グリーンボンド・インパクト・レポート 2017年度 目次 3 2017年度のハイライト 4 副総裁からのごあいさつ 5 IFC気候関連ビジネスの概要 6 IFCグリーンボンド・プログラムの概要 7 IFCグリーンボンドの発行概要 8 グリーンファイナンスへの関与 10 受賞等 11 グリーンビルディングに対するグリーンボンドの着目点 13 IFCグリーンボンド地域別コミットメント 14 IFCグリーンボンドセクター別コミットメント 15 注目プロジェクト: モクバ太陽光発電 16 注目プロジェクト: ブエノスアイレス市 17 2017年度にコミットしたグリーンボンド適格プロジェクト 22 付属資料 A: IFCのグリーンボンドのプロセス 24 付属資料 B: IFCのインパクト・レポートの方針 グリーンボンド・インパクト・レポート | 2017年度 2 2017年度のハイライト 温室効果ガス(GHG)排出の予想削減量 224万 33 年間約 219万 新規プロジェクト トン(CO2換算) グリーンビルディング エネルギー効率化 MWh の再生可能エネルギーによる発電に貢献 バイオマス フロリダ州マイアミの住民の年間使用電力を賄うのに 充分な電力量です* 風力発電 道路を走行する自動車 477,770 太陽光発電 グリーンバンキング 台の削減に相当します ワシントンDC、ボストン、マサチューセッツ を走る自動車の合計に相当します* *出典: http://worldpopulationreview.com/us-cities/ http://www.governing.com/gov-data/car-ownership-numbers- of-vehicles-by-city-map.html グリーンボンド・インパクト・レポート | 2017年度 3 副総裁からのごあいさつ 皆様へ2017 年度の IFC グリーンボンド・インパクト・レポートをお届けします。気候変 近年、グリーンボンドのグローバルな発行市場は急速に拡大し、2016 年には総額 動は既に世界中の様々な地域に影響を及ぼしており、特に最も脆弱な地域が一番 1,000 億ドルを超えました。しかしながら、開発途上国でこのようなボンドを発行し 大きな打撃を受けています。 た銀行はわずかしかなく、大きなギャップが依然として残っています。 IFCは、これ らの開発途上国においてグリーンボンドの発行を促進すべく、様々なイニシアチブ こうした激しい自然災害の影響で、年間 5,200 億ドル相当の消費が失なわれ、毎年 に取り組んできました。2017年度にIFCは、コロンビアの2つの銀行、Davivienda と 2,600万人もの人々が貧困に陥っています。低炭素で回復力のある経済へ秩序ある Bancolombiaのグリーンボンドの発行を支援しました。Bancolombiaのグリーンボン 転換を行うためには、数兆ドル規模の資金が必要になると想定されています。このこ ドは、ラテンアメリカの民間金融機関が発行した初のグリーンボンドです。同年度 とは、気候変動対策投資を拡大する大きな機会をもたらします。世界では、インフラ には、IFCはアムンディと協力し、金融機関をグリーンボンド発行体とする、新興市 だけで今後15 年間で約90 兆ドルが必要になり、その大半が開発途上の中所得国で 場向けに特化した最大規模のグリーンボンドファンドの立ち上げに取り組みました。 あると予測されます。気候変動対策は持続可能なグローバル開発を行う大きな機会 今後も私たちは投資家を呼び込む画期的な商品開発に取り組み、リスクを軽減す です。数兆ドルの潜在的投資に加え、イノベーションを推進し、新たなグリーン産業と るツールの開発を続けるほか、グリーンボンド市場において我々の顧客が積極的 雇用を生み出します。2016年11月に発表された IFCレポートでは、パリで採択された に活動できるよう支援して行くことをお約束します。 気候変動に関する歴史的なグローバル協定により、現在から 2030 年までの期間に 約 23 兆ドルの気候変動対策投資の機会が 21 の新興市場にもたらされると予測して います。 新興市場の民間セクターを支援する、最大の開発金融機関であるIFCは、民間企業と 協業することにより、気候変動対策事業の拡大、および金融セクターの環境志向の ジンドン・フア 向上に取り組みました。2005年以降、 IFCは自己勘定から 183億ドルの長期投融資を IFC副総裁兼トレジャラー 供与し、さらに投資家と協調することで気候変動関連プロジェクトへ 110 億ドルの追加 資金を動員してきました。2017 年度は、IFCは総額30 億ドルを自己勘定から気候関連 に投資しました。投資の対象は 41 カ国、90 もの気候関連投資プロジェクトに及びます。 さらに、他の投資家から18億ドルの資金を動員しました。2017年度のIFCグリーンボン ド・プログラムでは、 6 カ国の通貨建てで 19 本のグリーンボンドを公募債、リテール債 のフォーマットで発行し、総額約 6 億 5 千万ドルを調達しました。 2017 年度末時点で、 IFC のグリーンボンド調達資金が支援するグリーンボンド適格プロジェクトは 125 件に 達しました。これらプロジェクトに対するコミットメント総額は46 億ドルで、そのうち28 億 ドルが既に融資実行されています。IFCの発行済グリーンボンドの残高は約 23 億ドル です。 グリーンボンド・インパクト・レポート | 2017年度 4 IFC気候関連ビジネスの概要 アルズベータ・クライン 2005年以降、 IFCは気候関連プロジェクト、再生可能エネルギー、エネル 5分間のミニ・インタビュー IFC 気候関連ビジネス局長 ギー効率化、持続可能な農業、グリーンビルディング、廃棄物、民間セク ターの気候変動適応の各分野に約183億ドルの長期投融資を供与しただ けでなく、投資家と連携でさらに110億ドルの資金を動員してきました。 2017 年度にIFC が自己勘定から行った気候関連分野への長期投融資額 は30 億ドル近くに上りました。また、18 億ドルの中核資金動員を達成した ことで、気候変動対策プロジェクトに対する投融資総額は 48億ドルに達し なぜ、気候変動リスクが重要なのでしょうか? ・気候変動対策農業関連ビジネス: 将来の食糧 ました。 新興市場におけるビジネスにおいても、そのボトム 需要を満たすことは、間違いなく世界で最も重要 ラインとして気候変動が及ぼす諸リスクを無視する な気候変動関連の課題の一つです。 また、2017 年度には助言業務を通じて、電力、資源効率化、アクセス、官 ことはできません。ますます頻発する厳しい気象事 象から、新たな規制の策定や消費者嗜好の変化 ・グリーンビルディング: 世界の温室効果ガス排 民連携に関連する気候変動関連投融資を 6 億 3,600 万ドル超実施しまし に至るまで、気候変動により私たちのビジネス手 出量の約3分の1が建物由来であると推計されて た。 法は根本的に変わりつつあります。 います。 企業や投資家は、以前にも増して気候変動対策 2017 年度、 IFC は年間 670 万トン以上の温室効果ガス (GHG) 排出削減量 ポートフォリオへの移行と投資の機会を模索してい ・スマートシティ: 2050年までに開発途上国の人 ます。 口の70% が都市部に居住すると予測されていま に相当する気候関連投融資および助言業務を実施しました。これは道路 す。そのため、都市環境におけるインフラ需要を を走行する自動車140万台分の削減に匹敵します。 民間セクターはどのような役割を果たすのでしょう 持続可能な形で満たす“スマート”シティ建設の か? 機会が生まれます。 民間セクターの気候変動対策投資への参加が、数 兆ドルの追加投資を必要とする、とりわけ新興市 ・エネルギー貯蔵: IFC の新しい研究によると、 場での気候変動ビジネスの拡大に不可欠であるこ 新興市場におけるエネルギー貯蔵技術は今後 とは論を待ちません。 10 年間で年率40% の成長が見込まれます。これ 低炭素事業戦略は環境面で利点があるだけでなく、 により、環境、社会および経済面で重要な恩恵 企業にとって未来の市場でもあります。各国が決 をもたらすと見込まれます。 定する約束草案 (NDCs) が、21の新興市場経済だ けでも23兆ドルの投資機会になるとIFCは推計して ・クリーンエネルギー: これには、再生可能エネ います。 