国際金融公社 年次報告書 2013 世界銀行グループ の威力 パートナーシップ 81790 v1 1 年を振り返って 2013 年度の IFC 投融資は、雇用創出や、世界でも喫緊の開発課題への取り 組みに民間セクターの威力を活用することにより、過去最高の 250 億ドル 近くを達成しました。 資産合計 IFC 財務結果の要約 2013 2012 2011 2010 2009 百万ドル (百万ドル) 各年 6 月 30 日現在および 6 月 30 日終了年度* 80,000 IFC に帰属する純利益(損失) $ 1,018 $ 1,328 $ 1,579 $ 1,746 $ (151) IDA 拠出金 $ 340 $ 330 $ 600 $ 200 $ 450 60,000 IDA 拠出前利益 $ 1,350 $ 1,658 $ 2,179 $ 1,946 $ 299 資産合計 77,525 $ $ 75,761 $ 6 8,490 $ 61,075 5 1,483 $ 40,000 貸出金、持分投資および債務証券投資(純額) 3 4,677 $ 3 1,438 $ $ 29,934 2 5,944 $ 2 2,214 $ エクイティ投資の推定公正価額 13,309 $ $ 11,977 $ 13,126 $ 10,146 $ 7,932 主要比率 20,000 平均資産利益率(GAAP ベース) 1.3% 1.8% 2.4% 3.1% -0.3% 平均自己資本利益率(GAAP ベース) 4.8% 6.5% 8.2% 10.1% -0.9% 0 翌 3 年間の純現金推定所要額に対する現金および短期投資の比率 77% 77% 83% 71% 75% 09 10 11 12 13 負債比率 2.6:1 2.7:1 2.6:1 2.2:1 2.1:1 所要額合計(十億ドル) $ 16.8 $ 15.5 $ 14.4 $ 12.8 $ 10.9 利用可能額合計(十億ドル) $ 20.5 $ 19.2 $ 17.9 $ 16.8 $ 14.8 実行済み貸出金残高合計に対する貸倒引当金比率 7.20% 6.60% 6.6% 7.4% 7.4% IFC に帰属する 上記数値の詳しい算出方法については、連結財務諸表および運営陣による考察・分析の項をご覧ください (http://www.ifc.org/ifcext/annualreport.nsf/Content/AR20l3_Financial_Reporting)。 純利益(損失) * 百万ドル 2,000 IFC 業務結果の要約 2013 2012 2011 2010 2009 (百万ドル) 各年 6 月 30 日に終了した年度* 1,500 新規投融資契約 プロジェクト数 612 576 518 528 447 1,000 対象国数 113 103 102 103 103 500 IFC 自己勘定分 1 8,349 $ $ 15,462 $ 12,186 $ 12,664 $ 10,547 0 中心的な資金動員* 協調融資l $ 3,098 $ 2,691 $ 4,680 $ 1,986 $ 1,858 –500 ストラクチャード・ファイナンス – – – $ 797 $ 169 IFCイニシアティブ、その他 09 10 11 12 13 $ 1,696 $ 1,727 $ 1,340 $ 2,358 $ 1,927 アセット・マネージメント社 (AMC) ファンド $ 768 $ 437 $ 454 $ 236 $ 8 官民パートナーシップ (PPP)2 $ 942 $ 41 – – – 中心的な資金動員合計 $ 6,504 $ 4,896 $ 6,474 $ 5,377 $ 3,962 投融資実行 IFC 自己勘定分 $ 9,971 $ 7,981 $ 6,715 $ 6,793 $ 5,640 協調融資3 $ 2,142 $ 2,587 $ 2,029 $ 2,855 $ 1,958 契約済みポートフォリオ 企業数 1,948 1,825 1,737 1,656 1,579 IFC 自己勘定分 49,617 $ 45,279 $ $ 42,828 3 8,864 $ 3 4,502 $ 協調融資4 13,633 $ $ 11,166 $ 12,387 $ 9,302 $ 8,299 アドバイザリー・サービス アドバイザリー・サービス・プログラム支出 $ 232.0 $ 197.0 $ 181.7 $ 166.4 $ 157.8 IDA 融資適格国におけるプログラムの割合5 65% 65% 64% 62% 52% *IFC が資金調達に直接関与した結果、 IFC 以外の主体から、 顧客への利用可能資金として供与された投融資。 1. B ローン、並行融資、 Aローンの参加権売却 (ALPS) を含む。 2. 国家、 地方、その他の政府主体に対し、 IFC が、マンデート下で主幹アドバイザーを務めたことにより、 官民パートナーシップ・プロジェクトに供与された第三者からの投融資。 3. B ローンおよび代理並行融資を含む。 4. B ローン、A ローン参加権売却 (ALPS)、 代理並行融資、 無財源のリスク参加 (URP) を含む。 5. 本書中の、 IDA 融資適格国および紛争の影響下にある脆弱な地域向けのアドバイザリー・ プログラムが占める支出の割合 (%) には、 プロジェクトは含まれていない。 いずれもグローバル・ パートナーシップの威力 _1 IFC 年次報告書 2013 パートナーシップ の威力 IFC について 世界銀行グループの一員である IFC は、途上国の民間セクターに 特化した国際開発機関としては世界最大の規模を誇っています。 1956 年に設立された IFC は加盟国 184 か国によって保有され、 その方針は、これら加盟国によって集合的に決定されます。IFC の 活動は 途上国 100 か国を超えており、それにより新興国の企業や 金融機関による雇用創出、租税支払い、コーポレート・ガバナンス と環境パフォーマンスの向上、地元社会への貢献が可能となってい ます。 貧困から脱出し、生活の向上を図る機会は、誰にも与えられるべ きである、というのが、 IFC のビジョンです。 2_ 本報告書は、途上国の民間セクターで雇用と機会創 出を支援する IFC の役割をまとめたものです。ここ では、イノベーションの促進( 32 ~ 39 ページ)、政 策への影響力行使(40 ~ 4 7 ページ)、他者へのデモ ンストレーション効果の提示( 48 ~ 55 ページ)、開 発成果の最大化( 56 ~ 63 ページ) をいかに推進して いるかを述べています。 パートナーシップの威力 _3 4 ~ 9 ページ リーダーの視点 10 ~ 25 ページ 26 ~ 29 ページ パートナーシップ IFC 業務の の威力 世界的な結果 30 65 30 ~ 63 ページ 65 ~ 69 ページ 機会の創出方法 結果の測定 70 78 70 ~ 77 ページ 78 ~ 110 ページ IFC の事業と IFC の職員と 専門知識 業務の進め方 111 ページ 有益な情報源 4_ IFC 年次報告書 2013 リーダーの視点 ジム・ヨン・キム世界銀行グループ総裁 からのメッセージ 我々は今、歴史上またとない好機に恵まれていま 今年、世界銀行グループは、我々自身と開発コミュニティの パートナーに対して、2 つの具体的かつ測定可能な目標を課 す。途上国が、過去数十年にわたる開発の成果と、 しました。一つ目は、1 日 1.25 ドル未満で生活する人口の割 明るい経済的見通しという 2 つの要素により、一 合を 2030 年までに 3% まで削減することで極度の貧困を事 実上なくすこと、二つ目は、各途上国で所得の下位 40% の 世代で極度の貧困をなくすチャンスを得ているの 人々の所得を引き上げることによって繁栄の共有を促進する ことです。 です。この機会を逸してはなりません。 このような野心的な目標は、そう簡単に達成されるも のではありません。2008 年に始まった世界金融危機から 5 年 近くが経ちましたが、世界経済の回復は依然として脆弱です。 先進国は高い失業率と低成長に苦しみ、途上国では成長率が 危機前の水準を下回っています。さらに、目標を達成しよう とすればする程、貧困との闘いはますます困難になっていく でしょう。貧困状態に取り残された人々に到達することは、 非常に難しいからです。 また、別の新たな問題が貧困削減への道のりを脅かす こともあるでしょう。紛争や政治不安は貧困を増大させ、開 発に対する長期的な妨げとなるなど、大きなリスクをはらん でいます。さらに、地球温暖化によって干ばつが広がり、影 響を受ける地域が拡大し、極端な気象現象の発生頻度が高ま り、人命や経済資源が予測不能な規模で奪われる可能性もあ ります。 それでも、目標達成は手の届くところにあると、私は 今も楽観視しています。目標を達成するには、世界銀行が、 188 の加盟国やその他のパートナーと体系的かつ徹底的に協 力する必要があります。 IFC は、雇用や機会をぜひとも必要としている場所で、 民間セクターの威力を総動員するという重要な役割を担って います。 パートナーシップの威力 _5 「 今年の民間セクター開発向け IFC 投融資はこれまでで 」 最高の 250 億ドル近くに達し、そのうち 65 億ドルは投 資パートナーから誘引したものです 今年の民間セクター開発向け IFC 投融資はこれまでで IFC はまた、民間セクターによる気候変動への取り組 最高の 250 億ドル近くに達し、そのうち 65 億ドルは投資パー みにおいても重要な貢献をしています。2013 年初めに発行 トナーから誘引したものです。IFC の 612 件の投融資プロ した世界最大規模の「グリーンボンド」(発行額 10 億ドル) ジェクトのほぼ半数は、世銀の国際開発協会(IDA)が支援 の資金は、世界各地の気候関連プロジェクトに向けられます。 する最貧国向けのものでした。さらに 50 億ドル以上がサブ 加えて、アジア、ラテンアメリカなどの地域では、ビル建設 サハラ ・ アフリカに、また 20 億ドル以上が南アジアの民間 会社 10 社余りが一段と省エネ型の設計を取り入れるよう支 セクター開発支援に注がれました。 援しました。以上のような例は、ここ数十年間に達成した開 IFC アセット・マネージメント社は、途上国への投資 発成果を水の泡にしないためにも、ぜひとも進めなければな に第三の投資家の資金を動員する IFC の子会社で、その運 らない施策です。 用資産総額は 55 億ドルに増大しました。わずか 4 年前に設 立された会社としては誠に目覚しい発展ぶりです。加えて、 IFC は協調融資という形で他の投資家から 30 億ドル余りを 誘引しました。 本年次報告書は、中小企業への支援提供、貧しい人々 の金融へのアクセス拡大、雇用創出、女性のための機会創出 といった面で IFC が果たした重要な役割について説明して います。 例えば、コートジボワールでは、Azito ガス発電所に 融資パッケージを提供し、余分なガスを使わずにエネルギー — 生産量を 50% 増大させることが可能になります。これによ ジム・ヨン・キム り、同国の電力不足が緩和され、経済回復に一役を担うこと 世界銀行グループ総裁 ができるでしょう。ラテンアメリカでは、非常に革新的な官 民パートナーシップのモデルを利用して、ブラジル・バイア 州の貧しいコミュニティで質の高い医療を提供しています。 さらに、経済開発で他の東アジア諸国よりも大幅に遅れを とっているミャンマーでは、世銀との共同戦略の下で同国に 新たな機会をもたらそうとしています。 6_ IFC 年次報告書 2013 リーダーの視点 蔡 金勇(ジン・ヨン・ツァイ)IFC 長官 からのメッセージ 開発をめぐる課題は世界中で山積され、その これは、IFC にとっては、またとないチャンスとなっていま す。よりよい世界へと変革するためにビジネス界の創造性と 数は次第に増えつつあります。同様に、途上 資源を活用する機会だからです。持続可能な成長を阻んでい 国の起業家や、投資家、ビジネスのニーズも る障害の克服に手を貸すことで、IFC は、民間企業による機 会創出と生活向上に貢献しています。民間企業は、極度の貧 高まりつつあります。彼らは、限られた金融、 困の撲滅、繁栄の共有促進という IFC の世界的な活動にお けるパートナーなのです。 インフラ不足、職員の技能欠如、未整備な規 大きな変革をもたらすにはパートナーシップの力が不 制環境など数々の制約を乗り越えようと苦し 可欠だと私どもは強く確信しています。民間セクターに特化 した世界最大の国際開発機関として、IFC は今年、2,000 社 んでいます。 に近い民間セクター顧客をはじめ、政府、ドナー、他のステー クホルダーなど多岐にわたる組織や機関と協力してきまし た。その結果、IFC は前年に続いて最高の業績を上げ、100 か国余りの国々で開発を持続的に進めるために、かつてない 多額の資金を民間セクター開発に投入したり、他者から誘引 したりしてきました。 2013 年度の新規投融資は、他の投資家から誘引した資 金を含め、過去最高の合計 250 億ドル近くに達し、世界各地 のプロジェクトや企業 600 件 / 社以上に資金を供与しまし た。自己勘定による投融資額は 183 億ドルに、また他の筋か ら誘引した資金は 65 億ドルに上りました。途上国への公的 援助フローが減少する中、これらの投融資は世界の全地域に 大きな影響を与えました。 IFC 投融資のポートフォリオ残高は現在、世界 126 か 国の企業約 2,000 社を対象におよそ 500 億ドルに達していま す。IFC のリスク調整後のリターンと開発効果が高いのはこ のポートフォリオの多様性によるものです。 2012 年末現在、IFC 投融資は途上国で 270 万人を雇用 しました。また IFC の支援下で、顧客は 1,720 万人の患者を 治療し、100 万人の生徒を教育し、310 万戸の農家によりよ い機会を提供しました。さらに 5,220 万人に電力を、そして 4,200 万人に水を供給しました。 パートナーシップの威力 _7 「 」 大きな変化をもたらすにはパートナーシップの 力が不可欠だと私どもは強く確信しています 繁栄の促進を重点的に進めた地域は、世界の最貧国と 私は、今後 IFC が以前にも増して大きなインパクトを 最も脆弱な地域でした。 与えることができると確信しています。IFC 長官として就任 2013 年度の IFC プロジェクトのほぼ半額(総額 60 億 してからまだ日が浅いのですが、それでも世界の全地域を網 ドル以上)は、世銀の国際開発協会(IDA)の融資適格国で 羅する 30 か国以上を歴訪し、顧客や職員と面談してきまし ある最貧国向け(その大半はサブサハラ ・ アフリカ向け)の た。そしてその際、大志を抱き、リスクを恐れず、顧客を中 ものでした。助言プログラムの支出全体の約 3 分の 2 は IDA 心に据え、心を開いて新たなアイデアに臨めば何事も達成可 融資適格国が対象でした。紛争の影響下にある脆弱地域への 能だという実感を抱きました。金融へのアクセス、エネル 投融資はおよそ 6 億ドルに増加しました。 ギー、気候変動、食糧安全保障など、長期にわたって開発を IFC アドバイザリー・サ―ビスは、顧客であるビジネ 阻んできた主要問題に取り組むことは可能なのです。 スや政府に大きな成果をもたらしました。アドバイザリー・ IFC は、ビジネスのような商業主義に則りながらも、有 サ―ビスの開発効果に関する評価はこれまでで最高の 75% 意義で測定可能な開発成果の達成に向け、情熱をもって重点 を記録したほか、顧客の満足度も 90%というかつてない水 的取り組みに励むという実にユニークな組織です。さらにま 準に達しました。IFC の助言は、顧客に与える価値観の重要 た、収益を上げ力強い成長を遂げることで、今後いちだんと な一要素となっています。2013 年度には、投融資と助言を 大きな開発成果を上げるための資力を築くことができます。 一体化させたソリューションの提供で顕著な進展が見られま 途上国には大胆なソリューションが必要です。IFC は した。現在実施中の助言プロジェクトには投融資サービスの パートナーと協力して、そのようなソリューションを提供す 顧客 250 件が含まれています。 るのにふさわしい位置づけにあります。 IFC の助言は 2013 年度、官民パートナーシップを通 じて 10 億ドル弱の民間投資の誘引に役立ち、インフラ整備 や多数の人々の保健医療サービスの向上が期待されます。加 えて、担保登記に関する業務を通じ、中小企業 4 万社以上が 動産を担保に合計 45 億ドルの借入を行う際に貢献しました。 また、農家や起業家、中小企業の幹部などおよそ 35 万人に 研修や能力構築の講座も提供しました。 — さらに、IFC アセット ・ マネージメント社(AMC)は 蔡 金勇 引き続き堅調に伸び、定評ある投資家で構成される 6 つの投 IFC 長官 資ファンドの下で運用資産総額が 55 億ドルに増大しました。 AMC は、気候変動対策向け投資に重点を置く「IFC 触媒ファ ンド」と、基軸となる重要なインフラ ・ セクターに希少なエク イティ ・ リスク資本を投資する「グローバル ・ インフラストラ クチャー ・ ファンド」の 2 つを立ち上げました。 8_ IFC 年次報告書 2013 運営チーム IFC の経験豊かな運営チームは、開発成果の最大化と顧客ニーズ 略や方針を形成します。それらは、多くの途上国民の生活向上を への対応に的を絞ることにより、IFC 資源の効果的な展開に万全 助けるための礎となります。IFC の運営陣は、パフォーマンス、 を期しています。さらに、開発分野の長年にわたる経験、幅広い 説明責任、活発な関与という IFC の風土を保つことにも重要な役 知識、固有な文化的視点など IFC の独自性を示す特徴は、IFC の 割を担っています。 運営チームに恩恵をもたらします。運営チームはまた、IFC の戦 Jingdong Hua Janamitra Devan Jean Philippe Prosper Saadia Khairi Karin Finkelston Dorothy Berry 財務・協調融資 金融・民間セクター サブサハラ・アフリカ・ リスク管理・ アジア・太平洋 人事・ 担当副総裁 開発担当副総裁 ラテンアメリカ・ ポートフォリオ 担当副総裁 コミュニケーション・ カリブ海担当副総裁 担当副総裁 総務担当副総裁 パートナーシップの威力 _9 Ethiopis Tafara Dimitris Tsitsiragos Jin-Yong Cai Nena Stoiljkovic Gavin Wilson Rashad Kaldany Jorge Familiar Calderon 一般法務担当 ヨーロッパ・ IFC 長官 ビジネス・ IFC アセット・ 副総裁兼最高業務 副総裁 中央アジア・中東・ アドバイザリー・ マネージメント社 責任者 ( COO) 副総裁兼書記 北アフリカ担当 サービス担当 最高経営責任者 (写真なし) 副総裁 副総裁 ( CEO) 10 _ IFC 年次報告書 2013 年次報告書 2013 世界 100 か国以上に事務所を設 け、金融機関 900 社以上、民 間セクター顧客約 2,000 社に 及ぶネットワークを有する IFC は、機会をぜひとも必要として いる場所でそれを創出できる独 自な地位にあります。 その実現にあたり、IFC は資金 と専門知識、影響力を行使して、 極度の貧困のない、繁栄の果実 を全員で共有できる、より良い 世界の構築に向けて支援を行っ ています。 パートナーシップの威力 _ 11 これこそがパートナーシップの 威力にほかなりません。 12 _ IFC 年次報告書 2013 パートナーシップ にはつながり が必要 開発問題を単独で解決できる機関などありません。しかし IFC に は、問題に一丸となって取り組むために様々な活動家を招集でき る独自な力があります。このパートナー網と協調を図りながら、 困難な場所に恩恵をもたらすべく革新的なソリューションを提供 しているのです。 パートナーシップの威力 _ 13 一世代のうちに 極度の貧困を根絶し 繁栄の共有を 促進することは 可能です 14 _ IFC 年次報告書 2013 パートナーシップ には大志が 必要 途上国のニーズが利用可能な資源を遥かに超えている世界で は、貧しい人々の永続的な生活向上に大志をもって取り組む必 要があります。IFC は、リスクを恐れず、開発成果を最大化す るための新たな方策を見出しながら、この課題にいっそうの決 意で挑戦しています。 パートナーシップの威力 _ 15 一世代のうちに 極度の貧困を根絶し 繁栄の共有を 促進することは 可能です 16 _ IFC 年次報告書 2013 パートナーシップには 重点的取り組み が必要 世界の最貧国や最貧困地域で民間セクターの持続的な発展を 確保するためのカギは IFC 顧客が握っています。こうした国や 地域のニーズを新興市場での大胆な開発機会へと結びつけるた め、IFC は、幅広い世界的知識と深く掘り下げた現地知識を独 自な形で併合して活用しています。 パートナーシップの威力 _ 17 一世代のうちに 極度の貧困を根絶し 繁栄の共有を 促進することは 可能です 18 _ IFC 年次報告書 2013 IFC のプロジェクにはすべて、これまで誰も達成でき なかったか、関心すら示さなかった課題に取り組もう という目的意識が貫かれています。それは、IFC が今 後成長していくための資金を確保しつつ、収益を上げ ながら効果的に開発成果を最大化することにあります。 パートナーシップの威力 _ 19 一世代のうちに 極度の貧困を根絶し 繁栄の共有を 促進することは 可能です 20 _ IFC 年次報告書 2013 パートナーシップの威力 _ 21 パートナーシップは 生活の向上を可能に IFC 業務は、援助をぜひとも必要としている場所で、雇用拡大、 保健医療・教育の向上、金融へのアクセス拡充に役立っていま す。2012 年、IFC 顧客は、270 万人の雇用を生み、1,720 万 人の患者を治療し、300 万戸を超える農家により多くの機会 を提供しました。 270 万人 1,720 万人 310 万戸 2012 年に IFC 顧客が支援し IFC 顧客から治療を受けた患 IFC 顧客との協働作業の恩恵 た雇用数。 者の数。 を受けた農家の数。 22 _ IFC 年次報告書 2013 パートナーシップの威力 _ 23 パートナーシップは 繁栄の促進 を可能に IFC は持続的な繁栄に不可欠な下地の整備にも役立っていま す。2012 年、43 か国の政府に助言を行った結果、投資環境 の整備を目的とする改革 76 件の策定につながりました。IFC の投融資を受けた顧客は、4,600 万人ほどに電力を供給し、 約 270 億ドルの歳入を政府にもたらしました。 76 件 270 億ドル 4,600  万人 43 か国で実施された投資環境 IFC 顧客によって IFC の投融資のおかげで 整備に関する改革の数。 もたらされた政府歳入。 電力が支給された人々の数。 24 _ IFC 年次報告書 2013 パートナーシップの威力 _ 25 パートナーシップは 世界を変革 する ことが可能 民間セクターの独創性を活用すれば、極度の貧困を一世代 のうちに根絶することは可能です。IFC は、各途上国で所 得の下位 40% を占める最貧層の収入向上を実現する手助 けを行えます。これらの目標が達成されれば世界は大きく 変わるでしょう。 26 _ IFC 年次報告書 2013 IFC が世界に与えた影響 最高を記録した IFC の投融資と助言業務は貧困層に大きな影響を 与えるのに役立ちました。投融資プロジェクトの半分近くは世界の 最貧国が対象となりました。IFC の支援により、顧客は 2012 年に 270 万人の雇用創出を助け、総額 2,650 億ドル余りの貸付を零細・ 中小企業に行いました。また 43 か国の政府への助言を通じ、投資 環境整備に関連した改革 76 件の策定を支援しました。 48 億ドル ラテンアメリカ・ カリブ海 パートナーシップの威力 _ 27 250 億ドル 投融資総額。そのうち 183 億ドルは自己勘定分 17 33 億ドル 南アジア 億ドル ヨーロッパ・ 中央アジア 35 29 億ドル 億ドル 東アジア・太平洋 サブサハラ・アフリカ 20 億ドル 中東・北アフリカ 28 _ IFC 年次報告書 2013 2013 年度の投融資契約 環境・社会カテゴリ別にみた 百万ドル 2013 年度の投融資契約 合計 $18,349 (100%) 契約額 プロジェクト カテゴリ (百万ドル) 数 産業別 A $884 17 貿易金融 $6,477 (35.3%) B $5,490 167 金融市場 $3,647 (19.9%) C $6,764 269 インフラストラクチャー $2,247 (12.2%) FI $1,751 48 消費者・社会サービス $1,635 (8.9%) FI-1 $450 14 製造 $1,314 (7.2%) FI-2 $2,203 59 アグリビジネス・林業 $1,278 (7.0%) FI-3 $807 38 ファンド $890 (4.9%) 合計 $18,349 612 通信・情報技術 $472 (2.6%) 石油・ガス・鉱業 $389 (2.1%) IFC の契約残高上位国 1 2013 年 6 月 30 日現在(IFC 自己勘定分) 地域別 ラテンアメリカ・カリブ海 $4,822 (26.28%) 世界残高に 国名 契約残高 占める割合 サブサハラ・アフリカ $3,501 (19.08%) (世界順位) (百万ドル) (%) ヨーロッパ・中央アジア $3,261 (17.77%) インド (1) $4,453 9% 東アジア・太平洋 $2,873 (15.66%) 中国 (2) $3,002 6% 中東・北アフリカ $2,038 (11.11%) トルコ (3) $2,856 6% 南アジア $1,697 (9.25%) ブラジル (4) $2,690 5% グローバル $156 (0.85%) ロシア連邦 (5) $2,145 4% グローバル・プロジェクトとして正式に分類された投融資の地域シェアを含む場合がある。 メキシコ (6) $1,584 3% 商品別 ナイジェリア (7) $1,334 3% 融資 1 $8,519 (46.43%) エジプト・アラブ共和国 (8) $1,130 2% 保証 2 $6,959 (37.93%) ウクライナ (9) $963 2% 出資 3 $2,732 (14.89%) コロンビア (10) $947 2%  域プロジェクトやグローバル・プロジェクトに含まれる国別シェアは除外。 1. 地 リスク管理商品 $138 (0.75%) 1. 融資タイプの準株式商品を含む。 2. 貿易金融を含む。 3. 出資タイプの準株式商品を含む。 契約済みポートフォリオ 2013 年 6 月 30 日現在の IFC 自己勘定分 合計 $49,617 (100%) $ 産業別 金融市場 $14,563 (29%) インフラストラクチャー $9,358 (19%) 製造 $6,385 (13%) アグリビジネス・林業 $4,251 (9%) 消費者・社会サービス $4,215 (8%) ファンド $3,733 (8%) 貿易金融 $3,081 (6%) 石油・ガス・鉱業 $2,359 (5%) 通信・情報技術 $1,667 (3%) その他 $5 (0%) 地域別 ヨーロッパ・中央アジア $10,994 (22%) ラテンアメリカ・カリブ海 $10,993 (22%) サブサハラ・アフリカ $7,833 (16%) 東アジア・太平洋 $7,726 (16%) 中東・北アフリカ $5,793 (12%) 南アジア $5,582 (11%) グローバル $696 (1%) グローバル・プロジェクトとして正式に分類された投融資の地域シェアを含む場合がある。 パートナーシップの威力 _ 29 2013 年度の投融資サービスの産業別 DOTS スコア IFC のクライアント・リーダーシップ賞 IFC は毎年、その価値観を体現し、持続可 IFC 全体 66% 能な開発に対するコミットメントを分かち 716 (29,674) ファンド 84 (1,199) 79% 合う組織を認識しています。このクライア インフラストラクチャー 101 (4,805) 73% ント ・ リーダーシップ賞は、指導力、イノ 金融市場 219 (11,813) 70% ベーション、優れた運営において最良の模 アグリビジネス・林業 79 (3,215) 68% 範を示した顧客企業に授与されます。 石油・ガス・鉱業 28 (2,200) 64% 今年は、ダイナミックに躍動するケニア 消費者・社会サービス 94 (2,045) 56% 通信・情報技術 55% のアグリビジネス会社 Vegpro Group がこ 31 (1,067) 製造 80 (3,329) 49% の賞を受けました。同社は 20 年近くもの バーグラフ左側の数値は評価を受けたプロジェクト数の合計を、また括弧内はこれらプロジェクトへの 間、IFC 顧客として活躍してきました。 IFC 投融資合計(百万ドル)を示す。 Vegpro 社は、生鮮食品を欧州連合加盟 国のスーパーマーケットに納入するという 2013 年度の投融資サービスの地域別 DOTS スコア 油断のならない業務に携わっています。消 IFC 全体 716 (29,674) 66% 費者が高品質で食べ頃の野菜を要求する ラテンアメリカ・カリブ海 159 (8,007) 74% 中、生産者は、厳しい環境基準や安全基準 東アジア・太平洋 98 (3,922) 70% を守りながら、年間を通じて野菜を即座に 中東・北アフリカ 80 (3,283) 65% 納入しなければなりません。 