建ての制度ではなく,普遍的な制度を構築 することが可能である.  社会保険や社会的保護の制度は設計が良ければ, 次の 3 つの転換を促進する潜在性をもっている. 労働市場の歪みを緩和し優先リスクをカバーすれ ば,逸失所得を補填することができる;不確実性を 削減することによって主観的な福祉にも貢献でき る;転職の際に付加給付が携行でき,制度に過渡期 を管理する能力があれば,労働者が生産性の高い仕 事に移動したり,リスクを取ったりすることを奨励 することができる.また,適用範囲の拡張は包容的 な社会契約を形成する役割を通じて,社会的一体感 の形成に貢献する 85 . QUESTION 8 労働者を保護するのか,それとも仕事を保護するのか?  仕事を保護する政策よりも人々を保護する政策の いは広範な価値連鎖を通じて接続している場合,多 方が,通常は良いとして歓迎される.所得扶助を提 数の仕事が失われれば,生産性に波及効果があるか 供すれば消費の大幅な落ち込みを阻止し,失業・不 もしれない.したがって,仕事に重要な生産性の波 完全雇用・労働所得損失で影響されている家計が, 及効果がある分野ないし活動では,産出損失の総計 貧困に陥るリスクを軽減することができる.仕事を は個人所得の損失の総計を凌駕するだろう.そうな 保護する措置ではなく,一時的な所得扶助,また, ると,大量の失職はゴーストタウンや衰退地域の発 場合によって再訓練プログラムに依存することで, 生につながり,この展望は通念が常に正しいとは限 労働の再配分が可能となり,創造的破壊のプロセス らないということを示している. を維持できる.したがって資源はより効率的に配分 されて,経済成長は高まる.政府移転や雇用保護法 回転対分断 制を通じて,経済的にもはや存続可能でない仕事を  毎日,仕事は創造されたり破壊されたりしてい 維持すれば,非効率な資源配分が長引くだけであ る.労働者は採用・解雇されたり,あるいは仕事を る. 辞めて自分の企業を設立したりする.一方,閉鎖す  加えて,仕事を保護すると支配されるリスクが高 る企業もあれば誕生する企業もある.先進国では, くなる.一時的どころか恒久的になって,永続的に この創造的破壊のプロセスが影響するのは毎年すべ 非生産的な補助金付きの仕事を生み出す危険性があ ての仕事の約 15%である 86 .平常時,個人が失職 る.開発の経験を振り返ってみると,明示的な仕事 する確率は大体において他人の失職確率とは無関係 の保護が,それから利益を享受するセクターの企業 である.また,他の仕事に転職する確率も他の労働 のオーナーや労働者向けに,大きな分前をもたらす 者に起こることとは独立している.だとすると,雇 こと以外の成果をほとんどもたらさず,技術進歩・ 用ショックというのは,経済学者が「異質的」と呼 構造変化・成長を窒息させるいという事例が見られ ぶものになる. る.  しかし,雇用ショックがシステミックになる例外  したがって,通念としては仕事の保護に反対である. 的な時期もある.そうなると,雇用の創造と雇用の しかし,一時に多くの仕事が失われたり,あるいは脅 破壊の持続的な分断が生じる:仕事は大量に失われ 威にさらされたりする一方で,ほとんど仕事が創出さ ているのに,同時に創造されてはいない.これは深 れていない場合,そのような通念は再検討の必要があ 刻な経済危機の時期に生じることであり,経済危機 る.保護されている仕事の生産性は,それでも置換さ では経済活動の低下が広範囲にわたる企業や産業に れた労働者が見付けた代わりの仕事の生産性よりも高 影響する.仕事の破壊が,しばしば急に,加速化す い可能性があるだろう.さらに,生産性格差は仕事を る一方で,仕事の創造が横ばいないし減速さえする 維持しておくコストを凌駕するかもしれない.失職後 (図 8.7).このような分断はフォーマル化した国で に仕事に代わるものが長期的な失業になる事例がそれ は失業に,それほどフォーマル化していない国で かもしれない.この場合,産出がただちに減少するだ は不完全雇用につながる 87.多くの諸国で,旱魃・ けでなく,失業の長期化でスキルは陳腐化し,社会的 洪水・その他の自然災害も同じような影響をもたら 一体感は蝕まれるであろう. す.危機の原因が消滅するにしたがって,雇用創造  重要なのは,考慮する必要があるのは仕事の生産 が増加し,失業や不完全雇用が減少する.雇用創造 性全体であって,それには他人の生産性に対する波 の回復に時間がかかれば,失業や不完全雇用がそれ 及効果も含まれる.人々が一緒に働いている,ある だけ長引くことになる. 288 世界開発報告 2013 図 8.7 不況期のアメリカでは雇用創出と雇用破壊の分離が大規模であった 10 不況期 9 対雇用比(%) 8 7 6 5 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 20 20 20 20 20 20 20 20 20 20 20 雇用創出 雇用破壊 出所:Davis, Faberman, and Haltiwanger 2012.  急速な技術進歩(例えばコンピュータの導入)や ば――,人々の保護が優先課題であるべきだろう. 政策改革(例えば貿易自由化)が大規模な構造変化 人々の転職を支援するには多種多様な社会的保護メ をもたらした時にも分断が生じる.構造変化は産業 カニズムが存在する.それは失業手当や公的移転を 全体に影響する.体制移行国ではそのような変化は 通じて生活水準を維持することに集中している.新 巨大であった.というのは,すべての経済部門が不 しいスキルの学習や雇用機会のある場所への転居も 確実性に対処し,新しいインセンティブに適合しな 一定の役割を果たすことができる.悪影響を受けた ければならなかったからだ.公共セクターの再編や 活動から別の仕事に就くことによって,支援メカニ 国有企業の民営化は同様のショックを誘発し得る. ズムのコストを長期的には凌駕する産出からの利益 このようなすべての場合において,失業や不完全失 があるだろう.したがって,人々の保護は個人に 業は大規模で長期にわたるかもしれない. とっても社会にとっても良いことである.  所得や産出の損失は,異質的なショックの場合よ  もし大規模な分断が生じれば――より広範な危機 りもシステミックなショックの場合の方がより一般 か大規模な構造変化かのいずれかを通じて――,労 的かもしれない.しかし,この 2 種類の雇用ショッ 働者の保護で十分なことは稀であろう.仕事が要す クは重複することが時々ある.最近の金融危機は多 るに入手可能ではないため,斡旋サービスは停滞す くの諸国で異常に深刻な不況につながった.アメリ る.訓練は個別労働者の就職には役立つかもしれな カでは,高失業率が持続し,失業期間が通常よりも いが,全体として多くの仕事を作り出すものではな 長引き,危機勃発から 4 年経っても,新規の雇用 い.というのは,それは雇用ショックの循環的・構 88 創出が依然として遅々としている .なかには次 造的な原因に取り組むものではないからだ.失業手 のような主張もある:危機は通常の循環的な変動で 当や公的移転を通じた所得扶助は,資金不足や深刻 はなく,技術変化とグローバル化を原因とするより な財政状況で苦しむことになるかもしれない.衝撃 89 永続的な変化の表れである . 緩和に対処できるのは持続的な雇用創出だけなの で,たとえ状況が改善したとしても,システミック ショック対策は痛い なショックによる雇用減少を相殺するには数年を要  仮にショックが異質的なものであれば――もし雇 するだろう.そうなると,問題は所得扶助を大規模 用の変動が限定的で転職が引き続き一般的であれ に長期間にわたって供与することが,雇用創出が勢 CHAPTER8 労働政策再論 289 いを増している時に雇用を一時的に支援することよ 策を採用した諸国がいくつかある;そのような政策 りも望ましいかということになる. について長い伝統をもつドイツは,労働時間削減を  衝撃緩和策の長期的な結末とコストは,通常考え 調整することによって失職を回避した(ボックス られているよりも大きいかもしれない.大規模な構 8.8).アメリカも最近の不況の際には仕事を保護す 造変化の時期に,労働者が衰退産業から退出すると るための措置を取った.そのうち際立っていたのは 産出の大幅な低下につながる.というのは,代替的 自動車産業の救済である.しかし,アメリカが最も な雇用がほとんどないためだ.衰退産業での仕事は 頼りにしたのは,雇用保護措置ではなく,総需要刺 生産性が低いかもしれないが,それでも他の産業に 激と労働者保護のための失業保険の適用期間延長で おけるよりも高いことがある.同様に,危機の時期 あった.相対的にみると,アメリカにおける雇用・ には,企業は支払い能力がないわけではなく,むし 失業の変動はドイツよりもずっと大きかった 94. ろ非流動的になるのである.本質的には支払い能力 を有する企業が破綻すると,企業固有の人的資本や 仕事保護の落とし穴 無形資産の喪失,価値連鎖(バリュー・チェーン)  途上国にも事例がある.チリとメキシコは危機の の混乱,周辺コミュニティに対する損害などを引き インパクトを緩和するため,ワーク・シェアリング 起こす.信用供与が好ましい解決策であろうが,支 政策や補償的補助金を導入した.しかし,これら政 払い能力のない企業の選定が常に可能とは限らず, 策のインパクトは限定的なものにとどまった.新奇 透明性の問題で傷が付いている可能性がある.苦闘 であったため,新たな手続きが必要となったが,そ してはいるものの,暫定的な雇用保護政策が,本質 れをただちに実施するのは困難で,利用は非常に低 的には支払い能力のある企業向けに命綱を提供する い水準にとどまった.もっと重要なのは,このよう ことで,機能し得る代替策になるだろう. な政策はインフォーマルな雇用のシェアが大きな国  長期にわたる失業もスキルや労働に対する愛着心 にはあまり適していないということである.という を侵す.一定の職業に従事する適性や態度も失われ のは,大半の雇用者に届くことができないからだ. 90 てしまう .「烙印」が押されてしまって,それが チリとメキシコ――行政能力が比較的高くフォーマ 同じような所得の就職に対して長期的な阻害要因 ル化について成果を上げている 2 カ国――の経験 91 になることがある .人的資本やスキルが減価す が示すところによると,ワーク・シェアリング政策 る.緩和策が深刻な不況,あるいは重大な構造変化 の有用性は途上国では限定的である. の結果のいずれなのかとは無関係に,労働者は魅力  肯定的な事例もある.中国や多くのラテンアメリ のない仕事と生活水準の低下というスパイラルにさ カ諸国が 1980 年代から 90 年代を通じて,自国経 え落ち込む懸念がある.潜在的なコストとしては特 済の再編に取り組んださまざま手法が多くを物語っ に社会的一体感にとって有害だということが指摘で ている.中国には改革プロセス開始の時点で,競争 きる.社会的ネットワークが崩壊して,失職者が再 力のない国有企業(SOE)が数十万社あった.しか 就職したり,他の形の社会活動に関与したりするの し,大規模な労働削減を行えば,労働者はさらに生 92 が,より困難になることもある .高失業期間の 産性の低い仕事に追いやられるだろう.したがって, 長期化は特に心配である.というのは,若者の学校 それは彼らを十分吸収できる民間セクターが発展す から仕事への移行に影響し,社会からの疎外につな るまで待たなければならない.そこで,中国は経済 93 がる懸念があるからだ . の急速な近代化を図り,そうすることで社会的な混  そこで,仕事の保護を検討するべき状況も時とし 乱を防止する一方で,銀行信用へのアクセスを提供 てある.これが意味しているのは,雇用保護法制を することを通じて病んでいる SOE を支援した 95. 通じた採用・解雇に関する恒久的な制限ではなく, ラテンアメリカ諸国も,輸入代替政策の下で発展し 雇用破壊を緩和する時限性のある政策措置である. ていた非効率な産業の解体に乗り出した.しかし, 換言すると,これは新規の仕事を創出し,既存の仕 その実施はあまりにも性急であった.突然の規模縮 事を維持する積極的労働市場政策を選別的に活用す 小がインフォーマル性の永続的な上昇をもたらし, るということである.最近の不況下ではこの種の政 生産性上昇の鈍化につながったものとみられる 96. 290 世界開発報告 2013 「時短」が労働市場政策のなかで新しい合言葉になっている ボックス 8.8   「時間短縮労働」(Kurzarbeit)ないし「時短」はド れたと推定されている d.2009 年になると,プログ イツでは 100 年間にわたり行われてきている.この ラムの適用率は労働力の 3%に達した. プログラムの下では,参加企業の従業員は労働時間の  このプログラムは次のような観点から有益であると カットとそれに比例した報酬の削減を要請される.ド 喧伝されている:従業員に失業手当を支給するよりも, イツ政府は連邦雇用庁を通じて,その結果としての賃 失われた労働時間について支給するために資金を拠出 金損失の一定比率をカバーする.企業の参加は影響を する方が,政府にとっては安価に収まる.雇用者の立 a 受ける労働者の同意と結び付いている .つまり,プ 場からしても,熟練スタッフを保持するのに役立ち, ログラムの実施に当たっては社会的対話が強調されて 回転や再訓練費用を削減でき,したがって,企業とし いるのである.景気の下降期には,ドイツの雇用者は ての生産性を維持することができる.従業員の視点か 労働時間数の削減で対応し,そうすることで失職を緩 らは,制度のおかげで失業・所得の損失・スキルの減価・ 和する傾向にある. 生活満足度の低下・不確実性など,それに伴う諸問題  十数カ国が一般的な時短モデルに基づいて労働時間 を回避することができる.社会的な観点からも,経済 短縮のプログラムを採用している.ただし,多種多様 的な不振のインパクトを緩和し,それを労働力全体に な設計や規則が盛り込まれている b.世界的な経済危 いきわたらせる. 機の前にこのようなプログラムが整備されていた諸国  しかし,ワーク・シェア・プログラムが利益をもた は,2008-09 年には参加率の大幅な上昇を経験した. らすのはフォーマル・セクターの従業員に対してだけ  危機への対応として,ワーク・シェア・プログラム であり,しかもその全員に対してではない.時短は常 を実施していた数カ国はカバーされる賃金の比率を引 用雇用の救助に有効なだけで,臨時雇いやその労働時 き上げ,給付期間を延長し,プログラムの適格基準 間に対しては何の顕著なインパクトも及ぼさない e. を緩和した.ドイツでは,企業が補助金を要求する また,ワーク・シェア・プログラムは労働市場規制が ことができる期間が 6 カ月から 24 カ月に延長され, それほど柔軟でない諸国で有効であり,参加率が高く 社会保険コストの政府負担が 50%にまで引き上げら なっている f.さらに,長期間にわたってこの種のプ れ,臨時雇いの労働者も適格とされた.結局,影響を ログラムに依存していると,必要な労働再配分につい 受けた従業員はこのプログラムの下で,失った賃金の て著しい遅延が生じ,したがって,中期的には成長と 67%までは政府によって補助されることになった c. 生産性を阻害するだろう. ドイツでは時短を通じて常用雇用の 1%以上が救済さ 出所:WDR 2013 チーム. a. 仮に団体協定のなかでワーク・シェア・プログラムの採用が予想されていたとすれば,従業員の同意は不要である;Eurofound 2009 を参照. b. これは次の諸国である :アルゼンチン,ベルギー,カナダ,コロンビア,チェコ,デンマーク,フィンランド,イタリア,日本,ルクセンブルク, メキシコ,ニュージーランド,ノルウェー,ポーランド,トルコ.Hijzen and Venn 2011 を参照. c. Burda and Hunt 2011. d. Cahuc and Carcillo 2011. e. Cahuc and Carcillo 2011. f. Robalino and Banerji 2009.  雇用保護政策のリスクは,特に制度が脆弱な諸国 的な大前提が存在しないのであれば,雇用保護政策 では,永続的な非効率性を生み出す点にある.雇用 は確かに危険であろう.また,もし失職が雇用創出 保護政策は恒久的な政府支援を確保すべく利益追求 と雇用破壊の大規模な衝撃を含むシステミックな雇 に従事するのを調整することができる企業や産業全 用ショックの結果でないのであれば,雇用保護政策 体を巻き込む.仮にそのような政策が採用されると は決して検討されるべきではない. すれば,保護の範囲と規模を規定するトリガー条項 やサンセット条項を確立しておくことが必要であ る.支援が一時的であることを確保するための制度 CHAPTER8 労働政策再論 291 注 and Ribeiro 2011;Neri, Gonzaga, and Camargo 1. 特 定 国 は 複 数 の グ ル ー プ に 含 め る こ と が で き る. 2001. 国の種類は次の定義に従って分類されている.農 8. Acemoglu 2001. 業 国: 農 村 人 口 が 2010 年 に 60 % 以 上(World 9. 最低賃金が貧困に影響を与えることができる経路に Development Indicators [WDI], World Bank, 関しての詳細は,Fields and Kanbur (2007) を参照. Washington, DC, http://data.worldbank.org/ 10. Cahuc and Kramarz 2004. data-catalog/worlddevelopment-indicators); 11. このような研究の多くにかかわるレビューについて 紛争の影響下にある国:次の 2 つの出所を組み合わ は,Boeri, Helppie, and Macis (2008) や Freeman せ て 導 出 ――(i) Uppsala Conflict Data Program (2009) を参照. database に含まれている国で,国内紛争ないし国 12. WDR 2013 のために書かれた Betcherman 2012. 際化した国内紛争で 2010 年に少なくとも 1,000 人 13. EPL に 関 し て,Nickell and Layard (1999) は の戦死者を出したところ,あるいは (ii) 国連の平 OECD 諸 国 で 雇 用 に 対 す る マ イ ナ ス を 発 見 し 和維持や平和構築のための使節団が駐在している て い る.OECD と ラ テ ン ア メ リ カ に つ い て は, 地域(2012 World Bank fragility list);都市化が Heckman and Pagés (2000) がマイナス効果を発 進む国:2000 年現在で都市化地域に居住する人口 見したものの , Heckman and Pagés (2004) はそう が 65%以下で,2010 年までの上昇が 4.5%ポイン ではなかった.マイナス効果が発見された対象国と ト 以 上 の 国(WDI); 資 源 の 豊 富 な 国: 鉱 物 輸 出 研究書は次の通り:アルゼンチンについて Mondino が 2005-10 年 に 総 輸 出 の 20 % 以 上 の 国(World and Montoya (2004); チ リ に つ い て Micco and ; 若年失業率が高い国: Integrated Trade Solution) Pagés (2006);コロンビアについて Kugler (2004); 「若年層過多指数」の得点が 0.90 以上の国.同指数 イ ン ド に つ い て Ahsan and Pagés (2009) と は「若年雇用総数(2010 年)×若年失業率(2001- Gupta, Hasan, and Kumar (2008);ペルーについ 」と 10 年 の 中 位 数 ) ÷ 総 人 口(2010 年,WDI) て Saavedra and Torero (2004);多数の一連の途 して算出.フォーマル化が進む国:年金掛け金拠出 上国について Djankov and Ramalho (2009);ラ 者が労働力全体の 25-75%を占めている国(PDB テンアメリカについて Kaplan (2009).以上とは Provisional Pension Database, February 2012); 対照的に,EPL が雇用ないし失業に顕著な影響がな 高齢化社会:高齢者人口(65 歳以上)が生産年齢 いとされた対象国と研究書は次の通り:OECD 諸 ;小島嶼 人口(15-64 歳)の 8%以上の国(WDI) 国について Baccaro and Rei (2007) と Bassanini 国:人口 200 万人未満の島嶼国(UN Office of the and Duval (2006); ブ ラ ジ ル に つ い て Paes de High Representative for the Least Developed Barros and Corseuil (2004);カリブ 3 カ国につい Countries, Landlocked Developing Countries て Downes, Mamingi, and Antoine (2004);チリ and Small Island Developing States and WDI). について Petrin and Sivadasan (2006).最低賃金 2. Holzmann and Vodopivec 2012. に関して,マイナスの雇用効果が発見された対象国 3. 116 カ国が最低賃金に関係する第 26 号と第 131 号 と研究書は次の通り:ブラジルについて Fajnzylber の条約を批准している.世界銀行の Doing Business (2001), Lemos (2004), Neumark, Cunningham, Indicators 2012 の情報によると,182 カ国を対象 and Siga (2006); コ ロ ン ビ ア に つ い て Arango とする標本中 147 カ国で,19 歳の労働者ないし徒 and Pachón (2004), Bell (1997), Maloney and 弟について最低賃金を設定している. Núñez Méndez (2003); ハ ン ガ リ ー に つ い て 4. Aghion, Algan, and Cahuc 2011;Aghion 他 Kertesi and Kollo (2003); イ ン ド ネ シ ア に つ い 2010;Alesina 他 2010;Botero 他 2004. て Alatas and Cameron (2003), Rama (2001), 5. これは他の分野の規則にも当てはまる.例えば,夜 SMERU Research Institute;トリニダード・トバ 間勤務や残業に関する制限,病気・余暇・出産のた ゴについて Strobl and Walsh (2003).何の影響も めの休暇付与,安全衛生規則などはすべて,労働者 ないとされた国と研究は次の通り:ブラジルについ のために「下限」を設定している. て Lemos (2007); コ ス タ リ カ に つ い て Gindling 6. Boeri and van Ours 2008;Eyraud and Saget and Terrell (2007);メキシコについて Bell (1997) 2008. と Feliciano (1998). 7. 灯 台 効 果 と い う 用 語 を 導 入 し た の は Souza and 14. Micco and Pagés 2006;Petrin and Sivadasan Baltar (1980) である.次も参照:Boeri, Garibaldi, 2006. 292 世界開発報告 2013 15. Card and Krueger 1995. 対する調整が体系的に異なるということはなかった. 16. 若年雇用が最低賃金の引き上げでプラス効果を受 20. Belot, Boone, and van Ours (2007) はプラス効果 けるとした研究もなかにはあるが(例えば,Card を見出しているが,それは労働者が企業固有スキル and Krueger 1995), ほとんどの研究はマイナス効 に投資している環境下に限定されている.Koeniger 果があるとしている.ただし,その程度は通常は控 (2005) と Nickell and Layard (1999) も プ ラ ス の え 目 で あ る( 例 え ば, チ リ に つ い て Montenegro 雇用効果を発見しているが,その結果は推定の仕様 and Pagés 2004; コ ロ ン ビ ア に つ い て Arango に依存していた.Autor, Kerr, and Kugler (2007) and Pachón 2004;インドネシアについて SMERU の発見によれば,雇用保護が増加すると全要素生産 Research Institute 2001; ア メ リ カ に つ い て 性にはマイナス効果があるが,労働生産性に対して Neumark and Nizalova 2007) .最低賃金引き上げ はプラス効果がある.それとは対照的に,Bassanini の結果として,女性の雇用が減少したという事例が and Venn (2008) と Cingano 他 (2010) は マ イ ナ 数件あった(例えば,メキシコについて Feliciano ス効果を発見している.Bassanini, Nunziata, and 1998; コ ロ ン ビ ア に つ い て Arango and Pachón Venn (2009) の発見では,解雇の規則は労働に下押 2004). た だ し,Pagés and Montenegro (2007) し効果をもつが,臨時雇用の使用についてはそうい はチリについて,女性の雇用増加というシフトを発 うことはない.このような研究はすべて先進国のデー 見している.最低賃金の引き上げが低スキル層に タに基づく.Micco and Pagés (2006) は先進国・ 及ぼす雇用効果を研究したものでは,典型的には 途上国両方に関する研究で,労働規則の労働生産性 マイナス効果が発見されている(例えば,Arango に対する影響はロバストではないと結論付けてい and Pachón 2004;Kertesi and Kollo 2003; る.アジアとラテンアメリカの国々に関する研究で, Montenegro and Pagés 2004;SMERU Research DeFreitas and Marshall (1998) が発見したところ Institute 2001).一般的に,小企業の労働者は最 では,雇用保証の生産性に対する効果は状況いかん 低賃金の引き上げで発生した雇用減少に影響される でプラスだったりマイナスだったりする.Bassanini 可 能 性 が 高 い(Kertesi and Kollo 2003;Rama and Venn (2007) が OECD 諸国について発見した 2001).EPL に 関 し て,Montenegro and Pagés ところでは,最低賃金は生産性にプラス効果を及ぼ (2004) はチリについて次のことを発見している:保 す. 護を強化したルールが導入されたことで,男性との 21. Blanchard and Landier 2002;Dolado, García- 対比で女性に,熟練者との対比で若者に,低スキル Serrano, and Jimeno 2002;OECD 2004. 者との対比で高スキル者に悪影響があった.同様に, 22. Almeida and Carneiro 2009. OECD 2004 の各国比較分析では,EPL に関して女 23. Ahsan and Pagés 2009;World Bank 2011b. 性と若者に対するマイナスのインパクトが発見され 24. Kucera and Roncolato 2008. ている. 25. Berg 2011;Fajnzylber 2001;Foguel, Ramos, 17. Alatas and Cameron 2003;Rama 2001. and Carneiro 2001;Lemos 2004; Neumark, 18. 最低賃金に関して,ラテンアメリカに関する多くの Cunningham, and Siga 2006. 研究が賃金平等化の進展を発見している(例えば, 26. 労働市場制度を共同設計する必要性についての分析 ブラジルについて Fajnzylber 2001;コスタリカに 的な議論に関しては Blanchard and Tirole (2008) ついて Gindling and Terrell 1995;メキシコにつ を参照.途上国という環境下における労働市場制度 いて Bosch and Manacorda 2010) . OECD (2011) の設計についての議論に関しては Blanchard (2005) は多数の諸国における平等化の要因として,実質賃 を参照. 金の低下と制限的な EPL の緩和を指摘している. 27. 団体協約によってカバーされる労働者のシェアは, 19. 下記を参照.ヨーロッパ諸国について Messina and 総じて組合員の比率よりも大きい.その理由は,組 Vallanti (2007); コ ロ ン ビ ア に つ い て Eslava 他 合と雇用者の間で交渉された協約が交渉に関与して (2004);OECD とラテンアメリカの諸国について いない他の職場に適用されることがあるからだ. Haltiwanger, Scarpetta, and Schweiger (2008); 28. Hayter 2011. 最 近 の 法 律 改 正 は ILO and OECD 諸国について Bentolila 他 (2011);途上国・ International Institute for Labour Studies (2012) 先進国 60 カ国について Caballero (2004).しかし, に要約されている. Eichhorst 他 (2010) の発見によれば,OECD20 カ 29. 組合賃金効果に関する証拠の要約については,Aidt 国の標本について,EPL の相違によってショックに and Tzannatos (2002) と Freeman (2009) を参照. CHAPTER8 労働政策再論 293 30. DiNardo, Fortin, and Lemieux 1996. ている.例えば以下を参照:レビューについては 31. これは OECD22 カ国にかかわる 1985-2007 年のパ Betcherman, Olivas, and Dar (2004) と Martin ネル・データを使用した回帰分析に基づく.詳細は and Grubb (2001), メ タ 研 究 に つ い て は Card, OECD (2011) を参照. Kluve, and Weber (2010) と Kluve (2010) . 32. Aidt and Tzannatos 2002. Carling and Richardson (2004) や Sianesi (2008) 33. Freeman 2009. の結論によれば,政策が正規の仕事に近いほど,そ 34. Aidt and Tzannatos 2002. れが参加者に及ぼす長期的な雇用力への効果は良く 35. WDR 2013 のために書かれた Betcherman 2012. なる. 36. Forteza and Rama 2006. 60. ポ ー ラ ン ド に つ い て Kluve, Lehmann, and 37. WDR 2013 のために書かれた Chen 他 2012. Schmidt 2008; ル ー マ ニ ア に つ い て Rodriguez- 38. WDR 2013 のために書かれた Chen 他 2012. Planas 2010. 39. 小企業の開発や零細金融は一般的にこのカテゴリー 61. Hashemi and Rosenberg 2006. に入らない.というのは,これは企業家精神の育成 62. Bonin and Rinne 2006.「美しいセルビア」という を目的としているからだ. プログラムは,セルビア・モンテネグロで 2004 年 40. Almeida and others 2012. から 05 年にかけて失業していた弱者層向けに,職 41. Kuddo 2009. 業訓練と建設セクターの公共事業を組み合わせたも 42. 情報提供は人々が入手可能な仕事に出会うのを助け のであった.このプログラムのプラス効果は労働市 ることができる.しかし,もし雇用者が求職者の将 場における実際の成果よりも,主観的な福祉にとっ 来性や能力を十分判断できなければ,情報は市場の てずっと強力であった――前者は取るに足らなかっ 非効率な発信機能を解消できない. た. 43. Bell and Blanchflower 2010. 63. Almeida 他 2012;de Koning, Kotzeva, and 44. Betcherman, Olivas, and Dar (2004) の発見によ Tsvetkov 2007. れば,評価をした賃金補助金のほとんどは雇用も所 64. WDR 2013 のために書かれた Almeida 他 2012. 得も改善していない. 65. Kluve 他,近刊. 45. Betcherman, Daysal, and Pagés 2010. 66. Card, Kluve, and Weber 2010;Hotz, Imbens, 46. Calmfors 1994;Martin and Grubb 2001. and Klerman 2006;Lechner, Miquel, and 47. このような組み合わされたプログラムのプラス効果 Wunsch 2005. に関する証拠については次を参照:Cockx, van der 67. Grosh, del Ninno, and Ouerghi 2008. Linden;Karaa (1998);Katz (1996).Robalino 68. ILO 2010b. and Sanchez-Puerta (2008) もレビューを提供して 69. Boeri and van Ours 2008;Holmlund 1998; いる. Margolis, Navarro, and Robalino 2011; Olinto 48. Almeida 他 2012. 他 2007;Vodopivec, Worgotter, and Raju 49. World Bank 2011c. 2005. 50. Galasso, Ravallion, and Salvia 2004. 70. van Ours and Vodopivec 2006. 51. Kluve, Lehmann, and Schmidt 1999,2008. 71. Tatsiramos 2009. 52. Rodriguez-Planas and Benus 2010. 72. Ribe, Robalino, and Walker 2011. 53. Almeida, Behrman, and Robalino 2012.OECD 73. WHO and World Bank 2011. 諸国に関しては下記を参照:Almeida and Carneiro 74. OECD 2010. (2009);Heckman, Stixrud, and Urzua (2006); 75. OECD 2010. Holzer and Lerman (2009). 76. Do rfm an an d Palacio s 2 0 1 2 ;Ho lzm an n , 54. Attanasio, Kugler, and Meghir 2008. Robalino, and Takayama 2009;ILO 2010b; 55. Premand 他 2011. Robalino 他 2012. 56. Acevedo Alameda, Garcia, and Martinez 2011; 77. Ribe, Robalino, and Walker 2011. World Bank 2008. 78. Cho 他 2012;Rutkowski 他 2005. 57. Blattman, Fiala, and Martinez 2011. 79. Bird and Smart 2012;Levy 2008. 58. del Ninno, Subbarao, and Milazzo 2009. 80. Betcherman, Daysal, and Pagés 2010;Kugler 59. 公共事業の無効性に関する証拠は広く裏付けられ and Kugler 2003;Rutkowski 他 2005. 294 世界開発報告 2013 81. このような観察は WDR 2013 のために実施された Hussami 2011;Farber 2011;Ohanian 2010. FAFO の調査に基づく. 95. Fang, Park, and Zhao 2008. 82. Bärnighausen 他(2007)は中国に関して補強的な 96. Hirschmann 1987. 証拠を提示している:インフォーマル・セクターの 労働者は基本的な健康保険にアクセスするためなら, 参考文献 所得の 5%程度を喜んで支払うとしている. ここでの「processed」という表現は,形式にこだわら 83. この種のアプローチを採用したいくつかの事例が南 ずに再出版された文献を指し,通常,図書館では扱われ アジア諸国で見られる.World Bank 2011d を参照. ていない. 84. Lieberman and Wagstaff 2009. Acemoglu, Daron. 2001. “Good Jobs Versus Bad Jobs.” Journal of Labor Economics 19 (1): 1–21. 85. Babajanian 2012;WDR 2013 のために書かれた Acevedo Alameda, Paloma, Brigida Garcia, and Se- Almeida 他 2012. bastian Martinez. 2011. 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Visser, Jelle. 2011. “ICTWSS: Database on Institu- tional Characteristics of Trade Unions, Wage Setting, State Intervention and Social Pacts in 34 Countries between 1960 and 2007.” Univer- 9 302 世界開発報告 2013 CHAPTER 労働政策を超えて 良い政策を実現するには,ファンダメンタルズが整備されている必要がある.また, 開発効果の高い仕事の創出に対する制約は除去ないし相殺されなければならない.国 境を越えた政策調整が有益であろう.  生活水準改善にとっての必要条件は,民間セクター主導の雇用創出に資する政策環 境である.マクロ経済の安定・献身的な事業環境や人的資本,法の支配などすべてが 必要な要素である.マクロ経済政策が適切であれば,集計値の変動を少なくし,重要 な相対価格を整合的に保つことができる.事業環境としては,民間セクターが操業す るのに必要とされる基本的な公共財――インフラ・金融アクセス・健全な規則など― ―が提供されなければならない.人的資本は良い栄養・健康・教育を通じて形成さ れ,対人関係のスキルを構築する.法の支配は契約の執行を保証する.また法の支配 には,権利の漸進的な実現も含まれており,その権利は,受け入れがたい形の仕事が 成長と共存するような状況を回避するためのものである.これらが,仕事にかかわる . 政策が土台にしているファンダメンタルズである(図 9.1)  ファンダメンタルズだけでは雇用創出を促進し,多数の途上国が直面している仕事 の挑戦に取り組むのに十分ではないだろう.労働政策は妥当な範囲のなかで策定され る必要があり,次の 2 つの崖を回避するようなものでなければならない.1 つは都市 や世界的な価値連鎖のなかで雇用創出を詰まらせてしまう誤った介入策であり,もう 1つは特に最も脆弱な層を中心に発言権と社会的保護が欠如している状況である.  市場は大きな摩擦もなしに機能するが,十分ではない可能性がある.そのような状 況では,農業国で小自作農をより生産的にしたり,紛争の影響を受けている国で若者 向けに十分な雇用機会を作り出したりすることはできない.  しかし,政府の積極的な役割は慎重に考える必要がある.仕事は主として民間セク ターによって創造され,政府の介入が正当化されるのは個人のインセンティブが社会的 目標と合致していない次のような場合である:雇用者が女性に正当な報酬を払っていな ,都市があまりに混雑していて農村 い,若者が公務員になろうと「行列を作っている」 部からの移住者をこれ以上は生産的に吸収することができない,物流コストが高すぎて 国内企業は国際貿易に従事できないなど.このような場合,政府が目指すべきは,個 人・農場・企業が社会のために最善の選択をするのを阻害している制約を除去するよう な政策である.もし制約が正確に特定できないのであれば,あるいは改革が政治的に実 施可能でないのであれば,政策としては制約を直接除去するのではなく,何かで相殺す ることを目指すことができよう.ほとんどの場合,開発のために良い仕事を創出する政 CHAPTER9 労働政策を超えて 303 策というのは労働市場の外に横たわっている. 得にも影響する.最近の推計によると,国内総生  仕事のための国内政策は解決策の一部ではある 産(GDP)が 1%低下すると,失業率が日本では が,国際協調の余地もあるだろう.権利は世界の公 0.19%ポイント,アメリカでは 0.45%ポイント, 共財である――ある一国におけるその侵害は世界を スペインでは 0.85%ポイント上昇する 2. 傷付ける.しかし,ある一国における雇用創出のた  所得扶助の仕組みが限定的な途上国では,マクロ めの政策は,他国の雇用や所得に対してプラスない 経済の不安定性の短期的な影響は,通常は顕在する しマイナスの影響を及ぼす.一方,移民政策は海 失業ではなく雇用の構成について生じる.すなわち 外で雇用機会を生むか,あるいはそれを無くする. 経済の下降はインフォーマルな雇用あるいは家計 労働基準・国際貿易や外国直接投資(FDI)のルー ベースの活動への移行につながり,必ずしも表向き ル・移民協定などが,このような国際的な波及効果 失職するわけではない.したがって,研究ではマク を管理するために利用可能な手段のなかにある.国 ロ経済の変動が失業率ではなく,インフォーマルな 際機関には果たすべき役割がある.それは,健全な 雇用のシェアにどう影響するのかに焦点が当てられ 政策策定が依拠しなければならない仕事に関する高 ている 3 .世界的危機のインパクトにかかわる国別 質のデータを作成し,それを使用するという重要な 事例研究によって,途上国における雇用の強靭性が 世界的プロジェクトの調整をすることだ. 確認されている.しかし,だからといって,途上国 にとってマクロ経済の安定性はあまり関係がないと いうことではない:経済変動は雇用されている労働 者の数には大きく影響しないものの,就業者の所得 と基本的な社会的保護手段へのアクセスには影響す 優先課題 る 4. 労働政策  マクロ経済の不安定性は,しばしば持続不可能な 財政赤字や金融緩和政策の結果である.1980 年代 にブラジルは債務と高インフレの危機に落ち込み, ファンダメンタルズ 経済成長率は急落し,輸出の対 GDP 比も半減し た.1970 年代後半の国際的な金利高騰が引き金と ファンダメンタルズを確立する  大多数の仕事は,フォーマル・セクターだ 図 9.1 明確な 3 層の政策が必要 けでなく,零細企業や農場などの 民間セク ターで作り出されている.民間セクターの投 資や雇用創出にとって適切な条件は,マクロ 仕事の問題を把握する 優先項目 経済の安定・貢献的な事業環境や人的資本, の設定 障害を除去または相殺する 法の支配などである. マクロ経済の安定 「効率の良い高いレベル」に留まる 誤った介入を回避する  成功している発展途上 13 カ国の成長戦略 労働政策 発言権の確保と保護の拡大 の政策要素を評価した上で,雇用・成長委員 「どんな経済 会は次のように指摘している: もマクロ経済的な不安定性のさなかでは繁栄 マクロ経済の安定 事業に適した環境づくり できない.物価水準・為替相場・金利・税負 優れた人的資本がある 担の乱高下は,成長の牽引力といえる民間投 ファンダメンタルズ 法による統治と権利尊重 資にとって重大な抑止力として機能する」1. マクロ経済の不安定性は短期的には雇用や所 出所:WDR 2013 チーム. 304 世界開発報告 2013 なった危機は,その後,地方政府支出の抑制が困難 るが),通貨の過大評価が生じて,輸出多角化にマ であったことで倍加された.しかし,財政の緊縮や イナスのインパクトをもたらすことが確認されて 金融引き締めは魔法の杖ではない可能性がある.財 いる 9. 政赤字は経済成長のスピードにもよるが,いずれに  活気のある輸出セクターを維持し,そうすること しても懸念事項である.しかし,中央銀行の独立性 で国際市場や世界的な価値連鎖に接続した仕事を創 は開発戦略の総合的な整合性に照らして評価する必 出するためには,為替相場の誤った調整を回避する 要があろう.マクロ経済管理の健全性を評価するた ことが必要である 10.途上国の輸出セクターは制 めには,財政・金融政策の経済成長に対する影響を 度的な失敗や市場の不完全性から不当に苦しんでい 5 考慮に入れる必要がある . るという論拠によって,通貨の過小評価を支持する  しかし,すべてのマクロ経済の不安性がみずから 主張がなされてきている 11.しかし,世界中です 招いたものというわけではない.各国がほとんどコ べての国々が同時に通貨の過小評価を享受すること ントロールできない自然災害から海外発の危機に至 は不可能である.また,世界市場に接続した仕事に るまでのショックからも,混乱が生じる可能性があ はプラスの成長波及効果があるという議論は道理に ろう.そうしたショックが発生した場合に備えて, 適っているものの,そのような仕事が必ずしも最高 それを緩和するための予防措置を採用しておくべき の開発効果を持っているとは限らない.各国には女 であろう.しかし,ほとんどの場合,短期的な刺激 性向けに雇用機会を創出することから,都市におけ 策や調整パッケージで対応する必要がある.このよ る仕事の発展を支援することに至るまで,それぞれ うな対応策の有効性は議論を呼んでいる問題であ 相異なる仕事の課題がある.為替相場というのはそ る.被援助 29 カ国の経験に基づく最近の研究は, れを達成するための手段の 1 つにすぎず,そのよ 政府支出が対 GDP 比で 1%ポイント追加的に増 うな千差万別の課題すべてを実現できることは稀で 加すると GDP は約 0.5%ポイント増加すると推計 ある. している.このいわゆる乗数効果は,それが 0.8- 1.5% ポイントの範囲に達するアメリカと比べて著 貢献的な事業環境 しく低い 6 .  さまざまな発展段階にある企業や国について,  マクロ経済情勢が雇用や所得に悪影響を及ぼす フォーマルな民間セクターに対する最も重要な制約 ルートとして,経済の乱高下というのはその 1 つ は首尾一貫しており,それは驚くほどである:金 でしかない.他にも相対価格の不整合というのがあ 融アクセス,インフラ,特定の規則――税金や不当 る.当該国の外国為替所得の急増は通常は通貨の過 競争に関するものを含む――などがそれである(図 大評価につながって,輸入が割安になり輸出が競争 .キスル不足も鍵であるが,それは主として大 9.2) 力を失う.発展途上世界の資源の豊富な国はいつも 企業や特に先進国の場合である. 通貨の上昇圧力に直面している 7.過去 2-3 年間に  金融へのアクセスがあれば,企業は拡大し,新技 わたる商品ブームはこのような圧力を強める一方と 術に投資し,長期的にキャッシュ・フローを平らに なっている.開発を一挙に推進するため,自然災害 する能力が享受できる 12.金融市場には資源をよ に対処するため,紛争後の回復を円滑化するために り生産的な使途向けに配分する,という重要な役割 は,大規模な外国援助を必要としている諸国でも, もある 13 .金融セクターにおける透明性は資源が 通貨の過大評価が生じることがある.例えば,アフ 政治的なコネや経済力をもっている人々に流れるの ガニスタンでは,多角的および二国間ドナーからの を阻止すると同時に,基本的な金融サービスへのア 民生援助が 2010/11 年には,GDP の約 40%に達 クセスを支援する.債務者の履歴について否定的な 8 したものと推定される .アフガニスタンほどの水 事由だけでなく,肯定的な事項も追跡する拡充され 準ではないものの,外国援助が予算の大きな割合 た信用情報機関は,人々がみずからの信用力を証明 を占めている他の諸国にとっても懸念事項である. するのに役立つ.しかし,資金配分における透明性 発展途上の 83 カ国の 1970-2004 年にかかわる分 と競争を確保するためには,規制機関による監視が 析から,援助は成長を促進するが(効果は逓減す 必要である.2008 年の金融危機を受けて,金融セ CHAPTER9 労働政策を超えて 305 図 9.2 金融と電力はフォーマル・セクターの民間企業が直面する主要な制約要因 企業規模 所得水準 制約条件 小規模 中規模 大規模 低所得 低位中所得 上位中所得 高所得 全体 金融へのアクセス 電力不足 技能不足 インフォーマルな競争 税率 最も深刻 2 番目に深刻 3 番目に深刻 出処:IFC 近刊. 注:分析は世界銀行が 106 カ国の 46,556 企業を対象に行った企業調査による.小企業は従業員 20 人以下,中企業は 21-99 人,大企業は 100 人以上. クターにおける規制の適正水準や,慎重さや安定性 行や営業停止に至るまでの ライフ・サイクルのさ と革新や包容性とのバランスを取る必要性につい まざまな段階で企業に影響を与えるものもある 18 . て,白熱した議論が再開している. 規則は,金銭的な事,及び順守に必要とされる時間  妥当な質の手頃な価格のインフラへのアクセス の両面で事業コストに影響を及ぼす.要件を充足す は,企業の成長と雇用創出にとってしばしばもう 1 るとか,手数料を支払うとかいった手続きは,許認 つの最重要なファクターである.電気はより精巧な 可取得の遅延と同じく,企業にとっては負担であ 技術の利用を可能にする.また,家庭の雑事から時 る.規則順守や許可取得に要する時間は同じ場所で 間を解放し,農村部ではそれが女性の雇用を著増さ も企業によって非常に異なり,権限の裁量性や汚職 せる 14.通信はサプライヤー・生産者・顧客の間 の存在が示唆されている 19.規則は,このような における情報のフローを改善し,インターネットや 一般的なコスト指標以外では,入手可能な機会の種 携帯端末の技術は新しいアイディアの普及を円滑化 類やそれがどれくらい広く入手可能なのかにも影響 する.道路は港湾や空港と同じく,市場へのアクセ する.規則は不確実性を軽減したり悪化させたりす 15 スの増加をもたらす . るが,競争の程度,したがって,経済のなかにおけ  多くの途上国では,粗悪なインフラが特に深刻な る産業の構造に対して,より深い影響力をもつこと 挑戦課題となっている.しかし,問題の一因は追加 ができる. 的な施設や道路を建設するための資金不足だけでな  事業規則は競争の程度に影響するため,革新し く,インフラ・サービスの規制方法にある.ある推 生産性を上げるための圧力を形成する.競争は資 計によれば,サハラ以南アフリカの最近の成長の半 源を非効率的な活動から,もっと生産的な活動に 分以上はインフラ改善によってもたらされた 16.し 再配分することに寄与する.ある産業を保護した かし,インフラ・サービスについて残っている大き り新規参入者を阻止したりする規則は,産出や雇 な格差を埋めるには,支出や修繕維持の管理・価格 用増加を失うという点でとりわけ高くつく 20 .企 設定政策・規則の改善に基づく効率性の引き上げが 業の参入に対する規制は,各国共通に生産性や企 必要であろう.多くの国におけるインフラが下位の 業の創出と逆相関関係にあり,回転率が総じて高 セクターでは,世辞的なコネに基づく独占が,活発 いセクターでは影響を大きく受けるようになって な競争が許容されている地域に比べて,提供サービ い る 21. メ キ シ コ で は, 参 入 要 件 の 緩 和 を 受 け スの量的な減少,価格の上昇,質的な低下をもたら て,企業登記や雇用が増加し消費者物価が低下し 17 しいている . た.この効果は既存のインフォーマル企業のフォー  規則は企業が成長する機会に影響するもう 1 つ マル化ではなく,主に新規企業の設立を通じて実 の分野である.規則のなかには,特定の活動を奨励 現された 22 .参入要件の緩和には,投資促進や貿 したり,あるいは阻害したりするというような活動 易物流などその他の規制改革を組み合わせた方が, のルールを決定するものもあれば,起業から契約執 参入要件の緩和だけよりも有効なようである 23 . 306 世界開発報告 2013 人的資本 改善することができる.支援が遅ければ遅いほど,  人々の栄養・健康・教育についての良い成果はそ 子供を正常な発達軌道に戻すことが困難かつ高価に れ自体が開発の目標でもある.というのは,それは なる.ルーマニアでは,体制移行した初期の頃,孤 人々の生活を直接改善するからである.また,生産 児の認知に関する成績は,国立孤児院からの退院年 的な雇用に向けて人々に準備をさせ,雇用の機会を 齢が高いほど低かった.このような施設では社会 切り開くのである.さらに,この雇用の経路を通じ 的・情緒的・認知的な面での孤独が一般的だったの て,人的資本は経済的・社会的な進歩を牽引する. である 31. 成長・開発委員会によると,「長期間にわたって高  基盤は早くから築かれるものの,人的資本やスキ 成長を維持したすべての国は,国民の学校教育と人 ルは幼児期・若い成人期・職業生活の全般を通じて 的資本の深化に多大な努力を払っている」24. 形成が継続する.学校教育は思春期が終るまで,認  人的資本と仕事との結び付きは多面的である.世 知的・社会的スキルのいっそうの発達にとって根本 界中に次のことを示す揺るぎない証拠がある:学校 的であるが,学習能力は肉体的・精神的な健康に 教育年数が 1 年増えると労働所得は大幅に増加し, よって形成され続ける.社会的スキルは思春期と早 この所得プレミアムは教育程度の高い労働者による 期成人期を通じて順応的にとどまる 32.若い成人 生産性の向上を反映したものである 25 .栄養・健 は高等レベルのものも含めて,より専門的なスキル 康・教育は一緒になってスキルや能力を形成する. の構築を継続することができるが,その成否は多種 それが中長期的に生産性の上昇や貧困の削減に連動 多様な課題や問題解決の環境を学習し,それに適合 26 していることは明らかである .健康的であれば, するのに必要とされるジェネリック・スキル(基礎 それは直接的に労働生産性を押し上げる.例えば, 的汎用スキル)を修得しているかどうかに依存す マラリアが蔓延しているところでは,労働者は年 2 る.このような能力はもっとダイナミックな経済で 回は発熱の発作に襲われて,そのたびに 5-10 日間 は特に重要である. 27 の労働日を失う .エチオピアの農村部では,皮  証拠の示すところでは,残念ながら,多くの諸国 膚寄生虫症に罹患すると労働者の所得は 10-15% は子供や若者の人的資本構築を怠っている.それを 減少する 28 .したがって,人的資本というのは望 提供する制度の質は,基本的な社会サービスへのア ましい仕事の成果にとって基本的な要素になってい クセス拡大と歩調がそろっていない.例えば,低 るといえる. 所得国の教育をみると 2010 年までに,初等学校の  人的資本の形成は累積的である.各段階が前段階 ネット就学率は 80%に達し,同修了率は 68%とな に依拠する形で,連続的・段階式に進展するライ り,前期中等学校のグロスの就学率は 50%を超え フ・サイクルのプロセスである.決定的に重要なの た 33 .しかし,学習の成果は明らかに後れを取っ は出生から 2 歳になるまでの 1,000 日間の栄養で ている.2009 年に「OECD 生徒の学習到達度調 ある.この期間における脳の発達が生涯を通じて, (PISA)に参加した途上国の過半では,15 歳 査」 29 身体の健康・学習能力・社会的行動に影響する . の生徒のうち少なくとも 20%は機能的に読み書き 幼い時期に子供のすべての基本的な脳や心理の構造 ができない.キルギス・パナマ・ペルー・カター が発達し,その後の成長や学習はそれに依存するこ ル・チュニジア・PISA に参加したインドの 2 州を とになる.幼児期の発達障害は認知発達に著しいマ 含む多くの諸国で,15 歳生徒の 60%以上がこの水 イナス効果を及ぼすことが判明している.例えば, 準にさえ到達しなかった.同様に,第 2 学年の終 ヨウ素不足は脳の発育不全につながる可能性があ りに実施された読みのテストで次のことが明らかに り,また認知面への刺激が不足すると学習能力が削 なった:多種多様な諸国において,相当大きなシェ 減される.子宮にいるときから生後 2-3 年間の養 アの生徒が 1 つの単語も読めなかった――同シェ 育環境を通じて十分な栄養・健康・認知刺激が与え アはホンジュラス農村部の学校では約 30%,ガン られることは,後の教育投資の収益率を著しく高め ビア 50%,マリ 80%強であった 34.したがって, 30 る .貧困に生れついた幼い子供をこの極めて重 就学関連の数字は必ずしも現実の学習やスキル構築 大な発達局面で支援すると,機会の平等性を大幅に を知らせるものではない. CHAPTER9 労働政策を超えて 307 法の支配と権利の尊重 図 9.3 法の支配は発展と関係がある  法の支配を支持する制度が存在している 2 国々は,どこをみても発展段階が高くなって いる(図 9.3)35 .財産権や制度的なメカニ 1 ズムが明確であれば統治が強化され,企業が 法の支配の得点 喜んで投資をし,契約を結び,新しい雇用を 0 生む環境が作られる.そのような環境の中な ら,人々は新しい企業を設立し,企業家にな るのに必要とされるリスクをとることに前向 ‒1 36 きになる公算があろう .  所有権の尊重と開発の間には繋がりのある ‒2 200 3,000 60,000 37 ことが十分に立証されている .財産権は 1 人当たり GDP(2000 年の不変ドル価格) 民間セクターの成長を促進する.というの 出 所:World Development Indicators 2010 (database) World Bank, Washington, DC; は,企業は自社の資産が盗まれたり没収され World Governance Indicators 2010. たりことを恐れずに,投資することができる 注:GDP= 国内総生産.法の支配の得点は主体が社会のルールについて抱いている信 頼の程度を示す指数.同ルールには以下が含まれる:契約の執行・財産権・警察・法 からである.契約を執行できる能力は潜在的 廷に関する質に加えて犯罪・暴力の可能性. なサプライヤーや顧客の輪を広げる.という のは,信頼の確立においては個人的なコネは重要度 欲を高めるであろう 44. が低下するからだ 38 .自分の財産権が安全だと信  権利を尊重する制度的な環境というのも,法の支 じている企業家はそうでない人に比べて,利益のよ 配にとってもう 1 つの必須部分である.ILO の中 り大きな部分を再投資する 39.財産権の確実性を 核的労働基準は児童労働・強制労働・差別や結社の 高めるためには,しばしば有効な権利付与と登記の 自由・団体交渉などの分野において,何が許容され プロセスを設定することが必要とされる.知的財産 ないのかについて指針を提示している 45 .職場に を含め,その他の種類の財産を価値評価し保護する おける衛生安全も政府や雇用者による関心を必要と ためのメカニズムも重要である. している.基準が実際に執行されていることを確保  犯罪や暴力の蔓延は開発や雇用創出にとって破滅 するためには,労働者と雇用者の双方に情報へのア 40 的である .無法状態は企業を遠ざけ,内外の投 クセスを提供することが必要である.情報があれ 資を阻害する.国際的な投資環境調査による一貫し ば,労働者は雇用者や仲介業者の責任を問うための た発見では,犯罪と汚職が事業運営にとって障害 能力や意欲を増やすことができる.また,全関係者 41 である .制度が包容的で応答的であれば,暴力 に対して己の責務を確実に認識させることができ 的な行動の削減につながり,安全性と確実性が高ま る.執行と苦情処理のための制度強化ももう1つの る.ホワイト・カラー犯罪や不正行為を探知して起 必要な基本事項である. 訴する努力を強化すれば,腐敗を削減することがで  権利や基準が維持されることを確保するために きる. は,獲得された権利を実施するだけでなく,正式な  有効な司法制度というのは,財産権を執行し,犯 法規則の枠外にある仕事に従事している労働者向け 罪や腐敗を削減するための重要な要素である.独立 に,対象範囲を拡大することに焦点を当てる必要が 的で説明責任を負った公正な司法は,取引を統治す ある.インフォーマルな労働者に情報を提供し,法 るルールを執行し,成長にかかわる費用便益の公正 的メカニズムへのアクセスを助け,集団的発言権を な配分を確保することによって,民間セクターの成 付与するということに関しては,同労働者の協会が 42 長や雇用創出に寄与することができる .