ルギー、エネルギー貯蔵などが含まれます。投 気候変動分野への融資におけるIFCの優先事項 資家の再生可能エネルギー市場への参画支援、 は何でしょうか? 政府による気候変動関連規制及び PPP の開発 への助言、グリッドと結びついた再生可能エネ 2017年度を成功裏に終え、IFC は気候変動対策産 ルギーへの融資の促進、近代的なオフグリッド・ 業に約48億ドルのコミットメントと資金動員を行ない、 エネルギー供給サービスへのアクセス向上など、 41の新興市場における気候関連投資拡大を支援し バリューチェーン全体を通じて、IFCは再生可能 ました。これらの市場はすべて将来性がありますが、 エネルギーを支援しています。 IFCの経験上、革新的なアプローチでビジネスを拡 大し、民間セクターに数十億ドルの資本を呼び込む ・グリーンボンド: 如何にして新規資本提供者を と考えられるセクターは以下の通りです。 呼び込み、気候変動対策投資を拡大するかが 重要な課題です。 グリーンボンド・インパクト・レポート | 2017年度 5 IFCグリーンボンド・プログラムの概要 モニシュ・マフルカル 2017 年度、 IFC は 6 カ国通貨建てで 19 本のグリーンボンドを公募債とリテール債の フォーマットで発行し、総額約6億5 千万ドルを調達しました。2010年以降のボンドの累 5分間のミニ・インタビュー IFC Treasury Market Operations 局長 積発行額は58億ドル、累積発行数は79本、12カ国の通貨建てで発行しています。 2017年初に、IFCは投資家の需要を満たすべく、発行済グローバルグリーンボンド(10 年債)を5 億ドル増額発行し、発行総額を 12 億ドルとしました。この増額発行は30 以上 の投資家に販売されました。もう一つの注目すべき長期債として、IFC初となるスウェー デン・クローナ建てグリーンボンドを2017年4月に発行しました。同債券は10年債、発行 額は8億クローナです。 グリーンボンド・プログラム誕生のきっかけは何でしょ グリーンボンドの発行のみならず、アンカー投資を通 うか? してグリーンボンドを支援し、我々の顧客がグリーン 気候変動は2005年以降、IFCが最優先に取り組んでき ボンド市場にアクセスできるよう信用保証を提供する た戦略です。これは、気候変動が開発ミッションに与え 米国リテール市場向けの IFC インパクトノートプログラムは、同年度を通じグリーン・ るリスクが大きいためです。当初IFCは、2010年にニッ など、現在 IFC はユニークな立場を取っています。最 フォーマット限定で発行されました。これは、発行体の信用力に加えて調達資金のグ チな投資家需要を満たす目的でグリーンボンドを発行 近では、アムンディと共同でグリーン・コーナーストー リーン使途を重要視するようになったリテール投資家からの要望に応えたものです。 しました。そして2013年に私たちが史上初の10億ドル ンボンドファンドを立ち上げました。このファンドにより、 のベンチマークを発行する頃には、グリーンボンドは 我々の顧客の所属国におけるグリーンボンド市場の 2017年度のグリーン・インパクトノートの発行総額は2,300万ドルに達しました。 ニッチな商品から主要な商品として扱われるようにな 開設に寄与することが見込まれています。 りました。今年でIFCがグリーンボンド・プログラムを立 ち上げから7年になります。 プログラムを立ち上げて以降、グリーンボンド市場へ 発行体として、グリーンボンド市場にどのような発展を また、IFCは日本のリテール向け売出債市場でも積極的に起債し、同年度中に日本の の流動性のある債券の供給に加え、我々はグリーン 求めますか? 個人投資家向けに発行したグリーンボンドの総額は2,200万ドルに達しました。 ボンド市場へ投資家を呼び込み、教育するためにグ グリーンボンド市場をより健全、多様で透明性のある リーンボンドという商品を活用してきました。グリーン ものとするためには、以下のような発展が必要です。 ボンド・プログラムの主要な目的のひとつは、従来の 新たな発行体への市場の拡大、新規通貨による発行、 投資家に環境・社会・ガバナンス(ESG)投資への転換 2017年6月30日現在、IFCの発行済グリーンボンドの残高は約23億ドルです。 を促すこと、すなわち、投資家に馴染みのある形で主 多様な資産プールへのエクスポージャーを投資家に 要な商品として提供することです。“調達資金の使途” 提供可能とする証券化としてのグリーンABSの促進、 でグリーンボンドはまさにそのような商品になっていま 発行体の信用力に潜在的にリコースすることなく、投 す。 資家がプロジェクトのリスクを直接取るようなグリーン プロジェクトボンド等です。 グリーンボンド・プログラムを立ち上げてから、IFCのア プローチはどのように変化しましたか? 他方で、投資家はグリーンボンド調達資金の使途と報 私たちはグリーンボンドに関する専門性を様々な方法 告にさらなる透明性を求めており、透明性の確保が基 で拡充してきました。たとえば、現地投資家が通貨変 本となっています。そうした中で、我々は小規模かつ 動リスクを回避できるよう、現地通貨での発行を開始 潜在的発行体を排除することなく、透明性を高めなが しました。現地通貨の発行には二重の効果があり、投 らも様々な方向での市場の成長を促すバランスのと 資家が現地市場においても ESG を主要な投資アプ ローチとして検討することを促すほか、現地資本市場 れた努力を続けていきます。 の発展というIFCの目標を達成することができます。 グリーンボンド・インパクト・レポート | 2017年度 6 IFCグリーンボンドの発行概要 IFCグリーンボンド年度別発行額 IFCグリーンボンド通貨別累計発行額 メキシコペソ 0.7 % ユーロ 発行額 グリーンボンド 人民元 0.4 % (百万米ドル) スウェーデンクローナ 1 % 発行本数 2% 24 豪ドル 1,600 25 3% トルコリラ 1,400 4% 19 18 20 1,200 ペルーソル ブラジル インドルピー 0.3 % レアル 1% ニュージー 1,000 6% 南アフリカランド ランドドル 米ドル 15 3% 0.4% 79% 米ドル 800 79 % 600 10 6 3 400 5 3 5 1 200 0 0 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 年度 年度 年度 年度 年度 年度 年度 年度 グリーンボンド・インパクト・レポート | 2017年度 7 グリーンファイナンスへの関与 IFCは、クリーンかつ持続可能な開発を世界中で促進するという目標を掲げ、グリー IFCはグリーンファイナンス市場の拡大に向け、革新的な手法を引き続き展開していきま ンファイナンスに関わる金融機関、国際イニシアチブ、基準制定機関及び規制当局 す。グリーンボンド・プログラムを通じて、気候変動対策プロジェクトへの民間投資を手助 と緊密な連携を図っています。 けすることに加え、グリーンファイナンスをグリーンボンドの発行体や投資家、リスク低減 手段の提供者、最近ではグリーンボンドファンド設立者といった、多角的なアプローチで IFCは2017年度、いくつかの主要なイニチアチブを通じて、グリーンボンド市場の発 取り組んでいます。例えばIFCは、ラテンアメリカの商業銀行による初のグリーンボンドに 展に主導的な役割を果たしてきました。グリーンボンド原則 (GBP) 執行委員会 単独で投資しており、コロンビア最大の商業銀行 Bancolombia が発行した 3,500 億コロン (EXCOM) の現行メンバーである IFC は、 2017 年 6 月に公表された透明性と情報開 ビア・ペソのボンドにアンカー投資を行いました。また、コロンビアの大手銀行 Davienda 示に関する自主的ガイドラインの改訂版の起草に携わりました。 GBP は透明性と が発行した、ラテンアメリカの民間金融機関として最大のグリーンボンドにも単独で投資 説明責任の推進に関する取り組みとして市場からの幅広い支持を得ており、現在 しています。このボンドでは 4,330 億コロンビア・ペソの資金が集まりました。