ヨーロッパ・中央アジア 168 (8,477) 64% その中で、同社は、革新的なアプローチ サブサハラ・アフリカ 121 (3,094) 61% を用いて、年商 1 億ドルのケニア最大の生 南アジア 81 (2,707) 60% 鮮野菜・果物の生産者へと発展しました。 バーグラフ左側の数値は評価を受けたプロジェクト数の合計を、また括弧内はこれらプロジェクトへの 同社が小売店に納入する生鮮食品はすべて IFC 投融資合計(百万ドル)を示す。 認証済みであるため、仕入先である 4,000 戸 もの小規模農家にとっては通常、収入の増 2013 年度のアドバイザリー・サービス・プログラムの支出 百万ドル 加を意味します。 ケニア有数の大手民間企業である Vegpro 合計 231.9 (100%) は 7,000 人の従業員を擁しており、その約 4 分の 3 は女性です。女性従業員の初賃金は、 地域別 基本医療手当(無料)やカウンセリングな サブサハラ・アフリカ 65.4 (28%) どの福利厚生に加え、1 日の平均最低賃金 東アジア・太平洋 38.5 (17%) の約 50% 増という優遇を受けています。 ヨーロッパ・中央アジア 36.4 (16%) 南アジア 33.6 (14%) ラテンアメリカ・カリブ海 25.5 (11%) 中東・北アフリカ 20.4 (9%) グローバル 12.2 (5%) 業務分野別 投資環境の整備 74.8 (32%) 金融へのアクセス 62.6 (27%) 持続可能なビジネス 55.0 (24%) 官民パートナーシップ 39.5 (17%) 加重後および加重前の投融資サービスの DOTS スコア 2011 年度 582 FY11 67% $21,181 76% 2012 年度 668 FY12 68% $26,610 75% 2013 年度 716 FY13 66% $29,674 73% 加重前 加重後 バーグラフ左側の加重前の数値は評価を受けたプロジェクト数の合計を、 同じくバーグラフ左側の加重後の数値は これらプロジェクトへの IFC 投融資合計 (百万ドル)を示す。 2011 年度と 2012 年度の加重後のスコアは、加重 方法の変更に伴い算出し直された (82 ページ参照)。 30 _ IFC 年次報告書 2013 はじめに 機会の創出 方法 イノベーション、影響力、デモンストレーション、インパクト IFC は、民間セクターの威力を活用して、貧困削減とインクルーシブ な経済成長の促進を支援する際に、独自な比較優位性を発揮します。 以下は、取り組むべき課題の規模の大きさを示し IFC は以下の点で優れた実績を有しています。 ています。 IFC は、民間投資向け資金の供与、国際金融市場での資金動 員、企業と政府に対する助言の提供を通じて、途上国 100 か国余り 世界中で 1 日 1.25 ドル未満の生活にあえぐ人々は 12 億人。 で顧客と顧客を結び、専門知識を活用しながら持続可能な成長の実 « 今後 10 年以内に労働市場に参入する若年層だけをとっても約 現に支援を行っています。 «  6 億人の雇用創出が必要。 こうした業務により、各企業は、発展と雇用創出が可能にな 毎日飢えに苦しむ人はほぼ 10 億人。 るだけでなく、社内のガバナンスや環境面のパフォーマンス向上、 « 途上国のインフラの近代化に必要な資金は年間 1 兆ドル。 地元社会への貢献度拡大も行えるようになるのです。 « IFC は、ニーズが最も高い場所に出向き、最大限の成果を上 こうしたニーズは、民間セクターの資金と独創性を活用せずに対応 げられる課題に資源を投入します。その際の行動が何であれ、常に できるものではありません。途上国では、民間企業が 10 人につき 次の 4 つの質問を自らに問いかけています。 9 人の雇用を生み出しています。民間企業は、イノベーションを触 発し、生活向上のための財やサービスを生産し、さらに基本的サー « 貧困削減と繁栄の共有促進に貢献しているか。 ビスを市民に提供するための租税の大半を政府に支払っています。 « 最大限の成果を上げているか。 つまり民間セクターは長年、貧困を持続的に削減する際の即 «  誰も達成できなかったか、関心すら示さなかった課題に取り組む 効薬として最もよく知られてきました。 ための行動をとっているか。 とはいえ、何もない空間で民間セクター開発を行えるわけで « 収益を上げ、効率的に業務を推進しているか。 はありません。政府と民間セクターが手を組んで、企業が万人のた めの繁栄を促進できる方法で運営され発展したときに初めて可能に なるのです。 12 億人 1 日 1.25ドル未満の生活にあ えぐ人々の数。世界人口の 5 分の 1 近くに相当。 パートナーシップの威力 _ 31 目次 イノベーション促進のためのパートナーシップ デモンストレーション効果を示すためのパートナーシップ 32 ~ 39 ページ 48 ~ 55 ページ 影響力行使のためのパートナーシップ インパク トを与えるためのパートナーシップ 40 ~ 47 ページ 56 ~ 63 ページ 32 _ IFC 年次報告書 2013 イノベーション 機会の創出方法 イノベーション促進 のための 貧困を撲滅し、気候変動の危険性に取り組み、世界の隅々 にまで近代的な医療をもたらすには、独創的なアイデア を駆使して喫緊の開発問題に臨む必要があります 。 IFC は半世紀以上にわたり、民間セクター開発を最も強 化すべき場所で、その実現に向けて革新性を発揮してき ました。その支援は、企業が迅速にしかも持続可能な形 で発展するための投融資に加え、革新性の育成、基準向 上、リスク緩和を支援する助言の提供を通じて、途上国 企業の雇用創出と確保に貢献してきました。 パートナーシップの威力 _ 33 パートナーシップ 34 _ IFC 年次報告書 2013 イノベーション ヘルスケア 最も困難な地域でのサービス向上 IFC は、貧しい人々を助けるために、革新的な方法で各国 政府、民間セクター、市民社会団体を結集させています。 1,720 万人。2012 年に IFC 顧客を通じて 医療サービスを受けた患者の数。 パートナーシップの威力 _ 35 ブ ラジル ・ バイア州のサルバドール市にある IFC は、世界で最も困難な市場のいくつか 左: Hospital do Subúrbio で治 病院 Hospital do Subúrbio は、白い建物、 で、ヘルスケアの質向上を目的に、政府、民間セ 療を受ける患 端正な芝生、そして風にそよぐヤシの木が クター、市民社会団体の召集役として活躍してい 者。ブラジルで 並ぶ静かな環境にありますが、病院の中は ます。2007 年に「アフリカ保健イニシアティブ」 初の保健・医療 方面の官民パー 打って変わった忙しさです。 同市の貧民 を立ち上げて以来、8 か国で患者の安全と民間医療 トナーシップに 地区の住民も通うこの先端設備を備えた病院では、 サービスの質向上を目指す、法規や制度の改革を より救急病院で のサービスが大 設立以来 3 年間で 180 万件を超える手術や医療処 支援してきました。 幅に改善され、 置が施されました。また、IFC 支援を受けて政府が IFC の助言により、ケニアでは、公共医療従 バイア州の住民 設定した官民パートナーシップのおかげで 1,200 人 事者と民間医療従事者に均等な機会を与え、同国 100 万人がその 恩恵を受けてい が雇用され、昨年は、コンサルティング会社であ の国民最高 2,000 万人に医療サービスを拡大する ます。 る KPMG により、世界で最も革新的なプロジェク 「2012 年保健法」が制定されました。また妊産婦の 上: インドのメ ト 100 件の一つに選ばれました。 死亡率が世界で最も高い国の一つ南スーダンでは、 ガラヤ州の路上 この病院の成功例は、政府当局と民間セク IFC の助言が、同国に出回る医薬品の質向上に携わ で州のユニバー サル医療保険プ ターが手を結めば、深刻な開発問題にも対応可能 る医薬品 ・ 食品管理局の設立に貢献しました。 ログラムに加入 であることを示しています。ブラジルなどの途上 また、インドの低所得州でもヘルスケアの質 するよう低所得 国は近年、医療面で著しい進歩を遂げましたが、 向上のための機会が多く存在します。限られた医 世帯に訴える光 景。同プログラ 難しい問題は依然として残されています。それは、 療保険しかないメガラヤ州では、官民パートナー ムは IFC と世銀 往々にして医療を最も必要としている貧困層に進 シップの形成で政府を支援し、州住民の所得水準 の共同支援によ り実現したもの 歩の恩恵が行き届いていないことです。 を問わず、300 万人の住民全員に医療保険を提供す です。 民間セクターはそのソリューションの重要な ることが可能になりました。 担い手です。公的資源が乏しいサブサハラ ・ アフ リカでは、ヘルスケア向け資金の約 60% は民間セ クターによって賄われています。病気の子供を抱 えた貧しい女性は、公共医療施設に通うのと同様 に民間の病院や診療所を利用することができます。 36 _ IFC 年次報告書 2013 イノベーション 気候変動 地球温暖化への取り組み IFC は、投融資と助言を通じて、この世界的脅威に 科 学的には疑いの余地がありません。温室 よる影響の緩和と適応で各国を支援しています。 効果ガスの排出削減に向けて協調的な行 動をとらなければ、地球の温度は今世紀 中に 4℃上昇する恐れがあります。これ が現実のものとなれば、かつてない規模 の熱波、干ばつ、洪水が発生し、途上国に住む何 百万もの人々の経済的繁栄は絶望的となり、数十 年に及ぶ開発の成果も帳消しになるでしょう。 気候変動と闘うための費用も莫大に上り、途 上国では年間最高 1,000 億ドルが必要となるでしょ う。しかし、民間セクターの資源と独創的なアイ デアを活用すれば不可能ではありません。 IFC は、気候変動対策プロジェクトに民間 資金を利用するための方策を見出しつつあります。 革新的な技術開発への資金調達を支援し、エネル ギー効率の向上や再生可能エネルギーへの切り替 えを奨励しているのです。さらに、気候変動の影 響緩和と適応では、投融資と助言の両面で各国を 支援しています。 IFC の気候関連の投融資は、2013 年度の 25 億 ドルを含め、2005 年以降合計 105 億ドルに上りま す。今年、IFC は、気候関連の投資に特化した世界 パートナーシップの威力 _ 37 105 億ドル。 2005 年以来、 提供されてきた気候関連の 投融資総額。 左上: IFC は南アフリ 最大規模の「グリーンボンド」を発行し 10 億ドル 建設会社がより安価でエネルギー効率の高い カで初の集光型太陽 を調達しました。これは、トリプル A のグリーン 設計を取り入れるよう支援することで、IFC は問題 熱発電所の建設を支 援しています。この方 ボンドに対する民間需要がいかに高まっているか 緩和のチャンスが大いにあると見ています。その 式は、反射板を用いて を体現するものです。また、IFC アセット・マネー 際、「効率改善のための優れた設計(EDGE)」とい 太陽光を集光し、その 熱で蒸気を発生させ、 ジメント社の運用下で、気候関連の投資を主眼と うツールを用いて、グリーンな建物の国際基準を タービンを回転させ する斬新なファンド「IFC 触媒ファンド」も立ち上 確立し、温室効果ガスの排出量を削減しつつ費用 て発電します。 げました。 も節約することに役立っています。 南アフリカでは、この地域で初の集光型太陽 IFC の 2013 年度の最初の投融資は、金融仲 熱発電所の建設支援のため、革新的な融資パッケー 介機関を通じてグリーンな新築建物に行われまし ジ(協調融資 2 億 2,500 万ドル、ドナー資金 4,150 万 た(インドの省エネ型住宅モーゲージもこれに含 ドル)を提供しました。「Khi Solar One」および まれる)。IFC はまた、世銀と共同でロシアの政策 「KaXu Solar One」の各プロジェクトは、反射板を 担当者に助言を提供し、同国の何百万もの住宅所 用いて太陽光を集光し、その熱で蒸気を発生させ、 有者が効率改善用の新規貸付を受けられるように タービンを回転させて発電するもので、火力発電 する画期的な法律の制定に寄与しました。 に頼ってきた同国の発電方式の多様化に役立つで しょう。 IFC は都市化から生ずる環境問題にも取り組 右上: この種の IFC プロジェクトの中でも、メキシコの Real んでいます。建物は世界の温室効果ガス排出量の Solare 住宅開発は、エネルギー、水、資材の使用量を 20% 削 15% を占めています。途上国では、仕事を求めて人 減して EDGE 認証を受けた最初のものの一つです。 口が都市に移動する中、この値は今後数十年中に 右下: 南アフリカの太陽熱発電所への IFC 投融資は火力発電 上昇するものと予測されます。 に頼ってきた同国の発電方式の多様化に役立つでしょう。 38 _ IFC 年次報告書 2013 イノベーション 金融へのアクセス 金融機関を通じた貧しい 人々への支援 IFC は 900 余りの金融機関を通じて、 中小企業や何百万もの人々による金融への アクセスを拡充しました。 ガ ーナの首都アクラでコンスタンス・アダ エの小さな店が火事で全焼し、一夜にし てビジネスを失ったとき、生計を取り戻 し借金を返済していく手立てのない彼女 は最悪の状態を恐れました。 アダエがその時気づかなかったのは、ビジネ ス融資を受けたときに、ローンの中に保険が組み 込まれていたことです。 IFC の顧客 MicroEnsure が安価な保険をか けておいてくれたおかげで、ガーナの保険会社 Vanguard Assurance から早速、保険金がおりたの です。アダエは、短期間閉店しただけでプラスチッ ク容器の販売店を再開することができました。 新興国での金融アクセスは、いまだに差別が 著しく、革新的なソリューションを用いることで、 その差を縮小できる可能性があります。預金口座 がなかったり与信を受けられない成人は 20 億人以 上いるうえ、融資にアクセスできない中小企業は 2 億社に上ります。 IFC の後押しを受け、MicroEnsure 社は、携 帯電話事業体である Telenor 社と提携し、同社の技 術基盤を配信網として利用して、アフリカやアジ アの多くの低所得層に金融サービスを提供しよう としています。これにより、MicroEnsure 社の顧客 数は現在の 400 万人から 2017 年には 1,100 万人に 伸びる見通しです。 インクルーシブな金融システムの確立と維持 にあたり、IFC は、100 か国を超える途上国で 900 社以上の金融仲介機関網を構築しました。このネッ トワークを用いれば、IFC が単独で支援できる数を パートナーシップの威力 _ 39 上: コンスタンス・アダエの小さな店が火事で全 焼したとき、IFC 顧客である MicroEnsure 社から 保険金が下りたため、アダエは、短期間閉店した だけでビジネスを再開することができました。 遥かに超える零細 ・ 中小企業を支援する 20 ことができます。例えば、女性が所有す るビジネスや紛争の影響下にある国など 支援の行き届いていない地域は、IFC の 戦略的優先課題ですが、民間資金が不足 億人。預金口座を持たないか、 することが多いため、同ネットワークを 与信を受けられない成人の数。 活用することで、このセクターへの支援 が可能になります。 2012 年中、IFC 顧客である金融仲介 機関は、総額 2 億 6,500 万ドル以上の貸付 2 を零細・中小企業に行いました。 ハイチでは、Microinsurance Catastrophe Risk Organisation(MiCRO) 億社。信用にアクセスできない と協力して(プロジェクト合計 200 万ド 中小企業の数。 ル)、零細起業家である女性 7 万人を対象 に、地震、暴風雨、洪水などの自然災害 から生計を守るための安価な保険を入手 できるようにしました。 こうした金融仲介機関への直接投資 のほかに、IFC は、興信所へのアクセス 向上、リスク管理におけるベストプラク ティスの促進、環境 ・ 社会基準の導入など、 金融サービスへのアクセスを拡充するた めの触媒的な役割も果たしています。 また、ベトナムでは、借入の担保と なった動産(例:機械や車両)を追跡す るオンライン登記システムの開発を支援 しました。その結果、銀行は貸付リスク をより正確に評価できるようになり、土 地を所有していない小企業による借入が 容易になりました。 40 _ IFC 年次報告書 2013 影響力 機会の創出方法 影響力行使のための 民間セクターに特化した世界最大規模の開発機関であ る IFC は、民間セクター開発の過程で影響力を行使す る際にも大きな役割を演じています。 他機関を先導する地位にある IFC は政策アジェンダの 策定過程にも支援を行っています。IFC はまた、食糧 安全保障から小企業の金融アクセスに至る各種の重要 な開発課題に関し、先進 ・ 途上国主要 20 か国グループ (G20) を支援しています。さらに、雇用創出、結果の 測定、コーポレート・ガバナンス基準の向上において、 IFC のアプローチを用いる開発金融機関がしだいに増 えています。 パートナーシップの威力 _ 41 パートナーシップ 42 _ IFC 年次報告書 2013 影響力 雇用創出 貧困脱却への確かな道 投融資先の顧客は昨年、270 万人の雇用を直接生みました。これは、 IFC が雇用に与えた全体的成果のほんの一部に過ぎません。 上: かつて失業していたラム・ラワットも IFC 顧客である OCL に就職。今日では、イン ドの最貧州の一つで自分の建設会社を経営し、 200 人の労働者を監督しています。 パートナーシップの威力 _ 43 というべきものです。にも拘らず、失業者は現在 2 億人に上 り、その多くは途上国に住む女性や若年層の人々です。仕事 がなければ、自分も家族も養うことができません。 民間セクターは途上国における雇用の 90% を創出して います。従って、民間セクターを考慮せずにこの問題に取り 組むことは不可能です。IFC は、民間セクターの雇用を増や す方策の特定において主導的な役割を担っています。 援助パートナーの支援で実現した調査によると、雇用 を特に脅かす要因は、未整備な投資環境、不十分なインフ ラ、零細 ・ 中小起業に対する限定的な金融アクセス、訓練不 足だと指摘しています。これらの障害を除去すれば雇用数は 大幅に増えるでしょう。この結果を受けて、主な国際金融機 関 30 件ほどが IFC と連携して雇用危機に取り組むと約束し ました。 90% 2012 年、IFC の投融資先顧客は 270 万人の雇用を直接 生み出しました。直接的な雇用数は、多くの場合、IFC がも たらした全般的な雇用効果のほんの一部に過ぎません。IFC の調査によると、サプライチェーンや流通チェーンを通じた 途上国で生み出される雇用の 間接的な雇用効果は、直接的な効果の何倍 ・ 何十倍にもなり うち、民間セクターが創出する うることが分かっています。 割合。 IFC の支援を受けた金融機関は、零細・中小企業に総 額 2,650 億ドルほどの貸付を行い、貸付を受けた零細 ・ 中小 企業は 1 億人以上を雇用しました。 イ 今年、IFC は、20 余年ぶりにメキシコの主な民間石油 ンドの最貧困州の一つオディシャ州の村で暮らす 化学プロジェクト「Etileno XXI」を支援するために、自己 ラム・ラワットは以前、これといった特技もないた 資金 2 億 8,500 万ドルを供与し、さらに協調融資 3 億 5,000 め就職口も見つからず、毎日のらくらと生活してい 万ドルを動員しました。これにより、建設段階で 9,000 人を ました。 雇用し、2015 年の操業開始時には 3,000 人の雇用を直接的 ・ そんなある日、IFC の支援を受けて現地企業 間接的に創出する見通しです。 の OCL India Ltd. が地元に工場を建設したと聞きました。早 速、工場に出向き働き口はないかと尋ねたところ、手仕事な らあると言われ、採用されたのです。以後、精力的に働くラ ワットの姿勢を認めた同社は、単なる仕事ではなくキャリア 前進の道を彼に与えました。 今日、ラワットは 200 人の労 右上: Etileno XXI は、20 余年ぶりの大型民間石油 働者を監督する自分の委託会社を経営しています。 化学プロジェクトです。これにより 3,000 人の直接 的・間接的な雇用が見込まれています。 仕事は貧困脱却のための確かな道です。それは、生活 水準を高め、生産性を向上し、社会的結束を育む開発の礎石 44 _ IFC 年次報告書 2013 影響力 世界銀行グループ ミャンマー活性化のための 協調的取り組み 世銀と IFC は、共同イニシアティブを通じて、両機関の 世銀は、同国の火急のニーズへの支援として 比較優位性を利用し、業務の与えるインパクトを高めよ 1 億 6,500 万ドルの融資を無利子で提供しています。 このほか、学校、診療所、道路、給水施設の改善 うとしています。 を村民が実施できるようコミュニティ主導型の開 6 発プロジェクトに 8,000 万ドルの贈与も提供してい 0 年に及ぶ紛争と経済孤立化によりミャン ます。 マーは貧乏しています。国民の 4 分の 3 は これと並行して、IFC は、同国内の民間セク 電気のない生活を送り、雨季になると道路 ターの成長を支援し、有力な海外投資家を誘致し、 の半分は通行不能になり、多数の子供たち 雇用創出を促進するため、投資環境の整備と金融 は栄養不足に陥っています。 へのアクセス拡充を図っています。さらに、世銀 そんな同国の将来も明るく見えます。ミャン と多数国間投資保証機関(MIGA)とも連携して、 マーは 2011 年に、民主的政府と市場志向の経済シ 当面は電力セクターと通信セクターを中心に、同 ステムに移行し始めました。この動きは、世界の最 国の基本的インフラの整備を進めていきます。 貧国の一つという地位から脱却し、アジア有数のダ IFC はまた、ミャンマーへの初投資も行い始 イナミックな経済国としてのかつての役割を回復す めました。IFC 顧客であるカンボジアの ACLEDA るという大きな変革の可能性を秘めています。 Bank がミャンマーでマイクロファイナンス機関を それは複雑で時間のかかる作業です。ミャン 新設するための資金として同行に 200 万ドルの融 マーには豊かな自然資源がありますが、開発を阻 資を行ったのです。同機関の目標は、2020 年まで む大きな障害にも直面しています。同国のもつ潜 に 20 万人以上(その大半は女性起業家)に貸付を 在性を実現するには、経済ガバナンスの強化、イ 提供することです。 ンフラ再構築、法規枠組みの近代化、国民全体が IFC は、融資のほかにも、同機関のマイクロ 繁栄を享受するための方策の策定が必要です。 ファイナンス ・ サービスの提供能力の強化、リス 以上の分野は、IFC と世界銀行がそれぞれの ク管理業務の強化、さらに責任ある財務戦略の策 独自な能力を活かして重要な役割を担うことが可 定支援にも携わっています。 能です。世銀と IFC は今年、合同戦略の下で、世 銀の国際開発協会(IDA)に対する同国の遅延債務 解消に向けて動き始めました。 パートナーシップの威力 _ 45 能しています。例えば、IFC は G20 の 「金融包摂のためのグローバル ・ パー トナーシップ(GPFI)」を支援してい るほか、バラク ・ オバマ米大統領が 2010 年に発表した「中小企業金融革新 基金」と、女性起業家の金融へのアク セス拡充策をめぐり知識とベストプラ クティスの共有を目指す G20 のイニシ アティブ「女性のファイナンスに関す 中小企業 (SMEs) るハブ」の管理にも当たっています。 ビジネス繁栄に向けた支援 IFC は、約 80 か国で、中小企業 に投融資と助言サービスを提供してい ます。その際、投資環境の整備から、 経営能力の習得、金融や市場への アクセス拡充に至る、中小企業の全発 展段階に主眼を置いています。IFC 顧 IFC は、投資環境の整備、運営管理技能の構築、金融へのア 客は 2012 年に、総額 2,410 億ドル、 クセス拡大に携わることで、中小企業の育成に支援を行って 合計 580 万件の融資を中小企業に行い います。 ました。 インドのビハール州では、小規 ナ 模企業のフォーマル化を促進するた ビル・アル・ジャバリ一家は 60 年にわたりエジプ め、税制改革の実施についての助言を ト ・ カイロの中心で小さな食品雑貨店を経営してき 提供したほか、法人税の電子申告 ・ 納 ました。常連客はあったのですが、新たな客を引き 税システムの強化も支援しました。こ 寄せたいとアル・ジャバリは考えていました。そこ の改革により税収が増した上、フォー で、IFC 顧客である Fawry 社が開発した電子支払い マル経済に加わった多くの小企業がそ システムを導入して、顧客がクレジットカードで買物をした の恩恵に預かりました。 り、携帯電話料の支払いをできるようにしたのです。 またスリランカでは、東部州に ビジネスにとっては比較的非効率的な現金取引に頼っ 初のビジネス研修センターを開設する ている国では、このシステムの導入は決定的なものでした。 ため Nation Trust Bank と協力しまし 上: ナビル・アル・ これにより、アル ・ ジャバリは何十人もの新たな客を誘致し、 た。さらに、小規模ビジネス向けのオ ジャバリのような 収入が 15% 増えたと述べています。 エジプトの起業家 ンライン研修 ・ 経営管理ツールである 中小企業(SMEs)は、途上国の雇用の 3 分の 2 を占 は、IFC 顧客である SME ツールキットを通じて、最高 3 万 Fawry 社が開発した める、繁栄には欠かせない主力です。IFC は、G20 主要国と 電子支払いシステム 人の小事業主の競争力強化と新市場へ のパートナーシップや自己の投融資 ・ 助言イニシアティブを のおかげで、新たな の参入を支援しています。 客の誘致に成功して 通じて、これらのビジネスにより多くの機会を提供すべく世 います。 界規模で主要な役割を演じています。 右上:インド・ビハー 今年、Fawry 社に 600 万ドルの融資を行ったのもまさ ル州で小さな時計店 にそのためです。IFC 融資は、現在 2 万台ある同社の支払い をもつマノジ・ク 端末網を拡大するのに役立ち、エジプト全体で多くの小規模 マールは、小規模企 業のフォーマル経済 ビジネスの成長に拍車をかける可能性を秘めています。 への組み入れを奨励 IFC は、SMEs の金融へのアクセス拡大に向けた様々 する税制政策改革の 恩恵を受けました。 なイニシアティブに関し、G20 の技術アドバイザーとして機 46 _ IFC 年次報告書 2013 影響力 食糧安全保障 小規模農家のための機会拡充 IFC は、途上国の農業生産性を向上し、食糧を最も必要としている人々に十分届 くようにしている顧客に支援を行っています。 パートナーシップの威力 _ 47 世 界人口の 3 分の 1 に当たる 20 億人以上の人々は小規模 農家が生産した食糧に依存し ています。飢えが蔓延する地 域では決まってこうした農家 が大勢を占めているようです。 小規模農家への支援は生産性の 向上に寄与するほか、農家と市場を連 結することは毎日飢えに苦しむ世界 10 億人ほどの人々に食糧を与える基本 的方法となっています。また、貯蔵さ れた食糧の適切な管理は、良質の食糧 に対する世界的需要が高まりつつある ときと、気候変動により農業生産性が 低下する恐れがあるときに不可欠とな 上: ハイチで農業を 今年、IFC と GAFSP の民間支援 営むヘルミルス・ロ ります。 部門は共同で社会投資基金である Root ヴァナは、IFC 顧客 アグリビジネスの強化は IFC の の Microinsurance Capital に 1,000 万ドルの投融資を行い、 Catastrophe Risk 今後 4 年間に 30 万戸の小規模農家が 優先課題です。それは、食糧安全保障 Organisation が提供 の確保において、そして全体の 4 分の する安価な保険の恩 運転資金や市場に一段とアクセスでき 3 が農村地域で暮らす貧困層の収入向 恵を受けました。 るようにしました。 上において重要だからです。 農家は、天候不順、農産物につ IFC のアプローチは総括的です。 く病害虫、土地劣化、市場メカニズム 民間セクターとの間では、安価な食糧 の機能不全といった危険にさらされて を増やし、それを最も必要としている います。IFC は、世銀と数件の援助パー 人々に届くよう協力しています。また トナーとの共同により立ち上げられた 金融機関や、一次産品の貿易業者、企 革新的な「グローバル ・ インデック 業、市民社会団体との間では、大小各 ス ・ インシュアランス ・ ファシリティ 種の農家が生産性を高め、農業サプラ (GIIF)」を通じて、サブサハラ ・ アフ イチェーンに参画する上での障害を克 リカ 7 か国とスリランカの合計約 11 万 服できるよう支援しています。 9,000 戸の小規模農家を対象に、洪水 例えば、東アジア ・ 太平洋地域 や干ばつなどの自然災害や天候不順に では、農家が品質と持続可能性を確 よる損害に対して保険を提供するため 約する認証コーヒーを国際市場で販売 の支援を行いました。 できるよう、Ecom Coffee のような大 手のコーヒーバイヤーと協力していま 310 す。