良い司 一定の役割を果たすことができるだろう.しかし, 法制度は,企業のために契約を執行し,取引コスト 往々にして,情報だけでは十分ではない.ラオスの を削減し,安全で予測可能な事業環境を生み出すこ 衣服労働者はこう指摘している:雇用の基本的条件 43 とができる .有効な法廷の存在は企業の投資意 については確かに説明を受けたが,すべての詳細や 308 世界開発報告 2013 権利の執行方法に関しては必ずしも理解できなかっ 第 1 に,国の状況を評価して,仕事に関して直面 46 た .インフォーマルな労働者の団体は権利や基 している課題を詳細に特定しなければならない.第 準に関して労働者が理解したり評価するのを支援で 2 に,開発効果が最大の仕事が個人にとって本当に きるだけでなく,個人やグループに代わって事案を 最も魅力的かどうか,あるいは企業にとって最も儲 47 裁判にかけることもできる . かるかどうかを検討する.仕事の個人的価値と社会  説明責任制度の質は労働者の権利が実際に執行さ 的価値が等しい,すなわちインセンティブが整合的 48 れる程度に影響する .法廷手続きはしばしば長 であれば,開発のために良い仕事に不足はないはず 期間にわたり高価であるため,公判に先立つ和解, で,介入策は不要であろう.第 3 に,インセンティ 調停,仲裁などのような紛争解決のための代替的メ ブの不整合性につながっている制度的な失敗や市場 カニズムがあれば,司法や苦情処理へのアクセスを の不完全性が,特定できるかどうかを決定する.第 49 拡充することができる .このような代替メカニ 4 に,政治的に実現可能な改革によって,このよう ズムは費用の高さやその他の障壁のせいで,裁判制 な失敗や不完全性を除去ないし是正できるか否かを 度を利用できない労働者にとって特に貴重である. 判断する.もし否なら,最後のステップは,他の政 策を通じてインセンティブの整合性をとるべきかど うかを評価するということになる(図 9.4). 優先課題 第 1 ステップ:開発のために良い仕事は何なのか? 特定国の状況において仕事からの開発効果を評価 労働政策 することが,優先課題を特定するための重要な第 1 ステップである.効果が最大になる仕事の性格は, ファンダメンタルズ 国の特性――発展段階・賦存状況・制度などが含ま れる――によって異なる.仕事における課題も農業 国・紛争の影響下にある国・資源の豊富な国・高若 年失業率国・それ以外の特徴がある国などに応じて 違ってくる.しかも,開発に最大の効果をもたらす 仕事に対する政策の優先課題を設定する 仕事も違ってくるため,多種多様な仕事の課題がも  ファンダメンタルズが整備され,労働政策が妥当 たらされる. な範囲で策定されるのを確保するのに加えて,政策 当局は仕事から出てくる開発効果の実現を後押しす 第 2 ステップ:このような仕事は十分あるか? 開 ることができる.生活水準・生産性・社会的一体感 発のために良い仕事を創出することについて,制約 などに対する効果は仕事に応じて異なる.どの仕事 に直面しているかどうかは必ずしも明確ではない. がどうなのかは当該国の状況――発展段階・人口動 例えば,軽工業は女性向けに雇用機会を提供し,貧 態・資源の状況・制度など――に依存する.ある状 困削減に顕著な影響をもたらす.仮にブーム下にあ 況下では,開発のために良い仕事の出現には何の制 るとすれば,新規の製造業職に伴って開発効果が実 約もなく,特別な政策は必要としない.他の状況下 現するだろう.もしそうなら,ファンダメンタルズ では,政府はこのような仕事の創出を増やそうとし を整備し適切な労働政策を採用する,という以上の ている民間セクターを支援することができる.時に 政府介入策は正当化が難しい. は,開発効果の大きい仕事の創出を阻害している既  開発のために良い仕事が個人にとって十分な見返 存の制約を除去することが可能な場合もあるし,ま りをもたらさない,あるいは農場や企業にとって十 た政策として制約を回避する必要があるかもしれな 分儲からない場合,ここにはインセンティブの不整 い. 合性が存在する.仕事の個人的・社会的価値の格差  政策の優先課題を設定するのに単純なアプロー を特定するにはデータや分析が利用できる.確か チは一連のステップを1つずつたどることである. に,開発経済学の多くの重要な分野がこのような格 CHAPTER9 労働政策を超えて 309 図 9.4 優先順位の設定を支援するフローチャート 介入は 必要ない 制約条件を 除去する 手順 4 手順 1 制約条件は はい 開発に資する良い 除去可能か 仕事とは何か 制約条件の いいえ 相殺 これらの仕事は はい 制約条件は はい 制約条件は はい 十分あるか 特定可能か 克服可能か いいえ いいえ いいえ 介入戦略の 立案 手順 2 手順 3 手順 5 出処:世界開発報告 2013 担当チーム. 差を取り扱っている.例えば,資本と労働の税負担 は典型的には市場の不完全性と制度的な失敗から生 を測定し,個人間ないし企業間の相互補助を評価す じている.そのせいで人々は社会的な観点からは最 るためには,公的財政の分析手段を適用することが 適以下の仕事で働かざるを得ない,企業としては できる.特定グループの労働者について,実際の所 開発にとって良くない仕事でも創出せざるを得な 得と潜在的な所得の格差を明らかにするためには, い,または,仕事を通じた人々の結び付きが社会的 労働経済学の手法が使える.貧困層に機会を提供す に望ましい水準を下回らざるを得ない.しかし,そ る可能性の高い仕事の種類,あるいは雇用創出が貧 のような制約がどこにあるかを発見するのはやさし 困削減により大きな影響を与えそうな場所を特定す いとは限らない.例えば,一連の広範な文化的・社 るには,貧困分析が有益だろう.FDI 会社・世界 会的・経済的な潮流は,女性にとって雇用機会が不 市場に接続した企業・機能的な都市における雇用か 十分な結果をもたらす公算があろう.同様に,都市 らの波及効果を定量化するには,生産性の研究が役 を機能的にするのに重要な障害が土地市場にあるの に立つだろう.環境に関する研究は各種の仕事が生 か,都市開発を調整する制度的な取り決めにあるの み出す炭素足跡や汚染を解明してくれるだろう.そ か,あるいはインフラをファイナンスするための歳 して,多種多様な価値観調査を分析すれば,どの種 入を調達する能力にあるのかどうかについて,特定 類の仕事がネットワークにリンクしていて,社会的 するのは困難であろう. アイデンティティを提供しているかを発見すること ができる. 第 4 ステップ:制約は除去できるか? 仮に不整合 なインセンティブにつながる制度的な失敗や市場の 第 3 ステップ:制約は特定できるか? 個別種類の 不完全性が特定できたとすれば,改革を検討すべき 仕事にかかわる個人的・社会的な価値がなぜ違うの である.問題の根源である失敗や不完全性に改革の かを理解することが次にくる.この種の格差が指摘 狙いを定めるのが,良い経済原則というものであ しているのは,仕事からの波及効果で未開拓なもの る.改革が技術的・政治的に実行可能であれば,政 が存在しているということである.このような格差 策当局としては開発のために良い仕事の創出増加を 310 世界開発報告 2013 ボックス 9.1 女性の労働力参加はどうしたら増加するか?  途上国のなかには,女性の労働力参加について注目 りを修正することができる.このような投資や介入は すべき増加を比較的短期間のうちに経験したところが 次の 3 つのグループに分類できる.第 1 は,女性が いくつかある.その変化がラテンアメリカよりも速 家事に相当な時間を割かざるを得ない原因となってい かったところはどこにもない.1980 年代以降,7,000 る各種サービス(電気やデイケア施設など)の欠如に 万人以上の女性が労働力に参加し,女性の労働力参 取り組む.第 2 は,女性が教育・資本・土地などの 加率は 36%から 43%に上昇した.コロンビアでは, 生産的な資産を蓄積しやすくして,生産性の高い市場 この比率は 1984 年の 47%から 2006 年には 65%に 活動への参入を促進する.第 3 は,バイアスのある 上昇した.それとは対照的に,中東・北アフリカで 慣行,あるいは差別的な慣行に関するものであり,女 は,女性の労働力参加率は過去 30 年間にわたり,年 性が平等な雇用機会をもつのを阻害する規範や規則を 0.17%ポイントずつしか上昇していない. 排除する.  最近の研究は,このような急速な転換は人口動態・教  このような 3 種類の対象を絞った投資や介入につ 育・景気循環などではなく,子持ちの既婚女性ないし いては成功事例がある.育児の公的供給ないし補助金 同棲女性の間における労働力参加率の上昇が原因であ 供与は,女性が市場性の仕事に従事している場合に, ると主張している.しかし,これは直接的な政策介入 自宅で負担するコストを削減することができる.実 ――および同正当化――の余地が限定的で複雑な分野で 例としては,メキシコの保育所(estancia infantile), ある.例えば,ヨルダン川西岸・ガザでは,特に既婚 コロンビアの公共託児所(hogare comunitario),ア 者を中心に女性の労働力参加率は非常に低い.しかし, ルゼンチンとブラジルにおける類似プログラムなどが インドネシアなどの諸国では参加率が高いので,これは ある.インフラ・サービス――特に水と電気――が改 機械的に宗教が原因だとするわけにはいかない.女性に 善されれば,家事や介護に費やされている女性の時間 は参加する意欲と能力があるにもかかわらず,他の社会 は解放されるだろう.例えば,南アフリカ農村部では 的な規範や規則がそれを阻害しているようである. 電化のおかげで,女性の労働力参加は約 9%増加した.  社会的態度に影響を与えることができる余地は限定 政府の土地配分登記制度の機構など,サービス提供制 的ではあるが,他の分野における公的な政策やプログ 度におけるバイアスを是正すれば,女性は資産を所有 ラムが重要な役割を果たす,ということを示唆する証 したり相続したりすることが可能になるだろう.最後 拠がある.また,次のことも示唆されている:社会的・ に,積極労働市場政策の活用,ネットワークの促進, 物理的なインフラに対する対象を絞った投資と介入策 差別的規則の撤廃なども,仕事を女性にとって見返り を組み合わせると,女性の労働力参加と所得への見返 の多いものにするのに重要である. 出所:次に基づく WDR 2013 チーム:Amador 他 2011;Chioda 2012;World Bank 2011i. 阻害している重要な制約に直接取り組むべきであ 様に,もし政治的に議論を呼ぶ規則が労働をより生 る. 産的な活動に再配分することを阻害しているなら, 都市部のインフラや物流が都市の仕事や世界市場に 第 5 ステップ:制約は相殺できるか? 改革は技術 接続した仕事の魅力を高めることができるだろう 的・政治的に実施不可能なことがある.あるいは, (質問 9).しかし,制約を除去することも相殺する 仕事にとっての制約が特定できないかもしれない. こともできない場合がある.それなら選択肢のより そのような場合の代替策は,雇用創出のためのイン 深い分析や鍵を握っている利害関係者の取り込みを センティブを回復できる相殺的な政策を実施するこ 含む関与戦略が必要であろう. とであろう.例えば,仮に広く普及している強固な  制約を除去ないし相殺するための政策策定は選別 前例や信念のせいで女性は働くのが困難だとすれ 的で,健全な公的財政の原則で支持されていなけれ ば,社会的・物理的なインフラに対象を絞った投資 ばならない.政策オプションの費用便益を評価する や介入策を通じて,女性の雇用力を高めることに努 必要があるが,開発インパクト全体を指針の目的に 力を払うことができるだろう(ボックス 9.1).同 するのであれば計算が違ってくる.また,その方が CHAPTER9 労働政策を超えて 311 よりむずかしい.例えば,紛争の影響下にある国に 済改革プロセスの初期段階にあったベトナムはこの おける元戦闘員向けの雇用プログラムは,参加者の 挑戦の明確な例証になっていた.信頼できるデータ 所得増加がプログラム・コストを正当化するかどう が存在している初年度の 1993 年をみると,雇用の かで評価できる.しかし,平和構築に対する潜在的 70%は農業であり,人口の 58%は貧困のなかで暮 なプラス効果を盛り込むためには,詳しい説明が らし,飢餓が発生する可能性も低いわけではなかっ 必要であろう.コンゴ民主共和国では,元戦闘員 た 51.それから 20 年後ベトナムは,輸出では,コ 向けの社会復帰プログラムのコストは 1 人当たり メについてはタイに次いで世界第 2 位,コーヒー 約 800 ドルであった.そのようなプログラムは伝 についてはブラジルに次いで世界第 2 位,ゴム・ 統的な基準ではコスト効率が悪いと判断されよう. カシューナッツ・海産物では世界最大となった.貧 それでも実施する価値があるかどうかは,政策当局 困率は 2006 年までに 16%へと低下したが,これ が社会的一体感の利益に認める暗黙の価値に依存す は世界で最も速い低下記録であった.このような る.仕事からのこのような波及効果は正確な測定は 20 年間にわたる加速度的な発展を受けて,ベトナ 不可能かもしれないが,政策決定を透明にするため ムは最貧国のカテゴリーを脱して,成長の上向き傾 には,少なくとも記述しておくべきである. 向が見込まれる下位中所得国に仲間入りした.  非効率な農業国から強力な輸出国へというベトナ ムの転換は土地改革から始まった.1980 年代後半 仕事の課題も政策の優先課題もともに千差万別 から 90 年代前半にかけて,同国は当初は地方自治  開発にとって良い仕事を創出する際に制約となっ 体が共有地を個人家計に再配分することを認め,そ ているものをプロトコルに従って特定し,それを除 の後,個人に土地使用権を適用することによって, 去ないし相殺するというのは,抽象的に聞こえるか 集団主義体制を放棄した.農村家計への土地委譲は もしれない.しかし,実際にこうして成功した諸国 特に北部を中心に驚くほど平等であった 52.1993 がいくつかあり,その経験から直接学ぶことがで 年になると,土地使用権は譲渡・交換・抵当・相続 きる(ボックス 9.2).ベトナムやルワンダ,チリ, が法的に可能とされた.土地改革はドイ・ 「刷 モイ( スロベニアなどの話は次のことを示している:政策 新」の意)といわれる広範囲にわたる改革パッケー は開発効果の大きい仕事の創出を有効に支援するこ ジであり,それは中央計画制から社会主義型市場経 とができる.このような諸国はそれぞれ多種多様な 済への移行の一環であった 53 .同パッケージには 仕事の課題に直面していたので,その政策選択は同 ほとんどのセクターに関する参入障壁の漸進的撤廃 じような仕事の課題に直面している他の諸国にとっ や,農産物の商業化も盛り込まれていた.競争のた ても適切であろう.マクロ経済の安定を確保し,事 めに農場出荷価格は国際価格にぐっと近付いた.農 業環境を改善し,法の支配を順守することによっ 業指導助言サービスの強調と組み合わさって,土地 て,ファンダメンタルズを整備するということが, 改革と規制緩和は非常に小規模な農業区画でも,農 4 つすべての事例において際立っていた.4 カ国は 業生産性の急上昇へとつながった. すべて労働の政策や制度を合理的な範囲内に収めて  並行して,政策は農業外の分野で雇用機会の創出 いた.しかし,彼らが狙いを付けた主要な制約は労 を目指した.ベトナムの外国投資家向け開放は,天 働市場のなかにはなかった,ということが多くのこ 然資源採取や軽工業など選別されたセクターを手始 とを物語っている. めとして,やがて 2007 年の世界貿易機関(WTO) 加盟という状況下で,より広範囲にわたって実施さ 農業国:ベトナム れた.FDI 登録件数は 1992-94 年のわずか 2 年間  農業の生産性を引き上げて,それによって,労 で 4 倍に増加し,FDI 流入額は 2007 年まで一貫 働者の一部を解放し,彼らが農村部の農場外の雇 して対 GDP 比で 8%を超過していた 54.当初,外 用で働き,最終的には都市に移住できるようにす 国投資家は国有企業(SOE)とパートナーを組ん ることが,農業国が直面している主要な課題であ だ.これはまだ過渡期にあった法律制度が複雑だっ る.1980 年代後半から 90 年代前半にかけて,経 たからである.しかし,SOE も独自の事業決定を 312 世界開発報告 2013 ボックス 9.2 仕事の挑戦への取り組みについては世界中に成功事例が多い  韓国は都市化が進む国の集積・統合効果を引き出 つである c.世界商品市場のブームと競争力のある為 a す政策を効果的に利用した .1960 年には人口のほ 替相場に助けられて,同国経済は 2008 年の金融危機 ぼ 4 分の 3 が農村部に住んでいたが,2000 年までに 以前は年率約 5%で成長していた.しかし,他の急成 同 5 分の 4 が都市部に居住するようになった.現在 長を遂げている諸国とは違って,ブラジルのフォーマ 人口 1,000 万人以上の大きさになったソウルは,特 ル・セクターにおける雇用創出はインフォーマル・セ に 1980 年代後半から 90 年代半ばにかけて,同国全 クターの 3 倍であった.危機以前のちょうど 5 年間 体の成長の原動力であった.多数の産業クラスターが で,総雇用に占めるフォーマルな雇用のシェアは約 首都の近隣地帯に設立された.農業から軽工業へ,さ 5%ポイント上昇した.ある意味で,ブラジルにおけ らには高付加価値産業へという仕事の移行には,注意 る「フォーマル化」の進展は予想外であった――厳し 深く設計され段階的に実施された都市開発政策が伴っ く規制された企業セクターと高価な労働システムを抱 ていた.最初に土地開発プログラムが確立され,その えていたからである.その急速なフォーマル化は最近 後には土地利用規則の制度,さらに包括的な都市計画 のことであるため十分解明されてはいないが,プログ が続いた.住宅・輸送政策が都市化に伴う負の経済を ラムや規則を簡素化し,その対象範囲を拡張する努力 抑制した.韓国の都市部のハブが世界的な視点で統合 が要因になったようである.政府は非拠出型プログラ されたことが,同国の成長ダイナミックにとって中核 ムを通じて,社会的保護制度の適用範囲を拡大した. 的な牽引力となった.同国は構造転換を支援するため また,小企業向けの税制を簡素化し,企業向けに労働 に,スキルに大規模な投資を行った.成人人口の教育 者のフォーマル化のインセンティブを増やし,租税や 年数(中位数)は 1960 年の 4.3 年から 2010 年には 労働にかかわる規則の執行を改善した. 11.8 年に増加した.国際的なテストの得点で韓国は  高齢化社会では,老年人口指数の上昇が 1 人当た OECD 諸国のなかでトップとなった.これは 15 歳の りの平均生産性を削減すると同時に,高齢者介護コス 生徒にかかわる読み・数学・理科のテストである. トの増大が生活水準を侵食している.しかし,このよ  小島嶼国は規模・孤立・気候リスクが特徴である. うな課題に取り組むのに必要な改革は政治的に実施が このような場合,集積や世界的統合から生産性の利益 困難で,しばしばむずかしいトレードオフを含んでい を享受するのはとりわけ挑戦的な課題である.トン る.ポーランドは成功するために,いくつかのステッ ガは世界経済に接続するための積極的な手段として プを踏んだ国の例である d.世紀の変わり目までに, b 移民を使っている .約 10 万人と本国とほぼ同数の 労働力参加率は早期退職や障害にかかわる年金受給者 トンガ人が海外に居住している.送金が GDP の推定 の割合増大を受けて低下しつつあった.しかし,新規 32%を占め,80%の家計に行き渡って,教育水準と 受給者の増加を抑制するための諸改革が就業率の上昇 生産的投資を押し上げている.2007 年にニュージー (2006 年の 60%から 09 年の 65%へ)につながった. ランドは認定季節労働者(RSE)プログラムを打ち 2005 年に施行された障害年金の適格ルール変更は新 出した.これは太平洋諸国からの季節労働者向けに, 規受給者の発生を大幅に削減した.2009 年の年金改 園芸やブドウ栽培で働く暫定的な機会を提供する.参 革では早期退職の選択肢への取り組みが行われた.こ 加者の家計にとって,プログラムは最高 38%までの の改革で老齢年金の給付は平均余命が増加するにつれ 所得増加,耐久消費財の購入増加,広範囲にわたる福 て,下方調整されることになった.したがって,当該 祉改善などをもたらしている.RSE 労働者は所得に 国の年金制度は長期的にみて,財政的に持続可能性を 加えて,新たに修得した園芸技術の知識,コンピュー 維持できるものと期待される.しかし,その持続可能 タ・リテラシー,英語スキルを持ち帰った. 性はコストを伴った:退職時所得との対比でみた給付  フォーマル化が進む国では社会的保護制度の適用範 は EU の平均を大幅に下回るようになった.2012 年 囲が,先進国に典型的な水準にまで上昇することが期 には年金改革の新しい波を受けて,退職年齢は現在の 待できるだろう.しかし,コストは高い.インセン 男 65 歳・女 60 歳から男女とも 67 歳に引き上げられ ティブを歪め,生産性の足を引っ張るリスクも大き た.この引き上げは財政的な持続可能性に悪影響を与 い.ブラジルは急成長できただけでなく,その過程で えることなく,給付水準を引き上げる助けになるべき フォーマル・セクターを拡大することもできた国の 1 だろう.しかし,すべての年齢層の不活動者や失業者 CHAPTER9 労働政策を超えて 313 ボックス 9.2 仕事の挑戦への取り組みについては世界中に成功事例が多い(続き) 向けに,労働市場参入規制を緩和する政策やプログラ き続き主としてインフォーマルな取り決めに依存する ムは控え目なものにとどまっており,そのインパクト ことになるが,改革がようやく公然と議論されるよう は依然として不透明である.また,長期保健ケアは引 になっている. 出所:WDR 2013 チーム. a.Park 他 2011;Yusuf and Nabeshima 2006. b.Gibson, McKenzie, and Rohorua 2008;World Bank 2010a. c.Fajnzylber, Maloney, and Montes-Rojas 2011;OECD and ILO 2011. d.Styczynska 2012;World Bank 2011b. 行う柔軟性が徐々に与えられるようになると,多く る 61.多くの元戦闘員は引き続き社会的・心理的 は完全に,あるいは部分的に民営化された.世紀の な困難を経験してはいるものの,伝えられるところ 変わり目になると,特に衣服・履物・器具・消費者 では,隣人との関係は良好で,信頼が改善しつつ 向け電子製品などの分野を中心に,FDI では新規 あった.2012 年現在,元戦闘員の 73%は社会復 55 投資が標準的となった .このようなセクターの 帰に満足を表明し,コミュニティ構成員の 85%は 企業は大勢の労働者を雇用している.重要な挑戦課 両グループの間には信頼があると感じていた 62. 題は残っているものの,ベトナムは今や急速な都市  元戦闘員の人数はルワンダの総人口 1,000 万人の 化が進展している国であり,それが同国の更なる成 なかではわずかなシェアを占めるにすぎないが,仕 功の証となっている. 事を通じた融合は社会的一体感の面で成果を上げ, 同国が前進するための基盤を確立した.ルワンダは 紛争の影響下にある国:ルワンダ これを出発点として,制度や事業規則にかかわる  現在のルワンダは 1990 年代半ばの戦争や集団殺 改革を通じて,民間セクターの活性化を図った 63. 害からは遠く隔たっているようにみえるが,このよ 政府による民間セクターの開発戦略の好例は,規制 うな驚くべき転換には「仕事」が貢献した.紛争は 緩和と新技術への投資を通じてコーヒー産業を活性 社会と経済に深刻な影響を及ぼした.大規模な人命 化するという決定であった.その決定が新たな雇用 の損失,インフラの破壊,国家制度の危機,50% 創出につながっている 64.ルワンダは依然として を超える GDP の落ち込みなどが生じた 56 .紛争 仕事の課題に直面している.総人口の 80%強が生 の終焉と積極的な改革パッケージを受けて,ルワ 産性の改善が必要な自給自足農業と家内企業で働 ンダの経済は 2000 年までに危機以前の水準に戻っ いている.また,農場外雇用も拡大の必要があり, 57 た .成長は持続しており,2011 年には 8.8%に 現在はまだ小さい製造業セクターの成長が助けに 達したと推定され,貧困率は 2005-10 年に 12%ポ なるだろう 65 .しかし,雇用を通じた経済的な再 58 イント低下した . 融合と社会的な一体感が,将来の進展に向けて基礎  紛争から復活してきた諸国における持続的な雇用 を確立している 66 . 創出の前提条件は,平和を確実にし,暴力の再発リ スクを削減することにある 59.紛争終結を受けて, 資源の豊富な国:チリ ルワンダ政府は 5 万 4,000 人を超える元戦闘員の  資源の豊富な国の多くは多角化がうまくいかない 動員解除と社会復帰を支援した.元戦闘員は現金援 ようであり,不適当な統治に悩まされている.しか 助・カウンセリング・職業訓練・教育・所得創造活 し,チリは顕著な例外であり,銅の資源に関しては 動に向けた支援・コミュニティ構成員を巻き込んだ 抜け目のない経営手腕を発揮している.2010 年現 60 社会復帰活動などの組み合わせを享受した .紛 在,チリは世界の銅埋蔵量の 28%,同生産の約 3 争終結から 10 年以上が経過し,ほとんどの元戦闘 分の 1 を占めている.また,世界の銅輸出のうち 員は職業訓練に参加したり,ルワンダの他の人々と 17%を占めている 67.しかし,経済のなかで銅は 同じく,自給自足型農業や自営業で働いたりしてい 傑出しているものの,チリは通貨上昇やマクロ経済 314 世界開発報告 2013 図 9.5 チリは鉱物輸出の依存度を減らした 70 鉱物輸出が輸出総額に占める割合(%) 65 60 55 50 45 40 80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 19 19 19 19 19 19 19 19 19 19 20 20 20 20 20 20 出所:チリ中央銀行の輸出額データと IMF's International Financial Statistics database の銅価格指数に基づく WDR 2013 チーム. 注:上図は鉱物輸出額が輸出総額に占めるシェア(1990 年の不変価格で測定)を示す.輸出総額と鉱物輸出額は輸出物価指数と銅価格をそ れぞれ使って実質化されている. の混乱など資源関連リスクの有効な管理を通じて, 2009 年の間に,発言権と説明責任の格付けに関し 輸出や経済を多角化するのに成功している.輸出総 て 5%ポイント上昇し,政治的な安定性と腐敗のコ 額に占める非鉱物輸出のシェアは 1980 年代以降著 ントロールに関する格付けも改善した 72. しく上昇した.ただし,2007 年後の商品ブーム期  さらに,チリは積極的な輸出指向型成長政策を には若干低下した(図 9.5).非鉱業セクターの雇 採用しており,貿易開放を進め,外国直接投資を 用は過去 20 年間にわたり,年 2%以上の堅調な伸 歓迎し,そうすることで生産性の面で世界的な統 68 びをみせた .過去 10 年間の失業率は平均すると 合からの波及効果を高めている.競争力を強化する 約 8%となり,1980 年代初めの記録的な 20%と ための野心的な革新戦略が採用された 73 .とりわ は大差がある 69. け教育支出を増やすために公的資金を使い,同支出  このような広範な基礎となる部分が雇用創出軌道 は 1990-2009 年の間に実質ベースでほぼ 2 倍に増 に乗ることに貢献したのは,マクロ経済・制度・輸 えた 74.教育制度に関しては現在では公平性に加 出多角化・スキル構築などにかかわる一連の政策 えて質が大いに議論されており,低スキル労働者の である.チリは資源安定化メカニズム(1987 年に シェアはすべての経済セクターで低下している 75 . 導入され,現行の修正枠組みは 2006 年に採用され た)の利用を透明な財政ルール(1999 年以降)と 若年失業率が高い国:スロベニア 組み合わせており,それが共同で銅採取にかかわる  スロベニアは若年失業率が高いという困難に陥っ レントの使途を規制している 70.構造的黒字の目 .旧ユーゴスラビアが崩壊してからの た(図 9.6) 標が次の 2 つの基金への流出入を決定するアンカー 10 年間を通じて,若者の失業率は成人の 3 倍に達 となっている:1 つは年金やその他の政府長期債務 していた.しかし,2010 年までにこの倍率は 2 対 のため,もう 1 つは短期的な安定化目的のための 1 にまで低下した 76.若年失業率は 2000 年には 基金である.基金は為替相場に対する圧力を緩和す EU 平均を 10%ポイントも上回っていたが,2010 るため,全ポートフォリオを海外に投資することが 年にはそれを下回った 77.その時までに,スロベニ 認められている 71.並行して,過去 10 年間に及ぶ アにおける若者(15-24 歳)のニート比率はわずか 公共セクター管理のあらゆる分野における統治改 7.5%と,EU の平均 11.2%を大きく下回った 78 . 革が著しい成功につながっている:チリは 1996- 危機は確かに若年層にも影響を及ぼしたものの, CHAPTER9 労働政策を超えて 315 ヨーロッパ委員会のジョゼ・マヌエル・ 図 9.6 スロベニアでは若年失業率が低下している バローゾ委員長は最近,スロベニアを若 35 者の雇用における最善慣行の手本とし て強調した 79. 30  若年失業の削減におけるスロベニア 25 の相対的な成功は,必ずしも伝統的な手 20 法にしたがうものではなかった.積極的 % 労働市場政策向けの支出は体制移行国 15 の平均程度である.改革のなかには契約 10 や臨時雇用にかかわるルールを自由化 5 するために実施されたものもあったが, スロベニアの労働規則は OECD の平均 0 よりも制限的なままであり,それは通常 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 19 19 19 19 19 19 19 20 20 20 20 20 20 20 20 20 20 20 なら若者向けの雇用機会の減少をもの 若年失業率(%) 失業率(%) であろう.最低賃金――やはりしばしば 出所:International Labour Organization, Key Indicators of the Labour Market (KILM) 2011. 若年雇用にとって障壁であるとされて 注:若年失業率は 15-24 歳の年齢層,一般的な失業率は 15 歳以上の年齢層を指す. いる――はむしろ高い方である.しか し,このような政策に伴う潜在的な歪み は,コンセンサス・ベースの意思決定というモデル 仕事の課題の結び付き:仕事のための世界的 によってある程度相殺されていたようである.スロ なパートナーシップ ベニアでは,ともに広く行き渡っている労働組合と  一国における仕事のための政策は他の諸国に対し 雇用者団体が,マクロ経済のトレンドやセクター別 て波及効果をもたらすことがある.重要な問題は国 生産性のパターンにうまく対応した賃金を設定して 際的な協調メカニズムは政府が行う決定に影響を与 いる 80. えて,プラスの波及効果を強める一方で,マイナス  スロベニアにおけるける若年失業減少の大部分 の効果を緩和できるかどうかにある.いくつかの分 は,最終的には,製品市場における競争力強化に支 野は調整に適している.世界的な公共財である権利 えられた持続的な成長のおかげである.同国の経済 や労働基準の順守を促進することは最も自明なもの はヨーロッパ統合を活用して,輸出セクターを成功 の 1 つであるが,そうするためのメカニズムの有 裡に再編して EU 市場にアクセスしたのである.非 効性は限定的である.特にサービス・セクターにお 常に良好なインフラとかなり高スキルの労働力も助 ける FDI フローを円滑化する措置は,途上国の生 けになった.近代的なセクターでより先進的な生 産性に大きな効果を及ぼすであろうが,社会的な面 産・経営手法の利用を要求するこのダイナミズム においても重要な意味を持つ可能性がある.移住は は,特に若者にうまく適合していた.多くの面で良 移出入両国に影響を及ぼすため,二国間合意があれ い話ではあるが,さらなる政策改革があれば,若者 ば両当事国にとってより良い結末につながり得る, 向けの仕事から得られる開発効果をもっと実現する ということが示唆される. のに役立つであろう.そのような改革の一部には労 働市場に関するものがある.例えば,若者向けの雇 権利と基準:圧力は大したことはない 用創出を請負契約や臨時雇用に誘導する,という雇  国境をまたいで運営されているいくつかのメカニ 用保護法が生み出すインセンティブを除去する必要 ズムは,労働者の権利や労働条件に関して基準を設 があろう.しかし,FDI の増大を奨励する措置の 定し,それを改善するためのルートを提供するため 81 導入など他の改革は,労働市場外のことになる . に存在している.それには ILO 条約の公表・批准, 二国間・多国間の貿易協定,民間セクター・市民社 会・その他の利害関係者を巻き込んだイニシアティ 316 世界開発報告 2013 ブなどが含まれる.このようなメカニズムは仲間の 接的にも利益をもたらす 86 . 間での圧力か,あるいは政府・企業向けに順守を促  権利を貿易協定に関係付けることは,もし国レベ す前向きなインセンティブを供与するかのいずれか ルで執行や順守のための能力向け投資によって補完 を通じて作用する.しかし,このよう種類の圧力や されるのであれば,労働条件に影響を及ぼす可能性 インセンティブが実際に現場の労働条件を変化させ もあろう.中央アメリカ自由貿易協定(CAFTA) るのかは不確実であり,改善が雇用創出を犠牲にし に調印してから,ドミニカ共和国は労働監督官の数 て実現するというリスクも排除できない. を増やし,能力構築に投資した 87.また,アメリ  ILO 条約は職場における権利・基準・条件に関 カはカンボジアと二国間貿易協定を締結してから, して枠組みを提示している.条約は各国が国レベ 同国で 2 件の ILO プロジェクトに資金供与を行っ ルで国際基準との整合性をとる場合に,国内法制 ている.そのうちの 1 つは「カンボジア工場改善 に影響を与えることができる.それは自宅ベース プログラム」というもので,これには衣服工場の労 の家事労働者のための条約の採択で証明されたよ 働条件の順守とモニタリングのための能力構築が含 うに,国際的に発言したり調整したりするルート まれている.もう 1 つは,集団的労働争議を解決 82 になり得る .1998 年の「労働における基本的 するための仲裁機関を支援したものである 88 .そ 権利および原則に関する ILO 宣言」に含まれてい の後のレビューにおいては,労働条件と集団的権利 る 8 つの条約(中核的労働基準)の批准にかかわ については改善がみられていた 89. る証拠は,各国は国際社会からの圧力に呼応した  条約や貿易協定を通じた政府のイニシアティブ以 83 ことを示している .にもかかわらず,強制労働・ 外では,民間セクターの説明責任を強調する動きが 危険有害な条件下での児童労働・差別・発言権の 大きくなっている.より広範な企業の社会的責任 欠如などの執拗さは,批准だけでは十分でないこ (CSR)という課題の下で,企業は社会的・環境的 とを示唆している. な懸念事項をみずからの運営に取り込んでいる 90.  貿易協定も労働者の権利を支援する意図で使わ なかには独自に行動規範を策定しているところもあ れている.なかには労働条件や発言権へのアクセ るが,世界的な供給チェーンのなかで労働条件を改 スを改善するためのインセンティブが盛り込まれ 善するには,集団的なイニシアティブがますます重 ているものもある.例えば,1999 年のカンボジア 要になっている.規範が共有されていると,企業と とアメリカの二国間貿易協定には,定期的な審査 しては業界主導のプラットフォームで他の企業と, で労働条件の改善が認められれば,アメリカ市場 また,多数の利害関係者によるイニシアティブで, への衣服輸入についてカンボジアの割当は拡大さ 労働組合や非政府組織と(時として政府オブサー れるという条項がある. バーとも)協働することが可能になる 91.  労働条項が貿易協定の当事国の労働者に対して,  そのようなイニシアティブのほぼすべてが慣行基 より良い結果を実際にもたらすことにつながるか 準を定義しているが,その統治構造,実施・モニタ どうかは,論争が続いているテーマである.懐疑 リング・立証の手続き,認証やラベリングの有無な 派の指摘によれば,取り決めは,それ自体では権 どの点で大きな相違がある 92.労働問題に的を絞っ 利や労働条件を改善するには弱い手段であり,国 た CSR イニシアティブは,一般的には国際的な供 内の労働法の適切な執行に取って代わることはで 給網に依存したセクターに集中しており,このよう 84 きない .政治的な支配や利益団体からの圧力, なセクターは,衣料品やスポーツウエア,食品,そ 締約国間における不均等な交渉力などに関しても して最近になって増加している電気製品のような, 懸念がある 85 .労働条項は保護主義の道具として 評判に関するリスクに晒されている 93 .行動規範 使うことができ,途上国では貿易や雇用の機会の を最もしばしば採択しているのは,EU と北アメリ 足を引っ張っている.支持派の主張によれば,貿 カに本拠を置く会社であり,彼らは労働基準の順守 易協定の労働条項は既存の労働・雇用基準の執行 を取引の条件にしている.途上国でも小数の自発的 を改善するばかりか,途上国向けの FDI 増加にも なイニシアティブが登場してきている.ただし,こ つながり,途上国の労働者に対して直接的にも間 れは一般的には現地消費者による運動への反応とい CHAPTER9 労働政策を超えて 317 ボックス 9.3 企業慣行の改善は労働基準の順守を促進する  「より良い仕事」プログラムは企業の競争力を促進 理を確保しながら,助言サービス・監視と評価・イン しながらも,国際的な労働基準や国内法の順守を改善 パクト評価といった手段によって各国チームを支援す することを目指している.プログラムは政府・雇用者 る. や労働者の団体・国際的なバイヤーとのパートナー 「より良い仕事」は「カンボジア工場改善」プログ   シップを通じて作用する.現状では世界的な衣服のブ ラム――カンボジアとアメリカの二国間貿易協定に関 ランドや小売業者で,カンボジア・ハイチ・インドネ 連して導入された――を手本にしている.同プログラ シア・ヨルダン・レソト・ニカラグア・ベトナムに生 ムの評価結果――参加工場の 90%以上を含む――が 産を外部委託している供給チェーンを有するところが 発見したところによると,職業上の衛生安全にかかわ 含まれる. る順守は 20%改善した.賃金・残業・付加給付の正  このプログラムには次のような徹底した職場評価が 確な支給は 37%上昇した.当初,労働条件を改善す 含まれる:国際的な労働基準や国内の労働法に加え るインセンティブは,貿易協定の下で規定されていた て,雇用者と労働者が共同で改善プランを策定・実施 割当の増加によって牽引されていた.しかし,多国間 するのを支援する助言サービスの順守を検証する.設 繊維協定(MFA)の失効に伴い,割当の増加はもは 定された研修サービスが職場での協調を支援し,監督 や不可能となった.しかし,カンボジア衣服産業は引 スキル・人的資源システム・職業上の衛生安全などの き続きモニタリングに投資している.これは労働基準 具体的な問題に取り組む.プログラムには公表制度が の順守が世界の衣服産業のなかでニッチになる,とい 取り入れられていて,国内の参加工場すべてから収集 う同国の主張の重要な一環であると考えられているか された非順守データの集計値が公表され,特殊な指標 らだ.このようなニッチが MFA の失効にもかかわら に従って各国間比較が可能になっている.「より良い ず存在するのは,評判が供給チェーンのなかで重要な 仕事」担当の世界チームが質・整合性・有効な知識管 役割を果たしているからである. 出所:以下に基づく WDR チーム――Better Work Programme, International Finance Corporation, Washington, DC, and International Labour Organization, Geneva;Robertson 他 2009;WDR 2013 のために書かれた Adler and Hwang 2012. うよりも,対外的な圧力に対する反応である 94. 援する制度を整備し,是正の道を提供する国内努力  CSR イニシアティブが善意をどの程度超えて, に取って代わることはできない.官民両セクター 権利や労働条件に関して有形の持続的な改善に帰結 は協働することができる.ブラジルが適例であり, しているかを示す証拠は限定的である.最も明確な 2003 年に同国の労働省は強制労働を利用している 影響は衛生安全や,やや程度は落ちるが労働時間の ことが露見した会社のリストを公表し始めた.世論 規則の分野にみられる.結社の自由や差別に関する の意識の高まりを受けて,会社は「奴隷労働と戦う 改善は可能性がずっと低い.全体として,利益は正 ための全国協定」に署名した.市民社会組織が設置 規労働者の方が移民・派遣労働者・季節労働者・臨 した委員会が,本協定をモニターする任務に当たっ 95 時雇いよりもずっと顕著である .規範というの ている 97. は何もないなかで作用するわけではなく,地元で主  途上国のほとんどの仕事は CSR イニシアティブ 体となっている能力と国内の法律・制度の質が努力 の対象範囲外にあるが,このような努力は,正式な 96 の有効性にとって決定的である . 契約をしていない女性を中心とした労働者を含める  このような発見は次のようなことの必要性を強 方向で拡大できれば,より幅広い影響力をもち得る 調している:労働条件を改善するためのアプロー 潜在性を有している.同時に,行為者や制度の能力 チは,政府・雇用者・労働組合・市民社会組織な を強化し,対話や協力のプロセスを改善する行動を どとの,セクター別および全国レベルの取り組みに 通じて,現地の統治や制度も拡充することができ 広がっていなければならない.自発的な労働イニシ る.デモンストレーション効果も次のような場合に アティブは十分な法的保護措置を導入し,順守を支 は国レベルで生じるだろう:CSR の努力が権利や 318 世界開発報告 2013 労働条件を改善する活動の可視性を高め,労働監督 分の 1 を占めている.これまでのところ,資源の 官や第三者監視機関が経験や能力を獲得していく場 ほとんどはインフラ投資と貿易円滑化措置に振り分 合である.現地における能力構築の潜在的な利益は けられている.しかし,援助はもっと有効なものに 「より良い仕事」の経験で例証されている.これは することができる.そのためには,受益国が直面し ILO と国際金融公社(IFC)のパートナーシップ・ ている固有な仕事の挑戦に取り組むべく,それに最 プログラムで,衣服セクターにおける労働基準順守 も適した輸出活動に焦点を当てる必要がある.民間 98 の改善を目指したものである(ボックス 9.3) . セクターの関与を増やすことも供与された援助の有 効性を高めるだろう 100. 貿易自由化をいっそう推進しながらもトレードオ  財貿易とは対照的に,サービス自由化の進展は多 フを管理する 角的・地域的な両レベルで遅々としている.より広  財の国際貿易は漸進的に自由化されてきており, 範囲にわたる規則に服している.というのは,有名 貿易は自由な方が取引の当事者にとって互恵的であ な市場の不完全性が特徴だからである.配電におけ るという概念は今や広く共有されている.自由化の る自然独占から通信におけるネットワーク外部性に プロセスには多種多様なメカニズムが使われてお 至るまで,また,金融における非対称的な情報や道 り,それには一方的な公約に加えて,多角的・地 徳の欠如から,小売業における市場支配力に至るま 域的・二国間の合意が含まれる.多国間レベルで でと範囲は広い.財貿易の自由化は国内の自由化と は,自由化は最初は「関税と貿易に関する一般協 関係があるのに対して,サービス貿易の自由化は通 (GATT) 定」 ,その後はその後任である WTO の 常は国内の規制を必要とする.電気市場の創設,通 枠組み下における交渉を通じて達成されてきた.直 信における普遍的なサービスの確保,適切な銀行監 近の多国間交渉ラウンドである「ドーハ開発アジェ 督の実施,大手卸売業者が小売業に及ぼす社会的な ンダ」は,途上国の輸出産業のために市場アクセス 影響の管理などは,困難な課題である 101. 改善を目指している.平均譲許関税率は農産物につ  驚くことではないが,途上国におけるサービスの いて 40%から 30%へ,工業品について 10%から 自由化は先進国に比べてずっと遅れている.途上国 5%に低下する.実際の関税率は前者について 11- は追加的な公約にも消極的である.「サービスの貿 14%ポイント,後者について 2-3%ポイント低下 易に関する一般協定」(GATS)に基づく既存の合 する.削減率は繊維・衣料などといったセクターで 意も,ドーハ・アジェンダや地域的貿易協議におけ はもっと大幅になるかもしれない.最貧途上国は先 る提案も,際立った自由化の展望を示してはいない 進国向けのほぼすべての輸出について,無税枠アク (図 9.7)102. セスを享受することができる 99.したがって,途  しかし,サービス自由化による生産性の上昇には 上国にとって,ドーハ・ラウンドの成功は世界的価 著しいものあるだろう.電気・金融・通信・貿易な 値連鎖に接続した仕事――典型的には開発のために どは,生産や取引のコストに直接的な影響をもたら 良い仕事――の創出に大きなインパクトを与える可 し,下流セクターの競争力を高めるだろう.雇用創 能性が大きい.しかし,ドーハ交渉は宙づり状態に 出を押し上げ,労働所得を引き上げることによっ ある. て,このような生産性の上昇は生活水準の改善につ  貿易自由化の進展にもかかわらず,多くの途上国 ながるはずである.社会的インパクトはもっとまち は世界的統合に伴う利益を確保する競争力に依然と まちであろう.人々(特に貧困層)が携帯電話に して欠けている.したがって,物流コストを削減 よって自分の製品を売るための市場に,雇用機会 し,企業や農場の競争力を改善するために,直接的 に,あるいは政府サービスに接続できた時には,そ 「貿易の な援助を供与することが優先課題である. れは明らかにプラスである.小売業の消滅が伝統的 ための援助」イニシアティブは途上国向けの援助を な都市部の崩壊につながり,代わりの雇用が簡単に 増やして,途上国が既存の市場機会を開拓できるよ 見付からない高齢の商店主の生計に影響する場合, うにすることが目的である.同イニシアティブに基 それはマイナスになるかもしれない. づく援助は急増し,今や途上国向け援助総額の約 3  サービスの自由化や国内規制の順序を適切にすれ CHAPTER9 労働政策を超えて 319 図 9.7 サービス自由化の提案は総じて控え目 90 80 70 サービス貿易制限度の指数 過剰な 60 保護 50 GATS 40 公約 ドーハ 30 提案 20 実際の 保護 10 0 ヨーロッパ・ OECD 東アジア・ 中東・ サハラ以南 ラテン 南アジア 中央ア ジア 太平洋 北アフリカ アフリカ アメリカ・ カリブ 出所:Borchert, Gootiiz, and Mattoo 2010. 注:GATS= サービス貿易にかかわる一般協定;OECD= 経済協力開発機構.上図は主要サービス・セクターに適用されている貿易政策―― GATS に基づく各国の公約とドーハ交渉で各国が行った最善の提案――を比較したものである.これは 62 カ国のデータに基づく.サービス貿 易の制限度指数は,金融・小売・通信・輸送・主要専門的サービスといったセクターに対する外国人の市場アクセスに関する各国の政策や公 約の加重平均である.ウェイトはセクター別の GDP シェア,地域の指数は各国の指数の単純平均である. ば,このようなトレードオフを管理するのに役立 れている.しかし,このような規制は参入規制とし ち,そうすることで,途上国の懸念に取り組むこと て使うことができるため,競争を削減し,雇用創出 ができる.例えば,通信では,国内の競争を促進す を害することがある 105 . れば,既存のプロバイダーをパフォーマンスの良い  サービス自由化の進展が限定的なのは潜在的なト 外国の運営業者に譲渡するよりも,大きく福祉が改 レードオフが主因である.途上国は次のような点に 善される.発展途上 86 カ国の 1985-99 年にかか 関して知識が欠如している可能性がある:市場開放 わるデータは,競争と自由化はそれぞれ独立してパ に伴う利益,既存のトレードオフに鑑みてそのよう フォーマンスを改善することを示している.しか な利益を実現するための前提条件,利益を最大化し し,メイン・ラインのアクセスでみた浸透度は競争 トレードオフに対処するのに利用可能な政策オプ が自由化と同時ではなく,その後に導入された場合 ションなど.財貿易の場合と同じように,多くの諸 103 には低くなっている . 国は政策や合意を実施する能力も欠如している.し  自由化を注意深く設計すれば,それも社会への影 たがって,そのような知識格差に取り組んで実施を 響を和らげることができる.例えば,オマーンはア 円滑にするには,国際協調が必要である 106 . メリカとの特恵貿易協定のなかで,小売業の自由化  国際合意は世界的な公共財を促進するためにも利 に関して逐次的なアプローチを選択した.外国人に 用することができる.1 つの適例はジェンダー平等 よる 100%所有が認められたのは,当初は資本金 である.貿易というのはジェンダーに中立的ではな 500 万ドル以上の既存の小売企業であったが,同 い.サービスを含めた貿易の自由化は女性の仕事へ 下限は 100 万ドルまで徐々に引き下げられた.こ のアクセスを変化させる.肉体的な強さという要件 の合意を受けて漸進的な調整が可能となった.と を伴う「力仕事」には,伝統的には男性が就く可能 同時に,それはオマーンの一般的な多国間合意で 性が高かった.しかし,器用さ・注意力・伝達力な 49%に制限されていた外国人出資比率と比較する どを要する「頭脳仕事」――衣服の縫製からデータ 104 と寛容であった .同様に,自由化が都市の中心 の処理まで――は,女性にとって機会の増大を意 街に及ぼす影響についての懸念は,一部の先進国が 味する.デリーやムンバイのコールセンターでは 実施しているように,土地利用規制を通じて対処さ 100 万人以上が雇用されているが,そのほとんど 320 世界開発報告 2013 は女性である.したがって,途上国の「頭脳仕事」 たが,批准したのは移出国を中心にわずか 22 カ国 の多いセクターからの輸入にかかわる特恵的アクセ にとどまっている. スは,ジェンダー平等がまったく達成されていない  各国間で年齢・所得・スキル・経済展望について 諸国では,女性向けに雇用機会を創出するのに利用 相違が拡大していることが,移住に向けた圧力を生 107 することができる .しかし,各国が世界的な価 み出す可能性を高めている.先進国と途上国はとも 値連鎖の梯子を上るにつれて,女性は雇用機会を失 に「才能」の移住に関心を抱いているのに,今後と うこともあろう.それがマレーシアの場合であり, も低スキル移民が越境的フローの多くを占めるもの 製造業で働く女性のシェアは 1980 年代半ばに低下 とみられる 110.しかし,このような各国間の相違 した 108 . 増大を最大限に利用して,移住を互恵的に管理しよ うという準備ができていない.多国間協定の発展も 移住政策:二国間協定に向けて 遅い.地理的・歴史的なトレンドを考慮に入れ,労  人々の国境を越える移動は歴史を通じて,受入国 働者の基本的権利を保護し,移住の社会的インパク による千差万別の政策反応を誘発してきている.こ トを考慮した二国間協定があれば,移出入両国の利 れには外国人を近づけさせない物理的な壁,海を越 益になるだろう. えた強制労働や奴隷労働を防止する政策,開放的な  移住は世界的な視点で見るべき分野であるが,何 移住政策などが含まれる.加えて,広範囲にわたる が必要かに関する意見は非常に千差万別である.各 個別の措置があり,それには非正規移民に対する恩 国間の大きな所得格差に焦点を当てて,労働の自由 赦,難民の入国を規制する法律,ビザ発給にかかわ な移動は世界的に生産性の伸びと大幅な貧困削減を る複雑な制度など.ほとんどの場合,このような政 加速化するという意見がある 111 一方,国家の安全 策は移入国によって一方的に導入され,移出国との 保障とコミュニティやその文化の保護に焦点を当て 国際的な対話ないし協調がほとんどないか,あるい て,移住を抑制するための障壁の必要性を指摘する はまったくないかである. 意見もある.さらに,移民の人権保護という道徳的  財やサービスの国境を越える移動とは対照的に, な至上命題――法的な地位がどうであれ,何らかの 移住一般と特に労働者の移住に関係した国際的な合 形の迫害に苦しんでいる人々に対しては避難所を提 意はほとんどなかった.存在していたものは適用範 供する――を強調する向きもある 112.このような 囲が限定的であった.ILO の第 97 号条約と第 143 意見はどれ 1 つとして十分ではない.というのは, 号条約はそれぞれ 1952 年以降および 1978 年以降 どれ 1 つとして,それだけでは移住が政策設計に 施行されており,移民を差別と虐待から保護し,秘 提起する複雑なトレードオフに取り組むことができ 密あるいは違法の移住を助長した人々に対して罰金 ないからである. や制裁を要請している.しかし,この条約を批准  そのようなトレードオフの事例は枚挙の暇がない したのはわずかそれぞれ 49 カ国と 23 カ国にすぎ ほど多い.移民の福祉を保護するための支出が増え なかった.GATS の第 4 モードは,他の WTO 加 れば増えるほど――関係するすべての移出国と有識 盟国に所在する人を通じて行われるサービスの輸 者がこのことを要求している,移民労働者の利用が 109 出を含んでいる .これは 1995 年に施行され, それだけ高価になり,採用される労働者の数は減少 WTO のすべての締約国を含んでいるが,先進国 するだろう.移民を同化・融合すればするほど―― ないし途上国のいずれかによって自由化されている 受入国の一部グループが推奨していること――,移 サービスは数が限定されている.保健サービスのよ 民が本国に戻る可能性はそれだけ低くなるだろう. うなセンシティブな分野に手を染めている国はほと 「才能のある」移民を誘致する政策を積極化すれば んどない.最後に,「すべての移住労働者およびそ するほど,移出国では「頭脳流出」の懸念がそれだ の家族の権利の保護に関する国連条約」の目的は次 け大きくなる.先進国による農業などのセクターの の通りである:「移住労働者およびその家族の処遇 保護が大きければ大きいほど,途上国からの移民は に関する基本原則の受け入れを通じて,国家の態度 そのセクターで働く可能性が大きくなる.移民禁止 の調和に貢献する」.この条約は 2003 年に発効し を条件とする外国援助は容認しがたいとみられてお CHAPTER9 労働政策を超えて 321 り,移動の自由を制約することは労働者の基本的権 仕事は舞台の中央にきているが,数字はどこ 利を制約する.厳格なビザ制限や強制送還は通常は にあるのか? 逆効果になり,超過滞在者を非正規移民に転換させ  仕事のための政策は信頼できるデータと厳密な分 てしまう.このような事例は,一方的な政策ではこ 析に基づいている必要がある 115 .途上国で働いて のようなすべてのジレンマに取り組むことできな いる人々のうち大きなシェアは賃金雇用ではないこ い,ということを示唆している.しかし,移住の条 とや,さらに大きなシェアの労働者が社会保障の適 件を規定し,各国の法制に取って代わるような世界 用範囲外にあることを考えると,雇用指標としては 的な協定が採択される公算は低いように思われる. 国が収集しているフォーマルな雇用のデータ以外の それが中間的な解決策がもっと有効であり得る理由 数字も検討しなければならない.どの仕事が貧困削 である. 減にとって最大の成果をもたらすかを決定するため  多くの場合,協調的アプローチを通じた移住から には,家計の所得ないし消費に関する情報をその構 は移出入国の双方が利益を享受できる.人身売買業 成員の雇用に関する情報に連動させる必要がある. 者・企業・労働者が犯すほとんどの虐待は,不法 どの企業がより多くの仕事を創出しているのか,あ 移民フローに関係している.このようなフローの るいは労働再配分が単なる転職ではなく顕著な成長 フォーマル化は移民労働者に歓迎される条件を順守 につながっているのか否かを理解するためには,零 させると同時に,同移民の権利を保護するための基 細企業を含む非常に多様な生産単位における投入・ 本的な手段になる.しかし,このフォーマル化は移 産出に関する情報が必要である.雇用経験が信頼や 出入両国の制度間で協力がなければ執行が困難であ 社会参画意欲に影響するかどうかを評価するには, 113 る .二国間協定には職業・産業・地域・滞在期 個人の価値観や行動に関する情報が必要である.仕 間ごとの割当に関する規定を盛り込むことができ 事や開発に関して持ち上がってきている研究課題に る.それは労働者の一時的な移動と恒久的な移住に 取り組むためには,そのような情報が必要になる 向けたステップ――一国から他国への移動にかかわ (ボックス 9.4). る条件やプロトコルがある――を区別することもで  しかし,世界的危機が雇用に与える影響に関する きる.税金や社会保障に関する配慮――付与される 実証分析が途上国においては少なく,インフォーマ 給付・拠出金の携行性・費用分担取り決めなどを含 ル雇用指標の各国間比較が困難であるということ む――も含まれるだろう.このような協定はインセ は,データの質と入手可能性が限定的だということ ンティブの設計が良ければ,移出入国の両方におい を示唆している.多くの努力が失業率の測定に,し て企業・労働組合・政府などは規定の執行に関心を かも高頻度での測定に注がれている 116 .しかし, もつようになるだろう 114. 労働力の相当大きな部分が給与生活者ではない諸国  暫定移住協定をフォーマル化し拡張すれば,現在 では,顕在失業というのは非常に多くを物語る指標 は中間業者に吸収されている移住に伴う賃金増加の とはいえない.貧困撲滅に関するミレニアム開発 一部を,移民と雇用者の利益のために獲得すること 目標(MDG)の下では,雇用目標に向けた進展を ができる.金融セクターに協定があれば,移民に モニターするために 4 つの指標が列挙されている. とって送金コストを低下させ,不法取引の蔓延を回 この目標は次のことを呼びかけている:「女性や若 避することができる.途上国と先進国の両方で高等 者を含めた万人のために,十分で生産的な雇用と適 教育の資金を再検討すれば,有能な移民の場合の投 切な仕事を達成する」.しかし,考えられた 4 つの 資に伴う収益について,もっとバランスのとれた分 指標は途上国の仕事の量と質にかかわる視点を部分 配が可能であろう.より一般的には,二国間調整と 的にしかとらえていない 117.多くの利用可能な雇 いうのは移住を管理するのにより道理に適った方法 用の数字は実際には年の間は内挿法で,また,「類 であり,移出入両国相互の利益を確実にしてくれ 似の」諸国からのデータを使った外挿法とで推測さ る. れている.しかし,このような手法がどの程度信頼 できるかは未決の問題である.  このような発言は各国レベルの統計機関や国際的 322 世界開発報告 2013 ボックス 9.4 仕事と開発に関する知識ギャップが研究課題を指し示す  細分化された調査データへの依存の増大が,厳格な は非常に大きいということを意味する.比較的長期間 プログラム評価や制御された実験と相まって,近年, にわたる長期的なデータを組み合わせた自然実験があ 仕事や開発に関する知識のフロンティアを押し広げて れば,仕事と行動のリンクを解明できるかもしれない. いる.ほぼすべての関連する問題に関して膨大な量の 学際的な研究があれば,仕事と制度的な発展プロセス 証拠がすでに存在している.学界における最近の努力 の幅広い関係について洞察を提示できるだろう.人類 をみると,今後,より良い情報に裏付けられた政策策 学的なアプローチで作用しているメカニズム――例え 定に貢献する形で,同文献のいっそうの増加が約束さ ば,仕事が公平感や他人に対する信頼感にどう影響す れている.しかし,以下の通りいくつかの分野では知 るか――に関して洞察が得られるだろう. 識ギャップが残っている.  仕事からの波及効果.仕事からの波及効果の規模に  仕事と生活水準.貧困の測定と貧困軽減プログラム 関する研究はまばらである.課題は多数あるが,有望 の評価に関しては,良質な研究が豊富になされてきて な分野は次の通りである:仕事が認知・非認知スキル いる.しかし,家計の生活水準や貧困への入退出に, の修得に及ぼす影響;仕事の特性やその仕事に就いて 雇用ダイナミクスがどのように影響しているかについ いる人の特性に応じて,その影響がどう異なるか.