グリーンボン 149 の組織が加盟しています。IFC は新規市場、インパクト・レポート、グリーン・プ ド市場をさらに拡大するため、 IFCはアムンディと共同で、新興市場向けに特化した最大 ロジェクトの適格性といった戦略的なトピックを扱う EXCOMの作業部会にも積極的 規模のグリーンボンドファンドを立ち上げました。この基金は20億ドルの規模で、現地資 に参加し、ソーシャルボンド作業部会の部会長を務めました。ソーシャルボンド作 本市場の深化と、気候関連投資へのファイナンス拡大を目指します。また、アフリカ、ア 業部会は新たにソーシャルボンド原則を公表し、この原則はグローバル・キャピタ ジア、中東、ラテンアメリカ、東ヨーロッパ、中央アジアの銀行が発行するグリーンボンド ルの“Most Valuable Innovation for the Green/SRI Bond Market (グリーン/SRIボ の購入を目的として立ち上げたこのグリーンコーナーストーンボンドファンドに、 IFC は 3 ンド市場 最優秀イノベーション)” を受賞しました。 億2,500 万ドルを上限とする投資を実施予定です。アムンディは20 億ドルのうち残りの部 分を世界中の機関投資家から募集するほか、新興市場の債券を管理するサービスを提 供します。2017年度中に IFCが達成したもう一つの成果は初のフォレストボンド発行です。 IFCが発行したこの債券は、投資家が利払いに際し、森林クレジットあるいは現金のいず れかを選択可能な、世界初の「グリーンクーポン」債券です。この債券により 1 億5,200 万 ドルの資金が集まり、開発途上国における森林破壊の防止に役立てられます。 ICMA(国際資本市場協会), GBP会議 2017 グリーンボンド・インパクト・レポート | 2017年度 8 グリーンファイナンスへの関与 IFCはBHP Billiton と共同でこのフォレストボンドを開発し、投資家が利払いとして現金 この報告書で、2014 年の全シンジケ-トローンのうち実に 82% が何らかグリーン活動へ関 を選択する場合にはBHP Billitonがクレジットを買い取ります。クレジットで得た収益は わるセクターへの融資だということが判明しました。こうした融資のうち、41% がグリーン不 森林と野生生物の保護に役立てられるほか、コミュニティに多くの恩恵をもたらします。 動産、24% がインフラ及び運輸向けでした。金融セクターが提供するグリーンファイナンス フォレストボンドは Environmental Financeの”Sustainable Forestry Deal of the Year の現行の供給を予測することにより、 IFCでは幅広い分析が可能となります。政策立案者 (今年の持続可能な森林対策ディール)” を受賞しました。 も、需要とのギャップを埋める対策を国家レベルで明確に講じることができるため、さらな るグリーンファイナンス動員の手助けにもつながります。同報告書では、グリーンボンド市 パリの COP21 で発足した、炭素価格制度リーダーシップ連合 (CPLC) に関連する民間 場が定義の利用と追跡において最も進んでおり、他の分野の見本になりうるということも セクターの取り組みにも IFCは参加しています。クリーンな未来のための投資を推進す 明らかになりました。グリーンファイナンスの追跡が可能になれば、銀行が貸し出す際の る手段として炭素価格制度の気運が世界で高まる中、炭素価格制度の利用を手助け 資金の追跡が容易かつ正確になり、プロジェクトがグリーンかどうかの判断も一貫した分 することで、IFC は主要な顧客による環境リスク評価及び管理をサポートし、新たな投 類で判断することができます。報告書の最後には、連携を強化し、より強力で統合された 資機会を生み出します。 グリーンファイナンスセクターに向けた基本ロードマップを構築することを目標に、短期・ 中期における市場参加者のための重要なアクションが示されています。 グリーンファイナンスには未だ様々な課題があり この分析は、安定した金融システム実現に向けたアクションプランとその進展を計測する ます。例えば、様々なアプローチ、定義、データ 基礎をデザインすることを目的として、国連環境及び世界銀行グループが最近発表し 利用可能性にまたがる連携の欠如や、定量化指 た ” Roadmap for a Sustainable Financial System (持続可能な金融システムのための 標の一貫性のない利用です。 ロードマップ)” の下で提唱された活動を支持しています。 統合的アプローチを実施しなければ、グリーン ファイナンスが及ぼす影響を追跡することは難し くなります。2017年4月にIFCは “Green Finance: A Bottom-up Approach to Track Existing Flows (グリーンファイナンス: 既存の資金フローを追 跡するためのボトムアップ・アプローチ)” を公表 しました。この報告書はドイツの Gesellschaft für Internationale Zussamenarbeit (GIZ)と共同で作 成したものです。同報告書では影響についての 調査方法がチャート形式で、プロジェクトごとに求 められる具体的な定義と共に紹介されています。 グリーンボンド・インパクト・レポート | 2017年度 9 受賞等 IFCが新興市場における気候変動対策投資のために発行したグリーンボンド (10 年、7 億 IFC のフォレストボンドは、 Environmental Finance の”Sustainable Forestry Deal of the ドル)は、グローバル・キャピタルから「Best SRI Bond (最優秀SRI債券)」を受賞しました。 Year 2017(今年の持続可能な森林対策ディール)”を受賞しました。この債券の一つの特 この債券のクーポンは 2.125%でしたが、投資家の旺盛な需要に応えるため、5億ドルから 徴は、投資家が利払いについて現金またはカーボンクレジットのいずれかを選択できるこ 増額されました。 とです。2016年10月に発行した5年債には発行額を上回る応募があり、ロンドン証券取引 所に上場しました。この債券は、今後10年で750億ドル~3,000億ドルの投資を必要とする セクターをサポートするため、市場を有効活用する貴重な実例です。 IFCは、グリーンボンド発行体、引受業者、その他グローバルに活躍する業界関係者の 投票で選ばれる Environmental Finance が主催する Green Bonds Awards 2017 で“Best Green Bond Impact Report (最優秀グリーンボンド・インパクト・レポート)”を受賞しました。 グリーンボンド・インパクト・レポート | 2017年度 10 グリーンビルディングに対する グリーンボンドの着目点 グリーンボンド・インパクト・レポート | 2017年度 11 グリーンビルディングに対するグリーンボンドの着目点 グリーンボンドは、グリーンビルディング融資の手段としてますます魅力を増していま EDGEは単純かつ強固なアプローチで、グリーンファイナンスへのアクセスのための 取引費用を削減します。また、EDGEはすでに以下の観点でグリーンボンド原則をは す。世界の温室効果ガス排出量の3分の1が人口増加、都市化及び建物を原因とする じめとする諸基準に適合しているため、グリーンボンドによる資金調達に最適です。 ものです。 IFC は建物の費用削減分野において、共通で利用しやすいグリーン・パ フォーマンス基準の推進に協力しています。 1. 要件 2. セカンドオピニオン 3. 配分プロセス 4. 報告 EDGE は 基 準 設 定 機 関 と EDGE は国際的に認めら IFC は金融機関スタッフに グリー ンボンド発行機 現在、グリーン基準に則って設計され認証された建築物はごく少数です。開発業者や 提携することで、プロジェク れた基準なので、資産の 対 し 、 EDGE を 用 い た グ 関は、各融資プロジェ 利用者も資源にやさしい建物に経済的なメリットがあることを認識し始めたばかりで、 トを確実にグリーンプロ 選定に関す る第三者 の リーン融資の手続きに関 クトにおける環境・社会 グリーン開発を支援する融資は未だありません。