94926 コロンビア都市部の交通網整備 February 24, 2010 混乱から秩序へ コロンビア都市部の交通網整備 概要 コロンビアはこれまで都市部の輸送に関して問題を抱えており、そのために都市住民の生活の質が著 しく損なわれていました。1990年代終盤から「国家都市交通プログラム」 が実施された結果、コロンビア 都市部の陸上輸送システムは大きく生まれ変わりました。このプログラムで使われたアプローチは今 や、国際的なベスト・プラクティスとみなされており、世界各国の都市において交通の問題を解消する ため採用されています。 課題 コロンビアの公共交通はかねてより非効率で危険、かつ環境汚 染の原因となっているとみなされていました。コロンビアの都市で More Results は、時代遅れのバスが道路にあふれ、市民の安全も省みないま ま、混沌とした状態で走り回り、きちんとしたバス停さえありませ 32% んでした。その上、コロンビアのバス会社は大半が無認可で、現 金取引を行っており、税金も納めなければ、従業員の社会保障も 負担していませんでした。 ボゴタに新しいバス・システムが導入 された結果、以前と比べて1回の移動 アプローチ で平均32%の時間短縮が実現 1996年、政府はIBRDの資金を得て 「国家都市輸送プログラム」 を リンク 立ち上げることを決めました。このプログラムでは、鉄道システム コロンビア運輸省 の何分の一かのコストで都市部での移動を可能にする高速バス トランスミレニオ 輸送(BRT)の開発が戦略の柱と位置づけられました。最も有名な BRTシステムは、1998年に着想されたボゴタのトランスミレニオ で、コロンビアの大都市にBRTを 導入するためのモデルの役割 資料 を果たしました。ボゴタ、バランキラ、ブカラマンガ、カルタヘナ、メ ボゴタ都市輸送プロジェクト ボゴタ都市サービス・プロジェクト デリン、ペレイラの6都市ではIBRDの支援により、導入が実現しま 総合大量輸送システム・プロジェク した。 ト 結果 パートナー ボゴタでは毎日、市全体で交通機関を必要とする人の約27%に 米州開発銀行 当たる140万人近い乗客がトランスミレニオの恩恵にあずかって アンデス開発公社 います。2009年のデータによると、トランスミレニオを利用する と、従来のバス・システムと比べ1回の移動で平均32%(20分)時   間が短縮されるので、平均的な利用者の場合、一月で10時間以 上の節約になります。 トランスミレニオは、年間0.25トンの二酸化炭素排出を削減することに成功しています。また、トランス ミレニオ・システムの導入されたルートでは、交通事故が90%減少しましたし、2,100台の旧型バスを処 分した結果、騒音が3-10 デシベル改善しました。 メガバス・ペレイラとミオ・カリの2つのBRTシステムも、近代的な車両を駆使し、環境により配慮した燃 料を使っています。系統だった制御の下、近代的で信頼できる公共交通機関として機能していて、利用 者たちの日々の暮らしは大きく改善されています。 ボイス 運輸業では、企業が非公式セクターを離れ、政府プログラムに参加するようになっていますが、従業 員についても同じ流れが生まれています。BRTシステム導入以前は1日14時間の長時間労働が当たり 前だった運転手が正式な労働契約を結び、一日8時間労働を守っています。今や彼らは社会保障ネッ トワークに組み込まれた正規の労働者です。 13年間バスの運転手として働いてきたが、5か月前からバスの運 行者となった。今や、私の生活は100%変わった。目標は自分自身で 設定し、マイホームも手に入れてきちんとした家庭にも恵まれてい る。 — ジョン・ジャイロ・ミナ・ビダル(バス運行者) 将来に向けて 政府とIBRDは、2016年に 「国家都市輸送プログラム」 が完了するまで、運輸政策における強固なパー トナーシップを継続する予定です。2009年からプログラム完了までに、政府は参加している10都市の 内9都市のために約19億ドルの拠出を誓約しており、内13億ドルはIBRDの貸出が充てられます。 「国家都市輸送プログラム」は多くの国において、中央政府と地方自治体当局の協力の下で悪しき風 習に対応するための国際的なベスト・プラクティスとみなされています。着想以来、20か国超の代表 が、同プログラムについて学ぶためコロンビアを訪れています。同様に、メキシコやアルゼンチンなど の国々では、IBRDの直接的関与の下、複数の都市のための輸送プログラムの開発が進められていま す。また、コロンビアと他の途上国の間で、大々的な協力と知識の共有が見られます。