特 てはあまりわかっていない.多種多様な雇用の地位・ 性の異なる各都市における集積効果にかかわる証拠 職業・産業・職種の間の移動に関する研究があれば, も,各種仕事の環境効果の推定と同じく稀少である. 仕事をしたりフォーマル化したりするためのインセン  労働政策.労働の政策や制度が及ぼす影響に焦点を ティブだけでなく,仕事が家計の福祉にもたらす影響 当てた実証研究が増加しているが,その多くは非常に についても解明が進むだろう.労働者が自分の仕事の 厳格である.しかし,慎重なレビューが示唆するとこ さまざまな特性――老齢年金や障害年金など社会保障 ろによると,一方における政策や制度と他方における 給付金も含む――に付与している主観的な価値に関し 成果との関係は線形ではない.それはむしろ,控え目 ても,知識が限定的である. な効果をもつ「影響を受けない領域」を想起させる.  仕事と生産性.起業・成長・倒産を含め,企業のダ ただし,両端には「崖」があって,そこでは効率性や イナミクスに関しては多くの研究が入手可能となって 仕事の配分に与える影響が大規模になることがある. いる.また,貿易自由化や外国直接投資が工場レベル このような崖がどこに横たわっているかや,高台の限 の生産性や所得に及ぼす影響についても,文献が増加 度に境界線を引く制度的な特性をどうやって特定する している.しかし,このような研究の多くはフォーマ かを決定する研究は,政策当局にとって大きな価値が ル・セクターの企業に焦点を当てている.インフォー あるだろう. マル・セクターの零細企業や小企業のダイナミクスに  結び付いている仕事の課題.国際貿易,両サイドに 関しては,雇用面での重要性にもかかわらず,入手可 おける投資,移住が各国の雇用構成にどう影響するか 能な研究はずっと少ない.また,工場レベルの調査に に関しては,いっそうの研究が必要である.このよう 基づいた研究と都市化の効果に関して増加している文 なすべての分野では知識ギャップが一般的である.各 献の間には,若干の乖離がある.このようなさまざま 国の政策や貿易協定など超国家的メカニズムが多種多 な研究相互間の対話が阻害されている一因は,規模や 様な諸国の仕事に影響を及ぼす能力は,部分的にしか 外部性の収益率などといった問題に関して,生産プロ わかっていない.サービスに関連した国際公約や国内 セスのビジョンが異なっていることにある. 政策の適正な順序に関してもっと確固とした知識があ  仕事と社会的一体感.この分野の研究は実験的なも れば,自由化に向けていっそうの進展を図ることに途 のにとどまっており,実証的な証拠は稀少である.話 上国がもっている消極性に取り組むことができるだろ 題が重要であるにもかかわらず確固たる結果が少ない う.移住政策の厳格な評価も有益であろう. ということは,この分野で高質な研究がもたらす利益 出所:WDR 2013 チーム. CHAPTER9 労働政策を超えて 323 レベルでのデータ収集を目指す取り組みを批判する るまで,サンプリング枠からインタビュー指針に ことを意図したものではない.彼らの努力は重要な 至るまで,また,データの記入・コード化から立 ギャップを埋めており,定義を改善し,最善慣行 証・推定の手順に至るまで,データの質が統計作成 に関する合意に達し,一次データを作成している チェーンを通じて懸念事項である.企画・調整・意 人々に技術援助を提供するための専門知識を動員し 志疎通の問題は,データの収集と普及をそれぞれ担 ている 118 .このような限界にもかかわらず,イン 当する機関が相異なる場合には悪化する 119.最も フォーマル雇用・失業率・MDG の雇用目標に関す 緊急の優先課題は貧困分析のために家計調査に付帯 るデータは,重要な目的を果たしている.すなわ されている雇用のモジュールを標準化することと, ち,開発を促進するためには仕事が重要であるとい 事務所調査にインフォーマルな企業と零細企業を確 う意識を高めている.しかし,データの量と比較可 実に含めることである. 能性を改善するための持続的な努力が欠如している  25 年前,貧困削減が開発政策の重要な目的とし なかで,仕事を舞台の中央にもってきても単なる熱 て再び強調され,長期にわたるデータ改善努力が打 望の表明にとどまる懸念があろう. ち出された.世界中で,家計の生活水準に関する情  労働統計に関する今日の課題は次の 3 つ重要な 報が標準化された調査で収集され,サンプリング手 分野に区分できる:データ・ギャップ;データの質 法や使われた多種多様な定義が順当に文書化され, の問題;企画・調整・意志疎通の問題.一部の諸国 データや書類は研究者や実務家向けに可能な限り入 では,労働統計は存在しない,あるいは散発的にし 手可能とされた.仕事を舞台の中央に動かすために か収集されていない.労働統計が確かに存在すると は,同様のアプローチが構想されるべきだろう. ころでは,適切な定義の使用から質問状の設計に至 9 324 QUESTION 労働の再配分をどうやって加速化するか?  経済成長のエンジンである創造的破壊は,主とし が極端に低いというインドを初めとする途上国にみ て労働の再配分を通じて発生する.労働者が生産性 られる特徴のことである.労働規則の厳しさとやは の低い農場や陳腐化した企業からもっとダイナミッ り整合的なのは,生産性のバラツキが非常に大きい クな経済活動の仕事に移動すると,産出量が増加 ということである.各産業で観察されるバラツキが し,経済は効率の良いフロンティアに前進する.経 アメリカでみられるものと同じ程度にまで縮小すれ 済主体間の生産性格差がこの創造的破壊のプロセス ば,インドの製造業における平均生産性は 50%以上 の背後にある.そのような格差は,競争が牽引する の上昇が可能であろう 123.実際には,過去 20 年間 健全な生態系を反映することができる.ここでの競 における経済の高成長にもかかわらず,インドの労 争は,効率性を高める仕事の再分配の基礎を提供し 働集約的な製造業の生産性は停滞を続けている 124. ている.しかし,市場の不完全性や政府の失敗は労 非農業雇用の大部分はインフォーマル・セクターで 働の再配分を阻害し,生産性の格差をさらに大きく 生じているのである. して,多くの成長機会を逸失することにつながる懸  ある国が誤った労働規則でがんじがらめになって 120 念があろう . いるのであれば,通常の分別としては,それらを廃  労働者が低生産性地域から高生産性地域へ移動す 止すべきである.しかし,この廃止は「言うは易く るのを阻害する,あるいは労働者が陳腐化した企業 行うは難し」である.インドの複雑な労働規制制度 から離脱するのを阻止する厳格な規則がその例であ は 60 年間も施行されてきている;1991 年の国際 る.このような規制は都市における混雑を抑制し, 収支危機が引き金となった野心的な改革プログラ あるいは労働者に対して所得の安定性を提供するな ムでさえ,労働規則にはほとんど手を付けていな ど,善意に由来していたのかもしれない.しかし, い 125 .1947 年の IDA は州レベルで修正されてき 生産性の伸びに対するその代価は顕著なものであろ てはいるが,必ずしも高台の方を向いたものではな う.効率的な「高台」では,労働政策は主として再 かった.1958-92 年に 7 州が IDA を修正し,労働 配分にかかわるものとなっているため,この種の規 に関する決定について雇用者の自由度を大きくし 則は座りが悪い.それはむしろ崖の上にあって,経 た.その後,これら諸州はフォーマルな製造業セク 済効率性に対して明瞭な否定的な効果をもたらして ターについて,産出・雇用・投資・生産性の面でよ いる. り高い伸びを経験した.しかし,IDA を逆方向に  インドはおそらく,複雑かつ煩瑣な労働政策のゆ 修正した 6 州では,企業のパフォーマンスが悪化 えに,「高台」から落ちてしまった国の見本といえ し,インフォーマル・セクターが拡大するという結 るだろう.インドには国家および州のレベルの労働 果が生じた 126 .総合すると,インドの製造業セク 法が 40 本以上も存在している.そのほとんどは組 ターにおける生産性のバラツキは,1987-94 年の 織化された(あるいはフォーマルな)セクターや一 間に横ばいにとどまったか,やや拡大さえしたので 定規模以上の企業に適用されている.企業の雇用が ある 127. 増加するのに伴って,漸増する数の規制の監視下に 入る 121.1947 年労働争議法(IDA)は特に制限 規制上の障害を迂回することから… 的である.企業は労使関係を統治する IDA によっ  このような規制上の障害に対するインド式の対応 122 て,労働者の解雇が極めて困難になっている . 法は,それとの共存方法を学ぶことであり,それは  労働規則の厳しさは「行方不明の中堅」という 広範な非順守を通じて達成されている 128 .例えば, 現象をよく説明している.これは中堅企業のシェア 大企業は請負業者に依存しており,彼らが労働者を 325 雇う;つまり,総雇用は小さいパッケージに「細分 図 9.8 インドの製造業企業の分布には「行方不明の中堅」 化」され,それぞれは最も厳格な労働規則でさえ免 が存在するか? れている.臨時契約や人材派遣機関も規則を回避す a.自己勘定企業を含む るために使われている別のメカニズムである.企業 25 が契約労働者を採用する傾向は従業員 10 人以上の すべての企業で長期的に強まってきており,中規模 20 (従業員 50-99 人)企業で最も高くなっている 129. 仕事数(100 万人,2005 年) 10 年間に及ぶ 1,300 社の調査は,肉体労働者の採 15 用については中規模企業と大規模企業との間で著し い相違があることを見出している 130.組織化され 10 ている企業の総雇用に占めるインフォーマルな労 5 働者のシェアは,2000 年の 32%から 2005 年の 52%,2010 年の 68%へと上昇してきている 131. 0  非順守と同じことを示しているということになる 1‒4 5‒10 11‒20 21‒50 51‒100 101‒200 200 以上 が,規模別企業の分布は規則がより厳しくなる下限 水準の周辺で,著しい断絶は認められていない.イ ンフォーマル企業を含めた分布全体をみると,最 雇用規模(人) 大の断絶は従業員 4 人以下と同 5-10 人の企業の間 にある(図 9.8a).しかし,適用される労働市場規 則に従業員 5 人という境界値はない.一方,従業 b.自己勘定企業を除く 員 50 人という区分水準を超過しても――その水準 5 を超過したすべての企業が IDA の適用範囲内に入 4 るにもかかわらず――,分布に断絶は認められない (図 9.8b). 仕事数(100 万人,2005 年) 3  実は,インドの企業の規模別分布は他の要因にも 影響されている 132.しかし,全体として,そのパ 2 ターンは労働規則を迂回しているということと同じ 結果である. 1 0 …積極的に相殺することまで… 1‒4 5‒10 11‒20 21‒50 51‒100 101‒200 200 以上  インドはこうして複雑な規制上の障害と共存する 方法を学んだが,同じような制約に直面している他 の途上国は効率性上昇につながる労働再配分策を達 雇用規模(人) 成している.スリランカはインドと同じように,イ ギリスの植民地統治局から同じ労働規則を相続し 組織化企業 た.多くのラテンアメリカ諸国は,インドほど極端 非自己勘定企業 ではないものの,規制面で類似の障害に直面してい 自己勘定企業 る.中国の労働規則は 1990 年代まではさほど厳し くはなかったが,家計登録制度(戸口制度)が労働 出所:Hasan and Jandoc 2010. 133 注:組織化されたセクターないしフォーマル・セクターのデータは India's 再配分にとって究極の障害であった .にもかか Central Statistical Organisationが実施しているAnnual Survey of Industries (ASI), わらず,このような諸国のすべてが高生産性のセク 非組織化セクターないしインフォーマル・セクターのデータは National Sample Survey Organisation (NSSO) Survey of Unorganized Manufacturing ターと場所で,何とか成長の伸びを加速化してきて Enterprises に基づく.自己勘定の製造業企業は定期的に雇用されている労働 者なしで運営されている企業. いる. 326  スリランカは 1980 年代から 90 年代にかけて, 減したりすることができる.労働移動にかかわるこ 多数の市場を徐々に自由化したものの,複雑で高価 のような障壁にもかかわらず,中国は労働集約的 の雇用保護法制は改革しなかった.1971 年の「労 な製造業の驚異的な成長を経験した.これは後背 働者解雇法」(TEWA)の下で,従業員 15 人以上 地から沿岸地域へ,また村から町や都市部の中心 の企業は正式な許可なくして労働者を解雇すること 街へという大規模な国内移住を伴った.このよう ができず,従業員の勤務期間に応じて,最高 4 年 な地理的に集中した開発は農村部の余剰労働のう 間分の給与相当額を解雇手当として支給しなければ ちの大きなシェアを吸収すると同時に,中国を国 ならない.にもかかわらず,同国の衣服産業は圧倒 際的な価値連鎖に統合して,同国を「世界の工場」 的な成功を収めている.紅茶に代わって最大の輸出 に押し上げた 136 . の稼ぎ頭になった同産業は今や輸出総額の約半分 を占めているが,これは 1970 年代にはほぼ 0%で …生産性の波及効果を通じて あった.また,衣服産業は製造業雇用の増加のなか  このような事例は,規制上の障害を相殺するのに でも大きなシェアを占めている 134.このように衣 成功しそうな次善のアプローチを採用したことを示 服産業の成功は農村部から移住者を引き付ける要因 している.労働規則を避けたりそこから逃げたりす となっており,その 45%は衣服産業が集中してい る代わりに,このアプローチでは規則が実際にはあ る西部諸州に移動している. まり関係がなくなるようにすべく,産業クラスター  ラテンアメリカ諸国でも,制限的な労働市場規則 やダイナミックな都市,世界的な価値連鎖における が一般的な特徴となっている.ブラジルでは,経済 仕事から派生する生産性の波及効果を積極的に活用 改革の時期を経た後でも,労働者の採用は依然とし している. て面倒なままである.どちらかと言えば,過去 10  スリランカでは,輸出加工区(EPZ)の発展が衣 年間にわたるフォーマル化の持続的な増加を受け 服産業の離陸を牽引した.このような経済地域は経 て,労働規則の順守はより一般的になっている.し 済の他の部分よりも良いインフラや,規制面で有利 かし,ブラジルの労働市場は大規模な国内移住と驚 な環境を提供した.その結果,FDI の大きなフロー くほど高い回転率が特徴となっている.生涯にお を引き付け,スリランカのなかで大きな輸出源に ける州際移住は 1980 年代から 90 年代にかけて倍 なった(図 9.9)137.このような区域に立地する 増し,99 年までには人口の 5 分の 2 に達したもの 現地の生産者は集積効果を享受することができた. と推定されている.1990 年代にブラジルのフォー 他の多くの途上国の競争相手を追い越すことによっ マル・セクターで転職した労働者の 3 分の 1 は, て,同産業は価値連鎖に沿って何とか這い上がり, 就職先を見付けるために州境を越えて移住してい 工場をデザイン・センターに転換しつつある. る.また,フォーマル・セクターの労働者の 5 分  ブラジルでは,国内移住のうねりは同国の世界経 の 2 から 2 分の 1 が毎年転職していると推定され 済への継続的な統合や,集積効果を優遇する開発政 135 る . 策と密接に関係している.1990 年代にブラジルは  労働再配分の度合いがより顕著なのは中国をお 重要な貿易自由化措置を実施し,FDI に関する制 いて他にはない.その多くは戸口制度の下で発生 限を漸進的に緩和し,通貨を切り下げた.この状況 している.この制度は 1950 年代に導入されて以 の下で,開発政策は徐々に地方政府に委ねられるこ 来,人々が住める場所を統治し,実質的に農村部か とになり,地方ハブの重要性を強調し,地方の強み ら都市部への労働フローを阻止し,都市における雇 に基づいたその場所固有の政策課題を推進するもの 用をそこの居住者のために留保していた(ボックス となっている.このような努力を受けて,それまで 9.5).市場指向型改革を受けて,この制度は漸進的 あまり好まれていなかった地域に向かう産業の移転 に自由化され,国内移住に関する規制の多くが撤廃 が支援された.地方の政策は主に中小企業の育成を された.しかし,戸口制度が完全に撤廃されたわけ 目標にしていながらも,大企業や多国籍企業も誘致 ではなかった.それは現在でも移民フローを妨害し している.また国内移住に対するインパクトには顕 たり,扶養者を同伴して移動する労働者の発生を削 著なものがあった.特定地域において FDI の集中 327 ボックス 9.5 中国の戸口制度は部分的に自由化されてきている   戸口というのは内部パスポートのようなものであ た.このような制限は改革がさらに進展する 1990 年 る.ある市・町・村における法的な居所は各人の出生 代半ばまでは撤廃されなかった.その頃になると,都 地で決定される.農村部と都市部の人口は別々に登録 市部では労働集約的な輸出指向型のセクターの急成長 されている.戸口制度は,教育・住居・光熱費補助金・ と民間セクター活動の急拡大を受けて,低スキル労働 社会的保護を含め,国民の社会的受給権を規定する. に対する大きな需要が生み出された.その時点になっ 中央計画制下の時期における都市部の食料配給など他 て初めて,戸口制度は大幅に自由化されることとなっ の政策と相まって,戸口制度は農村部の人口が離農す た. るのを防止した.それは基本的な社会福祉を伴う排他  この自由化プロセスの実施は分権的な形で遂行され 的な都市労働市場を維持し,産業政策を支援すること た.ほとんどの中・大都市は移民が戸口のアイデンティ によって,実質的に農村部と都市部への分割を生み出 ティ,したがって付随する受給権を変更する基準を漸 していた. 減した.しかし,上海・北京・広州など主要都市や所  改革プロセスが始まったばかりの頃,市や町が基本 得水準の高い都市では,同基準は極めて厳しいままと 的な社会福祉を提供できたのは限定された人々に対し なっている.例えば,上海は居住許可制度をすべての てだけであった.したがって,農村部労働者の流入は 人に開放した最初の都市であったが,その資格条件は 両刃の剣とみなされた:農村部住民の福祉を高めるこ 最も厳格なうちの 1 つとなっている.上海の制度で とはできるものの,混雑とインフラの過密につながる. 優遇される移民は大卒の学位ないし特殊な才能を有す 1980 年代に都市部の改革が進展し,町や村の成長が る人と,事業を営んでいる人か投資家である.また, 停滞したことを背景に,農民は中小規模の都市で働く 申請する前に,7 年間に及ぶ社会保険料の払い込みを ことが認められた.しかし,依然として実施されてい 義務化している.加えて,同市には戸口変更の割当全 た食料配給制度にしたがって,農民は主食に関しては 体に関して厳しい総枠があるが,変更実績数はこれま 自給を維持しなければならないという条件付きであっ でのところ非常に低い. 出所:以下に基づく WDR 2013 チーム――Cai, Du, and Meiyan 2002;Cai and Meiyan 2011;Cai, Park, and Zhao 2008;Chaudhuri and Datt 2009;Giles, Wang, and Park 2012. 図 9.9 スリランカでは輸出加工区が外国直接投資の牽引力であった 80 70 60 50 40 % 30 20 10 0 スリランカ フィリピン マレーシア 中国 インドネシア 韓国 FDI 総額に占める EPZ シェア 輸出総額に占める EPZ シェア 工業品輸出総額に占める EPZ シェア 出所:Jayanthakumaran 2003. 注:EPZ= 輸出加工区;FDI= 外国直接投資.上図は 1980 年代における EPZ 活動を要約したものである. 328 図 9.10 戸口変更にかかわる制限は都市の規模と所得に応じて厳格化 a.人口 b.1 人当たり GDP 1.0 1.0 0.8 0.8 戸口変更の下限(指数) 戸口変更の下限(指数) 0.6 0.6 0.4 0.4 0.2 0.2 0 0 3 4 5 6 9 10 11 人口(100 万人) 1 人当たり GDP(年当たり 1,000 元) 出所:WDR 2013 のために書かれた Wang, Song, and O'Keefe 2012. 注:GDP= 国内総生産.戸口変更の下限を測定する指数は,投資・雇用・親族再結合に関する要件を考慮している.各点は 30 省にある 120 都市 1 つ を表す. が 1%上昇すると,同地域の移入率が 0.2%ポイン きた 141.しかし,同制度の分権化された実施のお ト上昇する.さらに,輸出セクターの雇用が 1%増 かげで,グローバル化している主要な都市は,高い 138 加すると,移出が 0.3%削減される . スキルを持った移民を選び,仕事からの生産性波及  中国では,労働の再配分は競争力をもつ都市の開 効果を高めるための選別道具として,戸口制度を使 発に根差している.総人口に占める都市部の割合 うことができた.ほとんどの中・大規模都市は移民 は,1990 年のわずか 27%から 2010 年の約 50% が戸口上のアイデンティティを変更するための基準 へと飛躍した.このような転換は前例がなく,都市 を徐々に緩和した.しかし,大きい豊かなグローバ 人口は 1978 年の 1 億 7,000 万人から,2000 年の ル化している都市はスキル集約的なパターンの成長 4 億 5,600 万人,現在の 6 億 6,500 万人へと増加 を追求しており,貧困削減よりも生産性上昇にウェ した.この増加は商業的電力供給や都市インフラ, イトを置いている(図 9.10)142.したがって,こ 高速道路,港湾などの驚異的な拡大によって支援さ のような都市における戸口上のアイデンティティ変 れた.1988 年に中国にはわずか 100 キロメート 更にかかわる基準は,一般的にスキル・投資・所 ルの高速道路しかなかった.10 年後,その総延長 得・住居の要件によって定義されている.このよう はアメリカに次ぐものとなり,2009 年までに 6 万 な基準を充足する移民は小数である 143 . キロメートルが利用可能となった 139.  そこでインドに戻ると,インドでは労働規則の  地域的な競争と実験がこのような成功を下支えす 硬直性よりも,都市化の遅々としたペースの方が る一因となっている.中国の地方政府は,財政的・ 際立っている.1990 年でみると,インドの人口の 非財政的な資源を調達するのに大きな自律性を有し うち都市に居住するシェアは 27%と中国と同じで ている.したがって,地方の開発に関しては自己責 あった.それから 20 年後でもようやく 30%に上 任を負うのに相当な余裕をもっている.また,中国 昇したにとどまっている 144.都市の機能性も深刻 共産党は地方官吏を地方における実績に基づいて報 な挑戦課題を提起している.デリーやムンバイの 奨しているので,官吏による経済的競争への積極的 かなり広い地域は水へのアクセスが 1 日当たり 4-5 140 な関与が促進されている . 時間に限定されている.エネルギー不足も近年拡大  このような分権化された制度的な環境を受けて, しており,事業運営にとって最優先の制約とみられ 中国の都市は都市化を推進する手段として,戸口制 ている.会社は 1 カ月当たり 17 回の停電を覚悟し 度改革の実験をすることができた.中国の都市の多 なければならない.電力問題が企業に賦課している くはこの制度のせいで小規模にすぎると主張されて コストは世界最高の部類に入る 145 .ブラジル・中 329 国・スリランカの経験と,労働規則の弾力化につい ての部分的な成功から 60 年経過していることなど から判断すると,インドが労働再分配を加速化し, それによって開発の潜在力を実現するための鍵は, インドの都市化政策にあるだろう. 330 インドネシアのジャカルタ市の建築現場で働く労働者 ©Sebastião Salgado / Amazonas―Press Images CHAPTER9 労働政策を超えて 331 注 28. Kim, Tandon, and Hailu 1997. 1. Commission on Growth and Development 29. Engle 他 2007;Grantham-McGregor 他 2007; 2008, 53. Heckman 2008;Walker 他 2007;Young and 2. Ball, Leigh, and Loungani, 近刊. Richardson 2007. 3. Bosch and Maloney 2010;Fiess, Fugazza, and 30. Engle 他 2007. Maloney 2010. 31. O'Connor 他 2000. 4. World Bank 2012b, 各号. 32. Cunha, Heckman, and Schennach 2010; 5. Commission on Growth and Development Heineck and Anger 2010. 2008. 33. Data from Education Statistics (Edstats), 6. Kraay 2012. World Bank, Washington, DC (http:// 7. Frankel 2012. web.worldbank.org/WBSITE/ 8. World Bank 2012a. EXTERNAL/TOPICS/EXTEDUCATION/ 9. Elbadawi, Kaltani, and Soto 2009. EXTDATASTATISTICS/EXTEDSTATS/0,,me 10. 過剰な外国為替所得に対処するための選択肢には, nuPK:3232818~pagePK:64168427~piPK:64168 専門家が運用する政府系ファンドを創設して外貨 435~theSitePK:3232764,00.html). 所得著増のインパクトを平準化すること,反循環的 34. Gove and Cvelich 2010. な財政政策を採用して総需要を安定化させること, 35. IMF 2003;Rodrik 2000. 金融政策の目標を消費者物価指数の変動ではなく, 36. World Bank 1997;World Bank 2004b;World 過剰な外国為替に直接影響されるインフレ率にす Bank 2011h. ることなどが含まれる.Arezki, Sy, and Gylfason 37. Keefer 2009;North 1981, 1990. 2012. 38. Acemoglu, Johnson, and Robinson 2001; 11. Rodrik 2008. North 1990;Rodrik, Subramanian, and Trebbi 12. IFC, 近刊. 2004. 13. King and Levine 1993;Levine 2005. 39. World Bank 2004b. 14. Dinkelman 2011. 40. World Bank 2011h. 15. IFC, 近刊. 41. World Bank 2004b. 16. Foster and Briceño-Garmendia 2010. 42. World Bank 2012e. 17. Foster and Briceño-Garmendia 2010. 43. World Bank 2004b. 18. World Bank (2011a) は 183 国の 11 分野にかか 44. Laeven and Woodruff 2007. わる事業規制を測定している. 45. ILO 1998. 19. Hallward-Driemeier, Khun-Jush, and Pritchett 46. World Bank 2012c. 2010. 47. WDR 2013 のために書かれた Chen 他 2012. 20. Ramachandran, Gelb, and Shah 2009;World 48. Locke, Amengual, and Mangla 2009. Bank 2009a. 49. Purcell 2010. 21. Klapper, Laeven, and Rajan 2006. 50. World Bank 2010b.この単位コストは多国間動 22. Bruhn 2008. 員解除・社会復帰プログラムの総コストであり,雇 23. IFC, 近刊. 用だけでなくすべての形の社会復帰支援が含まれ 24. Commission on Growth and Development る. 2008, 37. 51. Glewwe 2004. 25. WDR 2013 のために書かれた Montenegro and 52. Ravallion and van de Walle 2008. Patrinos 2012;Psacharopoulos and Patrinos 53. Rama 2009. 2004. 54. World Bank 2012f. 26. 生産性とのリンクに関しては,例えば Hanushek 55. World Bank 2009b;World Bank 2011e. and Woessmann (2008) を参照.構造変化と貧困 56. 内戦と大虐殺で約 80 万人の命が失われた.約 380 の リンクに関しては,WDR 2013 のために書か 万人が退去を余儀なくされ,うち約 200 万人はコ れた Lee and Newhouse (2012) が探求している. ンゴ民主共和国とタンザニアの難民キャンプに逃 27. Bloom and Canning 2008. 亡した.World Bank 2007. 332 世界開発報告 2013 57. World Bank 2007. html). 58. World Bank 2012d. 77. OECD 2010. 59. World Bank 2011h. 78. OECD 2010. 60. MDRP 2008. 79. EU Press Release(http://www.eu-skladi. 61. 例外は女性の元戦闘員で,失業率が他の人口よりも si/information-and-publicity/news-on- 高 か っ た.Consia Consultants 2007;Stavrou, cohesionpolicy-implementation/latest- Jorgensen, and O'Riordan 2007; MDRP 2010; news/barrososlovenia-example-of-best- Mehreteab 2005. practice-in-youthemployment#c1=News%20 62. Rwanda Demobilization and Reintegration Item&c1=novica). Commission 2012. 80. OECD 2009. 63. ル ワ ン ダ は 2010 年 に Doing Business に よ っ て 81. OECD 2011. ト ッ プ 改 革 国 に 指 名 さ れ た (http://www.doing 82. ILO 1996,2011. business.org/reforms/top-reformers-2010/). 83. Chau and Kanbur (2001) は次のような仲間効果 64. Dudwick and Srinivasan, 近 刊;World Bank を発見している:批准はすでに条約を批准している 2011h. 類似国の数に依存している. 65. World Bank 2011d. 84. Aaronson and Zimmerman 2008;Elliott and 66. コーヒー企業における農民と労働者の研究が発見 Freeman 2003. したところによると,このような仕事を通じた相互 85. Hafner-Burton 2009. 作用は異民族間協働に対する態度の改善に加えて, 86. Mosley 2011. 不信の低下や融和に関する肯定的な意見と関係が 87. Schrank 2009. ある.Tobias and Boudreaux 2011. 88. WDR 2013 のために書かれた Adler and Hwang 67. United States Geological Survey(http:// 2012. minerals.usgs.gov/minerals/pubs/commodity/ 89. Berik and Rodger 2010;Polaski 2006. copper/mcs-2012-coppe.pdf);UNCTAD 90. WDR 2013 の た め に 書 か れ た Levi 他 2012; Statistics(http://unctadstat.unctad.org/). WDR 2013 のために書かれた Newitt 2012. 68. BADECEL (database), Economic Commission 91. 多数の利害関係者が参加したイニシアティブの例 for Latin America, Santiago(http://websie. としては次がある:イギリス・ベースの Ethical eclac.cl/badecel/badecel_new/index.html) . Trading Initiative(http://www.ethicaltrade. 69. World Bank 2012f. org/); ア メ リ カ・ ベ ー ス の Fair Labor 70. Sinnott, Nash, and de la Torre 2010.国際金融 Association(http://www.fairlabor.org/); 危機が勃発した 2008 年に,チリの安定化基金は約 Social Accountability International(http:// 200 億ドル(対 GDP 比 12%)を擁していたので, www.sa-intl.org/). 同国は大規模な反循環的な財政拡張政策をファイ 92. WDR 2013 の た め に 書 か れ た Levi 他 2012; ナンスすることができた. WDR 2013 の た め に 書 か れ た Newitt 2012; 71. Sinnott, Nash, and De la Torre 2010.1997 年 UNCTAD 2011. のアジア金融危機を受けて,政府は為替相場の自由 93. WDR 2013 のために書かれた Newitt 2012. な変動を認める政策を採用し,為替相場リスクを緩 94. これには以下が含まれる:Wine Industry Ethical 和する制度を導入した.World Bank 2006. Trade Association in South Africa(http:// 72. W o r l d w i d e G o v e r n a n c e I n d i c a t o r s . wieta.org.za.www34.cpt3.host-h.net/);Fibre Kaufmann, Kraay, and Mastruzzi 2010 を参照. Citoyenne(モロッコの衣服セクターにおける多 73. Consejo Nacional de Innovación 2008;World 数 の 利 害 関 係 者 が 関 与 し て い る.http://www. Bank 2008. fibrecitoyenne.org/). 74. World Bank 2011f. 95. Barrientos and Smith 2007. 75. World Bank 2006. 96. Locke, 近刊;Locke, Quin, and Brause 2007. 76. O E C D S c o r e b o a r d f o r Y o u t h ( h t t p : / / 97. Maranhao Costa and Trindade 2009. www.oecd.org/document/31/0,3746, 98. 次を参照:"Better Work," International Finance en_2649_37457_46328479_1_1_1_37457,00. Corporation, Washington, DC; International CHAPTER9 労働政策を超えて 333 Labour Organization, Geneva(http://www. 典や領域を超えて概念や手法に関する一貫性を奨 betterwork.org/EN/Pages/newhome.aspx) . 励することを意図したものである. 99. Laborde and Martin 2011a;Laborde and 119. ILO 2012. Martin 2011b. 120. Bartelsman, Haltiwanger, and Scarpetta 2011; 100. Hoekman 2011. Hsieh and Klenow 2009, 2011;McMillan and 101. François and Hoekman 2010;Hoekman and Rodrik 2011;WDR 2013 の た め に 書 か れ た Mattoo 2011. McMillan and Verduzco 2012;Pagés 2010. 102. Hoekman and Mattoo 2011. 121. 例えば,電力を使用する企業の雇用が労働者 10 人 103. Fink, Mattoo, and Rathindran 2003;François に(電力を使わない企業なら 20 人)に到達すると, and Hoekman 2010. 企業は組織化セクターに入って 1948 年工場法の 104. Roy 2008. 対象になる.労働者が 50 人に達すると,1947 年 105. Bertrand and Kramarz 2002;Wrigley and IDA の対象になり,1948 年従業員国家保険法に基 Lowe 2010. づいて健康保険を提供することが義務になる.100 106. Hoekman and Mattoo 2011. 人に達すると,労働者を解雇する権限を失う. 107. Randriamaro 2007. 122. Panagariya 2008. 108. World Bank 2011g. 123. Hsieh and Klenow 2009. 109. 次 を 参 照:World Trade Organization, 124. Panagariya 2008.1990-91 年以降における農業 "Movement of National Pensions"(http:// のシェア低下は,すべてがサービスで吸収されてい www.wto.org/english/tratop_e/serv_e/ る.GDP に占める農業のシェアは 1970-71 年の mouvement_persons_e/mouvement_persons_ 46%から,1990-91 年 27%,2004-05 年 21%と e.htm). 低下した.サービス業の対 GDP 比は 1970-71 年 110. Solimano 2008. 22%,1990-91 年 27%,2004-05 年 27%,製造 111. 例えば次を参照:Winters 他 2002;World Bank 業については 13%,17%,17%という推移となっ 2005. ている. 112. 例 え ば 次 を 参 照:EFRA 2011;Angenendt 125. 改革は貿易と外国投資,および 1951 年に導入され 2012. た「許認可統治」(License Raj )制度に焦点を当 113. 例えば,EU のシェンゲン地域など地域的な合意も てている.この制度は組織化された製造業セクター 存在している. への参入やその生産に対して,中央による統制を意 114. このような問題に関する議論については Pritchett 図したものであった. (2006) を参照. 126. Ahsan and Pagés 2009;Besley and Burgess 115. Kanbur and Svejnar 2009. 2004.1947 年 IDA の修正の解釈と執行のゆえに 116. 世界中で月ないし四半期ベースに労働力調査を公 Besley and Burgess (2004) が提示した証拠にか 表しているのは 65 カ国,毎年行っているのは 116 かわる懸念事項に関しては,Bhattacharjea (2006) カ国である. も参照. 117. その 4 つの指標とは次の通り:被雇用者 1 人当た 127. Hsieh and Klenow 2009. り GDP(生産性の指標),就業率,1 日 1.25 ドル 128. Bhattacharjea 2006. 未満の生活をしている被雇用人口(いわゆる勤労 129. Hasan and Jandoc 2012. 貧困層)の割合,被雇用人口のうち自己勘定や無 130. Deshpande 他 2004. 報酬の労働者(いわゆる脆弱な労働者).United 131. Santosh Mehrotra (Planning Commission of Nations Development Group 2010. India) による暫定推定値. 118. 労働統計に関する国際基準には次の 2 種類がある: 132. Hasan and Jandoc 2012. ① ILO の国際労働会議で採択された条約や勧告で 133. 中国では 2000 年以降,次のような数本の労働法が 概要が示されているもの;②国際労働統計家会議 制定されている:2001 年における労働組合法改正; (ICLS)で採択された決議や指針.前者は国際的な 2008 年の労働契約法・雇用促進法・労働争議調停・ 労働規約の一部になっており,批准国では法的な拘 仲裁法;2011 年の社会保険法.このような規則が 束力を有する.後者は各国に対して指針を提供し, 実施されれば,労働市場の柔軟性低下につながる可 労働統計について国際的な比較可能性を促進し,出 能性がある. 334 世界開発報告 2013 134. World Bank 2004a. Country: An Evaluation Using the Difference-in- 135. より興味深いことに,フォーマル・セクターの労働 Differences Approach.” Policy Research Working Paper Series 2985, World Bank, Washington, DC. 者の移住フローはブラジル中央の西部・北部・北東 Alesina, Alberto, Yann Algan, Pierre Cahuc, and Paola 部の少数の州,という奇妙な行先に向かっていた. Giuliano. 2010. “Family Values and the Regulation このフローは典型的な移住フローは低所得の北部 of Labor.” Working Paper Series 15747, National から高所得の南部に流れる,という主張とは矛盾 Bureau of Economic Research, Cambridge, MA. している.Aguayo-Tellez, Muendler, and Poole Almeida, Rita, Juliana Arbelaez, Maddalena Honorati, Arvo Kuddo, Tanja Lohmann, Mirey Ovadiya, 2010. Lucian Pop, Maria Laura Sanchez-Puerta, and 136. World Bank 2009c;Lin 2012. Michael Weber. 2012. “Improving Access to Jobs 137. Jayanthakumaran 2003. and Earnings Opportunities: The Role of Activa- 138. 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APPENDIXES 343 用語解説 仕事 仕事(jobs):正確な定義はさまざまであるが,仕事は職場における基本的な権利や原則を侵害 されることなく,所得――金銭ないし現物――を生み出す労働活動のことである.仕事は賃金雇 ,非公式雇用(インフォー 用・自己雇用・農業などといった形態をとり,公式雇用(フォ-マル) マル)を含む. 開発を推進する仕事(good jobs for development):社会的な目標に最も貢献する仕事のことで ある.仕事の開発効果はそれが当該労働者にもたらす価値と,他人にもたらす波及効果(もしあ るなら)の総和である.個人的な価値は開発効果の一次的な尺度ではあるが,波及効果が顕著に 重要となることもある. 仕事のレンズ(jobs lens):戦略・政策・プログラムは,仕事からの開発効果を考慮に入れるた め,仕事のレンズを採用している.仕事のレンズは民間セクターが開発のために良い仕事の創出 を増やすのを阻害する制約に取り組むことによって,未開拓の開発効果を実現することを目指し ている. スキル 認知的スキル(cognitive skills):言語能力・作動記憶・数的思考能力・問題解決能力などが含ま れる. 社会的スキル(social skills): 他人との相互作用やコミュニケーションを円滑化する.チーム ワーク・信頼性・規律・労働意欲などといった行動の背後にある性格に基づく. 技術的スキル(technical skills): 特定の課題の遂行を可能にする.特定の仕事ないし仕事のグ ループに固有な知識という形をとる. 企業家精神(entrepreneurship): 新しいアイディアを実施に移すという革新的な能力と,既知 技術の限度内で企業の効率性を高める経営能力を組み合わせたもの. 転換 生活水準(living standards):福祉の物資的・主観的な側面を包摂する.仕事は人々を貧困から 引き上げ,脆弱性を弱め,意欲を出させ,より幅広い幸福や生活満足度に寄与する所得機会を通 じて,生活水準に貢献する. 生産性(productivity):一定量の投入で生み出される産出量の水準.一般に,各人の仕事の生産 344 世界開発報告 2013 性が高くなり,より生産的な仕事が創出されると,生産的でない仕事が破壊され,各国内や国境 を越えて労働者の再配分がおこり,生産性全体の変化が生じる. 社会的一体感(social cohesion):集団的な意思決定を平和的に管理する能力をもっている社会 には,一体感がある.仕事は各人が属しているグループを超えて,他人に対する信頼を高めるこ とによって社会的一体感に貢献することができる.市民的社会参加を促進することによってもそ の度合いを深めることが出来る. 権利 中核的労働基準(core labor standards):1998 年の「労働における基本的原則および権利に関 する宣言」に含まれている 8 つの ILO 条約.これは児童労働・差別・強制労働・結社の自由・ 団体交渉などを対象としている. 職場の安全衛生(health and safety at work):業務事故や作業関連疾患は労働者の健康を害し, 重要な死因となっており,社会にとって高い代価をもたらす. 開発効果 波及効果(spillovers):仕事はそれに就いている人の福祉に対する直接的な影響を超えて,社会 的目標に対して追加的な影響をもち得る.仕事は他人の生活水準・生産性・集団的意思決定のあ り方などに影響する可能性がある.ただし,仕事からの波及効果はプラスでもマイナスでもあり 得る. 他人の所得(earnings of others):交渉力が不均等だったり差別があったりすると,労働所得が 低すぎたり高すぎたりすることとなり,その結果として他人が得をしたり損したりする.政府移 転あるいは制限的な規則を通じて支援された仕事も,他人の所得や雇用機会に影響する. 家計における配分(household allocations):仕事をもっている人はそれを背景に家計内の地位 が変化し,家族間における資源の配分方法について発言権が変化するる.女性を経済的に向上さ せるような仕事は,子供の教育や健康に対する投資の増加につながる. 貧困削減(poverty reduction):貧困削減を高く評価する社会では,人々を貧困から脱出させる 仕事は社会福祉を拡大させる.そのような社会では,貧困層を優遇する雇用機会は,たとえ所得 や産出が全体として変化しなくても,好ましいとみられる. 集積効果(agglomeration effects): 仕事関連の相互作用は他人の生産性を高める.アイディア の共有・波及;顧客・サプライヤー・競合他社からの学習;労働市場を通じたスキルのマッチン グの改善などが,生産性向上が生じるメカニズムである. 世界的統合(global integration):世界市場に連動した仕事や外資系企業における仕事では,よ り先進的な技術・経営スキルの修得が可能になる.このような仕事は産業構造を変化させて,最 も生産的な経済単位を優遇し,最も生産的でない単位を廃業に追い込む. 用語解説 345 :仕事は環境を損傷したり,稀少資源の過剰使用につながった 環境効果(environmental effects) りする場合には,総生産性にマイナスの影響を及ぼす.しかし,それは森林やその他の共有資源 を管理する場合のように,プラスの環境効果をもつこともある. 社会的アイデンティティ(social identity):仕事はそれをもっている人の価値観や行動が,社会 全体に影響を及ぼすことによって,他人の福祉にインパクトを与えることがある.そういう時 に,その仕事の社会的アイデンティティは高い. ネットワーク(network):仕事は人々を互いに結び付ける.それは同僚の間より広く社会に対し て情報を伝達する.職場における相互作用が社会的・民族的な背景が異なる人々の間で知識を増 加させる場合,仕事はプラスの効果を与える可能性がある. 公平感(sense of fairness):機会の平等という発想と矛盾する仕事の割当は,欲求不満と社会 や集団的意思決定プロセスからの離脱につながりかねない.透明性や実績の基準に準じた仕事 は,社会における公平感の増大に寄与できる. 仕事における課題 農業国(agrarian economy):このような諸国では,ほとんどの人々は依然として,しばしば非 常に小さな家族農場で農業に従事しており,都市での仕事がまだ経済的生産活動の源泉になって いない. 紛争の影響下にある国(conflict-affected country): これらは紛争が進行中ないし終焉したとこ ろから台頭しようとする諸国で,平和維持部隊の駐屯がまだ必要だったり,あるいは,紛争に伴 う死者が依然として多い. 資源の豊富な国(resource-rich country):鉱物資源が輸出のなかで大きなシェアを占めている. 資源の採取は劇的な経済成長をもたらすが,競争力を阻害し,民間ではなく政府主導の仕事が奨 励される傾向がある. 小島嶼国(small island nation):規模と遠隔性のゆえに集積や世界的統合の利益を享受すること がむずかしい.生態系の壊れやすさが脆弱性を倍加している. 都市化の進む国(urbanizing country):都市人口のシェアが急上昇している.都市は農村部移住 者にとって磁石となっているが,軽工業品から高付加価値製品への輸出という脱皮に失敗してい る場合もある. :長期にわたる失業と無為が 若年層の失業率が高い国(country with high youth unemployment) 若者人口のうちしばしば大きな割合に影響を与えている.事業機会や仕事の割当は特権によって 汚されている. フォーマル化の進む国(formalizing country):社会保障などの割合が比較的高く,労働人口全体 346 世界開発報告 2013 への拡張が期待される状況となっている国のことである.そこでは,生産性の足を引っ張ること なく社会保障の充実をどうやるかが重要な課題となっている. 高齢化社会(aging society):労働人口が低下する一方,増大する高齢者の扶養・介護のコスト が増加しているため,生活水準には二重の重荷がかかっている社会である. 347 参考文献についての注  本報告書は世界銀行の内外の大勢の同僚からの寄稿に加えて,本報告書作成チームが委託した 広範な背景論文などに依拠してまとめられている.チームとしては,以下の各氏による論文・メ モ・プレゼンテーション・データ分析に厚くお礼を申し上げる. Ana Abras, Daniel Adler, Christopher Adolph, Cristian Aedo, Alpasan Akay, Yilmaz Akyuz, Rita Almeida, Miriam Altman, Uma Rani Amara, Colin Andrews, Steffen Angenendt, Omar Arias, Hassen Arouri, Javier Arias-Vasquez, Gabriela Armenta, Ragui Assaad, João Pedro Azevedo, Elisabeth Baehr, Aminata Bakouan, Sajitha Bashir, Daniel Berliner, Janine Berg, M. Inés Berniell, Haroon Bhorat, Constanza Biavaschi, Ingunn Bjørkhaug, David Blanchflower, Erik Bloom, Nicholas Bloom, Chris Bonner, Alessio Brown, Drusilla Brown, Tilman Brueck, Martha Chen, Mahendra Chetty, Yoonyoung Cho, Hayat Chowdhury, Sarah Cook, Katia Covarrubias, Hai- Anh Dang, Maitreyi Bordia Das, Benjamin Davis, Arjan de Haan, Joost de Laat, Rajeev Dehejia, Peter Dewees, Stefania Di Giuseppe, Rafael Díez de Medina, Susanne Dorasil, Nora Dudwick, Gilles Duranton, Werner Eichhorst, Aaron Erlich, Jonna Estudillo, Christine Evans-Klock, Paolo Falco, Lucia Fernandez, Gary Fields, Sandra Fredman, Richard Freeman, Caroline Freund, Leonardo Garrido, John Giles, T. H. Gindling, Corrado Giulietti, Anne Greenleaf, Michael Grimm, Lorenzo Guarcello, John Haltiwanger, Anne Hatløy, Ricardo Hausmann, Yuki Higuchi, Margo Hoftijzer, Maddalena Honorati, Shoghik Hovhannisyan, Alejandro Hoyos, Jikun Huang, Steffen Hummelsheim, Hans Hwang, Gabriela Inchauste, Beata Javorcik, Johannes Jütting, Tewodros Kebede, Jennifer Keller, Michael Kendzia, Niny Khor, Talip Kilic, Austin Kilroy, Christian Kingombe, Johannes Koettl, Irina Kovrova, Adea Kryeziu, David Kucera, Nandika Kumanayake, Milli Lake, Peter Lanjouw, Donald Larson, Jean Lee, Hartmut Lehman, Margaret Levi, Philip Levy, Richard Locke, Javier Luque, Scott Lyon, William Maloney, Ghazala Mansuri, David Margolis, Pedro Martins, Tomoya Matsumoto, Dimitris Mavridis, Catriona McLeod, Margaret McMillan, Johan Mistiaen, Martin Moreno, Marc-Andreas Muendler, Alexander Muravyev, Yoo-Jeung Nam, Ambar Narayan, David Newhouse, Kirsten Newitt, Andrew Norton, Jennifer Noveck, Antonio Nucifora, Philip O'Keefe, Sergio Olivieri, Remco Oostendorp, Ana Maria Oviedo, Caglar Özden, Pierella Paci, Karin Pape, Federico Parra, Harry Anthony Patrinos, Patti Petesch, Janneke Pieters, Uma Rani, Marco Ranzani, Bob Rijkers, David Robalino, Raymond Robertson, Nuría Rodríguez- Planas, Paul Romer, Furio Camillo Rosati, Friederike Rother, Scott Rozelle, Jaime Saavedra Chanduvi, Klas Sander, Mauricio Sarrias, Naotaka Sawada, Ricarda Schmidl, Helmar Schneider, Nadia Selim, Binayak Sen, Slesh Shrestha, Arbind Singh, Caroline Skinner, Jin Song, Tetsushi Sonobe, Walter Sosa, Dirk Willem te Velde, Sailesh Tiwari, Ihnsan Tunali, Erol Tymaz, Zia Uddin, Inigo Verduzco, Marco Vivarelli, Jacqueline Wahba, Dewen Wang, Michael Weber, Christian Welzel, Frank-Borge Wietzke, Hernan Winkler, Firman Witoelar, Monica Yanez-Pagans, Huafeng Zhang, Klaus Zimmerman.  世界銀行内外の多数の方々がチームにコメントを提供し,報告書の作成をさまざまな形で支援 してくれた.