一方で、 IFC の報告書「新興市場に ジェクト適格要件に適合さ 独立した意見を簡略化す する研修を実施します。研 面の影響を報告する義 せます。フリーソフトの ることができます。 修を行うことにより、配分 務を有します。 EDGE ス おける気候関連投資の機会」では、現在から2030 年までの間にグリーンビルディング EDGEを使うことで、現在進 プロセスの検証がより簡 タッフは、認証された追 に対して16 兆ドルの潜在的投資があると推計されています。IFCは30 カ国で、市場の 行中のビルディングのグ 略化されます。 跡ダッシュボードからこ 潜在力に関する詳細分析を実施しました。さらに大きな市場プログラム形成の一環で リーン認証を手頃な価格 の情報を簡単に実行す あるIFCのEDGE グリーンビルディング認証を活用することにより、この潜在力の解析 で行うことが可能です。 ることができます。 が可能となります。 EDGE は新興市場用に設計されたソフトウェア、基準、およびグリーンビルディング認 証システムです。 EDGE を使用することで、グリーン建物の建設と認証を迅速かつ簡 IFCはインドのPunjab National Bank(担保付非転換社債)やトルコのGuaranti Bank(グリーン住 単に、そして安価に行うことができます。EDGE は、最も費用効果の高いグリーン建築 宅ローン向けカバードボンド)との取引など、グリーンビルディング向けグリーンボンドに投資を 方法を選択するフリーソフト、わずか 3 つのカテゴリーで占められる 20% 効率のシンプ してきました。さらに、コロンビアやペルーにおけるグリーンボンド発行にも投資し、このかなり ルなグリーンビルディング基準、そしてグリーンビルディング・プロジェクトに報いる認 の部分がグリーンビルディングに充当されました。IFCによるグリーンビルディングへの累計投 証システムにより、測定可能なソリューションに対するニーズに応えます。EDGE は「ワ 融資額は現在 30 億ドルを超えており(自己勘定によるものおよびシンジケートローンを通じた ンストップ・ショップ」アプローチから、グリーン対応策のコストを見積る金額計算が含ま 資金動員を含む)、そのうち6億ドルは他の金融機関を通じて投資されました。 れているという点で、他の認証システムとは異なります。 今年度、IFCのEDGEグリーンビルディング・プログラム、グリー 年間節約量に換算すると 8.9m 330k ンビルディングの実績が飛躍的に伸びました。 1.5m 認証床面積約 150万 m2 2m 200万 m2 エネルギー 890万 kWh 水 330,000 m3 現在、EDGEは130国以上で利用することができま 追加で認証登録 EDGE クライアントの顧客の公共料金負担を軽減します。 す。2017年度はエストニア、ギリシャ、ラトビア、 ポーランドが加入しました。 グリーンボンド・インパクト・レポート | 2017年度 12 IFCグリーンボンド地域別コミットメント 2017年6月30日現在、 IFCのグリーンボンド調達資金を充当したグリーンボンド適格プ ログラムは125 件に上りました。これらのプロジェクトへのコミットメント総額は 46 億ドル で、そのうち28 億ドルが既に融資実行されました。現時点での融資未実行額は 18 億ド コミットメント 融資実行額 ルとなります。 合計 (単位:百万米ドル) 2014年度 936 242 2015年度 1,155 956 2016年度 966 754 2017年度 1,555 899 382 178 284 228 320 265 217 66 2014 2015 2016 2017 2014 2015 2016 2017 年度 年度 年度 年度 年度 年度 年度 年度 コミットメント(百万米ドル) 融資実行額(百万米ドル) 欧州・中央アジア 34 123 112 203 119 143 55 9 2014 2015 2016 2017 2014 2015 2016 2017 年度 年度 年度 年度 年度 年度 年度 年度 400 551 156 618 210 534 422 96 コミットメント(百万米ドル) 融資実行額(百万米ドル) 2014 2015 2016 2017 2014 2015 2016 2017 中東・北アフリカ 117 125 103 200 233 155 11 62 年度 年度 年度 年度 年度 年度 年度 年度 コミットメント(百万米ドル) 融資実行額(百万米ドル) 2014 2015 2016 2017 2014 2015 2016 2017 ラテンアメリカ・カリブ海 年度 年度 年度 年度 年度 年度 年度 年度 コミットメント(百万米ドル) 融資実行額(百万米ドル) 南アジア 18 229 204 43 39 36 50 - - - - 21 18 23 - - 2014 2015 2016 2017 2014 2015 2016 2017 44 17 18 年度 年度 年度 年度 年度 年度 年度 年度 10 - - 2014 2015 2016 2017 2014 2015 2016 2017 - - 年度 年度 年度 年度 年度 年度 年度 年度 コミットメント(百万米ドル) 融資実行額(百万米ドル) 2014 2015 2016 2017 2014 2015 2016 2017 コミットメント(百万米ドル) 融資実行額(百万米ドル) 東アジア・大洋州 年度 年度 年度 年度 年度 年度 年度 年度 サブサハラ・アフリカ コミットメント(百万米ドル) 融資実行額(百万米ドル) 多地域 グリーンボンド・インパクト・レポート | 2017年度 13 IFCグリーンボンドセクター別コミットメント セクター別コミットメント (単位: 百万米ドル) 86 51 134 131 94 296 756 808 311 579 521 845 2014年度 2015年度 2016年度 2017年度 再生可能エネルギー 再生可能エネルギー 再生可能エネルギー 再生可能エネルギー エネルギー効率化 エネルギー効率化 エネルギー効率化 エネルギー効率化 特殊気候関連 特殊気候関連 特殊気候関連 特殊気候関連 合計 9 億 3,600万ドル 合計 11億5,500万ドル 合計 9億6,600万ドル 合計 15億5,500万ドル グリーンボンド・インパクト・レポート | 2017年度 14 注目プロジェクト: モクバ太陽光発電 (ID: 36787) IFCの支援には、自己勘定からの融資1,900万ドル、気候関連投資ファ モクバの期待される開発 ンドからの融資 1,900 万ドル、新興アフリカインフラファンドからのシン インパクト ジケートローン1,700万ドルが含まれます。さらに本プロジェクトでは、 年間発電量 77GWh を 民間インフラ開発グループから 700万ドルのバイアビリティ・ギャップ・ モザンビーク電力供給 ファンディングが供与されています。プロジェクトに必要な残り 1,400 網 に よ り 、 65,000 人 の 利用者へ供給。 万ドルは、プロジェクト企業Central Solar de Mocuba S.A.の株売却で - 調達しました。 年間 14,800 トンの CO₂ モクバ ・プロジェクト 排出回避量。 - モザンビークは南部アフリカ諸国で最大の 187 ギガワット( GW )の発電能力を有して モクバ太陽光発電は、IFCがモザンビークの再生可能エネルギーセク 建設・運営を通じ、 ターに初めて関与した、サブサハラ・アフリカ初の太陽光発電プロジェ 380もの短期・長期雇用 おり、近隣諸国の中で際立った存在です。発電量のうち約 23GW を再生可能エネル を創出。 ギーが占めており、その多くが未開拓の太陽光発電によるものです。 クトです。このプロジェクトを通じて、同国の最も開発が遅れた地域の - 農村部に電力を供給できる見通しです。同プロジェクトは、モザン モザンビークの水力発 再生可能エネルギーの電力インフラ開発は、アルミニウムやチタニウムなど、天然資 電への高い依存度を多 ビークの発電融合体を多様化し、既存の長距離送電システムへの依 様化し、国内の再生可 源分野への海外直接投資の誘致に貢献してきました。