この認証制度により、多くの農家 の生産性と収入が向上しました。 IFC は、食糧安全保障の確保のた めの世界的イニシアティブで主要な役 万戸。2012 年に IFC 顧客の 割を果たしています。例えば、食糧安 支援を受けた農家の戸数。 全保障に関する G20 の公約実行を目的 に設立された国際基金「世界農業 ・ 」で 食糧安全保障プログラム(GAFSP) は、IFC は民間セクターへの支援を担 当しています。この基金の民間セクター 支援部門では、ドナー資金と民間融資 左: 国際貿易会社 Ecom に納入 をブレンドして零細農家や農村事業に するコーヒーの収穫にあたるベ トナムの農民。同社はインクルー も手を差し伸べることができます。 シブなビジネスモデルを用いて 農家の生産性と収入の向上を助 けています。 48 _ IFC 年次報告書 2013 デモンストレーション 機会の創出方法 デモンストレーション 効果を示すための 模範を示すことは IFC の長年の慣習でもあります。 IFC は、「新興市場」が世界の投資家の人気の的となる数 十年も前からこの資産クラスに投融資を行ってきました。 実際、「新興市場」という言葉は IFC が編み出した造語で す。1980 年代の半ば、IFC は、途上国の上場企業に資金 を供給するために世界初のグローバル投資基金を立ち上げ ました。新たな資金が流入するようになると、多くの現地 企業が国際舞台に登場するほどまでに発展し、無数の都市 や村落で雇用が生み出され貧困が削減されました。 今日、IFC は、困難な市場への投資には大きな見返りがあ ることを実証し続けています。 パートナーシップの威力 _ 49 パートナーシップ 50 _ IFC 年次報告書 2013 デモンストレーション インフラ アフリカの繁栄促進 IFC は、インフラサービスを最も必要としているフロンティア国・ 地域を中心に、貧しい人々に大きな影響を与える画期的なプロジェ クトを進めています。 上: コートジボワールの Azito 地熱発電所の拡張により、 より多くの国民に電力が支給され、同国の経済成長を続行 させる上で役立つでしょう。 パートナーシップの威力 _ 51 世 界人口の 5 分の 1 弱に当たる約 12 億の人々 IFC は、この Azito プロジェクトに自己勘定 が電気のない生活を送っています。安全 で 1 億 2,500 万ドルを供与しました。残りの金額は、 な飲料水のない人々は推計 8 億 8,000 万 リード・アレンジャー(代表金融機関)としての 人、全天候型の道路にアクセスできない 機能で、欧州の開発金融機関 5 件と西アフリカ開 か、電話サービスを受けられない人々は 発銀行から調達しました。 10 億人以上に達します。 グリッド電力にまだ接続されていないサブサ 途上世界で経済成長を阻んでいる元凶はイン ハラ・アフリカの地域では、世銀や他の援助パート フラの不足です。より効率的なインフラがあれば、 ナーと協力して「アフリカに光を」プロジェクトの 何百万もの人々が清潔な水や安全な衛生施設の恩 拡充を図っています。人々が、灯油のような従来の 恵を受けることができます。企業は商品をより早 非効率的で高価な燃料ベースの照明から、ソーラー・ くしかも安価に市場に運ぶことが可能になります。 ランプや自転車のライトに似たダイナモ ・ ライトな 近代的なインフラが整備された国では、いちだん ど、より経済的で気候変動に対応した代替的照明に と多くの海外投資を誘致できます。 切り替えるよう支援を行っています。 インフラの拡充と近代化は、特にアフリカと このプログラムにより、アフリカではすでに 運輸 ・ 電力セクターで IFC の優先項目となってい 690 万人がクリーンな照明にアクセスでき、温室 ます。IFC は、一部の最貧国で繁栄促進のためのプ 効果ガスの排出量 13 万 8,000 トン(乗用車 2 万 ロジェクトに投融資を行い、各政府に対し官民パー 6,000 台に相当)の節減につながっています。IFC は、 トナーシップの立案と実施を助けています。 これに似たイニシアティブをアジアでも主導してお インフラ整備が最大の緊急課題であるサブサ り、2015 年までにはインドの農村の住民 200 万人 ハラ ・ アフリカでは、発電量の拡大支援に率先し にオフリッドの照明具を提供しようとしています。 て乗り出しています。この地域における 2013 年度 のインフラ ・ プロジェクト向け投融資は、他機関 から動員した資金を含め、総計 10 億ドルを超えま した。その中には革新的な太陽光プロジェクトも 数件含まれています(37 ページ参照)。 長期にわたる政治的混乱から回復しつつある 690 万人。世銀の「アフリカに光を」 コートジボワールでは、Azito 地熱発電所の近代化 プロジェクトのおかげでクリー に 3 億 4,500 万ドルの投融資パッケージを提供しま ンな照明にアクセスできるよう した。この発電所の近代化により、ガスの使用量 になった人々の数。 を増やさずに、発電量を 50% 増大させることがで きます。同発電所は、この地域で有数の大型独立 発電事業者となり、同国の電力不足の緩和に役立 つほか、現在、高価なバックアップ電力システム に依存している国民にとっても大きなお金の節約 中央上: ガス管を調べる Azito 発電所の作業員。 になるでしょう。 右上: 日没後に照明で明るくなった我家をみて思わず微笑む 少女。IFC の「アジアに光を」プログラムにより、インドで は 200 万人に照明がもたらされる見込みです。 52 _ IFC 年次報告書 2013 デモンストレーション 資金動員 民間投資を誘引する新市場の開拓 IFC は他の投資家も結集させることにより、各々の持つ知識や専門知識を総合してプロ ジェクトの開発成果を最大限に高めようとしています。 途 上国の資本市場への対外投資は近年、増加しています。しか ンドは IFC アセット ・ マネージメント社が運用して し、最小国や最貧国を対象としたものはわずかな割合に過ぎ います。 ません。途上国向けポートフォリオ ・ フロー全体の 80% は、 2017 年までに最高 1 万 6,000 この融資により、 大型新興国 14 か国に集中しています。資本市場の流動性に 社の小企業が金融にアクセスできるようになり、 乏しく高リスクの小国には、依然として投資家の関心は皆無 合計約 17 万人の雇用(直接的 ・ 間接的の両方)が に近い状態です。 可能になる見通しです。 IFC は、この不均衡への取り組みでも重要な役割を果たしていま バングラデシュでは、同国の通信事業体 す。今年は、こうした小国の民間企業の上場銘柄(いわゆる「ネクスト Grameenphone 社に対する約 3 億 4,500 万ドルの資 50」と呼ばれるもの)に主に投資を行う大手機関投資家を誘致するため、 金供与(うち 1 億 9,000 万ドルは自己勘定)におい 5 億ドルの国際基金に 1 億ドルを供与することをコミットしました。 て投資家のコンソーシアムを先導しました。この 他の投資家から資金を誘引することは、IFC のビジネスモデル 投資は、同社が国内の遠隔地に携帯電話サービス の重要素となっています。IFC の活動をテコにして民間セクターから を拡充するのに役立つでしょう。 追加資金を調達できれば、自己資金で達成できる以上の効果を期待で IFC はまた、協調融資を通じて資金を動員し きるうえ、知識を集合することも可能になります。 ています。協調融資は IFC が行う融資に他の投資 2013 年度、IFC は銀行、国際金融機関、政府系ファンド、年金、 家が参加する形で行われます。2013 年度の協調融 他のパートナーとの協調により、途上国向け投資として 65 億ドルを動 資総額は 31 億ドルに上り、IFC が動員した資金全 員しました。その実施に際しては、IFC 協調融資プログラム(73 ページ 体のほぼ半分を占めました。 参照)などの各種プログラムや、 IFC アセット・マネージメント社(AMC) 上: スリランカの 31 Commercial Bank of を通じて行いました。AMC は特定のセクター ・ 地域に主眼を置く 6 つ Ceylon の支援を受け のファンドをもつ、運用資産総額 55 億ドルの全額出資子会社です。 た小企業で働く社員。 このアプローチを用いて、スリランカでは、数十年に及んだ紛 IFC と IFC アセット・ マネージメント社は 争後の経済再建に不可欠な中小企業向け資金を増強しました。これに 同社に 7,500 万ドルの 億ドル。2013 年度に誘引した 伴い、同国最大の商業銀行である Commercial Bank of Ceylon に 7,500 万 融資を提供しました。 協調融資総額。IFC が動員した ドルの長期貸付を行いました。 資金全体のほぼ半分を占めま この融資は、IFC と日本の国際協力銀行(JBIC)により 2009 年 した。 に設立された株式と劣後債のグローバル ・ ファンド「IFC 途上国銀行 (総額 30 億ドル) 資本増強ファンド」 を通じて行われました。このファ パートナーシップの威力 _ 53 南・南投資  開発に欠かせない 重要な力 IFC のプロジェクトは、一国から他国への技術移転を奨励しています。 それにより地域統合や雇用創出が促されます。 途 上国は、近年の目覚しい経済発展にも拘 上: インドの に、地域企業を国際舞台で競争できる多国籍企業 Apollo Tyres 社 らず、依然として膨大なニーズを抱えて へと発展させることも可能です。 の子会社が運営 います。 する南アフリカ IFC はまた、南・南投資の促進のため他の投 サブサハラ ・ アフリカだけをみて の工場で働く作 資家から資金を動員しています。IFC の協調融資プ 業員。IFC の投 も、今後 10 年間に、道路や鉄道網、電 融資により、同 ログラムは、2013 年度にこの分野で大きく貢献し 力、給水・衛生プロジェクトなど、インフラの需 工場の生産量が ました。新興国の金融機関は IFC シンジケート団 3 分の 1 増産さ 要を満たすのに年間 900 億ドル以上の投資が必要 への参加を増やし、これら機関の契約額は前年に れるでしょう。 です。中東 ・ 北アフリカ地域では、経済的競争力 比べて倍増し、今年の IFC 協調融資総額 31 億ドル を高め、近年の経済成長率を維持していくのに年 の実に 29% を占めました。 間最高 1,000 億ドルが必要になります。 今年、IFC とその子会社 IFC アセット ・ マ こうしたニーズは、他の途上国の民間企業 ネージメント社が運用する 2 つのファンドは、小 にとって絶好の機会となっています。これらの国 企業による金融アクセスが依然として難しいサブ は未着手の新興市場への進出に非常に意欲的です。 サハラ・アフリカ全域への進出を図るモロッコの 途上国は今や、新興市場への対外直接投資の 3 分 Banque Centrale Populaire を支援するため、2 億 の 1 以上を占めています。 400 万ドルの株式出資を行いました。 世界規模で業務を展開する IFC は、この強み さらに、インドの Apollo Tyres 社の子会社に を活用して、南・南投資の促進に重要な役割を果 対し 1,100 万ドルの投融資を行い、南アフリカにあ たしてきました。南・南投資は、地域統合、雇用 る同社のタイヤ工場の一つの生産拡大を支援して 創出、経済発展の重要な刺激薬になると見ている います。この企業は乗用車、バス、トラックのタ からです。こうしたプロジェクトへの 2013 年度の イヤ ・ メーカーです。IFC 投融資により、Apollo 投融資はほぼ 17 億ドルに達し、IFC の自己勘定に Tyres 社は、南アフリカのレディスミス市にある よる投融資契約の約 10% を占めました。 工場で、約 3 分の 1 の増産に相当する 1 日約 1 万 このようなプロジェクトを支援することで、 3,000 個のタイヤ生産が可能になります。 IFC は、途上国から他の途上国への知識・技術の移 転を促し、以前には入手しにくかった財やサービ スを一段と普及させる助けとなっています。さら 54 _ IFC 年次報告書 2013 デモンストレーション 現地の資本市場 成長に拍車をかける効果的方法 強 固な国内資本市場は民間セクターの繁栄 IFC は多くの国で現地通貨建て債券を初 の基盤といえます。この市場は対外債務 めて発行した国際機関となっているため、 への依存度を軽減し、国際資本市場の突 他の発行体のモデルとなることが多々あ 然の変動から自国経済を守ってくれます。 ります。 この市場はまた、現地通貨建てで長期資 金を調達する手段となるほか、途上国での雇用創 出の原動力である民間セクターの成長に不可欠な インフラや他の分野に資金を動員する手助けもし ます。 IFC は、効率的な現地資本市場の重要性を世 界に訴えており、新興国の現地市場の育成に重大 な役割を果たしています。IFC はまた、新興国での 現地通貨建て債券の初の国際発行機関であること がよくあります。債券発行に際しては、規制当局 や投資家と密接に連携しながら、規制枠組みの改 善、現地市場への参加奨励を図ると共に、他の国 際発行機関のモデルにもなってきました。 パートナーシップの威力 _ 55 100 億ドル。IFC がこれまでに発 行した現地通貨建て債券の 合計。 IFC はこれまでに、ブラジル ・ レアル、ロシ 品の普及を目的に、現地通貨建て投融資を合計 6 ア ・ ルーブル、ナイジェリア ・ ナイラ、マレーシ 件行いました。これらの投融資は、現地通貨建て ア ・ リンギット、中国 ・ 人民元など 12 か国の現地 融資を提供するために 2011 年に中国の銀行と締結 通貨建てで債券を発行してきました。さらに、現 した人民元への対ドル・スワップ取極めを反映し 地通貨建て投融資は総額 100 億ドルを超え、通貨 たものです。IFC はこのような取極めに調印した初 数は他の国際金融機関をしのぐ 58 通貨に上ります。 の多国間機関です。 ナイジェリアでは今年、外国の金融機関とし 現地通貨建て融資を最も受けにくいのは往々 て初めてのナイラ建て債券を発行し、7,500 万ドル にして小規模企業です。IFC は、この問題を乗り越 (ドル換算値)を調達しました。この資金は同国に えるため小規模企業を支援しています。ドミニカ おける IFC の開発プログラムに利用されます。投 共和国では今年、国際金融機関として初めての現 資家全員が、ポートフォリオの多様化を図るナイ 地通貨建て債券を発行し、1,000 万ドルを調達しま ジェリアの年金基金、資産運用会社、銀行でした。 した。この資金は 2 つのマイクロファイナンス機関、 また、現地市場で社債発行を奨励するための枠組 すなわち、1,000 ドル以下の小口貸付が多数を占め み策定において政府と規制当局を支援しています。 る Fondesa 社と、平均住宅価額が 3 万ドルほどの 加えて、ロシアでも外国機関としては初のインフ 低所得者向けモーゲージを提供する La Nacional 社 レ連動債を発行しました。 に向けられました。 中国ではこれまでのところ、金融へのアクセ ス拡充、食糧安全性の確保、良質で経済的な医薬 56 _ IFC 年次報告書 2013 インパクト 機会の創出方法 インパクトを与えるための IFC は、万人のための繁栄を促進できる形で、新興国での 機会創出に民間セクターの力を活用することにより、開発 活動において先導的な役割を果たしています 。 開発成果の達成に際しては、他の投資家が二の足を踏むよ うな世界の最貧国や地域、紛争の影響下・不安定な情勢下 にある場所に積極的に出向いたり、サプライチェーン全体 で機会を生み出す方法を模索する顧客を支援したり、生み 出された結果が IFC の目標に沿ったものかを詳細に追跡 したりして、その実現を図っています。 パートナーシップの威力 _ 57 パートナーシップ 58 _ IFC 年次報告書 2013 インパクト 紛争の影響下にある地域 持続可能な成長の下地造り 広 紛争の影響下にある脆弱な地域における IFC プロ 帯域インターネット技術の開発はまさに ジェクトの目的は、雇用創出と政府によるインフラ 革命的だといえます。個人に大きなパワー を与え、ビジネスチャンスを作り出し、 復興の支援を行うことです。 経済発展を可能にするからです。しかし、 戦争で荒廃したアフガニスタンでは、こ の技術はほとんどの国民にとって無縁の存在です。 IFC はそれを変えようとしています。主要都 市の人口の 80% に高速広帯域サービスを提供しよ うとする同国最大の携帯電話事業体 Roshan 社を支 援しているのです。今年は、同社が 3G ライセンス を取得して広帯域ネットワークの強化を図れるよ う 6,500 万ドルの長期融資を提供しました。 それにより、同社は、アフガニスタンの一般 市民の生活向上に役立つ各種の革新的なサービスを 提供できるようになります。その一例が、銀行口座 を持たない人でも、携帯電話を使って素早く安全に お金の送受信が可能になるモバイル ・ バンキング ・ サービス「M-paisa」です。もう一つの例は、同国 パートナーシップの威力 _ 59 5 億 7,700 万ドル。2013 年度に紛争の影響下にある地域に投じられ た投融資額。 の遠隔地により良い保健医療サービスを提供する 紛争の影響下にある脆弱国での業務は、投融 右上: アフガニスタン 最大の携帯電話事業者 Roshan 社のテレメディシン ・ プロジェクトです。 資の基礎を築くため助言業務から始まることがよ Roshan は IFC の支援 紛争と不安定な状況は、世界各地で貧困の第 くあります。IFC は、世銀や援助パートナーとの協 で自社のネットワーク 一の元凶となっています。また今後数十年のうち 働作業を通じて、2010 〜 12 年に、紛争の影響下に を拡大。 そのおかげで、 長期にわたり電話のな に世界の貧困層のほとんどが紛争の影響下にある ある脆弱国 22 か国で 60 件を超える投資環境改革 かった人々に携帯電 脆弱な地域で暮らすことになる点を踏まえ、IFC は の策定を支援し、うち 40 件はアフリカで進められ 話とインターネット・ サービスが可能になり この地域での機会創出にいっそう注力しています。 ました。 ました。 2013 年度の紛争の影響下にある脆弱地域向け 例えば、ブルンジで実施された一連の改革 右下: ミャンマーの首 投融資は約 5 億 8,000 万ドルでした。この地域での により、事業登記数は 2010 年に 674 件だったのが 都ヤンゴンで食べ物 アドバイザリー ・ サービスの支出は、合計約 4,000 2012 年には約 1,350 件に倍増しました。同国のビジ を供する屋台主。 万ドル(全体の 18%)でした。 ネス環境の改善に伴い、海外投資が増大しています。 IFC の目標は、雇用創出、ビジネスの持続的 また、紛争の影響下にある国は国際貿易から な成長を阻む障害の除去、政府に対するインフラ 締め出されることが多いため、貿易金融の改善も 再建支援です。その実現に当たり、電力と与信の 非常に重要となります。2010 年度以来、こうした さらなる普及を目指します。また、地元企業によ 国々のうち IFC が貿易を支援する国は 24 か国に上 る新市場への進出を可能にし、これらの企業の事 り、困難な状況にも拘らず 5 億 1,000 万ドル以上の 業環境を整備する支援も行っています。 貿易を可能にしました。 60 _ IFC 年次報告書 2013 インパクト ジェンダー 平等な社会を通じた開発の拡大 る中小企業に資金とビジネススキルの研修を行 うべく、現地や地域の銀行網をくまなく調べて 女性のエンパワメントの妨げになってきた障害に取り組 います。まず最初に行ったのは、ナイジェリ むことは、繁栄の果実を共有し、貧困削減を促進する上 アの女性起業家向け貸付拡大を目指す Access での重要な方法の一つです。 Bank Nigeria への 5,000 万ドルの投資でした。 また、ペルーでは、9,000 人近い従業員 (うち 74% は女性)を有する化粧品の訪問販売 会社 Belcorp の事業拡大を支援するため、1 億 女 3,000 万ドルの協調融資パッケージを取り極め 性の労働力への参加は過去数十年間に増 ました。この融資は、同社のメキシコ工場の えてはいるものの、依然として平等とは 建設とラテンアメリカ方面の新市場への進出 ほど遠い状態です。 も支援することになります。 この不均衡は不公平なうえ、経済学 中国では、現地の保健医療サービスの質 的にも誤っています。女性の経済的潜在 向上に大きく貢献した民間の大手ヘルスケア ・ 力をないがしろにすることは、貧困削減に「ブレー ネットワーク Chindex の発展を支えるため援 キをかける」ものであり、成長と機会を制限する 助を拡大しました。2 人の女性によって設立さ ことになります。女性の参加を拡大すれば、生産 れた同社は、リーダーシップおよび研修イニ 性向上と、様々な形で開発結果の改善につながる シアティブを通じて女性職員のエンパワメン 可能性があります。 トに力を入れています。同社の女性職員は全 IFC は、リーダーとして、起業家として、そ 体の 75% を占めています。 して従業員、消費者、ステークホルダーとしての IFC の女性向け金融「Banking on Women 女性の役割を高めようとしています。その実現に (BOW)」プログラムは 2010 年以来、途上国の 際し、投融資と助言を併用することで、女性の金 女性が所有する小企業の支援に 6 億ドル以上を 融アクセス拡充、女性起業家のビジネススキル研 投じてきました。これには、ラテンアメリカ地 修実施、女性のための機会創出に成功したビジネ 域で初の、同プログラム下では最大規模のブラ 上: ペルーの IFC 顧 ス事例の認識などの面で顧客に支援を行っていま 客 Belcorp 社の下で ジルの Banco Itau への投融資 4 億 7,000 万ドル す。また、労働条件の向上、女性のビジネス参加 ビューティー・コン が含まれます。IFC は、自己勘定で 1 億ドルを、 サルタントとして働 を阻んでいる障害の除去においても顧客と協働し 協調融資で 3 億 7,000 万ドルを供与しました。 くビアトリス・コル ています。 テズ。娘と憩いのひ IFC はまた、世界各地で女性市場の活用 今年は、コカコーラ社とチームを組んで、ア とときを過ごす様子。 に尽力する約 30 の金融機関の連合体「Global Belcorp 社の拡張によ フリカや他の新興市場国の多数の女性起業家に金融 り、多くの雇用と起業 Banking Alliance for Women」イニシアティブ アクセスを提供にする 1 億ドルのプロジェクト(3 の機会が女性にもた の主要後援者でもあります。 らされる見込みです。 年計画)を立ち上げました。IFC は、コカコーラ社 のバリューチェーンの中で女性が所有または運営す パートナーシップの威力 _ 61 1 日 1.25 ドル未満の生活にあえぐ世界の最貧層 の 3 分の 2 以上は中所得国で暮らしています。 中所得国には、清潔な水、信頼できる電力、 人並みの保健 ・ 教育サービスにアクセスでき ない人々が多数います。 IFC は、場所を問わず、貧困層のニーズへの 取り組みに主眼を置いています。その際のアプロー チは、中所得国が、増大する繁栄の恩恵を市民全 員で共有できるような斬新な方策を見出す際の支 援を提供することにあります。さらに、農村開発 の強化をはじめ、失業、都市化、気候変動などの 難しい問題にも取り組んでいます。 インクルーシブなビジネスモデルを利用して いる企業の支援も IFC の重要な活動の一部です。 過去 9 年にわたり、IFC は、経済ピラミッドの底辺 で暮らす人々に財やサービス、雇用を提供する企 業に対し 90 億ドル以上の投融資を行ってきました。 貧困線以下で暮らす労働者をこれら企業のサプラ イチェーンに組み入れるためです。インクルーシ ブ ・ ビジネスに携わる IFC 顧客はこれまでに 350 社(80 か国以上)を超えています。 今年は、ロシアの農村地方、チュヴァシ共和 国で 47 か所の保育 ・ 幼稚園を建設または改築する ため 1,560 万ドルの貸付を行いました。このプロ ジェクトにより、7,000 人以上の子供たちの入園と、 教員(その多くは女性)の雇用が可能になります。 トルコでは、同国で有数の製紙会社が、この 産業で大量に利用する水の使用量を増やさずに生 中所得国 産高を拡大する技術を導入できるよう投融資と助 万人のための繁栄の促進 言の両方を提供しました。この段ボール ・ メーカー Modern Karton への 800 万ドルの融資は、節水と 水再利用が可能になる廃水回収システムの構築に 役立つでしょう。 中所得国で活発な事業を展開する民間企業 は、国内の後発開発地域やもっと貧しい他国に進 中所得国における IFC 業務は、都市化、農村開発、 出することにより、他企業に対し重要な模範を示 気候変動などの難しい課題への取り組みを支援し すことができるため、IFC はその実現に向けた手助 ています。 けを行っています。 IFC は今年、トルコや、中東 ・ 中央アジアの 数か国で職業訓練所の拡大を支援するため、イス タンブールに拠点を置く教育事業体の Plato に 600 万ドルの投資を行いました。この投資は、失業率 が高いアラブ地域の若者を対象に職業訓練の強化 を目指す IFC の「アラブの若者のための E4E イニ シアティブ」の第一号に当たります。これにより、 Plato は最高 6,000 人の生徒の就職機会を増すこと ができると期待しています。 上: トルコ・イスタンブールの研修センター Plato で学ぶ人 たち。IFC の教育事業体への投融資は、トルコや他の中東 ・ 中央アジアの国々での職業訓練所の拡大に役立つでしょう。 62 _ IFC 年次報告書 2013 インパクト IDA 融資適格国 最貧層のための機会創出 IFC は世界で最も困難な地域に住む人々の生活向上に力 を注いでいます。 2013 年度、 IFC プロジェクトの半分近 くは世界の最貧国に向けられました。 上: ケニアの Kenya Tea Development Agency に対する IFC 投 融資は、新しい保管施設の建設に利用されます。この施設に より、農家の収入向上、雇用創出、そして 400 万人以上の同 国国民が恩恵を受けている紅茶セクターの安定化が可能にな ると期待されています。 パートナーシップの威力 _ 63 最 貧国では、人々の生活向上は火急の課題 です。最貧国の多くは、投資を誘致でき ないため、往々にして不十分な公的援助 に頼らざるを得ないのが実情です。 これ らの国は、世界銀行の最貧国向け基金「国 際開発協会(IDA) 」の融資適格国となっており、 その数は 82 か国に上ります。 IFC にとり、 最貧国は、 支援を最も必要としている場所で大きな成果を上 げるための機会だといえます。 IDA 融資適格国に対する IFC の投融資は過去 10 年間にほぼ 10 倍に増え、2013 年度だけをとって も総額 66 億ドルに達します。 そのうち 12 億ドル (こ れまでで最高)は協調融資を通して動員されたも のです。 IDA 融資適格国は近年、 IFC 投融資プロジェ クト全体の約半分、また助言プログラムの 60% 以 130 上を占めています。加えて、IFC は 2007 年以来、 IDA の一般資金勘定に総額 25 億ドル以上(これに は 2013 年度の 3 億 4,000 万ドルも含まれる)を拠 出しています。 IFC は、グローバル ・ トレード ・ファイナンス ・ 億ドル。2005 年以来、IFC プログラムを通じて、2005 年以来、IDA の融資適 のグローバル・トレード・ファ 格国の企業に対し信用保証枠として総額 130 億ドル イナンス・プログラムを通じて を提供しており、2013 年度だけでも 33 億ドルに上 IDA 融資適格国に注がれた ります。これにより、中小企業にとっては、世界 融資契約額。 貿易システムに参画し事業拡大を図るための待望 の資金を得ることが可能になります。 IFC は、場所を問わず最善の結果をもたらせ る案件に投融資を行います。紅茶の輸出で年間 10 億ドル以上の収益を上げ、人口の 10% がその恩恵 を受けているケニアでは、同国最大手の紅茶生産 者 Kenya Tea Development Agency を支援しました。 IFC の 1,200 万ドルの投資は 20 万平方フィート (200 平方メートル)の生産施設に注がれました。これ により、農家の収入向上と、この地域の雇用の 3 分の 2 を占める紅茶セクターの安定を確保するこ とが期待されます。 ラオス人民民主共和国では、経済発展と貧 困削減を促進する方策として同国の水力発電セク ター開発を支援しています。また、高度な社会 ・ 環境基準を取り入れた新規の水力発電プロジェク トの割合を増やすプロジェクトを立ち上げた後、 同国の水に関する法律の改正を支援しました。 現地の銀行システムが未発達で IDA 融資の 対象となる小国では、現地の金融機関と協力して 能力強化や成長支援に携わっています。 またキルギス共和国では、Bai Tushum and Partners との提携により、2 万 5,000 人以上の顧客 にサービスを提供する同国初のマイクロファイナ ンス ・ バンクの開発が可能になりました。 