それには以下の各氏が含まれる. Paloma Acevedo, Cristian Aedo, Junaid Kamal Ahmad, Ahmad Ahsan, Rita Almeida, Tilman 348 世界開発報告 2013 Altenburg, Colin Andrews, Omar Arias, Gabriela Armenta, Erhan Artuc, Orazio Attanasio, Ajita Berar Awad, João Pedro Azevedo, Peter Bakvis, Elena Bardasi, Nicholas Barr, Andrew Beath, Deepak Bhattasali, Benu Bidani, Erik Bloom, Richard Blundell, Carlos Braga, Milan Brahmbhatt, Hana Brixi, Miriam Bruhn, Sharan Burrows, Wei Ca, Sandrine Cazes, Barry Chiswick, Luc Christiansen, Michael Cichon, Tito Cordella, Paulo Correa, Wendy Cunningham, Karen Curtis, Mahesh Dahal, Andrea Mario Dall'Olio, Maitreyi Das, Joost de Laat, Augosto de la Torre, Gabriel Demombynes, Stefan Dercon, Shanta Devarajan, Peter Dewees, Charles di Leva, Carolina Diaz- Bonilla, Nancy Donaldson, Nora Dudwick, Olivier Dupriez, Friedel Eggelmeyer, Philippe Egger, Marcelo Jorge Fabre, Gabriel Alejandro Faccini Palma, Marcel Fafchamps, Marianne Fay, Juan Feng, Colin Fenwick, Manuela Ferro, Deon Filmer, Georg Fischer, Ciprian Fisiy, Ariel Fiszbein, Roberto Foa, Louise Fox, Caroline Freund, Bernard Funck, Leonardo Garrido, Roberta Gatti, Varun Gauri, Steve Gibbons, Indermit Gill, Delfin Go, Pablo Gottret, Timo Graf von Koenigsmarck, Duncan Green, Mary Hallward- Driemeier, Mark Hanush, Bernard Harborne, Niels Harild, Rana Hasan, Susan Hayter, James Heckman, Rasmus Heltberg, Bernard Hoekman, Bert Hofman, Robin Horn, James Howard, Chang-Tai Hsieh, Elisabeth Huybens, Herwig Immervoll, Gabriela Inchauste, Selina Jackson, Steen Lau Jorgensen, Roy Katayama, Philip Keefer, William James Kemp, Austin Kilroy, Elizabeth King, Leora Klapper, Judith Klemmer, Jeni Klugman, Kalpana Kochhar, Markus Kostner, Aphichoke Kotikula, Rachel Kranton, Arvo Kuddo, Somik Lall, Esperanza Lasagabaster, Daniel Lederman, Philippe Leite, Jeffrey Lewis, Eduardo Ley, Michael Lipton, Gladys López- Acevedo, Malte Luebker, Amy Luinstra, Mattias Lundberg, Xubei Luo, Nora Lustig, Larissa Luy, Ghazala Mansuri, Alexandre Marc, Andrew Mason, Elizabeth Mata Lorenzo, Aaditya Mattoo, Piotr Mazurkiewicz, Siobhan McInerney-Lankford, David McKenzie, Gerard McLinden, Julian Messina, Roland Michelitsch, Pradeep Mitra, Layna Mosley, Rose Mungai, Ana Maria Muñoz Boudet, Reema Nanavaty, Urvashi Narain, Ambar Narayan, Reema Nayar, David Newhouse, Philip O'Keefe, Anna Olefir, Israel Osorio-Rodarte, Caglar Özden, Pierella Paci, Howard Pack, Truman Packard, Carmen Pagés, Robert Palacios, Montserrat Pallares-Millares, Pia Peeters, Nicola Pontara, Aleksandra Posarac, Peter Poschen, Patrick Premand, Menachem Prywes, Stephen Pursey, Rita Ramalho, Martin Ravallion, Michelle Rebosio, Ritva Reinikka, Jose Guilherme Reis, Ana Revenga, Carolyn Reynolds, Francesca Riccardone, Jamele Rigolini, Bob Rijkers, David Robalino, Nigel Roberts, Halsey Rogers, Mark Rosenzweig, Friederike Rother, Robert Francis Rowe, Jan Rutkowski, Jaime Saavedra Chanduvi, Frank Sader, Juan Sebastián Saez, Jamil Salmi, Carolina Sánchez Paramo, Maria Laura Sanchez Puerta, Justin Sanderfur, Prem Sangraula, Indhira Santos, Sigrid Schenk-Dornbusch, Grit Schmalisch, Anita Schwarz, Sudhir Shetty, Saurabh Shome, Sandor Sipos, Radhika Srinivasan, Stavros Stavrou, Henriette Strothmann, Manami Suga, Naotaka Sugawara, Victor Sulla, Jee-Peng Tan, Afia Tasneem, Ehab Tawfik, Graham Teskey, Manuela Tomei, Carrie Turk, Alexandria Valerio, Bernice Van Bronkhurst, Aleem Walji, David Warren, Michael Weber, Deborah Welzel, Jill Wilkins, Alys Willman, Doris Witteler-Stiepelmann, Michael Woolcock, Colin Xu, Xiao Ye, Nobuo Yoshida, Anders Zeijlon.  また,本チームは International Finance Corporation の Jobs Study――Roland Michelitsch が統 (“Assessing Private Sector Contributions to 括した「雇用創出にかかわる民間部門の貢献を評価」 Job Creation”)と題する論文――との緊密な協働で,多大な恩恵を享受した.さらに,チームは Jobs Knowledge Platform との相互交流からも教えられるところがあった.これは本報告書のプ レゼンテーション期間中に,Mary Hallward-Driemeier, Gladys López-Acevedo, David Robalino, 参考文献についての注 349 Claudia Sepulveda などによって創設されたフォーラムである.  チームは Implementation Task Force for the Report との密接な関係を維持した.これを招集 したのは Mahmoud Mohieldin,リーダーは Tamar Manuelyan Atinc と Arup Banerji であり,メ ンバーには次の各位が含まれている.Omar Arias, Najy Benhassine, Mary Hallward-Driemeier, Roland Michelitsch, Pierella Paci, Idah Pswarayi-Riddihough. 350 背景論文・メモ Abras, Ana, Alejandro Hoyos, Ambar Narayan, and Sailesh Tiwari. 2012. “Inequality of Opportunities in the Labor Market: Evidence from Life in Transition Surveys in Europe and Central Asia.” Adler, Daniel, and Hans Hwang. 2012. “From Law on the Books to Law in Action: A Note on the Role of Regulation in the Production of Good Jobs in Cambodia’s Garment Sector.” Almeida, Rita, David Margolis, David Robalino, and Michael Weber. 2012. “Facilitating Labor Market Transitions and Managing Risks.” Aedo, Cristian, Jesko Hentschel, Javier Luque, and Martin Moreno. 2012. “Skills Around the World: Structure and Recent Dynamics.” Andrews, Colin, and Adea Kryeziu. 2012. “Public Works and the Jobs Agenda: Pathways for Social Cohesion.” Arias, Omar, and Walter Sosa. 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Population Center’s Integrated Public Use Microdata Series (IPUMS International, 出所 version 6.1),世界銀行の企業調査データベース.  表 1-8 の 68 指標のうち 37 指標のデータは,一 WDR2013 チームは生活水準や労働力に関する数 般的に入手可能な出所からのものである.このよう 多くの追加的な調査を収集している. な一般的な出所を選定する基準としては,対象とす  31 のどの指標についてであれ,そのミクロ・ る国の範囲よりも各国間の比較可能性を重視した. データの出所として採用するためには,生活水準調 大半の指標に関しては広範囲にわたる追加的なデー 査ないし労働力調査は国全体を代表するものでなけ タの出所がある.それには各国統計局,国際機関が ればならない.高度な都市化国について,この要件 集計した統計個別研究などが含まれる.しかし,す は調査が二次的な都市や町をカバーしなければなら べての国ついて同一基準を使って作成されたデータ ない,ということを示唆している.他の諸国につい だけを使用した.ほとんどの場合,このような 37 ては,農村部も含まなければならないということで 指標の1つずつには単一のデータソースがある.例 ある.WDR 2013 チームとしては,各国間におけ えば,表 1-6 の 5 つの失業関連指標はすべて,国 るデータの比較可能性を確保するために,全部で (KILM) 際労働機関(ILO)の「主要労働市場指標」 800 件を超える家計調査や国勢調査――6 億人強に に基づいている. 関するデータを含む――を標準化した.表 9 はミ  表 2 の教育達成度は,違う基準を使っている以 クロ・データに基づく指標の情報源を要約したもの 下の 2 つの出所に依拠している:「生徒の学習到達 である.出所に関するより詳細な情報は技術的な注 度調査」(PISA)と「国際数学・理科教育動向調査 の箇所で示されている. 活動」(TIMSS).この出所がともに入手可能なの は 6 カ国に限定されているが,互いにほとんど重 年 複なしに公表されている.各ケースに使われている  表 1-8 のデータは通常は 1995 年,2005 年,10 具体的な出所は表 2 に注記されている. 年という 3 つの年を含んでいる.少数の事例では,  表 1-8 の他の 31 指標は,「世界開発報告 2013」 データ入手可能性の問題から他の年を使わざるを (WDR2013)チームが加工したミクロ・データに, 得なかった.例えば,職業別賃金に関する直近の 全面的ないし部分的に基づいている.同チームの 推定値(表 4)は 2008 年だが,最低賃金の比較可 データ処理に全面的に基づく指標には以下が含まれ 能な観察値が出揃った 2007 年のものである(表 る:制約としてのスキル(表 2),仕事があるのに 7).同様に,教育到達度に関するデータ(表 2)は 貧しい人々(表 4),所得のジェンダー格差(表 4), 2003 年,06 年,09 年について提示されている. 零細企業の労働者(表 5),賃金格差(表 6),ニー というのは,それが PISA データが入手可能な時点 トの若者(表 6).それ以外のすべての場合につい だからである(2006 年と表示されている TIMSS て,OECD 加盟国・他の先進国・EU 新加盟国の . データは実際には 07 年のものである) デ ー タ は,OECD や EU 統 計 局(Eurostat) の  WDR 2013 チームが加工したミクロ・データ ウェブサイトから入手した.途上国については,指 を使って算出した 31 指標については,1995 年, 標は OECD や EU 統計局のウェブサイトと同じ基 2005 年,2010 年が参照点である.使用したミク 準と定義に従って,WDR 2013 チームが加工した ロ・データは,年次ベースで入手することは難し 主要指標 355 い.このような指標に関しては,データは 5 年間 港・マカオ・台湾のデータを含まない.インドネシ にわたる範囲のなかで直近の時点のものを使用し アのデータは 1999 年まで東ティモールを含む.セ ている.例えば,1995 年に計上されている値は ルビアのデータは 2005 年までモンテネグロを含 1993-97 年にわたる期間で最も直近の時点のもの み,1999 年以降はコソボを除く. である.調査データの正確な年は国ごとに異なる. 記号 国  空欄はデータが入手不可能か,あるいは指標の算  表 1-8 には 156 の国ないし経済圏が含まれる. 出が不可能であることを意味する.「0」や「0.0」 「国」という言葉は,個別の社会的・経済的な統計 は指標の値がゼロか,ないしは十分小さくて,少数 が入手可能な領域を指す可能性がある.データは 位の表示されている数字のところでゼロに丸めるこ 2010 年現在で構成されている国や経済圏について とができる,ということを意味する. 示されている.特記がない限り,中国のデータは香 356 世界開発報告 2013 表 1 労働力 人口(100 万人) 労働人口(%) 労働市場参加率(%) 失業率(%) 全体 全体 全体 全体 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 アフガニスタン 22.5 29.9 34.4 48.7 65.2 8.5 アルバニア 3.1 3.1 3.2 61.7 69.1 68.1 57.8 13.5 13.8 アルジェリア 28.3 32.9 35.5 27.9 15.3 11.4 アンゴラ 12.1 16.5 19.1 アルゼンチン 34.8 38.6 40.5 61.0 64.7 65.6 63.5 69.0 67.8 18.8 10.6 8.6 アルメニア 3.2 3.1 3.1 66.6 54.3 36.4 28.4 28.6 オーストラリア 18.1 20.4 22.3 66.6 67.3 67.6 74.1 75.4 76.5 8.5 5.0 5.2 オーストリア 8.0 8.2 8.4 67.1 67.9 67.5 71.5 72.4 75.1 3.7 5.2 4.4 アゼルバイジャン 7.7 8.4 9.0 63.2 48.0 8.1 6.0 バングラデシュ 117.5 140.6 148.7 59.0 60.5 60.0 2.5 4.3 5.0 バルバドス 0.3 0.3 0.3 83.9 73.2 19.7 9.1 8.1 ベラルーシ 10.2 9.8 9.5 70.0 70.3 ベルギー 10.1 10.5 10.9 66.2 65.6 65.9 62.1 66.7 67.7 9.3 8.4 8.3 ベリーズ 0.2 0.3 0.3 52.8 58.1 3.1 4.0 ベニン 5.7 7.6 8.8 50.4 78.6 ブータン 0.5 0.7 0.7 61.7 68.8 12.5 11.0 8.2 ボリビア 7.5 9.1 9.9 55.7 57.2 59.6 71.4 71.8 74.7 3.6 5.4 ボスニアヘルツェゴビナ 3.3 3.8 3.8 80.9 58.5 31.8 27.2 ボツワナ 1.6 1.9 2.0 59.9 68.5 21.5 17.6 ブラジル 161.8 186.0 194.9 62.1 66.6 67.9 72.1 74.0 73.9 6.0 9.3 8.3 ブルガリア 8.4 7.7 7.5 67.0 69.0 68.9 68.7 62.1 66.5 15.7 10.1 10.2 ブルキナファソ 10.7 14.2 16.5 48.3 50.5 86.8 86.7 2.6 2.7 ブルンジ 6.1 7.3 8.4 カンボジア 11.2 13.4 14.1 56.3 62.1 63.4 77.0 84.6 84.8 1.7 カメルーン 13.9 17.6 19.6 51.4 89.7 69.4 67.5 8.1 4.4 カナダ 29.4 32.3 34.1 67.6 69.2 69.4 74.7 77.7 77.8 9.5 6.7 8.0 中央アフリカ共和国 3.3 4.0 4.4 51.3 75.4 チャド 7.0 9.8 11.2 49.0 0.7 チリ 14.4 16.3 17.1 63.8 67.1 68.7 59.1 59.3 64.8 4.7 8.0 8.1 中国 1211.2 1307.6 1340.9 66.7 71.4 74.5 71.7 71.0 2.9 2.7 2.9 コロンビア 36.5 43.0 46.3 53.9 62.8 64.5 56.0 69.3 71.9 8.7 11.3 11.6 コンゴ民主主義共和国 44.1 57.4 66.0 50.1 70.9 コンゴ共和国 2.7 3.5 4.0 57.3 66.0 コスタリカ 3.5 4.3 4.7 60.5 65.9 68.5 61.7 65.5 65.3 5.2 6.6 7.8 コートジボワール 14.7 18.0 19.7 クロアチア 4.7 4.4 4.4 66.9 67.2 63.3 61.5 10.0 12.6 11.8 キューバ 10.9 11.3 11.3 8.3 1.9 1.6 チェコ共和国 10.3 10.2 10.5 68.0 71.0 70.6 70.4 70.2 4.0 7.9 7.3 デンマーク 5.2 5.4 5.5 67.4 66.2 65.6 72.3 79.8 79.4 7.0 4.8 7.5 ドミニカ共和国 7.9 9.3 9.9 58.5 61.9 63.5 63.1 58.2 59.4 15.8 18.0 14.2 エクアドル 11.4 13.4 14.5 58.0 61.1 62.5 72.1 73.4 66.8 6.9 7.7 6.5 エジプト 62.1 74.2 81.1 56.2 63.2 48.5 59.8 11.3 11.2 8.7 エルサルバドル 5.7 6.1 6.2 56.5 58.7 61.1 62.9 63.5 64.8 7.6 7.2 7.3 エリトリア 3.2 4.5 5.3 エストニア 1.4 1.3 1.3 65.8 68.0 67.8 70.1 73.8 9.7 7.9 16.9 エチオピア 57.0 74.3 82.9 49.2 49.4 70.4 84.4 3.1 5.4 フィジー 0.8 0.8 0.9 61.2 65.7 48.9 54.6 5.4 4.6 フィンランド 5.1 5.2 5.4 66.8 66.7 66.4 72.1 74.7 74.5 15.3 8.4 8.4 フランス 59.4 63.0 64.9 65.3 65.0 64.8 67.6 69.9 70.5 11.8 8.9 9.4 ガボン 1.1 1.4 1.5 58.5 58.4 17.8 ガンビア 1.1 1.5 1.7 グルジア 4.7 4.4 4.5 66.5 67.6 64.2 13.8 16.5 ドイツ 81.6 82.5 81.7 68.3 66.9 65.9 70.5 73.8 76.6 8.1 11.1 7.1 ガーナ 17.0 21.6 24.4 55.3 75.6 3.6 ギリシャ 10.6 11.1 11.3 67.5 67.5 66.7 60.4 66.8 68.2 9.1 9.8 12.5 グアテマラ 10.0 12.7 14.4 53.8 68.0 3.1 ギニア 7.6 9.0 10.0 49.4 83.6 3.1 ギニアビサウ 1.1 1.4 1.5 ハイチ 7.9 9.3 10.0 ホンジュラス 5.6 6.9 7.6 52.2 55.4 58.2 60.6 63.6 63.2 3.2 4.2 主要指標 357 表 1 労働力(続き) 人口(100 万人) 労働人口(%) 労働市場参加率(%) 失業率(%) 全体 全体 全体 全体 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 ハンガリー 10.3 10.1 10.0 67.6 68.7 68.6 58.9 61.3 62.4 10.2 7.2 11.2 インド 932.2 1094.6 1170.9 59.9 61.8 64.5 62.0 62.2 56.6 2.2 4.4 3.6 インドネシア 199.4 227.3 239.9 61.9 66.0 65.4 63.8 64.8 61.6 4.4 11.2 7.9 イラン 59.8 69.7 74.0 65.9 49.0 9.1 12.1 10.5 イラク 20.9 27.6 32.0 48.6 57.4 43.5 41.5 18.0 アイルランド 3.6 4.2 4.5 64.0 68.2 67.3 61.6 70.8 69.8 12.0 4.3 13.6 イスラエル 5.5 6.9 7.6 60.9 61.7 62.2 60.8 62.4 64.5 6.9 9.0 6.6 イタリア 56.8 58.6 60.5 68.8 66.4 65.7 57.6 62.5 62.2 11.7 7.7 8.4 ジャマイカ 2.5 2.7 2.7 60.1 86.3 16.2 10.9 11.4 日本 125.4 127.8 127.5 69.5 66.1 63.8 71.5 72.6 74.0 3.2 4.4 5.0 ヨルダン 4.2 5.4 6.0 56.0 47.5 14.6 12.4 12.9 カザフスタン 15.8 15.1 16.3 63.8 70.3 55.9 64.3 11.0 8.1 6.6 ケニア 27.4 35.6 40.5 51.4 53.8 58.7 60.6 キリバス 0.1 0.1 0.1 58.4 66.5 韓国 45.1 48.1 48.9 70.7 71.7 73.2 64.9 66.3 65.8 2.1 3.7 3.7 コソボ 2.0 1.8 1.8 62.5 46.5 41.4 キルギス共和国 4.6 5.1 5.4 57.9 57.4 8.1 8.2 ラオス 4.8 5.8 6.2 52.0 59.5 87.7 2.6 1.4 ラトビア 2.5 2.3 2.2 65.7 68.7 68.9 69.6 73.2 20.2 8.9 18.7 レバノン 3.5 4.1 4.2 64.7 47.9 8.5 7.9 レソト 1.8 2.1 2.2 39.3 25.3 リベリア 2.1 3.2 4.0 55.6 73.1 5.6 3.7 リビア 4.8 5.8 6.4 リトアニア 3.6 3.4 3.3 65.9 67.8 68.9 68.4 70.5 17.1 8.3 17.8 マケドニア 2.0 2.0 2.1 66.6 69.1 70.6 62.2 64.2 36.0 37.3 32.0 マダガスカル 13.1 17.9 20.7 51.8 51.0 89.1 2.6 マラウイ 9.9 12.8 14.9 53.5 49.9 89.2 7.8 マレーシア 20.7 26.1 28.4 3.1 3.5 3.7 マリ 9.8 13.2 15.4 62.2 50.7 83.4 57.3 3.3 8.8 モーリタニア 2.3 3.0 3.5 52.2 83.1 33.0 モーリシャス 1.1 1.2 1.3 68.8 69.9 63.6 62.2 5.8 9.6 7.7 メキシコ 92.3 106.5 113.4 59.3 63.5 65.9 61.5 61.9 63.7 6.9 3.5 5.2 モルドバ 3.7 3.6 3.6 67.6 73.5 7.3 7.4 モンゴル 2.3 2.5 2.8 68.4 68.1 3.3 モンテネグロ 0.6 0.6 0.6 68.7 56.9 30.3 モロッコ 26.9 30.4 32.0 55.9 61.7 52.2 54.3 22.9 11.0 10.0 モザンビーク 15.9 20.8 23.4 51.6 50.2 48.2 79.9 83.1 91.2 2.2 ミャンマー 42.1 46.3 48.0 ナミビア 1.7 2.1 2.3 52.2 56.9 19.4 21.9 37.6 ネパール 21.6 27.3 30.0 55.0 55.7 57.4 62.3 81.3 75.7 4.5 2.7 オランダ 15.5 16.3 16.6 68.4 67.5 67.1 69.2 76.9 78.2 7.2 4.7 4.5 ニュージーランド 3.7 4.1 4.4 65.4 66.4 66.5 74.5 77.3 77.5 6.5 3.8 6.5 ニカラグア 4.6 5.4 5.8 51.6 59.1 65.6 67.3 16.9 5.6 ニジェール 9.2 13.0 15.5 47.6 59.2 5.1 ナイジェリア 110.0 139.8 158.4 53.3 63.3 62.7 63.7 ノルウェー 4.4 4.6 4.9 64.6 65.5 66.2 78.3 78.1 4.9 4.6 3.6 オマーン 2.2 2.4 2.8 76.8 パキスタン 127.3 158.6 173.6 53.7 55.3 56.7 55.2 5.0 7.4 5.0 パナマ 2.7 3.2 3.5 60.7 62.7 62.6 62.2 67.3 68.4 14.0 9.8 6.5 パプアニューギニア 4.7 6.1 6.9 55.7 56.2 70.5 パラグアイ 4.8 5.9 6.5 53.1 58.9 61.6 79.7 73.5 72.0 3.4 5.8 5.6 ペルー 23.8 27.6 29.1 59.3 61.3 61.0 74.3 74.4 78.0 7.1 11.4 6.3 フィリピン 69.3 85.5 93.3 58.3 60.7 62.4 64.1 62.1 63.7 8.4 7.7 7.5 ポーランド 38.6 38.2 38.2 65.9 70.1 71.3 67.4 64.4 65.6 13.3 17.7 9.6 ポルトガル 10.0 10.5 10.6 67.3 67.3 66.9 67.4 73.4 74.0 7.2 7.6 10.8 ルーマニア 22.7 21.6 21.4 67.3 69.5 69.9 71.5 62.3 63.6 8.0 7.2 7.3 ロシア 148.1 143.2 141.8 52.4 9.4 7.2 7.5 ルワンダ 5.6 9.2 10.6 51.9 53.5 76.3 85.7 0.6 サウジアラビア 18.5 24.0 27.4 6.3 5.4 セネガル 8.4 10.9 12.4 58.7 53.7 59.3 51.6 10.0 358 世界開発報告 2013 表 1 労働力(続き) 人口(100 万人) 労働人口(%) 労働市場参加率(%) 失業率(%) 全体 全体 全体 全体 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 セルビア 7.7 7.4 7.3 64.5 59.1 20.8 16.6 シエラレオネ 3.9 5.2 5.9 52.6 67.1 3.4 シンガポール 3.5 4.3 5.1 2.7 5.6 5.9 スロバキア 5.4 5.4 5.4 66.3 71.3 72.4 69.3 68.9 68.7 13.1 16.2 14.4 スロベニア 2.0 2.0 2.1 69.4 70.3 69.4 66.3 70.7 71.5 7.2 6.5 7.2 ソマリア 6.5 8.4 9.3 南アフリカ 39.1 47.2 50.0 62.3 62.6 57.6 68.2 16.9 23.8 24.7 スペイン 39.4 43.4 46.1 68.0 68.7 68.2 60.6 69.7 73.4 22.7 9.2 20.1 スリランカ 18.2 19.8 20.9 65.3 67.3 66.9 60.8 58.8 59.1 12.2 7.7 4.9 スーダン 30.1 38.4 43.6 スワジランド 1.0 1.1 1.2 57.1 61.8 21.7 スウェーデン 8.8 9.0 9.4 63.7 65.2 65.3 77.7 78.7 79.5 9.1 7.7 8.4 スイス 7.0 7.4 7.8 67.7 67.9 68.0 79.1 80.9 82.4 3.3 4.4 4.5 シリア 14.2 18.5 20.4 57.5 51.1 7.2 8.2 8.4 タジキスタン 5.8 6.5 6.9 57.0 54.4 タンザニア 29.9 38.8 44.8 48.8 51.3 50.5 77.4 91.4 78.4 4.3 タイ 59.7 66.7 69.1 74.1 66.3 67.5 80.7 82.1 81.5 1.1 1.3 1.2 東ティモール 0.9 1.0 1.1 53.7 53.3 63.3 43.0 トーゴ 4.1 5.4 6.0 55.1 82.8 トンガ 0.1 0.1 0.1 55.7 60.6 13.3 1.1 トリニダード・トバゴ 1.3 1.3 1.3 17.2 8.0 4.6 チュニジア 9.0 10.0 10.5 61.0 51.4 15.9 14.2 14.2 トルコ 58.9 68.1 72.8 63.0 65.5 67.0 56.8 49.8 51.9 7.6 10.6 11.9 トルクメニスタン 4.2 4.7 5.0 ウガンダ 20.8 28.4 33.4 51.4 85.7 2.0 4.2 ウクライナ 51.5 47.1 45.9 67.8 68.3 5.6 7.2 8.8 イギリス 58.0 60.2 62.2 64.7 66.0 66.1 74.7 75.4 75.5 8.6 4.7 7.8 アメリカ 266.3 295.8 309.1 65.4 67.0 66.8 76.9 75.4 73.9 5.6 5.1 9.6 ウルグアイ 3.2 3.3 3.4 62.4 61.6 62.9 71.7 72.7 75.0 10.2 12.2 7.6 ウズベキスタン 22.8 26.2 28.2 ベネズエラ 22.0 26.6 28.8 59.8 63.6 64.0 69.2 10.2 11.4 7.6 ベトナム 72.0 82.4 86.9 61.9 68.3 69.0 84.4 80.5 79.6 1.9 2.1 2.4 ヨルダン西岸・ガザ 2.5 3.6 4.2 51.9 55.6 45.1 42.6 43.0 イエメン 15.1 20.6 24.1 52.1 8.3 16.1 14.6 ザンビア 8.9 11.5 12.9 62.3 64.2 15.3 15.9 ジンバブエ 11.7 12.6 12.6 5.0 4.2 主要指標 359 表 1 労働力(続き) 人口(100 万人) 生産年齢人口(%) 参加率(%) 失業率(%) 男 男 男 男 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 アフガニスタン 11.6 15.5 17.8 47.9 85.2 7.6 アルバニア 1.6 1.6 1.6 61.0 69.4 73.5 65.8 14.4 12.2 アルジェリア 14.3 16.6 17.9 26.0 14.9 10.0 アンゴラ 6.0 8.2 9.4 アルゼンチン 17.1 18.9 19.8 61.8 64.2 65.4 80.4 81.7 81.0 16.5 9.2 7.8 アルメニア 1.5 1.4 1.4 65.6 64.6 38.0 21.9 オーストラリア 9.0 10.1 11.1 67.4 67.9 68.1 83.9 82.6 82.9 8.8 4.9 5.1 オーストリア 3.8 4.0 4.1 69.9 70.0 69.4 80.8 79.3 80.9 3.1 4.9 4.6 アゼルバイジャン 3.8 4.1 4.5 62.1 57.9 8.0 5.2 バングラデシュ 60.3 71.9 75.3 58.5 59.1 89.0 2.7 3.4 4.2 バルバドス 0.1 0.1 0.1 85.6 79.7 16.6 7.3 6.8 ベラルーシ 4.8 4.6 4.4 72.3 72.0 ベルギー 5.0 5.1 5.3 68.2 67.4 67.6 72.3 73.9 73.4 7.3 7.6 8.1 ベリーズ 0.1 0.1 0.2 51.9 81.9 2.9 2.6 ベニン 2.7 3.7 4.4 47.9 77.4 ブータン 0.3 0.3 0.4 60.3 76.1 10 7.5 ボリビア 3.7 4.6 5.0 54.4 55.8 58.9 83.1 82.1 84.5 3.3 4.5 ボスニアヘルツェゴビナ 1.6 1.8 1.8 84.5 73.7 29.5 25.6 ボツワナ 0.8 0.9 1.0 59.0 74.7 19.4 15.3 ブラジル 80.2 91.7 95.9 61.5 66.3 67.5 87.7 85.6 85.1 5.1 7.1 6.1 ブルガリア 4.1 3.8 3.6 67.8 70.7 70.9 71.7 67.0 70.8 15.5 10.3 10.9 ブルキナファソ 5.2 7.0 8.2 45.8 47.9 92.2 91.7 2.9 ブルンジ 3.0 3.5 4.1 カンボジア 5.4 6.5 6.9 54.0 60.7 62.1 80.7 90.8 89.1 1.5 カメルーン 6.9 8.8 9.8 49.4 90.5 76.8 70.0 9.5 4.2 カナダ 14.5 16.0 16.9 68.7 70.3 70.3 81.5 82.5 81.5 9.8 7.0 8.7 中央アフリカ共和国 1.6 2.0 2.2 49.5 76.6 チャド 3.5 4.9 5.6 46.9 1.1 チリ 7.1 8.1 8.5 64.0 67.6 69.2 80.7 76.7 77.8 4.4 7.0 7.2 中国 618.1 673.8 687.5 70.5 74.1 78.6 78.2 2.4 2.6 コロンビア 18.0 21.2 22.8 52.4 61.9 63.6 80.7 84.1 84.8 6.8 8.7 9.1 コンゴ民主主義共和国 21.8 28.5 32.8 48.9 72.2 コンゴ共和国 1.4 1.8 2.0 55.7 68.0 コスタリカ 1.8 2.2 2.4 59.3 65.4 67.6 86.4 84.0 82.1 4.6 5.0 6.6 コートジボワール 7.6 9.2 10.1 クロアチア 2.3 2.1 2.1 69.2 69.5 70.0 67.2 9.5 11.6 11.4 キューバ 5.5 5.7 5.7 5.4 1.8 1.4 チェコ共和国 5.0 5.0 5.2 69.9 73.1 72.7 80.6 78.4 78.6 3.4 6.5 6.4 デンマーク 2.6 2.7 2.7 69.3 67.5 66.7 85.6 83.6 82.6 5.6 4.4 8.4 ドミニカ共和国 4.0 4.7 5.0 57.4 61.9 63.1 85.1 75.6 75.3 10.2 11.1 8.5 エクアドル 5.7 6.7 7.2 56.9 60.4 61.8 89.3 86.6 81.8 5.5 5.6 5.2 エジプト 31.2 37.3 40.7 56.7 62.8 80.7 78.6 7.6 7.1 5.9 エルサルバドル 2.8 2.9 2.9 54.2 56.3 59.1 84.5 81.9 82.6 8.7 8.9 9.0 エリトリア 1.6 2.2 2.6 エストニア 0.7 0.6 0.6 67.9 70.9 70.9 79.9 73.6 76.8 10.5 8.8 19.5 エチオピア 28.3 36.9 41.3 47.8 47.3 90.4 91.6 3.0 2.7 フィジー 0.4 0.4 0.4 60.8 65.3 72.1 75.1 4.8 4.1 フィンランド 2.5 2.6 2.6 69.3 68.9 68.4 74.8 76.6 76.4 15.4 8.1 9.0 フランス 28.9 30.6 31.6 66.9 66.5 66.2 74.9 75.2 74.9 10.0 8.0 9.0 ガボン 0.5 0.7 0.8 59.1 66.2 19.1 ガンビア 0.6 0.7 0.9 グルジア 2.2 2.1 2.1 66.0 68.4 71.9 14.8 16.8 ドイツ 39.7 40.3 40.0 71.6 69.3 67.9 79.6 80.6 82.3 7.2 11.3 7.5 ガーナ 8.6 11.0 12.4 53.9 76.4 3.5 ギリシャ 5.2 5.5 5.6 68.3 68.7 68.2 77.2 79.2 78.9 6.2 6.1 9.9 グアテマラ 5.0 6.2 7.0 51.2 90.9 2.8 ギニア 3.8 4.6 5.0 45.8 85.7 4.6 ギニアビサウ 0.6 0.7 0.8 ハイチ 3.9 4.6 5.0 ホンジュラス 2.8 3.4 3.8 50.6 53.6 56.4 87.6 85.9 85.8 3.2 3.2 360 世界開発報告 2013 表 1 労働力(続き) 人口(100 万人) 生産年齢人口(%) 参加率(%) 失業率(%) 男 男 男 男 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 ハンガリー 4.9 4.8 4.8 69.3 71.1 71.3 67.9 67.9 68.3 11.3 7.0 11.6 インド 484.0 566.6 604.8 59.3 61.1 63.7 85.7 85.1 82.1 2.4 4.1 3.3 インドネシア 99.7 113.5 119.6 60.9 65.6 64.7 89.1 84.4 83.0 3.8 9.5 7.5 イラン 30.1 35.5 37.5 64.6 79.3 8.5 10.5 9.1 イラク 10.4 13.8 16.1 48.6 56.1 78.0 72.4 19.2 アイルランド 1.8 2.1 2.2 64.7 68.9 67.7 76.1 80.6 77.4 11.9 4.6 16.8 イスラエル 2.7 3.4 3.8 61.1 62.0 62.4 69.0 66.8 68.2 5.6 8.5 6.8 イタリア 27.5 28.5 29.6 70.5 68.4 67.6 73.2 74.6 73.3 9.1 6.2 7.6 ジャマイカ 1.2 1.3 1.3 61.4 87.7 10.8 7.4 8.5 日本 61.5 62.4 62.1 71.2 68.0 65.9 84.5 84.4 84.8 3.1 4.6 5.4 ヨルダン 2.2 2.8 3.1 55.8 71.8 12.1 11.8 10.3 カザフスタン 7.6 7.2 7.8 63.2 70.3 62.7 71.6 6.7 5.6 ケニア 13.7 17.8 20.2 50.1 53.0 68.3 68.7 キリバス 58.2 70.4 韓国 22.6 24.0 24.4 71.3 72.7 74.7 78.7 78.2 77.1 2.3 4.0 4.0 コソボ 61.9 63.9 32.9 キルギス共和国 2.3 2.5 2.6 57.9 69.4 7.4 7.3 ラオス 2.4 2.9 3.1 50.8 58.3 90.3 2.6 1.3 ラトビア 1.2 1.1 1.0 68.0 71.9 72.5 74.4 75.8 20.6 9.1 21.7 レバノン 1.7 2.0 2.1 63.3 74.5 7.3 レソト 0.9 1.0 1.1 30.7 23.0 リベリア 1.0 1.6 2.0 54.2 77.1 6.8 3.4 リビア 2.5 2.9 3.2 リトアニア 1.7 1.6 1.5 67.5 70.1 71.8 72.1 72.4 15.3 8.2 21.2 マケドニア 1.0 1.0 1.0 66.7 69.7 71.4 75.0 77.7 マダガスカル 6.6 8.9 10.3 51.1 49.5 91.6 1.7 マラウイ 4.9 6.4 7.5 53.3 49.7 91.3 5.4 マレーシア 10.5 13.3 14.4 2.8 3.4 3.6 マリ 4.9 6.6 7.7 60.3 48.1 88.0 68.0 3.3 7.2 モーリタニア 1.1 1.5 1.7 48.3 89.5 モーリシャス 0.6 0.6 0.6 69.3 70.2 81.9 79.3 4.6 5.8 4.6 メキシコ 45.7 52.6 55.9 58.8 62.9 65.4 85.7 83.1 83.0 6.0 3.4 5.2 モルドバ 1.8 1.7 1.7 67.8 79.0 8.7 9.1 モンゴル 1.1 1.3 1.4 67.2 73.0 3.0 モンテネグロ 0.3 0.3 0.3 69.2 64.2 26.2 モロッコ 13.4 15.0 15.7 54.6 60.9 84.7 83.7 18.7 10.8 9.8 モザンビーク 7.6 10.0 11.4 49.8 48.0 46.4 79.6 82.3 90.6 3.4 ミャンマー 20.9 22.9 23.6 ナミビア 0.8 1.0 1.1 50.7 64.6 17.9 19.4 32.5 ネパール 10.8 13.5 14.9 54.4 52.6 53.7 64.2 88.1 81.0 3.1 オランダ 7.6 8.1 8.2 70.3 69.0 68.3 79.9 83.7 83.7 6.1 4.4 4.4 ニュージーランド 1.8 2.0 2.1 65.9 66.6 66.5 83.7 84.4 83.6 6.4 3.5 6.2 ニカラグア 2.3 2.7 2.9 50.3 58.3 87.3 88.1 75.0 15.9 5.4 ニジェール 4.6 6.5 7.8 47.3 65.7 3.6 ナイジェリア 55.4 70.7 80.2 50.2 60.9 82.0 74.2 ノルウェー 2.2 2.3 2.4 66.4 67.1 67.7 81.2 81.6 80.6 5.1 4.8 4.1 オマーン 1.3 1.3 1.6 パキスタン 65.5 81.0 88.2 52.7 54.0 85.1 83.2 3.7 6.2 4.0 パナマ 1.4 1.6 1.8 60.5 61.5 61.9 83.1 84.2 85.3 10.8 7.6 5.3 パプアニューギニア 2.4 3.1 3.5 54.2 55.2 70.0 パラグアイ 2.4 3.0 3.3 52.7 59.1 61.7 93.7 87.7 86.5 3.1 4.8 4.4 ペルー 12.0 13.8 14.6 58.4 61.1 60.6 86.0 84.3 86.2 6.0 9.6 4.4 フィリピン 35.0 43.0 46.8 57.9 60.6 62.3 80.5 77.6 76.6 7.7 7.7 7.5 ポーランド 18.8 18.5 18.4 67.2 72.0 73.3 73.9 70.8 72.4 12.1 16.6 9.3 ポルトガル 4.8 5.1 5.2 68.3 68.7 68.5 76.4 79.0 78.2 6.4 6.7 9.8 ルーマニア 11.1 10.5 10.4 68.3 71.0 71.6 77.7 69.4 71.5 7.5 7.8 7.9 ロシア 69.4 66.4 65.6 47.9 9.7 7.3 8.0 ルワンダ 2.7 4.5 5.2 49.8 51.8 75.4 83.7 0.9 サウジアラビア 10.3 13.5 15.2 4.7 3.5 セネガル 4.2 5.4 6.2 58.2 50.9 77.8 71.5 7.9 主要指標 361 表 1 労働力(続き) 人口(100 万人) 生産年齢人口(%) 参加率(%) 失業率(%) 男 男 男 男 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 セルビア 3.8 3.7 3.6 65.9 67.4 16.8 15.3 シエラレオネ 1.9 2.5 2.9 50.0 66.8 4.5 シンガポール 1.8 2.1 2.6 2.6 5.6 5.4 スロバキア 2.6 2.6 2.6 67.3 73.0 74.4 77.3 76.5 76.1 12.6 15.4 14.2 スロベニア 1.0 1.0 1.0 71.7 73.0 72.3 71.1 75.1 75.4 7.4 6.1 7.4 ソマリア 3.2 4.1 4.6 南アフリカ 19.3 23.3 24.8 61.3 61.4 68.0 72.3 14.4 20.0 22.6 スペイン 19.3 21.4 22.8 69.4 70.4 69.9 75.5 80.9 80.7 17.8 7.0 19.7 スリランカ 9.2 9.8 10.3 64.3 66.5 65.5 82.1 80.2 80.9 9.0 5.6 3.5 スーダン 15.2 19.3 21.9 スワジランド 0.5 0.5 0.6 57.0 71.3 20.4 スウェーデン 4.4 4.5 4.7 65.4 66.8 66.7 79.6 80.9 82.3 9.8 7.8 8.5 スイス 3.4 3.6 3.8 69.5 69.5 69.5 90.0 87.4 88.3 2.9 3.9 4.2 シリア 7.1 9.4 10.3 56.6 81.3 5.5 5.3 5.7 タジキスタン 2.9 3.2 3.4 56.0 63.5 タンザニア 14.8 19.4 22.4 46.5 50.1 50.3 83.6 92.0 80.7 2.8 タイ 29.7 32.8 34.0 73.5 65.4 66.8 89.8 88.4 88.0 1.0 1.5 1.2 東ティモール 0.4 0.5 0.6 53.5 53.3 77.5 57.9 トーゴ 2.0 2.7 3.0 53.6 82.2 トンガ 0.0 0.1 0.1 54.7 77.6 3.6 トリニダード・トバゴ 0.6 0.6 0.7 15.2 5.8 3.5 チュニジア 4.5 5.0 5.3 60.4 77.2 15.5 13.1 トルコ 29.4 34.0 36.3 63.1 65.9 67.4 81.1 73.0 74.5 7.8 10.4 11.4 トルクメニスタン 2.1 2.3 2.5 ウガンダ 10.3 14.2 16.7 52.9 87.9 1.8 3.1 ウクライナ 23.9 21.7 21.1 69.7 75.8 6.3 7.5 6.6 イギリス 28.2 29.5 30.6 66.3 67.1 67.1 83.3 82.0 81.7 10.0 5.0 8.6 アメリカ 130.2 145.6 152.5 66.5 68.0 67.8 84.3 81.8 79.6 5.6 5.1 10.5 ウルグアイ 1.6 1.6 1.6 62.7 62.3 63.2 86.4 82.9 84.5 8.0 9.5 5.4 ウズベキスタン 11.3 13.0 14.0 ベネズエラ 11.1 13.4 14.5 59.7 63.6 84.1 83.5 9.0 10.3 7.2 ベトナム 35.3 40.6 43.0 60.4 68.6 69.6 85.9 82.3 81.9 2.2 1.9 ヨルダン西岸・ガザ 1.3 1.8 2.1 52.1 56.6 79.0 70.0 65.9 イエメン 7.6 10.4 12.1 50.5 9.3 11.9 11.5 ザンビア 4.4 5.7 6.5 61.3 62.5 14.9 ジンバブエ 5.8 6.2 6.2 6.8 4.2 362 世界開発報告 2013 表 1 労働力(続き) 人口(100 万人) 生産年齢人口(%) 参加率(%) 失業率(%) 女 女 女 女 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 アフガニスタン 10.8 14.4 16.6 49.6 45.1 9.5 アルバニア 1.6 1.6 1.6 62.4 68.7 62.3 49.2 12.2 15.9 アルジェリア 14.0 16.3 17.6 38.4 17.5 20.0 アンゴラ 6.1 8.3 9.6 アルゼンチン 17.7 19.7 20.7 61.0 62.8 63.8 47.7 57.2 55.5 22.3 12.4 9.8 アルメニア 1.7 1.6 1.7 67.6 45.0 34.4 35.0 オーストラリア 9.1 10.3 11.2 65.7 66.8 67.1 64.2 68.2 70.0 8.1 5.2 5.4 オーストリア 4.1 4.2 4.3 64.5 66.0 65.8 62.3 65.6 69.3 4.3 5.5 4.2 アゼルバイジャン 3.9 4.3 4.6 64.2 39.3 8.3 6.9 バングラデシュ 57.2 68.7 73.4 59.5 61.8 31.0 2.2 7.0 7.4 バルバドス 0.1 0.1 0.1 82.4 67.3 22.7 10.9 9.4 ベラルーシ 5.4 5.2 5.1 68.1 68.9 ベルギー 5.2 5.4 5.5 64.3 63.8 64.3 51.7 59.5 61.8 12.2 9.5 8.5 ベリーズ 0.1 0.1 0.2 53.6 34.8 3.3 5.3 ベニン 2.9 3.9 4.5 53.1 79.8 ブータン 0.3 0.3 0.3 62.9 62.1 17.9 17.2 ボリビア 3.8 4.6 5.0 57.0 58.5 60.3 60.5 62.4 65.8 4.0 6.5 ボスニアヘルツェゴビナ 1.7 2.0 2.0 77.5 43.3 35.7 30.0 ボツワナ 0.8 0.9 1.0 60.7 63.0 23.9 19.9 ブラジル 81.7 94.3 99.0 62.6 67.0 68.4 57.4 63.1 63.5 7.2 12.2 11.0 ブルガリア 4.3 4.0 3.9 66.3 67.5 67.1 65.8 57.3 62.3 15.8 9.8 9.5 ブルキナファソ 5.4 7.2 8.3 50.7 53.0 82.0 82.4 1.7 ブルンジ 3.1 3.7 4.3 カンボジア 5.8 6.8 7.2 58.4 63.3 64.6 74.0 79.2 80.8 1.8 カメルーン 7.0 8.8 9.8 53.3 89.0 62.7 65.0 6.5 4.6 カナダ 14.8 16.3 17.2 66.6 68.2 68.5 67.8 72.9 74.2 9.1 6.5 7.2 中央アフリカ共和国 1.7 2.0 2.2 53.1 74.5 チャド 3.5 4.9 5.6 51.0 0.3 チリ 7.3 8.2 8.7 63.6 66.7 68.1 37.4 42.3 51.8 5.3 9.8 9.6 中国 593.1 633.8 653.4 72.3 74.9 64.8 63.7 3.1 3.2 コロンビア 18.4 21.8 23.5 55.3 63.8 65.3 33.2 55.4 59.8 11.3 14.9 15.0 コンゴ民主主義共和国 22.2 28.9 33.2 51.3 69.6 コンゴ共和国 1.4 1.8 2.0 58.8 64.2 コスタリカ 1.7 2.1 2.3 61.7 66.4 69.3 37.7 47.5 49.2 6.6 9.6 9.9 コートジボワール 7.1 8.8 9.7 クロアチア 2.4 2.3 2.3 64.8 65.0 56.7 55.9 10.5 13.8 12.2 キューバ 5.4 5.6 5.6 13.0 2.2 2.0 チェコ共和国 5.3 5.2 5.4 66.3 69.1 68.5 62.4 61.5 4.8 9.8 8.5 デンマーク 2.6 2.7 2.8 65.6 64.8 64.5 64.1 75.9 76.0 8.6 5.3 6.5 ドミニカ共和国 3.9 4.6 4.9 59.6 61.9 63.9 73.3 40.7 44.0 26.2 28.8 22.8 エクアドル 5.7 6.7 7.2 59.6 61.8 63.1 55.3 60.4 52.5 8.8 10.8 8.4 エジプト 30.9 36.9 40.4 55.7 63.6 15.3 40.7 24.1 25.1 19.2 エルサルバドル 3.0 3.2 3.3 58.6 60.9 62.9 44.5 48.2 49.7 5.9 4.8 4.9 エリトリア 1.6 2.3 2.7 エストニア 0.8 0.7 0.7 64.0 65.6 65.1 66.9 71.0 8.9 7.1 14.3 エチオピア 28.7 37.3 41.7 50.5 51.5 66.5 78.0 3.3 8.2 フィジー 0.4 0.4 0.4 61.5 66.0 25.3 33.9 7.8 5.9 フィンランド 2.6 2.7 2.7 64.4 64.6 64.4 69.4 72.8 72.5 15.1 8.7 7.7 フランス 30.5 32.4 33.3 63.8 63.6 63.5 60.6 64.7 66.1 14.1 9.8 9.7 ガボン 0.5 0.7 0.8 57.9 50.7 16.1 ガンビア 0.6 0.8 0.9 グルジア 2.5 2.3 2.4 67.1 67.0 57.2 12.7 16.1 ドイツ 41.9 42.1 41.7 65.2 64.6 63.9 61.3 66.9 70.8 9.4 10.9 6.6 ガーナ 8.4 10.6 12.0 56.6 74.9 3.6 ギリシャ 5.4 5.6 5.7 66.7 66.2 65.2 44.3 54.5 57.6 13.8 15.3 16.2 グアテマラ 5.0 6.5 7.4 56.3 49.0 3.7 ギニア 3.7 4.5 4.9 52.8 81.8 1.7 ギニアビサウ 0.6 0.7 0.8 ハイチ 4.0 4.7 5.0 ホンジュラス 2.8 3.4 3.8 53.8 57.2 59.9 35.9 44.0 43.6 3.4 6.2 主要指標 363 表 1 労働力(続き) 人口(100 万人) 生産年齢人口(%) 参加率(%) 失業率(%) 女 女 女 女 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 ハンガリー 5.4 5.3 5.3 66.1 66.6 66.3 50.3 55.1 56.7 8.7 7.5 10.7 インド 448.1 528.0 566.1 60.5 62.4 65.5 37.2 38.7 30.1 1.7 5.1 4.5 インドネシア 99.7 113.8 120.2 62.8 66.4 66.1 39.6 45.4 40.9 5.5 14.2 8.5 イラン 29.7 34.2 36.4 67.3 19.5 13.4 18.2 16.8 イラク 10.5 13.8 16.0 48.5 58.6 9.3 12.8 14.2 アイルランド 1.8 2.1 2.2 63.3 67.5 67.0 47.1 60.8 62.2 12.1 4.0 9.6 イスラエル 2.8 3.5 3.9 60.7 61.5 61.9 52.7 58.1 60.9 8.6 9.5 6.5 イタリア 29.3 30.2 30.9 67.1 64.5 64.0 42.4 50.4 51.1 16.1 10.1 9.7 ジャマイカ 1.3 1.3 1.4 58.8 84.8 22.5 15.3 14.8 日本 64.0 65.4 65.4 67.9 64.2 61.8 58.4 60.8 63.2 3.3 4.2 4.5 ヨルダン 2.0 2.6 2.9 56.1 21.6 29.9 16.5 24.1 カザフスタン 8.2 7.9 8.5 64.8 70.3 49.7 58.0 9.6 7.5 ケニア 13.8 17.8 20.3 52.7 54.5 49.9 53.0 キリバス 58.6 62.7 3.3 韓国 22.5 24.1 24.5 70.2 70.7 71.8 51.4 54.5 54.5 1.7 3.4 コソボ 63.0 28.3 60.5 9.4 キルギス共和国 2.3 2.6 2.7 58.1 46.0 9.1 ラオス 2.4 2.9 3.1 53.3 60.6 85.3 2.6 1.4 15.7 ラトビア 1.4 1.2 1.2 63.7 65.9 65.8 65.1 70.7 19.8 8.7 レバノン 1.8 2.1 2.2 66.1 22.9 9.5 レソト 0.9 1.1 1.1 47.1 28.0 リベリア 1.1 1.6 2.0 56.9 69.4 4.2 4.1 リビア 2.3 2.8 3.1 リトアニア 1.9 1.8 1.8 64.5 65.8 66.5 64.9 68.8 15.9 8.3 14.4 マケドニア 1.0 1.0 1.0 66.4 68.5 69.9 49.2 50.4 40.8 38.4 32.2 マダガスカル 6.6 9.0 10.4 52.5 52.5 86.6 3.5 マラウイ 5.0 6.4 7.4 53.6 50.0 87.3 10.0 マレーシア 10.2 12.8 14.0 3.8 3.7 3.8 マリ 5.0 6.6 7.7 64.1 53.1 79.2 47.8 3.3 10.9 モーリタニア 1.1 1.5 1.7 55.7 72.7 モーリシャス 0.6 0.6 0.6 68.3 69.7 45.3 45.2 8.2 16.5 12.8 メキシコ 46.6 53.9 57.5 59.7 64.1 66.5 39.5 43.2 46.3 8.6 3.6 5.2 モルドバ 1.9 1.9 1.9 67.4 69.0 6.0 5.7 モンゴル 1.2 1.3 1.4 69.4 63.5 3.6 モンテネグロ 0.3 0.3 0.3 68.3 50.0 35.5 モロッコ 13.5 15.4 16.3 57.1 62.5 21.4 26.4 32.2 11.5 10.5 モザンビーク 8.3 10.7 12.0 53.3 52.3 49.9 80.0 83.7 91.8 1.3 ミャンマー 21.2 23.4 24.3 ナミビア 0.8 1.1 1.1 53.5 50.4 21.1 25.0 43.0 ネパール 10.8 13.7 15.1 55.6 58.5 60.5 60.3 75.6 70.9 2.4 オランダ 7.8 8.2 8.4 66.6 66.1 65.9 58.3 70.0 72.6 8.7 5.1 4.5 ニュージーランド 1.9 2.1 2.2 64.9 66.3 66.4 65.6 70.6 71.8 6.5 4.1 6.8 ニカラグア 2.3 2.7 2.9 52.9 59.8 45.2 47.8 31.1 19.3 6.0 ニジェール 4.6 6.5 7.7 47.9 52.6 8.1 ナイジェリア 54.6 69.1 78.2 56.5 65.8 44.9 53.1 75.5 ノルウェー 2.2 2.3 2.4 62.8 64.0 64.8 72.3 74.9 75.5 4.6 4.4 3.0 オマーン 0.9 1.1 1.1 パキスタン 61.9 77.7 85.4 54.8 56.6 28.2 26.8 14.0 13.0 8.7 パナマ 1.3 1.6 1.7 61.0 63.8 63.3 41.5 50.9 52.1 20.1 13.3 8.5 パプアニューギニア 2.3 3.0 3.4 57.4 71.1 パラグアイ 2.4 2.9 3.2 53.6 58.6 61.5 66.0 59.2 57.2 3.7 7.2 7.5 ペルー 11.9 13.7 14.5 60.2 61.5 61.4 63.4 64.9 70.2 8.7 13.7 8.8 フィリピン 34.3 42.5 46.5 58.8 60.7 62.4 47.9 46.4 50.6 9.4 7.8 7.4 ポーランド 19.8 19.7 19.8 64.7 68.4 69.4 55.3 58.1 59.0 14.7 19.1 10.0 ポルトガル 5.2 5.4 5.5 66.5 66.1 65.5 59.1 67.9 69.9 8.2 8.7 11.9 ルーマニア 11.6 11.1 11.0 66.4 68.1 68.3 65.4 67.9 55.0 8.6 6.4 6.5 ロシア 78.8 76.7 76.2 56.0 56.3 9.2 7.0 6.9 ルワンダ 2.9 4.7 5.4 53.7 54.9 77.0 87.4 0.4 サウジアラビア 8.2 10.6 12.3 14.7 15.9 セネガル 4.2 5.5 6.3 59.3 56.3 43.2 35.0 13.6 364 世界開発報告 2013 表 1 労働力(続き) 人口(100 万人) 生産年齢人口(%) 参加率(%) 失業率(%) 女 女 女 女 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 セルビア 3.9 3.8 3.7 63.1 50.9 26.2 18.4 シエラレオネ 2.0 2.6 3.0 55.0 67.3 2.3 シンガポール 1.8 2.1 2.5 2.8 6.2 6.5 スロバキア 2.8 2.8 2.8 65.3 69.7 70.5 61.4 61.5 61.3 13.8 17.2 14.6 スロベニア 