95243 インドの電力需要に応える March 3, 2010 POWER TO THE PEOPLE インドの電力需要に応える 概要 インド国営の電力会社 パワーグリッド (POWERGRID)は10年以上にわたり、 IBRDの資金と技術協力を 得て、深刻な電力不足を解消しようとしてきました。このパートナーシップを通じて、余剰電力を持つ人 たちから必要とする人々に電力が直接回され、新たに数千キロに及ぶ送電線が敷かれました。 課題 インド は深刻な電力不足を抱えており、全国で半分近くの世帯が 電力を利用できないでいます。2007年と2008年におけるインドの More Results 国民一人当たり年間平均電力消費量は、世界平均の約30%に過 ぎませんでした。発電容量は、現在の電力需要を満たすには十分 60% でなく、個人に電力を届けるための送電・配電網も整備されてい ません。インドのエネルギー源は国中に偏在しているため、余剰 地域から不足地域に電力を効率的に回すことが極めて重要で 2012年末までに、インドの電力プロ す。したがって、インド全土における送電網を強化・拡大し、全国 ジェクトはその60%をパワーグリッド が実行するようになる。 的な送電網を整備する差し迫った必要性があります。 アプローチ リンク インドにおける世銀の取り組み   IBRDは、インド政府とパワーグリッドが国内のエネルギー不足に パワーグリッド   対応するに当たって革新的融資や専門的な助言を行うことで、こ の国のエネルギー・プログラムに10年以上にわたり関わってきま した。 パートナー 国際金融公社  一連の電力システム開発プロジェクト(PSDP)の下、世銀はパ アジア開発銀行   ワーグリッドに5回にわたり直接融資を提供してきました(1993年 にPSDP I、2001年にPSDP II、2006年にPSDP III、2008年にPSDP   IVとPSDP IVへの追加融資、2009年にPSDP V)。これまで、IBRD はインド電力セクターの状況に合わせた形で31億ドルの財政支援 と技術支援を提供しています。 1993年から2003年にかけて、世銀は地域の送電網強化や電力の域内移転など、パワーグリッドを通じ て全国的な送電網開発を集中的に支援しました。次の段階の融資が始まったのは、発電と送電(およ び、一部分配)のためのバランスの取れたアプローチを世銀が採用した2006年になってからです。 2007年、インドにおける1989年以降初の世銀資金による水力発電開発として, ランプル水力発電プロ ジェクトが始まりました。近年、世銀は中央政府や州政府レベルでさまざまな公益事業のキャパシティ・ ビルディングや組織強化に関わっています。 結果 パワーグリッドは近年、すべての開発目標指標において目標を達成しています。2009年6月30日まで の年度には、以下の成果を上げました。 • 地域内/地域間での電力取引:460億2700万キロワット時(目標460億キロワット時) • 送電容量:7万1447サーキット・キロ(目標は7万1000サーキット・キロ) • 変電容量:7万9522メガボルト・アンペア(MVA)(目標は7万5000MVA) 現在、国の東端に位置するアルナカル・プラデシュの水力発電が特別設計の送電線を使ってウッタ ル・プラデシュの家庭に運ばれています。はるか南のタミール・ナドゥの電力技師たちは、北部パン ジャブの天気予報を頻繁にチェックして、電力取引の機会を探っています。また、インド本土の南端に あるガス発電のカヤムクラン発電所は、冬場に稼動し、凍えるようなカシミールの夜の寒さを和らげて います。 インドの送電システム業者も、送電可能量量を常に99%以上で維持しており、これは国際的な公益事 業者と同レベルです。 パワーグリッドは、送電網を3倍に拡大し、現在、世界でも有 数の大規模送電システム事業者となっています。 将来に向けて 世界的な不景気を受け、またインド政府の要請もあり、世界銀行は2009年9月22日にパワーグリッドに 対し10億ドルを融資しました。パワーグリッドはこの融資を5つの送電システム強化に充て、余剰電力 を抱える地域から不足している町や村への移転を促進していきます。また、これにより、国内の送電網 の統合が進み、その結果、システムの信頼性が高まり、送電損失が減るでしょう。