その結果、モザンビークの経 存度を緩和することにより、気候に対する抵抗力と適応力を高めま 能エネルギー資源から 済成長は著しく、この10 年ほどで GDP の年平均成長率は 7.1% に達しました。しかし、 発電することにより、エ す。化石燃料系の代替エネルギーよりも低価格での発電を可能とす ネルギー安全保障に 国内エネルギー需要の伸び率が年 11% に対して、同国の配電網インフラ整備は後れ るよう定めた「25年間の電力購入契約」に基づき、EdMは当発電所を 貢献。 を取っています。モザンビークで電気を利用できる世帯はわずか 40% で、地方ではさ 運営していきます。 - プロジェクトの全期間を らに低い 27% です。そのうえ、モザンビークにおける電力の 70% がカホラバッサ水力発 通じ、 1,940 万ドル相当 電所から長距離送電システムで送電されるため、頻発する干ばつ、洪水、嵐などの 今後、さらに厳しい干ばつや洪水が予測されることから、モクバ太陽 の税収、コンセッション、 光発電プロジェクトはモザンビーク政府が掲げる新再生可能エネル 及び CSR ベネフィットを 気候事象にも大きく左右されます。実際に、モザンビークで電気を利用できる世帯で 政府にもたらし貢献。 も、頻繁に停電を経験しています。 ギー開発の戦略と緊密に連携しています。この戦略は地方の電化を 加速し、そして同国のエネルギー発電ポートフォリオを多様化するこ このような課題に対応すべく 、ノルウェーに拠点を置く独立系発電事業者 Scatec とで、水力発電への依存度を下げることを目標としています。モクバ Solarは、モザンビークの電気事業者Electricidade de Mocambique (EdM) およびノル に代表されるプロジェクトは、経済成長の共有を推進し気候変動への ウェ ー の 開発 金融機 関 Nortec と連 携 し、 モ ザ ン ビー ク のモ ク バ に同国 初と な る 適応力を兼ね備えることにより、モザンビークの再生可能エネルギー 40.5MW 規模の太陽光発電所を設置しました。モクバ太陽光発電プロジェクトには プロジェクトが商業融資にとって高い実現性を有する魅力ある機会で 7,600 万ドルの費用がかかり、 IFCは画期的な5,500 万ドルのプロジェクトファイナンス あることを実証しているのです。 パッケージでこのプロジェクトを支援しています。 グリーンボンド・インパクト・レポート | 2017年度 15 注目プロジェクト: ブエノスアイレス市 (ID: 38533) ブエノスアイレス市 市の交通輸送戦略のための残りの 3 億5,000 万ドルの調達は、米州開 期待される開発インパクト 発銀行(IDB)からの2 億5,250万ドルの金融パッケージを含む他の資金 と借入によるものです。このパッケージには総額1億5,250万ドルのIDB CO₂排出回避量として 年間 794 トン(コロン~ グループによる2件の融資、中国工商銀行 (ICBC)およびフェデレイテッ アレム間 BRT より 670 ド・インベスターズの 1 億ドルのシンジケートローンが含まれます。この トン、バス接続ターミナ ルより124トン)。ただし、 Ecobici 自転車シェアリングステーション、 資金供与は、橋の建設やIlliaハイウェイの移設をはじめとしたCBA大都 ブエノスアイレス 自転車シェアリング・プ 市圏道路網の改修に充当されています。通勤者のモビリティが向上し ログラムによる節約排 移動時間を短縮することで、CBA大都市圏の住民生活の質の向上に 出量は対象外。 - アルゼンチンは世界で最も都市化の進んだ国の一つで、人口の90% 以上が都市部に居 も寄与しています。 経済的節約により年間 住しています。大都市圏の中心部に位置するブエノスアイレス市 (CBA) も例外ではなく、 300 万ドル相当を回収、 国内の人口の 30% に相当する 1,400 万人が生活しています。大都市圏はアルゼンチンの LAC都市部プラットフォームの広範な助言サポートプログラムと組み合 コロン~アレム BRT シ ステムにより年間通勤 GDP の半分近くを占める国内の経済活動の中枢として機能し、営業日には 600 万人が わせることで、CBAにおけるIFCの投資は都市部の指導層の持続可能 時間を120万時間削減。 市内を交通機関を利用して移動します。 そのため、 CBAの交通機関を適切に管理する なガバナンスの促進に役立っています。本サポートの一環として、IFC - は技術面でも CBAを支援しており、交通機関プロジェクトの経済的便 25 万人のブエノスアイ ことは、アルゼンチンに包括的かつ気候変動対策型の経済成長を生み出し、維持する レスの通勤者向けに、 ための必須条件になっていました。 益の比較や、自転車シェアリング・ステーション拡大の代替資金源の 安全で効率的かつ割 特定、IFCのExcellence in Design for Greater Efficiencies(効率改善 安なバス交通機関へ のアクセスを拡大・改 公共交通機関のインフラに投資しない限り、自動車利用の一層の増加により、交通渋滞 のための優れた設計: EDGE )プログラムによるグリーンビルディング 善。但し自転車利用者 基準の促進、公共交通システム内の性暴力対策の策定を支援してい は対象外。 や事故、公害などの悪影響はCBAの低所得労働者層により重く及びます。こうした理由 から、CBAは2016~2017年度に4億ドル規模の野心的な交通輸送戦略を発表しました。 ます。 さらに将来を見据え、廃棄物利用エネルギー発電所の実現性 IFCは5,000 万ドルの融資を通じてこの戦略の一部を支援しています。 IFCの融資はブエ を追究することにより、市の廃棄物管理システムを改善する機会を検 ノスアイレスで最も利用者の多いパセオコロンとアレム通りを結ぶ 3.5km のバス高速輸 討中です。 送(BRT)ラインの建設や、フローレスとパシフィコのバス接続ターミナル建設に使用され IFCがアルゼンチンで初めて行った地方自治体への投資でもあるこの ます。 ブエノスアイレス市プロジェクトは、交通機関システムに対して全体的 また、IFC の資金はEcobici 自転車シェアリング網に新たに 88 か所のステーションを設置 なアプローチによる企画が可能となり、経済生産性と社会的包摂の促 することや、自転車専用レーン 33kmの追加整備に利用されます。外資建ての債務割合 進が予測される一方で、環境持続性と市内全域の安全性を改善する の削減を目的とした CBA の財務戦略を支援するため、 IFCは今回の融資を現地通貨建 ことが期待されます。また、包括的かつ安全で、環境に配慮した都市 てで実施するオプションを提示しています。現地通貨建てで実施することでリファイナン 開発におけるグローバル・リーダーを目指す同市にとって、本プロジェ スのリスクが軽減され、同市の将来の資本調達活動の改善につながり、ひいては信用 クトが同市における民間によるインフラ融資の呼び水となることが期待 格付の向上にもつながります。 されています。 グリーンボンド・インパクト・レポート | 2017年度 16 2017年度にコミットしたグリーンボンド適格プロジェクト 以下のインパクト・アセスメント表は、IFC のグリーンボンド調達資金を充当(全部または一部)したプロジェクトによって期待される気候対策の効果を示すものです。 この表には2017年度にコミットしたプロジェクトのみが掲載されています。プロジェクトはセクター別にまとめた上で、種類ごとに、再生可能エネルギー( RE)、エネルギー効率化 (EE)、もしくは特殊気候関連活動と分類されています。これらの活動は、温室効果ガス( GHG)排出量の削減に寄与しますが、具体的なGHGの算定結果は入手不可です。 気グ プ プ 国 種 プ 融 年 節年 設建エ再 ( 推ガ年 ( ロ ロ ロ 間 備設ネ生 候リ ジ ジ 名 類 ジ 資 減間 容まル可 定ス 削温 間 変ー 契 発 量エ ) 動ン ェ ェ ェ 約 ネ 量たギ能 減室 ク ク ク 電 ー 対ボ 額 ル はプ 量効 ト ト ト 電 ギ 策ン 名 ID 概 修ラ 果 分ド 力 ー 復ン 要 ) 野 量 ト 百万米ドル MWh kWh MWh CO2排出量(トン) * グリーン Peninsula 33972 タンザニア EE 国際的ベストプラクティスに準拠し、国際的火災・安全基準に適 17.5 - 1,540,000 - 444 ビルディング 合したグリーン小売施設とオフィス施設をタンザニアに設計・建設 する。 