1.0 1.0 1.0 67.3 67.7 66.7 61.5 66.1 67.4 6.8 7.0 7.0 ソマリア 3.3 4.2 4.7 南アフリカ 19.8 23.9 25.2 63.2 63.7 48.5 64.4 20.0 28.2 27.3 スペイン 20.1 22.0 23.3 66.6 67.0 66.6 45.8 58.3 65.9 30.8 12.2 20.5 スリランカ 9.1 10.0 10.6 66.3 67.9 68.2 40.4 39.3 39.7 18.7 11.9 7.7 スーダン 15.0 19.1 21.6 スワジランド 0.5 0.6 0.6 57.2 52.8 23.2 スウェーデン 4.5 4.6 4.7 61.9 63.6 64.0 75.9 76.3 76.7 8.2 7.6 8.2 スイス 3.6 3.8 4.0 65.9 66.3 66.6 68.3 74.3 76.4 3.8 5.1 5.0 シリア 7.0 9.1 10.1 58.4 20.5 14.2 23.8 22.5 タジキスタン 2.9 3.3 3.5 58.0 45.6 タンザニア 15.1 19.5 22.4 51.1 52.5 50.7 72.0 90.9 76.2 5.8 タイ 30.0 33.9 35.1 74.8 67.1 68.1 72.2 76.4 75.7 1.1 1.2 1.1 東ティモール 0.4 0.5 0.6 53.9 53.4 48.7 27.9 トーゴ 2.1 2.7 3.0 56.6 83.4 トンガ 0.0 0.1 0.1 56.7 43.7 7.4 トリニダード・トバゴ 0.6 0.7 0.7 20.6 11.0 6.2 チュニジア 4.5 5.0 5.3 61.5 25.5 17.3 17.3 トルコ 29.5 34.1 36.5 62.8 65.2 66.7 32.7 25.2 29.6 7.3 11.2 13.0 トルクメニスタン 2.1 2.4 2.6 ウガンダ 10.5 14.3 16.7 50.1 83.5 2.2 5.1 ウクライナ 27.6 25.4 24.8 66.3 61.5 4.9 6.8 6.1 イギリス 29.8 30.7 31.6 63.2 64.8 65.0 66.0 68.8 69.4 6.8 4.2 6.7 アメリカ 136.1 150.1 156.6 64.4 66.2 66.3 69.7 69.7 68.4 5.6 5.1 8.6 ウルグアイ 1.7 1.7 1.7 62.1 61.1 62.7 58.5 63.6 66.4 13.2 15.3 10.1 ウズベキスタン 11.5 13.2 14.2 ベネズエラ 10.9 13.2 14.4 59.9 63.6 43.6 54.7 12.8 13.0 8.1 ベトナム 36.7 41.8 44.0 63.3 67.9 68.5 83.1 78.8 77.3 1.7 2.4 ヨルダン西岸・ガザ 1.2 1.8 2.0 51.6 54.5 9.9 14.2 18.2 イエメン 7.5 10.3 11.9 53.7 3.9 46.3 40.9 ザンビア 4.5 5.7 6.4 63.2 65.9 15.9 ジンバブエ 5.9 6.3 6.4 3.0 4.1 主要指標 365 表 1 労働力(続き) 参加率(%)15-24 歳 参加率(%)25-64 歳 男 女 男 女 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 アフガニスタン 72.3 36.7 92.3 49.3 アルバニア 52.3 39.6 50.9 33.8 82.6 76.8 67.2 55.7 アルジェリア アンゴラ アルゼンチン 54.7 50.1 36.5 32.4 92.7 92.6 64.5 63.4 アルメニア 30.2 25.6 79.1 53.4 オーストラリア 73.8 72.0 69.8 69.8 69.6 67.3 86.9 85.4 86.5 62.6 67.9 70.7 オーストリア 64.6 63.6 63.6 58.9 54.8 54.1 84.5 82.7 84.6 63.1 67.9 72.6 アゼルバイジャン 27.4 26.0 70.1 45.0 バングラデシュ バルバドス 62.0 50.5 85.6 72.3 ベラルーシ 31.2 29.5 87.3 79.9 ベルギー 36.0 37.6 35.2 31.7 32.3 29.8 81.1 82.2 82.1 56.5 65.5 68.9 ベリーズ 62.3 28.0 93.8 38.6 ベニン 46.3 61.8 93.8 88.0 ブータン 45.9 46.7 90.3 70.1 ボリビア 59.1 55.5 59.0 45.2 44.2 46.1 95.2 95.6 96.7 68.0 71.2 75.2 ボスニアヘルツェゴビナ 52.3 32.7 79.5 46.1 ボツワナ 45.2 37.4 88.6 74.0 ブラジル 78.5 74.7 71.3 51.8 55.9 54.0 91.9 90.2 90.1 59.7 65.9 66.6 ブルガリア 40.9 31.1 33.5 38.4 24.5 24.2 80.4 76.1 79.5 72.8 65.2 70.6 ブルキナファソ 86.1 83.0 77.6 77.5 96.0 97.1 84.3 85.3 ブルンジ カンボジア 58.7 81.1 78.4 68.3 75.7 75.0 92.3 96.4 95.5 76.6 81.0 83.7 カメルーン 51.7 71.8 43.8 63.2 92.6 69.9 73.7 65.1 カナダ 64.9 66.0 64.4 61.3 65.7 64.6 85.8 86.6 85.6 69.4 74.6 76.5 中央アフリカ共和国 72.1 73.7 79.2 75.0 チャド チリ 49.1 38.2 43.8 26.3 24.4 30.4 91.9 90.9 90.5 41.3 48.1 58.6 中国 60.4 59.6 58.7 55.1 90.5 90.8 74.5 74.1 コロンビア 62.5 61.9 42.8 43.4 93.4 94.2 60.5 65.9 コンゴ民主主義共和国 37.5 47.8 91.3 82.0 コンゴ共和国 40.5 41.7 84.3 76.4 コスタリカ 71.7 61.1 57.8 35.1 36.4 36.1 93.3 94.5 93.1 38.9 52.1 54.2 コートジボワール クロアチア 43.0 40.2 32.9 27.6 77.0 74.0 62.2 62.0 キューバ チェコ共和国 58.7 38.9 36.2 42.0 28.9 25.3 87.9 87.7 87.8 70.9 69.9 69.1 デンマーク 77.0 70.0 67.6 69.4 66.2 67.4 87.7 86.3 86.1 74.3 77.9 78.0 ドミニカ共和国 67.9 51.5 49.0 38.6 26.2 26.5 95.2 87.5 87.9 44.1 47.0 51.8 エクアドル 78.1 66.7 55.4 45.1 45.6 33.8 95.1 96.4 94.5 60.9 66.8 59.9 エジプト 51.1 25.9 95.0 48.7 エルサルバドル 69.8 63.0 62.8 31.9 31.6 31.6 94.0 92.2 93.2 51.5 55.6 57.8 エリトリア エストニア 58.3 39.7 42.3 39.7 29.5 34.3 86.1 84.2 86.3 73.1 77.0 79.9 エチオピア 81.3 81.7 48.0 72.3 96.4 97.2 53.6 81.3 フィジー 49.7 44.1 21.2 23.8 82.5 88.0 27.2 37.3 フィンランド 51.1 50.9 49.4 48.1 50.4 49.3 79.9 82.2 82.4 73.8 77.9 77.7 フランス 37.3 41.8 42.8 33.8 34.3 35.5 84.0 83.4 82.5 67.4 71.9 73.0 ガボン 26.4 22.2 86.8 68.4 ガンビア グルジア 41.8 23.6 81.8 67.3 ドイツ 54.6 52.4 53.7 50.3 46.7 48.9 84.4 86.7 88.2 63.3 71.2 75.2 ガーナ 43.6 44.3 94.8 89.6 ギリシャ 41.3 37.0 33.4 32.5 30.4 27.2 86.3 88.0 87.1 47.3 59.5 63.0 グアテマラ 80.0 40.9 97.2 53.5 ギニア 67.9 74.2 95.1 84.8 ギニアビサウ ハイチ ホンジュラス 75.7 73.4 71.9 28.1 33.1 29.5 95.6 94.5 95.3 40.5 50.6 51.6 366 世界開発報告 2013 表 1 労働力(続き) 参加率(%)15-24 歳 参加率(%)25-64 歳 男 女 男 女 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 ハンガリー 44.6 30.3 27.7 31.9 23.8 22.1 75.4 76.9 77.4 55.5 62.0 63.9 インド 66.0 63.3 52.1 29.1 27.6 19.1 94.9 94.8 95.1 40.7 43.4 34.4 インドネシア 65.7 59.5 47.5 35.1 37.9 26.9 98.9 93.9 94.6 41.5 48.1 45.2 イラン 58.7 16.9 93.2 21.1 イラク 51.4 4.7 83.1 16.7 アイルランド 48.3 56.6 43.1 41.4 49.9 41.5 86.5 87.7 85.0 49.1 63.9 66.8 イスラエル 35.1 30.4 28.9 34.6 34.4 33.7 83.4 80.3 81.6 59.8 66.3 69.7 イタリア 43.9 38.7 33.2 33.6 28.7 23.4 80.6 81.4 80.8 44.6 54.3 56.0 ジャマイカ 62.6 58.7 97.9 94.9 日本 48.0 44.5 42.3 47.2 45.0 44.0 94.7 92.6 92.9 61.4 63.9 66.7 ヨルダン カザフスタン 33.1 32.4 26.5 25.1 74.7 89.6 57.8 70.0 ケニア 42.6 40.6 35.3 29.2 83.3 88.7 58.6 69.0 キリバス 60.0 55.6 75.5 65.8 韓国 31.2 26.7 20.2 41.8 39.0 30.4 92.6 88.8 88.2 54.7 58.2 59.7 コソボ 46.8 31.8 72.8 26.7 キルギス共和国 52.1 32.3 78.1 53.2 ラオス 78.5 80.6 96.2 87.7 ラトビア 43.8 43.0 31.3 37.7 84.0 85.2 74.3 79.0 レバノン 43.7 17.8 88.4 24.9 レソト リベリア 58.5 58.0 87.8 75.8 リビア リトアニア 29.5 32.8 20.5 26.3 85.4 84.5 77.0 80.1 マケドニア 42.0 42.2 29.3 24.0 85.0 87.9 55.0 57.7 マダガスカル 83.1 80.2 96.9 90.4 マラウイ 80.3 78.7 97.9 93.0 マレーシア マリ 80.6 53.5 75.5 42.5 92.1 78.1 81.0 50.9 モーリタニア 81.3 59.9 92.0 78.6 モーリシャス 53.3 45.7 35.6 31.4 90.7 89.8 48.2 49.2 メキシコ 71.8 61.3 61.8 37.3 33.3 33.2 92.6 92.8 92.3 40.6 47.3 51.4 モルドバ 50.9 41.7 87.9 76.9 モンゴル 41.2 30.7 89.4 80.4 モンテネグロ 39.3 27.6 73.0 56.8 モロッコ モザンビーク 59.2 56.1 76.1 68.8 70.0 82.8 91.5 96.7 98.0 86.4 91.9 96.6 ミャンマー ナミビア 37.8 34.3 83.6 61.1 ネパール 50.0 76.4 58.0 53.5 69.1 52.7 72.1 93.9 91.5 64.1 78.9 80.3 オランダ 62.2 71.2 68.6 61.8 70.8 69.4 84.1 86.4 87.1 57.4 69.8 73.3 ニュージーランド 71.2 65.6 62.2 63.0 59.4 58.5 87.5 89.7 89.9 66.4 73.5 75.3 ニカラグア 73.7 76.8 33.1 34.9 95.8 95.9 52.4 54.9 ニジェール 54.5 45.6 71.2 55.8 ナイジェリア 47.3 30.9 27.2 23.7 97.6 91.0 52.9 64.0 ノルウェー 54.3 60.5 56.6 55.4 60.1 56.8 87.9 86.1 86.4 76.8 78.1 80.0 オマーン パキスタン 70.8 64.9 25.5 23.8 93.9 94.5 29.8 28.4 パナマ 62.5 62.1 62.8 28.4 35.3 32.4 92.6 93.1 93.7 47.3 56.8 59.2 パプアニューギニア 68.3 68.4 70.8 72.4 パラグアイ 86.8 73.5 70.0 56.8 45.0 43.6 96.8 95.2 94.5 70.3 66.3 63.3 ペルー 67.4 64.9 67.2 51.8 51.8 54.6 95.8 93.6 94.7 69.3 70.5 76.4 フィリピン 56.0 52.1 50.3 32.6 31.6 31.9 93.1 90.4 89.5 55.1 53.8 59.4 ポーランド 43.9 39.5 39.1 35.6 31.8 29.7 82.2 80.1 80.6 67.9 65.5 65.7 ポルトガル 47.2 46.9 38.6 38.9 38.9 34.8 86.4 86.6 86.2 65.0 74.2 76.5 ルーマニア 50.1 35.9 36.2 42.3 26.5 26.1 86.5 79.1 80.5 72.6 63.3 62.9 ロシア ルワンダ 65.1 69.5 66.7 73.5 84.2 95.4 84.7 97.4 サウジアラビア セネガル 60.0 53.8 25.9 24.8 88.6 83.4 55.4 41.4 主要指標 367 表 1 労働力(続き) 参加率(%)15-24 歳 参加率(%)25-64 歳 男 女 男 女 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 セルビア 34.6 21.2 75.0 57.0 シエラレオネ 35.2 46.5 85.1 77.5 シンガポール スロバキア 52.0 40.7 36.4 40.4 32.4 25.5 86.2 87.4 86.4 68.3 69.9 70.1 スロベニア 44.6 44.5 44.4 40.7 36.3 34.8 79.1 82.4 82.0 67.7 73.0 73.7 ソマリア 南アフリカ 30.3 42.5 26.8 43.0 86.5 87.4 58.8 74.1 スペイン 44.6 52.3 45.1 38.6 42.9 40.1 85.4 87.2 87.3 48.1 61.5 70.5 スリランカ 57.9 53.7 50.8 36.8 32.9 28.1 92.7 89.5 90.8 41.9 41.3 43.3 スーダン スワジランド 39.4 37.4 90.8 62.4 スウェーデン 44.2 49.1 52.1 46.8 51.3 51.4 88.3 88.4 90.1 82.9 82.1 83.1 スイス 65.0 66.6 69.1 62.1 64.7 66.5 95.5 91.9 92.5 69.6 76.2 78.5 シリア 63.3 18.9 93.7 21.5 タジキスタン 43.8 37.0 75.9 50.9 タンザニア 58.9 80.2 57.0 55.2 81.2 55.3 97.8 97.6 95.3 82.5 95.5 87.8 タイ 71.8 58.4 56.0 64.8 45.2 39.9 96.2 95.7 95.4 74.8 83.0 83.0 東ティモール 47.6 17.5 37.8 10.5 94.4 79.8 54.2 36.8 トーゴ 63.1 68.8 92.8 90.4 トンガ 53.9 29.7 91.4 51.1 トリニダード・トバゴ チュニジア 50.0 27.3 91.0 24.6 トルコ 63.7 51.7 49.8 34.2 24.5 25.5 89.1 83.3 82.3 37.0 75.5 31.0 トルクメニスタン ウガンダ 75.4 70.0 95.2 92.9 ウクライナ 40.6 29.6 86.0 69.2 イギリス 67.9 65.3 61.8 59.2 59.2 56.4 87.1 86.1 86.5 67.6 71.0 72.4 アメリカ 70.2 62.9 56.7 62.3 58.6 53.5 87.8 86.4 85.1 71.5 71.6 71.8 ウルグアイ 72.6 60.3 61.3 52.5 45.8 44.5 91.5 90.9 92.5 60.5 68.9 72.8 ウズベキスタン ベネズエラ 64.0 60.1 29.3 35.1 93.9 93.9 50.3 63.1 ベトナム 79.7 57.6 56.3 80.1 53.8 49.5 89.1 94.9 93.9 84.4 89.2 87.9 ヨルダン西岸・ガザ 43.0 42.5 7.2 7.7 86.8 85.8 18.4 26.0 イエメン ザンビア 43.1 55.3 74.4 72.5 ジンバブエ 368 世界開発報告 2013 表 2 スキル 平均教育年数(年数) 平均教育年数(年数) 平均教育年数(年数) スキルが制約(%) 全体 男 女 全体 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 2005 2010 アフガニスタン 2.2 3.4 4.2 3.4 5.5 6.7 0.9 1.1 1.5 18 アルバニア 9.4 10.3 10.3 9.8 10.5 10.4 9.1 10.1 10.1 10 アルジェリア 6.3 7.7 8.3 7.7 8.8 9.1 4.8 6.7 7.5 アンゴラ 21 26 アルゼンチン 8.6 9.1 9.3 8.5 9.0 9.1 8.7 9.3 9.5 49 57 アルメニア 10.4 10.4 10.4 10.5 10.1 9.8 10.3 10.6 11.0 2 23 オーストラリア 11.7 11.9 12.1 11.5 11.5 11.7 11.9 12.2 12.5 オーストリア 8.5 9.3 9.5 9.5 10.3 10.3 7.6 8.4 8.8 アゼルバイジャン 2 15 バングラデシュ 3.7 5.2 5.8 4.3 5.5 6.0 3.1 4.8 5.6 25 バルバドス 8.8 9.3 9.5 8.8 9.2 9.2 8.7 9.5 9.8 ベラルーシ 7 61 ベルギー 9.9 10.5 10.5 10.0 10.6 10.7 9.8 10.4 10.4 ベリーズ 8.8 9.3 9.5 8.8 9.4 9.5 8.7 9.3 9.5 ベニン 2.6 3.6 4.2 3.6 4.8 5.5 1.6 2.4 2.9 26 26 ブータン 13 ボリビア 7.8 9.4 9.9 8.6 10.1 10.5 6.9 8.7 9.3 28 37 ボスニアヘルツェゴビナ 4 19 ボツワナ 8.2 9.2 9.6 8.3 9.4 9.8 8.2 9.1 9.4 20 32 ブラジル 5.4 7.2 7.5 5.3 7.1 7.4 5.4 7.3 7.7 40 69 ブルガリア 9.1 9.7 9.9 9.2 9.7 9.8 9.0 9.7 9.9 10 21 ブルキナファソ 13 37 ブルンジ 2.2 2.9 3.3 2.7 3.4 3.9 1.6 2.3 2.7 12 カンボジア 5.6 5.9 6.0 6.1 6.2 6.3 5.3 5.6 5.8 7 カメルーン 5.0 5.8 6.1 5.8 6.5 6.8 4.1 5.0 5.4 8 38 カナダ 10.8 12.1 12.1 10.8 12.1 12.0 10.7 12.2 12.1 中央アフリカ共和国 3.0 3.5 3.6 4.1 4.7 4.8 1.9 2.4 2.6 チャド 53 チリ 8.8 9.7 10.2 8.9 9.8 10.3 8.7 9.6 10.1 42 41 中国 6.4 7.6 8.2 6.9 8.2 8.7 5.9 7.0 7.6 コロンビア 6.5 7.0 7.7 6.6 7.0 7.7 6.4 7.1 7.7 29 45 コンゴ民主主義共和国 3.2 3.5 3.5 4.6 4.7 4.6 2.0 2.3 2.4 13 65 コンゴ共和国 5.7 5.9 6.0 6.4 6.7 6.9 5.1 5.1 5.2 51 コスタリカ 7.6 8.1 8.7 7.6 8.0 8.6 7.5 8.1 8.8 13 38 コートジボワール 4.2 5.2 5.5 27 クロアチア 8.1 8.7 9.0 8.7 9.2 9.4 7.5 8.3 8.6 7 キューバ 9.5 10.1 10.6 9.7 10.3 10.7 9.3 10.0 10.5 チェコ共和国 11.4 12.7 12.1 11.6 12.9 12.3 11.2 12.6 12.0 12 29 デンマーク 9.7 9.9 10.1 9.9 10.1 10.2 9.5 9.7 9.9 ドミニカ共和国 6.3 7.0 7.4 6.5 7.0 7.3 6.1 7.0 7.5 31 エクアドル 7.2 7.6 8.1 7.4 7.8 8.3 7.1 7.5 7.9 36 34 エジプト 5.1 6.6 7.1 6.1 7.5 7.9 4.0 5.6 6.3 30 エルサルバドル 5.6 7.3 8.0 5.8 7.7 8.3 5.4 7.0 7.7 32 30 エリトリア 1 エストニア 10.4 11.6 11.8 10.3 11.3 11.5 10.5 11.8 12.1 7 30 エチオピア フィジー 10.1 9.4 10.0 10.3 9.4 9.9 9.9 9.3 10.0 14 フィンランド 9.1 9.8 10.0 9.2 9.7 9.9 9.0 9.8 10.1 フランス 8.6 9.9 10.5 8.8 10.2 10.7 8.3 9.6 10.4 ガボン 6.2 7.7 8.4 5.5 7.1 7.9 7.0 8.2 8.8 43 ガンビア 2.5 3.1 3.5 3.2 3.8 4.2 1.7 2.3 2.9 12 グルジア 14 26 ドイツ 9.2 11.8 11.8 9.9 12.2 12.1 8.4 11.5 11.6 7 ガーナ 6.1 6.8 7.1 7.6 7.7 7.8 4.6 5.8 6.4 5 ギリシャ 8.7 9.9 10.7 9.2 10.2 10.9 8.2 9.6 10.5 9 グアテマラ 3.9 4.0 4.8 4.3 4.4 5.3 3.5 3.6 4.4 29 33 ギニア 12 ギニアビサウ 12 ハイチ 4.0 4.8 5.2 5.6 6.8 7.3 2.6 3.0 3.1 ホンジュラス 5.6 6.8 7.5 5.7 7.0 7.6 5.4 6.7 7.4 23 28 主要指標 369 表 2 スキル(続き) 平均教育年数(年数) 平均教育年数(年数) 平均教育年数(年数) スキルが制約(%) 全体 男 女 全体 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 2005 2010 ハンガリー 10.4 11.5 11.7 10.7 11.6 11.8 10.2 11.4 11.5 13 6 インド 3.8 4.7 5.1 4.9 5.8 6.1 2.6 3.6 4.1 14 インドネシア 4.7 5.7 6.2 5.4 6.4 6.9 3.9 5.1 5.6 19 4 イラン 6.1 8.1 8.6 7.3 9.3 9.6 4.9 6.8 7.5 イラク 4.9 5.4 5.8 6.0 6.4 6.8 3.7 4.4 4.9 アイルランド 10.7 11.3 11.6 10.6 11.1 11.5 10.8 11.4 11.7 16 イスラエル 10.9 11.3 11.3 10.9 11.2 11.2 10.8 11.3 11.5 イタリア 8.3 9.1 9.5 8.6 9.5 9.9 7.9 8.8 9.2 ジャマイカ 8.1 9.6 9.9 7.9 9.4 9.7 8.3 9.8 10.0 42 20 日本 10.6 11.3 11.6 11.0 11.6 11.8 10.2 11.0 11.4 ヨルダン 7.4 8.7 9.2 8.3 9.4 9.8 6.4 8.0 8.6 カザフスタン 8.8 10.1 10.4 9.0 10.2 10.5 8.6 10.0 10.3 9 50 ケニア 6.2 7.1 7.3 6.9 7.7 7.8 5.4 6.5 6.8 3 キリバス 韓国 10.6 11.5 11.8 11.4 12.1 12.4 9.7 10.8 11.3 7 コソボ 10 キルギス共和国 8.4 8.6 8.7 8.6 8.6 8.7 8.3 8.6 8.8 19 28 ラオス 3.9 4.7 5.1 4.8 5.4 5.7 3.0 3.9 4.5 11 19 ラトビア 8.9 10.2 10.6 9.1 10.2 10.6 8.8 10.2 10.6 18 39 レバノン 38 レソト 5.1 6.0 6.6 4.1 4.9 5.5 5.9 7.0 7.5 30 17 リベリア 3.0 4.2 5.4 4.3 5.7 7.0 1.8 2.8 3.9 5 リビア 5.7 7.2 7.9 6.1 6.9 7.4 5.3 7.6 8.3 リトアニア 9.2 10.4 10.9 9.5 10.5 10.9 8.9 10.3 10.9 15 40 マケドニア 6 15 マダガスカル 30 17 マラウイ 3.1 4.4 4.7 3.8 5.1 5.2 2.3 3.7 4.2 50 22 マレーシア 8.4 9.7 10.1 8.9 10.0 10.4 7.9 9.4 9.9 マリ 1.0 1.5 2.0 1.3 1.9 2.3 0.7 1.2 1.7 8 12 モーリタニア 3.1 4.1 4.6 4.0 5.1 5.6 2.3 3.1 3.7 23 モーリシャス 6.8 7.3 7.9 7.4 7.7 8.2 6.3 6.9 7.5 43 46 メキシコ 7.1 8.4 9.1 7.4 8.7 9.4 6.8 8.1 8.8 10 31 モルドバ 8.8 9.4 9.7 9.2 9.6 9.7 8.5 9.2 9.6 12 41 モンゴル 7.8 8.0 8.4 7.8 7.8 8.3 7.7 8.1 8.5 29 15 モンテネグロ 20 7 モロッコ 3.5 4.4 5.0 4.5 5.5 6.1 2.5 3.4 4.0 21 モザンビーク 0.9 1.2 1.8 1.3 1.7 2.3 0.6 0.8 1.2 19 ミャンマー 3.1 4.1 4.6 3.1 4.1 4.8 3.1 4.0 4.5 ナミビア 6.1 5.9 6.0 6.1 5.6 5.5 6.1 6.1 6.4 20 ネパール 2.6 3.4 4.0 3.7 4.1 4.4 1.6 2.7 3.5 6 オランダ 10.5 10.8 11.0 10.8 11.1 11.2 10.2 10.6 10.8 ニュージーランド 12.0 12.4 12.7 12.1 12.5 12.7 11.8 12.3 12.6 ニカラグア 4.8 6.1 6.7 5.8 6.9 7.5 3.9 5.3 6.0 23 24 ニジェール 1.2 1.5 1.8 1.8 2.1 2.4 0.6 0.9 1.2 18 37 ナイジェリア 6 ノルウェー 11.0 12.3 12.3 11.2 12.3 12.2 10.8 12.4 12.4 オマーン 35 パキスタン 3.4 4.9 5.6 4.6 6.2 6.8 2.1 3.6 4.3 パナマ 8.4 9.3 9.6 8.3 9.1 9.3 8.5 9.5 9.8 14 19 パプアニューギニア 3.3 3.9 4.1 4.0 4.6 4.7 2.6 3.2 3.4 パラグアイ 6.3 7.6 8.5 6.4 7.7 8.6 6.2 7.5 8.5 36 51 ペルー 7.8 8.7 9.0 8.3 9.2 9.4 7.4 8.2 8.6 32 28 フィリピン 7.9 8.6 9.0 7.9 8.4 8.7 8.0 8.9 9.2 12 8 ポーランド 9.2 9.7 9.9 9.2 9.7 9.8 9.1 9.7 10.0 15 36 ポルトガル 7.0 7.6 8.0 7.3 7.8 8.1 6.7 7.4 7.8 12 ルーマニア 9.6 10.1 10.4 10.0 10.4 10.6 9.2 9.8 10.1 14 43 ロシア 10.2 11.3 11.5 10.5 11.5 11.7 9.9 11.1 11.3 13 57 ルワンダ 2.6 3.6 3.9 3.0 3.8 4.1 2.3 3.4 3.8 12 サウジアラビア 6.3 7.7 8.5 7.1 8.0 8.7 5.1 7.2 8.2 セネガル 3.8 4.7 5.2 4.9 5.8 6.3 2.8 3.6 4.1 10 370 世界開発報告 2013 表 2 スキル(続き) 平均教育年数(年数) 平均教育年数(年数) 平均教育年数(年数) スキルが制約(%) 全体 男 女 全体 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 2005 2010 セルビア 8.5 9.0 9.2 9.0 9.4 9.4 7.9 8.7 8.9 20 17 シエラレオネ 2.6 3.4 3.7 3.5 4.3 4.6 1.8 2.5 2.8 16 シンガポール 7.4 8.5 9.1 7.8 9.0 9.5 7.0 7.9 8.8 スロバキア 11.0 11.1 11.2 11.4 11.0 11.0 10.7 11.1 11.3 8 30 スロベニア 11.0 11.5 11.7 11.2 11.6 11.7 10.9 11.4 11.6 5 15 ソマリア 南アフリカ 8.3 8.3 8.6 8.2 8.3 8.4 8.3 8.3 8.7 9 スペイン 8.2 9.7 10.4 8.5 9.9 10.5 8.0 9.5 10.3 14 スリランカ 9.7 10.8 11.1 9.9 10.9 11.1 9.5 10.7 11.0 21 スーダン 2.5 3.0 3.3 3.1 3.5 3.7 1.9 2.5 2.8 スワジランド 6.3 7.3 7.6 5.9 7.1 7.4 6.7 7.5 7.8 13 スウェーデン 10.8 11.5 11.6 10.5 11.3 11.4 11.1 11.7 11.7 スイス 9.6 9.7 9.9 10.3 10.3 10.4 8.9 9.1 9.4 シリア 4.5 4.8 5.3 5.2 5.2 5.5 3.9 4.5 5.0 36 タジキスタン 9.6 9.3 9.3 9.9 8.8 8.6 9.3 9.8 10.0 5 34 タンザニア 4.4 5.0 5.5 5.1 5.6 6.0 3.7 4.5 5.1 20 タイ 5.9 6.8 7.5 6.2 7.0 7.7 5.6 6.6 7.3 30 東ティモール 19 トーゴ 4.5 5.4 5.9 6.3 7.3 7.9 2.8 3.6 4.0 17 トンガ 9.2 9.2 9.4 9.3 9.3 9.5 9.1 9.2 9.2 59 トリニダード・トバゴ 8.5 9.3 9.6 8.5 9.1 9.5 8.6 9.5 9.8 チュニジア 5.1 6.6 7.3 6.1 7.4 8.0 4.1 5.7 6.6 トルコ 5.4 6.5 7.0 6.5 7.4 7.9 4.4 5.6 6.1 33 25 トルクメニスタン ウガンダ 4.0 4.9 5.4 4.8 5.6 5.9 3.2 4.2 4.8 10 ウクライナ 10.4 10.9 11.1 10.7 11.0 11.2 10.2 10.7 11.0 20 42 イギリス 8.6 9.3 9.8 8.4 9.1 9.5 8.7 9.5 10.0 アメリカ 12.6 12.9 13.1 12.7 12.9 13.0 12.6 12.9 13.2 ウルグアイ 7.6 8.0 8.6 8.2 7.8 8.3 7.1 8.2 8.8 25 31 ウズベキスタン 5 35 ベネズエラ 5.5 6.4 7.0 5.5 6.3 7.0 5.5 6.5 7.0 28 25 ベトナム 4.6 5.7 6.4 4.9 6.0 6.6 4.3 5.5 6.3 14 9 ヨルダン西岸・ガザ イエメン 1.6 3.0 3.7 2.6 4.2 5.0 0.7 1.7 2.4 24 ザンビア 6.0 6.5 7.0 6.2 7.0 7.4 5.9 6.0 6.5 8 ジンバブエ 6.7 7.5 7.7 7.4 7.8 7.9 6.0 7.1 7.4 主要指標 371 表 2 スキル 教育到達度 教育到達度 教育到達度 読み 数学 科学 2003 2006 2009 2003 2006 2009 2003 2006 2009 アフガニスタン アルバニア 385 377 391 アルジェリア 387* 408* アンゴラ アルゼンチン 374 398 381 388 391 401 アルメニア 478* 499* 461* 488* オーストラリア 525 513 515 524 520 514 525 527 527 オーストリア 491 490 470 506 505 496 491 511 494 アゼルバイジャン 353 362 476 431 382 373 バングラデシュ バルバドス ベラルーシ ベルギー 507 501 506 529 520 515 509 510 507 ベリーズ ベニン ブータン ボリビア ボスニアヘルツェゴビナ 456* 466* ボツワナ 366* 364* 365* 355* ブラジル 403 393 412 356 370 386 390 390 405 ブルガリア 402 429 476* 413 428 479* 434 439 ブルキナファソ ブルンジ カンボジア カメルーン カナダ 528 527 524 532 527 527 519 534 529 中央アフリカ共和国 チャド チリ 442 449 387* 411 421 413* 438 447 中国 コロンビア 385 413 370 381 388 402 コンゴ民主主義共和国 コンゴ共和国 コスタリカ コートジボワール クロアチア 477 476 467 460 493 486 キューバ チェコ共和国 489 483 478 516 510 493 523 513 500 デンマーク 492 494 495 514 513 503 475 496 499 ドミニカ共和国 エクアドル エジプト 406* 391* 421* 408* エルサルバドル 340* 387* エリトリア エストニア 501 501 531* 515 512 552* 531 528 エチオピア フィジー フィンランド 543 547 536 544 548 541 548 563 554 フランス 496 488 496 511 496 497 511 495 498 ガボン ガンビア グルジア 410* 421* ドイツ 491 495 497 503 504 513 502 516 520 ガーナ 276* 309* 255* 303* ギリシャ 472 460 483 445 459 466 481 473 470 グアテマラ ギニア ギニアビサウ ハイチ ホンジュラス * は TIMSS のデータ.他のすべてのデータは PISA. 372 世界開発報告 2013 表 2 スキル(続き) 教育到達度 教育到達度 教育到達度 読み 数学 科学 2003 2006 2009 2003 2006 2009 2003 2006 2009 ハンガリー 482 482 494 490 491 490 503 504 503 インド インドネシア 382 393 402 360 391 371 395 393 383 イラン 411* 403* 453* 459* イラク アイルランド 515 517 496 503 501 487 505 508 508 イスラエル 439 474 496* 442 447 488* 454 455 イタリア 476 469 486 466 462 483 486 475 489 ジャマイカ 日本 498 498 520 534 523 529 548 531 539 ヨルダン 401 405 424* 384 387 475* 422 415 カザフスタン 390 405 400 ケニア キリバス 韓国 534 556 539 542 547 546 538 522 538 コソボ キルギス共和国 285 314 311 331 322 330 ラオス ラトビア 491 479 484 483 486 482 489 490 494 レバノン 433* 449* 393* 414* レソト リベリア リビア リトアニア 470 468 502* 486 477 519* 488 491 マケドニア 435* 449* マダガスカル マラウイ マレーシア 508* 474* 510* 471* マリ モーリタニア モーリシャス メキシコ 400 411 425 385 406 419 405 410 416 モルドバ 460* 472* モンゴル モンテネグロ 392 408 399 403 412 401 モロッコ 387* 381* 396* 402* モザンビーク ミャンマー ナミビア ネパール オランダ 513 507 508 538 531 526 524 525 522 ニュージーランド 522 521 521 523 522 519 521 530 532 ニカラグア ニジェール ナイジェリア ノルウェー 500 484 503 495 490 498 484 487 500 オマーン 372* 423* パキスタン パナマ 371 360 376 パプアニューギニア パラグアイ ペルー 370 365 369 フィリピン 378* 377* ポーランド 497 508 500 490 495 495 498 498 508 ポルトガル 478 472 489 466 466 487 468 474 493 ルーマニア 396 424 475* 415 427 470* 418 428 ロシア 442 440 459 468 476 468 489 479 478 ルワンダ サウジアラビア 332* 329* 398* 403* セネガル * は TIMSS のデータ.他のすべてのデータは PISA. 主要指標 373 表 2 スキル(続き) 教育到達度 教育到達度 教育到達度 読み 数学 科学 2003 2006 2009 2003 2006 2009 2003 2006 2009 セルビア 412 401 442 437 435 442 436 436 443 シエラレオネ シンガポール 526 605* 593* 562 578* 567* 542 スロバキア 469 466 477 498 492 497 495 488 490 スロベニア 494 483 493* 504 501 520* 519 512 ソマリア 南アフリカ 264* 244* スペイン 481 461 481 485 480 483 487 488 488 スリランカ スーダン スワジランド スウェーデン 514 507 497 509 502 494 506 503 495 スイス 499 499 501 527 530 534 513 512 517 シリア 395* 452* タジキスタン タンザニア タイ 420 417 421 417 417 419 429 421 425 東ティモール トーゴ トンガ トリニダード・トバゴ 416 414 410 チュニジア 375 380 404 359 365 371 385 386 401 トルコ 441 447 464 423 424 445 434 424 454 トルクメニスタン ウガンダ ウクライナ 462* 485* イギリス 495 494 495 492 515 514 アメリカ 495 500 483 474 487 491 489 502 ウルグアイ 434 413 426 422 427 427 438 428 427 ウズベキスタン ベネズエラ ベトナム ヨルダン西岸・ガザ 390* 435* イエメン ザンビア ジンバブエ * は TIMSS のデータ.他のすべてのデータは PISA. 374 世界開発報告 2013 表 3 雇用構造 第 1 次産業 第 2 次産業 第 2 次産業 行政サービス の雇用(%) の雇用(%) の雇用(%) の雇用(%) 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 アフガニスタン 59.1 12.5 28.4 1.8 3.3 3.2 アルバニア 3.0 47.1 40.2 20.5 56.8 32.4 15.9 11.2 アルジェリア アンゴラ アルゼンチン 7.3 6.7 5.8 34.6 30.3 29.4 58.1 63.0 64.8 8.7 9.0 アルメニア 10.4 16.5 15.6 オーストラリア 5.0 3.6 3.3 22.8 21.3 21.1 72.2 75.1 75.5 13.4 14.0 14.6 オーストリア 7.4 5.5 5.2 32.0 27.5 24.9 60.6 66.9 69.9 14.9 11.8 11.5 アゼルバイジャン 24.8 18.2 57.0 21.7 15.4 14.3 バングラデシュ 39.0 21.0 40.0 2.2 バルバドス ベラルーシ 22.1 24.4 ベルギー 2.7 2.0 1.4 28.3 24.7 23.4 69.1 63.3 65.3 18.9 18.7 18.8 ベリーズ 29.7 18.7 51.6 12.6 ベニン 45.1 9.2 45.7 1.4 ブータン 69.1 7.2 23.7 8.8 ボリビア 43.8 40.0 35.6 18.2 18.9 18.8 38.1 41.1 45.6 6.2 ボスニアヘルツェゴビナ 30.4 40.5 29.1 ボツワナ 25.5 18.1 56.5 16.0 15.5 15.2 ブラジル 26.3 20.5 17.0 19.8 21.4 22.2 53.9 58.1 60.9 8.9 10.6 11.0 ブルガリア 23.9 8.9 6.8 33.5 34.2 33.3 42.6 56.6 59.9 18.0 16.3 13.9 ブルキナファソ 89.1 88.0 2.7 2.8 8.2 9.2 ブルンジ カンボジア 72.5 62.3 60.1 7.4 12.3 13.1 20.1 25.3 26.8 カメルーン 68.7 6.1 25.1 カナダ 4.1 2.7 2.4 22.0 22.0 21.5 74.0 75.3 76.5 19.4 17.8 18.6 中央アフリカ共和国 66.9 9.2 23.9 チャド チリ 15.7 13.2 11.2 26.1 23.0 23.2 58.2 63.9 65.6 8.1 8.5 9.3 中国 52.2 44.8 36.7 23.0 23.8 28.7 24.8 31.4 34.6 5.4 コロンビア 27.0 20.7 18.5 21.8 20.0 19.8 51.2 59.3 61.7 3.2 6.1 5.3 コンゴ民主主義共和国 71.5 8.0 20.6 コンゴ共和国 36.4 23.9 39.7 7.6 コスタリカ 7.2 15.2 11.9 28.8 21.6 20.0 64.0 63.1 68.1 13.3 11.3 11.7 コートジボワール クロアチア 19.9 17.3 14.9 29.1 28.6 27.3 50.9 54.0 57.6 15.9 16.1 15.5 キューバ 37.1 41.6 42.5 チェコ共和国 6.6 4.0 3.1 41.8 39.5 38.0 51.5 56.5 57.9 14.0 13.4 デンマーク 4.4 2.8 2.4 27.0 23.4 19.6 68.6 73.5 77.7 30.4 30.6 30.7 ドミニカ共和国 16.8 14.8 14.6 23.7 22.3 18.1 59.4 63.0 67.4 9.7 エクアドル 38.1 31.3 28.4 17.3 17.5 18.6 44.6 51.3 53.0 9.0 7.5 7.9 エジプト 33.3 39.1 22.8 18.8 44.0 42.1 22.8 23.6 エルサルバドル 27.0 20.2 26.3 22.1 46.7 57.7 7.2 エリトリア エストニア 10.2 5.2 4.2 34.2 33.8 30.1 55.6 61.1 65.1 24.2 20.8 22.8 エチオピア 81.9 82.8 3.5 6.0 14.5 11.2 1.3 1.7 フィジー 32.9 26.1 20.5 17.5 46.6 56.4 11.1 11.9 11.4 フィンランド 8.0 4.8 4.4 26.8 25.6 23.2 64.9 69.5 71.9 24.3 23.1 22.0 フランス 4.9 3.6 2.9 26.9 23.7 22.2 68.1 72.4 74.5 22.8 ガボン 23.8 21.2 55.0 13.4 ガンビア グルジア 53.3 9.7 37.0 ドイツ 3.2 2.3 1.6 36.0 29.7 28.4 60.8 67.9 70.0 13.1 11.6 11.2 ガーナ 57.4 14.2 28.5 ギリシャ 20.4 12.4 12.5 23.2 22.4 19.7 56.3 65.1 67.7 6.8 7.6 8.2 グアテマラ 33.8 22.6 43.6 4.3 4.5 ギニア 1.7 2.1 ギニアビサウ ハイチ ホンジュラス 37.4 34.3 37.1 25.0 23.0 20.3 37.6 42.7 42.5 6.2 6.2 主要指標 375 表 3 雇用構造(続き) 第 1 次産業 第 2 次産業 第 2 次産業 行政サービス の雇用(%) の雇用(%) の雇用(%) の雇用(%) 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 ハンガリー 8.0 5.0 4.5 32.6 32.4 30.7 59.4 62.6 64.9 21.9 22.1 22.0 インド 61.9 56.1 51.2 15.8 19.0 22.3 22.3 24.9 26.4 2.8 2.3 インドネシア 45.3 45.7 37.1 17.3 17.7 18.7 37.3 36.7 44.1 4.9 3.7 イラン 20.8 32.7 46.5 11.7 10.6 イラク 2.9 29.8 67.3 アイルランド 9.1 5.9 4.6 29.3 27.9 19.5 61.5 65.5 75.5 17.5 15.5 18.4 イスラエル 2.9 2.0 1.7 28.7 21.4 20.4 67.7 75.7 77.1 19.0 17.2 17.0 イタリア 6.6 4.2 3.8 33.7 30.8 28.8 59.8 65.0 67.5 18.3 16.0 15.1 ジャマイカ 19.5 17.9 62.6 日本 5.7 4.4 3.7 33.6 27.9 25.3 60.4 66.4 69.7 8.0 7.0 7.1 ヨルダン 3.8 22.8 73.4 16.1 14.9 16.2 カザフスタン ケニア 67.9 72.3 4.6 7.9 27.5 19.8 4.3 キリバス 3.4 6.3 90.3 韓国 12.4 7.9 6.6 33.3 26.8 17.0 54.3 65.2 76.4 4.3 コソボ 17.3 26.7 56.0 キルギス共和国 51.3 10.2 38.5 18.3 14.3 ラオス 71.3 10.7 18.1 ラトビア 17.3 12.1 8.8 27.2 25.8 24.0 55.4 61.8 66.9 24.4 22.7 23.2 レバノン 7.3 54.6 38.1 レソト リベリア 44.2 1.9 53.8 リビア 36.4 リトアニア 20.7 14.0 9.0 28.5 29.1 24.4 50.8 56.9 66.2 21.4 23.4 25.0 マケドニア 19.5 32.3 48.2 マダガスカル 70.1 3.9 26.0 2.0 2.1 マラウイ 84.9 4.6 10.5 2.7 マレーシア マリ 70.7 58.0 6.6 12.2 22.8 29.8 モーリタニア 25.2 9.7 65.2 モーリシャス 12.0 11.5 32.4 31.4 55.6 57.1 14.0 14.7 13.8 メキシコ 23.8 14.9 13.1 21.5 25.5 25.5 54.2 59.0 60.6 12.4 8.9 8.8 モルドバ 48.7 15.8 35.5 19.3 17.9 モンゴル 40.5 16.8 42.7 モンテネグロ モロッコ 39.2 34.9 24.3 24.8 36.6 40.3 7.5 7.7 モザンビーク 87.2 81.2 83.5 3.9 3.2 3.8 8.8 15.6 12.7 ミャンマー ナミビア 44.5 12.7 42.8 ネパール 80.1 76.3 8.1 10.5 11.8 13.2 オランダ 3.7 3.2 2.8 22.6 19.6 15.9 70.6 72.4 71.6 13.8 12.8 12.5 ニュージーランド 9.7 7.1 6.6 25.1 22.0 20.9 65.2 70.7 72.5 12.4 10.2 10.7 ニカラグア 43.8 35.9 31.7 14.7 18.8 18.3 41.4 45.2 50.0 5.4 ニジェール ナイジェリア 68.1 2.7 29.2 ノルウェー 5.4 3.3 2.5 23.0 20.8 19.7 71.3 75.7 77.6 30.9 30.1 30.8 オマーン 14.0 パキスタン 41.8 43.4 21.3 21.2 36.9 35.5 パナマ 21.3 19.9 18.1 17.9 16.9 18.5 60.7 63.3 63.4 8.8 7.9 パプアニューギニア 25.2 6.8 68.8 パラグアイ 40.8 32.4 25.8 16.5 15.7 19.2 42.7 51.9 54.9 5.1 6.6 ペルー 31.7 37.5 31.7 15.7 13.7 16.4 52.6 48.8 51.9 8.2 9.5 フィリピン 40.2 38.7 33.5 17.1 16.0 14.5 42.7 45.3 52.0 7.4 7.1 7.8 ポーランド 22.6 17.4 12.8 32.0 29.2 30.2 45.3 53.4 56.9 16.2 11.4 10.6 ポルトガル 11.5 11.8 10.9 32.2 30.6 27.7 56.3 57.5 61.4 13.6 12.5 ルーマニア 40.3 32.1 30.1 31.0 30.3 28.7 28.7 37.5 41.2 13.1 13.9 13.0 ロシア 20.1 21.5 ルワンダ 88.6 78.0 1.7 5.0 9.7 17.0 サウジアラビア セネガル 5.1 36.2 29.7 14.5 65.2 49.3 2.9 2.7 376 世界開発報告 2013 表 3 雇用構造(続き) 第 1 次産業 第 2 次産業 第 2 次産業 行政サービス の雇用(%) の雇用(%) の雇用(%) の雇用(%) 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 セルビア 22.9 24.9 52.2 14.2 シエラレオネ 70.8 5.5 23.7 シンガポール 5.4 5.0 5.0 スロバキア 9.2 4.7 3.2 38.9 38.8 37.1 51.9 56.3 59.6 30.7 16.0 14.8 スロベニア 10.1 8.8 8.8 43.1 37.2 32.5 46.4 53.3 58.3 11.6 15.5 16.0 ソマリア 南アフリカ 14.3 7.8 27.9 25.5 57.9 66.6 12.8 8.9 スペイン 9.0 5.3 4.3 30.2 29.7 23.1 60.8 65.0 72.6 14.8 14.1 15.5 スリランカ 38.8 30.9 31.6 20.9 26.4 26.3 40.3 42.7 42.1 8.2 10.7 スーダン スワジランド 16.3 19.0 64.7 スウェーデン 3.1 2.0 2.1 25.9 22.0 19.9 71.0 75.7 77.7 30.3 28.0 スイス 4.4 3.8 3.3 28.6 23.7 21.1 67.0 72.5 70.9 11.8 12.4 12.1 シリア 25.4 26.6 47.9 20.7 19.8 タジキスタン 67.0 4.5 28.5 タンザニア 75.8 78.5 4.5 2.7 19.7 18.8 タイ 28.9 44.3 42.1 24.5 19.9 20.0 46.6 35.8 38.0 6.7 7.3 東ティモール 50.5 9.8 39.7 3.0 トーゴ 59.1 8.6 32.3 トンガ 33.1 26.0 40.9 トリニダード・トバゴ 24.3 21.2 21.1 チュニジア 21.8 37.2 41.0 トルコ 43.4 29.5 23.7 22.3 24.8 26.2 34.3 45.8 50.1 9.8 11.2 12.8 トルクメニスタン ウガンダ 73.1 6.4 20.5 1.8 ウクライナ 9.6 31.9 58.6 22.4 19.5 20.3 イギリス 2.0 1.3 1.2 27.3 22.2 19.1 70.2 76.3 78.9 17.0 19.7 19.6 アメリカ 2.9 1.6 1.6 24.3 20.6 16.7 72.9 77.8 81.2 15.0 15.0 15.6 ウルグアイ 5.2 4.6 11.6 21.0 21.9 21.4 73.9 73.5 67.0 14.1 11.2 12.5 ウズベキスタン ベネズエラ 14.2 10.4 24.0 21.7 61.9 67.8 ベトナム 61.8 52.3 54.0 14.8 20.0 20.4 23.4 27.8 25.7 4.3 4.4 ヨルダン西岸・ガザ 11.0 6.9 26.3 41.7 38.2 32.8 47.3 54.9 40.9 23.6 23.8 イエメン 8.5 ザンビア 72.1 6.4 21.5 ジンバブエ 5.9 主要指標 377 表 3 雇用構造(続き) 賃金雇用 自営業 農業雇用 都市部雇用 (%) (%) (%) (%) 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 アフガニスタン 22.6 22.2 55.1 16.5 アルバニア 43.6 13.5 42.9 23.0 37.7 アルジェリア アンゴラ アルゼンチン アルメニア 55.5 オーストラリア 84.6 13.6 1.8 89.7 88.8 オーストリア 87.8 87.1 8.1 8.8 4.1 4.1 60.5 59.6 アゼルバイジャン 78.2 12.8 9.0 46.3 バングラデシュ 36.0 20.0 44.0 24.0 バルバドス ベラルーシ 73.2 ベルギー 87.7 88.8 11.0 10.1 1.3 1.1 95.8 95.8 ベリーズ 65.2 18.3 16.5 52.5 ベニン 9.4 46.2 44.5 37.0 ブータン 23.8 9.1 67.1 22.1 ボリビア 28.5 33.1 36.1 29.2 29.3 30.3 42.3 37.6 33.7 57.0 63.0 64.3 ボスニアヘルツェゴビナ 69.8 9.8 20.3 ボツワナ 68.4 12.2 19.3 ブラジル 58.7 62.9 66.5 22.0 22.3 21.7 19.3 14.9 11.8 77.4 81.6 83.7 ブルガリア 92.4 86.4 7.6 10.0 0.0 3.6 72.4 54.6 50.3 ブルキナファソ 3.6 4.4 7.6 7.9 88.8 87.7 12.6 15.3 ブルンジ カンボジア 12.4 22.7 25.9 17.0 19.2 19.2 70.6 58.1 54.9 18.2 17.8 17.4 カメルーン 23.0 30.1 カナダ 中央アフリカ共和国 10.0 24.5 65.5 42.9 チャド 24.9 チリ 74.5 75.8 76.3 19.9 20.8 20.8 5.6 3.4 3.0 85.8 88.8 88.5 中国 48.0 36.8 25.8 28.0 38.0 45.6 コロンビア 50.7 46.4 36.9 41.6 12.4 12.0 76.5 78.4 コンゴ民主主義共和国 9.1 20.3 70.6 31.8 コンゴ共和国 21.6 42.3 36.1 48.2 コスタリカ 73.0 71.3 72.6 24.2 22.8 23.2 2.8 5.8 4.2 46.8 61.9 62.1 コートジボワール クロアチア 78.0 7.7 14.4 54.1 キューバ チェコ共和国 83.6 84.3 15.6 14.7 0.7 1.0 59.0 59.4 デンマーク 90.6 91.7 8.1 7.2 1.4 1.1 64.4 75.6 ドミニカ共和国 60.0 52.2 50.4 29.3 35.0 37.1 10.7 12.7 12.5 54.2 66.7 69.3 エクアドル 48.9 52.0 54.6 27.3 27.4 27.7 23.7 20.6 17.7 54.5 67.0 67.7 エジプト 53.3 13.2 33.5 38.9 エルサルバドル 56.2 56.2 28.8 32.0 15.0 11.8 61.3 64.9 67.7 エリトリア エストニア 93.0 93.7 5.0 5.1 2.0 1.2 50.3 53.3 エチオピア 9.7 6.0 4.8 11.7 85.6 82.3 12.4 11.7 フィジー 59.8 68.9 9.3 11.7 30.8 19.4 33.4 フィンランド 86.8 86.2 10.0 10.9 3.2 2.9 46.8 46.6 フランス 90.9 91.4 6.9 6.8 2.2 1.8 83.5 83.1 ガボン 55.8 23.3 20.9 81.2 ガンビア グルジア 52.1 13.8 34.1 38.6 40.5 ドイツ 90.7 92.0 8.3 7.6 1.0 0.4 81.5 84.9 ガーナ 18.5 25.9 55.6 36.2 ギリシャ 65.3 66.2 23.2 22.6 11.5 11.2 42.1 53.0 グアテマラ 48.5 28.0 23.5 54.3 ギニア 45.5 54.2 0.3 27.7 ギニアビサウ ハイチ ホンジュラス 45.9 43.0 43.0 28.4 33.0 31.9 25.7 24.0 25.1 46.9 50.8 48.6 378 世界開発報告 2013 表 3 雇用構造(続き) 賃金雇用 自営業 農業雇用 都市部雇用 (%) (%) (%) (%) 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 ハンガリー 84.6 87.5 13.3 10.8 2.1 1.7 58.1 55.3 インド 43.3 45.1 50.5 17.1 21.0 20.3 39.6 33.9 29.2 22.0 23.4 25.8 インドネシア 48.6 38.6 42.3 23.7 24.9 27.3 27.7 36.6 30.4 33.6 39.2 48.6 イラン 41.4 イラク 99.9 0.0 0.0 66.8 アイルランド 83.4 83.6 11.5 11.4 5.1 5.1 65.6 65.7 イスラエル イタリア 74.4 75.9 22.7 21.9 2.9 2.3 82.5 83.7 ジャマイカ 61.8 21.8 16.4 58.7 日本 ヨルダン カザフスタン 52.7 56.6 ケニア 31.4 29.1 10.4 7.4 58.2 63.5 16.0 21.2 キリバス 58.4 韓国 コソボ 67.6 17.3 15.1 キルギス共和国 86.0 1.9 12.1 38.2 ラオス 15.5 16.9 67.6 30.3 ラトビア 90.0 91.1 5.3 6.2 4.7 2.7 51.1 53.4 レバノン . レソト リベリア 14.2 43.8 42.0 24.6 リビア リトアニア 87.3 89.1 4.8 5.9 8.0 5.0 45.8 47.0 マケドニア 71.8 11.2 17.0 62.5 マダガスカル 12.6 18.9 68.5 15.7 マラウイ 29.3 10.2 10.8 7.0 59.9 82.8 19.8 9.0 マレーシア マリ 3.0 11.0 14.9 33.0 82.2 56.1 12.4 27.9 モーリタニア 35.6 42.8 21.6 54.0 モーリシャス 79.9 78.8 15.6 15.9 4.5 5.3 56.4 メキシコ 63.1 68.5 72.8 23.0 23.6 20.1 13.8 7.8 7.1 74.2 79.2 80.0 モルドバ 57.8 2.8 39.4 36.8 モンゴル 