内陸国のブータンでは今年、Bhutan National Bank に対し、同国向け外国直接投資としては最大 右上: キルギス共和国で IFC 顧客 Bai Tushum からの借入金 規模の 2,800 万ドルの投融資を行い、零細 ・ 中小企 で家畜を買い、土地をリースできるようになったアダラト・ ムルズライモヴァ。その収入で娘の教育費の捻出が可能に。 業に対するサービス提供能力の強化、銀行ならび にコーポレート ・ ガバナンスの国際ベストプラク 右下: ケニアの Kenya Tea Development Agency は、この夫婦 ティスの導入を支援しました。 のような小規模農家で栽培された紅茶を購入しています。 64 _ IFC 年次報告書 2013 目次 結果の測定 65 IFC の戦略的な重点分野 スコアカード 機会を最も必要とする場 ページ 66 67 での機会創出 68 IFC の事業と専門知識 70 業務拠点 IFC の 3 つの業務 産業に関する専門知識 ページ 71 72 76 IFC の職員と業務の進め方 78 The IFC Way 開発成果の測定方法 職員 ページ 79 80 88 ガバナンス 90 説明責任 92 パートナーシップ 94 リスク管理 96 責任ある業務活動 98 持続可能な開発に関する一部情報の 独立した保証報告書 101 財務の概要 104 パートナーシップの威力 _ 65 結果の測定 66 _ IFC 年次報告書 2013 IFC の戦略的な重点分野 IFC は、他では達成できない結果を上げようと努力しています。また、新興市場で持続可能な民間セ クター開発を促進するため、顧客に対し、投融資とアドバイザリー・サービスを独自な形で組み合わ せて提供しています。IFC はこの特典を「付加性」と呼んでいます。これを利用して開発効果の最大 化を図ること、それが IFC 戦略の礎といえます。IFC の活動は 5 つの戦略的優先課題を指針としています。 それにより、IFC を最も必要とし、 しかもその援助が最も効果を上げる場で、 支援を行うことができます。 フロンティア市場への焦点強化 IDA 融資適格国、紛争の影響下 にある脆弱な状況、中所得国での フロンティア地域 インフラストラクチャー、保健衛生・ 気候変動対応と 医療、教育、食糧サプライチェーン 環境・社会の持続可能性確保 において民間セクター発展の 妨げとなっている障害への取り組み 新しいビジネスモデルと金融手段の開発、 基準の設定と向上 基本的サービスへのアクセス拡充、 アグリビジネスのバリューチェーン強化 戦略的な重点分野 現地金融市場の育成 新興市場の顧客との 長期的関係の確立 機構の構築、資金誘引、 革新的な金融商品の導入 顧客の開発活動の指針となり、国境を越 えた成長を支援するための IFC 商品・サービスの幅広い活用 パートナーシップの威力 _ 67 スコアカード 戦略的重点分野における IFC のパフォーマンス 指標 パフォーマンス 2013 年度 2012 年度 開発成果 高い評価を受けた投融資先企業の割合(DOTS スコア) 1 66% 68% 高い評価を受けたアドバイザリー・プロジェクトの割合 2 76% 72% 重点分野 フロンティア市場 IDA:投融資プロジェクト数 288 283 IDA:契約額(百万ドル) $6,649 $5,864 IDA:IDA 融資適格国でのアドバイザリー・サービス・プログラムの割合、% 3 65% 65% フロンティア地域:投融資プロジェクト数 59 42 紛争の影響下にある脆弱な状況:投融資プロジェクト数 44 45 紛争の影響下にある脆弱な状況:アドバイザリー・サービス・プログラムの割合、% 18% 18% サブサハラ・アフリカでの契約額(百万ドル) $3,501 $2,733 中東・北アフリカでの契約額(百万ドル) $2,038 $2,210 長期的な顧客関係(途上国同士を含む) 「南・南」投資プロジェクト数 47 41 「南・南」投資プロジェクト契約額(百万ドル) $1,674 $1,515 気候変動、環境・社会持続可能性 気候関連の投融資(百万ドル) 4 $2,509 $1,621 インフラ、保健衛生・医療、教育、食糧サプライチェーン インフラ、保健衛生・医療、教育、アグリビジネス、食糧サプライチェーン向け契約額(百万ドル) 5 $6,934 $6,034 現地金融市場 金融市場向け契約額(百万ドル) 6 $10,124 $9,375 零細・中小企業向け契約額(百万ドル) 7 $7,192 $6,077 注 : 1. DOTS スコア :プロジェク トの移動承認期間 6 年間 (2013 年度の場合は 2004 ~ 2009 年に承認されたもの) をもとに、各年度の 6 月 30 日現在で高い開発成果を上げた顧客企業の割合 (%) を指す。 2. アドバイザリー ・ サービスの開発効果については、2012 年および 2011 年 (共に暦年) が対象。 3. IDA 融資適格国におけるアドバイザリー ・サービス支出の金額は、2012 年度と 2013 年度ともに地域プロジェク トを取り入れた改善後の手法を反映。 4.「気候関連」 とは、 気候変動の緩和、 気候変動への適応、 気候変動についての特別活動に関与しているプロジェク トの属性を指す。 以上の用語や活動に関する詳しい情報はウェブサイ ト (www.ifc.org/ghgaccounting) をご覧ください。 5. インフラ (石油 ・ガス ・鉱業を除く )、通信 ・情報技術、地方政府ファイナンス、 保健衛生 ・医療、 教育、アグリビジネス・食糧サプライチェーンの各局での契約額。 6. 投資ファンドおよびプライベート ・エクイティを除いた IFC 金融市場局の契約額。 7. 零細・中小企業 (MSME) の借入者、 得意先の 50% 以上が零細 ・中小企業である金融機関、 さらに零細・中小企業を主たる受益者とする他の投融資を含む。 68 _ IFC 年次報告書 2013 機会を最も必要とする場での機会創出 IFC とその顧客は、途上国で幅広く貢献しています。顧客の成功は、 経済全体に波及効果をもたらし、貧困層をはじめとする多数の人々に 生活向上のチャンスを与えることができます。 ヨーロッパ・ 東アジア・太平洋 ラテンアメリカ・カリブ海 中央アジア 3,110 万人 614 万基 90 万 3,000 人 ガスが支給された人々の数 輸送した 20 フィート貨物コンテナの数(換算値) 教育を受けた生徒数 68 万 4,000 社 120 億ドル 830 億ドル 支援を行った零細・中小企業数 国内のサプライヤーから購入した財・サービスの額 零細・中小企業向け融資額 4 億 2,000 万ドル 170 万人 4 億ドル 3 万 8,000 社に対し より整備されたインフラ ・サービスにアクセスできる人々 各国政府と行った産業改革や投資促進業務 動産を担保に提供した投融資額 の予想値。官民パートナーシップを通じて動員された を通じて提供した新規投融資額 金額は 3 億 9,000 万ドル。 パートナーシップの威力 _ 69 中東・北アフリカ サブサハラ・ 南アジア アフリカ 24 万 4,000 人 1 億 2,000 万回線 1,110 万人 提供した雇用数 接続した電話数 電気が支給された人々の数(発電+配電) 360 万人 62 万戸 40 億ドル 診察を受けた患者数 支援した農家の数 3,600 社に対し動産を担保に提供した投融資額 1億 8,000 万ドル 3 億 1,000 万ドル 300万人 コーポレート・ガバナンス慣行の改善を進めた 各国政府と行った産業改革と投資促進業務 企業に対する新規投融資額 を通じて提供した新規融資額 オフグリッド型照明を受けられるよう になった人々の数 70 _ IFC 年次報告書 2013 IFC の事業と 専門知識 世界のあらゆる地域とほぼすべての産業から得た IFC の経験は、 様々な形で独自のメリットを顧客に与えています。 パートナーシップの威力 _ 71 業務拠点 民間セクターに特化した国際開発金融機関としては最大の規模を誇る IFC は、100 か国を超える途上 国で業務を進めています。IFC は、ある地域で学んだ教訓を別の地域での問題解決に応用することが できます。また、現地企業が自社の知識をいかに活用すれば他の途上国で好機を捉えることができる かという点でも手助けを行っています。 IFC 事務所の所在地 72 _ IFC 年次報告書 2013 IFC の 3 つの業務 IFC には、投融資サービス、アドバイザ 商品ライン リー ・ サービス、資産運用という 3 種類の IFC の投融資サービス 融資 業務があります。各業務はそれぞれ補完し IFC は、一般に償還期間 7 〜 12 年 の融資を自己勘定で行って、プロ 合いながら、途上国の顧客に世界的専門知 ジェクトや企業に資金を提供しま 識を提供しています。 す。また金融仲介役を務める銀行、 リース会社、その他の金融機関に対 民間セクターによる機会創出を支援す し、オン・レンディング(転貸し) る際、これらの業務は、IFC に一つの大き IFC の投融資サービスは、持続可能 を目的とした融資も行います。 な優位性を与えています。それは、付加価 な事業の促進、起業家精神の奨励、 IFC は従来、主要先進国の通貨 そして従来調達できなかった資金 建てで融資を行ってきましたが、現 値をもたらす形で投融資と助言を顧客独自 地通貨建て商品の組成も優先させ 誘引などを通じて、貧困緩和と長期 のニーズにカスタマイズできることです。 的成長を促すことができる一連の ています。現地通貨建ての投融資は 50 通貨を上回っています。 さらに、他の投資家を誘致できることも大 金融商品とサービスを幅広く提供 しています。 IFC の 2013 年度の新規融資契約 きな利点です。それにより、新たな資金源 は 85 億ドル近くに達し、契約済み IFC の金融商品は各プロジェク を顧客に紹介したり、よりよい事業の持続 トの要件にあわせて設計されてい 融資ポートフォリオ残高はおよそ ます。IFC は成長のための資金を供 315 億ドルでした。 的運営方法を伝えたりすることが可能にな 与しますが、資金の大半とそれに 出資 ります。 伴う指導や運営の責任は民間セク 出資は、民間企業に必要な初期のサ ターの事業主が担っています。 ポートと、長期的成長に向けた資 2013 年度の IFC 投融資総額は、 金を提供します。IFC は、企業への 612 件のプロジェクトを対象におよ 直接的出資のほか、プライベート・ そ 183 億ドルに達しました。そのう エクイティ・ファンドを通じた投資 ち 66 億ドルは IDA 融資適格国での も行います。2013 年度の出資額は、 プロジェクトに向けられました。さ IFC の自己勘定での契約額のうち、 らに、途上国の民間セクター支援の およそ 27 億ドルを占めました。 ために誘引された資金は 65 億ドル その結果、自己勘定による出資 に上りました。IFC の契約済み ポートフォリオ残高は 120 億ドル 投融資ポートフォリオ残高は現在 (現金ベース)に上り、118 か国の 500 億ドルで、世界 126 か国の企業 企業 819 社を網羅しています。 約 2,000 社を網羅しています。 IFC の出資比率は通常、企業の 株式資本の 5 〜 20% となっていま す。出資先企業に対しては、証券取 引所への上場を通して株主の幅を パートナーシップの威力 _ 73 広げるよう奨励しています。これは 協調融資の合計の 51% はインフ 2013 年度に IFC ブレンド型金融  現地の資本市場の深化に役立ちま は 612 件のプロジェ ラ・セクターを対象としたものでし IFC は通常、援助パートナーから供 す。また利益参加型融資、転換融資、 クトに対し約 た。また協調融資合計の 3 分の 1 以 上(過去最高の 12 億ドル)は IDA 与される譲許的資金に IFC の自己 183 優先株式などへの出資も行ってい 億ドル 融資適格国に向けられました。さら 資金を組み合わせて、様々なイニシ ます。 に、サブサハラ ・ アフリカに対して アティブのための資金調達を行った 貿易金融 の投融資を行いまし はこれまでで最高の 8 億 6,800 万ド り、本来ならば不可能な開発成果を そのう た。 ち 66 億ド IFC の「グローバル・トレード・ファ ルは IDA 融資適格 ルが供与されました。 達成しようとしています。このアプ イナンス・プログラム」は、認可金 国に向けられました。 ローチは、気候変動、アグリビジネ ストラクチャード・ファイナンス 融機関の貿易関連の支払債務を保 スおよび食糧安全保障、中小企業へ 証するものです。このプログラム 2013 年度の IFC IFC は、ストラクチャード商品や証 の金融という IFC の 3 分野の戦略的 新規投融資契約 は、世界 80 か国余りの銀行 200 行 額は 券化商品を利用して、本来であれば 優先課題に適用されます。2013 年 以上に対し、取引ごとにリスク軽減 直ちにアクセスしにくい、費用対効 度の契約済みドナー資金は 1 億 5,500 を行って、貿易金融に携わる銀行の 能力を高め補完しています。 85 億ドル 果の高い形態の金融を顧客に行って います。こうした商品には、部分的 万ドルを上回り、それを触媒にして IFC や民間セクターから合計 25 億 近くに達しました。. 2013 年度の貿易金融は、IFC の 信用保証、流動性向上向けストラク ドル余りを調達しました。 自己勘定での契約額のうち、約 65 チャード・ファシリティ、ポートフォ 億ドルを占めました。IFC の「世 リオ・リスク移転、証券化、イスラ 界貿易流動性プログラム(GTLP)」 ミック・ファイナンスなどが含まれ は 2009 年に設立されて以来、244 ます。IFC は、ストラクチャリング 億ドルを貿易支援に注ぎました。 に関する専門知識と国際的に通用す るトリプル A の格付けを活かして、 協調融資 顧客の資金調達筋の多様化、償還期 多国間開発機関中、最も古く、最大 間の延長、希望の通貨建てでの融資 の規模を誇る IFC の「協調融資プ 確保で顧客を助けています。 ログラム」は、開発に必要な資金を 顧客のリスク管理サービス 動員する際の重要なツールとなっ ています。2013 年度の協調融資総 IFC は、金利リスク、為替リスク、 額は、IFC が誘引した資金全体のほ あるいは産品価格の変動リスクを ぼ半分を占めました。 ヘッジするために、一連のデリバ 2013 年度の協調融資は、B ロー ティブ商品を顧客に提供していま ンや並行融資など合計約 31 億ドル す。その際、顧客がリスク管理市場 に達しました。これに参加した機関 のあらゆる商品にアクセスできる は、商業銀行、基金やファンド、開 よう、途上国の顧客とデリバティブ 発金融機関など 60 以上に上ります。 市場のマーケットメーカーとの間 その結果、協調融資ポートフォリオ で仲介役を務めています。 残高は 136 億ドルとなりました。 74 _ IFC 年次報告書 2013 業務分野 IFC は 官民パートナーシップ IFC のアドバイザリー・ サービス 金融へのアクセス IFC は、個人と零細・中小企業に対 105 か国 IFC は、インフラなどの基本的公共 サービスで各国政府が官民パート しては金融サービスの利用を拡大 で助言を提供し、 ナーシップを立案し実施する際の支 実施中プロジェク 援を行います。IFC の助言は、電力、 し、その価格を安価にするための支 ト数は 660 件を 援を行っています。金融機関の顧客 超えています。 水道、保健衛生 ・ 医療、教育といっ に対しては、幅広い金融サービスの た公共サービスへのアクセスの質と 提供や、持続可能な成長、雇用創出 2013 年度の助言プ 効率を高めながら、そうしたサービ 民間セクターの発展には金融以上 に必要となる金融インフラの整備で ログラムへの支出 スへのアクセス向上で民間セクター 合計は のものが必要です。アドバイザ 手助けを行っています。2013 年度 の潜在力を最大限に高めるための手 リー・サービスが、IFC 投融資の開 発成果を高める上で大きな役割を 末における金融アクセス促進向けの 実施中ポートフォリオは、72 か国 2 億 助けを行っています。2013 年度末に おける官民パートナーシップ ・ プロ 果たすことは経験から明らかです。 それは、民間セクター投資を促進 で 263 件、総額 3 億 4,260 万ドルに 達しました。また、2013 年度の助 3,200 ジェクトの実施中ポートフォリオは 53 か国で 103 件、総額 1 億 2,600 万 し、企業による事業拡張や雇用創出 万ドル 言プログラムへの支出は約 6,260 万 ドルに達しました。また、この分野 を促すのに役立ちます(84 ページ に達し、その 65% ドルとなり、その 61% は IDA 融資 における 2013 年度の助言プログラム 参照) 。 は IDA 融資適格国 適格国に、13% は紛争の影響下にあ への支出合計は 3,950 万ドルでした。 企業の発展においても経済的投 に、18% は紛争の 資以上のものが必要です。その一つ る脆弱地域に向けられました。 影響下にある脆弱 持続可能なビジネス 地域に向けられま に起業精神を育む規制環境が挙げ 投資環境の整備 した。 IFC は、健全な環境・社会・ガバナ られます。また最善の事業慣行を期 IFC は、各国政府が事業環境改善や ンスおよび産業の基準を促進し、ク するための助言も必要となります。 投融資の奨励・確保を目指す改革を リーン ・ エネルギーや効率的な資源 この業務には、投資環境の整備や基 本的インフラの強化をめぐる施策 実施できるよう支援することで、競 利用への投資の触媒となり、持続可 を中央政府と地方政府に助言する 争力のある市場や、成長、雇用創出 能なサプライチェーンとコミュニ ことなどが含まれます。企業に対し を促進しています。また、投融資の ティへの投資を支援するために顧 ては、コーポレート・ガバナンス改 妨げとなっている司法・政策面の弱 客と協働しています。その際、アグ 善、 リスク管理の強化、 さらに財務 ・ みの是正も助けています。2013 年度 リビジネス ・ 林業、製造・サービス、 環境・社会面での持続可能性の向上 末における投資環境整備プロジェク インフラ、石油・ガス ・ 鉱業、金 を支援しています。 トの実施中ポートフォリオは、65 か 融市場をはじめとする数セクター IFC は 105 か国で 660 件以上の 国で 143 件、総額 2 億 8,890 万ドル で業務を展開しています。2013 年 プロジェクトを活発に展開してい 度末における持続可能なビジネス これらプロジェ に達しました。また、 ます。その原資は援助パートナー、 クトにおける 2013 年度の助言プロ 向けプロジェクトの実施中ポート IFC、顧客からの拠出金で賄われ グラムへの支出合計は 7,480 万ドル フォリオは 58 か国で 157 件、総額 ています。2013 年度のアドバイザ で、その 76% は IDA 融資適格国に、 2 億 7,970 万ドルに上りました。ま リー・サービス・プログラムへの支 29% は紛争の影響下にある脆弱地域 た、この分野に関連した 2013 年度 出は、前年度の 1 億 9,700 万ドルか ら 2 億 3,200 万ドルに増加しました。 に向けられました。 の助言プログラムへの支出合計は また、支出全体の 65% は IDA 融資 5,500 万ドルでした。 適格国に、18% は紛争の影響下にあ る脆弱地域に向けられました。 パートナーシップの威力 _ 75 AMC が運用するファンド 、欧州 銀行、CDC グループ(中華網集団) IFC アセット・ 投資銀行、OPEC 国際開発基金、三井住友 IFC 資本増強ファンド 銀行などが投資を行っています。設立から マネージメント社 IFC の 30 億ドルの「資本増強ファンド」は、 2013 年度末にいたるまで、合計 1 億 180 万 約 13 億ドルの株式ファンドと約 17 億ドル ドルの投資契約 6 件を締結しました。 の劣後債ファンドで構成されています。こ IFC ロシア銀行資本増強ファンド のファンドは、新興市場でシステム上重要 とみなされる銀行の強化と、金融情勢の悪 総額 5 億 5,000 万ドルの「IFC ロシア銀行 化や景気後退局面に対応する能力増強のた 資本増強ファンド」はロシアの商業銀行に IFC の全額出資子会社である IFC アセッ めに 2009 年に設立されました。このファ 投資するために 2012 年に設立されました。 ト・マネージメント社(AMC)は、途上 ンドはまた、日本の国際協力銀行(JBIC) 2013 年 6 月に最終的にクローズされたこの 国市場やフロンティア市場への投資を目 から 20 億ドル、IFC から 10 億ドルの拠出 ファンドは、IFC、ロシア財務省、そして 的に資金の誘引と運用に携わっています。 を受けて共同で立ち上げられました。設立 同国の Vnesheconombank(VEB)から拠出 AMC は、新興市場における IFC の投融資 から 2013 年度末にいたるまで、合計 21 億 コミットメントを取り付けています。設立 パイプラインに投資家がアクセスできる ドル弱の投資契約 29 件を締結しました。 から 2013 年度末にいたるまで、合計 7,820 ようにし、このような市場への長期資金 万ドルの投資契約 2 件を締結しました。 IFCアフリカ・ラテンアメリカ・カリブ海ファンド の供給量を増すために 2009 年に設立され IFC 触媒ファンド 2010 年に立ち上げられた 10 億ドルの「IFC ました。それにより、IFC の開発目標の アフリカ ・ ラテンアメリカ ・ カリブ海ファ 「IFC 触媒ファンド」は、新興市場で気候 達成をより確かなものとし、さらに IFC ンド(ALAC)」は、IFC、アブダビ投資庁、 変動への取り組みに斬新な方策を開拓し の世界的包囲網、基準、投資アプローチ、 オランダ年金基金運用機関 PGGM、韓国 ている企業に成長資金を提供するファン 実績を活用して投資家に利益をもたらし 投資公社、アゼルバイジャン共和国国家石 ドや基金に投資を行うほか、このような ています。 油基金、サウジアラビア政府の基金、国際 企業にも直接投資を行います。2013 年度 2013 年 6 月 30 日現在、同社の運用資 的な年金基金から資金拠出のコミットメン 末現在、このファンドには、IFC、英国の 産総額はおよそ 55 億ドルに達しました。 トを取り付けています。このファンドは、 エネルギー ・ 気候変動省(DECC)、英国 AMC は、政府系ファンド、年金、開発金 IFC と共同で、サブサハラ・アフリカ、 国際開発省(DFID)、アゼルバイジャン 融機関など、様々な機関投資家に代わっ ラテンアメリカ・カリブ海地域の様々なセ 共和国国家石油基金、カナダ政府などが て 6 つの投資ファンドを運用しています。 クターで株式投資と株式に関連した投資を 投資を行っています。 行います。設立から 2013 年度末にいたる IFC グローバル・インフラストラクチャー・ファンド まで、合計 6 億 990 万ドルの投資契約 「IFC グローバル・インフラストラクチャー ・ 19 件を締結しました。 ファンド」は、IFC と共同で新興市場の アフリカ資本増強ファンド インフラ ・ セクターに株式投資や株式に 総額 1 億 8,200 万ドルの「アフリカ資本増 関連した投資を行います。2013 年度末現 強ファンド」はアフリカでシステム上重 在、このファンドには、IFC、アゼルバイ 要とみなされる商業銀行に投資するため ジャン共和国国家石油基金、ロンドン運 に 2010 年に設立されました。このファン 輸機関年金基金、アジアの政府系ファン ドには、アブダビ開発基金、アフリカ開発 ドなどが投資を行っています。 76 _ IFC 年次報告書 2013 産業に関する専門知識 持続可能な民間セクター開発における IFC アグリビジネス・林業 は、金融機関と金融制度全般の強化 に貢献してきました。またこの業務 の主導的な役割には一つの大きな利点があ アグリビジネスは貧困削減に重要 により、IFC が単独で達成できる数 ります。それは、新興市場の企業の成功と な役割を果たします。農業セクター をはるかに超える多数の零細 ・ 中小 発展への支援で 50 余年にわたり蓄積され は、多数の途上国で GDP と雇用の 企業への支援が可能になりました。 少なくとも半分を占めることがよ てきた深遠で幅広い知識が反映されている 金融仲介機関を通すことにより、 くあります。このセクターが IFC IFC は、女性所有のビジネス、気候 ことです。 の優先課題であるのはまさにその 変動といった戦略的優先課題であ IFC は、開発をめぐる今後の最大の難題 ためです。 るセクターや、紛争の影響下にある に取り組むべく、 投融資とアドバイザリー・ IFC は、環境面で持続可能であ 脆弱国のような支援の立ち遅れた り社会的には貧困層に配慮した形 サービス全体で、産業に関する世界的な知 地域、さらに住宅、インフラ、社会 で、民間セクターが食糧の需要増大 識を活用しています。 サービスの方面で、金融仲介機関の に取り組めるよう支援を行ってい 関与をいっそう深めることが可能 ます。農家が在庫、種、肥料、化学 になります。 薬品、燃料の購入資金を借り入れら 2013 年度の金融市場向け投融資 れるよう、顧客に運転資金ファシリ 契約の合計は約 36 億ドルで、IFC ティも提供しています。さらに貿易 の自己勘定による投融資契約の約 を振興しコスト削減につながるよ 20% を占めました。 う倉庫や冷蔵施設といったインフラ 消費者・社会サービス 向け投融資も行っています。また、 持続的に作物を栽培できる土地と IFC は、民間ヘルスケアと教育に投 するため、技術移転や最善な資源利 資を行う世界最大の国際機関です。 用を促進して、生産性の向上も助け 観光、小売、不動産など、雇用を創 ています。 出するセクターを支援する傍ら、質 2013 年度のアグリビジネス・ の高いヘルスケアと教育へのアク 林業向け新規投融資契約は 13 億ド セス拡大にも努めています。また、 ルをやや上回り、IFC の自己勘定 質と効率の基準向上、ベストプラク による投融資契約の約 7% を占めま ティスの情報交換促進、経験豊かな した。 技術者のための雇用創出も支援し 金融市場 ています。 IFC の役割には、社会的責任を 健全かつインクルーシブで持続可 担う企業への直接的投資に加え、産 能な金融市場は、資源の効率的配分 業に関する専門知識の共有、小規模 を可能にするため、開発には不可欠 企業への資金供与、医療 ・ 教育基 な存在です。金融仲介機関との業務 パートナーシップの威力 _ 77 2013 年度の金融市 準の向上、顧客による低所得層へ 石油・ガス・鉱業・化学セクター 製造 場向け投融資契約 のサービス拡充なども含まれます。 での IFC の使命は、この発展を途上 はおよそ 製造セクターは途上国での雇用創 国で実現するための助力となること 2013 年度の消費者・社会サービス 出と貧困削減に重要な役割を果た です。IFC は民間セクターの顧客に 向け新規投融資契約は約 16 億ドル 36 億ドル に達し、IFC の自己勘定による投融 します。このセクターの顧客は、他 のセクターより多くの雇用を生み、 投融資と助言を提供しますが、政府 に達し、 そのう ちの 資契約のほぼ 9% を占めました。 に対しても、効果的な規制導入や、 確保できるきらいがあります。 約 20% は IFC の バリューチェーン全体でこの産業を インフラストラクチャー 自己勘定で行われ IFC は、建設資材、省エネ型機器、 管理するための能力強化についての ました。 近代的なインフラの構築は、経済発 薬品、太陽光・風力発電装置など、 支援を行っています。 展を促し、生活水準を高めるほか、 このセクターでの活動を拡大して IFC は、この産業への民間投資 急激な都市化や気候変動など、台頭 います。また、新製品や新市場を開 を助けたり、地元コミュニティが実 しつつある開発課題に取り組むた 拓する企業や、国際競争力をつける のある恩恵を享受できるよう尽力 めの機会も提供してくれます。 ためにリストラや近代化を進めて しています。2013 年度の同セクター インフラはまた、民間セクター いる企業にも投融資を行います。 向け新規投融資契約は 3 億 9,000 万 が大きく貢献できる領域でもあり、 これらの産業には、炭素排出量 ドルで、IFC の自己勘定による投融 多数の利用者に基本的サービスを が最も多いセクターが含まれてい 資契約の約 2% を占めました。 効率的かつ経済的に、しかも採算を るため、顧客が排出量とエネルギー 通信・メディア・技術 とりながら提供することができま 消費量の削減に役立つ投資を立案 す。IFC の主眼は、民間のインフラ・ し実施するための支援を行ってい 近代的な情報・通信技術の発達によ プロジェクトを支援することです。 ます。 り、貧しい人々もサービスやリソー そのビジネスモデルは、斬新で強い 2013 年度のインフラ向け新規投 スに容易にアクセスできるように 影響力をもつ上、幅広い普及が可能 融資契約は 13 億ドルで、IFC の自 なりました。こうした技術は機会を です。 己勘定による投融資契約の約 7% を 拡大し、市場や機構を一段と効率化 IFC はインフラ ・ プロジェクト 占めました。 します。IFC は、このような技術の への投融資はもとより、政府に対し 利用度を高めようとしています。