グリーン UniJaveriana 37307 コロンビア EE IFC のEDGEプログラムに準拠し、Pontificia Universidad Javeriana大 30.0 - 864,000 - 93 ビルディング 学のキャンパスを拡張する: 学生会館本館、工学、保健、科学学部と その他ビルの新築と配備。 グリーン Shangri-La 37908 モンゴル EE モンゴルで、IFCのEDGEプログラムに準拠したホテル、オフィス、複 50.3 - - - 1,475 ビルディング UB 2 合型マンションなどのグリーンビルディングビジネス施設を設計・建 設する。 グリーン Elazig Health 38035 トルコ EE トルコのエラズーで、IFCのグリーンビルディング基準に沿ったベッド 87.6 - 9,935,944 - 4,750 ビルディング 数1,038床の病院を建設する。 グリーン Rede Dor 38202 ブラジル EE IFCのグリーンビルディング基準に沿った病院インフラを建設・改装 37.4 - 10,600,000 - 756 ビルディング Growth する。 グリーン Vinte- 38374 メキシコ EE IFCのEDGEプログラムに準拠し、メキシコの中低所得住宅セクター 17.8 - 2,928,000 - 620 ビルディング NuEDGE に住宅2,000戸を建設する。エネルギー・水の利用を最低20%削減 することに加え、このプロジェクトは、当該エリアの長期に渡る住宅不 足の問題に対処する。 グリーン ISCH III El Sal 39042 エルサルバドル EE 22.0 - 2,318,000 - 527 ビルディング エルサルバドル、ニカラグア、ホンジュラスのショッピングモールを改 グリーン ISCH III Hon 39043 ホンジュラス EE 装・拡張する。本プロジェクトは、水・エネルギーの利用及び資材中の 10.0 - 2,427,000 - 1,126 ビルディング エネルギーを最低20%削減した後、EDGE認証を目標とする。 グリーン ISCH III Nic 39044 ニカラグア EE 13.0 - 2,258,000 - 851 ビルディング * 資源効率化対策(各プロジェクトの環境・社会面のレビュー概要に掲載)に基づき、 EDGEソフトウェアを使用してイン パクト・データを推計しました。 グリーンボンド・インパクト・レポート | 2017年度 17 2017年度にコミットしたグリーンボンド適格プロジェクト 気グ プ プ 国 種 プ 融 年 年 設建エ再 ( ( 推ガ年 候リ ロ ロ 名 類 ロ 資 間 間 備設ネ生 定ス 間 変ー ジ ジ ジ 契 発 エ 容まル可 削温 ) 動ン ェ ク ェ ク ェ ク 約 電 ネ 量たギ能 減室 対ボ 額 電 ル ー ト ト ト ギ はプ 量効 策ン 名 ID 概 力 修ラ 果 分ド 量 ー 要 節 復ン 野 ) 減 ト 量 百万米ドル MWh kWh MWh CO2排出量(トン) グリーン Grivalia 38285 ギリシャ EE IFC のグリーンビルディング基準に準拠し、アテネで既存の商 53.2 - - - - ビルディング REIC 業ビルのエネルギー効率を改善する。 グリーン LLP Peru 40154 ペルー EE ペルーで倉庫と物流インフラを建設する。顧客は、水、エネルギー、 14.0 - 858,535 - 255 ビルディング 資材の効率を最低20% 改善し、EDGE認証を目標としている。 グリーン Consorcio RE 36053 チリ RE チリのBanco Consorcioによる小規模な再生可能エネルギーのプロ 30.0 - - - - バンキング ジェクトに対する融資を支援する2番目のコミットメント。* グリーン ABC Climate 37960 ブラジル RE RE・EE設備の製造、グリーンビルディングなど、中小企業が行う気 42.8 - - - 214,748 バンキング 候変動関連のRE及びEEプロジェクトへの融資についてABC Brasil に与信枠を設定する。ABC Bank が、FI投資に関する気候変動影 響評価(CAFI)を用いて、適格な気候変動対策サブプロジェクトの 成果を報告・モニタリングする。 グリーン DCM L&T 37995 インド RE インドの太陽光発電プロジェクト融資向け非転換社債に投資する。 103.6 - - - 80,069.4 バンキング Green Bond グリーン AlexBank 38160 エジプト RE and EE エジプトの中大企業向けの持続可能なエネルギー融資。 25.0 - - - 46,590 バンキング Loan グリーン FinansL EE III 38496 トルコ RE and EE 温室効果ガス(GHG)排出量及び中小企業のエネルギー費用を 50.0 - - - 106,802 バンキング 削減する、トルコの中小・小規模企業向けの持続可能エネル ギー融資。 グリーン City of BA 38533 アルゼンチン 特殊気候関連 ブエノスアイレス市の低排出公共交通機関インフラ(自転車専用 50.0 - - - 794 バンキング 道路、バス高速輸送、地下鉄路線、接続及び歩道の改善)の統合。 グリーン DCM Green 38649 トルコ EE Türkiye Garanti Bankasi ASが発行した Green Mortgage Covered 75.0 - 12,175,200 - 5,771 バンキング MCB Bond(担保付グリーン・カバードボンド)への投資。調達資金で、現 在トルコで IFCが実施しているグリーンビルディング市場創出プロ グラムの一環として、同国の住宅向けグリーンローンを支援する。 * 温室効果ガス(GHG)排出量またはエネルギー節約については最初のコミットメントで報告して いるため、2番目およびそれ以降のすべてのコミットメントでは予測値を提示していません。 グリーンボンド・インパクト・レポート | 2017年度 18 2017年度にコミットしたグリーンボンド適格プロジェクト 気グ プ プ 国 種 プ 融 年 年 設建エ再 ( 推ガ年 ( 候リ ロ ロ 名 類 ロ 資 間 間 備設ネ生 定ス 間 変ー ジ ジ ジ 契 発 エ 容まル可 削温 ) 動ン ェ ク ェ ク ェ ク 約 電 ネ 量たギ能 減室 対ボ 額 電 ル ー 量効 ト ト ト ギ はプ 策ン 名 ID 概 力 修ラ 果 分ド 量 ー 要 節 復ン 野 ) 減 ト 量 百万米ドル MWh kWh MWh CO2排出量(トン) グリーン DCM BCP 38717 モロッコ RE Banque Centrale Populaireが発行したグリーンボンドへの投資。 112.1 725,000 - - 494,557 バンキング Green Bond 調達資金は、モロッコの適格な再生可能エネルギーインフラプ ロジェクト融資に用いられる。 グリーン DCM BC 38731 コロンビア 特殊気候関連 Bancolombia S.A. が発行したコロンビア初のグリーンボンドに投資 117.1 - - - 75,180 バンキング Green Bond し、2030年までに温室効果ガス(GHG)排出量を20%削減するとい う同国の気候変動目標に沿って、再生可能エネルギープロジェクト 及びグリーンビルディングに資金を供与する。IFCは2017年に同国 でグリーンビルディング開発プログラムを立ち上げた。 グリーン DCM Dav- 39057 コロンビア RE and EE コロンビアのSegundo MercadoのBanco Davivienda S.A. が発行した、 150.0 - - - 170,521 バンキング Green Bond コロンビアで現地のグリーンボンド市場の創設・発展を支援するグリー ンボンドに投資する。調達資金は、同国の再生可能エネルギー、グ リーンビルディング、エネルギー効率化及びクリーン生産プロジェクト に資金を供与する。 