49.3 11.5 39.2 51.0 モンテネグロ モロッコ モザンビーク 9.7 12.9 8.9 4.5 7.3 8.6 85.8 79.9 82.5 14.8 27.9 27.1 ミャンマー ナミビア 54.7 9.6 35.6 42.4 ネパール 17.2 14.4 9.6 13.3 73.3 72.6 6.0 13.4 21.0 オランダ 89.0 88.0 9.5 10.3 1.6 1.7 ニュージーランド ニカラグア 48.4 26.6 25.1 58.2 58.3 . ニジェール 16.6 ナイジェリア 9.0 19.3 23.2 57.7 67.7 23.0 43.1 ノルウェー 89.1 92.4 8.3 5.9 2.6 1.8 68.2 68.8 オマーン パキスタン 38.3 37.1 23.8 23.1 37.8 39.8 33.1 32.1 パナマ 66.9 61.1 65.2 19.1 24.3 21.9 13.9 14.6 12.9 63.7 66.0 68.0 パプアニューギニア 32.6 40.6 26.9 10.7 パラグアイ 37.1 46.7 51.6 26.2 24.7 24.8 36.7 28.6 23.5 51.8 58.8 60.9 ペルー 41.8 39.7 42.8 31.9 29.4 30.9 26.3 31.0 26.3 66.4 63.4 65.9 フィリピン 48.0 47.9 55.9 20.1 22.4 21.5 31.8 29.7 22.6 47.5 48.3 48.3 ポーランド 78.7 80.1 8.6 8.9 12.8 11.0 55.7 54.7 ポルトガル 78.2 81.2 15.2 13.1 6.6 5.7 76.8 76.9 ルーマニア 84.2 72.0 72.0 3.5 9.1 7.2 12.3 18.9 20.8 48.8 51.6 43.9 ロシア 78.8 ルワンダ 11.0 23.9 4.0 9.1 85.1 67.0 8.5 15.8 サウジアラビア セネガル 39.1 23.2 58.6 42.5 2.3 34.3 45.8 主要指標 379 表 3 雇用構造(続き) 賃金雇用 自営業 農業雇用 都市部雇用 (%) (%) (%) (%) 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 セルビア 65.6 13.5 20.9 シエラレオネ 9.3 20.1 70.6 35.3 シンガポール スロバキア 90.0 90.2 9.7 9.5 0.3 0.3 62.0 62.3 スロベニア 91.6 93.1 6.4 5.6 2.0 1.3 ソマリア 南アフリカ 78.6 18.5 2.9 65.9 69.2 スペイン 83.1 83.9 14.3 14.1 2.6 2.0 75.3 75.4 スリランカ 63.0 58.9 56.0 14.3 20.7 22.3 22.7 20.5 21.7 12.5 12.3 10.9 スーダン スワジランド 59.3 30.4 10.3 30.6 スウェーデン 91.1 93.9 8.3 5.9 0.6 0.2 33.9 38.8 スイス シリア 54.2 24.1 21.7 50.5 タジキスタン 64.0 8.1 28.0 21.1 タンザニア 8.0 8.1 17.1 11.6 74.9 80.4 25.5 25.5 21.1 タイ 56.4 40.6 41.3 18.0 19.8 20.9 25.6 39.6 37.8 62.2 30.6 31.3 東ティモール 99.8 28.0 0.2 21.8 0.0 50.2 20.3 トーゴ 9.2 32.5 58.2 32.4 トンガ 43.1 24.2 32.7 トリニダード・トバゴ チュニジア 68.3 16.6 15.0 66.0 トルコ 54.2 60.9 18.7 16.3 27.1 22.8 58.1 トルクメニスタン ウガンダ 18.7 13.8 67.5 17.4 ウクライナ 97.7 2.2 0.2 73.8 イギリス 87.8 88.8 11.7 10.6 0.5 0.6 95.2 96.1 アメリカ 89.3 10.1 0.6 77.5 ウルグアイ 73.1 71.2 71.3 24.7 27.0 24.1 2.2 1.8 4.6 93.9 ウズベキスタン ベネズエラ 60.0 55.7 31.9 38.2 8.2 6.2 19.4 ベトナム 7.7 33.1 36.3 31.0 19.5 7.9 61.3 47.5 55.8 27.3 25.7 25.9 ヨルダン西岸・ガザ 58.8 66.6 25.9 21.5 15.3 11.9 56.6 72.1 イエメン 34.1 ザンビア 17.2 12.6 70.2 30.4 ジンバブエ 380 世界開発報告 2013 表 4 生活水準 主要職業の賃金(年収,2005 年ドル価格) 会計士 化学エンジニア バス運転手 手工業(アパレル工場 の縫子) 1995 2005 2008 1995 2005 2008 1995 2005 2008 1995 2005 2008 アフガニスタン アルバニア アルジェリア アンゴラ 7,139 1,989 アルゼンチン 10,849 17,214 9,581 2,948 アルメニア オーストラリア 32,498 40,267 39,694 59,054 28,065 29,331 22,418 21,019 オーストリア 57,907 38,574 27,954 19,402 アゼルバイジャン 2,769 7,483 454 1,785 6,544 バングラデシュ 1,548 1,201 578 1,077 584 バルバドス 32,772 13,553 4806 ベラルーシ 1,188 2,657 761 1,133 ベルギー 22,692 22,093 ベリーズ ベニン ブータン 25028 5967 4989 ボリビア 12,745 5,159 1,173 2,134 ボスニアヘルツェゴビナ ボツワナ 1,528 ブラジル 20,045 3,134 ブルガリア ブルキナファソ 3,516 ブルンジ カンボジア 293 225 707 カメルーン カナダ 25,459 37,540 41,143 37,116 60,033 20,146 21,033 27,400 12,253 13,125 13,159 中央アフリカ共和国 21,735 10,284 1,028 799 チャド チリ 12,951 5,184 中国 1,096 2,913 874 2,538 501 891 1,327 コロンビア コンゴ民主主義共和国 コンゴ共和国 コスタリカ 10,761 8,998 12,518 9,078 12,011 5,198 3,993 5,973 3,475 2,541 2,579 コートジボワール クロアチア 8,955 6,953 5,424 6,281 キューバ チェコ共和国 14,387 23,583 5,918 14,559 22,528 4,024 8,478 12,911 3,133 4,383 デンマーク 123,067 116,081 51,740 47,102 ドミニカ共和国 2,561 2,561 エクアドル エジプト 2,778 4,469 1,041 615 エルサルバドル 16,107 15,103 17,006 12,547 12,267 16,327 2,688 2,906 4,083 2,053 2,496 2,079 エリトリア 3,077 1,518 615 エストニア 8,180 5,166 3,593 2,011 エチオピア フィジー フィンランド 42,583 59,695 44,183 55,887 30,885 32,263 23,362 24,554 フランス ガボン 12,045 2,725 ガンビア グルジア ドイツ 68,538 63,483 71,989 78,873 73,544 86,265 48,206 41,013 44,482 29,536 26,388 31,576 ガーナ 5,589 1,516 2,298 519 760 867 562 ギリシャ グアテマラ 1,476 ギニア ギニアビサウ ハイチ ホンジュラス 3,206 32,684 2,304 953 主要指標 381 表 4 生活水準(続き) 主要職業の賃金(年収,2005 年ドル価格) 会計士 化学エンジニア バス運転手 手工業(アパレル工場 の縫子) 1995 2005 2008 1995 2005 2008 1995 2005 2008 1995 2005 2008 ハンガリー 4,548 24,679 10,439 28,345 4,514 8,987 インド 3,261 912 800 インドネシア 2,533 818 731 イラン イラク アイルランド イスラエル イタリア 55,684 52,973 58,298 30,449 34,726 40,328 20,270 21,559 24,880 17,366 18,269 20,791 ジャマイカ 日本 50,366 30,710 30,452 29,592 19,914 19,836 ヨルダン 8,320 8,163 3,580 4,925 3,830 2,488 1,757 2,945 カザフスタン 5,965 3,269 2,165 957 ケニア キリバス 韓国 22,122 38,755 20,206 29,415 14,914 14,647 13,291 13,698 コソボ キルギス共和国 605 251 ラオス ラトビア 8,347 12,686 3,837 10,368 2,763 5,877 2,181 3,066 レバノン レソト リベリア リビア リトアニア 3,939 11,976 2,864 5,228 2,030 4,155 マケドニア マダガスカル 1,205 466 488 424 マラウイ 16,360 1,106 389 マレーシア 1,673 マリ モーリタニア モーリシャス 17,701 16,091 19,100 3,465 2,826 3,622 2,330 1,895 2,369 メキシコ 3,319 3,220 11,355 1,796 2,623 2,682 1,552 2,115 2,158 モルドバ 1,130 1,644 3,693 1,436 2,345 588 1,535 377 1,040 1,691 モンゴル モンテネグロ モロッコ モザンビーク ミャンマー 4,880 11,869 4,164 16,617 2,733 10,575 2,082 7,985 ナミビア 19,393 ネパール オランダ ニュージーランド ニカラグア 3,891 11,728 1,327 ニジェール ナイジェリア 4,472 21,678 3,012 944 ノルウェー 24,680 28,863 36,446 オマーン パキスタン 3,193 2,182 1,230 851 パナマ パプアニューギニア 16,770 23,560 5,500 3,779 パラグアイ ペルー 17,836 24,789 23,679 1,543 2,181 5,702 2,516 2,474 2,579 フィリピン 5,853 3,951 6,513 3,408 2,640 1,919 2,314 1,653 2,159 ポーランド 7,068 12,502 5,867 12,150 3,869 7,961 3,656 7,059 ポルトガル 19,084 23,948 32,444 34,440 8,653 9,039 6,259 5,940 ルーマニア 4,773 9,876 15,849 3,476 5,661 10,681 2,754 3,395 6,386 1,549 2,082 3,805 ロシア 2,288 2,780 2,922 759 1,542 ルワンダ サウジアラビア セネガル 382 世界開発報告 2013 表 4 生活水準(続き) 主要職業の賃金(年収,2005 年ドル価格) 会計士 化学エンジニア バス運転手 手工業(アパレル工場 の縫子) 1995 2005 2008 1995 2005 2008 1995 2005 2008 1995 2005 2008 セルビア シエラレオネ 5,782 463 449 シンガポール 44,523 28,089 29,164 27,275 10,665 9,229 9,005 6,424 スロバキア 4,394 7,829 2,753 7,315 2,027 5,963 2,053 2,583 スロベニア 11,945 19,381 12,974 6,153 ソマリア 南アフリカ スペイン スリランカ 1,101 1,054 スーダン 11,213 14,663 7,095 4,341 スワジランド 16,472 8,697 スウェーデン 37,390 33,607 24,762 28,083 スイス シリア タジキスタン 288 357 108 338 タンザニア タイ 14,657 13,861 7,118 16,327 4,072 3,291 4,343 2,562 東ティモール トーゴ 11,021 トンガ トリニダード・トバゴ 7,777 1,903 チュニジア 4,911 4,702 2,849 トルコ 14,624 16,305 17,410 5,823 3,140 5,648 トルクメニスタン ウガンダ 3,784 1,235 866 237 ウクライナ 1,909 767 イギリス 46,991 60,352 56,524 33,624 21,452 30,880 32,388 22,402 23,513 アメリカ 43,432 50,457 67,014 82,647 27,533 30,958 18,100 18,515 ウルグアイ 10,389 4,782 ウズベキスタン ベネズエラ 7,857 7,275 2,205 1,924 ベトナム ヨルダン西岸・ガザ 3,464 イエメン 7,572 9,466 5,429 3,360 ザンビア 2,758 522 781 304 ジンバブエ 主要指標 383 表 4 生活水準(続き) 仕事があるのに貧しい 国民総生産に対する 人々(1 日 1.25 生活に満足 総賃金支払い額の割合 所得のジェンダー格差 PPP ドル以下,%) (最新の調査,%) (対国民所得比,%) (女/男) 1995 2005 2010 被雇用者 失業者 労働力外 1995 2005 2010 1995 2005 2010 アフガニスタン アルバニア 46.3 33.3 35.5 0.79 アルジェリア 55.4 39.3 57.5 29.9 22.8 アンゴラ アルゼンチン 0.0 5.0 1.0 87.1 71.6 90.4 37.8 34.8 0.90 0.96 アルメニア 11.0 39.4 42.6 43.9 オーストラリア 86.9 65.6 81.5 54.3 52.8 52.5 オーストリア 59.6 54.5 54.2 0.87 0.88 アゼルバイジャン 16.0 24.5 24.4 18.9 バングラデシュ 40.4 41.5 42.4 0.68 バルバドス ベラルーシ 1.0 45.7 52.9 55.5 ベルギー 56.9 56.5 57.2 0.93 0.85 ベリーズ 12.0 ベニン 47.0 18.3 ブータン 10.0 89.5 88.9 ボリビア 17.0 18.0 16.0 37.5 37.6 31.5 0.76 ボスニアヘルツェゴビナ 58.7 38.2 49.1 54.3 59.9 ボツワナ 31.9 ブラジル 11.0 9.0 6.0 85.6 74.2 82.3 48.8 46.7 49.1 0.84 0.88 0.89 ブルガリア 2.0 0.0 51.9 31.3 38.3 38.9 40.7 42.5 0.93 0.82 ブルキナファソ 71.0 57.0 48.7 37.1 47.1 24.9 22.0 0.80 ブルンジ 86.0 40.7 カンボジア 32.0 23.0 1.05 0.99 カメルーン 10.0 22.5 20.0 20.8 カナダ 91.4 78.7 90.7 55.8 54.3 中央アフリカ共和国 62.0 20.7 チャド 18.8 チリ 3.0 1.0 1.0 80.1 73.2 74.6 40.5 39.8 42.3 0.96 0.93 0.86 中国 72.5 65.8 74.9 コロンビア 13.0 8.0 91.3 84.1 89.9 36.0 35.1 35.0 0.91 コンゴ民主主義共和国 0.89 コンゴ共和国 コスタリカ 0.0 4.0 3.0 50.0 51.9 55.4 コートジボワール 24.1 クロアチア 0.0 56.9 57.0 0.93 キューバ 48.5 46.2 44.5 チェコ共和国 47.5 48.0 49.2 1.01 0.99 デンマーク 60.4 62.9 66.5 ドミニカ共和国 5.0 6.0 2.0 37.7 エクアドル 14.0 9.0 5.0 エジプト 2.0 52.2 42.9 54.6 24.4 27.2 26.1 0.59 エルサルバドル 10.0 12.0 9.0 82.3 75.6 78.0 エリトリア エストニア 0.0 59.6 49.9 59.7 0.77 0.69 エチオピア 61.0 40.2 38.2 47.5 0.84 フィジー 39.0 フィンランド 94.4 69.9 87.4 56.7 56.4 56.6 フランス 80.8 63.5 71.6 58.0 58.0 58.4 0.77 0.88 ガボン 5.0 22.3 ガンビア 66.0 グルジア 42.8 28.4 33.8 19.2 33.3 0.60 ドイツ 86.0 50.6 78.1 59.7 55.9 54.7 0.99 ガーナ 39.0 63.3 59.7 64.9 0.77 ギリシャ 34.9 38.7 39.3 0.89 0.93 グアテマラ 14.0 88.1 89.3 82.4 34.4 32.6 ギニア ギニアビサウ ハイチ ホンジュラス 27.0 26.0 18.0 47.7 48.7 49.5 384 世界開発報告 2013 表 4 生活水準(続き) 仕事があるのに貧しい 国民総生産に対する 人々(1 日 1.25 生活に満足 総賃金支払い額の割合 所得のジェンダー格差 PPP ドル以下,%) (最新の調査,%) (対国民所得比,%) (女/男) 1995 2005 2010 被雇用者 失業者 労働力外 1995 2005 2010 1995 2005 2010 ハンガリー 0.0 0.0 54.4 54.5 54.6 1.01 インド 38.9 51.2 39.0 30.5 29.1 30.0 0.68 0.73 0.73 インドネシア 47.0 22.0 18.0 73.3 69.3 77.4 0.86 イラン 63.3 60.7 66.9 23.4 21.8 イラク 31.4 22.1 31.3 6.7 14.7 21.9 0.70 アイルランド 50.3 46.2 48.8 0.93 1.02 イスラエル 80.7 71.9 67.6 56.6 54.1 53.3 イタリア 85.7 69.4 80.6 45.8 45.3 46.4 1.12 0.90 ジャマイカ 48.5 51.0 0.98 日本 80.9 70.6 85.2 52.1 49.5 ヨルダン 47.7 40.2 50.6 45.0 42.0 44.0 カザフスタン 39.0 34.4 34.4 ケニア 43.0 35.1 41.4 40.4 0.81 キリバス 韓国 72.5 55.0 71.2 51.5 51.1 51.6 コソボ キルギス共和国 64.9 73.4 64.7 40.0 27.2 32.0 ラオス 49.0 34.0 ラトビア 0.0 0.0 50.0 47.3 47.9 0.74 0.67 レバノン 35.5 レソト 57.4 48.8 48.4 リベリア 84.0 リビア リトアニア 0.0 41.6 45.1 49.5 0.69 0.71 マケドニア 51.1 43.9 44.0 マダガスカル 72.0 マラウイ マレーシア 79.6 75.0 81.2 マリ 86.0 58.2 53.1 54.5 0.49 モーリタニア 25.2 モーリシャス 43.3 38.7 38.4 0.76 メキシコ 6.0 5.0 4.0 89.2 83.5 89.5 32.3 30.4 0.94 モルドバ 27.0 12.0 52.1 49.1 42.6 50.6 49.9 57.5 0.85 モンゴル 27.5 26.1 33.8 0.77 モンテネグロ モロッコ 36.7 20.0 52.2 37.4 34.2 モザンビーク 16.9 27.7 27.3 1.09 0.93 ミャンマー ナミビア 49.0 47.6 46.4 44.4 ネパール 53.0 25.0 0.72 オランダ 96.4 76.6 93.4 56.5 55.8 55.8 ニュージーランド 37.0 40.6 ニカラグア 21.0 15.0 ニジェール 17.1 17.0 15.8 ナイジェリア 71.4 76.7 80.6 17.3 5.2 4.1 ノルウェー 94.5 58.3 89.4 54.2 46.8 46.7 オマーン 33.4 26.4 32.5 パキスタン 26.6 29.2 29.1 0.63 0.36 パナマ 16.0 9.0 6.0 39.2 34.5 31.4 パプアニューギニア 26.0 17.3 パラグアイ 12.0 7.0 7.0 35.2 36.9 37.1 ペルー 14.0 9.0 5.0 75.5 68.5 74.7 27.9 25.3 23.8 0.71 0.82 0.81 フィリピン 23.0 18.0 67.4 69.5 64.9 25.3 27.7 27.9 0.89 ポーランド 0.0 0.0 0.0 82.2 64.5 71.4 45.1 40.7 42.4 0.89 0.96 ポルトガル 54.7 58.2 58.2 0.83 0.90 ルーマニア 5.0 1.0 0.0 67.4 25.7 45.6 39.6 44.3 47.1 0.86 0.81 0.89 ロシア 59.5 41.2 59.6 48.5 49.9 52.1 ルワンダ 42.2 44.7 0.93 0.90 サウジアラビア 77.2 67.1 78.6 35.1 28.1 セネガル 34.0 17.6 24.1 21.6 主要指標 385 表 4 生活水準(続き) 仕事があるのに貧しい 国民総生産に対する 人々(1 日 1.25 生活に満足 総賃金支払い額の割合 所得のジェンダー格差 PPP ドル以下,%) (最新の調査,%) (対国民所得比,%) (女/男) 1995 2005 2010 被雇用者 失業者 労働力外 1995 2005 2010 1995 2005 2010 セルビア 0.0 70.9 55.9 53.1 65.7 56.6 53.6 シエラレオネ 53.0 シンガポール 83.3 71.6 83.9 43.9 42.1 44.3 スロバキア 0.0 0.0 65.1 58.1 60.9 スロベニア 85.0 65.5 72.5 ソマリア 南アフリカ 81.9 63.4 77.7 54.9 49.9 49.8 0.85 スペイン 93.4 94.5 83.6 53.0 52.9 53.3 0.80 0.83 スリランカ 46.4 57.3 57.3 0.86 0.80 スーダン 37.1 25.1 25.1 スワジランド 79.0 スウェーデン 92.4 77.1 88.6 60.2 62.0 61.1 1.06 0.91 スイス 93.7 75.6 90.7 64.1 65.8 シリア 2.0 1.08 タジキスタン 35.0 15.9 15.7 0.66 タンザニア 23.5 22.1 27.2 0.79 タイ 4.0 1.0 0.0 84.5 72.1 91.3 32.3 32.9 33.2 0.89 0.89 0.95 東ティモール 37.0 トーゴ 39.0 トンガ トリニダード・トバゴ 82.5 71.6 79.8 46.2 30.6 33.0 チュニジア 41.8 35.8 36.1 トルコ 85.9 70.4 84.3 22.2 27.1 0.96 0.96 トルクメニスタン 25.0 ウガンダ 49.6 31.2 49.6 ウクライナ 0.0 60.1 57.3 48.4 53.2 55.7 56.3 イギリス 89.8 79.6 91.8 58.2 60.1 0.98 アメリカ 85.9 81.0 87.8 57.2 56.2 56.0 0.85 ウルグアイ 1.0 1.0 0.0 88.9 80.2 86.8 43.0 38.5 0.99 ウズベキスタン ベネズエラ 10.0 13.0 80.8 75.0 76.6 35.6 30.6 0.93 0.94 ベトナム 50.0 21.0 17.0 82.6 46.3 82.2 0.94 0.89 0.80 ヨルダン西岸・ガザ 0.0 0.77 0.73 イエメン 13.0 0.70 ザンビア 56.0 65.0 64.3 56.2 64.5 0.89 ジンバブエ 25.0 25.1 28.1 386 世界開発報告 2013 表 5 生産性 労働者 1 人当たり付加価値(2005 年ドル価格,年額) 第 1 次産業 第 2 次産業 第 3 次産業 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 アフガニスタン                   アルバニア 2,409 2,622 3,885 6,602 10,419 8,110 3,031 13,496 14,021 アルジェリア   5,364     23,962     6,979   アンゴラ                   アルゼンチン 169,887 115,095 134,720 30,924 18,165 24,822 27,453 8,976 14,530 アルメニア   2,452 4,636   15,285 28,403   4,803 10,819 オーストラリア 40,133 61,462 70,416 73,971 95,996 90,412 55,153 70,239 89,745 オーストリア 32,626 22,953 26,250 83,512 89,626 99,691 95,032 88,496 84,955 アゼルバイジャン 903 909 1,627 1,915 18,994 44,847 1,115 1,939 6,286 バングラデシュ 394 398   2,406 1,720   1,914 1,348   バルバドス 25,047 24,469   19,951 19,992   22,501 23,701   ベラルーシ 3,261     4,693     5,595     ベルギー 51,682 40,155 67,238 103,700 93,212 91,242 104,053 99,852 99,674 ベリーズ 7,302 7,920   12,726 10,017   12,421 11,235   ベニン   1,066     1,960     1,684   ブータン   1,474 1,017   6,136 25,363   2,837 4,794 ボリビア 22,960 827   3,106 3,780   1,971 2,861   ボスニアヘルツェゴビナ                   ボツワナ 2,562 858   20,939 47,317   7,425 12,354   ブラジル 2,764 2,618 5,048 17,135 13,428 18,599 15,379 10,798 16,888 ブルガリア 3,536 10,254 11,062 4,412 8,675 13,748 7,076 11,058 15,240 ブルキナファソ 207 348   3,803 6,551   2,813 3,125   ブルンジ                   カンボジア     615     3,359     2,762 カメルーン                   カナダ 42,189 46,905 84,494 81,109 112,454 129,063 52,079 67,069 76,038 中央アフリカ共和国                   チャド 316     5,679     2,875     チリ 8,839 7,230 7,742 20,778 32,805 39,481 14,640 18,340 21,281 中国 576 912 1,649 3,077 6,683 10,799 1,972 4,425 7,788 コロンビア 143,353 3,298 5,171 9,289 13,472 23,951 7,423 8,389 12,101 コンゴ民主主義共和国                   コンゴ共和国   626     16,495     2,705   コスタリカ 6,904 6,367 7,964 13,678 14,495 16,232 11,644 11,324 13,886 コートジボワール                   クロアチア 5,509 8,061 12,516 16,501 26,744 34,397 18,959 33,420 39,446 キューバ 2,778 2,396 2,848 7,880 8,687 12,553 10,416 10,477 12,875 チェコ共和国 10,589 21,146 30,708 13,520 26,449 38,029 17,605 31,396 41,145 デンマーク 78,444 46,179 65,098 83,948 107,422 120,024 93,598 95,626 108,138 ドミニカ共和国 4,614 5,113 4,814 10,323 14,995 17,142 6,144 10,549 11,879 エクアドル 17,147 1,428 1,942 6,974 13,671 14,885 4,995 7,264 8,338 エジプト 2,299 2,125 2,759 6,839 7,234 10,894 5,391 4,543 7,308 エルサルバドル 3,217 4,267 4,839 6,845 10,911 10,641 7,131 8,254 8,561 エリトリア                   エストニア 286 1,122 1,831 477 1,338 1,992 538 1,770 2,157 エチオピア 264 216   1,986 678   1,619 1,136   フィジー                   フィンランド 44,202 46,796 63,793 97,244 105,407 111,333 75,501 78,173 83,346 フランス 61,774 51,238 59,087 84,530 77,422 83,291 98,683 95,476 107,508 ガボン 4,968 4,517   92,742 113,418   24,212 11,700   ガンビア 665     2,418     7,841     グルジア   1,091     10,531     5,537   ドイツ 39,654 37,059 35,975 83,494 83,183 82,362 102,070 87,032 82,997 ガーナ   1,204     3,353     3,797   ギリシャ                   グアテマラ 2,485 2,226   5,193 7,885   10,519 7,908   ギニア 434     6,850     4,665     ギニアビサウ                   ハイチ                   ホンジュラス 1,441 1,373   3,167 5,364   3,032 5,649   主要指標 387 表 5 生産性(続き) 労働者 1 人当たり付加価値(2005 年ドル価格,年額) 第 1 次産業 第 2 次産業 第 3 次産業 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 ハンガリー 15,389 24,218 22,162 13,658 27,139 31,452 16,227 30,227 31,631 インド 530 620 1,154 1,919 2,733 4,089 2,395 3,917 6,775 インドネシア 1,223 947 2,527 7,292 7,779 15,500 3,393 3,462 5,637 イラン 9,417 3,798   16,510 13,886   14,977 9,339   イラク                   アイルランド 53,117 27,237 22,334 88,974 127,274 172,844 60,801 100,012 103,349 イスラエル                   イタリア 36,317 49,362 41,152 68,402 77,744 75,596 85,677 98,654 93,103 ジャマイカ 2,865 3,409 3,123 13,424 14,414 13,113 6,946 10,989 11,501 日本 32,158 28,324 30,531 116,579 93,297 115,414 131,008 99,791 107,592 ヨルダン   10,358 27,585   13,865 26,114   9,033 13,463 カザフスタン   1,725 3,016   18,115 28,778   8,638 13,905 ケニア   644     3,941     2,425   キリバス                   韓国 15,783 15,431 14,515 37,835 51,736 91,830 28,615 33,609 30,423 コソボ                   キルギス共和国 1,035 921 1,550 1,274 1,399 2,183 1,125 1,166 2,142 ラオス 690     5,064     2,400     ラトビア 3,207 5,585 11,889 7,771 14,025 23,498 8,546 20,297 28,582 レバノン                   レソト 652     6,868     2,365     リベリア   888 879   1,717 489   1,146 526 リビア                   リトアニア 4,290 6,692 10,421 8,886 22,045 31,384 9,674 21,276 27,697 マケドニア   6,775 8,551   9,675 14,199   13,631 17,705 マダガスカル   207     2,309     2,047   マラウイ                   マレーシア 9,322 7,825 11,257 18,628 23,171 26,866 13,692 10,460 12,878 マリ   881     6,310     2,198   モーリタニア                   モーリシャス 8,652 7,300 6,256 9,137 10,423 14,876 13,003 13,840 17,007 メキシコ 2,494 5,183 6,269 13,386 27,286 27,497 13,003 22,058 21,103 モルドバ 929 1,055 1,468 2,606 2,262 3,040 1,148 3,305 6,502 モンゴル 1,779 1,355 1,825 4,588 5,234 8,190 2,048 2,385 3,915 モンテネグロ                   モロッコ 13,450 1,949 2,764 5,359 8,431 10,669 4,611 9,749 11,517 モザンビーク   188     4,724     1,556   ミャンマー 4,933     4,676     6,976     ナミビア 2,600 3,717 8,562 18,084 22,451 30,857 11,804 12,665 11,758 ネパール                   オランダ 71,226 56,148 54,577 97,454 97,381 124,750 79,808 82,539 86,039 ニュージーランド 36,258 45,578   52,576 67,432   49,929 57,782   ニカラグア 1,506 1,539   5,147 3,503   3,252 2,359   ニジェール                   ナイジェリア   1,796     8,285     1,333   ノルウェー 56,806 72,622 85,197 138,356 290,065 318,919 82,263 105,301 118,318 オマーン 9,161     158,023     14,500     パキスタン 1,139 1,139 1,187 2,564 3,092 3,519 2,929 3,172 3,968 パナマ 3,933 4,407 4,143 10,280 11,691 13,451 12,711 14,334 18,196 パプアニューギニア                   パラグアイ 2,743 2,149 5,335 7,104 4,204 6,493 6,952 3,642 6,241 ペルー 58,831 46,902 61,865 7,986 9,308 12,014 5,533 5,007 6,279 フィリピン 1,860 1,197 1,724 7,581 7,197 9,750 4,380 3,716 5,093 ポーランド 4,038 5,933 7,196 12,748 23,585 27,886 14,647 27,215 30,078 ポルトガル 15,813 9,349 9,359 30,226 32,333 34,814 40,227 50,158 51,660 ルーマニア 2,410 3,564 4,085 6,205 13,115 15,498 5,560 16,253 27,896 ロシア 2,951 5,713 7,744 7,167 14,600 19,908 7,369 10,919 16,432 ルワンダ   295     2,134     1,698   サウジアラビア   33,414 30,025   146,499 120,850   19,343 20,513 セネガル   857     3,030     3,406   388 世界開発報告 2013 表 5 生産性(続き) 労働者 1 人当たり付加価値(2005 年ドル価格,年額) 第 1 次産業 第 2 次産業 第 3 次産業 セルビア   5,228 5,949   10,346 16,543   11,991 18,115 シエラレオネ   395     2,099     750   シンガポール 9,160 3,408 2,873 67,962 90,290 87,976 61,005 55,810 64,964 スロバキア 256 539 45,309 377 691 33,247 422 790 35,907 スロベニア 53 51 11,699 99 156 41,034 161 202 48,714 ソマリア                   南アフリカ   6,241 10,725   22,418 22,059   18,468 16,554 スペイン 32,396 41,405 48,517 63,427 64,101 80,812 70,171 66,716 69,968 スリランカ 1,545 1,366 2,015 2,866 4,160 6,217 3,686 5,467 7,548 スーダン                   スワジランド                   スウェーデン 84,800 57,864 93,839 98,760 119,616 135,069 78,875 87,010 94,173 スイス 61,238 34,325 48,439 124,652 122,634 166,833 120,305 106,178 130,553 シリア 17,111 34,206 61,887 9,922 44,830 40,385 17,821 31,138 38,924 タジキスタン 245 355   923 1,624   379 1,648   タンザニア   303     4,392     1,888   タイ 1,294 1,252 1,934 14,421 11,532 15,349 12,577 6,490 8,209 東ティモール                   トーゴ   619     2,450     1,119   トンガ                   トリニダード・トバゴ 3,466 3,403 3,883 28,504 54,117 82,586 12,489 17,024 24,172 チュニジア                   トルコ 4,162 7,974 10,596 16,599 25,270 27,153 16,311 29,236 33,775 トルクメニスタン                   ウガンダ   293 395   3,951 4,542   1,655 1,870 ウクライナ 1,405 2,366 3,997 3,199 5,825 11,824 6,283 4,419 7,756 イギリス 55,402 58,380 56,013 68,950 92,373 88,189 57,625 86,429 75,957 アメリカ 41,807 57,756 59,247 85,509 100,647 118,051 77,029 93,562 97,669 ウルグアイ 35,312 26,313   21,948 15,641   18,551 10,712   ウズベキスタン 1,312     2,437     1,900     ベネズエラ 4,708 5,358   20,515 36,656   10,073 7,370   ベトナム 351 538   2,391 2,846   1,979 1,862   ヨルダン西岸・ガザ                   イエメン 6,093     30,134     19,342     ザンビア   534     7,446     3,541   ジンバブエ   285     2,776     3,404 主要指標 389 表 5 生産性(続き) 労働者 1 人当たり付加価値 零細企業の雇用 公式な労働市場外の雇用 (2005 年ドル価格,年額) (対非農業雇用比,%) (対非農業雇用比,%) 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 アフガニスタン       アルバニア 2,935 6,784 8,379 アルジェリア   11,055   アンゴラ       アルゼンチン 29,815 12,243 17,954 57.7 55.9 44.0 49.7 アルメニア   5,399 11,088 49.6 オーストラリア 58,730 75,297 89,305 31.7 30.7 オーストリア 86,977 85,765 85,704 32.1 34.6 アゼルバイジャン 1,026 3,584 9,545 26.5 バングラデシュ 967 948   バルバドス 19,868 20,723   ベラルーシ 4,565     ベルギー 102,383 96,998 96,414 25.3 24.0 ベリーズ 11,094 10,353   ベニン   1,429   ブータン   2,798 3,525 ボリビア 2,720 2,242   79.3 80.5 75.1 ボスニアヘルツェゴビナ       ボツワナ 10,235 14,150   ブラジル 12,450 9,633 15,252 60.0 57.0 55.3 47.3 42.2 ブルガリア 5,391 10,176 14,455 25.2 22.9 ブルキナファソ 523 868   ブルンジ       カンボジア     1,270 カメルーン       95.3 カナダ 58,070 76,449 88,633 中央アフリカ共和国       チャド 807     チリ 15,308 20,223 23,977 52.1 44.9 44.7 33.1 中国 1,500 3,386 6,145 コロンビア 9,380 8,253 13,223 70.0 53.4 63.5 59.6 コンゴ民主主義共和国       コンゴ共和国   4,819   コスタリカ 11,089 10,938 13,136 52.1 51.5 47.9 39.6 39.9 43.8 コートジボワール       クロアチア 15,556 27,173 34,043 キューバ 7,923 8,521 10,912 チェコ共和国 15,574 29,321 39,648 31.6 30.7 デンマーク 90,386 96,856 109,655 ドミニカ共和国 6,918 10,290 11,621 48.5 エクアドル 6,160 6,486 7,810   42.2 45.5 71.3 60.9 エジプト 4,658 4,431 6,677 51.2 エルサルバドル 6,000 8,041 8,216 66.4 エリトリア       エストニア 492 1,591 2,073 21.4 21.1 エチオピア 404 366   フィジー       フィンランド 78,868 84,467 88,167 フランス 93,016 89,373 100,485 28.7 29.2 ガボン 24,595 22,182   ガンビア 2,773     グルジア   3,530   ドイツ 93,510 84,878 81,878 26.2 22.6 ガーナ   2,257   ギリシャ       56.8 54.3 グアテマラ 5,276 6,028   ギニア 1,581     ギニアビサウ       ハイチ       ホンジュラス 2,475 3,921   58.7 60.6 66.3 49.0 54.6 73.9 390 世界開発報告 2013 表 5 生産性(続き) 労働者 1 人当たり付加価値 零細企業の雇用 公式な労働市場外の雇用 (2005 年ドル価格,年額) (対非農業雇用比,%) (対非農業雇用比,%) 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 ハンガリー 15,312 28,939 31,419 37.3 35.8 インド 1,163 1,846 3,318 79.4 77.8 83.5 インドネシア 3,140 3,176 6,273 63.2 61.6 イラン 13,874 9,318   イラク       72.4 アイルランド 68,280 103,279 113,892 34.5 41.1 イスラエル       イタリア 77,205 90,200 86,879 47.7 47.8 ジャマイカ 7,303 10,241 10,099 日本 120,171 93,118 105,389 ヨルダン   10,087 16,149 カザフスタン   8,132 13,573 ケニア   1,445   キリバス       韓国 29,831 37,049 39,749 コソボ       キルギス共和国 1,108 1,124 1,949 ラオス 1,053     ラトビア 7,344 16,901 25,859 29.9 26.8 レバノン       レソト 2,064     34.9 リベリア   650 696 60.0 リビア       リトアニア 8,412 19,457 26,750 20.2 17.5 マケドニア   10,994 14,788 29.0 12.6 マダガスカル   585   73.6 マラウイ       マレーシア 14,397 13,983 16,556 マリ   1,576   81.8 モーリタニア       モーリシャス 10,838 12,093 15,443 35.5 メキシコ 10,565 20,886 20,837 71.0 59.8 63.4 54.8 53.7 モルドバ 1,273 2,216 4,249 15.9 モンゴル 2,381 2,457 3,720 モンテネグロ       モロッコ 5,349 5,975 7,741 モザンビーク   543   ミャンマー 5,406     ナミビア 9,068 11,449 14,685 43.9 ネパール       93.0 オランダ 81,927 80,589 83,545 ニュージーランド 49,224 59,050   ニカラグア 2,639 2,350   58.8 65.7 ニジェール       ナイジェリア   2,362   ノルウェー 93,069 143,121 158,628 オマーン 25,608     パキスタン 2,047 2,282 2,627 94.2 96.2 78.4 パナマ 10,430 11,998 14,765 44.8 50.5 45.1 33.7 44.1 43.8 パプアニューギニア       78.3 パラグアイ 5,294 3,254 6,106 70.7 ペルー 6,704 6,508 8,211 78.0 70.6 フィリピン 3,783 3,404 4,612 70.1 ポーランド 11,599 22,272 26,446 43.0 43.5 12.7 ポルトガル 34,097 40,237 42,290 43.7 43.0 ルーマニア 4,500 11,251 17,157 20.2 19.4 ロシア 6,594 11,503 16,536 ルワンダ   607   サウジアラビア   45,337 40,961 セネガル   1,972   主要指標 391 表 5 生産性(続き) 労働者 1 人当たり付加価値 零細企業の雇用 公式な労働市場外の雇用 (2005 年ドル価格,年額) (対非農業雇用比,%) (対非農業雇用比,%) 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 セルビア   9,975 14,802   47.8 6.1 シエラレオネ   607   85.3 シンガポール 63,970 62,872 69,405 スロバキア 389 738 35,205 42.7 43.7 スロベニア 122 170 42,848 23.9 25.6 ソマリア       南アフリカ   18,701 17,639 46.2 32.7 スペイン 64,748 64,666 71,604 41.1 42.6 スリランカ 2,484 3,583 5,238 62.1 スーダン       スワジランド       スウェーデン 84,223 93,600 102,345 スイス 119,203 108,315 129,181 シリア 15,173 35,585 43,556 タジキスタン 376 920   タンザニア   768   87.6 76.2 タイ 7,079 5,246 7,083 42.3 東ティモール       96.6 100.0 トーゴ   931   トンガ       トリニダード・トバゴ 15,785 27,808 42,053 チュニジア       トルコ 10,987 22,158 26,490 54.6 46.6 30.6 トルクメニスタン       ウガンダ   789 1,057 68.5 ウクライナ 2,099 4,322 8,090 イギリス 60,062 86,592 77,322 27.6 28.2 アメリカ 78,008 95,269 100,365 ウルグアイ 20,492 12,684   54.5 51.3 44.6 39.8 ウズベキスタン 1,666     ベネズエラ 11,929 13,319   60.3 47.5 ベトナム 885 1,370   68.2 ヨルダン西岸・ガザ       57.2 イエメン 13,181     ザンビア   1,649   69.5 ジンバブエ   945   51.6 392 世界開発報告 2013 表 6 社会的一体感 信頼 市民的社会参画 賃金格差 (最新の調査,%) (最新の調査,%) (90%層対 10%層比) 被雇用者 失業者 労働力外 被雇用者 失業者 労働力外 1995 2005 2010 アフガニスタン 2.5 アルバニア 22.4 27.5 26.8 2.6 3.9 アルジェリア 10.1 10.6 13.9 アンゴラ アルゼンチン 19.9 10.1 15.5 32.4 32.0 28.7 5.8 5.5 アルメニア オーストラリア 49.2 38.5 41.2 64.9 28.7 55.0 10.3 8.8 オーストリア 41.9 4.4 5.2 アゼルバイジャン 10.0 バングラデシュ 24.8 24.6 23.7 3.8 3.8 バルバドス 6.1 ベラルーシ 4.7 ベルギー 29.5 2.9 3.0 ベリーズ 5.7 ベニン 39.5 37.7 37.7 ブータン ボリビア 21.6 16.3 21.9 31.2 29.3 30.9 10.0 8.5 7.5 ボスニアヘルツェゴビナ 13.9 16.1 18.0 ボツワナ 17.3 12.3 55.0 42.3 55.3 28.3 ブラジル 8.4 11.3 10.4 66.8 50.0 72.8 10.4 7.4 6.0 ブルガリア 21.3 23.0 22.9 11.4 6.6 5.8 3.6 4.5 ブルキナファソ 12.3 13.3 17.5 43.7 35.2 33.0 ブルンジ カンボジア 20.0 6.9 8.6 カメルーン 10.4 カナダ 44.9 36.5 40.3 72.4 46.6 63.4 中央アフリカ共和国 チャド チリ 14.1 18.5 10.2 45.5 44.2 42.2 7.0 5.5 5.5 中国 52.7 43.1 53.0 15.7 26.0 23.5 5.6 4.0 コロンビア 16.0 12.5 11.4 36.2 33.1 39.1 6.5 6.6 コンゴ民主主義共和国 コンゴ共和国 コスタリカ 10.1 4.6 6.9 30.9 20.3 28.0 コートジボワール クロアチア 2.9 キューバ チェコ共和国 デンマーク 47.3 ドミニカ共和国 エクアドル 12.2 8.7 11.6 19.8 0.0 16.8 6.5 6.6 4.9 エジプト 16.9 17.3 20.0 11.8 4.6 3.0 エルサルバドル 15.8 12.2 13.7 34.1 35.9 27.3 エリトリア エストニア 4.3 4.3 エチオピア 21.4 27.2 26.9 49.5 36.5 52.6 11.8 フィジー フィンランド 65.9 44.5 52.6 54.4 42.3 43.0 フランス 19.4 18.5 17.7 43.6 27.5 34.7 4.7 4.9 ガボン 10.7 ガンビア グルジア 21.2 10.4 21.7 7.4 4.7 3.5 7.4 ドイツ 40.6 22.6 34.1 47.1 25.5 44.6 6.3 ガーナ 8.7 8.0 8.7 81.7 76.2 81.2 9.1 ギリシャ 8.8 4.3 4.2 グアテマラ 17.5 24.1 10.6 35.9 32.0 35.0 6.2 ギニア ギニアビサウ ハイチ ホンジュラス 18.2 13.8 16.4 51.0 59.3 49.8 6.6 9.7 8.8 主要指標 393 表 6 社会的一体感(続き) 信頼 市民的社会参画 賃金格差 (最新の調査,%) (最新の調査,%) (90%層対 10%層比) 被雇用者 失業者 労働力外 被雇用者 失業者 労働力外 1995 2005 2010 ハンガリー 4.2 インド 23.4 19.1 27.1 54.2 40.6 34.6 12.1 11.4 10.7 インドネシア 45.7 25.0 40.7 60.6 51.2 58.9 10.4 4.2 8.6 イラン 11.2 10.3 10.0 50.0 43.4 33.5 イラク 36.7 46.0 43.2 4.4 アイルランド 34.7 5.8 5.6 イスラエル 27.5 17.6 18.1 イタリア 31.3 26.3 26.1 44.4 22.8 35.7 3.4 3.2 ジャマイカ 5.7 日本 39.3 12.5 40.3 34.1 31.3 39.7 ヨルダン 33.6 27.1 23.9 カザフスタン ケニア 73.3 74.3 70.1 13.3 キリバス 韓国 30.0 40.3 25.6 36.4 23.6 33.5 コソボ 3.5 キルギス共和国 17.6 12.4 17.4 ラオス ラトビア 4.7 6.1 レバノン レソト 3.3 4.0 44.6 44.6 44.9 リベリア 83.8 78.5 80.6 リビア リトアニア 4.9 4.3 マケドニア 11.7 14.7 15.0 12.3 2.7 マダガスカル 12.5 10.3 9.4 マラウイ 44.4 45.3 75.3 62.9 61.7 10.1 マレーシア 9.5 9.6 7.7 29.4 21.2 28.0 マリ 16.6 20.0 17.1 65.6 59.4 51.6 24.4 モーリタニア モーリシャス 5.8 6.7 メキシコ 17.5 15.1 12.8 64.6 50.5 59.7 8.4 6.5 モルドバ 16.0 14.6 22.3 36.0 18.9 33.9 8.1 モンゴル 3.6 モンテネグロ 2.9 モロッコ 12.3 20.8 17.5 17.0 8.7 11.1 モザンビーク 62.8 58.1 52.6 6.7 10.5 ミャンマー ナミビア 33.3 36.2 35.2 33.4 39.1 ネパール 6.0 オランダ 47.0 25.8 42.7 60.3 31.3 57.0 ニュージーランド ニカラグア 21.5 24.2 20.5 46.8 42.7 42.7 6.8 5.8 ニジェール 7.0 ナイジェリア 24.9 27.2 26.3 63.8 60.0 61.1 5.0 28.8 ノルウェー 77.4 66.7 66.3 58.3 45.5 46.6 オマーン パキスタン 32.5 25.4 29.7 6.3 6.4 パナマ 27.6 12.5 21.7 25.6 34.9 22.9 7.6 6.7 5.5 パプアニューギニア 10.9 パラグアイ 5.5 9.3 6.3 45.1 52.2 38.8 6.8 6.5 5.3 ペルー 5.7 9.0 7.1 54.7 36.4 42.6 6.3 6.8 6.1 フィリピン 8.1 12.4 6.8 6.1 6.3 ポーランド 19.3 21.8 18.9 28.2 15.6 27.7 5.4 5.2 ポルトガル 8.2 4.9 4.3 ルーマニア 18.7 14.3 22.1 19.6 6.7 8.4 3.2 5.5 3.7 ロシア 26.7 18.1 26.7 13.2 6.6 17.7 ルワンダ 4.0 8.4 70.8 70.8 37.8 31.3 サウジアラビア 52.6 62.7 52.4 セネガル 50.3 42.9 40.0 394 世界開発報告 2013 表 6 社会的一体感(続き) 信頼 市民的社会参画 賃金格差 (最新の調査,%) (最新の調査,%) (90%層対 10%層比) 被雇用者 失業者 労働力外 被雇用者 失業者 労働力外 1995 2005 2010 セルビア 15.9 11.1 15.8 18.6 15.1 9.8 3.8 シエラレオネ 4.7 シンガポール 15.8 16.7 18.7 スロバキア 3.0 スロベニア 17.7 13.3 19.2 51.4 32.6 38.6 3.2 3.2 ソマリア 南アフリカ 16.1 21.6 19.3 66.3 52.9 66.2 14.0 スペイン 22.0 23.8 17.4 28.4 24.9 22.2 4.5 4.2 スリランカ 6.2 5.7 スーダン スワジランド スウェーデン 72.3 43.8 60.4 63.7 52.3 59.9 4.3 3.8 スイス 59.4 7.5 45.6 69.5 51.2 64.0 シリア 3.3 タジキスタン 15.0 タンザニア 7.6 9.3 6.7 79.9 75.1 74.8 12.9 13.3 タイ 42.7 32.4 44.4 35.4 24.7 37.9 8.9 10.8 9.6 東ティモール 8.5 5.5 トーゴ 14.6 トンガ トリニダード・トバゴ 3.8 3.0 4.1 59.0 56.0 63.6 チュニジア トルコ 4.8 3.3 5.1 13.8 6.6 4.0 4.0 4.2 トルクメニスタン ウガンダ 7.0 4.7 9.6 60.4 55.2 54.3 13.6 ウクライナ 29.1 35.7 25.3 19.2 22.1 13.9 4.7 イギリス 31.0 19.5 32.0 66.2 38.2 57.5 5.3 アメリカ 40.2 36.5 40.7 66.1 47.0 63.2 12.5 ウルグアイ 30.2 15.7 29.4 29.5 29.8 30.9 6.0 6.4 5.8 ウズベキスタン ベネズエラ 16.9 16.7 13.4 33.7 27.3 30.5 4.6 5.5 ベトナム 51.9 52.2 53.7 49.6 51.5 59.0 7.7 8.0 8.7 ヨルダン西岸・ガザ 