そ 石油・ガス・鉱業 官民パートナーシップに関する助 のため、近代的な通信インフラや情 言を行うことで、電力、輸送、水へ 世界の多くの最貧国にとって自然 報技術ビジネスの構築、温暖化防止 のアクセス拡充に役立っているほ 資源採掘産業は不可欠な存在です。 技術の開発に力を入れる民間企業 か、リスク緩和や特殊な金融の組成 この産業は、雇用、エネルギー、政 に資金を投入しています。 といった自己の能力も活用してい 府歳入、さらに地元経済にもたら IFC はまた、国境を越え他の途 ます。2013 年度のインフラ向け新 す他の様々な恩恵の重要な源泉と 上国に進出する顧客への支援を一 規投融資契約は 22 億ドルで、IFC なっています。多くの国では、持続 段と増大させています。2013 年度 の自己勘定による投融資契約の約 可能で大規模な投資をこの産業で における同セクターでの新規投融 12% を占めました。 行えば、それに等しい規模の経済発 資契約は約 4 億 7,000 万ドルでした。 展を期待できます。 78 _ IFC 年次報告書 2013 IFC の職員と 業務の進め方 途上世界で最も脆弱な立場にある人々の貧困を緩和し、機会を創出するという IFC のコミッ トメントは、組織の風土にも反映されています。 パートナーシップの威力 _ 79 The Ifc Way 過去の経歴を見ると、IFC が経験から教訓 IFC のビジョン 業務の推進方法 を学び、新たな課題に挑戦してきた姿勢が 貧しい人々にも貧困から脱出し生 « 変化の激しい世界で顧客の成長を うかがわれます。IFC 職員は、かつてなく 活の向上を図るチャンスがあるべ 支援する。 開発成果の最大化という作業に適した地位 きです。 良い事業は持続可能であり、持続 « 可能性の確保は良い事業である。 にあります。職員の半数以上が顧客や地域 IFC の価値観 IFC は単一の組織であり、チーム « 社会に近い途上国の現地事務所で活動して 優秀さ、コミットメント、倫理観、 であり、その目標も一つである。 いるのです。さらに、職員の 3 分の 2 近く チームワーク、多様性 « 多様性は価値を作り出す。 は途上国の出身者であり、文化的な背景も 機会創出にはパートナーシップを « IFC の目的 結ぶ必要がある。 これまでになく多様です。 貧困から脱却し生活向上を図るた 世界的知識、現地のノウハウ。 « 健全な組織風土は、 どの組織においても、 めのチャンスが人々に与えられる 革新性は危険を踏む価値がある。 « よう、以下を通して貧困層を配慮し 成功し困難な新情勢に適応するための能力 « 経験から教訓を学ぶ。 た持続可能な成長の達成手段を促 育成の主軸となります。 「The IFC Way」 業務は賢明に楽しく進める。 « 進する触媒となります。 遠過ぎるフロンティア、難し過ぎ とは、IFC の組織風土とブランド名の在り « 民間企業の発展を目的に他の資金 « るフロンティアなどは存在しない。 方を述べ、定義し、堅固なものとする方法 を誘引する。 競合的で開かれた市場を途上国で « であり、運営上の意思決定を伝える際に、 促進する。 あらゆる地域やレベルの職員と積極的に関 « 不足が発生した時に企業や民間セ わるプロセスを指します。それには、IFC クターのパートナーを支援する。 のビジョン、中心となる企業価値、目的、 貧しい人々と脆弱な立場にある « 人々に生産性の高い雇用と基礎的 業務の推進方法が含まれます。 サービスを提供するための支援を 行う。 この目的を達成するため、IFC は、 個々の企業への介入(投融資サービ ス、アドバイザリー・サービス、お よび IFC アセット・マネージメン ト社)、国際協調による行動の促進、 ガバナンスと基準設定の向上、事業 環境整備業務を通じて、開発成果を 高める解決策を提供します。 80 _ IFC 年次報告書 2013 開発成果の測定方法 IFC 業務の結果を測定することは、その戦 現在進めている調査は、IFC の活動 が、自己のプロジェクトとは無関係 IFC の開発目標 略が効を奏しているか、そして援助を最も の分野で他の市場参加者の行動を 必要としている人々や市場に IFC の支援 どれほど変えているかについてで が届いているかを把握する上で極めて重要 す。こうした行動の変化(IFC はこ です。 れを「デモンストレーション効果」 と呼んでいます)の例としては、銀 IFC の結果測定システムには、IFC の開 行による新セクター向け貸付の開 発目標、開発結果の測定のための追跡シス 始とか、IFC の進める支援プロジェ テム、 そして投融資とアドバイザリー ・ サー クトに似たプロジェクトへの新開 IFC の開発目標(IDG)とは、IFC ビスの成果の体系的な評価という相互に補 発機関による資金供与とか、IFC 顧 が署名または調印したプロジェク 客である政府が実施した改革の他 トの実施期間中に、支援の広がりや 完する 3 つの要素があります。 政府による見習いなどが挙げられ アクセスなど期待される具体的な この開発結果の測定のほかに、プロジェ 開発結果を達成するための目標を ます。 クトに与える独自な優位性と利点、すなわ IFC の活動の成果を把握し、測 指します。 ち IFC の「付加性」も追跡しています。 定結果から学んだ教訓を業務の中 保健衛生・医療・教育および金 に活かすことは、引き続き優先課題 融サービスに関する 2 つの目標は、 となっています。この能力を高める 2013 年度に試験段階から本格的実 ため、IFC は、別の追跡手段や評価 施へと移行され、IFC のコーポレー 方法を試験的に実施し始めました。 ト・スコアカードと運営陣への奨励 この努力は、2030 年までに極度 策の中にも全面的に盛り込まれま の貧困を撲滅し、繁栄の果実を全員 した。これらの目標は間もなく職員 で分かちあうという世銀グループ に対する長期パフォーマンス賞に の 2 つの重要な目標の達成に貢献 も適用されるはずです。 するでしょう。これに伴い、IFC は、 IFC の開発目標は、試験段階か 他の開発金融機関(DFIs)との密 実施段階かを問わず、最大の成果 接な連携を引き続き進めており、現 を上げられる場所に IFC 業務を仕 在、投融資業務の開発結果の追跡に 向けるのに効果的であることが分 目標 用いる一連の基本的指標の調和化 かっています。この目標はまた、職 に向け協働作業を先導しています。 員同士が各自の部局やアドバイザ 今年立ち上げられた IFC の「雇 リー業務分野を超えて協力し、開発 用に関する調査(Jobs Study)」 成果を高めるために横断的でプロ (43 ページ参照)は、DFIs との協 グラム ・ ベースのアプローチをとる 働作業のさらなる強化に役立ちま 際の励みにもなります。 した。この調査を受けて、他の 30 もう一つの目標、すなわち、持 機関ほどが雇用の拡大と質の改善 続可能な農業機会の拡充または向 評価 追跡 上の恩恵を受けた人々の数の追跡 に協力することに同意しました。 IFC は現在、この調査の推薦項目の は 2014 年度に実施される予定です。 実施について検討中です。 パートナーシップの威力 _ 81 の間に完了報告書が提出された 494 件の IFC の開発目標 結果のモニタリングと追跡 審査結果に基づいており、うち 396 件が 1: アグリビジネス 評価可能と判断されました。 持続可能な農業のための機会の増加ま 顧客以外の実施プロジェクトであった たは向上 ためか、審査日までに開発の成果と結果 を得られなかったために開発効果の評価 2: 保健衛生・医療・教育 が不可能だった助言プロジェクトは分析 ヘルスサービスと教育サービスの向上 から除外されました。 3: 財務サービス IFC は引き続き、ポートフォリオ全体 個人、零細企業、中小企業の顧客の金 IFC は、投融資とアドバイザリー ・ サー の開発結果を報告し、その保証を外部企 融サービスへのアクセス向上 ビスの開発結果をモニターするために「開 業に依頼しています。 発結果追跡調査システム(DOTS)」を使 4: インフラストラクチャー 用しています。 インフラサービスの増強または向上 結果の評価 投融資サービスでは、特定の例外を除 5: 経済成長 き、監督下の企業 1,727 社が追跡されてい IFC 顧客が自国経済にもたらす付加価 ます。本報告書では、2004 〜 2009 年ま 値の向上 でに承認された、より最近で重要性の高 い円熟期にある投融資およそ 780 件のう 6: 気候変動 ち 716 件に的が絞られました。2013 年度 温室効果ガスの排出量削減 の評価には、顧客の 2012 年のデータと実 績が反映されています。投融資の対象期 評価結果は、IFC が開発効果から有益な 間は毎年、1 年ずつシフトされます。 教訓を引き出し公正な評価を行うために 投融資と助言サービ 本報告書には、IFC ポートフォリオ内 スの両方の評価作 外部の評価組織と協力し始めた 2005 年以 の実施中の投融資全体が、現在どの程度 業は常に 来、IFC の結果測定に不可欠な存在となっ 浸透したか(開発成果の広がり)につい てきました。評価を行うと、成功や失敗 20 件 ても掲載されています。この広がりを示 す指標は、IFC 投融資の規模を問わず、顧 の要因が明らかになるため、IFC の使命 の達成の際に、もっとすべきことと避け 以上が並行して進め 客の支援が何人の人々に浸透したか、あ られています。 るべきことを把握するのに役立ちます。 るいは、特定のステークホルダーにどれ IFC 投融資の評価作業は急速に増えて ほどの経済的利益をもたらしたかを測定 おり、今では投融資と助言サービスの両 するものです。 方の評価作業が常時並行して 20 件以上進 DOTS の追跡対象とならないプロジェ められています。評価作業は、プロジェ クトには通常、既存プロジェクトの拡張 ク別、プログラム別、テーマ別、そして 版、分割されたプログラム、さらに売買 ドナー拠出型のファシリティ別、国別、 権取引のような特定の金融商品が含まれ 地域別でも実施されます。 ます。 IFC の評価戦略は学習のチャンスを最 アドバイザリー・サービスでは、2006 大限に伸ばすことに重点が置かれていま 年度までさかのぼり、完了済み、保留中、 す。それには主に 4 つの目的があります。 そして現在実施中のプロジェクトがすべ (1) IFC の開発成果を信頼のおける形で明 て DOTS の対象となります。2013 年度の 示すること、(2) IFC の介入の効果を最大 評価には、2012 年に完了報告書が提出さ 限に高める方法を学ぶこと、(3) 顧客と れた 149 件の審査結果に基づき、評価可能 パートナーに利用価値のあるビジネス情 と判断された 124 件が対象となりました。 報を提供すること、(4) 外部組織と知識の また移動平均値は、2010 〜 2012 年(暦年) 交換を図ることです。 82 _ IFC 年次報告書 2013 こうした戦略的目的は、IFC の評 ンアメリカ ・ カリブ海では、零細 ・ 結果の監視方法 価業務プログラムを形成する際の礎 中小企業向け貸付が約 110%増加し DOTS は、プロジェクト・サイクルを通じて、リア となります。IFC の一連の評価業務 1,440 万件に達しました。サブサハラ ・ ルタイムで開発結果を追跡します。IFC の担当者は、 は、ナレッジ ・ ギャップへの対応、 アフリカでは、支援を受けた農民の プロジェクトの立ち上げの際に、適切な指標を定め、 成功したイニシアティブと失敗した 数が 67 万 5,000 人余りへと 80%近 プロジェクトのベースラインと目標を設定します。 イニシアティブからの教訓の習得、 く増えました。中東 ・ 北アフリカで 進捗状況を追跡します。 監視期間中は終始、 そのため、 それまでに評価の対象とならなかっ は、診察を受けた患者数が 61%増大 プロジェクトの完了に至るまでフィードバックをリ た業務の評価、関心のある顧客へ し 350 万人に達しました。一方、南 アルタイムで業務に反映させることができます。 の評価サービスの実施という目的に アジアの顧客は 1 億 2,000 万個の電 本報告書には、IFC 全体、地域別、産業別、業務 沿って選ばれます。特にこの新戦略 話を敷設し、IFC 顧客による電話敷 分野別で、高い評価(すなわち上位半分の評定)を は、IFC 業務が貧困削減と雇用創出 設数全体の 63%を占めました。 受けたプロジェクトの割合(%)― DOTS スコア ― に与えた効果の中でも、モニタリン 地域別では、ラテンアメリカ ・ が掲載されています。 グと追跡だけでは捉えることのでき カリブ海が最高のパフォーマンス 各評価はプロジェクト ・ チームが提示した質的評 ない効果を重視しています。 を達成し、高い評価を受けた顧客の 定に基づいています。どの評価も、所要の評価値か この新評価戦略は、独立評価グ 割合は 2 ポイント増え 74%となり らかけ離れたときに発信する自動フラグの助けを借 ループ(IEG)の業務(92 ページ参照) ました。この進展は、コロンビア、 りながら、開発成果局(DID)ですべてが審査され を補完するものです。理事会直属の メキシコ、ペルーの顧客パフォー ます。 このグループは、それ自体でも評価 マンスの向上を反映したものです。 投融資サービスでは、全体的な DOTS スコアは、 を行い、経験から学んだ教訓を提供 さらに、金融市場での業務パフォー 4 つのパフォーマンス領域(財務、経済、環境 ・ 社会、 します。IEG の評価には、IFC 自身 マンスの向上、ファンドやインフ および民間セクターによる幅広い開発成果)を総合 が行ったモニタリングや評価の結 ラ(主に電力と運輸)、消費者 ・ 社 したものです。各領域のウェイトは、標準化された 果も取り入れられています。IFC の 会サービス(特に保健衛生 ・ 医療 ・ 産業別指標に基づき、実際の結果をベンチマークの 評価担当者は、ワーク ・ プログラム 教育)方面における顧客の堅実なパ 絶対値と比較して定められます。プロジェクトが高 の検討、知識の共有、そして可能な フォーマンスも反映しています。 い評価を得るには、当該国の開発に貢献する必要が 場合は業務の連携といった面で IEG 中東 ・ 北アフリカの顧客も結果 あります。 と緊密に協力しています。 の改善に貢献しました。投融資業務 今年は、加重後のスコアと加重前のスコアの算出 は、前年比 5 ポイント増の 65%が 方法で一貫性を保つため、貿易金融の顧客がウェイ 高い評価を受けました。これは、特 投融資の結果 にエジプトの金融市場で結果が改 トの対象から除外されました。そのため、29 ページ に表示された加重後の DOTS スコアは算出し直され 善されたためです。加えて、保健衛 たものです。 生 ・ 医療セクターで良好な結果がで アドバイザリー・サービスにおける全体的 DOTS たことも改善につながりました。 スコア、すなわち開発効果の評価は、全般的な戦略 ヨーロッパ ・ 中央アジアでは、 DOTS スコアは過去 5 年間、概ね 的重要性、効率、有効性(プロジェクトのアウトプッ 高く評価された顧客の割合が 61% 安定しており、5 パーセント ・ ポ ト、成果、影響で測定)を総合したものです。当初 から 64%に増えました。これは、 イントの範囲内で推移してきまし に意図した結果は、プロジェクトの完了時に実際の ロシアのインフラおよびファンド ・ た。2013 年度の IFC 投融資サービ 結果と比較されます。 セクターで顧客が堅実なパフォー スの開発成果は、長期的目標である DOTS スコアは IFC のコーポレート ・ スコアカー マンスを上げたことと、トルコの製 65%を引き続き上回り、高い評価 ドの一部であり、各局のスコアカードと個々の職員 造業の顧客が引き続き結果を改善 を受けた投融資先顧客は 66%とな の報奨にも反映されています。 したことによるものです。 りました。 一方、東アジア ・ 太平洋、サブ IFC 顧客は世界全域で開発成果の サハラ ・ アフリカ、南アジアの各地 広がりに続けて貢献しました。ラテ 域では、評価が低下しました。東ア パートナーシップの威力 _ 83 ジア ・ 太平洋地域では、高い評価を ファンド・セクターは インフラ ・ セクターでは、主に倉 受けた顧客の割合は前年比 10 ポイ 最高のパフォーマン 庫、保管、出荷、流通セクターにお ント減の 70%に留まりました。 スを達成し、顧客の ける顧客のパフォーマンス悪化によ 79% この落ち込みは、成長の減速に り、高い評価を受けたプロジェクト より収益マージンが圧迫された中 は前年比 3 ポイント減にあたる 73% 国を中心に製造会社のパフォーマ が高く評価されまし に留まりました。それでも、同セク ンス低下を反映したものです。ま た。これは、特にヨ ターの DOTS スコアは引き続き IFC た、インドネシアをはじめとする金 ーロッパ・中央アジ 平均値を遥かに上回っています。 アとラテンアメリカ・ 融市場の顧客パフォーマンスの低 カリブ海で新規およ アグリビジネス ・ 林業セクター 下も影響しました。 び既存の投融資の では、高く評価された顧客の割合は サブサハラ ・ アフリカでは、ガー 業績が向上したた 前年比 4 ポイント減にあたる 68% めです。 ナ、タンザニア、カメルーンの顧客 となりました。この落ち込みは主に の評価が悪化したことを受け、高く サブサハラ ・ アフリカと南アジアの 評価された顧客の割合は前年比 3 ポ 顧客の評価が悪化したためです。 イント減の 61%となりました。ファ 石油・ガス・鉱業では、顧客の ンド ・ セクターの顧客が結果を押し 評価が前年の 69%から 64%に低下 上げたものの、アグリビジネス ・ 林 しました。高いパフォーマンスを達 業の評価悪化が足を引きました。 成していた顧客が評価の対象外と 南アジアでは、顧客評価が前年 なったことが今年の落ち込みの主 の 73%から 2013 年度は 60%に落 因であるほか、中東 ・ 北アフリカで ち込みました。この低下は、評価 の政治的不透明性とラテンアメリ 対象となる同地域のポートフォリ カの一部の顧客の商業問題が引き オの 90%を占めるインド企業のパ 続き低迷の原因となっています。 フォーマンスが悪化したためです。 消費者 ・ 社会サービス ・ セクター 産業別にみると、ファンド ・ セ では、観光セクターと東アジアでの クターの顧客の評価が改善され、金 業績悪化により、高い評価を受けた 融市場で安定して推移した以外は、 投融資の割合は 57%から 56%に低 すべてのセクターで低下を見まし 下しました。通信 ・ メディア ・ テク た。一方、顧客は、引き続き支援の ノロジー ・ セクターでは、高い評価 手を大きく広げています(86 ペー を受けた顧客の割合は、1 ポイント ジ参照)。 低下し 55%となりました。このセ ファンド ・ セクターでは、特に クターの顧客は、スタートアップ企 ヨーロッパ・中央アジア、ラテンア 業が多いため成功の確率は一般に メリカ ・ カリブ海で新規および既存 低めです。 の投融資の業績が向上したため、 製造セクターでは、高い評価を 最高のパフォーマンスを達成し、 受けた顧客は前年比 14 ポイント減 顧客の 79%が高い評価を受けまし にあたる 49%に留まりました。パ た。金融市場セクターにおける投融 フォーマンスの悪化は全地域で見 資パフォーマンスは安定して推移 られ、落ち込みが最も激しかったの し、70%の顧客が高い評価を受け は中東 ・ 北アフリカと南アジアの顧 ました。 客でした。 84 _ IFC 年次報告書 2013 オフグリッド型照明のある人々は « 紛争の影響下にある国:IFC業務から教訓を学ぶ アドバイザリー・サービス 300 万人に、また村の電話にアク 学習の機会を最大限に高めるため、IFC は、個々の の結果 セスできる人々は 130 万人に上っ プロジェクトの評価に加え、当該業務の世界的、地 たほか、農家、起業家、中小企業 域別、プログラム別、そしてテーマ別の評価や高次 の幹部を含め 35 万人弱の人々(う の評価を行うことが増えています。 ち 76%は IDA 融資適格国の人々) 最近、外部のコンサルティング会社が「紛争の影 が能力構築の支援を受けました。 IFC のアドバイザリー・サービスは 響下にあるアフリカ諸国(CASA) 」プログラムの中 43 か国の政府による 76 件の投資 « 2013 年度、開発効果と顧客満足度 間審査を終了させました。紛争の影響下にある脆弱 の両方で、過去最高の評価を受けま 環境整備改革(うち 55 件は IDA 国でのアドバイザリー・サービスの実施方法の改善 した。2013 年にクローズされ開発効 融資適格国。これには紛争の影響 のために 2008 年に発足したこのプログラムは、現 在、 ブルンジ、 中央アフリカ共和国、 コートジボワー 果の測定が可能なアドバイザリー・ 下にある脆弱な状況 26 件が含ま ル、コンゴ民主共和国、ギニア、リベリア、シエラ サービス・プロジェクト 124 件のう れる)の策定を支援しました。 各国政府に対し産業別改革や投資 « レオネ、南スーダンの 8 か国で実施されています。 ち 76%が高い評価を受け、4 年連続 この審査によると、民間セクター開発に主眼をお で向上を見ました。また、結果の評 促進向けのサポートを行うことに く CASA が、紛争後の再建問題の中でも最も重要な 定は 124 件のプロジェクト全体で可 より、推定 7 億 5,000 万ドルの新 課題の一つに取り組んでいると指摘しています。当 能だったほか、成果の評定は全体の 規投融資の誘致に貢献しました。 事者のフィードバックによると、これらの国では、 73%が可能でした。 « コーポレート・ガバナンス慣行の IFC のように CASA プログラムを通じて総合的に民 IDA 融資適格国における業務は、 改善と、2 億ドルの追加資金の調 間セクター開発に取り組んでいる機関は他にないと 達(うち 1 億 5,000 万ドルは自己 前年の 74%から 2013 年度は 78%へ 述べています。 と評価が向上しました。IFC アドバ 勘定)で企業を支援しました。 CASA は、次の 3 つの方法のいずれかを用いて民 IFC 投融資サービスとの連携によ « イザリー・サービス業務に満足し 間セクターの開発促進に努めています。 まず第一に、 ていると答えた顧客は 2013 年度に り、金融仲介機関 149 件と協力し 顧客の要件に合わせたアドバイザリー・サービス ・ 90%に達しました。 て、マイクロファイナンス・中小 プロジェクトの協調的な推進、第二に、プロジェク トの実施向け支援に対する資金供与、第三に、IFC アドバイサリー・サービスでは、 企業向けローン 1,420 万件以上(う のツールや学んだ教訓、ベストプラクティスの普及 成果を高めるため、金融へのアクセ 、総額 ち 15%は IDA 融資適格国) といった知識管理の促進です。 ス、投資環境整備、官民パートナー 1,030 億ドル弱を供与したほか、金 この審査に基づくと、IFC は、これまでの国別ア シップ、持続可能なビジネスという 融仲介機関 20 件との協働により、 プローチを超え、4 つの助言業務分野(金融アクセ IFC の 4 つの業務分野全体に貢献で 住宅ローン 20 万 7,000 件、総額 ス、投資環境整備、官民パートナーシップ、持続可 きるプログラム・レベルのアプロー 73 億ドル以上を提供しました。 能なビジネス)全体で IFC の独自な強みを活用する チを採りました。以下は、2012 年 « 担保登記所との協力の下、金融市 ことで、プログラムの成功を積み重ねていくべきだ 場のインフラ整備に支援を行い、 にアドバイザリー・サービス全域で と、コンサルティング会社は提言しています。この 達成した事例の一部です。 動産を担保としたローン合計 ようなアプローチを用いれば、民間セクターと重要 « 官民パートナーシップの分野で 45 億ドルを 4 万社余りの中小企 な関係を構築することができ、CASA の有効性の強 は、政府が 9 件の委託契約(うち 業が受けられるようにし、さらに 化に役立つだろうと述べています。 6 件は IDA 融資適格国。これには 興信所 4 件の新設、強化、認可も 同社はまた、IFC は、新たな国で同様のプログラ ムを設定し、世銀グループ内でこのモデルのさらな 紛争の影響下にある脆弱な状況 1 助けました。 年間推定 370 万トンの温室効果ガ « る拡大を支援することにより、CASA の包括範囲を 件が含まれる)を結ぶ際の助力と 広げるべきだと提案しています。IFC の上層幹部は、 なりました。これにより、300 万 スの排出量削減で企業を支援しま サブサハラ ・ アフリカの 18 か国への同プログラム 人以上(うち 170 万人は紛争の影 した(2012 年に標準算出方法を導 の拡大を支持したほか、他の推奨項目についても現 響下にある脆弱な状況)の人々が 入する以前の方法に基づく)。 在実施中です。 インフラと保健衛生・医療サービ スにアクセスできるようになり、 民間投資 7 億 5,000 万ドルを誘引 できる見通しです。 パートナーシップの威力 _ 85 DOTS のパフォーマンス・カテゴリ:投融資サービス IFC の開発目標 目標との対比のための 目標値に パフォーマンス・カテゴリ 一般指標と基準 具体的指標例 2013 年度の 2013 年度の 対する割合 目標 IDG目標値 IDG 達成値 (%) 財務パフォーマンス 出資者への見返り、例:平均 投資資本利益率、自己資本利益 調達コスト(加重後)以上 率、予定通り・予算通りに実施 持続可能な農業のための 恩恵を 76 万人 76% の利益率 されたプロジェクト 機会の増加または向上 受ける人 : 100 万人 経済パフォーマンス 社会への貢献:例:経済的リタ 投資資本収益率、基本的サービ ヘルスサービスと 恩恵を 706 万人 ーン 10% 以上、加重後の平均 スの受益者数、小企業向けロー 167% 教育サービスの向上 受ける人 : 資金コスト ン数、雇用者数、納税額 422 万人 環境・社会パフォーマンス プロジェクトが IFC のパフォ 環境・社会面の管理システム、 マイクロファイナンス顧客による 恩恵を 4,125 万人 147% ーマンス基準を遵守 排出量または排気量、コミュニ 金融サービスへのアクセス向上 受ける人 : ティ開発プログラム 2,805 万人 民間セクター開発成果 プロジェクトの対象企業への影 デモンストレーション効果(他 中小企業顧客による 恩恵を 104 万人 90% 響を超えて、プロジェクトが の企業が新しい方策、商品、ま 金融サービスへのアクセス向上 受ける人 : 民間セクター開発にどれほど たはサービスを見習った例)、 115 万人 貢献したか 他の民間企業へのリンク、コー インフラサービスの 恩恵を 3,674 万人 186% ポレート・ガバナンス改善 増加または改善 受ける人 : 1,975 万人 DOTS のパフォーマンス・カテゴリ:アドバイザリー・サービス 温室効果ガスの排出量削減 二酸化炭素換算値で 620 万トン 127% 年間 490 万トン削減 目標との対比のための パフォーマンス・カテゴリ 一般指標と基準 具体的指標例 戦略的重要性 地元、地方、国家経済に与える 顧客の貢献度、国別戦略との 潜在的影響 整合性 効率 アドバイザリー業務の投資 費用対利益率、予定通り・予算通 利益率 りに実施されたプロジェク ト 有効性 アウトプット、結果、成果。 プロジ 業務改善、実現した投融資、受益 ェクトが顧客、受益者、さらに民 者の収益増大、政策改革による 間セクターの一般的向上に貢献 コスト削減額 86 _ IFC 年次報告書 2013 IFC 顧客が達成した開発効果の広がり アドバイザリー ・サービスのパフ ォーマンス 5 年間の DOTS スコアの推移(2009~2013 年度) 2011 年 2012 年 高い評価を受けた割合 (%) (暦年) (暦年) ポートフォリオ ポートフォリオ 投融資 100% 雇用数(百万人) 1 2.5 2.7 76% マイクロファイナンス・ローン2 80% 67% 件数(百万件) 19.7 22.0 62% 72% 金額(十億ドル) 19.84 24.03 60% 中小企業(SME)向けローン2 56% 40% 件数(百万件) 3.3 5.8 金額(十億ドル) 181.25 241.30 20% サービス利用者数 電気(百万人)3 47.0 52.2 0% 送電(百万人) 49.2 45.7 2009 年度 2010 年度 2011 年度 2012 年度 2013 年度 給水(百万人)4 38.7 42.1 ガス(百万人) 投融資サービスのパフ ォーマンス 5 22.4 33.8 電話(百万人) 172.2 192.0 5 年間の DOTS スコアの推移(2009~2013 年度) 6 患者数(百万人)7 13.0 17.2 高い評価を受けた割合 (%) 生徒・学生数(百万人) 0.9 1.0 農家数(百万戸) 3.3 3.1 100% サプライヤーと政府への支払い 財・サービスの現地購入(十億ドル) 49.84 46.19 80% 67% 68% 政府収入(節約)への貢献(十億ドル) 21.73 27.00 66% 71% 71% 上記の数値は 2011 年と 2012 年末(共に暦年)において IFC 顧客が達成した開発効果の広がりを指 60% す。2011 年と 2012 年(共に暦年)のデータは、IFC 顧客のポートフォリオ内容が変化するため、厳 密な対比は不可能。多くの場合、アドバイザリー・サービスからの貢献度も反映されている。 雇用数に関するデータには、ファンドによって創出された雇用数を含む。 