グリーン DCM CBC- 39811 スリランカ RE and EE Commercial Bank of Ceylon PLCを支援し、スリランカの中小企業が 100.0 - - - 165,040 バンキング Green DPR 行うエネルギー効率化プロジェクトへの融資アクセスを拡大する。 バイオマス Thomas 34754 フィリピン RE フィリピンの3ヵ所で、総発電量70MWのバイオマス発電所の開発・ 63.9 429,240 - 70 181,569 Lloyd RE 運営を行なう。間欠負荷及びベース負荷の発電所を共同設置する ことで、グリッドの安定に寄与する。 リサイクル Assan-VII 37550 トルコ 特殊気候関連 工場全体の整備・生産効率の向上などを含め、廃材再生工場の取 12.8 - - - - 得、既存のリサイクル炉2基の近代化、炉・生産ラインの新設を行う。 この投資により、生産コストの削減、金属くずの再利用化、エネル ギー・水の消費量削減を行う。 エネルギー Pilkington IV 38822 世界 EE 製造工程のエネルギー効率の改善に向けた研究開発費への資 24.2 - 266,990 - 45,042 効率化 金供与、環境にやさしい製品の増産、最近の冷修への融資を行 う。これにより、ガラス炉で消費するエネルギーの約20%削減が 期待されている。 グリーンボンド・インパクト・レポート | 2017年度 19 2017年度にコミットしたグリーンボンド適格プロジェクト 気グ プ プ 国 種 プ 融 年 年 設建エ再 ( 推ガ年 ( 間 候リ ロ ロ 名 類 ロ 資 間 エ 備設ネ生 定ス 間 変ー ジ ジ ジ 契 発 容まル可 削温 ネ ) ェ ェ ェ 動ン ク ク ク 約 電 ル 量たギ能 減室 対ボ ト ト ト 額 電 ギ ー 量効 策ン 名 概 力 ー はプ ID 修ラ 果 分ド 要 量 節 野 減 復ン ) 量 ト 百万米ドル MWh kWh MWh CO2排出量(トン) 風力発電 Alibunar 32752 セルビア RE セルビアに42MWの風力発電所を建設する。石炭火力発電への依 17.3 116,900 - 42 77,240 WPP 存度が極めて高い同国で初の風力発電の1つ。本プロジェクトによ り、再生可能エネルギー容量が拡大し、火力発電所から炭素を減ら し、汚染を削減することが見込まれる。 風力発電 Envision 36094 中国 RE 風力発電プロジェクトの調達、組立、現地運転、運営など、風力発 50.0 - - - - 電業界に携わる同社の拡張を支援する。 風力発電 Tricon 38229 パキスタン RE パキスタンで150MWの風力発電所を建設、運営、整備する。 66.0 522,800 - 147.9 313,450 BostonWind 太陽光発電 Mocuba 36787 モザンビーク RE ザンベジア州モクバに太陽光発電所を設計、建設、運営する。この 18.8 77,000 - 40.5 14,748 Solar 発電所は、適応・緩和の両面で利点を有する。 太陽光発電 Chint 38815 中国 RE 中国を拠点に太陽光発電の製造及び太陽光発電に携わる太陽光 40.0 125,108 - 165 56,129 New Energy 発電ソリューション提供企業の拡大を支援し、中国国外の新興市場 における同社の太陽光発電開発を可能とする(南南投資)。 太陽光発電 FRV Solar 39151 インド RE 14.4 95,500 113,652 50 90,731 India FRV Andhra Pradesh Solar Farm I Private Limited 及び FRV India Solar Park II Private Limited が建設した100 MWac/136 MWdcの太陽光発電所への投資。本件は、IFCによる世界初のイ ンフラ部門における‘グリーン・プロジェクトボンド’であり、それぞ 太陽光発電 FRV Solar 40186 インド RE れ50MWの発電量。 14.4 95,500 113,652 50 90,731 Park 交通機関 Nibulon CL 39155 ウクライナ 特殊気候 ウクライナ最大規模の穀物・油糧種子企業の1つを拡大し、農家に 24.0 - - - - 近代的貯蔵インフラへのアクセスを提供し、低排出輸送を使用する ことにより、農家と最終市場を結びつけることに役立てる。 Total 1,555 2,187,048 46,398,973 565 2,240,609 グリーンボンド・インパクト・レポート | 2017年度 20 付属資料 グリーンボンド・インパクト・レポート | 2017年度 21 付属資料A IFCのグリーンボンドのプロセス IFCのグリーンボンドプログラムはグリーンボンド原則( GBP)を遵守し、 ベスト・マーケット・プラクティスに即して運用されています。 調達資金の使途 評価と選定 IFCのグリーンボンド調達資金は、気候関連プロジェクトへの融資業務(適格プロジェ グリーンボンド適格要件に適合することはもちろん、IFCの融資を受けるプロジェクトはすべて クト)に関連する特別サブポートフォリオに割り当てられます。適格プロジェクトは、 IFCの環境・社会問題のためのパフォーマンス基準及び IFCのコーポレートガバナンス枠組み IFCの気候関連融資ポートフォリオの中から選定されます。このポートフォリオは、IFC に準拠し、いずれのプロジェクトも厳格なデューデリジェンスの手続きを経ています。. の「気候関連活動のための定義と基準」に適合したプロジェクトで構成されています。 IFCのプロジェクト評価及び選定要件はオスロ大学の国際気候・環境研究センター(CICERO ) グリーンボンド調達資金は、プロジェクトの融資部分のみに充当されます(エクイティ のレビューを受けています。CICEROのセカンドオピニオンの内容は IFCのウェブサイトでご覧 投資と保証は対象外)。適格プロジェクトへの融資が実行されるとサブポートフォリオ いただけます。 から引き落とされます。 グリーンボンド適格プロジェクトには以下のような分野が含まれます。 エネルギー効率化(EE ): 再生可能エネルギー 資源の効率化: 環境負荷を低減する生 製品やサービスの生産単 (RE) :再生可能資源から 製造資源(エネルギー、水、 産技術: 位当たりのエネルギー消 のエネ ルギー の生産利 原料)から販売可能生産 エネルギーの効率化や 費削減に役立つ設備、シ 用を可能にする設備やシ 物への変換効率を高める 再生可能エネルギー、 ステム、サービスへの投 ステム、サービスへの投 よう、産業プロセスやサー 環境負荷を低減する生 資。これには、廃熱回収 資。これには、風力、水 ビス、製品の改良に向け 産に使用される部品生 システムの設置、コージェ 力、太陽光、地熱等が含 た投資。これには、資源 産への投資。これには、 ネレー ショ ン、建物用断 まれます。 調達先における影響緩和 太陽光発電所の建設、 熱材、送配電エネルギー 等が含まれます。 タービンの製造、建物断 損失の削減等が含まれ 熱材の開発等が含まれ ます。 ます。 金融仲介機関: 金融仲介機関への投 融資。ただし、 IFC から の投融資が、 IFC のグ リーンボンド適格要件 を満たした気候変動対 策プロジェクトにオン・ レンディング(転貸) さ れることを必要条件と しています。 持続可能な林業 グリーンボンド・インパクト・レポート | 2017年度 22 IFCのグリーンボンドのプロセス 調達資金の管理 報告 IFC のグリーンボンド調達資金はすべて指定されたグリーン現金勘定に移され、適格プ IFCグリーンボンド・インパクト・レポートは、「グリーンボンド・インパクト・レポートの共通枠 ロジェクトへの融資実行までの間、流動性に関する IFCの保守的な方針に則って運用さ 組み策定に向けた取り組み(“Working towards a harmonized framework for Green Bond れます。適格プロジェクトへの融資実行依頼は、IFCの既定方針と手続きに則って処理さ impact reporting”)」に従って作成されています。