3.8 4.0 イエメン 42.4 ザンビア 11.5 12.5 10.6 81.0 70.3 78.7 11.1 ジンバブエ 13.9 10.4 5.3 59.4 61.3 65.4 主要指標 395 表 6 社会的一体感(続き) 若年失業率(対若年労働力比,%) ニートの若者(対若年層比,%) 男 女 男 女 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 アフガニスタン 8.2 50.0 アルバニア 22.8 26.2 16.6 28.3 50.2 33.7 41.7 35.1 アルジェリア 42.8 46.3 アンゴラ アルゼンチン 29.9 21.6 18.8 37.6 28.0 24.7 14.7 14.8 24.8 24.8 アルメニア 47.2 37.4 69.4 54.7 52.2 67.2 オーストラリア 15.9 10.9 11.9 14.8 10.4 11.1 15.3 18.1 18.5 19.0 オーストリア 4.8 10.7 8.9 5.6 9.9 8.8 14.5 18.5 14.5 20.0 アゼルバイジャン 18.2 13.4 10.4 15.5 49.3 57.8 バングラデシュ 8.0 8.0 5.7 13.6 バルバドス 33.3 24.1 42.4 28.7 23.1 28.9 ベラルーシ 53.4 60.3 ベルギー 19.7 21.0 22.4 23.7 22.1 22.4 10.6 12.7 15.1 11.6 ベリーズ 19.1 13.8 31.7 28.8 26.6 69.2 ベニン 14.9 20.1 ブータン 5.5 10.7 7.2 14.7 17.7 22.8 ボリビア 5.2 7.0 3.5 5.5 15.8 17.0 18.3 18.5 ボスニアヘルツェゴビナ 60.4 44.7 65.6 51.9 32.0 33.7 ボツワナ 33.5 42.4 25.7 38.9 ブラジル 9.7 15.3 13.9 14.1 24.9 23.1 10.4 11.5 12.1 28.2 26.0 24.8 ブルガリア 23.4 24.1 21.0 21.7 33.5 29.3 17.4 36.0 32.3 29.6 ブルキナファソ 4.6 2.9 5.8 5.7 17.5 15.0 ブルンジ カンボジア 3.5 3.3 7.9 4.0 3.6 15.2 11.5 10.6 カメルーン 20.0 7.8 34.2 19.6 カナダ 16.3 14.2 17.1 13.2 10.6 12.4 中央アフリカ共和国 26.4 27.0 チャド チリ 10.8 17.3 16.6 12.7 23.8 21.7 11.6 13.5 17.6 30.4 24.5 26.8 中国 9.8 12.8 9.4 11.0 コロンビア 15.6 17.9 18.2 21.8 28.3 29.9 16.9 14.5 38.4 33.3 コンゴ民主主義共和国 13.2 23.1 コンゴ共和国 6.0 13.4 コスタリカ 10.2 11.3 9.6 13.0 21.5 13.4 11.5 9.3 12.8 37.5 28.2 27.1 コートジボワール クロアチア 30.2 31.1 35.1 35.0 20.8 20.5 キューバ 3.5 2.8 4.4 3.5 チェコ共和国 7.2 19.4 18.3 8.7 19.1 18.5 11.5 9.6 15.3 12.3 デンマーク 7.8 8.6 16.1 12.3 8.6 11.8 9.5 11.9 15.1 14.5 ドミニカ共和国 20.9 21.2 41.5 44.5 10.6 14.5 14.1 31.7 28.8 28.1 エクアドル 13.0 12.2 11.7 18.6 20.6 18.1 6.8 7.9 8.3 31.1 27.6 23.6 エジプト 23.3 62.2 15.2 45.7 エルサルバドル 13.4 11.3 13.0 8.4 13.0 14.1 13.5 41.7 39.3 36.7 エリトリア エストニア 21.0 16.6 35.4 15.4 15.1 30.0 16.0 10.6 13.3 11.2 エチオピア 4.1 11.2 7.5 1.8 43.6 10.9 フィジー 11.3 16.8 24.0 19.6 49.9 36.7 フィンランド 25.7 18.4 21.6 28.7 19.4 18.9 20.2 17.2 15.1 13.1 フランス 23.7 19.5 22.2 30.6 21.9 23.7 8.6 10.5 12.7 10.5 ガボン 41.7 40.2 20.0 31.3 ガンビア グルジア 26.8 32.4 30.6 40.7 ドイツ 8.3 16.1 10.4 8.0 14.0 8.8 15.3 13.0 9.0 8.5 ガーナ 12.9 20.8 ギリシャ 19.4 18.7 26.7 37.7 34.8 40.6 17.3 16.1 21.3 20.2 グアテマラ 4.6 40.7 ギニア 6.6 16.9 ギニアビサウ ハイチ ホンジュラス 4.3 5.2 6.9 11.2 9.3 10.2 10.0 51.7 43.0 42.7 396 世界開発報告 2013 表 6 社会的一体感(続き) 若年失業率(対若年労働力比,%) ニートの若者(対若年層比,%) 男 女 男 女 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 ハンガリー 20.7 19.7 27.9 15.6 19.1 24.9 13.6 13.1 12.4 19.4 インド 8.3 9.9 9.9 8.0 10.3 11.3 9.7 10.0 10.0 56.1 51.8 50.5 インドネシア 14.3 28.8 21.6 17.0 37.7 23.0 19.3 23.3 13.8 45.1 44.0 33.6 イラン 21.2 20.2 34.0 33.9 21.6 55.1 イラク 25.6 75.6 アイルランド 20.3 9.1 34.0 17.4 7.9 21.5 9.9 17.0 11.8 17.1 イスラエル 12.8 17.0 14.5 17.1 18.6 12.9 イタリア 29.8 21.5 26.8 38.2 27.4 29.4 20.5 20.7 22.6 20.6 ジャマイカ 25.1 22.0 22.5 44.6 36.3 33.1 20.5 44.0 日本 6.1 9.9 10.4 6.1 7.4 8.0 ヨルダン 23.7 22.6 47.9 45.9 カザフスタン 13.1 6.8 15.7 8.2 54.0 13.8 56.9 14.9 ケニア 24.5 16.3 36.8 31.6 キリバス 21.8 22.4 韓国 7.8 12.2 11.2 5.3 9.0 9.0 コソボ 37.7 59.3 キルギス共和国 13.3 16.2 24.9 36.7 ラオス 6.4 3.9 2.1 5.3 ラトビア 34.2 11.7 35.4 34.1 16.1 33.5 10.2 11.8 14.0 15.8 レバノン 20.3 19.0 18.1 33.3 レソト 37.9 29.0 58.5 41.9 リベリア 5.7 3.4 3.7 6.6 6.8 15.2 リビア リトアニア 28.5 16.0 38.4 21.7 15.3 30.8 11.9 8.0 12.3 3.6 マケドニア 63.0 53.8 62.1 53.4 マダガスカル 1.7 2.8 8.8 12.2 マラウイ 19.4 5.4 44.9 11.1 マレーシア 10.5 10.3 11.5 11.8 12.2 21.4 マリ 10.2 26.7 19.8 47.6 モーリタニア 23.9 34.6 モーリシャス 21.4 20.5 19.4 28.1 34.3 29.0 27.6 26.1 45.7 39.0 メキシコ 9.2 6.1 9.0 15.3 7.4 10.1 11.3 10.9 12.0 41.9 34.3 33.7 モルドバ 19.1 20.1 18.3 15.0 5.8 6.6 モンゴル 19.5 20.7 14.0 16.9 モンテネグロ 32.3 24.9 モロッコ 16.2 22.8 14.4 19.4 モザンビーク 15.3 9.0 5.9 19.7 11.5 8.3 ミャンマー ナミビア 29.6 36.7 54.6 33.8 47.0 63.8 20.4 29.2 ネパール 33.5 8.4 8.3 36.2 19.6 15.4 オランダ 11.5 8.0 8.8 12.7 8.4 8.6 8.3 11.9 10.7 12.8 ニュージーランド 12.3 9.4 16.8 12.2 10.1 17.4 ニカラグア 22.4 8.1 24.7 9.7 20.9 10.5 52.3 39.4 ニジェール 15.2 45.3 ナイジェリア 7.2 22.2 43.4 36.1 ノルウェー 11.9 12.5 10.9 11.8 11.5 7.7 7.4 17.8 6.1 20.5 オマーン パキスタン 7.6 11.0 7.0 18.1 14.9 10.5 11.4 9.9 65.8 59.6 パナマ 23.0 18.5 11.7 35.6 29.6 21.1 15.4 11.8 10.6 36.4 30.1 30.8 パプアニューギニア 17.3 18.7 パラグアイ 5.5 12.1 8.7 7.3 20.5 16.8 6.3 9.7 9.9 27.7 29.7 28.3 ペルー 9.8 16.2 12.5 13.6 17.4 15.6 11.9 15.4 11.7 25.3 28.7 21.6 フィリピン 14.4 14.9 16.2 19.1 18.9 19.3 10.6 10.7 19.9 24.9 27.4 31.9 ポーランド 29.0 36.7 22.4 33.8 39.2 25.4 16.4 8.5 17.7 12.3 ポルトガル 14.1 13.7 21.1 17.7 19.1 23.7 12.3 13.4 13.3 15.2 ルーマニア 18.8 21.5 22.3 23.1 18.4 21.8 30.8 2.0 11.3 32.8 6.3 16.7 ロシア 17.8 14.5 16.9 20.0 17.2 17.5 ルワンダ 1.0 0.5 13.9 4.1 15.5 4.5 サウジアラビア 23.6 45.8 セネガル 11.9 20.1 13.4 19.8 50.5 58.7 主要指標 397 表 6 社会的一体感(続き) 若年失業率(対若年労働力比,%) ニートの若者(対若年層比,%) 男 女 男 女 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 1995 2005 2010 セルビア 43.2 31.0 55.5 41.3 23.4 19.1 シエラレオネ 7.3 3.5 16.0 25.6 シンガポール 4.5 6.4 9.8 5.5 11.6 16.6 スロバキア 26.0 30.7 34.7 23.1 28.8 32.0 12.5 6.6 11.4 8.8 スロベニア 18.1 14.5 15.2 19.6 17.8 13.8 6.8 5.1 5.3 4.1 ソマリア 南アフリカ 42.7 47.2 54.7 54.6 18.0 27.4 27.0 36.8 スペイン 33.6 16.7 43.2 49.2 23.5 39.8 12.4 19.6 15.8 18.1 スリランカ 20.4 17.1 37.0 27.9 4.0 19.3 14.6 28.9 32.9 36.1 スーダン スワジランド 44.2 43.0 2.2 13.4 スウェーデン 20.6 22.3 26.7 18.4 21.6 23.7 14.5 15.7 11.7 13.7 スイス 5.7 8.5 7.3 5.3 9.1 8.4 シリア 12.7 15.3 46.1 40.2 13.3 55.4 タジキスタン 26.9 43.4 タンザニア 7.4 10.1 3.2 5.3 9.5 17.5 9.1 16.9 タイ 2.6 4.9 3.7 2.3 4.6 5.1 5.4 1.6 2.5 13.0 11.5 12.0 東ティモール 10.4 15.6 26.5 22.5 トーゴ 6.2 13.0 トンガ 32.0 9.9 27.0 15.1 22.9 34.9 トリニダード・トバゴ 28.3 12.9 8.8 35.2 21.6 12.9 チュニジア 33.3 31.4 29.0 29.3 トルコ 16.9 19.5 21.0 13.1 20.6 23.1 27.3 21.9 57.9 46.9 トルクメニスタン ウガンダ 3.8 13.5 ウクライナ 15.2 14.4 17.6 24.2 イギリス 17.9 13.6 21.3 12.2 10.7 16.9 12.7 12.8 18.4 16.4 アメリカ 12.5 12.4 20.8 11.6 10.1 15.8 10.7 13.8 ウルグアイ 21.3 25.4 16.9 29.2 34.9 26.5 15.3 15.0 14.2 25.2 23.5 22.1 ウズベキスタン ベネズエラ 20.2 14.3 12.3 35.2 22.0 15.9 15.0 10.2 36.0 20.5 ベトナム 3.4 4.4 2.9 4.9 9.3 4.6 4.3 14.3 7.4 7.9 ヨルダン西岸・ガザ 21.3 19.6 37.9 30.6 イエメン 20.2 9.8 ザンビア 21.8 22.4 ジンバブエ 20.7 7.6 12.4 7.6 398 世界開発報告 2013 表 7 政策・制度 中核的 ILO 最低賃金 解雇手当(週給の倍数) 組合員数 条約の批准数 (2005 年ドル,年収) 勤続 1 年  勤続 10 年 (対賃金雇用比,%) 2012 2007 2010 2012 2012 1995 2005 2010 アフガニスタン 5 0 0 13.0 30.3 アルバニア 8 1,608 2,160 4.3 34.4 アルジェリア 8 1,848 2,460 17.3 17.3 アンゴラ 8 1,296 1,308 8.6 80.1 アルゼンチン 8 2,952 4,824 8.7 52.0 アルメニア 8 540 948 13.0 13.0 オーストラリア 7 13,464 13,896 5.0 16.0 32 22 19 オーストリア 8 6,780 7,704 2.0 2.0 41 33 28 アゼルバイジャン 8 648 1,068 21.7 21.7 バングラデシュ 7 288 252 9.3 54.3 バルバドス 8 ベラルーシ 8 936 1,104 21.7 21.7 ベルギー 8 15,996 18,804 5.0 8.0 56 53 52 ベリーズ 8 3,300 3,156 2.0 14.0 ベニン 8 600 732 5.6 18.4 ブータン 0 0 0 5.3 10.3 ボリビア 8 696 960 ボスニアヘルツェゴビナ 8 4,092 4,356 2.0 16.4 ボツワナ 8 1,308 1,164 6.7 42.0 9 ブラジル 7 2,136 3,000 5.9 20.9 30 29 ブルガリア 8 1,296 1,788 8.6 8.6 39 22 20 ブルキナファソ 8 672 756 5.4 16.3 ブルンジ 8 48 36 4.3 26.0 カンボジア 8 468 444 4.3 34.4 カメルーン 8 504 684 5.8 23.8 カナダ 5 13,104 17,952 2.0 18.0 34 30 30 中央アフリカ共和国 8 408 432 21.7 21.7 チャド 8 552 780 4.3 20.6 チリ 8 0 0 8.6 47.6 16 13 14 中国 4 1,080 1,728 8.6 47.6 92 74 79 コロンビア 8 2,076 2,628 4.3 30.0 コンゴ民主主義共和国 8 180 696 4.2 16.8 コンゴ共和国 8 864 1,296 4.3 17.8 コスタリカ 8 3,600 3,852 7.1 29.5 コートジボワール 8 0 0 5.6 22.8 クロアチア 8 4,452 5,748 4.3 25.1 キューバ 7 チェコ共和国 8 3,996 4,608 21.7 21.7 44 20 17 デンマーク 8 0 0 0.0 0.0 77 72 69 ドミニカ共和国 8 2,700 2,436 7.8 45.8 エクアドル 8 1,800 2,328 14.1 54.2 エジプト 8 276 336 13.0 67.2 エルサルバドル 8 768 936 4.3 42.9 エリトリア 7 0 0 4.0 29.3 エストニア 8 3,264 4,236 8.6 17.2 32 9 7 エチオピア 8 0 0 8.6 30.1 フィジー 8 2,472 3,132 5.3 14.3 フィンランド 8 18,816 22,212 4.3 17.3 80 72 70 フランス 8 7,284 8,484 5.2 17.3 9 8 8 ガボン 8 432 516 1.0 26.0 ガンビア 8 0 0 26.0 26.0 グルジア 8 252 264 4.3 4.3 ドイツ 8 9,816 12,276 6.2 39.0 29 22 19 ガーナ 7 252 276 10.7 91.0 ギリシャ 8 10,512 12,756 24.0 24.0 31 25 24 グアテマラ 8 1,776 1,992 5.1 50.6 ギニア 8 0 0 3.2 13.0 ギニアビサウ 7 0 0 13.0 43.3 ハイチ 8 504 1,356 4.3 17.3 ホンジュラス 8 1,788 3,504 8.7 52.0 主要指標 399 表 7 政策・制度(続き) 中核的 ILO 最低賃金 解雇手当(週給の倍数) 組合員数 条約の批准数 (2005 年ドル,年収) 勤続 1 年  勤続 10 年 (対賃金雇用比,%) 2012 2007 2010 2012 2012 1995 2005 2010 ハンガリー 8 3,516 4,200 4.3 20.9 49 17 17 インド 4 204 264 6.5 25.8 41 インドネシア 8 1,104 1,140 17.3 95.3 5 11 イラン 5 1,848 3,324 4.3 43.3 イラク 7 0 1,248 0.0 0.0 アイルランド 8 16,992 19,308 2.7 11.0 52 37 37 イスラエル 8 9,036 10,608 8.7 47.7 61 34 イタリア 8 16,236 18,768 6.5 8.7 38 34 35 ジャマイカ 8 2,388 2,232 2.0 26.0 日本 6 12,108 14,652 4.3 4.3 24 19 18 ヨルダン 7 1,752 2,160 4.3 4.3 カザフスタン 8 864 1,200 8.7 8.7 ケニア 7 924 1,068 6.5 25.8 キリバス 8 0 0 4.3 4.3 韓国 4 6,960 6,756 8.6 47.6 13 10 10 コソボ 0 0 13.0 26.0 キルギス共和国 8 96 132 17.3 17.3 ラオス 5 300 684 11.6 84.4 ラトビア 8 2,424 3,816 5.3 14.0 28 19 15 レバノン 7 2,244 3,408 4.3 13.0 レソト 8 6.3 24.3 リベリア 6 588 564 8.3 44.3 リビア 8 リトアニア 8 2,460 3,552 17.3 30.3 33 10 9 マケドニア 8 1,104 1,824 8.7 17.3 マダガスカル 8 288 420 3.1 21.0 マラウイ 8 192 252 6.3 34.3 マレーシア 5 0 0 5.7 41.3 13 10 マリ 8 156 156 9.5 18.4 モーリタニア 8 876 888 5.4 16.3 モーリシャス 8 1,188 1,692 4.7 18.6 メキシコ 6 1,368 1,332 14.6 30.0 18 18 モルドバ 8 648 1,044 18.3 27.3 モンゴル 8 660 888 8.7 8.7 モンテネグロ 8 732 1,572 28.1 28.1 モロッコ 7 2,364 2,736 6.5 36.0 モザンビーク 8 732 1,032 6.5 69.3 ミャンマー 2 ナミビア 8 0 0 5.3 14.3 ネパール 7 360 660 8.6 47.2 オランダ 8 9,672 11,448 4.3 13.0 26 21 19 ニュージーランド 6 14,292 14,868 0.0 0.0 27 21 21 ニカラグア 8 996 1,308 4.3 21.7 ニジェール 8 612 636 9.5 7.8 ナイジェリア 8 0 0 6.3 26.9 ノルウェー 8 36,444 45,504 4.3 13.0 57 55 54 オマーン 4 3,528 3,924 4.3 4.3 パキスタン 8 372 480 8.6 47.2 パナマ 8 3,192 3,984 3.4 34.0 パプアニューギニア 8 456 1,296 3.7 21.3 パラグアイ 8 1,464 1,824 7.1 52.9 ペルー 8 1,728 2,004 2.9 17.1 フィリピン 8 1,500 1,860 8.7 47.7 31 12 ポーランド 8 2,724 4,080 8.7 26.0 31 19 15 ポルトガル 8 6,660 8,520 17.3 54.0 25 21 19 ルーマニア 8 1,776 2,316 8.3 8.3 69 34 33 ロシア 8 2,544 3,816 17.3 17.3 76 44 43 ルワンダ 8 228 0 8.6 17.3 サウジアラビア 5 0 0 6.5 36.8 セネガル 8 780 828 6.4 20.6 400 世界開発報告 2013 表 7 政策・制度(続き) 中核的 ILO 最低賃金 解雇手当(週給の倍数) 組合員数 条約の批准数 (2005 年ドル,年収) 勤続 1 年  勤続 10 年 (対賃金雇用比,%) 2012 2007 2010 2012 2012 1995 2005 2010 セルビア 8 1,296 2,196 1.4 14.4 シエラレオネ 6 636 552 17.5 152.7 シンガポール 5 0 0 1.0 4.0 14 19 18 スロバキア 8 2,892 4,752 17.3 26.0 56 23 17 スロベニア 8 7,356 11,160 5.2 17.3 60 44 27 ソマリア 3 南アフリカ 8 5,472 5,556 5.0 14.0 32 28 スペイン 8 9,432 11,400 5.0 30.7 16 15 16 スリランカ 8 396 384 15.2 104.3 20 スーダン 7 780 984 4.3 47.7 スワジランド 8 1,080 912 3.4 26.6 スウェーデン 8 0 0 4.3 26.0 87 76 69 スイス 8 0 0 8.7 13.0 23 19 18 シリア 8 1,272 1,440 8.7 8.7 タジキスタン 8 72 156 13.0 19.5 タンザニア 8 408 648 5.0 14.0 タイ 5 744 852 19.3 54.3 東ティモール 4 0 0 4.3 4.3 トーゴ 8 288 648 5.6 18.4 トンガ 0 0 0 0.0 0.0 トリニダード・トバゴ 8 0 0 8.6 34.6 チュニジア 8 1,176 1,308 6.0 17.3 トルコ 8 4,440 5,436 8.3 51.3 13 8 6 トルクメニスタン 7 ウガンダ 8 36 36 4.3 13.0 ウクライナ 8 888 1,344 13.0 13.0 イギリス 8 16,044 16,188 1.0 15.1 33 29 27 アメリカ 2 13,992 13,488 0.0 0.0 15 13 12 ウルグアイ 8 1,560 2,532 5.2 31.2 ウズベキスタン 7 108 264 17.3 17.3 ベネズエラ 8 2,472 3,504 ベトナム 5 228 408 8.7 43.3 ヨルダン西岸・ガザ 0 0 0 8.7 47.7 イエメン 8 1,140 1,068 8.6 47.6 ザンビア 8 840 624 13.0 91.0 ジンバブエ 8 72 2,040 26.0 143.0 主要指標 401 表 7 政策・制度(続き) 労働市場政策 社会保障拠出金 社会保障適用範囲 (支出の対 GDP 比,%) (対給与比,%) (対雇用比,%) 1995 2005 2009 1995 2005 2010 1995 2005 2010 アフガニスタン 3.7 アルバニア 34.4 23.1 37.9 アルジェリア 34.0 34.0 アンゴラ アルゼンチン 4.97 45.4 24.7 24.8 47.0 アルメニア 1.89 3.0 3.0 32.1 オーストラリア 1.95 0.91 0.87 9.0 9.0 90.7 オーストリア 1.97 2.13 2.34 37.7 37.8 93.7 アゼルバイジャン 25.0 25.0 35.4 バングラデシュ 0.09 2.5 バルバドス 17.6 17.6 83.5 ベラルーシ 22.0 29.5 93.5 ベルギー 3.94 3.41 3.77 22.3 22.4 91.4 ベリーズ 61.0 ベニン 14.0 12.5 5.5 ブータン 14.0 ボリビア 22.2 20.5 12.2 ボスニアヘルツェゴビナ 24.5 ボツワナ 9.0 ブラジル 31.0 29.0 29.3 59.3 ブルガリア 30.2 21.3 81.1 78.7 ブルキナファソ 14.5 18.0 1.2 ブルンジ 9.5 9.5 3.5 カンボジア カメルーン 12.0 10.1 16.2 カナダ 1.83 0.94 1.33 14.6 14.0 95.4 87.4 中央アフリカ共和国 1.5 チャド 8.5 8.5 2.7 チリ 3.13 24.7 20.3 18.0 57.7 中国 0.06 32.0 32.0 33.5 コロンビア 0.00 40.0 44.8 27.8 コンゴ民主主義共和国 8.5 8.5 14.2 コンゴ共和国 14.3 14.3 9.7 コスタリカ 0.60 23.3 23.8 58.6 コートジボワール 11.5 13.0 11.5 12.8 クロアチア 36.7 36.7 76.0 キューバ 14.0 14.0 チェコ共和国 0.24 0.48 0.72 34.0 34.0 31.5 95.4 デンマーク 6.02 3.92 3.33 8.0 8.0 92.9 ドミニカ共和国 12.5 26.9 エクアドル 24.5 19.0 26.4 エジプト 35.0 35.0 55.1 エルサルバドル 22.9 エリトリア エストニア 0.19 1.62 34.5 29.9 94.5 エチオピア 10.0 15.0 フィジー 16.0 27.0 フィンランド 5.27 2.81 2.80 32.9 28.9 89.7 フランス 2.70 2.49 2.42 34.9 34.9 87.3 ガボン ガンビア 2.7 グルジア 20.0 25.0 29.2 ドイツ 3.51 2.93 2.53 41.5 38.9 86.9 ガーナ 17.5 17.5 8.7 ギリシャ 0.78 25.2 25.2 86.0 グアテマラ 15.5 15.5 20.3 ギニア 12.1 ギニアビサウ 2.0 ハイチ 15.0 15.0 ホンジュラス 10.5 10.5 17.3 402 世界開発報告 2013 表 7 政策・制度(続き) 労働市場政策 社会保障拠出金 社会保障適用範囲 (支出の対 GDP 比,%) (対給与比,%) (対雇用比,%) 1995 2005 2009 1995 2005 2010 1995 2005 2010 ハンガリー 1.29 0.69 1.15 45.5 38.5 79.9 92.0 インド 6.74 22.2 22.2 10.3 インドネシア 0.15 12.2 5.7 5.7 11.0 イラン 30.0 30.0 イラク 43.1 アイルランド 3.91 1.46 3.47 14.8 14.8 88.9 イスラエル 1.02 0.90 6.7 8.9 イタリア 1.34 1.86 39.5 40.1 90.1 ジャマイカ 0.00 5.0 5.0 5.0 17.2 日本 0.69 0.60 0.85 31.8 31.9 95.4 ヨルダン 15.0 16.5 18.0 25.6 38.4 カザフスタン 10.0 10.0 62.5 ケニア 3.78 10.0 10.0 20.8 7.5 キリバス 15.0 15.0 韓国 0.32 1.02 12.4 28.8 49.5 コソボ キルギス共和国 39.0 29.0 27.3 52.7 40.4 ラオス 9.5 9.5 ラトビア 0.11 33.1 33.1 91.7 レバノン 8.5 8.5 34.5 レソト 4.4 リベリア リビア 14.3 14.3 68.5 リトアニア 31.2 31.3 82.9 マケドニア 52.3 マダガスカル 11.8 11.8 5.3 マラウイ マレーシア 0.57 24.3 24.3 49.0 マリ 0.22 20.0 13.0 11.5 7.9 モーリタニア 6.0 6.0 モーリシャス 0.04 9.0 10.0 53.4 メキシコ 0.04 26.0 7.2 7.2 32.0 27.4 モルドバ 29.0 29.0 56.7 モンゴル 33.5 モンテネグロ モロッコ 12.9 12.9 23.8 モザンビーク 1.9 ミャンマー ナミビア 9.6 ネパール 20.0 20.0 3.4 オランダ 4.14 3.31 2.92 25.5 22.4 90.7 ニュージーランド 1.80 0.81 0.84 ニカラグア 32.8 19.8 21.7 ニジェール 1.9 ナイジェリア 15.0 15.0 8.1 ノルウェー 2.33 1.24 21.9 21.9 93.2 オマーン パキスタン 0.33 14.0 12.0 3.9 パナマ 18.0 19.8 パプアニューギニア 13.2 14.4 4.4 パラグアイ 23.0 23.0 12.4 ペルー 0.06 23.2 23.2 21.7 フィリピン 0.02 10.4 10.6 25.0 ポーランド 0.30 26.0 26.7 81.4 ポルトガル 1.32 1.94 2.08 34.8 34.8 92.0 ルーマニア 36.8 33.7 67.9 ロシア 24.1 33.3 66.8 ルワンダ 8.0 8.0 4.6 サウジアラビア 20.0 20.0 セネガル 16.5 16.5 5.1 主要指標 403 表 7 政策・制度(続き) 労働市場政策 社会保障拠出金 社会保障適用範囲 (支出の対 GDP 比,%) (対給与比,%) (対雇用比,%) 1995 2005 2009 1995 2005 2010 1995 2005 2010 セルビア 0.13 45.0 シエラレオネ 15.0 15.0 5.5 シンガポール 36.0 35.0 66.2 62.1 スロバキア 1.18 0.60 0.93 29.6 23.6 81.9 78.9 スロベニア 0.68 0.96 37.5 37.5 87.4 ソマリア 南アフリカ 2.0 2.0 6.7 スペイン 2.86 2.24 3.86 37.8 37.3 85.6 69.4 スリランカ 20.0 20.0 21.8 24.1 スーダン 25.0 27.0 5.2 スワジランド 15.4 スウェーデン 4.62 2.44 1.84 28.7 28.7 88.8 スイス 1.59 1.66 10.4 10.4 95.4 シリア 24.0 24.0 26.8 タジキスタン タンザニア 20.0 20.0 4.3 タイ 0.04 9.7 9.7 22.8 東ティモール トーゴ 7.3 トンガ トリニダード・トバゴ 1.20 9.9 10.8 71.1 チュニジア 25.8 23.0 48.6 トルコ 0.12 30.5 38.0 16.2 58.6 トルクメニスタン 23.0 23.0 ウガンダ 0.78 15.0 15.0 10.3 ウクライナ 0.00 38.8 41.8 62.1 イギリス 1.13 0.62 0.71 23.8 23.8 93.2 アメリカ 0.52 0.37 1.18 18.6 18.6 92.2 ウルグアイ 0.01 40.5 35.5 32.0 78.5 ウズベキスタン 36.5 29.0 ベネズエラ 25.5 14.2 23.9 33.9 ベトナム 20.0 20.0 23.0 9.2 19.3 ヨルダン西岸・ガザ 14.0 イエメン 15.0 10.7 10.4 ザンビア 10.9 ジンバブエ 6.0 8.0 20.0 404 世界開発報告 2013 表 8 つながり 移住に関する条約 移入者 移出者 送金 の批准数 (対人口比,%) (対自国人口比,%) (対 GDP 比,%) 2010 1990 2000 2010 1990 2000 2010 1995 2005 2010 アフガニスタン 0 0.3 0.3 0.3 6.4 アルバニア 3 2.0 2.5 2.8 6.0 25.5 31.6 17.6 15.4 9.7 アルジェリア 2 1.1 0.8 0.7 5.9 4.2 3.3 2.7 2.0 1.3 アンゴラ 0 0.3 0.3 0.3 2.5 2.6 2.7 0.1 0.1 アルゼンチン 1 5.1 4.2 3.6 1.4 1.6 2.4 0.0 0.2 0.2 アルメニア 2 18.6 18.7 10.5 14.0 25.1 23.9 4.5 10.2 10.6 オーストラリア 0 21.0 21.0 21.1 2.2 2.9 2.5 0.4 0.4 0.4 オーストリア 0 10.3 12.4 15.6 6.8 7.0 7.8 0.4 0.9 0.9 アゼルバイジャン 1 5.0 4.3 2.9 13.4 16.3 14.0 0.1 5.2 2.7 バングラデシュ 0 0.8 0.8 0.7 4.6 3.7 3.5 3.2 7.2 10.8 バルバドス 1 8.2 9.2 10.3 27.5 26.6 30 3.3 4.5 3 ベラルーシ 0 12.3 11.2 11.5 22.5 16.4 17.4 0.2 0.8 0.7 ベルギー 1 8.9 8.6 8.9 4.3 3.5 4.4 1.7 1.9 2.2 ベリーズ 2 16.1 14.6 13.6 14.4 2.2 4.1 5.7 ベニン 1 1.6 2.1 2.6 5.4 5.2 5.8 5.0 4.0 3.8 ブータン 0 4.3 5.6 5.5 2.7 2.1 6.1 0.2 0.3 ボリビア 1 0.9 1.1 1.5 3.3 4.2 6.5 0.1 3.6 5.5 ボスニアヘルツェゴビナ 3 1.3 2.6 0.7 16.3 26.5 28.1 18.7 11.4 ボツワナ 0 2.0 3.2 5.7 5.1 2.2 3.2 1.2 1.3 0.7 ブラジル 1 0.5 0.4 0.4 0.3 0.5 0.7 0.4 0.4 0.2 ブルガリア 0 0.2 1.2 1.4 7.0 8.8 13.9 0.5 5.6 2.9 ブルキナファソ 3 3.7 4.7 6.3 9.8 10.6 9.3 3.3 1.0 1.1 ブルンジ 0 5.9 1.2 0.7 4.1 3.3 4.1 0.0 1.4 カンボジア 0 0.4 1.9 2.4 2.5 2.3 2.5 0.3 3.2 3.3 カメルーン 2 2.2 1.5 1.0 1.0 0.9 1.4 0.1 0.5 0.9 カナダ 0 16.2 18.1 21.1 4.7 4.7 4.2 中央アフリカ共和国 0 2.1 1.9 1.8 1.2 0.7 2.9 0.0 チャド 0 1.2 1.3 3.5 2.7 1.7 2.2 0.1 チリ 1 0.8 1.2 1.9 3.6 3.2 3.6 0.0 0.0 中国 0 0.0 0.0 0.1 0.4 0.5 0.6 0.1 1.0 0.9 コロンビア 1 0.3 0.3 0.2 3.0 3.7 4.4 0.9 2.3 1.4 コンゴ民主主義共和国 0 2.1 1.2 0.7 1.0 1.3 1.4 コンゴ共和国 0 5.4 3.3 3.5 2.3 2.0 5.1 0.2 0.2 0.1 コスタリカ 0 13.6 7.9 10.5 2.7 2.8 2.9 1.1 2.1 1.5 コートジボワール 0 14.5 14.1 12.2 2.7 3.7 6.3 1.4 1.0 0.8 クロアチア 0 9.9 13.9 15.8 8.2 14.1 16.9 2.5 1.6 2.2 キューバ 1 0.3 0.2 0.1 7.7 8.6 9.8 チェコ共和国 0 4.1 4.4 4.3 5.8 8.2 3.5 0.3 0.8 0.6 デンマーク 0 4.6 6.9 8.7 4.1 4.1 4.9 0.3 0.3 0.2 ドミニカ共和国 0 4.0 4.1 4.4 6.0 9.3 9.8 5.1 8.0 6.5 エクアドル 2 0.8 0.8 2.7 2.2 4.9 7.5 1.9 6.7 4.4 エジプト 1 0.3 0.3 0.3 3.3 3.2 4.4 5.4 5.6 3.5 エルサルバドル 1 0.9 0.5 0.7 9.7 13.7 17.1 11.2 17.7 16.1 エリトリア 0 0.4 0.4 0.3 9.4 8.9 15.2 エストニア 0 24.3 18.2 13.6 14.1 17.1 12.8 0.0 1.9 1.7 エチオピア 0 2.4 1.0 0.7 0.3 0.4 0.7 0.4 1.4 0.8 フィジー 0 1.9 2 2.2 9.3 13.7 17.8 1.7 6.2 5.8 フィンランド 0 1.3 2.6 4.2 6.2 6.9 6.0 0.1 0.4 0.3 フランス 1 10.1 10.3 10.3 2.3 2.7 2.9 0.3 0.6 0.6 ガボン 0 13.7 17.0 18.9 1.7 1.4 2.0 0.1 0.1 ガンビア 0 12.2 14.3 16.8 2.7 3.1 4.3 9.3 11.0 グルジア 0 7.0 4.9 3.8 16.6 21.2 19.8 8.1 5.4 6.9 ドイツ 1 7.5 12.1 13.2 4.1 4.7 4.7 0.2 0.3 0.3 ガーナ 1 4.8 7.9 7.6 2.7 2.6 3.5 0.3 0.9 0.4 ギリシャ 0 4.1 6.7 10.0 9.8 9.3 10.6 2.5 0.5 0.5 グアテマラ 2 3.0 0.4 0.4 3.4 4.8 5.7 2.4 11.3 10.2 ギニア 2 4.2 8.5 4.0 7.0 5.3 5.3 0.0 1.4 1.3 ギニアビサウ 0 1.4 1.6 1.3 6.4 5.7 6.9 0.7 3.5 5.8 ハイチ 0 0.3 0.3 0.3 6.6 8.0 9.2 23.7 22.6 ホンジュラス 1 5.5 0.5 0.3 3.2 5.2 7.0 3.2 18.7 17.3 主要指標 405 表 8 つながり(続き) 移住に関する条約 移入者 移出者 送金 の批准数 (対人口比,%) (対自国人口比,%) (対 GDP 比,%) 2010 1990 2000 2010 1990 2000 2010 1995 2005 2010 ハンガリー 0 3.3 2.9 3.7 4.0 4.2 4.6 0.3 1.8 1.8 インド 0 0.9 0.6 0.4 0.9 0.9 0.9 1.7 2.7 3.2 インドネシア 0 0.3 0.1 0.1 0.6 0.9 1.0 0.3 1.9 1.0 イラン 0 7.8 4.3 2.9 1.3 1.6 1.8 1.8 0.5 0.3 イラク 0 0.5 0.6 0.3 3.6 4.1 4.6 2.3 0.1 アイルランド 0 6.5 10.1 20.1 22.5 24.5 17.1 0.5 0.3 0.3 イスラエル 1 35.0 35.9 38.6 14.5 15.0 17.9 0.7 0.6 0.6 イタリア 2 2.5 3.7 7.4 6.4 5.4 5.8 0.2 0.1 0.3 ジャマイカ 2 0.9 1.0 1.1 20.8 26.1 27.0 11.2 15.8 14.5 日本 0 0.9 1.3 1.7 0.6 0.7 0.6 0.0 0.0 0.0 ヨルダン 0 36.2 40.2 49.2 32.6 27.7 19.3 21.4 19.9 13.8 カザフスタン 0 22.1 19.3 18.9 18.7 21.8 21.9 0.6 0.3 0.2 ケニア 2 0.7 2.4 2.0 1.3 1.2 1.1 3.3 4.3 5.5 キリバス 0 3 2.4 2 6.8 11.9 6.2 12.3 韓国 0 1.3 1.2 1.1 3.6 3.9 4.1 0.7 0.8 0.9 コソボ 0 18.8 16.7 キルギス共和国 2 14.2 7.6 4.1 12.7 13.2 10.6 0.1 13.1 26.6 ラオス 0 0.5 0.4 0.3 6.5 6.0 5.6 1.3 0.0 0.6 ラトビア 0 24.3 18.1 15.0 13.6 14.9 12.6 0.7 2.4 2.6 レバノン 0 17.8 18.5 17.9 19.8 18.1 16.1 22.5 19.4 レソト 1 0.5 0.3 0.3 16.7 8.2 16.5 50.4 44.1 34.2 リベリア 0 3.8 5.6 2.4 4.3 9.0 10.0 5.9 2.7 リビア 1 10.6 10.7 10.7 1.8 2.3 1.9 0.0 0.0 リトアニア 0 9.4 6.1 3.9 15.0 14.0 12.0 0.0 2.1 4.3 マケドニア 2 5.0 6.3 6.3 11.0 15.4 18.8 1.5 3.8 4.2 マダガスカル 1 0.4 0.3 0.2 0.8 0.4 0.4 0.4 0.2 マラウイ 1 12.3 2.5 1.9 3.2 2.1 1.4 0.0 マレーシア 1 5.6 6.6 8.3 3.3 5.0 5.4 0.1 0.8 0.5 マリ 1 1.9 1.5 1.1 7.0 6.5 6.2 4.5 3.3 4.6 モーリタニア 1 4.7 2.4 2.9 4.4 3.6 3.4 0.4 モーリシャス 1 0.8 3.3 3.4 8.8 6.9 10.2 3.3 3.4 2.3 メキシコ 1 0.8 0.5 0.6 5.4 8.8 9.5 1.5 2.7 2.1 モルドバ 1 15.7 13.0 11.5 16.4 17.0 19.6 0.1 30.8 23.6 モンゴル 0 0.3 0.3 0.4 0.1 0.2 1.2 7.1 4.5 モンテネグロ 2 6.7 0.0 5.3 7.3 モロッコ 1 0.2 0.2 0.2 6.2 5.3 8.6 6.0 7.7 7.1 モザンビーク 0 0.9 2.0 1.9 4.1 4.0 4.9 2.6 0.9 1.4 ミャンマー 0 0.3 0.2 0.2 0.5 0.7 1.1 ナミビア 0 7.9 6.6 6.1 7.6 3.4 0.8 0.4 0.2 0.1 ネパール 0 2.3 2.9 3.2 3.1 3.1 3.3 1.3 14.9 21.7 オランダ 1 8.0 10.0 10.5 5.0 5.0 6.3 0.3 0.3 0.5 ニュージーランド 1 15.2 17.8 22.0 10.9 13.5 15.5 2.6 0.7 0.6 ニカラグア 1 1.0 0.6 0.7 7.2 9.1 11.3 2.4 12.6 12.5 ニジェール 1 1.7 1.5 1.3 1.9 2.0 2.5 0.4 1.9 1.6 ナイジェリア 2 0.5 0.6 0.7 0.4 0.5 0.6 2.9 3.0 5.1 ノルウェー 2 4.6 6.6 9.9 3.9 4.6 4.0 0.2 0.2 0.2 オマーン 0 22.7 27.5 29.7 12.4 14.3 0.8 0.3 0.1 0.1 パキスタン 0 5.9 2.9 2.4 3.2 2.6 2.7 2.8 3.9 5.5 パナマ 0 2.6 2.9 3.4 5.9 5.7 4.0 1.4 0.8 0.9 パプアニューギニア 0 0.8 0.5 0.4 0.6 0.7 0.9 0.3 0.1 0.2 パラグアイ 1 4.3 3.3 2.5 7.0 7.1 7.5 3.6 3.6 3.7 ペルー 1 0.3 0.2 0.1 1.3 2.6 3.6 1.1 1.8 1.6 フィリピン 3 0.3 0.4 0.5 3.2 3.8 4.4 7.2 13.2 10.7 ポーランド 0 3.0 2.1 2.2 9.7 12.0 7.8 0.5 2.1 1.6 ポルトガル 2 4.4 6.2 8.6 15.7 12.2 18.7 3.4 1.6 1.6 ルーマニア 0 0.6 0.6 0.6 7.1 5.5 11.5 0.0 4.8 2.4 ロシア 0 7.8 8.1 8.6 8.6 7.3 7.8 0.6 0.4 0.4 ルワンダ 1 1.0 4.8 4.4 4.5 3.0 2.5 1.6 0.8 1.6 サウジアラビア 0 29.4 25.6 26.6 1.4 1.4 0.9 0.0 0.1 セネガル 1 3.7 2.4 1.7 4.3 3.5 5.0 3.0 9.1 10.5 406 世界開発報告 2013 表 8 つながり(続き) 移住に関する条約 移入者 移出者 送金 の批准数 (対人口比,%) (対自国人口比,%) (対 GDP 比,%) 2010 1990 2000 2010 1990 2000 2010 1995 2005 2010 セルビア 2 1.3 11.4 7.2 2.8 7.9 8.7 シエラレオネ 0 3.9 2.3 1.8 1.6 3.6 4.4 2.7 0.2 3.0 シンガポール 0 23.9 33.6 38.7 6.3 9.6 8.7 スロバキア 0 0.8 2.2 2.4 6.6 9.3 8.9 0.1 1.5 1.8 スロベニア 2 8.9 8.8 8.0 4.3 4.8 6.5 1.3 0.7 0.7 ソマリア 0 9.6 0.3 0.2 3.1 4.8 8.0 南アフリカ 0 3.5 2.3 3.7 1.1 1.6 1.8 0.1 0.3 0.3 スペイン 1 2.1 4.4 13.8 4.0 2.8 3.3 0.5 0.7 0.8 スリランカ 1 2.7 2.1 1.6 3.7 4.0 8.3 6.2 8.2 8.4 スーダン 0 6.2 3.1 2.2 2.1 2.2 2.9 2.5 3.7 2.9 スワジランド 0 8.3 3.6 3.8 8.5 4.7 13.7 4.9 3.7 2.9 スウェーデン 1 9.1 11.2 13.9 2.7 3.3 3.8 0.1 0.2 0.1 スイス 0 20.5 21.8 22.5 6.0 5.5 6.3 0.5 0.5 0.5 シリア 1 5.6 5.8 10.8 3.9 3.7 4.9 3.0 2.9 2.8 タジキスタン 3 8.0 5.4 4.1 6.6 8.6 10.7 20.2 40.0 タンザニア 1 2.3 2.6 1.5 0.8 0.7 0.7 0.0 0.1 0.1 タイ 0 0.7 1.3 1.7 0.5 1.1 1.2 1.0 0.7 0.6 東ティモール 1 1.2 1.1 1.2 0.5 1.9 1.5 トーゴ 0 4.4 3.7 3.1 4.6 4.9 5.9 1.1 9.1 10.5 トンガ 0 3.2 1.6 0.8 22.4 31 31.5 15.1 26.5 23.7 トリニダード・トバゴ 1 4.2 3.2 2.6 14.9 19.4 21.5 0.6 0.6 0.6 チュニジア 0 0.5 0.4 0.3 6.5 5.6 5.8 3.8 4.3 4.5 トルコ 1 2.1 2.0 1.9 4.5 4.6 5.6 2.0 0.2 0.1 トルクメニスタン 0 8.4 5.4 4.1 9.0 7.3 5.1 0.2 ウガンダ 2 3.1 2.6 1.9 1.2 2.2 2.3 3.5 5.3 ウクライナ 0 13.3 11.2 11.5 14.3 11.8 13.8 0.0 0.7 4.1 イギリス 1 6.5 8.1 10.4 7.3 6.9 7.7 0.2 0.3 0.3 アメリカ 0 9.3 12.3 13.8 0.7 0.8 0.9 0.0 0.0 0.0 ウルグアイ 2 3.2 2.7 2.4 6.9 6.8 9.7 0.4 0.3 ウズベキスタン 0 8.1 5.5 4.1 5.9 6.6 6.7 ベネズエラ 2 5.2 4.2 3.5 1.1 1.4 1.8 0.0 0.1 0.0 ベトナム 0 0.0 0.1 0.1 1.6 2.2 2.5 6.0 7.8 ヨルダン西岸・ガザ 0 46.0 46.9 49.3 60.4 18.1 17.6 イエメン 0 2.9 2.3 2.2 4.3 3.4 4.6 25.4 7.7 4.0 ザンビア 1 3.6 3.5 1.8 2.3 1.6 1.4 0.7 0.3 ジンバブエ 0 6.0 3.3 3.0 3.0 2.9 9.3 0.6 主要指標 407 技術的な注 Surveys (http://www.enterprisesurveys. 表 1:労働力 org). • 人 口: あ る 国 な い し 経 済 圏 の 領 域 に 住 ん で • 教育到達度: 読み・数学・科学の平均点;単 い る 人 の 数(100 万人);全体とジェンダー 位は平均 500,標準偏差 100 になるようにし 別(3 指標).数字は国勢調査と人口動態推計 てある.PISA の観察値は評価期間が始まる時 に 基 づ く. デ ー タ 源 ―World Development に 15 歳 3 カ月 -16 歳 2 カ月の生徒からのも Indicators (WDI, http://data.worldbank. の.TIMSS(星印を付した)の観察値は 8 年 org/indicator/SP.POP.TOTL). 間にわたる正式な学校教育を受けた学年に就学 • 生産年齢人口:15-64 歳の人が人口に占める している全生徒.全国的に代表する標本から選 割合シェア(%);全体とジェンダー別(3 指 択されたものである.ただし,テストの時点で 標).データ源―表 9 参照. 平均年齢は 13.5 歳以上でなければならない. • 労働市場参加率:労働市場に参入している人口 TIMSS は読みの教育到達度は評価していない. ;労働力とは対象期間に仕事を のシェア(%) デ ー タ 源 ―PISA(http://www.oecd.org/ していたか,または失業していた人と定義され pisa) と TIMSS and PIRLS International . る;全体,ジェンダー別,年齢層別(5 指標) Study Center, Lynch School of Education, データ源―表 9 参照. Boston (http://timssandpirls.bc.edu/index. ; • 失業率:失業者が労働力に占めるシェア(%) html). 失業者は対象期間中に仕事をする余裕があり, 積極的に求職活動をしている人;全体とジェン ダー別(3 指標).データ源:KILM(http:// 表 3:雇用構造 www.ilo.org/kilm). • 部門別雇用: 国際標準産業分類(ISIC)に基 づく第 1 次・第 2 次・第 3 次の各産業におけ .第 1 次産業は る雇用のシェア(%,3 指標) 表 2:スキル 中分類1(ISIC 第 2 版),表カテゴリー A お • 平均学校教育:15 歳以上の全員の間における よ び B(ISIC 第 3 版 ), 表 カ テ ゴ リ ー(ISIC 正式教育修了にかかわる最高水準(年数)の 第 4 版)に対応しており,農業・狩猟・林業・ 中位数;全体とジェンダー別(3 指標).数字 漁業を含む.第 2 次産業は中分類 2-5(ISIC は国勢調査のデータに基づき推定.方法論は 第 2 版) , ,表カテゴリー C-F(ISIC 第 3 版) 次 で 説 明 さ れ て い る ―Robert J. Barro and あるいは表カテゴリー B-F(ISIC 第 4 版)に Jong-Wha Lee, 2010,“A New Data Set 対応し,鉱業・採石(石油生産を含む)・製造 of Educational Attainment in the World, 業・建設業・公益事業(電気・ガス・水道)を 1950-2010,” NBER Working Papers (ISIC 第 2 版) 含む.第 3 次産業は中分類 6-9 , 15902, National Bureau of Economic ,あるいは 表カテゴリー G-P(ISIC 第 3 版) Research.データ源―http://www.barrolee. 表カテゴリー G-U(ISIC 第 4 版)に対応し, com. 次のような産業を含む―卸売業や小売業,レス • スキルが制約:スキルが不十分な労働力を企業 トランやホテル,輸送,保管,通信,金融,保 にとって「重大な」あるいは「非常に深刻な」 険,不動産,ビジネス・サービス,コミュニ 制約であると考えている企業のシェア(%). ティ・社会・個人向けサービス.データ源―表 数字は従業員が 5 人以上の主として公式企業 9 参照. を対象にした企業調査に基づく.「重大」と • 行 政 サ ー ビ ス 雇 用: 公 共 部 門 雇 用 の シ ェ ア 「非常に深刻」というのは 5 段階評価で最高水 (%).公共部門雇用は 1993 年の新国民勘定 準の 2 つ.データ源―International Finance 体系(SNA)で定義されている一般政府にお Corporation/World Bank Enterprise ・地 け る 全 雇 用 に, 中 央・ 州( な い し 地 域 ) 408 世界開発報告 2013 方のレベルの政府に常駐して仕事をしている • 生活満足度:インタビュー時に生活に満足して 人々を加えたもの.このような制度によって いるかどうかと質問した調査に対して,肯定的 直接雇用されている人々は,雇用契約の種類 に回答した 14 歳以上の人;全回答者に占める にかかわらず含まれている.国有企業の労働 割合(%);労働形態別(3 指標).調査におけ 者は含まれない.データ源―“Public Sector 「あらゆることを る質問は次の通りであった: Employment”and“General Employment 考慮した上で,最近,あなたは自分の生活に Level に 関 す る LABORSTA の 表(http:// 全体としてどの程度満足していますか?」 可 laborsta.ilo.org). 能な回答は 1(「完全に不満足」)から 10(「完 • 形態別雇用: 賃金雇用・自営業・農業の雇用 全に満足」)までの範囲となっている.6 以上 シェア(%,3 指標).自営業は農業以外にお の回答を肯定的と考えた.データ源―World ける雇用者と無報酬家族労働者を含む.データ Values Survey, 1999-2008(http://www. 源―表 9 参照. . worldvaluessurvey.org) • 都 市 部 雇 用: 市 や 町 に お け る 雇 用 の シ ェ ア • 国民所得の国民総生産に対する総賃金支払い額 (%).都市部は各国統計局の定義による.デー の割合:被雇用者報酬が GDP に占めるシェア タ源―表 9 参照. (%). (SNA) 被雇用者報酬は国民所得計算方式 の D.1 勘定,GDP は SNA の B.1 勘定に対応 する.被雇用者報酬は現金および現物の両方に 表 4:生活水準 よる支給を含む.また,被雇用者に給付を行 • 職業別賃金:会計士・化学エンジニア・バス運 う社会保険制度に対する政府の拠出金も含む. 転手・アパレル工場の縫子の平均賃金;2005 . データ源―UNDATA(http://data.un.org) 年 ド ル 価 格 に よ る 年 額(4 指 標 ).賃金は • 所得のジェンダー格差: 同じ特性を有する男 ILO10 月調査データベースに基づく.成人労 性の賃金所得との相対比でみた女性の賃金所 働者について平均月次賃金率に関して正規化さ 得(比率).推計は現地通貨建ての月給(対 れたフォーマットに調整され,同じ年の現地通 数 ) を, 産 業・ 職 業・ 都 市 部 居 住・ ジ ェ ン 貨の為替相場を使ってドルに換算されている. ダ ー を 制 御 し つ つ, 教 育 年 数 と 経 験 の 潜 在 それからデータはアメリカの GDP デフレー 的 年 数( お よ び そ の 二 乗 ) に 回 帰 さ せ た 各 ターを使って,2005 年価格に換算する.方法 国 固 有 の 分 析 に 基 づ く. 方 法 論 は 次 に 説 明 論は次に説明されている:R. H. Oostendorp, さ れ て い る:Claudio E. Montenegro and 2012,“The Occupational Wages around Harry Anthony Patrinos, 2012,“Returns to the World (OWW) Database: Update for Schooling around the World,”background 1983-2008,” background paper for the paper for the World Development Report World Development Report 2013. デ ー タ 2013.データ源:表 9 参照. 源―http://www.worldbank.org/wdr2013. • 仕事があるのに貧しい人々:極貧に暮らす家計 の構成員である労働者が総雇用に占めるシェ 表 5:生産性 ア(%).極貧に暮らす家計は,2005 年価格 • 労働者 1 人当たり付加価値: 労働者 1 人当た でみて 1 日 1.25PPP ドルの国際的な貧困線か りの付加価値総額;2005 年価格によるドル建 ら算出された貧困率に基づく.国際的な貧困線 て年額;全体と部門別(4 指標).付加価値と を使ったということは,数字が各国の貧困線を はある部門の中間投入を除いた産出である.組 使って作成した推定値とは必ずしも比較可能で 立資産の減価償却や天然資源の枯渇・劣化に はないということを意味する.データ源:表 ついて控除を行わないで算出されている.付 9 参照.貧困率については次を参照:http:// 加価値の源泉は国際標準産業分類(ISIC)第 iresearch.worldbank.org/PovcalNet/). 3 版によって決定される.付加価値データは 主要指標 409 現行為替相場を使って米ドルに換算され,さ 2004(http://www.afrobarometer. ら に ア メ リ カ の GDP デ フ レ ー タ ー を 使 っ て org);Latinobarómetro 2007(http:// 2005 年 価 格 に 転 換 さ れ て い る. デ ー タ 源: latinobarómetro.or g );Arab Barometer WDI(http://data.worldbank.org/data-catalog/ 2006(http://www.arabbarometer.org/). world-development-indicators). • 市民的社会参加: 自分のコミュニティないし • 零細企業雇用:従業員 10 人以下の企業におけ 国に関係した事柄に携わっていると回答した る非農業雇用のシェア(%).区分水準を従業 人のシェア(%);雇用形態別(3 指標).数字 員 9 人としている国もなかにはある.すべて は次のような質問をした調査に基づく―「こ の自己勘定労働者と無報酬家族労働者は零細 れからボランティア組織のリストを読み上げ 企業で働いているものとして算入されている. ます.それぞれについて,活発な会員,不活 公式・非公式を問わず両企業が含まれている. 発 な 会 員, そ れ と も 非 会 員 か を お 答 え 下 さ データ源:表 9 参照. い」.同組織には以下が含まれる―各種宗教団 • 非公式雇用:非公式雇用が非農業雇用に占める 体;スポーツやレクレーション団体;芸術・ シェア(%) .非公式雇用には非公式部門企業 音楽・教育の団体;労働組合;政党;環境団 における雇用と公式企業における非公式な仕事 体;専門家協会;人道・慈善団体;消費者団 が含まれるが,農業雇用は除いている.原則と 体他.インタビュー相手の年齢は次の通りで して,非公式部門と非公式雇用は第 15 回国際 ある―世界価値観調査では 14 歳以上,アフロ 労働統計家会議(ICLS)の決議にしたがって測 バロメーターでは 18 歳以上,ユーロ・バロ 定されている.しかし,定義と方法は国ごとに メーターでは 15 歳以上,ラティノバロメトロ 大きな相違がある.データ源:KILM(http:// では 16 歳以上.データ出所:World Values www.ilo.org/empelm/what/WCMS_114240/ Survey, 1999-2008 wave(http://www. lang--en/index.htm);Vanek, Joann, Martha worldvaluessurvey.org);Afrobarometer, Chen, Ralf Hussmanns, James Heintz, and 2008-09(http://www.afrobarometer. Franҫoise Carré, 2012, Women and Men in the org);Latinobarómetro 2007(http:// Informal Economy: Statistical Picture.Geneva: latinobarómetro.or g );Euro Barometer Women in Informal Employment: Globalizing 2007(http://www.ec.europa.eu/public_ and International Labour Organization. . opinion/index_en.htm) • 賃金格差:賃金分布上 90 番目の 1%層の労働 所得と同 10 番目の 1%層の労働所得との相対 表 6:社会的一体感 比.