1.  40% この広がりのデータは、IFC 顧客(零細・中小企業に的を絞る金融機関/プロジェクト)の 2011 年 2.  末と 2012 年末(共に暦年)における中小企業向けローン残高とマイクロファイナンス・ローン残 高を示したもの。中小企業向けポートフォリオとマイクロファイナンス・ポートフォリオの年末報 告が義務付けられた顧客の数は、2011 年と 2012 年(共に暦年)にそれぞれ 268 社と 285 社だっ 20% た。そのうち、2011 年と 2012 年(共に暦年)に報告を行った顧客数はそれぞれ 252 社と 269 社 だった。欠測データは補外。 2011年(暦年)に電力を支給された人の合計は、東アジア・太平洋地域のある顧客のデータ調整 3.  に伴い修正された。 0% 2011年(暦年)に給水を受けた人の合計は、サブサハラ・アフリカ地域のある顧客のデータ調整 4.  に伴い修正された。 2009 年度 2010 年度 2011 年度 2012 年度 2013 年度 東アジア ・ 太平洋地域のある顧客が 2012 年 5.  (暦年)に普及させたガス利用者数は 3,114 万人に達した。 南アジアのある顧客が 2012 年(暦年)に普及させた電話利用者数は 1 億 1,270 万人に上った。 6.  2011 年(暦年)に診察を受けた患者の合計は、ヨーロッパ・中央アジア地域のある顧客のデータ 7.  調整に伴い修正された。 パートナーシップの威力 _ 87 2013 年度の投融資サービスの 投融資サービスの地域別 DOTS スコア: パフ ォーマンス分野別 DOTS スコア 2012 年度 VS. 2013 年度 高い評価を受けた割合 (%) 高い評価を受けた割合 (%) 開発成果 66% IFC 全体 68% 73% 66% 財務パフォーマンス 50% ラテンアメリカ・カリブ海 72% 58% 74% 経済パフォーマンス 60% 東アジア・太平洋 80% 69% 70% 環境・社会パフォーマンス 67% 中東・北アフリカ 60%   69% 65% 民間セクター開発効果 77% ヨーロッパ・中央アジア 61%   83% 64% 加重前  加重後 サブサハラ・アフリカ 64% 61% 南アジア 投融資サービスの産業別 DOTS スコア: 73% 2012 年度 VS. 2013 年度 60% 2012 年度  2013 年度 高い評価を受けた割合 (%) IFC 全体 アドバイザリー・サービスの 68% 業務分野別 DOTS スコア 66% ファンド 73% 高い評価を受けた割合 (%) 79% インフラストラクチャー 76% IFC 全体 76% 73% 71% 金融市場 70% 持続可能なビジネス 87% 70% 75% アグリビジネス・林業 72% 投資環境の整備 75% 68% 70% 石油・ガス・鉱業 69% 金融へのアクセス 74% 64% 75% 消費者・社会サービス 57% 官民パートナーシップ 50% 56% 55% 通信・情報技術 56% 2013 年度  2011 年度~2013 年度 55% 製造 63% アドバイザリー ・サービスの 49% 地域別 DOTS スコア 2012 年度  2013 年度 高い評価を受けた割合 (%) IFC 全体 76% 71% 南アジア 92% 84% ヨーロッパ・中央アジア 76% 80% ラテンアメリカ・カリブ海 76% 79% サブサハラ・アフリカ 72% 67% 東アジア・太平洋 67% 68% 中東・北アフリカ 64% 50% 2013 年度  2011 年度~2013 年度 88 _ IFC 年次報告書 2013 職員 IFC の職員は多様な背景をもっています。 勤務地 彼らは IFC にとって最も重要な資産です。 拠点 2005 年度 2013 年度 職員の出身国は 140 か国以上に及び、現地 ワシントン DC 本部 1,350 (55%) 1,737 (43%) の顧客に革新的な解決策と国際的なベスト 現地事務所 1,083 (45%) 2,278 (57%) 合計 2,433 4,015 プラクティスを提供しています。 出身国(常勤職員) IFC の現地事務所は 99 か国、109 の都 市に配備されています。IFC 内の権限委譲 出身国 2005 年度 2013 年度 先進国 に対するコミットメントを反映して、職員 1,004 (41%) 1,502 (37%) 途上国 1,429 (59%) 2,513 (63%) の半数以上 (57%) は現地事務所で活動して 合計 2,433 4,015 おり、その割合は増え続けています。また 出身国(上級職以上) 職員の大半は途上国出身者 (63%) です。こ 出身国 2005 年度 2013 年度 の多様な背景があるからこそ、IFC の視野 先進国 690 (50%) 1,163 (44%) を広げ、民間セクター開発が最大の効果を 途上国 682 (50%) 1,462 (56%) 発揮する分野に力を注ぐことができるの 合計 1,372 2,625 です。 男女比(常勤職員) 性別 2005 年度 2013 年度 男性 1,194 (49%) 1,880 (47%) 女性 1,239 (51%) 2,135 (53%) 合計 2,433 4,015 男女比(上級職以上) 性別 2005 年度 2013 年度 男性 911 (66%) 1,507 (57%) 女性 461 (34%) 1,118 (43%) 合計 1,372 2,625 パートナーシップの威力 _ 89 IFC 職員の 報酬 福利厚生プログラム 出身国は IFC の報酬に関する指針は、世銀グループの枠組みの IFC は、医療保険や年金プランなど、他の組織にひけ 140 か国 一部となっています。様々な国から有能な職員を惹き つけ、堅持していくには、報酬が国際的に競合できる をとらない福利厚生プログラムを提供しています。ワ シントン本部の職員には、公開調達プロセスを通じて 以上に及んで ものでなければなりません。ワシントン DC の本部で 契約した保険会社 Aetna 社の健康保険を、また、他の います。 採用される世銀グループ職員の給与体系は、国際的競 職員には、国際的な医療保険会社 Vanbreda の保険を 合性で実績のある米国市場を参照して決められます。 利用しています。医療保険料は 75%を IFC が、残りの 職員の また、米国以外の国々で採用される職員の給与は、現 25%を本人が負担します。 地の独立市場調査の結果に従い、当地の競合性に基づ IFC の年金は世界銀行グループの年金プランの一部 63% いて決定されます。さらに、世銀グループに与えられ た多国間機関という地位により、職員の給与は税引き となっており、2 つの給付部分で構成されています。 一方は就業年数、給与、定年退職年齢に基づくもの、 は途上国の出身者 後の金額を基準にして決められます。 他方は積立貯蓄プランで、給与の 5%が自動的に積み また職員の です。 立てられ、それに IFC が年に 10%補充するというもの 変動型賞与プログラム です。世銀グループの旧年金プラン(Legacy)で現在 57% IFC の変動型賞与プログラムは、功績の認識や、各年 および長期のパフォーマンスに関する各種の賞など、 継続されている給付には、退職金や追加現金支払いも 含まれます。 は現地事務所で ハイパフォーマンスを重んずる IFC の風土を支える複 活動しています。 数の要素で構成されています。これらの賞は、チーム ワークを奨励し、優れたパフォーマンスに報い、さら に紛争の影響下にある脆弱国でのプログラムなど IFC の戦略的優先課題を支援することを目的としています。 職員の給与体系(ワシントン DC) 2012 年 7 月 1 日から 2013 年 6 月 30 日に至る、世銀グループ職員の給与体系 と平均給与、 (税引き後) ならびに平均諸手当は以下に示される通りです。 市場の 職階別の 最低額 基準額 最高額 職員の 職階別 平均 職階 代表的な職位 (ドル) (ドル) (ドル) 割合 (%) 平均給与 諸手当a GA 事務アシスタント 25,100 32,600 42,400 0.0% 34,269 19,591 GB チーム・アシスタント、情報技術者 31,700 41,200 57,700 0.7% 41,379 23,657 GC プログラム・アシスタント、情報アシスタント 39,100 50,900 71,300 9.2% 53,698 30,699 GD 上級プログラム・アシスタント、情報スペシャリスト、予算担当アシスタント 46,200 60,100 84,200 7.5% 66,204 37,849 GE アナリスト 62,100 80,700 113,000 9.6% 77,073 44,063 GF 専門職 82,500 107,300 150,200 19.8% 100,089 57,221 GG 上級専門職 111,300 144,700 202,500 31.4% 137,075 78,366 GH 管理職、専門職主幹 151,700 197,200 254,900 18.4% 188,958 108,027 GI シニア 局長、 ・アドバイザー 202,200 264,500 303,300 2.9% 249,266 142,505 GJ 副総裁 276,700 310,000 347,100 0.4% 309,632 177,016 GK 専務理事、執行副総裁(長官) 304,000 344,700 379,100 0.1% 354,189 195,637 注:米国市民以外の世銀グループ (WBG) 職員の報酬は通常、 こ 非課税所得であるため、 う この税引き後の金額は一般に、WBG が給与算定の参照とする組織や企業の職員の税引き後の手取り額に相 した職員に支払われる給与は税引き後の金額を基準に設定される。 当する。給与水準の上位 3 分の 1 を満たす職員はわずかしかいない。 a. 年間有給休暇、医療保険、生命保険、就業不能所得補償保険、退職金、その他の給与以外の手当を含む。 90 _ IFC 年次報告書 2013 ガバナンス 世界銀行グループにおける IFC の位置づけ IFCは、貧困のない世界を目指し、 総裁と長官の報酬 世銀グループの他の4機関と密接に 協働作業を展開しています。 世銀グループ総裁の給与は理事会 世界銀行グループは、途上国に資金援助と » 国際復興開発銀行 (IBRD): 中所 で決定されます。IFC長官の給与 得国と信用度の高い低所得国の政 は、米国で毎年実施される独立報 技術支援を行う重要な存在です。1944 年 府に対する貸付を供与。 酬市場調査の結果に従い、最高レ に設立されて以来、その使命は、専門家と » 国際開発協会(IDA):最貧国の政 ベルのIFC職員の給与と世銀グルー しての精神と熱意をもって貧困緩和に取り 府を対象に「クレジッ ト」と呼ばれ プ総裁の給与の中間点とされてい る無利子の融資を提供。 組み、 末永く成果を上げることにあります。 » 多数国間投資保証機関 (MIGA) : ます。IFC総裁と長官の報酬は一般 IFC は、世銀グループを構成する 5 つの 途上国の投資家に対し、 非商業的 に公開されています。蔡 金勇(ジ リスクに由来する損失を保証。 ン・ヨン・ツァイ)長官の給与は 機関の1つですが、独自の設立協定、出資 » 国際投資紛争解決センター (ICSID): 35万ドル(税引き後)でした。総 金、財務構造、運営陣、職員を有する別 投資紛争の国際的な調停と仲裁の 裁と長官には報奨パッケージはあ 途の独立した法人です。IFC への加盟は、 場を提供。 りません。 世界銀行の加盟国だけに限られています。 理事会 IFC の加盟国――出資国による力強い支援 2013 年 6 月 30 日現在の IFC の払込資本 各加盟国は、総務と総務代理を 1 人 応募資本金の国別比率 およそ 24 億ドルは、 加盟国 184 か国によっ ずつ任命します。IFC の組織として 合計 100.00% て保有されています。これらの加盟国は の権限は総務会に付与されており、 米国 23.69% 日本 総務会はその大半の権限を 25 名の 5.87% IFC のプログラムや活動に指針を与えま ドイツ 理事で構成される理事会に託して 5.36% す。 います。また各理事に与えられた議 フランス 5.04% IFC は、機会を最も必要とする場での機 決権数は、各々が代表する国の出資 英国 5.04% カナダ 3.38% 会創出を民間セクターとの協働によって進 額に比例したものです。 インド 3.38% 理事は、米ワシントン DC にあ めています。1956 年の設立以来、途上国の イタリア 3.38% る世界銀行グループの本部で定期 民間セクター向け投融資契約(自己勘定分) 的に会合を開き、投融資の審査・決 ロシア連邦 3.38% オランダ 2.34% は総額 1,440 億ドルを上回ったほか、他機 定のほか、運営陣に対し全般的戦略 その他 174 か国 39.14% 関からさらに多額の資金を誘引しました。 についての指導を行います。世界銀 行グループの総裁は IFC の総裁も 兼任しています。 パートナーシップの威力 _ 91 左から 1 列目: No. 5 - John Whitehead(ニュージーランド)、No. 4 - Roberto B. Tan(フィリピン)、 No. 3 - Satu Santala(フィンランド) 9 18 左から 2 列目:No. 7- Shaolin Yang(中国)、No. 6 - Marie-Lucie Morin(カナダ)、No. 2 - Agapito 6 7 12 14 5 8 19 15 22 4 10 13 20 23 Mendes Dias(サントメ・プリンシペ)、 No. 1 - Merza Hasan(クウェート) 16 24 左から 3 列目:No. 9 - Vadim Grishin(ロシア連邦)、No. 8 - Gwen Hines(英国)、No. 10 - Mukesh 2 11 3 17 21 1 N. Prasad(インド) 25 中央の列:No. 12 - Piero Cipollone(イタリア)、No. 14 - Ibrahim M. Alturki(理事代理、サウジアラビ ア)、No. 13 - Omar Bougara(アルジェリア)、No. 11 - Mansur Muhtar(ナイジェリア) 右 1 列目:No. 18 - Denny H. Kalyalya(ザンビア)、No. 19 - César Guido Forcieri(アルゼンチン)、 No. 15 - Gino Alzetta(ベルギー)、No. 16 - 鈴木英明(日本)、No. 17 - Ingrid-Gabriela Hoven(ドイツ) 右 2 列目:No. 20 - Juan José Bravo(メキシコ)、No. 21 - Sara Aviel(理事代理、米国) 右 3 列目:No. 22 - Hervé de Villeroché(フランス)、No. 23 - Frank Heemskerk(オランダ)、 No. 24 - Jörg Frieden(スイス)、No. 25 - Sundaran Annamalai(マレーシア) 92 _ IFC 年次報告書 2013 説明責任 の助言プロジェクトの 51%を認証 IEG は対象とな 独立評価グループ コンプライアンス・アドバイザー/オンブズマン しました。評価結果は IFC に伝え る投融資プロジェ 独立評価グループ(IEG)は、IFC クトの コンプライアンス・アドバイザー / られ、さらに世銀グループの結果と の学習という課題に貢献するため、 オンブズマン(CAO)室は、IFC と 45% パフォーマンスに関する年次評価 評価結果から教訓を引き出します。 MIGA の求償に対する独立したメ 報告書の中にも盛り込まれます。そ IFC の運営陣とは独立しており、 カニズムです。世銀グループ総裁 の最新報告書によると、3 年間の移 を、また対象となるア IFC の理事会に直属する IEG は、 の直下に置かれた CAO は、IFC と 動平均値に基づいた IFC の全体的 ドバイザリー ・サービ IFC の業務パフォーマンスを強化 スの 51% を認証し MIGA のプロジェクトから影響を受 開発結果は比較的安定していると し、戦略と将来の方向性についての ました。 けた人々の苦情に対処します。 述べています。 情報を提供することを目指します。 CAO の目標は、プロジェクトの IEG が今年行ったもう一つの評 IEG が隔年に作成する「業務 環境・社会面のパフォーマンスを向 価は、グローバル・トレード・ファ 評価に関する報告書」は、IFC と 上し、IFC と MIGA の公共への説 イナンス・プログラムに関するもの MIGA の業務の査定、監視、評価に 明責任を強化することにあります。 です。それによると、同プログラム 重点をおくものです。それによる CAO は、3 つの役割を通じて、影 は、貿易金融に対する IFC の関わ と、IFC は、投融資と助言プロジェ 響を受けたコミュニティと IFC 顧 りを大きく改善した上、商業銀行の クトの情報を収集・分析・応用する 客との間の紛争解決、環境 ・ 社会 活動を阻んでいるリスクを緩和す 高度な結果管理システムを有して 基準に対する IFC の遵守状況の独 ることで、貿易金融向け資金の拡大 いると述べています。また IEG は、 立した監視、そして世銀総裁と IFC に効果を上げたと報告しています。 IFC が、開発指標の作成、集計、公 上層幹部への独立した助言の提供 IEG は今年、IFC 投融資プロジェ 開、戦略的活用に多大な努力を払っ を行います。 クトから学んだ教訓を 1996 年以来 ていることも指摘しています。「開 本年度中、CAO は 19 か国で 42 件 データベースに収めてきた E-LRN 発結果追跡システム(DOTS)」か のケースに対応しました。これらの を再開し、15 年間の評価作業から ら得られたデータは、コーポレー ケースは、資源採掘産業、インフラ、 引き出された教訓 3,000 件以上にア ト・スコアカードや各部局のスコア アグリビジネス、製造、アドバイザ クセスできるようにしました。職員 カード、さらに IFC 全体の開発目 リー・サービス、金融仲介機関に対 は検索機能を使ってこれらの教訓 標の中で利用されています。IEG の する IFC 投融資に関わるものでした。 に簡単にアクセスできるため、IFC 評価は、IFC の結果管理システムの コンプライアンスをめぐる役割 の開発効果の向上に役立ちます。 精度を高め、強化していく上での重 では、IFC パフォーマンスに関する IEG の報告書はウェブサイト上 要なインプットとなります。 監査を 12 件扱いました。インドネ で一般に公開されています(http:// IEG は、評価の対象となる IFC ieg.worldbankgroup.org)。 投融資プロジェクトの 45%、同様 パートナーシップの威力 _ 93 シアのヤシ油とペルーのアグリビ CAO は 19 か国で 介機関顧客をめぐる労働問題の苦 ジネスに関する 2 件の IFC 投融資 情をクローズしたほか、インドネシ については、監査をクローズする に足る根拠があると決定しました。 42 件 アのヤシ油セクターとニカラグア の砂糖産業に関する 2 件のケース のケースに対応しま 現在、実施中の監査は 7 件あり、モ の和解も監視中です。 した。 ザンビークの金属製造、コソボの電 CAO は今年、市民社会団体、 力セクター、世界の金融仲介機関に IFC/MIGA、他のステークホルダー 関連した 3 件の監査については IFC との協議の下で、CAO の業務ガイ の対応状況をモニター中です。 ドラインを改訂しました。3 月に実 金融仲介機関に関する監査では、 施されたこの改訂版は CAO の有効 188 件の IFC 投融資が分析され、そ 性の向上を目指すものです。 の結果、金融仲介機関顧客の環境・ CAO についての詳しい情 社会面の管理能力が適切な形で支 報はウェブサイト(www.cao- 援されているかどうかに懸念が生 ombudsman.org)をご覧ください。 じ、環境・社会に与えるこれら投融 資の影響を IFC がモニターする際 の方法に問題がある点を指摘しま した。IFC は現在、CAO の監査結 果に対応するための行動計画を策 定中です。 CAO の紛争解決チームは、アル バニア、カンボジア、カメルーン、 チャド、コロンビア、インドネシア、 インド、メキシコ、モンゴル、ニカ ラグア、パプアニューギニア、ペ ルー、南アフリカ、ウガンダで業務 を進めており、地域社会や IFC 顧 客による問題への取り組みを助け ています。また、アフリカの金融仲 94 _ IFC 年次報告書 2013 パートナーシップ 持続可能なビジネス、コーポレー 2013 年度、援助パ » デンマーク政府 は、エジプトと 生産性の高いパートナーシップの形成 ト・ガバナンス、世界的な投資環境 ートナーはIFCの助 チュニジアでの資源の効率的利用 IFC は、繁栄の構築と貧困撲滅に向 言業務を支援する の整備、アフリカの紛争の影響下に とクリーン・エネルギー・プログ けた革新的なパートナーシップを ために ある国支援を共同で進めるために ラムをサポートしました。 育成するため、各国政府、財団、他 の多国間機関や開発機関と協力し 強化されました。さらに「オランダ・ IFC パートナーシップ」は、持続可 2億 » フランス共和国政府 は、サブサハ ラ・アフリカでの「商法改革プロ ています。民間セクターに特化した 国際開発金融機関としては最大の 能なビジネス、投資環境整備、金融 へのアクセス、官民パートナーシッ 5,400 グラム」で IFC に引き続き協力し ています。 規模を誇る IFC は、パートナー機 万ドル プ、紛争状況に協調的に取り組むた » ドイツの国際協力公社(GIZ) は、 関と協力して喫緊の開発課題への めに延長されました。 以上の拠出を誓約し 金融機関の環境・社会リスク管理 取り組みに尽力しています。 ました。 アジアでは、域内の民間セクター 活動の向上において IFC 業務に貢 この協調的なアプローチは、長 開発推進を助けるため、オーストラ 献したほか、連邦政府経済開発協 期的なパートナーシップの威力を強 リアとニュージーランドとの間で 力省(BMZ)は、IFC によるグリー 調し、結果測定と効率向上という焦 2011 年に国際金融 「太平洋パートナーシップ」を設立 機関は民間セクター ンな成長のための投資機会の探求 点を堅持し、援助パートナーからの 開発向けに しました。さらに、アジアとサブサ を支援しました。 貢献度を高めようというものです。 ハラ・アフリカでの IFC 活動を広 » オランダ外務省 は、中東・北アフ 援助パートナーとの協働 げるため日本とのパートナーシッ 440 リカでの雇用創出、南アジアでの プも深化させました。 億ドル 水関連活動、サブサハラ・アフリ IFC は、援助パートナーと長期的な 以下は、2013 年度中の援助パー カにおける投資環境整備改革、そ 関係を維持し、それらと協力しなが を供出しました。 トナーとの協働的取り組みの一例 して「グローバル SME 金融イノ ら世界各地で民間セクター開発を です。 ベーション」プログラムを支援し 促進しています。 » オーストリア連邦財務省 は、官民 ました。加えて、 IFC の 同国は、 「世 援助パートナーは IFC アドバイ パートナーシップ、アグリビジネ 界貿易流動性プログラム(GTLP)」 ザリー・サービス業務を力強く支援 ス、持続可能なエネルギーを中心 への拠出を通じて、ぜひとも必要 しており、2013 年度は 2 億 5,400 万 に、東欧と中央アジアでの協働作 な貿易金融にも貢献しました。 ドルの拠出を誓約しました。加えて、 業を強化するために拠出契約を更 » ノルウェーの外務省 は、IFC の「ア 多くの援助パートナーは、各種の投 新しました。同様に、オーストリ フリカ紛争の影響下にある諸国イ 融資イニシアティブで IFC と共に資 ア開発銀行は、東アフリカでの再 ニシアティブ」に追加拠出を行い 金供与を行うことにより、IFC との 生可能エネルギーと省エネ向け投 ました。 協働作業を一段と深化させました。 融資の拡大を支援しました。 » 南アフリカ共和国は、貿易産業省 IFC は 2013 年度に、世界のド » ビル&メリンダ・ゲイツ財団 と を通じて、 アフリカにおける IFC ナー・コミュニティと協力して、開 IFC は、給水衛生セクターと金融 の民間セクター開発活動への支援 発成果を最大限に高めるための、フ へのアクセス分野で続けて協力 を改めて約束しました。 レキシブルな融資、発想豊かなリー し、ケニアの家庭向け衛生商品市 » スウェーデン国際開発協力庁 は、 ダーシップ、そして知識共有を盛り 場の育成プロジェクトとタンザニ エチオピアでの IFC の民間セク 込んだ戦略的パートナーシップを アのモバイル金融サービス・プロ ター開発業務のパートナーとなり いくつか立ち上げました。 ジェクトを立ち上げました。 ました。 「カナダ・IFC パートナーシップ・ » カナダ政府 は、サブサハラ・ア » スイスの経済官房長室 (SECO)は、 ファンド」は、資源採掘セクターと フリカとラテンアメリカ・カリブ 投資環境整備、 金融へのアクセス、 金融セクターにおける火急の開発 海での投資環境の整備、さらに東 インフラ、環境・社会面のリスク 課題に取り組み、世界規模でジェン アジア・太平洋地域での食糧安全 管理における IFC の世界的業務を ダー平等を普及するために設立さ 保障の強化に貢献しました。同国 支援しました。SECO はまた、 ジェ れました。また「ルクセンブルグ・ 政府はまた、「IFC 触媒ファンド」 ンダー平等の促進活動に特に重点 IFC パートナーシップ」と「アイル に投資することで、気候変動対策 を置いた、IFC の持続可能なビジ ランド・IFC パートナーシップ」は、 も支援しました。 パートナーシップの威力 _ 95 ネスに関する助言活動に大きな支援を提 政府 2012 年度 2013 年度 前年の例に習い、金融セクターとインフ 供しました。 スイス 57.15 63.51 ラに引き続き大きな重点が置かれており、 » 英国の国際開発省(DFID) は、中央ア 英国 69.94 34.79 それに続き、中東、再生可能エネルギー、 ジアとサブサハラ・アフリカでの投資環 米国 14.14 5.78 食糧安全保障の分野が強調されています。 境整備、南アジアでの域内貿易と SME 合計 247.28 239.61 これらの機関同士の協働作業も拡大中 発展、中央・南アジアにおける官民パー 機関・民間ドナー 2012 年度 2013 年度 です。現在展開中の協力分野の一例として トナーシップ、中東・北アフリカでの雇 Blue Moon Fund Inc. 0.00 0.25 開発金融機関 17 機関との「基本協力協定」 用創出の面で IFC 業務に貢献しました。 BNDESPAR 3.00 0.00 が挙げられます。この協定は、IFC 主導型 DFID はまた、 「世界農業・食糧安全保障 The Coca-Cola Company* 0.00 2.00 のプロジェクト資金を共同で調達する際、 プログラム」の民間セクター部門への拠 CTF 0.80 0.50 協調融資を通じてこれらの機関が協力する 出も誓約しました。加えて、DFID とエ Disney Worldwide Services, Inc. 0.05 0.00 仕組みを規定したものです。IFC はまた、 ネルギー・気候変動省は、 「IFC 触媒ファ 欧州委員会 8.90 0.00 「釜山イニシアティブ」のフォローアップ、 ビル&メリンダ・ゲイツ財団 コーポレート・ガバナンス、ジェンダー、 ンド」にも多額の拠出を約束しました。 2.57 2.87 米州開発銀行 » 米国国際開発庁(USAID) は、東欧・中 1.00 0.00 気候変動でも協働作業を展開しています。 Kauffman 財団 央アジア、ラテンアメリカ・カリブ海、 0.05 0.00 また、譲許的資金、現地通貨建て融資、倫 Marie Stopes International 0.00 3.87 中東・北アフリカにおける IFC のビジネ 理問題、開発指標の調和化に関する合同作 MasterCard 財団 37.45 0.03 ス改革活動を支援しました。 業も IFC の主導下で続いています。 Nestlé SA* 0.00 1.00 2012 年 1 月以来、IFC は、「国際金融 Omidyar Network Fund, Inc. 0.00 0.07 IFC アドバイザリー・サービスへの拠出契約額 機関と民間セクターを通じた開発」とい PepsiCo 財団* 0.00 2.00 (米ドル換算値:百万ドル)* SABMiller PLC* 0.00 0.25 う報告書のテーマの広報キャンペーンを 要約 2012 年度 2013 年度 国連機関/主体 0.25 1.16 ヨーロッパで先導してきました。2013 年 政府 247.28 239.61 合計 54.08 14.01 1 月、IFC の「仕事に関する調査(Jobs 機関・多国間パートナー 10.95 1.66 「2030年水資源グループ」 * への拠出者 Study)」の立ち上げの会議では、より多 企業、財団、非政府組織 (NGOs) 43.13 12.35 くの質の高い仕事の創出に協調的に取り 合計 301.36 253.62 他の開発機関との協働 組むことを誓約した共同コミュニケを *未監査データ 多国間・二国間開発金融機関をはじめと 28 機関が発表しました(43 ページ参照)。 