これは、透明性を高めることでグリーンボ れ、プロジェクトの進捗状況などに従って一定の時間をかけて行われることがよくありま ンド市場のインテグリティを確保することを目的として策定されているものです。 す。 本報告書では、グリーンボンド調達資金が充当されたプロジェクトのリストを掲載しており、 いくつかのケースでは、グリーンボンドが支援するプロジェクトの気候関連の要素が、よ さらに各プロジェクトの概要、融資実行額、期待される環境へのインパクトについても、そ り大きな投資の一部であることがあります。こうした場合は、グリーンボンド・ポートフォリ れぞれの守秘義務を勘案したうえで掲載しています。なお、報告書の対象となるのは、グ オはプロジェクトの適格部分のみに融資します。 リーンボンドの適格プロジェクトのみです。 IFC の気候関連ビジネスの詳細については、 www.ifc.org/climatebusiness.をご参照ください。 被投資会社には、プロジェクト活動と全投資機関を通したパフォーマンスに関する定期 報告が義務付けられ、こうした報告を元にプロジェクトのモニタリングが行われています。 グリーンボンド・インパクト・レポート | 2017年度 23 付属資料 B インパクト・レポートの方針 IFC情報アクセスに関する方針 IFCの温室効果ガス(GHG)排出量の算定方法と気候関連の定義と基準については、IFCの 情報アクセスに関する方針は IFCの持続可能性枠組みの礎であり、透明性を高めること 気候関連ビジネスのサイトをご覧ください。² に向けたIFCのコミットメントを明確に表現したものです。 インパクト・アセスメントの表は4 つのコア指標の定量化を可能にしたものですが、報告され 私たちは投融資及びクライアント、パートナー、ステークホルダーへの助言サービス活 たデータには限界があると認識していただくことが重要です。結果を適切に解釈するため 動に関する情報を正確かつ適時に提供するよう努めています。プロジェクト、環境・社 の主な留意点は以下の通りです。 会への影響、そして期待される開発効果に関する情報については、理事会での検討 効果の範囲: 報告書はプロジェクト評価時点における事前評価であり、主にプロジェクトの に先行して公開しています。 直接的な効果に基づいています。 このコミットメントはグリーンボンドプログラム対象のプロジェクトにも適用されます。 不確実性: インパクト指標の予測における重要な留意点は、指標が多くの仮定に基づくこ とが多いという点です。技術者は、現時点で得られる情報に基づいて合理的と思われる堅 インパクト指標 実かつ保守的な仮定を目指しますが、プロジェクトの実際の環境へのインパクトは当初の 見通しから外れる可能性があります。一般に、行動変化やベースライン(基準値)条件の変 本報告書は、IFCを含む国際開発金融機関の作業部会が作成したインパクト・レポート 化は、見通しからの逸脱を生じる要因になり得ます。 の共通枠組み(Harmonized Framework for Impact Reporting) に従い、グリーンボンド プログラムのプロジェクトに関して、以下の4つのコア指標に基づいて報告しています。 比較可能性: プロジェクトやセクター、またはポートフォリオ全体を比較する際には、基準値 1. 年間エネルギー節減量Annual energy savings (および基準年数)と算出方法に大きな違いがある可能性があるため、注意が必要です。さ 2. 年間温室効果ガス(GHG)排出削減量・排出回避量 らに、各国で費用構造も異なるため、費用対効果の算出(適格プロジェクトへの投資額単位 3. 再生可能エネルギー年間発電電力量 当たりの効果)をする際に、規模の経済性に限界のある比較的小さな国に不利に働き、各 4. 再生可能エネルギープラント(建設または修復)設備容量 国に即した状況を考慮しない結果になる可能性があります。 不作為: プロジェクトはインパクト・アセスメントの表に掲げた指標より幅広い指標で影響が インパクト指標の解釈 ある可能性があり、重要な開発効果が他にあるかもしれません。さらに、採用されたコア指 インパクトは気指標はプロジェクトレベルで追跡され、IFCの拠出額に応じた按分はされ 標が適用できないか、データがないプロジェクトもあります。 ていません。特殊気候変動対策プロジェクト候変動の緩和に寄与するプロジェクトです が、その影響評価に関する合意された算出方法はありません。金融仲介機関(FI)への IFCは時間とともに報告書のための算出方法の一貫性と利用可能性を改善する努力をして 投資は、 IFCが直接融資できない中小企業等、より小規模な顧客による気候変動対策 いますが、気候変動対策プロジェクトは関連するセクターとサブセクターが非常に多岐に及 プロジェクトへの融資を可能にするものです。 IFCはパートナーの金融仲介機関が自ら の投資ポートフォリオの気候変動に対するインパクトを評価することの重要性を鑑み、 んでいるため、報告のための算出方法の共通化には困難が伴っています。 ウェブベースのアプリケーション「FI投資に関する気候変動影響評価(CAFI)」を開発し ました。 CAFI により、金融仲介機関顧客によるエネルギー効率化、再生可能エネル ギー、気候変動適応策、そして特殊気候の各分野への投資結果の監視が可能となりま した。1 1 http://www.ifc.org/cafi をご参照ください。 2 http://www.ifc.org/wps/wcm/connect/Topics_Ext_Content/IFC_External_Corporate_Site/CB_Home/Measuring+Reporting/ グリーンボンド・インパクト・レポート | 2017年度 24 免責条項 本報告書は情報提供のみを目的として作成され、本報告書に含まれる情報は要約された もの、または不完全なものである場合があります。IFCは、本報告書に含まれる情報の正 確性や完全性に関して、いかなる保証および表明も行うものではありません。また、IFCは これらの情報を更新する義務を一切負いません。 本報告書は目論見書ではなく、IFCが発行するいかなる債券についても評価基準を提供す るものではありません。また、本報告書内に記述のあるいかなる商品やサービスについて 予約または購入を勧誘または提供するものではありません。いかなる状況においても、IFC またはその関係機関は、本報告書の情報の使用に起因するいかなる損失、損害、負債、 費用に対しても責任を負いません。これには直接的損害、間接的損害、特別損害、派生的 損害を含み、それらに限らず、たとえそのような損害の可能性についてIFCが報告を受けて いた場合を含め、いかなる状況においても、IFC及びIFCの関係機関は責任を負いません。 IFCに関するより詳しい情報は、IFCのウェブサイトwww.ifc.org/investorsより、最新版「イン フォメーション・ステートメント」、財務諸表、その他関連情報を参照してください。 本報告書はIFCのClimate Business及びTreasury Market Operations担当部署が 作成しました。 作成者は、Esohe Denise Odaro、Berit Lindholdt-Lauridsen、 Zauresh Kezheneva、 Olga Khlebinskaya、 Francisco Avendano Ugaz 、Maria Antonia Panan、Rusmir Music 、Sihui Yan、Philip Neil Killeen です。 校閲者は、 Sona Panajyan 、Emma-Kate Symons です。 アイコン作成: Freepik www.flaticon.com グリーンボンド・インパクト・レポート | 2017年度 25 Green Bond Impact Report | Financial Year 2017 IFC Investor Relations International Finance Corporation 2121 Pennsylvania Avenue NW Washington, DC 20433 Email: investors@ifc.org Twitter @IFC_Investors ifc.org/investors 2017年10月