各国の賃金分布はプラスの賃金を回答し, • 信頼:他人は信用できると回答した人のシェア その支給の頻度を特定した賃金労働者の所得 ;雇用形態別(3 指標) (%) .数字は次のよう データに基づき作成した.データ出所:表 9 な質問をした調査に対する回答に基づく:「一 参照. 般的に言って,あなたの考えでは,ほとんどの • 若年失業率: 失業している 15-24 歳労働力の 人は信頼できるか,それとも他人とのやり取り シェア(%);ジェンダー別(2 指標).データ では非常に慎重でなければならないか?」.イ . 源―KILM(http://www.ilo.org/kilm) ンタビュー相手の年齢は次の通りである―世界 • ニートの若年層:教育・雇用・訓練のいずれに 価値観調査では 14 歳以上,ラティノバロメト も従事していない 15-24 歳人口のシェア ; (%) ロでは 16 歳以上,アラブ・バロメーターでは .データ源―表 9 参照. ジェンダー別(2 指標) 18 歳以上,アフロバロメーターでは 15 歳以 上.データ源―World Values Survey, 1999- 2008(http://www.worldvaluessurvey. 表 7 政策・制度 org);Afrobarometer Roud 1, Year • 中核的 ILO 条約批准数: 当該国が以下のうち 410 世界開発報告 2013 いくつを批准したかを示す―第 29 号条約(強 2010 (ICTWSS) Jelle Visser Amsterdam 制労働に関する条約);第 87 号条約(結社の Institute for Advanced Labour Studies 自由・団体権保護に関する条約);第 98 号条 AIAS University of Amsterdam, Version 約(団結権・団体交渉権の原則適用に関する 3.0, May 2011(http://www.uva-aias. ;第 100 号条約(同一報酬に関する条 条約) . net/208) 約);第 105 号条約(強制労働廃止に関する条 • 労働政策: 失業者の仕事への復帰を助け,失 ;第 111 号条約(雇用・職業における差別 約) 業者ないし非活動者の所得ないし消費の水 待遇に関する条約);第 138 号条約(最低年齢 準を支持するためのプログラムに対する政 ;第 182 号条約(最悪の形態の に関する条約) .次の 7 種類のプ 府 支 出; 対 GDP 比( %) 児童労働の禁止・撤廃のための即時の行動に ロ グ ラ ム を 対 象 と し た: マ ク ロ 経 済 的 刺 激 関する条約).データ源―NOMLEX database 策, 労 働 需 要 を 増 や す 措 置, 積 極 的 労 働 市 (http://www.ilo.org/dyn/normlex/en). 場 政 策, 失 業 手 当, そ の 他 の 社 会 的 保 護 措 • 最低賃金:当該国で最も人口の多い都市で,職 置,社会対話,労働基準の順守.データ源: 歴のない 19 歳の労働者に民間部門の雇用者が International Labour Organization/World 支払える最低の賃金;2005 年価格によるドル Bank, Inventory of policy responses to 額.適用可能な最低賃金は法的に設定された the financial and economic crisis: Joint か,団体交渉協定で合意されたかしたものであ synthesis report, mimeo, July 2012;OECD る.ゼロと計上されていても,当該国ないし経 (2012) Employment and Labour Markets: 済圏で最低賃金が実施されていない,というこ Key Tables from OECD(http://stats.oecd. とを必ずしも意味しない.例えば,正規労働者 org/Index.aspx?DataSetCode=LMPEXP). に適用される率はあるが,徒弟には適用され • 社会保障拠出金:疾病・老齢・傷害・失業にか ないとうことかもしれない.データ源―Doing かわる社会保障プログラム向けの雇用者・被雇 Business Indicators(www.doingbusiness. 用者拠出金の総計(対被雇用者総給与比,%). org). デ ー タ 源 ―ILO SECSOC Database of the • 解雇コスト:解雇手当や余剰人員解雇に伴うそ Social Security Department(http://www. の他コスト;解雇労働者 1 人当たり週給の倍 ilo.org/public/english/protection/secsoc); 数;勤続 1 年後と 10 年後(2 指標).数字は Martín Rama and Raquel Artecona, 2002, 比較可能性のため,すべての諸国に関して労働 “A Database of Labor market Indicators 者と企業について次のように仮定―労働者は男 across Countries,” Commissioned by a の非役員従業員で国の平均賃金を得ている;企 Committee of the National Academies. 業は国内で最も人口の多い都市の製造業部門 • 社会保障カの適用範囲:老齢年金制度に積極的 で,従業員 60 人の有限責任会社である.解雇 に拠出している労働力のシェア(%).データ コストには事前通告要件,解雇手当・罰金(余 源:Montserrant Pallares-Miralees, Carilina 剰人員解雇が労働者の行動ではなく,経済的・ Romero, and Edwards Whitehouse, 経営的・構造的な理由で正当化される場合) 2012“International Patterns of Pension などのコストが含まれる.データ源:Doing Provision Ⅱ.A Worldwide Overview of Business Indicators(www.doingbusiness. Facts and Figures,”SP Discussion Paper org). No. 121, World Bank, Washington, DC; • 労働組合員: 労働組合に加盟している賃金労 Martín Rama and Raquel Artecona, 2002, 働者のシェア(%).データ源―Jelle Visser, “A Database of Labor market Indicators Data Base on Institutional Characteristics across Countries,” Commissioned by a of Trade Unions, Wage Setting, State Committee of the National Academies. Intervention and Social Pacts, 1960- 主要指標 411 表 8:つながり る当該国生まれ人口のシェア(%).当該国 • 移住に関する条約の批准数: 当該国が以下の の人口は「総人口-移入者+移出者」で算出. う ち い く つ を 批 准 し た か を 示 す ―ILO 第 97 データ源―Özden, Ҫaglar, Christopher Parsons, 号 条 約( 移 民 労 働 者 に 関 す る 条 約 );ILO 第 Maurice Schiff, and Terrie L. Walmsley, 2011, 143 号 条 約( 劣 悪 な 状 況 下 に あ る 移 住 や 移 “Where on Earth Is Everybody? The Evolution 民 労 働 者 の 機 会・ 処 遇 の 平 等 促 進 に 関 す る of Global Bilateral Migration 1960-2000.” 条約);すべての移民労働者とその家族の権 World Bank Economic Review, 25 (1): 12-56 利 の 保 護 に 関 す る 国 連 条 約. 国 連 条 約 の 場 . (http://data.worldbank.org/JITC7NYTT0) 合, 受 諾 や 継 承 も 批 准 と み な さ れ る. デ ー • 送 金: 海 外 労 働 者 か ら の 外 貨 流 入( 対 GDP タ 源 ―ILOLEX, Database of International 比,%).流入は移民労働者による経常移転と Labor Standards(http://www.ilo.org/ilolex/ 非居住者労働者が稼得した報酬で構成される. english/convdisp1.htm);United Nations 移民労働者からの経常移転は労働者が受入国に Treaty Collection (http://treaties.un.org/pages/ 1 年以上居住していれば,移住の地位とは無関 ViewDetails.aspx?src=TREATY&mtdsg_no=IV- 係に送金とみなされる.非居住者労働者が稼得 13&chapter=4&lang=en). した報酬というのは,受入国での居住が 1 年 • 移入者: 外国生まれ人口のシェア(%).デー 未満の移民労働者の賃金・給与を指す.デー タ 源 ―Özden, Ҫaglar, Christopher Parsons, タ 源 ―World Development Indicators(http:// Maurice Schiff, and Terrie L. Walmsley, 2011, data.worldbank.org/indicator/BX.TRF.PWKR. “Where on Earth Is Everybody? The Evolution DT.GD.ZS). of Global Bilateral Migration 1960-2000.” World Bank Economic Review, 25 (1): 12-56 (http://data.worldbank.org/indicator/SM.POP. TOTL). • 移出者: 海外の国ないし経済圏に居住してい 412 世界開発報告 2013 表 9 ミクロ・データ出所 利用したデータベース 利用したデータベース 1995 2005 2010 1995 2005 2010 アフガニスタン LSSN ハンガリー OECD/EU OECD/EU OECD/EU アルバニア LSSN LSSN インド LFSN LFSN LFSN アルジェリア インドネシア LSSN LSSN LSSN アンゴラ イラン LSSN アルゼンチン MIX MIX MIX イラク CENSUS LSSN アルメニア LSSN アイルランド OECD/EU OECD/EU OECD/EU オーストラリア OECD/EU OECD/EU OECD/EU イスラエル OECD/EU OECD/EU OECD/EU オーストリア OECD/EU OECD/EU OECD/EU イタリア OECD/EU OECD/EU OECD/EU アゼルバイジャン LSSN ジャマイカ LFSN バングラデシュ LSSN LFSN 日本 OECD/EU OECD/EU OECD/EU バルバドス LFSP ヨルダン CENSUS ベラルーシ LSSN カザフスタン LFSN LSSN ベルギー OECD/EU OECD/EU OECD/EU ケニア LSSN LSSN ベリーズ LFSN キリバス LSSN ベニン LSSN 韓国 OECD/EU OECD/EU ブータン LSSN コソボ OECD/EU LFSP ボリビア LFSN LFSN LFSN キルギス共和国 LSSN ボスニアヘルツェゴビナ LSSN ラオス LSSN LSSN ボツワナ LSSN ラトビア OECD/EU OECD/EU OECD/EU ブラジル LFSP LFSN LFSN レバノン LSSN ブルガリア LSSN OECD/EU OECD/EU レソト ブルキナファソ LSSN LSSN リベリア LSSN ブルンジ リビア カンボジア LSSN LSSN LSSN リトアニア OECD/EU OECD/EU OECD/EU カメルーン LSSN LSSN マケドニア OECD/EU OECD/EU MIX カナダ OECD/EU OECD/EU OECD/EU マダガスカル LSSN 中央アフリカ共和国 OECD/EU LSSN マラウイ LSSN MIX チャド LSSN マレーシア チリ LSSN OECD/EU OECD/EU マリ LSSN LSSN 中国 MIX MIX MIX モーリタニア LSSN コロンビア CENSUS LFSN LFSN モーリシャス LFSN LFSN コンゴ民主主義共和国 LSSN メキシコ LSSN OECD/EU OECD/EU コンゴ共和国 LSSN モルドバ LSSN コスタリカ LFSN LFSN LFSN モンゴル LSSN コートジボワール モンテネグロ LFSN クロアチア OECD/EU OECD/EU モロッコ CENSUS CENSUS キューバ モザンビーク LSSN LSSN LSSN チェコ共和国 OECD/EU OECD/EU ミャンマー デンマーク OECD/EU OECD/EU OECD/EU ナミビア LSSN ドミニカ共和国 LFSN LFSN LFSN ネパール LSSN LSSN LSSN エクアドル LFSN LFSN LFSN オランダ OECD/EU OECD/EU OECD/EU エジプト CENSUS LSSN ニュージーランド OECD/EU OECD/EU OECD/EU エルサルバドル LFSN LFSN LFSN ニカラグア LSSN LSSN エリトリア ニジェール LSSN エストニア OECD/EU OECD/EU OECD/EU ナイジェリア LSSN LSSN エチオピア LSSN LSSN ノルウェー OECD/EU OECD/EU OECD/EU フィジー CENSUS LSSN オマーン フィンランド OECD/EU OECD/EU OECD/EU パキスタン LFSN LFSN フランス OECD/EU OECD/EU OECD/EU パナマ LFSN LFSN LFSN ガボン LSSN パプアニューギニア LSSN ガンビア パラグアイ LFSN LFSN LFSN グルジア LSSN LSSN ペルー LFSN LFSN LFSN ドイツ OECD/EU OECD/EU OECD/EU フィリピン LFSN LFSN LFSN ガーナ LSSN ポーランド OECD/EU OECD/EU OECD/EU ギリシャ OECD/EU OECD/EU OECD/EU ポルトガル OECD/EU OECD/EU OECD/EU グアテマラ LFSN ルーマニア LSSN OECD/EU OECD/EU ギニア LSSN ロシア LSSN ギニアビサウ ルワンダ LSSN LSSN ハイチ サウジアラビア ホンジュラス LFSN LFSN LFSN セネガル LSSN LSSN 主要指標 413 表 9 ミクロ・データ出所(続き) 利用したデータベース 1995 2005 2010 セルビア LFSN シエラレオネ LSSN シンガポール スロバキア OECD/EU OECD/EU OECD/EU スロベニア OECD/EU OECD/EU OECD/EU ソマリア 南アフリカ LFSN LFSN スペイン OECD/EU OECD/EU OECD/EU スリランカ LSSN LFSN LFSN スーダン スワジランド LSSN スウェーデン OECD/EU OECD/EU OECD/EU スイス OECD/EU OECD/EU OECD/EU シリア LSSN タジキスタン LSSN タンザニア LFSN LFSN LFSN タイ LSSN LSSN LSSN 東ティモール LSSN LFSN トーゴ LSSN トンガ LSSN トリニダード・トバゴ チュニジア LFSN トルコ OECD/EU OECD/EU OECD/EU トルクメニスタン ウガンダ LSSN ウクライナ LSSN イギリス OECD/EU OECD/EU OECD/EU アメリカ OECD/EU OECD/EU OECD/EU ウルグアイ LFSP LFSP LFSN ウズベキスタン ベネズエラ LFSN LFSP ベトナム LSSN LSSN LSSN ヨルダン西岸・ガザ CENSUS LSSN LSSN イエメン LSSN ザンビア LSSN ジンバブエ CENSUS IPUMS による国勢調査データ LFSN 全国的にカバーした労働力調査 LFSP 部分的にカバーした労働力調査 LSSN 全国的にカバーした生活水準調査 MIX 国勢調査に基づくミクロ・データと家計調査に基づく主要比 率との組み合わせ OECD/EU OECD ないし EU 統計局からのデータ 414 索引 ■欧文先頭 高等教育の波及効果 187 スリランカ 326 サービス業 247 バングラディシュ 119 BolsaFamilia 31 仕事を保護するための措置 289 移民 139, 144, 211, 240-245 集積効果 172 人権保護 320 成長と雇用の関係 90 小さな島嶼国 212 CRS 32 自動車産業の救済 289 中間的な解決策 321 労働問題に関する CSR イニシア 反差別政策 145 中国 327 ティブ 316, 317 非正規雇用 57 トンガ 312 不況期における雇用 288 農村部から 166, 199, 206 E リンク 249 アラブの春 13, 128, 129, 140, 213 移民国家 53 アルゼンチン 135 移民政策 303 FDI 248, 311, 313 インフォーマル・セクターの活用 移民ネットワーク 157, 244 雇用創出 16 218 移民流入がもたらす財政的な影響 245 制限緩和 326 大型公共事業 276 伴う知識波及効果 165, 173 家族手当 64 移民労働者 67 フローを円滑化する措置 315 経済改革 135 移民フローのフォーマル化 321 「失業した男女世帯主向けプラン」 失業 63 150 増加 242 ICLS の指針 68 法的枠組みの外 144 「労働」(Trabajar)プログラム ILO 144 インターネット 51, 249 278 家事労働者に関する条約 144 アルメニア 19 インテル 183 主要労働市場指標(KILM)デー タベース 66 インド 7, 11, 12, 55, 114, 162, 179, 中核的労働基準 25 イエメン 140, 147 324 MGNREGA 278 ILO 移住労働者条約 33 移住 19, 33, 231 「アドハー」 285 ILO 条約 316, 344 海外への 20 公共事業プログラム 279 ILO 宣言 5 社会への影響 21 高等教育 55 重要な理由 242 IT 支援サービス産業クラスター 56 国家スキル開発戦略 181 世界的なパターン 241 自営女性労働者協会(SEWA) トレードオフ 320 PISA(国際的な学習到達度に関する調 275 トンガ 312 査) 7, 24 女性自営者協会(SEWA) 65 非正規 257 全国ソフトウェア・サービス企業 Programa Juventud y Empleo(若者 移住者 19, 199 協会(NASSCOM) 182 雇用プログラム) 16 教育 211 都市化 328 国内 38 煩瑣な労働政策 324 GATS(サービス貿易一般協定) 33 人口の大部分を占める国 241 貧困層向け健康保険制度 285 人数 20 輸出指向型のサービス業部門の構 TFP 101, 122 移住政策 320 築 247 分散 109 移住に関する条約の批准数 411 臨時形態の雇用 59 移住フローが雇用機会や労働所得に及 労働規制制度 324 WTO 318 ぼすネット効果 244 インド人材派遣同盟 59 移出者 411 インドネシア 56, 57, 86, 201, 270 一時(的な)雇用(仕事) 51, 57, 213 コミュニティ活動への参加 14, ■あ行 一時的な雇用プログラム 21, 143, 147, 134 アイデンティティ経済学 165 女性の参加率 29, 310 289 アウトソーシング 7 全要素生産性 173 製造業務 21 移動 18 紛争 201 仕事の―― 240, 245 アジア(→「東アジア,東南アジア」 労働における健康や安全性 86 仕事の国際間の―― 19, 251 なども参照) 6, 8 インパクト・ソーシング 249 製造業雇用における高所得国から 仕事の創出 59 インパクト評価 277, 317 の 22 製造業雇用 246 公共事業プログラム 278 農村部から都市部 50, 55, 140 農業 81, 100, 109, 198 労働 320 インフォーマル 農民 106 移動性 雇用 6, 52, 303, 325 アシュアード・レイバー 277 雇用指標の比較 321 技術職業教育 181 アメリカ 55 高齢化 223 仕事 166, 217 介護産業 221 職場 86 仕事への対策 34 カンボジアとの二国間貿易協定 法的保護 144 衣服産業 145, 204 316 労働者 137, 138, 144, 308 カンボジア 317 国際移住 244 労働者のシェア 325 索引 415 インフォーマル企業 107 開発に資する良い仕事(開発にとって 企業慣行の改善 317 サハラ以南アフリカ 112 良い仕事) 16, 158, 161, 225, 308 企業調査 186, 228 資本ストック 112 特性 17 結果を解釈 227 労働者 181 創出する 302 企業の社会的責任(CSR) 205, 316 インフォーマル性 66, 67, 218, 275, 農業国 199 企業のライフサイクル 113 289 「開発は仕事を通じて実現する」 3 技術職業教育(TVE) 181 削減する取組 219, 220 外部委託 51, 55, 173, 245, 247 度合い 66 基礎的汎用スキル 306 もたらされる仕事 157 削減 220 既得権益層による支配 229 格差(→「不平等」も参照) ジェンダー不平等 217 学力テスト 180 求職支援 276 低生産性との関係 217 社会的 169, 268, 308 求職者向け訓練 277 比率 217 ジェンダー 52, 354 教育到達度 141, 204, 354, 407 インフォーマル性の罠 217 ジェンダーと年齢 6 教育の収益率 60, 181, 244 インフォーマル・セクターの労働力 所得 170, 242, 250, 251, 309, 320 教育のプレミアム 60 218 作物収量 109 行政サービス雇用 407 生産性 100, 116, 287, 324 賃金 111 強制労働 14, 67, 162 ウガンダ 146 強制労働に関する中核的労働基準 162 雇用政策 146, 278 拡充された信用情報機関 304 農村部 138 学習到達度調査 55, 306, 354 金融危機 23, 56, 129, 288 貧困脱却 82, 84 1995 年メキシコ 62 家計調査 107, 108, 168, 174, 211, 279 2008 年 63 ウクライナ 6 南スーダン 201 失業 8, 207 高齢化の影響 224 モザンビーク 197 政策対応 63 労働力 53 家計における配分 164, 344 対応策 64 美しいセルビア 293 家事労働者 138, 144, 218, 316 ドイツの対応 25 家事労働者の労働権に関する ILO 条約 ラテンアメリカ 90 エクアドル 12, 136 144 金融市場 23, 304 エジプト 85 ガゼル企業 12, 112 金融部門における透明性 304 インフォーマル性 213 家族農場 10, 100, 106, 108, 345 勤労貧困層 82, 138, 354, 408 健康保険 85 価値観調査 87, 131, 134, 136 仕事に対する評価 15, 131, 140, 価値連鎖 172, 302 組合→「労働組合」 ,「協同組合」参照 161, 164 終身雇用契約 84 家内企業 68, 112, 114 組合員の賃金プレミアム 273 ネットワーク効果 294 農村部 228 組合効果 272 非公式性 213 家名 128 クラスター化 172 最も重要な仕事 161 為替相場 207, 211, 304 グローバル化(グローバリゼーション) エチオピア 11, 118, 200 環境経済学 165, 173 6, 60, 182, 251-253 人的資本 306 環境効果 165, 345 ――している都市 328 「生産的セーフティネット・プロ 環境へのインパクト 173 明らかな勝者 249 グラム」 147 雁行形態 245, 255 新たな局面 248 エルサルバドル 54 途上国 253 韓国 7, 92, 103, 104, 119, 182, 245, 所得援助プログラム 147 福祉損失 250 246 仕事戦略 92 オークンの法則 90 製造業の割合 22 経営研修 119 オーナー耕作 106 都市化 31, 312 経済協力開発機構(OECD) 130, 176, オデスク 277 韓国技術教育大学(KUT) 182 272, 291, 292 オフショア化 247 「関税と貿易に関する一般協定」 生徒の学習度到達調査 306 ネット効果 258 (GATT) 318 経済成長 2, 9, 10, 101 オランダ病 207, 211 カンボジア 144 仕事に良い影響を与える 9 アメリカとの二国間貿易協定 32, 経済地理学 165 ■か行 316 経済特別区 衣服セクター 145 実績 229 ガーナ 12, 113, 137 成功に共通している要素 229 カンボジア工場改善プログラム 316, ガイアナ 317 携帯電話 33, 51, 277 ボーキサイト鉱山の規模縮小 形態別雇用 408 135 機会の平等 140, 166, 306, 345 契約労働者を採用する傾向 325 海外への移住 20 機会の不平等 140, 141 結社の自由 67, 159, 317 解雇 268 雇用 142 結社の自由委員会(CFA) 163 解雇コスト 410 帰還移民 244 結社の自由と団体交渉(FACB) 162 外国直接投資(FDI) 248 スリランカ 237 企業家 116 ケニア 121, 197 知的波及効果 165, 174 シュンペーター型 117 現金給付 64, 149, 219, 220, 285 誘致 229, 254 成功する 116 ブルキナファソ 170 転換的 117 健康や安全性の面での危険性 86 外国直接投資指数 248 模倣的ないし生存的 117 外的ショック 23 顕在失業 321 企業家スキル 118 回答の比較可能性 227 権利を尊重する制度的な環境 307 企業家精神 36, 343 開発 2, 158 女性向けの研修 119 仕事を通じて実現 8 制約 117 公共事業 37, 64, 147, 150, 276, 278, 416 世界開発報告 2013 280 国民経済計算体系(SNA) 65 ム 311 インド 279 穀物ベース農業の集約化 198 インパクト評価 278 国連環境計画 176 ■さ行 スリランカ 146 国家スキル開発戦略 181 サービス業 55, 247-250 ルーマニア 281 国境をまたぐ生産の細分化 172 アウトソーシング 7, 21 公共セクター 8, 18, 61, 201, 208, 224, 構造的なシフト 103 226, 274 コミュニティ活動への参加 14, 133 雇用や GDP に占めるシェア 246 中東・北アフリカ 215 雇用 立地に関する指数 248 公共投資 226, 244 アジェンダ 17 輸出指向型 247 農業国 198 インフォーマル 6 構造 103, 407 サービス自由化 32, 318 国際連合 生産性の上昇 318 削減に伴うコスト 26 サミット 163 進展が限定的 319 成長の短期的な関係 100 世界人権宣言 67, 159 「サービスの貿易に関する一般協定」 トレンド 101 好循環 8, 35 差別 162 (GATS) 318 交渉評議会 273 構成 253 サービス部門における FDI フローを円 高所得国 創出と破壊 108 滑化する措置 315 長期介護産業 221 南スーダンにおける創出 201 サービス貿易一般協定(GATS) 33 高スキル労働者 60, 249 雇用政策 146 サービス輸出 245 の移出 244 創造と破壊の持続的な分断 287 途上国のシェア 55, 247 構造転換 54, 140, 179, 203, 212 対成長弾力性 90 財産権 24, 307 交通遅延の年間コスト 172 雇用機会 18, 91, 105, 164, 183, 203 採取産業 206, 208 公的雇用サービス 278 E リンク 249 最低賃金 26,268, 315, 410 移住 243 公的サービス 21 才能の移住 320 拡大 143 公的体制が進行している国 196 求職者とのマッチング 215 財の国際貿易 318 高等教育 24, 242 配分方法 171 最貧国の労働者 3 アメリカにおける波及効果 187 女性 8, 27, 33, 90, 120, 206, 304, 作物収量と農場規模の関係 108 インド 7,55 309, 320 サハラ以南アフリカ 5, 10, 107, 109, 資金 321 不平等 142, 177 112, 197 所得 60 若者 169, 213, 315 インフラ改善 305 「行動する若者」 (Jovenes en Accion) 雇用創出 3, 107 家内企業 112 278 環境にやさしい産業 174 穀物収量 197 公平感 177, 345 公的資金 158 農業開発 198 公平性 143, 147 高齢化社会 221 農場 106 仕事へのアクセス 177 資源の豊富な国 206 非公式企業 112 公平性分析 165 小規模企業 11 差別(→「格差」も参照) 143, 159, シンガポール 92 162, 165, 268 小売業の消滅 33, 318 政府の機能 21 雇用における 162 高齢化社会 18, 196, 221, 291, 312, 非農業セクター 227 346 サマソース 249 不況期のアメリカ 288 ウクライナ 224 紛争の影響下にある国 199-203 サモア 211 仕事の問題 18 緑の革命 産業クラスター 114 仕事に及ぼす影響 224 南アフリカ 273 韓国 312 高齢者在宅介護モデル 223 民間セクター 60, 225, 251, 254, サハラ以南アフリカ 199 コールセンター 319 265, 302 生産性に及ぼす影響 172 国際移住 53 重大な制約 265 産業政策 37, 225, 226 格差解消 250 雇用なき成長 100 反対者 226 熟練労働者 242 雇用保護法制(EPL) 268 産業評議会 273 直接的な影響 242 効果 270 暫定移住協定 321 国際移住機関(IOM) 201 スリランカ 326 参入規制 24, 319 国際機関の役割 303 雇用保証 87, 268 国際学習到達度調査 55 インド 279 自営業 5, 11, 52, 58, 65, 112, 116, 117, 国際家事労働者ネットワーク 275 雇用にもたらした効果 270 138, 198, 218 国際協定 33 生産性に対する効果 292 失業 282 国際金融センター 253 雇用保障規定 26 生活満足度 87 雇用目標に向けた進展をモニターする 途上国 36 国際経済学 165, 173 ための指標 321 自営女性労働者協会(SEWA) 138, 国際的学習到達度に関する調査 (PISA) 7, 24 雇用や GDP に占めるサービス業の 275 シェア 246 ジェネリック・スキル 306 国際的な協調メカニズム 32, 315 雇用履歴 168 シエラレオネ 175, 278 国際労働機関(ILO) 14, 144 コロンビア 137, 173 最も重要な仕事 161 児童労働の定義 53 「活動中の家族」 (Familias en ジェンダー 国際労働統計研究者会議(ICLS) 65, Accion) 64 格差(差別) 6, 52, 54, 165, 167, 66 「行動する若者」 (Jovenes en 169 国内移住 Accion) 278 平等 16, 33, 88, 165, 279, 319 ブラジル 326 「行動中の雇用」 278 不平等 217 国内総生産(GDP) 79 コンゴ民主共和国 30, 202 自家生産から市場生産へのシフト 54 失業との関係 22, 303 元戦闘員向けの社会復帰プログラ 時間短縮労働 290 索引 417 事業環境 19, 21, 225, 302, 304 最も好ましい仕事は何か 161 社会的保護制度 64, 219 事業規制 23, 24, 219 最も自明な成果 161 「後方」部分 285 事業に対する制約の評価 228 問題の種類 17 フォーマル化の進む国 312 良い 16 社会の繁栄 2 資源安定化基金 30 利点 14 社会福祉制度 223 資源の豊富な国 3, 91, 30, 291, 313, 仕事があるのに貧しい人々→「勤労貧 社会保険 281 345 困層」参照 支配的なファイナンス手段 283 仕事の課題 18, 225 主要な挑戦課題 210 仕事の課題 50, 225 対象範囲 26 資源国 225 ファイナンス 282 仕事 2, 3, 128, 343 潮流 240 若年雇用問題 213 ILO 宣言 5 都市化国 203 ――を通じた社会的一体感の醸成 若年失業率が高い国 18, 25, 196, 219, 農業国 197, 225 143 213, 314 紛争影響国 199 ――を通じた相互交流 137 高水準の状態がもたらす影響 若年失業率が高い国 225 ――として決して考えられるべき 232 ではない種類の活動 67 仕事へのアクセス 146 仕事の課題 225 E リンク 277 機会の不平等の測定 140 若年層 6, 8, 53, 64 アイデンティティに及ぼす影響 公平性 177 仕事の質の問題 213 137 仕事のレンズ 343 若年層過多(youth bulge) 214 アジェンダ 30 市場の不完全性 3, 21, 26, 32, 268, 指数 291 アジェンダ 17 271, 309 自由化が都市の中心街に及ぼす影響 移動 21 失業 6, 14, 65, 128, 136 319 移動 245 影響 86 概念 51 就業の有無 128 社会的影響 136 開発効果 196 所得扶助 64 就業率 開発に関する知識ギャップ 322 信頼との関係 134-136 GDP との関係 101 開発に資する―― 16 生活満足度 86, 88 一定に保つ 6 開発にとって良い―― 158, 225 精神衛生 86 障害者 86 開発利益 167 農業国 197 女性 88 環境波及効果 174 南アフリカ 273 終身雇用契約 84 環境への影響 165 失業者 87, 132 集積効果 165, 171, 344 関連のある政策が土台にしている 制限 172 失業手当 279 ファンダメンタルズ 302 台湾 173 関連のある政策の優先順位の決定 失業保険 26, 64, 282 懸念 282 集団的代表制 271 34 重力灌漑システム 198 グローバル・パートナーシップ ディスインセンティブ効果 282 31 失業率 6, 34, 51, 213, 407 熟練労働者 50, 60, 21 経験 181 移出との関係 243 国際移住 242, 244 経済成長の影響 9 社会参加 131,132 賃金の上昇 208 欠如 128 若者 18, 19, 52, 91, 128, 196, 202, 出生率の低下 221 国際間の移動 19 213-216 主要労働市場指標(KILM)データベー 国際基準 5 失職 133 ス 66 再配分 100 コミュニティへの影響 134 シュンペーター型の企業家 117 生活の糧となる 8 児童労働 37, 52, 160, 162, 208 障害者 社会的一体感への波及効果 174 国際労働機関の定義 53 E リンク 249 社会的一体感 128, 142 最悪の形の 68 就業率 86 社会的価値 165 自動車産業の救済 289 不活動率 282 女性のための 2 支払い能力を有する企業の破綻 289 障害者手当 282 人格を表す 12 司法制度 25, 229 障害保有比率 282 性格 51 生活満足度との結び付きに関する 有効な 307 常用雇用 57 研究 87 資本利益率 112 職業病 78, 85 政策 252, 321 市民的社会参画 129 職業別賃金 408 性質 14 若年失業率 52 職場 13, 128 総創出と総破壊 10 若年失業率が高い国 91, 345 職場の安全衛生 344 多種多様な効果 158 若年層の失業率 213 女性 他の仕事の生産性に及ぼす波及効 社会資本 132, 136 労働力参加率の引き上げにおける 果 171 社会的アイデンティティ 165, 174, 課題 57 知識が波及する効果 183 345 雇用が家計内の配分に与える影響 統計学的定義 5 社会的一体感 77, 129, 130, 132, 143, 169 特質 9 174, 322, 344 雇用に占める非賃金労働のシェア 特性の金銭的な価値 85 形成にかかわる重要な特徴 134 52 波及効果 15, 16 仕事との結び付き 136 労働参加 29, 201, 310 評価 14 指数 129 労働参加率 50 貧困削減とのつながり 81 労働参加率と紛争の関係 200, 不足の問題への取り組み 8 社会的技能 24 201 負の波及効果をもつ 3 社会的結束 13, 36 労働参加率を高める 29, 301 プラスの波及効果 89 社会的行動規範 32 労働参加率の急変 29 フロー 103 社会的スキル 181, 343 女性自営者協会(SEWA) 65 満足度 87 魅力的になる特性 138 社会的な地位 86 女性自営業者協会(SEWA) 27 418 世界開発報告 2013 女性のための仕事 2 格差 55 インフォーマル企業 217 女性向けの企業家精神研修 119 向上 10 所得格差 165, 169, 170, 242, 251, 320 波及効果 225, 326 送金 81, 211, 411, 312 所得関数 169 生産的と見なせるかどうか 51 国際移住 242, 244 所得分配の変化 60 生産年齢人口 50, 29, 196, 283, 407 島嶼国の GDP に占める割合 211 スリランカ 214 貧困削減 204 所得扶助 64, 288 高齢化社会 221 用途 208 仕組みが限定的 303 比率を不変に維持 53 総雇用に占める製造業のシェア 245 所有権の尊重と開発の連動 307 生産のスキル集約度 56 総所得に占める労働のシェア 60 人員計画 182 「青春と雇用」プログラム 278 創造的破壊 324 シンガポール 92, 144, 166, 182, 183 製造業雇用 246 相対価格の不整合 304 人口 407 衣服産業 326 測定問題 91 新構造主義経済学 226 インド 90 蘇州 57 人口動態 80, 196, 220 高所得国からの移動 22 課題 53 世界全体 247 大幅な変化 6 台湾 173 ■た行 人材派遣業 製造業における労働生産性の急上昇 退職後の年数 78 途上国 59 246 台湾 人的資本 24, 101, 204, 302, 306 製造業務のアウトソーシング 21 集積効果 173 移住や送金 211, 244 成長・雇用・福祉のバランスに向けた 多国籍企業 7, 55 形成 306 国家雇用戦略 2020 年 92 進出の影響 240 子供や若者における構築 306 成長戦略 36 知識波及効果 173 仕事との結び付き 306 韓国 92 立地場所 248 人的資本理論 179 十分でない場合 89 立地決定に関する研究 246 ジンバブエ 213 発展途上国 303 他国との仕事を巡る競争 255 信頼 129 成長と雇用の関係 89, 90 タタ・グループ 113, 183 制度的な失敗 181, 225, 255, 268, 304, 他人の所得 164, 344 スキル 308, 309 タンザニア 6, 90 形成 180, 181 税の楔 169, 283 団体交渉 25-27, 162, 268, 271, 272 測定 180 政府介入策 229, 255 生産性に及ぼす影響 272 不足 179 政府 中国 274 ミスマッチ 179, 214 一義的な役割 265 スキルが制約 407 介入が正当化される 302 小さな島嶼国 17, 19, 31, 196, 291, スキル構築の落とし穴 179 介入政策 255 312, 345 スキル障害 179 機能 2, 21 仕事の課題 210-213 スクテル 277 公共事業 171 仕事の問題 19 積極的な役割 302 チェンナイ 57 頭脳的な仕事 33 戦略 3 知識の波及効果 16, 118, 165, 172, 頭脳流出 211, 244, 320 世界価値観調査 87, 131, 136 183, 226 頭脳浪費 257 世界が直面している仕事の課題 50 世界的統合に伴う 173 スペイン 6, 22, 51, 86, 139 世界人権宣言 67 チャルーン・ポーカパン・グループ スマート・ビレッジ・ビジネス・パー 112 世界的統合 172 ク 56 知識波及効果 173 中央銀行の独立性 23, 304 スリランカ 38, 118, 214, 325-327 積極的是正措置 143 中核的 ILO 条約批准数 410 公共事業 146 雇用保護法制 326 積極的労働市場プログラム(政策) 中核的労働基準 67, 159, 307, 344 紛争 200 26, 91, 275, 289 強制労働 162 輸出加工区(EPZ) 326 仕事の供給と需要をマッチング 結社の自由と団体交渉 162 労働者解雇法 326 214 批准 316 最も一般的 276 中国 7, 55, 167 スロベニア 30, 31, 177 若年失業の削減 314, 315 説明責任制度 308 2008 年金融危機 63 先進国 55, 112, 136 急速な生産性上昇 106 組合賃金の増加 272, 280 高齢化 221 生活水準 77, 79, 168, 322, 343, 408 蘇州 57 訓練プログラム 281 定義 79 団体交渉 273, 274 雇用にとって脅威 251 生活水準改善にとっての必要条件 302 障害者の不活動 282 戸口制度 327 生活水準を改善する主要な方法 197 サービスセクター 247 農村部の移住や高齢化 221 生活賃金 82 資源ブーム 207 民間部門の成長 61 生活満足度 86-88, 290, 408 仕事の移動 240, 245 最も重要な仕事 161 政策 自律性を伴う仕事 87 労働規則 325 仕事創出の触媒となる 3 総雇用に占める製造業のシェア 労働再配分 326 トレードオフ 159 245 中東・北アフリカ 7, 29, 61, 213, 216 成功例 31 都市における雇用 171 公共部門 215 優先課題 308 途上国との格差 6 女性の労働参加 310 優先順位 265 非正規雇用 57 チュニジア 129, 147, 213, 216 優先順位の設定 27 若者の労働時間 78 GDP 216 政策アプローチ 3, 21 全要素生産性(TFP) 11, 101, 105 長期介護産業 221 生産性 77, 171, 322, 343, 408 インドネシア 173 直接投資(FDI) 16 索引 419 チリ 30, 105 都市部雇用 408 生活水準と生産性 91 国勢調査 108 途上国 5-10, 12, 36, 110, 116 生活水準の改善・生産性上昇の加 資源安定化メカニズム 314 2008 年危機の影響 63 速化・社会的一体感の促進の 全国工業調査年報 108 CSR イニシアティブ 317 間 91 銅資源に関する経営手腕 313 E リンク 249 政策 159 「チリ国家連帯」 (Chile Solidario) FDI に伴う知識波及効果 173 トンガ 31, 211, 231, 312 281 移住 50, 54 賃金税 169, 281, 283 グローバル化 253 ■な業 賃金設定制度 グローバル化 253 南々フロー 242 南アフリカ 273 サービス業輸出 245 サービス自由化 319 南々貿易 247 賃金補助金 64, 118, 276 南北間フロー 242 サービス・セクター 248 賃金補助の影響 276 採取産業 206 最貧層における問題 iv 二重経済 66 通貨の過小評価 304 サービス業輸出に占めるシェア 二重モデル 182 通貨の過大評価 304 55, 247 ニュージーランド 31, 211 資源が豊富な 207 資源が豊富な国 207 認定季節労働者(RSE)プログラム ディーセント ・ワーク (人間らしい仕事) 312 仕事の家計への影響 83 14, 34 人間機会指数(HOI) 140 仕事の課題 251 低所得国 9, 116, 80 仕事の世界 5 認知的スキル 343 教育 306 仕事の世界 51, 65, 100, 106, 116, 産業クラスター 172 303 社会的保護 284 ネットワーク 139, 345 仕事の不足 25 ネットワーク効果 175 ジェンダー格差 52 仕事保護 289 電力不足 23 失業 131 ネットワークの排他性 139 農業 108, 197, 254 社会的保護 284 ネットワークのプラス効果 175 ディスインセンティブ効果 282, 283 社会保険プログラム 282 年金 284 社会的給付 273 集積効果 171 適格ルールの変更 312 失業保険 282 重要な優先課題 89 年金改革 31 適切な仕事 (→「ディーセント ・ワーク」 就労人口 3 年金給付の比率の引き下げ 223 も参照) 161, 163 就労人口 3 年金手当 84 デリー・グループ 66 女性の労働 29, 167, 310 年金プログラム 283 天然資源 196 人材派遣業 59 電力不足 23, 201 人材派遣業 59 生産性 110 農業 10 製造業 102 対象の絞り込み 225 ドイツ 世界のサービス輸出に占めるシェ 低所得国 197 二重モデル 182 ア 247 労働時間当たり付加価値 197 ワークシェアリング 25 団体交渉 272 農業国 18, 30, 90, 196, 197-199, 225, 労働時間削減(時間短縮労働) 団体交渉 26 345 289, 290 賃金 61 エチオピア 200 ドイモイ政策 30, 311 ドーハ・ラウンド 318 開発にとって良い仕事 199 東欧諸国 11 非貿易部門 60 直面している主要な課題 311 投資環境 2, 23, 117, 198 貧困 8 公共投資 198 雇用促進 225 緑の仕事 176 仕事の課題 225 対象の絞り込み 225 輸出セクター 304 仕事の問題 18 標的を絞った整備 37 零細企業 114 生活水準を改善する主要な方法 労働法制 218 零細企業での雇用比率 107 197 島嶼国(→「小さな島嶼国」も参照) 零細企業における雇用 13, 107 で人々が直面している挑戦 197 移住 211 労働者 106 貧困脱出 81 移住が国内経済に及ぼす影響 労働政策 25 ベトナム 30, 311 211 労働生産性 56 農場規模と生産性の逆関係 108 移出者 211 土地所有会社 209 農村部 110, 197 頭脳流出 211 特許市(charter city) 227 移住 90 灯台効果 291 トップコーダー 249 ウガンダ 138 ドーハ開発アジェンダ 318 ドミニカ共和国 16, 57, 187, 229, 278 エチオピア 206 「青春と雇用」プログラム 278 韓国 312 ドーハ・ラウンド 32, 318 労働監督 316 技術職業教育 181 戸口制度 327 女性 57, 183 「若者・雇用プログラム」 175 都市化 6, 54 中国 327 「若者と雇用」 147 インド 328 電化 310 トルコ 7, 169, 179 都市化政策 226 都市部への移動 50, 103, 140, 補助金プログラム 276 都市化の進む国 196, 291, 345 166, 199, 302 奴隷貿易 159 貧困削減 82, 251 仕事の問題 18 仕事における課題 203 奴隷労働と戦うための全国協定 317 南スーダン 201 集積・統合効果を引き出す政策 トレードオフ 157, 167 メキシコ 220 312 移住 320 リベリア 200 都市経済学 171 学校と労働との間に 1 対 1 68 余剰労働 204 公式化 217 零細企業 112 都市の規模と生産性の関連 172 仕事の多種多様な効果 158 420 世界開発報告 2013 農民 15 雇用創出プログラム 146 ヘドニック価格法 85 アジア 106 送金 244 ペルー 181 生活満足度 87 定義 82 非公式性の比率 217 ノージック,ロバート 140 健康保険制度 285 クスコ市 57 農業主体の社会 3 社会保護システム 27 ノルウェー 207 貧困プロファイル 171 貿易協定 32, 316 貧困分析 309 貿易自由化 32, 251, 288, 318 ■は行 貧困労働トレンド指数 82 「貿易のための援助」イニシアティブ パートタイム 7, 51, 57, 92 318 仕事満足度 87 ファンダメンタルズ 3, 21, 22, 265 貿易とジェンダーとの関係 319 ハイチ 86, 277 仕事にかかわる政策が土台にして 法による統治 24 いる 302 パキスタン 6, 52 法の支配 302, 307 フィジー 211 波及効果 28, 34, 91, 161, 168, 225, ポーランド 222, 312 226, 253, 254, 311, 322, 344 フィリピン 7, 144 高齢化への対応 31, 312 社会的一体感 159 フォーマル化のトレードオフ 217 労働組合 274 生産性 38, 287, 32 フォーマル化が進行している国 91, 「ボゴタ・ゴミ拾い協会」 (ARB) 275 知識 16, 118, 165, 172-175, 183, 196, 217, 345 補助金プログラム 276 271 仕事の問題 18 ボツワナ 181 負(マイナス)の―― 3 特徴 217 プラスの―― 15 社会的保護制度 312 ポルトガル 12, 113 派遣会社 51, 59, 160 仕事の課題 219 橋渡しモデル 182 非公式雇用の蔓延 217 ■ま行 発言権 3, 26, 65, 138, 143, 147, 162, フォーマル雇用 マクロ経済 302, 304 270, 271, 273-275, 314 農業国 197 安定 21-23, 303 求人 129 フォーマルセクター 24, 218, 305 刺激策 64 欠如 136 衣服産業 145 不安定性 248, 303 抑止 14, 159 雇用創出 31, 312 マドリッド・クラブ 130 バット,エラ 65 サハラ以南アフリカ 197 マハトマ・ガンジー国家農村雇用保証 ブラジル 312, 326 (MGNREGA) 276 バヌアツ 212 民間企業が直面する障害 26 公共事業 279 ババジョブ 277 付加価値 408 マリ パプアニューギニア 278 不幸効果 86 零細金鉱山 160 液化天然ガスプロジェクト 206 共同土地所有権 209 物資の国際貿易 32 マレーシア 144 採取産業 208 不平等 140, 177, 212 女性の雇用機会 33, 320 バンガロール 56 拡大 253 ジェンダー 217 緑の革命 11, 100, 108, 109, 183, 197 バングラデシュ 15, 90, 146, 175, 203 仕事へのアクセスの機会 140- 非農業部門の発展 109 衣服産業 119 142, 177 緑の仕事 174, 176 企業家 205 出自の寄与率 141 経済の存続性 204 緑の成長 176 送金 244 反差別政策 145 賃金 61, 272 南アフリカ 6, 7, 57, 218 万人のための適切な仕事 163 雇用創出問題 273 ブラジル 7, 31, 38, 162, 218, 303, 326 失業 273 官民両部門の協働 317 賃金設定制度 273 非自発的労働の犠牲者 14 公式部門における雇用創出 312 派遣スタッフ 59 ビスマルク型モデル 223 国内移住 326 奴隷労働と戦うための全国協定 南スーダン 143, 201 非正規移住の測定 257 317 ミレニアム開発指標(MDG) 34, 79, 非正規雇用(→「一時雇用」 「パート , 82, 163, 321 フォーマルセクター 312, 326 タイム」「臨時雇用」参照) 57, , 民間部門 61 民間セクター iv, 25, 35, 182, 318 270 労働市場 326 雇用 40 ブルガリア 135, 171 仕事創出 3, 21, 147, 200, 225, 非類似性指数 140 251, 254, 265, 302, 307 ブルキナファソ 貧困 59 現金給付 170 中国 71, 274 ――への陥落 84 投資 226 紛争 主要な脱出ルート 80 都市化する国 203 女性の労働力参加 201 ダイナミクス 80 発展を阻害 216, 227 動態的変化に関する研究 9 紛争影響国 196, 313, 345 バングラデシュ 229 仕事における課題 199 役割 7, 60 貧困からの脱却 仕事の問題 19 家計 80 重要な要因 80 紛争解決のための代替的メカニズム 無活動 6, 52 308 貧困削減 164, 170, 344 無活動組 8 寄与する最大の要因 9 無職 78, 86, 134 最大 82 平均学校教育 407 幸福感に及ぼす影響 87 貧困線 82 平均耕作面積 10 貧困層 12, 80, 84, 197 ベトナム 6, 17, 30 メキシコ 24, 114, 117 生き残りの手段 100 土地改革による変換 311 金融危機 62 健康保険制度 285 農業 311 暫定事業プログラム 64 雇用機会 89, 164, 255 ヘドニック価格関数 85 索引 421 小企業 115 農村部 112 企業の関係 7, 57, 219 消費者物価低下 305 零細信用 170 季節・臨時―― 32 非公式性の削減 220 レイバーネット 277 懸念 87 貧困労働トレンド指数 82 健康 91 レソト 229 健康保険 284 「連帯」(Solidarność) 274 権利 159, 163, 274 モーリシャス 86 奇跡 212 高齢 221 労働 雇用とどちらを保護するか 38 モザンビーク 197-199 基本的権利および原則に関する 再分配 38 元戦闘員向けの雇用プログラム 311 ILO 宣言 32, 67, 316 搾取 14 元戦闘員向けの社会復帰プログラム 基本原則と権利 162 自営 117 311 形態 51 仕事とどちらを保護するのか モロッコ 13, 139, 143, 214 所得 59 287 モンテスキュー 137 新規参入者 53 熟練 244 労使関係 50, 144, 275 熟練 60 生産性 272 女性や若者の保護 268 ■や行 労働関連疾病 86 生活水準 9 ユーロバロメーター 134, 252 世界の総所得に占めるシェア 50 行方不明の中堅 324 労働規則 228, 268, 326 中東・北アフリカ 214 厳しさ 324 輸出加工区(EPZ) 326 低スキル 116 効果 269 輸出自主規制 253 途上国 34 雇用創出を鈍化 271 輸出セクター 18, 23, 91, 165, 304, 328 農業 197 中国 325 派遣 59 労働組合 26, 162, 271, 273, 274 1 人当たり付加価値 408 ヨーロッパの体制移行国 105 ポーランド 274 臨時 160 良い仕事 16 労働経済学 165, 169 労働条項 316 「より良い仕事」プログラム 317 労働災害 85 労働政策 3, 21, 25, 265, 302, 322, 410 ヨルダン 19, 86, 277 労働再配分 270, 279, 290, 321 影響 266 女性の労働参加 29, 310 中国 106, 326 欠点 26 労働力参加率 労働争議法(IDA) 324 ■ら行 高齢者 53, 221, 223 労働統計 ラオス 女性 50, 169, 310 現在の課題 34, 323 衣服労働者 307 送金 244 労働問題に的を絞った CSR イニシア 引き上げ 57 ラティノバロメトロ 134, 141 ティブ 316 ポーランド 312 ラテンアメリカ 9, 11, 87, 90, 109, 労働力 407 労働時間当たり付加価値 197 112, 217, 219, 225, 229, 277, 283, 老年従属人口指数 221 289, 325 労働市場 3, 25 エジプト 213 労働者解雇法 326 小自作農 106 改革 38, 147 ロールズ,ジョン 140 自営業 134 女性の労働参加 29, 310 規制 26, 269, 273, 274 ロンドン 253 ラティノバロメトロ調査 141 機能していない 25 労働市場規制 326 公平性 177 ■わ行 「若者」プログラム 276, 278 効率性 224 ワーキング・プア→「勤労貧困層」参 時短 290 ラトビア 171 照 失敗 268 指標 66 ワーク・シェアリング 25, 64, 289 リベリア 146 障害者の参加 86 有効性 289 農村部 200 積極的プログラム 91, 275-277, 「若者・雇用プログラム」 175 臨時(形態の)雇用 7, 59, 275, 315 281, 289, 310, 315 ワンストップ・ショップ 280 臨時雇用プログラム 202, 214 中国 246 農村 279 フォーマル化 63 ルーマニア 10, 105, 277, 281, 306 不完全性 21, 266, 271 ルーラルショアーズ 249 ブラジル 326 ルワンダ 30 ブラジルやメキシコ 218 公共事業プログラム 147 流動性 253 紛争への対応 313 労働者組織 非伝統的 275 零細企業 11, 13, 106, 110, 112, 303 労働者 65, 67 アフリカとラテンアメリカ・カリ CO2 排出 175 ブ 112 移住 18, 20, 33, 240, 188, 212 インフォーマルセクター 322 移住に関する国際合意 33, 320 企業家精神 116-120 移動 324 雇用の創出と破壊 108 衣服工場 86 社会保険 283 インフォーマル 217, 284 シェア 107 エチオピア 203 製造業雇用 108 解雇 268 制約 228 外国人 240 ダイナミズム 112 家事 144, 160 賃金格差 12 企業との交渉 271 ■編著者 世界銀行 ■訳者 田村 勝省(たむら かつよし) 1949 年生まれ.東京外国語大学および東京都立大学卒業.旧東京銀行で調査部, ロンドン支店,ニューヨーク支店などを経て,現在は関東学園大学教授,翻訳家. 訳書 『アメリカ大恐慌(上下) (NTT 出版,2008 年) 』 『シュンペーター伝 革新による経済発展の預言者の生涯』 (一灯舎,2010 年) 『ユーロ  統一通貨誕生への道のり、その歴史的・政治的背景と展望』 (一灯舎,2011 年) 『ユーロの崩壊 ヨーロッパの金融失敗からの脱出ルート』 (一灯舎,2012 年) 『世界開発報告 2012 ジェンダーの平等と開発 』 (一灯舎,2012 年) 『世界給与・賃金レポート 2012/2013 給与・賃金と公平な成長 』 (一灯舎,2013 年) 世界開発報告 2013 仕事 発 行 2014 年 2 月 16 日 編著者 世界銀行 訳 者 田村 勝省 発行者 平野 智政 発行所 株式会社 一灯舎 〒 170-0003 東京都豊島区駒込 3-25-1 Tel : 03-6686-7456 / Fax : 03-6693-1830 発売元 東京官書普及株式会社 〒 101-0054 東京都千代田区神田錦町 1-2 官報神田錦町ビル Tel : 03-3292-1601(代表)/ Fax : 03-3292-1604(代表) 印刷所 シナノ書籍印刷株式会社 <検印省略>許可なしに転載,複製することを禁じます. 乱丁本,落丁本はお取り替えします. 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