政府 2012 年度 2013 年度 する国際金融機関(IFIs)は、民間セクター IFC は、コーポレート・ガバナンスにお オーストラリア 1.57 21.87 が人々の生活向上と貧困削減を促進する いても引き続きリーダーシップを発揮し オーストリア 25.55 12.70 際に重大な役割を果たします。 ています。例えば、「IFI コーポレート・ カナダ 5.63 47.83 これらの機関は困難な環境で成功を収め ガバナンス育成枠組み」では IFC の方法 デンマーク 論を用いて、30 ほどの金融機関と協働作 0.96 3.61 てきた実績があります。また民間市場がリ フィンランド 0.13 0.00 スク回避的になると資金を注入します。さ 業を進めています。 フランス 0.03 2.65 らに市場強化のための助言を行ったり、イ 以下の開発金融機関は、IFC アセット・ ドイツ 0.60 1.15 ンクルーシブで持続可能な民間セクター開 マネージメント社の運用するファンドに アイルランド 1.51 1.12 日本 9.48 7.22 発を進めたりすることにも貢献しています。 投資を行っています。 韓国 1.00 0.00 過去 10 年間で、途上国における国際金 » 日本国際協力銀行(JBIC) ルクセンブルグ 0.00 6.79 融機関の民間セクター向け資金調達活動 » アブダビ開発基金(ADFD) オランダ 42.37 18.59 は総額 440 億ドル以上(2011 年)へと 4 » アフリカ開発銀行 ニュージーランド 0.00 4.00 倍に増大しました。これらの機関が 1 ドル » CDC グループ(中華網集団) ノルウェー 4.85 2.01 を投入するごとに、他者から 2 〜 3 ドル » 欧州投資銀行 南アフリカ 0.00 0.67 の投資を引き出すことが可能です。 » OPEC 国際開発基金 スウェーデン 12.38 5.32 IFC は、一連の IFIs とチームを組んで、 知識の共有、開発効果の拡大、開発成果 の最大化のための資金を結集させていま す。国際金融機関の民間セクター業務は、 96 _ IFC 年次報告書 2013 リスク管理 ポートフォリオ運用 を行います。IFC はまた、環境・社 2013 年度の国際 流動性管理 会パフォーマンスを体系的に追跡 市場での新規借入 ポートフォリオ運用は、プロジェク は、 ドルに換算して 貸借対照表上の流動資産は、前年 して、財務結果と開発成果の測定を トの力強い財務結果と開発成果を 合計約 度末に 297 億ドルだったのに対し、 行っています。 期するためにも、IFC のビジネス運 2013 年 6 月 30 日付では総額 303 億 営の本質的な要素となっています。 財政難に陥ったプロジェクトに ついては、特別業務局が適切な是正 120 億ドル ドルでした。流動資産の大半は米ド IFC の運営陣は、四半期ごとに ル建てで保有されています。米ドル 策を決定します。その際、同局は、 でした。 全世界のポートフォリオの審査を行 以外の通貨建て資産につきものの プロジェクトの業務を継続しなが い、そのパフォーマンスに関する年 エクスポージャーは、為替リスクを ら問題解決が可能となるよう、債権 次報告を理事会に提出します。大半 管理するため、米ドルでヘッジされ 者や全株主との間でプロジェクト が現地事務所で業務を展開する IFC ます。流動資産の水準は、市場にス 再建の負担を共有するための交渉 のポートフォリオ担当チームは、四 トレスが生じたときでも契約額を を進め合意を求めます。 半期ごとに資産別審査を行い、世界 支払えるだけの資金を確保すると IFC 業務に参加する投資家や 的な審査を補完しています。 いう視点に立って決められます。 パートナー組織にはプロジェクト また、コーポレート・レベルで の進展状況を常に知らせています。 は、IFC は、500 億ドルに上るポー 2013 年度の国際市場での IFC は状況に応じ、協議を行ったり、 債券発行による資金調達 トフォリオのパフォーマンス分析 意見を求めたりします。 金額 結果を、国際的マクロ経済や市場の (米ドル 通貨 換算値) % 財務運用 動向に関する予想と総合した上で、 米ドル 6,597,029,098 55.80% IFC の将来の投資についての決定を IFC は、国際資本市場で債券を発行 オーストラリア・ドル 1,377,411,350 11.60% 伝えます。さらに、新興市場で将来 することにより融資の原資を調達 ブラジル・レアル 891,776,917 7.50% 起こりうるマクロ経済情勢下での しています。また新興市場で現地 ニュージーランド・ドル 792,480,000 6.70% ポートフォリオ・パフォーマンスを 通貨建て債券を発行した初の多国 日本円 605,262,000 5.10% 定期的にテストすることで、リスク 間機関であることも多々あります。 ロシア・ルーブル 488,293,678 4.10% を特定し、それに積極的に対処しま IFC 融資の大半は米ドル建てです トルコ・リラ 368,637,282 3.10% す。このように、ストレステストは、 が、調達筋の多様化、調達コストの マクロ経済を揺るがす事象の発生 削減、現地の資本市場の育成を支援 に際し、それが IFC ポートフォリ するため、様々な通貨建てで借入を オにどう影響しうるかを決定する 行っています。IFC の資金調達活動 上での基準となります。 は融資活動の歩調に合わせて継続 プロジェクト・レベルでは、投 的に行われます。2013 年度の国際 融資契約書の遵守状況の活発な監 市場での新規借入は、合計約 120 億 視、プロジェクトの進捗状況を調べ ドル(ドル換算値)でした。 るための現地視察、さらに将来問題 となりそうな課題の解決策の特定 パートナーシップの威力 _ 97 自己資本比率と財務能力 2013 年度のIFCの IFC の様々な投資商品から生じる損 負債比率は 失や他のリスクを総計したモデル 健全なリスク管理は、IFC の開発マ を作成することが可能です。こうし ンデートを全うする能力を確保す る際に決定的な役割を果たします。 2.6:1 たリスクの総計値が、IFC のトリプ ル A の格付けを維持するのに必要 で、財務方針で規 IFC の本来のビジネスが変動の激し 定された 4:1 の範 な最低資本の推定値を決定します。 いダイナミックな新興市場への長 囲に十分収まって IFC の利用可能な総資本は、払 期的投資であることを踏まえると、 います。 込資本、用途指定項目と特定の未実 IFC は常に財務リスクや業務リスク 現利益を控除した後の留保利益、そ にさらされています。 して貸倒れ引当金合計で構成され 慎重なリスク管理を行い、健全 ています。現行業務の支援に必要と な資本金を備えていれば、強固な財 なるこの利用可能な資本を超えた 務能力を堅持できるだけでなく、経 金額は、IFC ポートフォリオの将来 済や金融の混乱期においてカウン の成長に利用できるほか、予想外の ターシクリカルな役割を果たすこ 外部ショックに見舞われたときの とが可能です。加えて、IFC の堅実 バッファーとなります。 な財務能力のおかげで借入コスト 2013 年 6 月現在、利用可能な総 が低下し顧客に低利率で資金供与 資本は 205 億ドルに達した一方、最 を行えます。 低自己資本は 168 億ドルでした。ま IFC のリスク管理と財務状況の た 2013 年 6 月現在の IFC の負債比 健全性や質の高さは、1989 年以来 率は 2.6:1 で、財務方針で規定され 堅持してきたトリプル A の格付け た4:1 の範囲に十分収まっています。 からも明らかです。 IFC の最低自己資本は、バーゼ ル協定の枠組みと整合し業界の先 陣をきる慣行でもある、経済資本の 枠組みに従って評価されます。この 経済資本とは、リスクの「標準通 貨」として機能します。これにより、 98 _ IFC 年次報告書 2013 責任ある業務活動 持続可能性に対するIFCのアプローチ IFC のパフォーマンス基準は、民間セ 持続可能性の実践 クターにおける環境・社会リスク管理の 企業はダイナミックに変化する環境で業 IFC は、民間セクター開発を原動力とす 主要ベンチマークとして全世界で認めら 務を展開します。気候変動、資源不足、 る健全な経済成長こそ貧困削減に不可欠 れるようになりました。それらは、今や 大きな社会的圧力にさられる時代には、 であると確信しています。 世界の 76 の金融機関が導入している「エ 環境・社会・ガバナンス面の課題が事業 IFC は、投融資と助言の世界的活動に クエーター原則(赤道原則)」にも反映さ にとっても、また IFC の顧客にとっても おいて、財務、経済、環境、そして社会 れています。加えて、欧州の 15 の開発金 重要性を増しています。 の 4 つの側面から持続可能性に配慮してい 融機関、経済協力開発機構(OECD)加盟 IFC は、持続可能な形でビジネスを進 ます。財務の持続可能性を確保できれば、 国での 32 の輸出信用機関など、他の金融 めれば、プラスの開発成果につながると IFC と顧客が協力して長期的に開発に寄与 機関の方針の中にも IFC のパフォーマン 確信しています。IFC の持続可能性の枠 することができます。IFC プロジェクトが ス基準が参照されています。 組みと助言は、顧客が成長とイノベーショ 経済的に持続可能であれば、受入国の経済 顧客は、IFC の環境・社会に関する専 ンの機会を見出すのに役立ちます。この に重要な貢献をすることが可能です。 門知識こそが IFC との取引を決定する重 枠組みは、健全な環境・社会慣行を促進し、 IFC 顧客の業務とサプライチェーンで 要な要因となったと引き続き述べていま 開発成果を広げ、透明性と説明責任を促 環境の持続可能性を確保すれば、自然資 す。IFC が毎年実施する顧客アンケート します。 源の保護・保全、環境悪化の緩和、そし によると、環境・社会面の課題で支援を この枠組みはまた、持続可能な開発に て気候変動をめぐる世界的問題への取り 受けた顧客の 90%以上が有益な支援だっ 向けた IFC の戦略的コミットメントを明 組みに役立ちます。 たと回答しています。その際、回答者は、 示し、IFC のリスク管理に対するアプロー IFC は、環境・社会に関する方針の中 ステークホルダーとの関係改善、ブラン チの主軸を成しています。さらに、助言 に「生態系サービス」というコンセプト ドの価値向上と認識、健全なリスク管理 と投融資の両顧客をはじめとする多様な を総括的に取り入れた初の国際金融機関 慣行の確立に役立ったと述べています。 顧客層(その多くは金融仲介機関)の適 です。この生態系サービスとは、食料、 あるプロジェクトへの融資案件が提案 切な管理も可能になります。 飲料水、薬草など人々とビジネスに恩恵 されると、IFC は、全体的なデューデリジェ をもたらす自然の機能を指しています。 IFCのパフォーマンス基準 ンスの一環として環境・社会面の審査を それは、健全な環境を保てば経済と社会 実施します。この審査では、プロジェク この枠組みの中心には、民間セクターが の利益になることを強調するものです。 トの成果に関する顧客の評価と、プロジェ 直面する様々な環境・社会問題に取り組 気候変動リスクを持続可能性枠組みに クト管理に対する顧客のコミットメント む IFC の 8 つのパフォーマンス基準が存 組み入れることで、IFC は、気候変動リ と能力が考慮されます。さらに、当該プ 在します。これらの基準は、持続的な事 スクの評価と顧客の適応を目的とした気 ロジェクトが IFC のパフォーマンス基準 業推進の一手段としてリスクの回避、軽 候変動ツールやプログラムの策定にいっ に則っているかどうかも評価されます。 減、管理を行おうとする顧客を支援する そうの努力を注いでいます。 また、パフォーマンス基準が満たされて ためのものです。さらに、ビジネス、投 さらに、生活水準と労働基準の改善、 いない場合には、それが随時満たされる 資家、環境、コミュニティのためになる 地域社会の強化、先住民との話合い、そ よう、IFC と顧客の間で「環境 ・ 社会行 良好な解決策を見出す際の助けにもなり して企業権利と人権に関連した重要課題 動計画」に合意します。IFC は、投融資 ます。 の尊重を働きかけることにより社会の持 の全過程を通じてプロジェクトを監督し、 これには、省エネによるコスト削減、 続可能性も支援しています。ジェンダー 環境・社会パフォーマンスに関する顧客 環境と社会にとって健全な商品・サービ に対する IFC のアプローチは、パフォー のコミットメントをモニターしています。 スを通じた収益と市場シェアの向上、積 マンス基準に組み込まれ、その主流を成 極的な関わりを通じたステークホルダー しています。それは、この課題が通常、 との関係改善などが含まれます。パフォー すべての労働者の保護に不可欠だとする マンス基準を正しく適用できない状況 考えを反映したものであり、あらゆる地 (例:短期ものの貿易金融)においては、 域社会へのリスクと影響を軽減するため 持続可能性枠組みの目的を達成するため のものです。パフォーマンス基準は、様々 のリスク・スクリーニング・ツールを開 拓しました。 パートナーシップの威力 _ 99 な個別の影響に取り組むと同時に、ジェ 対する共通の対応の基盤となっています。 た。IFC で初の世界的な電力削減イニシ ンダー対応の協議プロセスを実施するこ IFC はまた、研修や訓練のための資料 アティブにより、コンピュータに関連し とも重要だと認識しています。 や、制度構築のためのツールや商品を開 た電力消費量はわずか 1 年間で 3 分の 1 削 IFC は、経済開発の恩恵が貧しい人々 拓することで、コーポレート・ガバナン 減でき、システム導入費用を 1 年で回収で や弱い立場にある人々にも及び、しかも スの強化を支援しています。これには、 きると予測されています。 持続可能な方法で開発が進められるよう コーポレート・ガバナンス協会、業務規 2013 年度はまた、廃棄物の削減も世界 全力を注いでいます。さらに IFC は、持 範と業績評価、理事・取締役のリーダー 的に展開しました。これに伴い、2015 年 続可能性とは、市場の変革、イノベーショ シップ研修、紛争解決、ビジネスレポー 度までに紙消費量を 15%削減するという ン促進、そして顧客企業の事業パフォー ターの研修などの分野で企業に役立つ IFC で初の世界目標も打ち出しました。 マンス向上を通じた付加価値拡大のため ツールが含まれます。 「IFC 廃棄物チャレンジ」キャンペーンは、 の機会であると捉えています。 コーポレート・ガバナンスの堅実性は、 新規の廃棄物削減プログラムの実施を 10 リーダーである理事・取締役が多様な背景 か所以上の現地事務所に奨励したほか、 コーポレート・ガバナンス  をもっているかどうかにかかっています。 65 か国以上の事務所に勤務する 830 名余 IFC の顧客や途上国の民間セクター全体 IFC は、顧客の理事会や取締役会のノミ りの職員が「IFC プレッジ」と呼ばれる でコーポレート・ガバナンスを改善する ニー・ディレクター(名目役員)として、 オンライン・マップを利用して廃棄物の ことは IFC の優先課題です。 より多くの女性を起用するよう努めてい 削減に個人的にコミットしました。 IFC は、取締役の有効性向上、株主の ます。IFC のノミニー・ディレクターのほ IFC 本部でも初の廃棄物削減目標を設 権利強化、リスク管理をめぐるガバナン ぼ 20%が女性です。さらに、この割合を 定しました。2015 年までに廃棄量合計の ス改善、内部統制強化、情報公開促進に 2015 年までに 30%に引き上げる所存です。 10%削減と、リサイクル/堆肥化の割合 ついてのグッドプラクティスに関する助 の 35%から 85%への改善です。また新規 カーボン・フットプリントに対するコミットメント 言を提供しています。また、規制当局や の廃棄物処理システムが導入され、その 証券取引所など、コーポレート・ガバナ IFC では、持続可能性が、組織の風土の 結果、中間監査報告書には 2015 年までの ンスの改善に関心のある主体にも助言を 中に息づき、事業推進の重要な一部とな 目標達成または超過に向け予定通りに進 行っています。特にアフリカ、ラテンア るよう心がけています。また、IFC の環境・ んでいることが示されています。加えて、 メリカ、南アジアなど支援が行き届いて 社会パフォーマンスを継続的に向上して 本部では、26,706 キロの事務用品や家具 いない地域では、コーポレート・ガバナ いくことにより、顧客に求める基準を自 が慈善団体に寄付されました。 ンス・プログラムの拡充を図っています。 らにも課しています。 2012 年度、IFC の内部業務から生じた IFC は、豊かな経験のおかげで、途上 2013 年度、IFC は「フットプリント・ 炭素排出量の世界合計は、二酸化炭素約 国の民間セクターの現実に沿った形で国 コミットメント」を世界的に展開しまし 47,800 トン分に相当する量でした。IFC 際的な原則を適用することができます。 た。例えば、電力消費量は IFC の世界的 は 2007 年度以来、自己の世界的カーボン・ その結果、新興市場で業務を展開する開 な二酸化炭素排出量の 30%近くを占めて フットプリントに関するデータを収集し 発銀行や他の投資家は今や、コーポレー います。そこで、ネットワーク内の全コ て報告しています。 ト・ガバナンスについての指導を IFC に ンピュータ、ノート型パソコン、モニター IFC はまた、世界中の業務を「カーボ 求めるようになりました。 を対象に電力管理システムを導入しまし ン・ニュートラル」とする努力も続けて そのための対策は様々です。コーポレー IFC 内部業務から出される炭素排出量の 2012 年度の世界合計 ト・ガバナンスのリスクと機会を評価す 二酸化炭素換算値(トン、tCO2e) るシステム「IFC コーポレート・ガバナ 出張 33,195.94 tCO2e 69% ンス方法論」の確立はその一例です。こ 本部における電力 7,512.34 tCO2e 16% の種のシステムとしては開発金融機関中 現地事務所における電力 4,703.90 tCO2e 10% で最も進んだものといわれる、この方法 その他 2,404.83 tCO2e 5% は現在、一部の最も困難な市場で業務を 合計排出量 47,817.02 tCO2e IFC の 2012 年度の炭素排出量は、二酸化炭素、メタン、窒素酸化物などを二酸化炭素に換算した結果、合計およそ 47,800 トン (tCO2e) に上りました。 進める 30 の開発金融機関によって実施さ れており、コーポレート・ガバナンスに 100 _ IFC 年次報告書 2013 います。カーボン・フットプリントを相 されます。その他の地域については 殺するため、低所得コミュニティの住民 2014 年から開発結果を公開し始めます。 に水浄化装置を配布する独自なプログラ 2012 年の「情報アクセスに関する方針」 ム「Carbon for Water(炭素で水を)」を の実施に伴って開発成果の指標が公開さ 推進する LifeStraw 社から炭素クレジット れている IFC のアドバイザリー・サービ を購入したのです。この装置のおかげで、 ス・プロジェクトについては、各年度の 薪を燃やして水を沸騰させる必要がなく 年次報告書の発行後に暦年に基づく結果 なり、温室効果ガスを発生させずに済み が公開される予定です。 ます。このプロジェクトは 80 万世帯以 金融仲介機関を通じた投融資の透明性 上を網羅し、炭素排出量を減らしながら、 の向上には、IFC のプライベート・エクイ ケニアの農村に住む 450 万人に安全な飲 ティ・ファンドへの投資によって支援さ 料水を提供しています。 れた高リスクのサブプロジェクトの名称、 所在地、セクターを定期的に公開するこ 情報アクセスに関する方針 とも含まれます。 様々な地域やセクターで業務を展開する IFC のプロジェクト・レベルのデータや 多国間金融機関として、IFC は、多種多様 年次報告書のデータは今や、世銀グルー なステークホルダーに影響を与えていま プの「オープン・ファイナンス」プラッ す。その際、透明性と説明責任は、IFC の トフォームでも入手可能となっています。 開発マンデートを全うする際の礎となっ IFC のプロジェクトや財務情報へのアク ています。 セスを高めるこのイニシアティブにより、 2012 年に発効した IFC の「情報アクセ ユーザーは必要に応じデータを様々な形で スに関する方針」は、開発成果の伝達能 閲覧することが可能になります。 力を高め、環境 ・ 社会リスクの管理方法 IFC は、商業上繊細な情報、考慮中の を改善することに役立っています。IFC の 情報、機密情報を保護する規定をそのま プロジェクトと投融資についての透明性 ま維持していますが、ステークホルダー が向上すれば、情報を得た上での対話や に対しては、特定の情報の公開決定につ フィードバックの交換が可能になります。 いて抗議したい場合は、独立した 2 段階 IFC は今や、投融資サイクルの全段階 の請願メカニズムを利用できるようにし で、プロジェクトの環境・社会への影響 ています。 と開発成果に関する情報を公開していま IFC は、透明性を高めることにより、 す。結果の報告に重点をおくこの規定は 事業パフォーマンスの向上と良好なガバ 金融仲介機関を通じた投融資にも適用さ ナンスの促進が可能になると確信してい れます。金融仲介機関は IFC ポートフォ ます。さらにまた、この変革が将来、プ リオの重要でかつ増大中の分野です。 ロジェクトの成果を向上させ、影響を受 IFC 投融資プロジェクトの開発結果の けたコミュニティの意識を高め、ステー 公開は、地域ごとに段階的に進められて クホルダーとの関係を強化できるものと います。ラテンアメリカ・カリブ海、東 信じてやみません。 アジア・太平洋、ヨーロッパ・中央アジ 詳細についてはウェブサイトをご覧く アの各地域については 2013 年度から公開 ださい(www.ifc.org/disclosure)。 パートナーシップの威力 _ 101 持続可能な開発に関する一部情報の 独立した保証報告書 我々は、IFC の要請に従い、2013 年 6 月 30 日に終了する年度の報告書に係り、持続可能な開発に関する一部情報のレビューを実施した。 これには定量的指標(以下「指標」と称す)と定性的な表明(以下「表明」と称す)が含まれる。その際、我々は、企業責任をめぐ る対応とパフォーマンスについての表明に加え、特定のステークホルダーの利害にかかわるとみられる表明、そして IFC の名声にリ スクを及ぼしそうな表明を選別した。これらの指標および表明は、以下の重要な分野に関連している。 重要分野 表明 指標 IFC の方針 (80 ページ) 「IFC の開発目標」 (98 ページ) 「持続可能性に対する IFC のアプローチ」 投融資とアドバイザリー・サービスの開発効果 「開発成果の測定方法」 (80 ~ 87 ページ) 高い評価を受けた投融資プロジェク トの割合 :66% (86 ページ) 、詳細に 「投融資の結果」(82 ~ 87 ページ) ついては業種別 (87 ページ)、地域別 (87 ページ) 、パフォーマンス分野別 (87 「アドバイザリー・サービスの結果」 (84 ~ 87 ページ) ページ)、加重スコアおよび加重前スコア (87 ページ) の数値を参照 。 高い評 価を受けたアドバイザリー・プロジェク トの割合 :76% (86 ページ)、詳細に ついては業務分野別 (87 ページ)、地域別 (87 ページ) の数値を参照 開発効果の広がり 「現地の資本市場:成長に拍車をかける効果的方法」 (54 ページ) 雇用数:270 万人 「機会を最も必要とする場での機会創出」(68 ~ 69 ページ) 患者数:1,720 万人 生徒・学生数:100 万人 ガス利用者数:3,380 万人 電気利用者数:4,570 万人 給水を受けた人の数:4,210 万人 2012 年(暦年)のマイクロファイナンス・ローンおよび中小企業向けローンの 件数と金額 (86 ページ) ローン数 金額 ローン・タイプ (百万件) (十億ド) 小口ローン 22.9 25.13 中小企業向けローン 5.8 241.3 環境・社会評価 「IFC のパフォーマンス基準」 (98 ページ) 環境・社会カテゴリ別にみた 「持続可能性の実践」 (98 ~ 99 ページ) 契約額(28 ページ) 契約額 カテゴリ (百万ドル) プロジェクト数 A 884 17 B 5,490 167 C 6,764 269 FI 1,751 48 FI-1 450 14 FI-2 2,203 59 FI-3 807 38 合計 18,349 612 持続可能なビジネス  「気候変動:地球温暖化への取り組み」 (36 ~ 37 ページ)、「ジェンダー: 2013 年度の気候関連の契約額 :25 億ドル (36 ページ) 平等な社会を通じた開発の拡大」 (60 ページ) 「IFC のアドバイザリー 、 ・ サービス」(74 ページ)、「カーボン・フットプリントに対するコミット 2012 年度の二酸化炭素排出量 :47,800 トン (99 ページ) メント」(99 ページ) (二酸化炭素換算値) 民間セクター開発に関する影響力の行使 「食糧安全保障:小規模農家のための機会拡充」 、 (47 ページ)「雇用創出: 貧困脱却への確かな道」 (43 ページ)、「中小企業:ビジネスの繁栄に向 (45 ページ) けた支援」 「中所得国 、 :万人のための繁栄の促進」 (61 ページ) 最貧国・脆弱国での関与 「インフラ:アフリカの繁栄促進」(51 ページ) 、「南 ・ 南投資:開発に欠 かせない重要な力」 (53 ページ)「持続可能な成長の下地造り」 、 (58 ~ 59 ページ)、「IDA 融資適格国:最貧層のための機会創出」 (63 ページ) 他者との協働 「資金動員:民間投資を誘引する新市場の開拓」 、 (52 ページ)「援助パー トナーとの協働」 、 (94 ~ 95 ページ)「他の開発機関との協働」(95 ページ) 資産運用 (75 ページ) 「IFC アセット・マネージメント社」 IFC の活動の評価 「独立評価グループ」 (92 ページ) 、「コンプライアンス・アドバイザー/ (92 ~ 93 ページ) オンブズマン」 102 _ IFC 年次報告書 2013 このレビューは以下の項目について限定 » 報告書作成基準の適用状況、あるいは表 重要性 的保証 を行うことを目指した。 1 明の適正を評価するため、コーポレート・ IFC は、自己が持続可能性に与えた影響、 1 指標は、特定の指標に関する IFC の指 レベルで 25 名を超える報告上の責任者 環境 ・ 社会に対するリスク、影響、そし 示書、手続き、ガイドラインから成る、 とのインタビューを実施した。 て IFC 資金を受けたプロジェクトが直接 2013 年の報告書作成基準(以下「報告 » コーポレート・レベルで分析手続きを もたらした成果、あるいは金融仲介機関 書作成基準」と称す)に基づいて作成 実施し、試査により指標の算出と併合過 を通じて達成した成果など、持続可能性 された。これらはまた「環境 ・ 社会カ 程を確認した。 に関する情報を提供している。このレベ テゴリ別契約額」(28 ページ)および » 指標または表明の裏付けとなる書類、例 ルの情報公開は、他の多国間開発銀行の 投融資とアドバイザリー ・ サービスの えば、理事会や他の会合に提出された報 公開水準と合致したものである。IFC はま 開発効果(「結果のモニタリングと追 告書、融資契約書、内外でのプレゼンテー た、投融資・アドバイザリー・サービス 跡」、81 ページ)に関するものであり、 ションや報告、研究あるいは調査結果な が達成した開発成果を、特に「開発結果 IFC のウェブサイトに掲載されている。 どを収集した。 追跡調査システム(DOTS)」を用いて評 これら指標の要約は本年次報告書にも » 我々は IFC の香港事務所を訪問し、結 価したり、自己の評価戦略の実施状況や 記述されている。 果測定のスペシャリストや、投融資担当 「IFC の開発目標」の作成と試験的実施に 2 表明は、IFC のウェブサイト 2 に掲載 オフィサー、ポートフォリオ・マネー ついて評価したりすることに特別の努力 された「情報アクセスに関する IFC の ジャー、その他顧客からのデータを収集・ を注いでいる。 方針」と、国際基準 3 で定義された重 整理し審査を行う現地担当者らと会合 しかし、IFC は、顧客自身が環境・社 要性、完全性、中立性、明確性、およ した。 会(E&S)パフォーマンスをどのように改 び信頼性の原則に基づいて作成された。 » 本年次報告書に掲載された表明および指 善しているかをより正確に測定できるよ これらの指標や表明の作成、報告書作 標、そしてそれらに関連した方法論の付 う、DOTS の環境・社会パフォーマンス分 成基準についての情報提供、そして年次 記などの提示についてレビューを行った。 野の指標の数や重要性を(E&S 管理シス 報告書の編集の責任は IFC に帰属する。 テムを超えた領域で)さらに向上させる レビューの限界 一方、我々の責任は、レビューに基づ ことができれば、もっと多くの恩恵を享 き、これらの指標と表明についての結論 このレビューは、上記の表に記述された 受できる点を指摘しておきたい。これは、 を述べることにある。我々のレビューは、 表明と指標のみに限られ、本年次報告書 環境・社会に対する金融機関の影響が間 国際会計士連盟(IFAC)の国際保証業務 中で公表された他の情報は対象としてい 接的であることを踏まえると特に重要だ 基準(ISAE)3000 に準拠して実施された 4。 ない。 といえる。 また、我々の独立性は、IFAC の職業人倫 また、我々が行った試査は、IFC のワシ ントン DC 本部と香港事務所での文書のレ 理規範により定義されたものである。 完全性 ビューとインタビューのみに限られた。本 指標の報告範囲には、IFC の重要な活動の レビューの種類と対象 表明の対象となった作業に関する限り、外 大半が含まれている。本年次報告書では、 我々は、結論の記述が可能となるよう、 部のステークホルダーや顧客での活動には 各指標の包括範囲は、当該データへの脚 以下のレビューを実施した。 参加しなかったほか、個々のプロジェクト 注として示されている。 » 報告書作成基準、方針ならびに原則を、 に関する情報の妥当性を確認するための試 貿易金融業務が IFC のポートフォリオ その重要性、完全性、中立性、信頼性の 査やインタビューも実施しなかった。 の中でしだいに重要性を増しているため、 観点から評価した。 報告書作成基準と表明の作成プロセスに関する情報 IFC は 2012 年、グローバル・トレード・ファ » 上記の表に記述されたような持続可能性 イナンス・プログラム向けとして DOTS ならびに開発分野に関する重要な表明を 報告書作成基準および表明作成に関する 顧客データ収集に関する調査を試験的に 特定するため、本年次報告書の内容のレ 方針と原則については、以下のコメント 立ち上げた。これにより、ベースライン・ ビューを行った。 を記しておきたい。 さらに徹底した業務が必要となる。 1. より高水準の保証には、 2. http://www.ifc.org/ifcext/disclosure.nsf/content/disclosure_policy グローバル 3. 国際会計士連盟 (IFAC) の国際保証業務基準 (ISAE) 3000、 ・レポーティング・イニシアティブ (GRI) 、AA1000 説明責任に関する基本原則を指す。 国際保証業務基準 (ISAE) 3000「過去の財務データのレビュー以外の保証業務」 4. : 、国際会計士連盟、国際監査・保証基準審議会、2003 年 12 月。 パートナーシップの威力 _ 103 データについての分析報告が作成され、 務諸表ではなく推定に基づいている可能 総務会への書簡 IFC は間もなくこの業務の評価を開始で 性があることから、報告されたデータが IFC 理事会は、国際金融公社の定款に基い きるようになるはずである。 IFC の定義と算出方式に則っているかど て、本年次報告書の作成に当たらせまし うかを確かめる必要があるためだ。 た。ジム・ヨン・キムは、IFC 総裁・理 中立性と明確性 結論  事会議長として、監査済み財務諸表と共 IFC は、指標の設定に際し、採用した方 我々のレビューに基づくと、以下の内容 に本報告書を総務会に提出するしだいで 法についての情報を、公開データへの脚 を確信させるような、注意を引く事項は す。2013 年 6 月 30 日に終了する本年度中、 注として、あるいは関連セクションで提 何も見つからなかった。 IFC は、民間セクターへの投融資とアドバ 供している。これについての詳細は IFC » あらゆる重要な側面において、指標が イザリー・サービス、そしてファンドの のウェブサイトで入手できる。 報告書作成基準に基づいて作成されな 運用を通じて、持続可能な開発の成果を 「開発効果の広がり」の指標の定義を主 かった。 一段と拡大でき誠に喜ばしく思うと共に、 な国際金融機関(IFIs)の間で調和化する » あらゆる重要な側面において、表明が「情 理事会一同、本報告書をここに謹んでご 努力がなされていることはすでに指摘し 報開示に関する IFC の方針」と国際基準 報告いたします。 た。これにより、IFIs の活動が開発効果 の広がりに及ぼした影響についての意思 によって定義された重要性、完全性、中 伝達を図る際に、一貫性を大きく向上す 立性、明確性、および信頼性の原則に基 ることができるはずである。 づいて提示されなかった。 信頼性 Paris-La Defense、フランス IFC は、 「小口ローン」 2013 年 8 月 5 日 「気候関連の投融資」 「中小企業向けローン 」(零細・中小企業 への開発効果の広がりに関する指標)に 独立監査人 関連した内部統制の強化において進展を ERNST & YOUNG et Associes 遂げた。 こうした多数のコーポレート・レベル、 プロジェクト・レベルの統制に加え、IFC は、「開発効果の広がり」の指標の追跡 に用いられた情報源についてもさらなる エリック・デュヴォー 検証を行うべきである。それというのも、 クリーンテクノロジー・持続可能性担当 こうしたデータは外部筋から発している パートナー 場合が多く、ときには顧客の監査済み財 104 _ IFC 年次報告書 2013 財務の概要 財務パフォーマンスの概要 IFC の財務パフォーマンスは、全般的な市場の環境に大きく左右されます。 以下は、IFC の純利益と包括利益を構成する主な要素と、これらの利益の水準と変化に年ごとに影響を与える要因について述べた ものです。 構成要素 大きな影響を与える要因 純利益: 利付き資産の利回り スプレッド・レベルや競争の程度などを含めた市場の状況。遅延債権、遅延債権からの利息回収、個人債権の参加型ノートの受取 利息も貸出金収益に含まれる。 流動資産収益 流動資産ポートフォリオの実現・未実現利益(損失) (これらは、金利の環境といった外部の要因に左右される)、および流動資産ポ ートフォリオ中の特定の資産クラス。 エクイティ投資ポートフォリオ収益 新興市場の株式を取り巻く世界的な投資環境、 通貨および商品相場の変動、 株式投資先の特定の銘柄のパフォーマンス。エクイ ティ・ポートフォリオのパフォーマンス(元本価格の変動による実現利益、配当、有価証券減損、非貨幣資産の交換益、株式投資の 未実現利益 ・ 。 損失など) 貸倒れ引当金および債務保証損失引当金 借入者のリスク管理、倒産の確率、および倒産した場合の損失。 その他の収益および費用 IFC が顧客に提供するアドバイザリー・サービスの水準、職員の退職年金および他の給付プランの費用の水準、管理費用などの 承認済み予算。 その他の非トレーディング金融商品(公正価 基本的には、借入金の公正評価額の変化の差額を指す。 これには、IFC の信用スプレッド、関連するデリバティブ商品、 プ さらに、 額で評価)の利益・損失 ッ ワラント、 トオプション、 株式オプションを含む投資ポ一トフォリオの未実現利益 (これらは新興市場を取り巻く世界的な投資環境 に一部左右される)などが含まれる。これらの有価証券は、内部で開拓されたモデルや方法を用いて評価される。 そうしたモデル や方法に投入するインプッ トは判別可能である場合とそうでない場合がある。 IDA 拠出金 理事会によって承認された IDA 拠出額の水準。 その他の包括利益: 上場株式投資および売買可能 (AFS) 債務 新興市場の株式を取り巻く世界的な投資環境、通貨および商品相場の変動、株式投資先の特定の銘柄のパフォーマンス。これらの 証券の未実現利益・損失 株式投資は未調整の時価で評価され、債務証券は、内部で開拓されたモデルや方法を用いて評価される。そうしたモデルや方法 に投入するインプットは判別可能である場合とそうでない場合がある。 未認識数理計算上の差異および給付プラン 年金資産のリターン、給付金債務の予想に用いられた主な仮定(これには、金融市場の金利、職員の費用、過去の経験、将来の給付 の未確認過去勤務費用 コストへの影響および経済状況に対する運営陣の最善の予測などが含まれる) 。 パートナーシップの威力 _ 105 2013 年度の他の非トレーディング金融商品(公正価額で評価) 純利益 の純利益は 4 億 2,200 万ドルで、前年度の純損失 2 億 1,900 万ド IFC の 2013 年度の収益(非トレーディング金融商品(公正価額 ルを 6 億 4,100 万ドル上回りました。従って、IDA 拠出金差引き で評価)の純損益および IDA 拠出金差引き前)は 9 億 2,800 万ド 前の収益は 13 億 5,000 万ドルで、前年度の IDA 拠出金差引き前 ルでした。これに対し 2012 年度の収益は 18 億 7,700 万ドルでした。 収益 16 億 5,800 万ドルを 3 億 800 万ドル下回りました。 2012 年度に比べ、2013 年度の収益(非トレーディング金融商 2013 年度の IDA 拠出金は合計 3 億 4,000 万ドルだったのに 品(公正価額で評価)の純損益および IDA 拠出金差引き前)が 対し 2012 年度は 3 億 3,000 万ドルでした。また 2013 年度の非支 減少した理由は、基本的に以下の内訳に示される通りです(百万 配持分純損失は合計 800 万ドルでした(これに対し 2012 年度は 米ドル)。 ゼロ)。従って、2013 年度の IFC に帰属する純利益は合計 10 億 1,800 万ドルだった一方、2012 年度の純利益は 13 億 2,800 万ドル 増加(減少) 2013 年度 vs でした。 2012 年度 各年 6 月 30 日に終了する過去 5 年間の IFC 純利益(損失)は エクイティ投資実現キャピタル・ゲイン $(1,079) 貸倒れ引当金、債務保証損失引当金、その他の未収債権引当金 (126) 以下に示す通りです(百万米ドル)。 非トレーディング活動の為替取引利益(損失) (110) 純利益(損失) アドバイザリー・サービス支出(純額) (91) 6 月 30 日終了年度(百万米ドル) 年金および他の退職後給付費用 (77) エクイティ投資未実現利益 154 2013 $1,018 流動資産のトレーディング活動からの収益 187 2012 $1,328 エクイティ投資の非一時的な減損額 251 2011 $1,579 その他(純額) (58) 2010 $1,746 全体的変化 $(949) 2009 $(151) 106 _ IFC 年次報告書 2013 下記の表は過去 5 年の会計年度における財務データの一部を示したものです(単位:別段の記述がない限り百万米ドル)。 一部の財務データ 2013 2012 2011 2010 2009 各年 6 月 30 日現在および 6 月 30 日終了年度 収益の要約: 貸出および保証からの収益 $ 1,059 $ 938 $ 877 $ 801 $ 871 (繰入額) 貸倒れ引当金および債務保証損失引当金の取崩し (243) (117) 40 (155) (438) エクイティ投資からの収益(損失) 752 1,457 1,464 1,638 (42) 内訳: エクイティ投資実現利益 921 2,000 737 1,290 990 非貨幣資産の交換益 6 3 217 28 14 エクイティ投資未実現利益(損失) 26 (128) 454 240 (299) 配当および利益参加 248 274 280 285 311 非一時的な減損額 (441) (692) (218) (203) (1,058) 手数料、その他 (8) – (6) (2) – 債務証券からの収益 5 81 46 108 71 流動資産のトレーディング活動からの収益 500 313 529 815 474 借入手数料 (220) (181) (140) (163) (488) その他の収益 サービス手数料 101 60 88 70 39 アドバイザリー・サービスからの収益 239 269 – – – その他  101 119 134 106 114 その他の費用 管理費用 (845) (798) (700) (664) (582) アドバイザリー・サービス費用 (351) (290) (153) (108) (134) 年金および他の退職後給付プラン費用 (173) (96) (109) (69) (34) その他  (32) (23) (19) (12) (14) 非トレーディング活動の為替取引利益(損失) 35 145 (33) (82) 10 その他の非トレーディング金融商品(公正価額で評価)の損益および IDA 拠出金控除前の収益(損失) 928 1,877 2,024 2,285 (153) その他の非トレーディング金融商品の純利益(損失) 422 (219) 155 (339) 452 内訳: 実現利益 35 11 63 5 – 非貨幣資産の交換益 2 10 22 6 45 未実現利益(損失) 385 (240) 70 (350) 407 IDA 拠出差引き前利益 1,350 1,658 2,179 1,946 299 IDA 拠出金 (340) (330) (600) (200) (450) 純利益(損失) 1,010 1,328 1,579 1,746 (151) 非支配持分に帰属する純損失控除 8 – – – – IFC に帰属する純利益(損失) $ 1,018 $ 1,328 $ 1,579 $ 1,746 $ (151) パートナーシップの威力 _ 107 2013 2012 2011 2010 2009 各年 6 月 30 日現在および 6 月 30 日終了年度 連結貸借対照表の要約: 資産合計 $ 77,525 $ 75,761 $ 6 8,490 $ 61,075 $ 51,483 流動資産(関連デリバティブ控除後) 31,237 29,721 24,517 21,001 17,864 投融資 34,677 31,438 29,934 25,944 22,214 借入金残高(公正価額調整を含む) 44,869 44,665 38,211 31,106 25,711 資本合計 $ 22,275 $ 20,580 $ 20,279 $ 18,359 $ 16,122 内訳: 用途未指定留保利益 $ 18,435 $ 17,373 $ 16,032 $ 14,307 $ 12,251 用途指定留保利益 278 322 335 481 791 応募資本金 2,403 2,372 2,369 2,369 2,369 その他の包括利益累積額(AOCI) 1,121 513 1,543 1,202 711 非支配持分 38 – – – – 財務比率:1 平均資産利益率(GAAP ベース)2 1.3% 1.8% 2.4% 3.1% (0.3%) 平均資産利益率(非 GAAP ベース)3 0.9% 2.8% 1.8% 3.8% (1.1%) 平均自己資本利益率(GAAP ベース)4 4.8% 6.5% 8.2% 10.1% (0.9%) 平均自己資本利益率(非 GAAP ベース)5 3.1% 9.9% 6.0% 11.8% (3.0%) 翌 3 年間の純現金推定所要額に対する現金および短期投資の比率 77% 77% 83% 71% 75% 外部調達資金の流動性レベル6 309% 327% 266% 190% 163% 負債比率7 2.6:1 2.7:1 2.6:1 2.2:1 2.1:1 実行済み貸出金残高合計に対する貸倒れ引当金比率8 7.2% 6.6% 6.6% 7.4% 7.4% 資本測定値: リスク加重後の自己資本比率9 n/a n/a n/a n/a 44% 所要額合計(十億ドル)10 16.8 15.5 14.4 12.8 10.9 利用可能額合計(十億ドル)11 20.5 19.2 17.9 16.8 14.8 戦略的資本金12 3.8 3.7 3.6 4.0 3.9 展開可能な戦略的資本金13 1.7 1.8 1.8 2.3 2.3 利用可能額合計に対する展開可能な戦略的資本金の比率 8% 9% 10% 14% 16% 1. 以下に掲載された特定の財務比率は、投融資や他の非トレーディング金融商品の未実現損益、AOCI 、および変動持分事業体 (VIE) の連結からの影響を排除して算出。 2. 当年度末と前年度末の資産合計の平均に対する当年度の純利益の比率 (%) を指す。 3. 実行済み貸出金・エクイティ投資(引当金控除後、簿価)、買戻条件付取引控除後の流動資産、 さらに当年度と前年度の他の資産合計の平均合計額に対する、純利益(ただし特定の投融資の未実現損益(公正価額で評価)、連結後の変動持分事業体からの収益、非トレー ディング金融商品(公正価額で評価)の損益は除外)の比率 (%) を指す。 4. 当年度末と前年度末の資本合計(応募手続中払込金は除外)の平均に対する当年度の純利益の比率 (%) を指す。 5. 当年度と前年度の払込資本および留保利益 (ただし特定の未実現損益控除前、費用として未計上の用途指定項目累積額は除外)の平均に対する、純利益(ただし特定の投融資の未実現損益(公正価額で評価)、連結後の変動持分事業体からの収益、非トレーディング金融 商品(公正価額で評価)の損益は除外)の比率 (%) を指す。 6. 流動性に関する IFC の目的は、外部調達資金の受取金が (i) 契約済み未実行無担保優先貸付の 100% (ii) 契約済み保証の 30% 、および (iii) 契約済み顧客リスク管理商品の 30% を合計した金額の少なくとも 65% をカバーする水準を最低限として維持することに ある。ただし、2013 年度第3四半期以降、IFC 運営陣は、外部調達金に関する方針を改訂し、65 ~ 85% という適用範囲を廃止すると決定した。 7. レバレッジ(負債)比率とは、払込資本金と留保利益(用途指定留保利益および特定の未実現損益控除後)の合計に対し、何倍の借入金残高と保証金残高を有しているかを示す比率を指す。 8. 実行済み貸出金残高合計に対する貸倒れ引当金比率とは、年度末の実行済み貸出金残高合計に対する貸倒れ引当金合計の比率 (%) を指す。 9. リスクウェイトを乗じた資産 (オフバランスシートの資産も含む) に対する資本勘定 (払込資本金、留保利益、ポートフォリオ (一般)貸倒れ引当金を含む) この比率には、IFC の連結貸借対照表の資本合計に計上された の比率を指す。 「特定用途に指定された留保利益」は 含まれない。IFC 理事会は、2008 年 6 月 30 日に終了する年度(2008 年度) リスクベース経済資本の枠組みの使用を承認した。 以降、 リスク加重後の自己資本比率を並行して利用することは中止された。 そのため、 この金額は、IFC が保有する各資産クラスのリスクベース経済資本所要額を総合して算出。 10. IFC のトリプル A の格付を維持する上で必要な最低資本金。 11. 払込資本金と留保利益(ただし用途指定留保利益と一般および特定の貸倒れ引当金控除後) これは、IFC のリスクベース経済資本の枠組みのもとで利用可能となる資金水準を示す。 の合計を指す。 12. 利用可能額合計から所要額合計を差し引いた金額。 13. 利用可能額合計から所要額合計を差し引いた金額の 90% 。 108 _ IFC 年次報告書 2013 契約額 2013 年度の契約額合計は、2012 年度の 203 億 5,800 万ドルから 22%増大し、248 億 5,300 万ドルに達しました。そのうち、IFC の契約 、また中心的な資金動員額は 65 億 400 万ドル(2012 年度は 48 億 9,600 万ドル) 額は 183 億 4,900 万ドル(2012 年度は 154 億 6,200 万ドル) でした。 2013 年度と 2012 年度の契約額と中心的な資金動員額は以下に示す通りです(百万米ドル)。 2013 年度 2012 年度 契約額合計1 24,853 $ 20,358 $ IFC 契約額 融資 $ 8,520 $ 6,668 エクイティ投資 2,732 2,282 保証: グローバル・トレード・ファイナンス・プログラム 6,477 6,004 その他  482 398 顧客リスク管理 138 110 IFC 契約額合計 $ 18,349 $ 15,462 中心的な資金動員 融資参加、並行融資、他の資金動員 融資参加 $ 1,829 $ 1,764 並行融資 1,269 927 他の資金動員 480 814 融資参加、並行融資、他の資金動員合計 $ 3,578 $ 3,505 アセット・マネージメント社(AMC) 株式資本増強ファンド $ 214 $ 24 準債務増強ファンド 209 215 ALACファンド 210 190 アフリカ資本増強ファンド 92 8 ロシア銀行資本増強ファンド 43 – AMC 合計 $ 768 $ 437 他のイニシアティブ 世界貿易流動性プログラムおよびクリティカル・コモディティ・ファイナンス・プログラム $ 1,096 $ 850 官民パートナーシップ (PPP) 942 41 インフラストラクチャー危機ファシリティ 110 63 負債・資産回収プログラム 10 – 他のイニシアティブ合計 $ 2,158 $ 954 中心的な資金動員合計 $ 6,504 $ 4,896 中心的な資金動員の比率 0.35 0.32 それぞれの特性に基づき、 1. 債務証券は、 融資かエクイティ投資の中に含まれている。 中心的な資金動員の比率 中心的な資金動員の比率とは以下のように定義されます。 融資参加+並行融資+融資および他の資金動員の売却 + 中心的な資金動員の基準を満たすストラクチャード・ファイナンスのうちの IFC 投融資以外の部分 + イニシアティブ中の IFC 以外の契約額 + AMCが運用するファンド中の IFC 以外の投資契約額 + PPP を通じた資金動員 契約額(IFC 投融資 + ストラクチャード・ファイナンス中の IFC の部分 + 新規イニシアティブ中の IFC 契約額 + AMC が運用するファンド中の IFC の投資契約額) (融資参加、並行融資、他の資金動員、ストラクチャード ・ ファイナンスの IFC 2013 年度中、IFC が 1 ドルの拠出契約を行うごとに、 以外の部分、イニシアティブ中の IFC 以外の契約、および AMC が運用するファンド中の IFC 以外の投資契約という形で)0.35 ドル の資金を動員しました(2012 年度は 0.32 ドル)。 パートナーシップの威力 _ 109 アセット ・ マネージメント社(AMC) AMC が運用するファンドの 2013 年 6 月 30 日現在、および 2012 年 6 月 30 日現在の活動は以下に示す通りです(単位:別段の記述 がない限り百万米ドル)。 グローバル・インフラ 株式資本増強 準債務増強 ALAC アフリカ資本 ロシア銀行資本 ストラクチャー・ ファンド ファンド ファンド 増強ファンド 増強ファンド 触媒ファンド ファンド 合計 2013 年 6 月 30 日現在の運用資産 $ 1,275 $ 1,725 $ 1,000 $ 182 $ 550 $ 282 $ 500 $ 5,514 IFC からの拠出 775 225 200 – 250 75 100 1,625 他の投資家からの拠出 500 1,500 800 182 300 207 400 3,889 2013 年 6 月 30 日終了年度 被投資家への契約額: IFC 332 31 52 – 35 – – 450 他の投資家 214 209 210 92 43 – – 768 投資家からファンドへの実行額: IFC 336 33 63 – 38 1 1 472 他の投資家 217 223 252 94 46 2 3 837 ファンドによる実行額 546 249 297 91 78 – – 1,261 ファンドによる実行件数 7 5 12 4 2 – – 30 グローバル・インフラ 株式資本増強 準債務増強 ALAC アフリカ資本 ロシア銀行資本 ストラクチャー・ ファンド ファンド ファンド 増強ファンド 増強ファンド 触媒ファンド ファンド 合計 2012 年 6 月 30 日現在の運用資産 $ 1,275 $ 1,725 $ 1,000 $ 182 $ 275 $ – $ – $ 4,457 IFC からの拠出 775 225 200 – 125 – – 1,325 他の投資家からの拠出 500 1,500 800 182 150 – – 3,132 2012年 6 月 30 日終了年度 被投資家への契約額: IFC 36 32 48 – – – – 116 他の投資家 24 215 190 8 – – – 437 投資家からファンドへの実行額: IFC 62 28 52 – – – – 142 他の投資家 40 186 208 14 – – – 448 ファンドによる実行額 97 208 174 11 – – – 490 ファンドによる実行件数 6 2 8 3 – – – 19 110 _ IFC 年次報告書 2013 パートナーシップの威力 _ 111 有益な情報源 インターネットおよびソーシャル・メディア IFC のウェブサイト (www.ifc.org) には、 IFC オンライン 写真 4 ページ :  Ray Rayburn/WB IFC 活動のあらゆる面についての包括 IFC ウェブサイト Photolab ifc.org 6 ページ : Iwan Bagus 8~9 ページ : 的情報が掲載されています。この中に Iwan Bagus 年次報告書 18~19 ページ : Margie Politzer/Getty ifc.org/AnnualReport 20~21 ページ : Eightfish/Getty は、世界各地の事務所の連絡先、プレ ソーシャル・メディア索引 22~23 ページ :  Commerce and Culture Agency/Getty ifc.org/SocialMediaIndex スリリースや特集、結果測定に関する 24~25 ページ :  Dan Josephson/Getty Facebook 34 ページ : Vaner Cassaes 35 ページ : データ、投融資案件についての情報公 facebook.com/IFCwbg Sonata Dkhar 36 ページ : Abengoa Twitter 37 ページ :  Gerardo Salazar (上)、 開書、IFC とその顧客に影響を及ぼす twitter.com/IFC_org 38 ページ : Abengoa (下) Tom Cockrem/Getty 主な方針とガイドラインなどが含まれ LinkedIn 39 ページ :  Johannes on.ifc.org/ifcLinkedIn Wiebus-O’Heron 42 ページ : ています。 Manas Ranjan Ojha Google+ 43 ページ : Etileno XXI gplus.to/IFCwbg 44 ページ :  Jamie Marshall– このサイトには、本報告書の英語版と、Scribd 45 ページ :  Tribaleye Images/Getty Mohamed Essa (左)、 scribd.com/IFCpublications 各国語への翻訳が終了ししだいその翻 Kushang Singh (右) YouTube 46 ページ : Tran Thiet Dung 47 ページ : 訳版の PDF ファイルがダウンロード用 youtube.com/IFCvideocasts Mackenzie Keller 50 ページ : Rebecca Post クレジット 51 ページ :  Azito Energie (左)、 として用意されています( www.ifc​ .org/​ IFC 年次報告書作成チーム 52 ページ : Abhay (右) Lisa Dadlani annualreport で入手可能)。 また、グ Bruce Moats 53 ページ : Apollo Tyres ­ 対外・コーポレート・ 54 ページ : loveguli/Getty リレーションズ担当ディレクター 58 ページ : ローバル・レポーティング・イニシア Andrew Testa/Panos 世銀グループ 59 ページ :  Roshan (上)、 Eric Duflos (下) ティブ (GRI) 指標を含む持続可能性に Lisa Kopp 60 ページ : Joseph Montezinos ブランド・マーケティング・ 61 ページ : Sirli Benarolya 関する詳しい情報も掲載されています。 製作担当主任 62 ページ : Ric Francis 63 ページ :  Evgeniya Shatunova Joseph Rebello (上)、 Ric Francis (下) 編集長 65 ページ : Eudes Santana Aaron Rosenberg 70 ページ : Anam Abbas 広報担当主任 78 ページ : Pallon Daruwala Inae Riveras 編集コンサルタント Katherine Klaben コンサルタント デザイン Addison www.addison.com イラスト 12 ~ 13 ページ: Thomas Porostocky 14 ~ 15 ページ: James Taylor 16 ~ 17 ページ: James Taylor 印刷 UNIMAC unimacgraphics.com 国際金融公社 世界銀行グループ 援助を最も必要とする場での 2121 Pennsylvania Avenue, NW 電話 :202.473.3800 機会創出 Washington, DC 20433 USA ifc.org